特許第6866955号(P6866955)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6866955
(24)【登録日】2021年4月12日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】パーテーション
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20210419BHJP
【FI】
   E04B2/74 561H
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-162647(P2020-162647)
(22)【出願日】2020年9月28日
【審査請求日】2020年9月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 幹之
(72)【発明者】
【氏名】木下 俊貴
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−253792(JP,A)
【文献】 実開平05−031636(JP,U)
【文献】 実開平07−010265(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
A47B 5/04
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を開けて設けられ天井と床との間に取り外し可能に設けられる一対の支持部材と、
前記一対の支持部材間に固定された前面板と、
前記前面板に回動可能に取り付けられ、前記前面板との接続部分を軸として上下方向に回動可能なテーブル板と、
前記テーブル板を挟んで前記支持部材それぞれに個別に設けられ、前記支持部材との接続部分を軸として開閉可能な一対の扉と、
を備え、
前記テーブル板は、前記前面板と重なる収納状態と前記前面板から水平に突出した使用状態とに維持可能に前記前面板に取り付けられ、
前記テーブル板を前記収納状態にして前記一対の扉を閉状態とする間仕切り状態と、前記テーブル板を前記使用状態にして前記一対の扉を開状態とするブース状態とに切替可能であり、
前記一対の扉は、前記ブース状態にあるとき、前記一対の扉によって前記テーブル板の前に存在する人が隠れる大きさを有することを特徴とするパーテーション。
【請求項2】
前記一対の扉は、前記間仕切り状態にあるとき、前記一対の扉どうしが交互に重なる幅を有することを特徴とする請求項に記載のパーテーション。
【請求項3】
前記一対の扉は、観音開き式の扉であることを特徴とする請求項に記載のパーテーション。
【請求項4】
前記一対の支持部材は壁に接して取り付けられ、前記壁の一部を前記前面板として用いることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のパーテーション。
【請求項5】
前記扉及び前記前面板それぞれの、前記テーブル板側の面の少なくとも一部は、吸音材からなることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のパーテーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーテーションに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、働き方改革による、テレワークやリモートワーク等の多様な働き方の推進、また、コロナウィルスの影響等により、自宅やサテライトオフィスでのテレワークが加速している。また、コロナウィルスの影響を受けて、企業によっては、事務所を縮小する傾向にあり、テレワークの比率が増大すると予想される。
【0003】
ところで、日本の住宅環境においては、テレワークが可能な書斎等のスペースを持っている世帯は少なく、共働き比率も増加するなか、自宅にテレワークブースを作ることは困難である。
【0004】
市場では、テレワーク用の商品、例えば机、椅子、イヤホン、マイクロホン等が販売されている。しかしながら、外部からの騒音を遮音すること、自らが騒音源として発する音を吸音すること、等、テレワーク中の環境に配慮する商品は少ない。テレワーク中の環境に配慮した家中テレブースとして、BOX型等が提案されている。また、テレブースの簡易タイプとしては、テント型等のブース、また、ダンボールを使用した家具、ライティングデスクの様な家具、または収納家具等が提案されている。また、サテライトオフィス用等としてカプセル型(例えば、特許文献1参照)のブース等も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3298479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、日本の住宅環境の観点から、置き場所が狭くても配置することができ、且つテレワーク中の作業空間や作業環境を確保することのできる構造物が望まれていた。
