(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ミシンの針と、前記針と協働し前記針の糸穴に糸通しされている針糸をからげて縫目形成するループ捕捉装置とを含む縫目形成装置を有し、前記針の糸穴に空圧式に糸通しするミシンの空圧糸通し装置において、
前記針の糸穴の糸出口を取囲む前記針の周辺帯リング状領域にハーメチックに当接可能で前記針の糸穴の糸出口から吸気する吸気口孔を取囲む対応した周辺帯リング状当て具を有するハーメチックリップと、
前記ハーメチックリップの前記吸気口孔に接続される針糸吸引導管と、
針糸通し時に前記ハーメチックリップを前記吸気口孔が前記針の糸穴の糸出口に位置合わせされて前記針に当接されるように糸通し位置に移動させ、縫目形成時に前記ハーメチックリップを前記針から後退させ待機位置に移動させる位置切換機構と、
前記針糸吸引導管が吸い込みポートに接続され、針糸通し時に前記針の糸穴の糸入口に差入れられる針糸の一端を、前記針の糸穴の糸出口から前記吸気口孔を経由し前記針糸吸引導管を介して前記吸い込みポートに吸気されて前記針の糸穴に針糸通しするポンプとを備え、
前記針は前記糸穴の上部において前記ループ捕捉装置の剣先が通過するためのえぐりを有し、前記針の周辺帯リング状領域は前記えぐりの中間部を横切る水平方向に延びる上部平坦形帯領域部分と、前記糸穴の下部を横切る水平方向に延びる下部半円周形帯領域部分と、前記上部平坦形帯領域部分及び前記下部半円周形帯領域部分間を接続する垂直方向、かつ円周方向に延びる2つの側部帯領域部分とを有し、これに対応して前記ハーメチックリップの周辺帯リング状当て具は水平方向に延びる上部平坦形帯セグメントと、水平方向に延びる下部半円周形帯セグメントと、前記上部平坦形帯セグメント及び前記下部半円周形帯セグメント間を接続する垂直方向、かつ円周方向に延びる2つの側部帯セグメントとを有することを特徴とするミシンの空圧糸通し装置。
前記針糸通し位置決め部は、制御ピンと、前記制御ピンの運動を規制する制御プレートと、前記制御プレートを貫通し、前記針と同期駆動されて切欠き部を有するディスクに当接し、前記二次手動操作に応じて前記切欠きに嵌合するとき軸方向に変位して前記制御プレートを揺動し前記制御部材によって前記ハーメチックリップを前記吸気口孔が前記針の糸穴の糸出口に位置合わせされるように移動して前記針に当接させる位置決めピンとを有することを特徴とする請求項6記載のミシンの空圧糸通し装置。
前記針は複数の針で構成され、前記複数の針を少なくとも2つのグループに分けて、2つのグループのそれぞれの前記針を前記ポンプの前記吸い込みポートに選択して接続する流路選択装置を有することを特徴とする請求項6記載のミシンの空圧糸通し装置。
前記導管接続機構は、ミシンベッドに取付けされ、一次手動操作によって前記ルーパ糸通しの準備状態となる準備位置を形成し、前記準備位置を保持する操作部と、前記準備位置から二次手動操作に応じて予め定められるルーパ糸通しタイミングで前記ルーパ糸通しのルーパ糸通し状態となるルーパ糸通し位置を形成するルーパ糸通し位置決め部とを有することを特徴とする請求項9記載のミシンの空圧糸通し装置。
針糸通し時に前記針糸吸引導管を前記吸い込みポートに、前記ルーパ糸接続導管を大気口に連通させて切換え、ルーパ糸通し時に前記排出ポートを前記ルーパ糸接続導管に、前記吸い込みポートを大気口に連通させて切換える流路切換装置を備えることを特徴とする請求項9記載のミシンの空圧糸通し装置。
ミシンの針と、前記針と協働し前記針の糸穴に糸通しされている針糸をからげて錠縫縫目形成するループ捕捉装置とを含む縫目形成装置を有し、前記針の糸穴に空圧式に糸通するミシンの空圧糸通し装置において、
前記針の糸穴の糸出口を含む前記針の凸状の半円周面縁部にハーメチックに当接可能で前記針の糸穴から吸気する吸気口孔を含む対応した凹状の半円周面縁部を有するハーメチックリップと、
前記ハーメチックリップの前記吸気口孔に接続される針糸吸引導管と、
針糸通し時に前記ハーメチックリップを前記吸気口孔が前記針の糸穴の糸出口に位置合わせされるように前記針に当接させ、縫目形成時に前記ハーメチックリップを前記針から後退させ待機位置に移動させる位置切換機構と、
前記針糸吸引導管が吸い込みポートに接続され、針糸通し時に前記針の糸穴の糸入口に差入れられる針糸の一端を、前記針の糸穴の糸出口から前記吸気口孔を経由し前記針糸吸引導管を介して前記吸い込みポートに吸気されて前記針の糸穴に針糸通しするポンプとを備え、
前記ループ捕捉装置としてルーパと協働し前記針の糸穴及び前記ルーパのルーパ孔にそれぞれ糸通しされている針糸及びルーパ糸をからげて環縫縫目形成する縫目形成装置を有し、
前記ポンプの排出ポートが接続されるルーパ糸導入入口と、
前記ルーパ糸導入入口に接続され前記ルーパ糸導入入口に差し込まれる前記ルーパ糸の一端が前記排出ポートから圧送される空気によって空気搬送されるルーパ糸案内導管と、
前記ルーパ糸案内導管に入れ子式に嵌合され、ルーパ糸通し時に前記ルーパのルーパ孔入口に当接するルーパ糸接続導管と、
ルーパ糸通し時に前記ルーパ糸接続導管を前記ルーパのルーパ孔入口に当接させ、前記ルーパ糸導入入口に差し込まれるルーパ糸の一端を、前記ルーパ糸導入入口から前記ルーパ糸案内導管を経由し前記ルーパ糸接続導管を介して前記ルーパのルーパ孔にルーパ糸通しを行ない、縫目形成時に前記ルーパ糸接続導管を前記ルーパのルーパ孔入口から離間させる導管接続機構とを備えることを特徴とするミシンの空圧糸通し装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1−6に開示されているような吸気形態で気体搬送を用いる空圧針糸通し装置は、排気形態で気体搬送を用いる空圧針糸通しに比べて、針糸をミシン針の糸穴に針糸通しすることを比較的安定して実行できるという可能性がある。
【0006】
しかしながら、特許文献1−6に開示されているような吸気形態で気体搬送を用いる空圧針糸通し装置において、実際には、針糸通し器の吸気されるべきミシン針の糸穴を取り囲む周辺部が吸気されるべきミシン針の糸穴の周囲と密着して接合されていない。このことから、針糸通し器は、本来吸気されるべきミシン針の糸穴のみならず、針糸通し器の吸気されるべきミシン針の糸穴を取り囲む周辺部及び吸気されるべきミシン針の糸穴の周囲間の密着接合が不完全であるインターフェースからも併せて吸気してしまう。このため、汎用されるミシンモータで駆動されるポンプの吸気量では本来吸気されるべきミシン針の糸穴から針糸を糸通しするに足る吸気パワーを与えることができない。
【0007】
このため、吸気形態で気体搬送を用いる空圧針糸通し装置は、現在において具体的に実施されておらず、市場においてアクセス又は購入できる状況には至っていないという難点がある。
【0008】
したがって、本発明は、これらの難点を解決するためになされたもので、本縫いミシン、縁かがり縫いミシン、二重環縫いミシン、偏平縫いミシン等のミシン針に気体搬送を利用しミシン針の糸穴のみから吸気する吸気形態で針糸を通すためのミシンの空圧針糸通し装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、ミシン針に気体搬送を利用しミシン針の糸穴のみから吸気し、流体抵抗を小さくし、汎用されるポンプモータで駆動されるポンプの吸気量で充分な吸気パワーを与えることができる吸気形態で針糸を通すためのミシンの空圧針糸通し装置を提供することを目的とする。
【0010】
さらに、本発明は、上記のミシン針に気体搬送を利用しミシン針の糸穴のみから吸気する吸気形態で針糸を通すためのミシンの空圧針糸通しとともに、気体搬送を利用しミシンルーパのルーパ孔に排気して排気形態でルーパ糸を通すためのミシンの空圧ルーパ糸通し装置を提供することを目的とする。
【0011】
さらに、本発明は、ミシンモータで駆動される1つのポンプだけで、その吸気及び排気を気体搬送に利用し、ミシン針の糸穴から吸気形態で空圧針糸通しを行ない、ミシンルーパのルーパ孔に排気形態でミシンルーパのルーパ孔に空圧ルーパ糸通しを行なうミシンの空圧糸通し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するため、本発明のミシンの糸通し装置は、ミシンの針と、この針と協働し針の糸穴に糸通しされている針糸をからげて縫目形成するループ捕捉装置とを含む縫目形成装置を有し、針の糸穴に空圧式に糸通しするミシンの空圧糸通し装置において、針の糸穴の糸出口を取囲む針の周辺帯リング状領域にハーメチックに当接可能で針の糸穴の糸出口から吸気する吸気口孔を取囲む対応した周辺帯リング状当て具を有するハーメチックリップと、ハーメチックリップの吸気口孔に接続される針糸吸引導管と、針糸通し時にハーメチックリップを吸気口孔が針の糸穴の糸出口に位置合わせされて針に当接されるように糸通し位置に移動させ、縫目形成時にハーメチックリップを針から後退させ待機位置に移動させる位置切換機構と、針糸吸引導管が吸い込みポートに接続され、針糸通し時に針の糸穴の糸入口に差入れられる針糸の一端を、針の糸穴の糸出口から吸気口孔を経由し針糸吸引導管を介して吸い込みポートに吸気されて針の糸穴に針糸通しするポンプとを備えることを特徴とするミシンの空圧糸通し装置。
【0013】
針は糸穴の上部においてループ捕捉装置の剣先が通過するためのえぐりを有し、針の周辺帯リング状領域はえぐりの中間部を横切る水平方向に延びる上部平坦形帯領域部分と、糸穴の下部を横切る水平方向に延びる下部半円周形帯領域部分と、上部平坦形帯領域部分及び下部半円周形帯領域部分間を接続する垂直方向、かつ円周方向に延びる2つの側部帯領域部分とを有し、これに対応してハーメチックリップの周辺帯リング状当て具は水平方向に延びる上部平坦形帯セグメントと、水平方向に延びる下部半円周形帯セグメントと、上部平坦形帯セグメント及び下部半円周形帯セグメント間を接続する垂直方向、かつ円周方向に延びる2つの側部帯セグメントとを有する。
【0014】
本発明のミシンの糸通し装置において、ハーメチックリップは柔軟性があるゴム、プラスチック、コルクから選ばれた1つの材料で形成されている。
【0015】
本発明のミシンの糸通し装置において、ハーメチックリップは柔軟性を損なわない程度で弾力性があるゴム、プラスチック、コルクから選ばれた1つの材料で形成されている。
【0016】
本発明のミシンの糸通し装置において、針糸吸引導管及びポンプ間に、針糸吸引導管から吸気搬送されてきた針糸が衝突する糸止壁と、糸止壁に衝突した空気の流速がポンプに向かって吸気搬送される流速に比べて低速にして糸止壁に衝突して糸止された針糸がポンプに向かって吸入されるのを防止する空間とを有するセパレータを備えている。
【0017】
本発明のミシンの糸通し装置において、位置切換機構は、一次手動操作によって針糸通しの準備状態となる準備位置を形成し、準備位置を保持する操作部と、操作部と共に移動され、準備位置から二次手動操作に応じて予め定められる針糸通しタイミングで針糸通しの針糸通し状態となる針糸通し位置を形成する針糸通し位置決め部とを有する。
【0018】
本発明のミシンの糸通し装置において、操作部は、手動操作される手動レバーと、手動レバーに連結され、フックによって準備位置を保持する伝達部材とを有し、針糸通し位置決め部は、伝達部材を介して可動され、バネによって弾発され、二次手動操作に応じて予め定められる針糸通しタイミングで針糸通しの針糸通し状態となる針糸通し位置を形成し、ハーメチックリップを取付け、ハーメチックリップを吸気口孔が針の糸穴の糸出口に位置合わせされるように移動して針に当接させる制御部材を有する。
【0019】
本発明のミシンの糸通し装置において、針糸通し位置決め部は、制御ピンと、制御ピンの運動を規制する制御プレートと、制御プレートを貫通し、針と同期駆動されて切欠き部を有するディスクに当接し、二次手動操作に応じて切欠きに嵌合するとき軸方向に変位して制御プレートを揺動し制御部材によってハーメチックリップを吸気口孔が針の糸穴の糸出口に位置合わせされるように移動して針に当接させる位置決めピンとを有する。
【0020】
本発明のミシンの糸通し装置において、針は複数の針で構成され、複数の針を少なくとも2つのグループに分けて、2つのグループのそれぞれの針をポンプの吸い込みポートに選択して接続する流路選択装置を有する。
【0021】
本発明のミシンの糸通し装置において、ループ捕捉装置としてルーパと協働し針の糸穴及びルーパのルーパ孔にそれぞれ糸通しされている針糸及びルーパ糸をからげて縫目形成する縫目形成装置を有し、ポンプの排出ポートが接続されるルーパ糸導入入口と、ルーパ糸導入入口に接続され、このルーパ糸導入入口に差し込まれるルーパ糸の一端が排出ポートから圧送される空気によって空気搬送されるルーパ糸案内導管と、ルーパ糸案内導管に入れ子式に嵌合され、ルーパ糸通し時にルーパのルーパ孔入口に当接するルーパ糸接続導管と、ルーパ糸通し時にルーパ糸接続導管をルーパのルーパ孔入口に当接させ、ルーパ糸導入入口に差し込まれるルーパ糸の一端を、ルーパ糸導入入口からルーパ糸案内導管を経由しルーパ糸接続導管を介してルーパのルーパ孔にルーパ糸通しを行ない、縫目形成時にルーパ糸接続導管をルーパのルーパ孔入口から離間させる導管接続機構とを備えている。
【0022】
本発明のミシンの糸通し装置において、導管接続機構は、ミシンベッドに取付けされ、一次手動操作によってルーパ糸通しの準備状態となる準備位置を形成し、準備位置を保持する操作部と、準備位置から二次手動操作に応じて予め定められるルーパ糸通しタイミングでルーパ糸通しのルーパ糸通し状態となるルーパ糸通し位置を形成するルーパ糸通し位置決め部とを有する。
【0023】
本発明のミシンの糸通し装置において、ルーパ糸通し位置決め部は、ルーパと同期駆動され、切欠き部を有するディスクに当接し、二次手動操作に応じて切欠きに嵌合するとき軸方向に変位して
前記ルーパ糸接続導管を支持している支持プレートを移動しルーパ糸接続導管をルーパのルーパ孔入口に位置合わせし当接させるように移動させる位置決めピンを有する。
【0024】
本発明のミシンの糸通し装置において、針糸吸引導管及びルーパ糸接続導管並びにポンプの吸い込みポート及び排出ポート間には、それぞれ針糸通し時に針糸吸引導管を吸い込みポートに、ルーパ糸接続導管を大気口に連通させて切換え、ルーパ糸通し時に排出ポートをルーパ糸接続導管に、吸い込みポートを大気口に連通させて切換える流路切換装置を備えている。
【0025】
本発明のミシンの糸通し装置において、流路切換装置は、一次手動操作と連動して、吸い込みポート及び排出ポートの一方を針糸吸引導管及びルーパ糸接続導管の一方に、吸い込みポート及び排出ポートの他方を大気口に連通させ、吸い込みポート及び排出ポートの他方を針糸吸引導管及びルーパ糸接続導管の他方に、吸い込みポート及び排出ポートの一方を大気口に連通させて切換える流路切換バルブを有する。