【0007】
そこで、この発明は、上記従来の未解決の課題に着目してなされたものであり、占有面積が小さく且つ良好な作業環境を確保することの可能なパーテーションを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するべく、本発明の一態様によれば、間隔を開けて設けられ天井と床との間に取り外し可能に設けられる一対の支持部材と、一対の支持部材間に固定された前面板と、前面板に回動可能に取り付けられ、前面板との接続部分を軸として上下方向に回動可能なテーブル板と、テーブル板を挟んで支持部材それぞれに個別に設けられ、支持部材との接続部分を軸として開閉可能な一対の扉と、を備え、テーブル板は、前面板と重なる収納状態と前面板から水平に突出した使用状態とに維持可能に前面板に取り付けられ、テーブル板を収納状態にして一対の扉を閉状態とする間仕切り状態と、テーブル板を使用状態にして一対の扉を開状態とするブース状態とに切替可能であり、一対の扉は、ブース状態にあるとき、一対の扉によってテーブル板の前に存在する人が隠れる大きさを有するパーテーションが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、占有面積が小さく且つ良好な作業環境を確保することの可能なパーテーションを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るパーテーションの一例を示す斜視図である。
図2】パーテーションの一例を示す、(a)は上面図(ブース状態)、(b)は正面図(ブース状態)、(c)は左側面図(ブース状態)、(d)は背面図、(e)は上面図(間仕切り状態)、(f)は正面図(間仕切り状態)である。
図3】吸音材の特性の一例を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
[構成]
図1は、本発明に係るパーテーション1の一例を示す斜視図であって、パーテーション1は、左右の扉を備えており、左右の扉4、5を閉じたときには一枚のパネル状の間仕切りとして機能し、扉4、5を開いたときにはブースとして機能する。
図2はパーテーション1の一例を示した構成図であって、(a)〜(c)は間仕切り状態における構成を示し、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は左側から見た側面図である。また、(d)は背面図である。また、(e)及び(f)はブース状態におけるパーテーション1の構成を示し、(e)は上面図、(d)は正面図である。
図2に示すようにパーテーション1は、一対の支持部材2と、前面板3と、左扉4と、右扉5と、テーブル板6と、を備える。
【0013】
支持部材2は、床から天井近傍までの高さを有し、床と天井との間に突っ張り固定される。支持部材2の上端には、支持部材2と天井との間の隙間を調整するための図示しない調整部材が取り付けられ、調整部材で支持部材2と天井との間の隙間を調整することにより、支持部材2が突っ張り固定される。支持部材2としては、例えば2×4材が用いられる。調整部材としては、例えば、平安伸銅工業株式会社製のラブリコシリーズの2×4アジャスタを用いることができる。支持部材2は、2×4材の面どうしが向かい合うように固定される。
【0014】
支持部材2には、支持部材2間の強度を確保するため、少なくとも3箇所に横桟21が設けられている。図2では、支持部材2の上部と中部と下部との3箇所に横桟21a〜21cが設けられる。例えば、支持部材2の全体を240mmとしたとき、横桟21aは、支持部材2の上端から100mm程度下の、上端近傍の位置に設けられ、横桟21bは、支持部材2の中央よりもやや上端寄りの、上端から980mm程度下の位置に設けられ、横桟21cは、支持部材2の下端から200mm程度上の、下端近傍の位置に設けられている。横桟21は、例えば支持部材2と同一の2×4材からなる。横桟21a〜21cのそれぞれは、例えば図示しない棚受け金具により、横桟21の両端それぞれが、支持部材2のそれぞれに固定される。棚受け金具としては、例えば、平安伸銅工業株式会社製のラブリコシリーズの2×3棚受けシングルを用いることができる。
【0015】
横桟21の長さは、ブース状態のときに、机の天板となるテーブル板6の幅や、遮音性やプライバシーを確保する為の扉4、5を収納する為、テーブル板6や扉4、5がその機能を発揮できる長さを考慮して設定され、例えば、600mm程度以上に設定される。横桟21の長さが600mm以下である場合、テーブル板6は600mmよりも短くする必要があり、テーブル板6にノートパソコンとマウスを載置してデスクワードを行うには狭く、作業性を損なう可能性がある。また、ブース状態のときに、開状態に維持される扉4、5は、テーブル板6に向かって作業する作業者に対する遮音性を維持するために用いられるが、横桟21の長さが600mm以下の場合、扉4、5の幅を600mmより短くすする必要があり、扉4、5の幅が600mmよりも短いと遮音性を確保することが困難である。ただし、横桟21の長さは、パーテーション1の設置スペース等を考慮すると、1000mm以下が好ましい。
【0016】
前面板3は、上板31と下板32とを有し、上板31は、横桟21aと横桟21bと一対の支持部材2とで囲まれた枠に嵌め込まれた状態で、枠の厚み方向中央部分に、例えばL字金具等で扉4、5側から固定される。下板32は、横桟21bと21cと一対の支持部材2とで囲まれた枠に嵌め込まれた状態で、横桟21b及び21cの、扉4、5とは逆側の端部に沿って例えばL字金具等で、扉4、5側から固定される。
【0017】
上板31は、例えば有孔ボードからなる。下板32は、例えば、テーブル板6を取り付け可能な板材からなり、扉4、5側の面に、吸音材7が設けられている。吸音材7については後述する。
上板31として有孔ボードを用いることによって、別途取り付けフックを設けることが可能であり、さらに、棚や照明器具等を取り付けることも可能であり、上板31を壁として有効活用することができる。上板31は有孔ボードに限るものではない。上板31としてアクリル板等の透明板を用いることによって、明かりを取り入れることも可能である。また、上板31は、壁としてのインテリア活用や環境適性を踏まえた部材を任意に施工することができる。
【0018】
扉4、5は、矩形状を有し、それぞれ支持部材2の、横桟21bと横桟21cとの間に取り付けられ、左扉4はインセットタイプのキャッチ付きのスライド蝶番4aにより一方の支持部材2に取り付けられ、右扉5は、全かぶせのキャッチ付きのスライド蝶番5aにより他方の支持部材2に取り付けられている。左扉4及び右扉5は、扉の大きさに応じて少なくとも2つ以上のスライド蝶番4a又は5aによって、それぞれ取り付けられている。キャッチ付のスライド蝶番4a、4bとしては、例えば株式会社ムラコシ精工製のキャッチ付のワンタッチ式スライドヒンジを用いることができる。
【0019】
このように扉4、5を支持部材2に取り付けることによって、扉4、5は、支持部材2との接続部分であるスライド蝶番4a、5aを軸として左右方向に回動し、扉4、5を閉じると、左扉4は一対の支持部材2の間に収まり、右扉5は各支持部材2の端部に接した状態となる。
扉4、5は、使用基材の、閉じたときに内側となる面に、吸音材7が取り付けられている。
【0020】
扉4、5は、扉4、5が開状態であるブース状態にあるときに、これら扉4、5によってテーブル板6の前に存在する人が隠れる大きさを有する。具体的には、扉4、5の幅は、例えば横桟21の最大長さが865mmであるとき、左扉4は820mm、右扉5は895mmの幅に設定される。扉4、5の幅を大きくするほど、扉4、5の重量は大きくなるが、扉4、5の幅が大きいほど、吸音性及び遮音性が向上し、プライバシーの確保をより十分に行うことができる。扉4、5の長さは、重量及び使用基材の取り都合(4尺巾)を考慮して、最大1200mmが望ましい。
扉4、5の設置位置は、利用者がテーブル板6に向かって椅子に着席したときの目線以下に扉4、5の上端が見えると、気が散りやすくなることから、扉4、5の上端が一番下の横桟21cの上端から1200mm以上の位置となるようにすることが好ましい。
【0021】
図2では、扉4、5は、1200mmの長さを有し、扉4、5の上端が横桟21bの下部から10mm下の位置、扉4、5の下端が横桟21cの上端から10mm上の位置にくるように配置される。また、扉4、5は、1200mの長さを有する場合、扉4、5の上端から150mm下の位置及び扉4、5の下端から150mm上の位置に、スライド蝶番4a、5aが取り付けられるようになっている。