【0026】
本発明のミシンの糸通し装置において、ミシンの針と、この針と協働し針の糸穴に糸通しされている針糸をからげて錠縫縫目形成するループ捕捉装置とを含む縫目形成装置を有し、針の糸穴に空圧式に糸通するミシンの空圧糸通し装置において、針の糸穴の糸出口を含む針の半円周面縁部にハーメチックに当接可能で針の糸穴から吸気する吸気口孔を含む対応した半円周面縁部を有するハーメチックリップと、ハーメチックリップの吸気口孔に接続される針糸吸引導管と、針糸通し時にハーメチックリップを吸気口孔が針の糸穴の糸出口に位置合わせされるように針に当接させ、縫目形成時にハーメチックリップを針から後退させ待機位置に移動させる位置切換機構と、針糸吸引導管が吸い込みポートに接続され、針糸通し時に針の糸穴の糸入口に差入れられる針糸の一端を、針の糸穴の糸出口から吸気口孔を経由し吸引導管を介して吸い込みポートに吸気されて針の糸穴に針糸通しするポンプとを備え、ループ捕捉装置としてルーパと協働し針の糸穴及びルーパのルーパ孔にそれぞれ糸通しされている針糸及びルーパ糸をからげて環縫縫目形成する縫目形成装置を有し、ポンプの排出ポートが接続されるルーパ糸導入入口と、ルーパ糸導入入口に接続されルーパ糸導入入口に差し込まれるルーパ糸の一端が排出ポートから圧送される空気によって空気搬送されるルーパ糸案内導管と、ルーパ糸案内導管に入れ子式に嵌合され、ルーパ糸通し時にルーパのルーパ孔入口に当接するルーパ糸接続導管と、ルーパ糸通し時にルーパ糸接続導管をルーパのルーパ孔入口に当接させ、ルーパ糸導入入口に差し込まれるルーパ糸の一端を、ルーパ糸導入入口からルーパ糸案内導管を経由しルーパ糸接続導管を介してルーパのルーパ孔にルーパ糸通しを行ない、縫目形成時にルーパ糸接続導管をルーパのルーパ孔入口から離間させる導管接続機構とを備えている。
【発明の効果】
【0027】
本発明のミシンの糸通し装置によれば、本縫いミシン、縁かがり縫いミシン、二重環縫いミシン、偏平縫いミシン等のミシン針に気体搬送を利用しミシン針の糸穴のみから吸気する吸気形態で針糸を空圧式に糸通すことができる。
【0028】
また、本発明のミシンの糸通し装置によれば、ミシン針に気体搬送を利用しミシン針の糸穴のみから吸気し、流体抵抗を小さくし、汎用されるミシンモータで駆動されるポンプの吸気量で充分な吸気パワーを与えることができる吸気形態で針糸を空圧式に糸通すことができる。
【0029】
また、本発明のミシンの糸通し装置によれば、ミシン針に気体搬送を利用しミシン針の糸穴のみから吸気する吸気形態で針糸を通すためのミシンの空圧針糸通しとともに、気体搬送を利用しミシンルーパのルーパ孔に排気して排気形態でルーパ糸を空圧式に糸通す実行できる。
【0030】
また、本発明のミシンの糸通し装置によれば、ミシンモータで駆動される1つのポンプだけで、その吸気及び排気を気体搬送に利用し、ミシン針の糸穴から吸気形態で空圧針糸通しを行ない、かつミシンルーパのルーパ孔に排気形態で空圧ルーパ糸通しを行なう実行できる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の針・ルーパ空圧糸通し装置を5本針8本糸二重環(扁平縫)・縁かがり(オーバーロック)ミシンに適用した好ましい実施の形態について図面を参照して詳述する。
【0033】
図1に示すように、二重環(扁平縫)・縁かがり(オーバーロック)ミシンはベッド、ポスト及びアームで構成され、駆動軸としての下軸LS及び上軸USがそれぞれ並行して水平方向に延在している。下軸LSはミシンモータM1によって回転駆動される。上軸USは下軸プーリLP、タイミングベルトTV、上軸プーリUPにより下軸LSと同期して回転駆動される。下軸LS及び上軸USの回転比は1:1である。下軸LSにはミシンモータM1停止時に手動回転操作可能のハンドプーリHPが連結される。
【0034】
図1、
図2及び
図4(a)−
図4(d)に示すように、アームのヘッド及びベットには、縁かがり針1(1a、1b)の糸穴1c、1d、二重環針1(1e、1f、1g)の糸穴1h、1i、1j及び当該針と協働するループ捕捉装置としてのルーパ2(2a、2b、2c)のルーパ孔2d、2e、2fにそれぞれ糸通しされている針糸3a、3b、3c、3d、3e及びルーパ糸3f、3g、3hを相互にからげて縫目形成する縫目形成装置4が設けられている。
【0035】
縫目形成装置4は、針棒10及び押え棒11を有する針棒・押え棒ユニット台12aを有し、針棒10は上軸USから針棒駆動機構12cによって上昇下降可能に駆動される。縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)は針留12bによって針棒10に固定される。また、縫目形成装置4は、縫製時に縫製されるべき布WPを針板13と、押え棒11によって押圧される押え金14との間に挟持して1目ごとに歩進させる送り機構15を含む。送り機構15はルーパ2(2a、2b、2c)のルーパ駆動機構とともに下軸LSによって駆動される。
【0036】
このような縫目形成装置4を備える5本針8本糸二重環(扁平縫)・縁かがり(オーバーロック)ミシンによれば、針板13を貫通して上下運動する縁かがり針1(1a、1b)の糸穴1c、1dに挿通される針糸3a、3bと、針板13の下側で縁かがり針1(1a、1b)の軌跡と交叉するように円弧状の軌跡を描いて往復運動する下ルーパ2aのルーパ孔2dに挿通される下ルーパ糸3fと、針板13の側方で下ルーパ2aの軌跡と交叉するとともに針板13の上側で縁かがり針1(1a、1b)の軌跡と交叉するように楕円弧状の軌跡を描いて往復運動する上ルーパ2bのルーパ孔2eに挿通される上ルーパ糸3gとを交叉して縫製されるべき布WPに縁かがり縫い(オーバーロック縫い)の縫目形成を行なうとともに、二重環針1(1e、1f、1g)の糸穴1h、1i、1jに挿通される針糸3c、3d、3eと、二重環針1(1e、1f、1g)の軌跡と交叉するように楕円弧状の軌跡を描いて往復運動する二重環ルーパ2cのルーパ孔2fに挿通される二重環ルーパ糸3hとを交叉して縫製されるべき布WPに二重環(扁平縫)の縫目形成を行なう。
【0037】
なお、上述の縫目形成装置4の具体的構造及び動作は公知又は周知であるので、その詳細は説明を省略する。
【0038】
図1、
図2及び
図4(a)−
図4(d)に示すように、二重環(扁平縫)・縁かがり(オーバーロック)ミシンは、縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)と、これらの針と協働し針の糸穴1c、1d、1h、1i、1jに糸通しされている針糸3a、3b、3c、3d、3eとルーパ糸3f、3g、3hをからげて縫目形成するループ捕捉装置であるルーパ2(2a、2b、2c)とを含む縫目形成装置4を備えている。
【0039】
図1、
図4(a)−
図4(d)及び
図5(a)−
図5(d)に示すように、本発明の特長によれば、二重環(扁平縫)・縁かがり(オーバーロック)ミシンは、針の糸穴1c、1d、1h、1i、1jに空圧式に糸通しする空圧糸通し装置20を備えている。
【0040】