【0022】
ここで、扉4、5及び下板32に設けられる吸音材7としては、フェルトタイプのものや再生ポリエステル成形タイプのもの等を用いることができる。フェルトタイプのものとしては、例えば、厚さ9mm、定型サイズ600mm×900mm、素材はポリエステル製フェルトであって、印刷可能な不織布により、袋貼り(4方巻き込み)されているもの等がある。また、再生ポリエステル成形タイプのものとしては、例えば、厚さ7mm,サイズ3×6(900mm×1800mm)、素材はPETボトル再生ポリエステル材であって、印刷可能な不織布により、平貼り(4方巻き込みなし)されており、現場でのカットが可能なものであって、音響性能として、周波数1600Hz以上4000Hz以下で吸音率が0.6以上となる特性を有するもの等を用いることができる。
【0023】
本実施形態では、扉4、5として、例えば厚さ9mm合板の表裏に、厚さ4mmのMDF(Medium Density Fiberboard:中密度繊維板)を張り合わせ、さらに、表面はオレフィンシートにて加飾を行い、裏面については、東京防音株式会社製の厚さ7mmのPETボトル再生ポリエステル材からなるホワイトキューオンの上に、インクジェット方式により印刷を行った不織布をラミネートした板材からなる。
【0024】
フェルトタイプの吸音材としては、例えば、ドリックス株式会社製のポリエステル製フェルト吸音材であるフェルメノンを適用することができる。図3に、フェルメノンの残響室法吸音率試験の試験結果を示す。図3において、横軸は周波数(Hz)、縦軸は、吸音率である。図3に示すように、フェルメノンは周波数が1600Hz以上8000Hzの範囲では、吸音率が0.60以上となる特性を有している。
【0025】
また、扉4、5を閉じたときの収納性を考慮して、支持部材2の幅、つまり2×4材の幅(38mm)に、左扉4、左扉4の吸音材7、下板32、下板32の吸音材7を合計した厚みが近い方が好ましい。吸音材7の厚みは、25mm以下が好ましく、吸音効果と収納性とを考慮すると12mm以下が好ましく、10mm程度が好ましい。
また、扉4、5のそれぞれの下部の、スライド蝶番4a、5aとは逆側の端部近傍に、折り畳み式の脚を設け、この脚によっても扉4、5を支持するようにしてもよい。特にパーテーション1を自宅で用いる場合等には、子供が扉4、5にぶら下がって遊ぶ可能性がある。扉4、5に脚を設けることにより、支持部材2からの扉4、5の脱落や、扉4、5のスライド蝶番4a、5aからの脱落等が生じることを抑制することができる。
また、扉4、5それぞれのスライド蝶番4a、5a側の端部に、手の挟み込み防止のため、R加工等が施されていることが好ましい。
【0026】
テーブル板6は、矩形状を有し、一辺が下板32に回動可能に取り付けられている。テーブル板6は、例えば、図示しない折り畳み式棚受け金具により下板32の2箇所に取り付けられ、折り畳み式棚受け金具を開いたり、折り畳んだりすることによって、テーブル板6が、下板32との接続部分を軸として上下方向に回動し、テーブル板6を下板32から水平に突出した使用状態又は下板32と重なる収納状態に維持するようになっている。なお、安全性を考慮して、テーブル板6の下面に、収納可能な脚を設け、この脚によってもテーブル板6を支えるようにしてもよい。
【0027】
テーブル板6は、テレワークの作業性を考慮して、最下端の横桟21cの上端から700mm以上の位置に取り付けられている。テーブル板6の奥行は、ノートパソコンの画面を傾ける事を考慮して最低300mm以上、可能であれば、500mmに設定される。図2では、テーブル板6の奥行は500mm、幅750mmとしている。
また、テーブル板6としては、反り等を考慮して、基材として集成材(厚さ24mm)を使用することができる。
【0028】
[利用方法]
このような構成を有するパーテーション1は、図2(a)〜(c)に示すように、パーテーション1を利用しないとき、つまり間仕切り状態とするには、折り畳み式棚受け金具を折り畳む。これにより、テーブル板6は下板32と重なる収納状態となる。また、扉4、5は、スライド蝶番4a、5aにより支持部材2に取り付けられているため、扉4を閉じ、次に扉5を閉じることにより、扉4は一対の支持部材2の間に収納され、扉5は一対の支持部材2の端部に沿った状態となる。その結果、パーテーション1を側面からみると、一枚の板状の部材となる。
【0029】