空圧糸通し装置20は、縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)の各糸穴1c、1d、1h、1i、1jの糸出口5(5a、5b、5c、5d、5e)を取囲む針の周辺帯リング状領域22にハーメチックに当接可能で縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)の糸穴1c、1d、1h、1i、1jの糸出口5(5a、5b、5c、5d、5e)から吸気する吸気口孔6(6a、6b、6c、6d、6e)を取囲む対応した周辺帯リング状当て具24を有するハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)を備えている。
【0041】
縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)の針幹STはそれぞれ各糸穴1c、1d、1h、1i、1jの上部においてループ捕捉装置であるルーパ2(2a、2b、2c)の剣先が通過するためのえぐり1k(
図4(a)、
図4(d))を有する。そして、縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)の針の周辺帯リング状領域22は、
図4(a)、
図4(d)、
図5(a)−
図5(c)に示すように、えぐり1kの略中間部を横切る水平方向に延びる上部平坦形帯領域部分9aと、針幹STにおいて各糸穴1c、1d、1h、1i、1jの下部を横切る水平方向に延びる下部半円周形帯領域部分9bと、上部平坦形帯領域部分9a及び下部半円周形帯領域部分9b間を接続する垂直方向、かつ円周方向に延びる2つの側部帯領域部分9c及び9dとを有する。
【0042】
これに対応して、ハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)の周辺帯リング状当て具24は、
図4(c)、
図4(d)、
図5(a)−
図5(d)に示すように、水平方向に延びる上部平坦形帯セグメント9eと、水平方向に延びる下部半円周形帯セグメント9fと、上部平坦形帯セグメント9e及び下部半円周形帯セグメント9f間を接続する垂直方向、かつ円周方向に延びる2つの側部帯セグメント9g及び9hとを有する。
【0043】
ハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)が縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)に当接するとき、周辺帯リング状領域22及び周辺帯リング状当て具24の上部において、周辺帯リング状領域22の上部凸状半円周縁部セグメント9aは水平方向に延びる上部平坦形帯セグメント9eに、周辺帯リング状領域22及び周辺帯リング状当て具24の下部において、周辺帯リング状領域22の下部凸状半円周縁部セグメント9bは周辺帯リング状当て具24の下部半円周形帯セグメント9fに、周辺帯リング状領域22及び周辺帯リング状当て具24の両側部において、周辺帯リング状領域22の2つの側部帯領域部分9c及び9dは周辺帯リング状当て具24の2つの側部帯セグメント9g及び9hにそれぞれ密接する。よって、ハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)が縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)に当接するとき、縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)の周辺帯リング状領域22はハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)の周辺帯リング状当て具24に密接する。したがって、空圧で針糸通しするにあたりミシン針の糸穴からのみ吸気することができるので、針糸を確実に安定して糸通しすることができる。
【0044】
ハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)の各々には、縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)がハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)に容易に挿入できるのを補助する拡開した翼9j、9kが末広がり状で外方に突出している。
【0045】
図1、
図3、
図11、
図13に示すように、空圧糸通し装置20において、ハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)の吸気口孔6(6a、6b、6c、6d、6e)は個別の針糸吸引導管40a−40e及びグループ化された針糸吸引導管41a−41bを介して後述のポンプPUに接続される。
【0046】
図6−
図8に示すように、空圧糸通し装置20は、針糸通し時にハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)をその吸気口孔6(6a、6b、6c、6d、6e)が縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)の各々の各糸穴1c、1d、1h、1i、1jの各糸出口5(5a、5b、5c、5d、5e)に位置合わせされるように縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)に当接させて糸通し位置に移動し、縫目形成時にハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)を針縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)から後退させ待機位置に移動させる位置切換機構26を備えている。
【0047】
空圧糸通し装置20は、個別の針糸吸引導管40a−40e及びグループ化された針糸吸引導管41a−41bを介して吸い込みポート28aに接続され、針糸通し時に針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)の各糸穴1c、1d、1h、1i、1jの各糸入口5fに差入れられる針糸3a、3b、3c、3d、3eの一端を、針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)の糸穴の各糸出口5から吸気口孔6(6a、6b、6c、6d、6e)を経由し個別の針糸吸引導管40a−40e及びグループ化された針糸吸引導管41a−41bを介して吸い込みポート28aに吸気されて針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)の糸穴1c、1d、1h、1i、1jに針糸通しするポンプPUを備えている。
【0048】
図6〜
図8に示すように、本発明のミシンの糸通し装置20において、位置切換機構26は、ミシンヘッドに取付けされ、一次手動操作によって針糸通しの準備状態となる準備位置を形成し、準備位置を保持する操作部30と、操作部30と共に移動され、準備位置から駆動軸である下軸LSに固定されたハンドプーリHP(
図1、
図2)の手動回動操作、即ち二次手動操作に応じて予め定められる針糸通しタイミングで針糸通しの針糸通し状態となる針糸通し位置を形成する針糸通し位置決め部32とを有する。
【0049】