このように、パーテーション1を利用しないときには、パーテーション1を折り畳み、間仕切り状態とすることによって、パーテーション1の占有面積を小さくすることができる。また、間仕切り状態のパーテーション1は一枚の板状となるため、例えば、間仕切り用のパネルとして用いることもできる。また、パーテーション1を壁等に沿わせて置き、壁パネルとして用いれば邪魔にならない。特に、パーテーション1を、自宅など、限られた空間内で使用する場合には、パーテーション1を利用しないときに占有面積が小さくてすみ、また、間仕切りとして使用することができるため、限られた空間内でパーテーション1を有効に活用することができる。
【0030】
また、パーテーション1は、特殊工具が不要な突っ張り式のアジャスタを採用して、床と天井とに間に固定している。そのため、アジャスタを調整するだけで、容易に移動させることができ、場所も選ばずに設置することができる。また、アジャスタを調整することによって、パーテーション1を床と天井との間に容易且つ確実に固定することができる。
一方、パーテーション1を利用するとき、つまり、パーテーション1をブース状態とする場合には、図2(e)及び(f)に示すように、扉5、扉4の順に扉を開き、テーブル板6を持ち上げて折り畳み式棚受け金具を開く。これにより、テーブル板6は下板32から略水平に突出した使用状態に維持される。
【0031】
この状態で、利用者がテーブル板6に向かって椅子に着席すると、扉4、5は、利用者の両側に位置するため、利用者は扉4、5と、下板32とにより三方を間仕切りで囲まれた状態となり、ブース内に存在することと略同等となる。また、扉4。5は、その上端が、着席した利用者の目線よりも上に位置する長さに形成されているため、ブース外の動き等が、利用者の視界に入ることを防止することができ、ブース外の動きが利用者に与える影響を抑制することができる。また、前面板3及び、扉4、5、によって、ブース外の人から、利用者をある程度隠すことができるため、プライバシーを確保することができる。また、扉4、5の幅を、支持部材2の幅よりも小さい範囲でできるだけ大きくなるようにしているため、より一層、吸音性、遮音性の向上を図ると共に、プライバシーを確保することができる。
【0032】
また、扉4、5及び下板32には、パーテーション1がブース状態にある時にブースの内側となる面に、吸音材7が設けられている。そのため、利用者が発する音が外部に漏れることを抑制することができ、逆に外部からの音を遮音することができる。そのため、パーテーション1がブース状態にあるとき、利用者の後方は仕切りで囲まれていないが、利用者の話しにくさや聞き取りにくさを解消し、ストレスフリーな音環境を提供することができる。
【0033】
また、扉4、5は、スライド蝶番により支持部材2に取り付けられているため、スライド蝶番として脱着スイッチ付きのスライド蝶番4a、5aを用いることによって、支持部材2から扉4、5を容易に取り外すことができる。このように、パーテーション1を簡単に分解することができるため、搬入時等、パーテーション1の移動を容易に行うことができる。
また、パーテーション1を構成する支持部材2や横桟21を始めとする各部や、アジャスタを始めとする各種取り付け金具等は、一般に用いられている部材を採用している。そのため、安価に実現することができる。
【0034】
[変形例]
上記実施形態においては、パーテーション1単体で、ブースを実現するようにした場合について説明したがこれに限るものではない。例えば、壁の一部を前面板3として用い、壁に取り付けたパーテーション1として構成してもよい。つまり、前面板3としての壁面にテーブル板6を取り付けると共に、前面板3としての壁面に接するように支持部材2を固定する。また、壁面に接して固定した支持部材2に左右の扉4、5を取り付ける。そして、間仕切り状態とするときには、テーブル板6を壁面に沿わせ、扉4、5を閉じることにより、テーブル板6、扉4、5を壁に沿わせる。また、壁に凹部を設け、凹部に収まるように支持部材2を固定することによって、扉4、5を閉状態としたときに、壁から突出する扉4、5の部分がより薄くなるように構成してもよく、また、扉5の表面と壁面とが面一となるように、凹部の深さを決定してもよい。
【0035】
また、上記実施形態において、間仕切り状態にあるときに表側となる、下板32及び扉4、5の、テーブル板6とは逆側の面、及び上板31の両面、また、支持部材2、横桟21等に化粧シートやラッピング等を行うことにより、意匠性を高めてもよい。例えば、自宅に設置する場合には、自宅の室内環境に溶け込むような意匠性を持たせてもよい。