本発明のミシンの糸通し装置20において、操作部30は、手動操作される手動レバー69と、手動レバー69に連結され、針糸通し位置決め部32のストッパー80及びフック部74dによって準備位置を保持する伝達部38とを有する。針糸通し位置決め部32は、伝達部38を介して可動され、リップ駆動バネ86によって弾発され、ハンドプーリHPの二次手動操作に応じて予め定められる針糸通しタイミングで針糸通しの針糸通し状態となる針糸通し位置を形成し、取付けられたハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)を吸気口孔6(6a、6b、6c、6d、6e)が針の糸穴1c、1d、1h、1i、1jの糸出口5(5a、5b、5c、5d、5e)に位置合わせされるように移動して針に当接させる制御部90を有する。
【0050】
本発明のミシンの糸通し装置において、針糸通し位置決め部32は、制御ピン45と、制御ピン45の運動を規制する制御プレート50を貫通し、針と同期駆動されて切欠き部42bを有するディスク42に当接し、ハンドプーリHPの手動回動操作、即ち二次手動操作に応じて切欠き42bに嵌合するとき軸方向に変位して制御プレート50を揺動し制御部90によってハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)を吸気口孔6(6a、6b、6c、6d、6e)が針縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)の糸穴1c、1d、1h、1i、1jの糸出口5(5a、5b、5c、5d、5e)に位置合わせされるように移動して針に当接させる位置決めピン99とを有する。
【0051】
このように構成されたミシンの糸通し装置20の構造について更に詳しく説明すると、
図6−
図8に示すように、ミシンの糸通し装置20の位置切換機構26において、ミシンアームヘッドの針棒・押え棒ユニット台12aにネジ79a、79b及びパイプ79cによって固定された糸通しセットレバー板71の糸通しセットレバー軸取付穴71bには糸通しセットレバー軸72が装着され、伝達部38は、糸通しセットレバー軸摺動穴74b糸通しセットレバー軸72が装着され、摺動する。一次手動操作をするための手動操作レバー69が長溝69cから糸通しセットレバー腕蓋75を介して糸通しセットレバー板71のスリット71jを経由し止ネジ76で伝達部38の取付け部74cに取付けられる。手動操作レバー69は、手動レバー摺動面71cを摺動する。常態では伝達部38と制御部90は、リップ駆動バネ86の一方がバネ取付腕74aにスペーサ87及びネジ88で取り付けられ、他方がスペーサ89a及びネジ89bにより当て部74eと当て部90bで連結されている。
【0052】
糸通しセットレバー板71にはストッパー80がストッパー軸82、座金85、止ネジ84によってストッパーバネ83で時計方向に弾発されて設けられている。ストッパー80にはストッパー解除軸81が糸通しセットレバー板71のストッパー解除軸逃げ穴71dから露出して設けられている。手動操作レバー69にはストッパー解除軸81が摺動する下傾斜カム69a、上傾斜カム69b及び両カムを繋ぐ直線カム69eが設けられている。常態ではストッパー80はストッパーバネ83で時計方向に弾発されてストッパー解除軸81は手動操作レバー69における下傾斜カム69aの下方に位置している。一次手動操作としての手動操作レバー69は伝達部38とともに糸通しセットレバー軸72を摺動して下降操作されると、ストッパー解除軸81は下傾斜カム69aから直線カム69eを摺動しストッパー80を反時計方向に回動し、さらに上傾斜カム69bを摺動してストッパー80を時計方向に回動し伝達部38のフック部74dがストッパー80のフック部80aに係止される。この状態がハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)における上記の準備位置である。
【0053】
リップ駆動バネ86は、伝達部38の取り付け穴74c、ネジ88のスペーサ87と、制御部90の取り付け穴90f、ネジ86a、スペーサ86bとの間に懸架されている。リップ駆動腕100は、揺動穴100aを貫通し取付穴90dに固定されるピン98により制御部90に枢着され、制御部90のリップ駆動案内軸取付穴90aには、リップ案内板取付面71aに装着されているリップ案内板91のリップ駆動案内軸取付穴91f、91gに装着されたリップ駆動案内軸93が軸支されている。リップ駆動腕100はピン穴100bに枢着される位置決めピン99によりリップ案内板91のカム91aに摺動自在に嵌合されている。リップ駆動腕100が位置決めピン99により摺動するカム91aに続く変形カム91bは、リップ駆動腕100を縫目形成装置4の押え棒11の横方向左側に隣接して配置しなければならないことに因り、一次手動操作として手動操作レバー69を下降したときリップ駆動腕100を横方向右側に移動して、針糸通し時にハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)をその吸気口孔6(6a、6b、6c、6d、6e)が縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)の各々の各糸穴1c、1d、1h、1i、1jの各糸出口5(5a、5b、5c、5d、5e)に位置合わせされるようにしている。一方、リップ駆動腕100はリップ案内腕103、リップホルダー軸117、リップホルダー110を介してハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)に接続されている。
【0054】
一方、糸通しセットレバー腕蓋75に受け止ネジ78で回動自在に支持された受け77が針糸通し位置決め部32における傾斜カム作動腕板52の糸通しレバー連結溝52bに嵌合されている。なお、受け止ネジ78の先端は手動操作レバー69の長溝69dに嵌まり込んでその逃げとなっている。傾斜カム作動腕板52は、糸通しセットレバー板71のバネ掛け71eと、傾斜カム作動腕板52の取り付け穴52c、ネジ89a、スペーサ89bとに掛けられたリップ戻しバネ89で上方に弾発され、手動操作レバー69の下降操作により時計方向に回動する。傾斜カム作動腕板52には、吸排気解放軸ピン54を有する水平方向に延びる流路切換装置150の流路切換バルブ53(
図8、
図12(a)、
図12(b)、
図13)が傾斜カム体55の吸排気解放軸結合穴55b及びカム体取り付け穴52aを通ってネジ56で固定されている。
【0055】
制御部90に設けられたリップ駆動ピン96は、針糸通し位置決め部32における制御プレート50のリップ駆動ピン連結溝50bに嵌合している。流路切換バルブ53は流路制御本体44のバルブ貫通穴44b、制御プレート50のバルブ貫通穴50a、針糸通し取付板41を通って流路制御本体60の吸排気解放軸貫通穴60aに接続される。
【0056】
準備位置大径部45b、糸通し位置小径部45cを有する上記の制御ピン45は、一方で、カムホロワ接続軸46の先端が作動バネ47を介して傾斜カム体55の傾斜カム55aに、他方でピン端部45aが流路制御本体44の制御ピン貫通穴44a、制御プレート50のピン嵌入大径孔50c、バネ49、針糸通し取付板41、流路制御本体60の制御ピン貫通穴60bを介して、切欠き部42bを有し駆動軸としての下軸LSで同期回転するディスク42の端面42aに当接している。なお、作動バネ47は制御ピン45の収納穴45eと長穴45dに嵌入されたピン48で抜止めされたカムホロワ接続軸46の一端との間に介装されている。
【0057】
図1、
図11、
図13に示すように、ポンプPUは、図示の実施例においてレシプロ型式であって、ポンプモータM2によって駆動され、吸い込みポート28a及び吸い込み弁135a並びに排出ポート28b及び排出弁135bを有する。ポンプモータM2は、ベルトV、プーリPPを介して偏芯カム135cを回転し、この回転運動が駆動ロット135d、揺動リンク135eを介して変換される往復線形運動でポンプPUのピストン135fを往復駆動する。ポンプPUは、ロータリー型式であってもよい。
【0058】
ミシンの糸通し装置20において、ハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)は柔軟性があるゴム、プラスチック、コルクから選ばれた1つの材料で形成されている。また、ミシンの糸通し装置において、ハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)は柔軟性が有る、又は柔軟性を損なわない程度で弾力性があるゴム、プラスチック、コルクから選ばれた1つの材料で形成されている。一般に、糸の性質、太さ及び/又は布の性質、厚さに応じて異なる太さの針に交換する事態が来すことがある。一方、ループ捕捉装置としてルーパ2が通過する針のえぐり1kの外側面とその針の中心との距離t(
図5b)は一定にされると規定されている。よって、ハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)は柔軟性があるゴム、プラスチック、コルクから選ばれた1つの材料又は当該柔軟性を損なわない程度で弾力性があるゴム、プラスチック、コルクから選ばれた1つの材料で形成されているので、異なる太さの針に交換したとき縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)の周辺帯リング状領域22とハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)の周辺帯リング状当て具24との密着性は確保できる。
【0059】
図9(a)−
図9(b)及び
図13に示すように、上述のリップホルダー110にはセパレータ本体115が挿入され、ネジ115aで取付けられている。本発明のミシンの糸通し装置20において、針糸吸引導管40a-40e及びポンプPU間に、針糸吸引導管40a-40eから吸気搬送されてきた針糸3a(3b、3c、3d、3e)が衝突する糸止壁116と、糸止壁116に衝突した空気の流速がポンプPUに向かって吸気搬送される流速に比べて低速にして糸止壁116に衝突して糸止された針糸3a(3b、3c、3d、3e)がポンプPUに向かって吸入されるのを防止する空間115gとを有するセパレータ120を備えている。
【0060】
即ち、セパレータ本体115において空間115hは流路115i、115jに連通しており、ポンプPUの吸い込みポート28aに接続される。吸気搬送されてきた慣性力の大きい針糸3a(3b、3c、3d、3e)は糸止壁116に衝突した空気の流速がポンプPUに向かって吸気搬送される流速に比べて低速になり、言い換えれば分離空間115gの糸止壁116に衝突して糸止されて取り残され、ここで針糸と空気が分離される。一方、空間115hにおいて慣性力の小さい空気はポンプPUにつながる流路に向かって急旋回し、空間115hは吸引した空気の流路となって流路115i、115jから針糸吸引導管41a(41b)によってポンプPUで吸引される。
【0061】
ハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)は縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)毎に1個づつ設けられているように、セパレータ120も縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)毎に1個づつ設けられている。
【0062】
図8、
図10(a)−
図10(b)及び
図13に示すように、本発明のミシンの糸通し装置20において、針は複数の縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)で構成され、ポンプPUを小型、小容量化するために、これらの複数の針を少なくとも2つのグループ、言い換えれば縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)に分けて、2つのグループのそれぞれの縁かがり針1(1a、1b)又は二重環針1(1e、1f、1g)をポンプPUの吸い込みポート28aに選択して接続する流路選択装置33を有する。
【0063】
即ち、流路選択装置33の流路制御本体44には垂直方向に延びて吸気出口穴64aを有する流路選択パイプ64が内蔵され、それらの中間部には縁かがり針用吸気入口穴64b及び二重環針用吸気入口穴64cを備え、それらの角度は90°位相がずれている。これに対応して流路制御本体44は吸気出口穴43a、縁かがり針用吸気入口穴43b及び二重環針用吸気入口穴43cを有する。吸気出口穴43aはポンプPUに接続されている。縁かがり針用吸気入口穴64b及び二重環針用吸気入口穴64cは、それぞれ、縁かがり針用吸気入口穴43b及び二重環針用吸気入口穴43cに接続される。流路選択装置33は、縁かがり針用吸気入口穴64b及び縁かがり針用吸気入口穴43b、二重環針用吸気入口穴64c及び二重環針用吸気入口穴43cの何れか一方に流路選択するための流路選択レバー132が2つのストッパー131b間で流路選択レバー台131の枢軸131aに枢支され、流路選択レバー132の流路選択腕132aから流路選択リンク61で流路選択パイプ64の流路選択腕65に接続され、流路選択レバー132の流路選択腕132aによる揺動運動をリンク61を介して流路選択腕65による揺動運動に、そして流路選択パイプ64の回転運動に変えて流路選択する。
【0064】
また、上述したように本発明のミシンの糸通し装置20において、当該ミシンはループ捕捉装置としてルーパ2(2a、2b、2c)と協働し針の糸穴1c、1d、1h、1i、1j及びルーパのルーパ孔2d、2e、2fにそれぞれ糸通しされている針糸3a、3b、3c、3d、3e及びルーパ糸3f、3g、3hをからげて縫目形成する縫目形成装置4を有している。
【0065】
図1−
図2及び
図11、
図13に示すように、ミシンの糸通し装置20は、ポンプの排出ポート28bが接続されるルーパ糸導入入口35と、ルーパ糸導入入口に接続されルーパ糸導入入口35に差し込まれるルーパ糸3f、3g、3hの一端が排出ポート28bから圧送される空気によって空気搬送されるルーパ糸案内導管37と、ルーパ糸案内導管37に入れ子式に嵌合され、ルーパ糸通し時にルーパ2(2a、2b、2c)のルーパ孔入口2g、2h、2i当接するルーパ糸接続導管39と、ルーパ糸通し時にルーパ糸接続導管39をルーパのルーパ孔入口2g、2h、2iに当接させ、ルーパ糸導入入口35に差し込まれるルーパ糸3f、3g、3hの一端を、ルーパ糸導入入口35からルーパ糸案内導管37を経由しルーパ糸接続導管39を介してルーパのルーパ孔2d、2e、2fにルーパ糸通しを行ない、縫目形成時にルーパ糸接続導管39をルーパのルーパ孔入口2g、2h、2iから離間させる導管接続機構140とを備えている。この機構自体はJP4741701B=US8925472Bに開示されている。