【0036】
また、上記実施形態においては、扉4、5は交互に重なる形態としているが、これに限るものではなく、観音開き式の扉であってもよい。観音開き式の扉の場合、扉4、5それぞれの幅の和が、支持部材2間の幅相当となる。そのため、図2に示すパーテーション1のように、扉4、5が交互に重なる形態と比較して、扉4、5の幅が狭い。つまり、遮音性や吸音性また、プライバシーの確保という観点で多少不利となるが、扉4、5の幅が狭いため、ブース状態のパーテーション1を利用する際における、パーテーション1の占有面積を小さくすることができる。そのため、比較的狭い屋内にパーテーション1を設置する場合等に好適である。また、この場合、例えば、パーテーション1を壁に近接して配置し、壁側が利用者の背中側となるようにすることで、前面板3と、扉4、5と、壁とにより、利用者の四方を囲むブースを形成してもよい。このようにすることによって、扉4、5の幅が狭いことに起因した遮音性や吸音性の低下分を、利用者の背中側に壁がくるようにすることによって補うことができ、遮音性や吸音性の低下を抑制し、且つプライバシーを確保することの可能なパーテーション1を実現することができる。
【0037】
また、上記実施形態では、上板31を設ける場合について説明したが、必ずしも上板31を設けなくともよい。間仕切りとして使用する場合に天井までの高さが必要でなければ上板31を設けなくともよく、上板31の長さは、間仕切りとして使用する場合に必要な高さに応じて設定すればよい。
また、上板31として、下板32と別の板材を設けるのではなく、前面板3として横桟21cから横桟21aまでの長さの一枚の板材を用いてもよい。
【0038】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【実施例1】
【0039】
実施例1として本実施形態におけるパーテーション1について、仕事の集中度、吸音性、遮音性の3つの項目について、100人の試験員による官能試験にて評価した。
また、比較例1として、扉4、5が無い場合、比較例2として、扉はあるが、観音開き式の扉であって、扉の幅が実施例1における扉4、5の幅Lの1/2(L/2)である場合、比較例3として、扉に吸音材が設けられていない場合、についても同様に評価した。
評価基準は、仕事に集中できる、吸音性が高い、遮音性が高いと判定した人の人数が、70人以上の場合を○、50人以上70人未満の場合を△、50人未満の場合を×とした。
【0040】
その結果を、表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1から、本実施形態におけるパーテーション1(実施例1)のように、扉4、5がある程度の幅を有し、扉4、5に吸音材7を設けることによって、良好な仕事環境を提供できることが確認された。また、扉が観音開き式の場合(比較例2)には、仕事に集中できないと感じる人がいるものの、吸音性、遮音性は良好であった。仕事に集中できないと感じる理由は、利用者の左右の仕切り板が狭いことが要因と推測されることから、例えば利用者の背中側に壁が位置するようにパーテーション1を配置すること等、配置位置を工夫することにより、良好な仕事環境を提供できる。なお、扉がない場合(比較例1)は、仕事の集中度、吸音性、遮音性のいずれの項目も評価が低く、また、扉があっても吸音材が設けられていない場合には、仕事の集中度については評価が高いが、吸音性及び遮音性の点では、多少評価が低かった。
【符号の説明】
【0043】
1 パーテーション
2 支持部材
21、21a〜21c 横桟
31 上板
32 下板
4 左扉
5 右扉
6 テーブル板
【要約】
【課題】占有面積が小さく且つ良好な作業環境を確保することの可能なパーテーションを提供する。
【解決手段】天井と床との間に取り外し可能に設けられる一対の支持部材2と、一対の支持部材2間に固定された前面板3と、前面板3に回動可能に取り付けられ、前面板3との接続部分を軸として上下方向に回動可能なテーブル板6と、テーブル板6を挟んで支持部材2それぞれに個別に設けられ、支持部材2との接続部分を軸として開閉可能な一対の扉4、5と、を備え、テーブル板6は、前面板3と重なる収納状態と前面板3から水平に突出した使用状態とに維持可能に前面板3に取り付けられ、パーテーション1は、テーブル板6を収納状態にして一対の扉4、5を閉状態とする間仕切り状態と、テーブル板6を使用状態にして一対の扉4、5を開状態とするブース状態とに切り替えることができる。
【選択図】図2
図1
図2
図3