【0066】
本発明のミシンの糸通し装置において、導管接続機構140は、ミシンベッドに取付けされ、ルーパ糸通しレバー136の手動操作、即ち一次手動操作によってルーパ糸通しの準備状態となる準備位置を形成し、準備位置を保持する操作部141と、準備位置からハンドプーリHPの手動回動操作、即ち二次手動操作に応じて予め定められるルーパ糸通しタイミングでルーパ糸通しのルーパ糸通し状態となるルーパ糸通し位置を形成するルーパ糸通し位置決め部142とを有する。
【0067】
本発明のミシンの糸通し装置において、ルーパ糸通し位置決め部142は位置決めピン147を有する。位置決めピン147は、ルーパと同期駆動され、切欠き部144を有するディスク143に当接し、ハンドプーリHPの手動回動操作、即ち二次手動操作に応じて切欠きに嵌合するとき軸方向に変位し、導管接続機構140におけるルーパ糸接続導管39の支持プレート145をバネ146によってルーパ糸接続導管39をルーパのルーパ孔入口2g、2h、2iに位置合わせし当接させるように移動させる。
【0068】
図2、
図8、
図12(a)、
図12(b)及び
図13に示すように、本発明のミシンの糸通し装置20において、針糸吸引流路44d及びルーパ糸接続導管39並びにポンプの吸い込みポート28a及び排出ポート28b間には、それぞれ針糸通し時に針糸吸引流路44dを吸い込みポート28aに、ルーパ糸接続導管39を大気口60dに連通させて切換え、ルーパ糸通し時に排出ポート28bをルーパ糸接続導管39に、吸い込みポート28aを大気口44cに連通させて切換える流路切換装置150を備えている。
【0069】
本発明のミシンの糸通し装置20において、流路切換装置150は、手動レバー69の操作、即ち一次手動操作と連動し、流路切換バルブ53において、一体とされている流路制御本体44、60は大気口(吸気解放穴)44c及び吸気解放穴60cを有している。軸案内パイプ60gには流路切換バルブ53が吸排気解放軸貫通穴60aから嵌入され、大気口(吸気解放穴)44c及び吸気解放穴60cが同位置に配置される。流路切換バルブ53には吸排気解放穴53a、53bを有し、その回転に応じて大気口44c、60dに接続される。吸排気解放穴53a、53bは軸線方向に隔置され、かつ回転方向に90°ずれて配置されており、位置切換機構26の手動操作レバー69の下降操作によって傾斜カム体55が回動し、したがって流路切換バルブ53の90°回転に応じて流路制御本体44の大気口44c、60dにそれぞれ連通する。
【0070】
図2に示すように、本発明のミシンの糸通し装置20は、制御装置(CPU)によって制御される。即ち、制御装置(CPU)には、針糸通し釦133、ルーパ糸通し釦152、フートコントローラ153、電源スイッチ154が接続される。ミシンモータM1及びポンプモータM2は制御装置(CPU)によって駆動制御される。
【0071】
以上の実施例において、縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)とループ捕捉装置としてのルーパ2(2a、2b、2c)を使用するミシンについて説明したが、本発明は針とループ捕捉装置としての釜を使用するミシンについても同様に適用可能である。
【0072】
このように構成された本発明のミシンの糸通し装置20において、その操作及び動作は以下のとおり実行される。
【0073】
今、本発明におけるミシンがミシンモータM1によって作動されていないとき、更にハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)が上記の退避位置にあるとき、ミシンの糸通し装置20の位置切換機構26において、操作部30の一次手動操作として手動操作レバー69は伝達部38とともに糸通しセットレバー軸72を摺動して下降操作されると、ストッパー解除軸81は下傾斜カム69aから直線カム69eを摺動しストッパー80を反時計方向に回動し、さらに上傾斜カム69bを摺動してストッパー80を時計方向に回動し伝達部38のフック部74dがストッパー80のフック部80aに係止される(
図6)。この状態がハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)の準備位置である。
【0074】
同時に、手動操作レバー69の下降操作によって、糸通しセットレバー腕蓋75に受け止ネジ78で回動自在に支持された受け77は針糸通し位置決め部32における傾斜カム作動腕板52の糸通しレバー連結溝52bを時計方向に回動する(
図8)。このため、傾斜カム体55が回動するので、流路切換バルブ53も90°回転する。その結果、流路切換装置150の流路切換バルブ53によって針糸吸引流路44dを吸い込みポート28aに、ルーパ糸接続導管39を大気口60dに連通させて切換えて、縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)針糸通し可能状態とする(
図8、
図12(b))。言い換えれば、手動操作レバー69の下降操作によって針糸通しがルーパ糸通しに比して優先する。ルーパ糸通しの操作及び動作については後述する。
【0075】
また、手動操作レバー69が下降操作されると、制御部90のリップ駆動ピン96が制御プレート50のリップ駆動ピン連結溝50bで制御プレート50を時計方向に回動するとともに上述の傾斜カム体55が回動して制御ピン45は一端が作動バネ47とカムホロワ接続軸46を介して傾斜カム体55に当接し、他端が流路制御本体44の制御ピン貫通穴44a、制御プレート50の大径孔50c、バネ49、針糸通し取付板41、流路制御本体60の制御ピン貫通穴60bを介してディスク42に当接する(
図7、
図8)。
【0076】
ここで、駆動軸である下軸DSに固定されたハンドプーリHPの手動回動操作、即ち二次手動操作を行なうと、制御ピン45は切欠き部42bに嵌合して軸線方向にシフトし、糸通し位置小径部45cがピン小径嵌入孔50dに嵌入するので、制御プレート50は時計方向に揺動する。したがって、制御部90が下降するので、これにリップ駆動腕100、リップ案内腕103、リップホルダー軸117、リップホルダー110を介して接続されたハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)はリップ案内板91のカム91a及び変形カム91bに沿って下降される。このようにして、針糸通し位置決め部32において、ハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)は糸通し位置に移行されて縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)に当接する。
【0077】
実際の糸通しの前に、ポンプPUを小型、小容量化するために使用される流路選択装置33の流路選択レバー132を操作して何れかのグループを選択する。
図10aに示す流路選択レバー132を右に揺動すれば、リンク61で流路選択パイプ64に接続され、流路選択レバー132の揺動運動をリンク61の線運動に、そして流路選択パイプ64の回転運動に変えて、縁かがり針用吸気入口穴64bが縁かがり針用吸気入口穴43bに接続されて縁かがり針1(1a、1b)の流路が選択される(
図10(b))。流路選択レバー132を左に揺動すれば、二重環針用吸気入口穴64cが二重環針用吸気入口穴43cに接続されて二重環針1(1e、1f、1g)の流路が選択される。
【0078】
このようなハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)の縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)への当接、流路切換、流路選択が完了した後、電源スィッチ154を投入し、針糸通し釦133を押圧すれば、制御装置(CPU)は、ポンプモータM2で糸通しポンプPUを駆動するので、オペレータは縁かがり針1(1a、1b)又は二重環針1(1e、1f、1g)の糸穴1c、1d、1h、1i、1jにおける糸入口5fに針糸3a(3b、3c、3d、3e)の一端を近づける。ハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)が縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)に当接すると、周辺帯リング状領域22及び周辺帯リング状当て具24の上部において、周辺帯リング状領域22の上部凸状半円周縁部セグメント9aは水平方向に延びる上部平坦形帯セグメント9eに、周辺帯リング状領域22及び周辺帯リング状当て具24の下部において、周辺帯リング状領域22の下部凸状半円周縁部セグメント9bは周辺帯リング状当て具24の下部半円周形帯セグメント9fに、周辺帯リング状領域22及び周辺帯リング状当て具24の両側部において、周辺帯リング状領域22の2つの側部帯領域部分9c及び9dは周辺帯リング状当て具24の2つの側部帯セグメント9g及び9hにそれぞれ密接する。よって、ハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)が縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)に当接するとき、縁かがり針1(1a、1b)及び二重環針1(1e、1f、1g)の周辺帯リング状領域22はハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)の周辺帯リング状当て具24に密接する。したがって、空圧で針糸通しするにあたりミシン針の糸穴からのみ吸気することができるので、針糸を確実に安定して糸通しすることができる。
【0079】
この場合、針糸吸引導管40a-40e及びポンプPU間に設けられた糸通し装置20におけるセパレータ120の糸止壁116に針糸吸引導管40a-40eから吸気搬送されてきた針糸3a(3b、3c、3d、3e)が衝突し、空間115gにおいて、糸止壁116に衝突した空気の流速がポンプPUに向かって吸気搬送される流速に比べて低速にして糸止壁116に衝突して糸止された針糸3a(3b、3c、3d、3e)がポンプPUに向かって吸入されるのを防止する。吸気搬送されてきた慣性力の大きい針糸3a(3b、3c、3d、3e)は糸止壁116に衝突した空気の流速がポンプPUに向かって吸気搬送される流速に比べて低速になり、言い換えれば分離空間115gの糸止壁116に衝突して糸止されて取り残され、ここで針糸と空気が分離される。一方、空間115hにおいて慣性力の小さい空気はポンプPUにつながる流路に向かって急旋回し、空間115hは吸引した空気の流路となって流路115i、115j及び針糸吸引流路44dを経由しポンプPUによってその吸い込みポート28aから吸引される。
【0080】
逆に、操作部30の手動操作レバー69の上昇操作によって、ハーメチックリップ7(7a、7b、7c、7d、7e)は待機位置に復帰する。即ち、糸通しセットレバー腕蓋75に受け止ネジ78で回動自在に支持された受け77は針糸通し位置決め部32における傾斜カム作動腕板52の糸通しレバー連結溝52bを反時計方向に回動する。このため、傾斜カム体55が回動するので、流路切換バルブ53も90°回転する。その結果、流路切換装置150の流路切換バルブ53によってルーパ糸通し時に排出ポート28bをルーパ糸接続導管39に、吸い込みポート28aを大気口44cに連通させて切換えて、ルーパ2(2a、2b、2c)のルーパ糸通し可能状態とする(
図8、
図12(a))。
【0081】
この場合、ルーパ糸通し位置決め部142の操作部141で一次手動操作をすれば導管接続機構140のルーパ糸案内導管37がルーパ糸接続導管39に入れ子式に接続されている状態で、位置決めピン147がディスク143に当接して、ルーパ糸通しの準備状態となる準備位置を形成し、保持する。次に、ルーパ糸通し位置決め部142において、ハンドプーリHPの手動回動操作、即ち二次手動操作をすれば導管接続機構140によって位置決めピン147が切欠き部144に嵌合すると軸方向に変位してプレート145を摺動させてルーパ糸接続導管39をルーパ2(2a、2b、2c)のルーパ孔入口2g、2h、2iに位置合わせて当接させるよう準備位置から予め定められるルーパ糸通しタイミングでルーパ糸通しのルーパ糸通し状態となるルーパ糸通し位置を形成し、ルーパ糸接続導管39はルーパ孔入口2g、2h、2iに当接され、ルーパ孔2d、2e、2fがルーパ糸導入入口35に接合される。
【0082】
ここで、ルーパ糸通しスタート釦152を押圧すれば、制御装置(CPU)は、ポンプモータM2で糸通しポンプPUを駆動するので、オペレータは、ルーパ糸導入機構161のルーパ糸導入入口35にルーパ糸3f、3g、3hの一端を差し込むと、そのルーパ糸は導管接続機構140のルーパ糸接続導管39からルーパ糸案内導管37を介してルーパ孔2d、2e、2fに空気搬送される。このようにしてルーパ2(2a、2b、2c)はポンプPUの排出ポート28bから圧送される空気によってルーパ糸導入入口35からルーパ孔2d、2e、2fにルーパ糸通しを行なわれる。
【0083】
そして、上記操作部141の一次手動操作の逆操作をすれば、縫目形成時にルーパ糸接続導管39をルーパ2(2a、2b、2c)のルーパ孔入口2g、2h、2iから離間させる縫目形成状態に復帰する。
【0084】
このようなルーパ糸通しが完了した後、フートコントローラ153の踏み込むことで、制御装置(CPU)はミシンモータM1で上下軸US、LSから針棒駆動機構12c、送り機構15、ルーパ駆動機構160を駆動するので、針板13を貫通して上下運動する縁かがり針1(1a、1b)の糸穴1c、1dに挿通される針糸3a、3bと、針板13の下側で縁かがり針1(1a、1b)の軌跡と交叉するように円弧状の軌跡を描いて往復運動する下ルーパ2aのルーパ孔2dに挿通される下ルーパ糸3fと、針板13の側方で下ルーパ2aの軌跡と交叉するとともに針板13の上側で縁かがり針1(1a、1b)の軌跡と交叉するように楕円弧状の軌跡を描いて往復運動する上ルーパ2bのルーパ孔2eに挿通される上ルーパ糸3gとを交叉して縫製されるべき布WPに縁かがり縫い(オーバーロック縫い)の縫目形成を行なうとともに、二重環針1(1e、1f、1g)の糸穴1h、1i、1jに挿通される針糸3c、3d、3eと、二重環針1(1e、1f、1g)の軌跡と交叉するように楕円弧状の軌跡を描いて往復運動する二重環ルーパ2cのルーパ孔2fに挿通される二重環ルーパ糸3hとを交叉して縫製されるべき布WPに二重環(扁平縫)縫いの縫目形成を行なう。