(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
果菜搬送体の果菜キャリアに果菜を一個ずつ載せて搬送し、搬送中に個々の果菜を計測して等階級判別し、判別した果菜を判別結果に応じて搬送方向側方のプールコンベアに送り出して等階級別に仕分けする果菜自動選別方法において、
果菜搬送体は、無端走行体に多数の果菜キャリアが取り付けられたものであり、上下に間隔をあけて二段以上配置されており、
果菜キャリアは、前記無端走行体の走行方向に対して斜め後方に回転可能なベルトを備えたベルトコンベア式であり、
プールコンベアは、ベルトが回転するベルトコンベア式であり、前記二段以上の果菜搬送体の各段の搬送方向側方に上下に間隔をあけて二段以上配置されており、各段のプールコンベアは各段の果菜搬送体と同じ又は略同じ高さに配置されており、
前記二段以上の果菜搬送体の夫々の段の果菜キャリアに果菜を一個ずつ載せて搬送し、各段の果菜搬送体で搬送中の果菜を個別に計測し、計測データに基づいて個々の果菜の等階級を判別し、判別後に各段の果菜搬送体の果菜キャリアのベルトが前記斜め後方に回転して、当該ベルトの上の果菜を搬送方向への慣性を低減させながら、当該果菜搬送体と同じ又は略同じ高さの各段のプールコンベアに水平又は略水平に送り出し、
各段のプールコンベアは、果菜キャリアから果菜が送り出されるたびに間欠回転して果菜を引き継いで二以上の果菜をプールし、夫々の段のプールコンベアの上にプールされた果菜を取り出す、
ことを特徴とする果菜自動選別方法。
ベルトコンベア式の果菜キャリアが無端走行体に多数取り付けられた果菜搬送体と、果菜キャリアの上に載せて搬送中の果菜の大きさ、形状等を計測する計測器と、当該計測器で計測したデータに基づいて個々の果菜の等階級を判別し、果菜キャリアから等階級別に送り出される(仕分けされる)個々の果菜を引き継いで搬送するベルトコンベア式のプールコンベアを備えた果菜自動選別装置において、
前記果菜搬送体が上下に間隔をあけて二段以上配置され、二段以上の果菜搬送体は水平又は略水平に配置され、
果菜キャリアは、前記無端走行体の走行方向に対して斜め後方に回転できるベルトを備えたベルトコンベア式であり、等階級判別後にベルトが往回転して判別済み果菜を当該果菜搬送体と同じ又は略同じ高さの各段のプールコンベアに水平又は略水平に送り出すことができ、
前記計測器は、夫々の段の果菜搬送体ごとに配置されて、夫々の段で搬送中の果菜を計測することができ、
前記プールコンベアは、各段の果菜搬送体の搬送方向側方であって且つ、上下に間隔をあけて二段以上配置され、二段以上のプールコンベアの夫々は各段の果菜搬送体から送り出される果菜を水平又は略水平に引き継ぎできるように、果菜搬送体と同じ又は略同じ高さで水平又は略水平に配置され、
夫々の段のプールコンベアは、等階級選別されて夫々の段の果菜搬送体から送り出される果菜を、少なくとも等階級ごとに引き継ぎできる数だけ果菜搬送体の搬送方向に間隔をあけて配置され、
夫々の段のプールコンベアは、引き継いだ果菜を二以上プールすることができる長さである、
ことを特徴とする果菜自動選別装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態)
[果菜自動選別装置の基本形態]
本発明の果菜自動選別装置の一例として
図1に示すものは、果菜自動選別装置1が四列配置され、各列の果菜自動選別装置1が上段の果菜搬送体2aと下段の果菜搬送体2bを上下二段に配置してある。
【0015】
図1の各列の果菜自動選別装置1の上段と下段の果菜搬送体2a、2bは共にベルトコンベア式であり、同じ構成、同じ動作をするものである。上段と下段のプールコンベア3a、3bも共にベルトコンベア式であり、同じ構成、同じ動作をするものである。
図1の各列の果菜自動選別装置1における果菜供給ライン4も同じ構成、動作をするものである。このため、以下の説明ではいずれか一列の果菜自動選別装置1の上段の果菜搬送体2aと上段のプールコンベア3aと果菜供給ライン4について説明し、他の果菜自動選別装置1についての説明は省略する。
【0016】
各列の果菜自動選別装置1は上段の果菜搬送体2aと、下段の果菜搬送体2bと、上段の果菜搬送体2aの側方に直交方向(略直交方向を含む:以下同じ)に配置した上段のプールコンベア3aと、下段の果菜搬送体2bの側方に直交方向に配置した下段のプールコンベア3bを備えている。上段のプールコンベア3aは上段の果菜搬送体2aで搬送中に計測され、等階級別に判別され、等階級別に送り出される(仕分けされる)果菜を等階級別に引き継ぐものであり、等階級の数、例えば、A級SS、A級S、A級M、A級L、A級LL、B級SS、B級S、B級M、B級L、B級LL、C級SS、・・・・の数だけ配置されている。下段のプールコンベア3bは下段の果菜搬送体2bで仕分けされる果菜を等階級別に引き継ぐものであり、等階級の下段の果菜搬送体2bで仕分けされる等階級の数だけ配置されている。
【0017】
[果菜供給ライン]
図1では果菜供給ライン4が、上段の果菜搬送体2aと下段の果菜搬送体2bの夫々の手前に配置されている。果菜供給ライン4は搬送コンベア4a、ダンパー4b、洗浄機4c、振り分け部4d、コンテナ排出ライン4e、上段供給部5a、下段供給部5bを備えている。
【0018】
搬送コンベア4aは収穫した果菜Aを入れて選果場に搬入されるコンテナを搬送するものであり、コンテナの搬送に適するローラコンベア、ベルトコンベア、他のコンベアが適する。ダンパー4bは搬送コンベア4aで搬送されてくるコンテナを傾けて、コンテナ内の果菜Aをあけるものである。洗浄機4cは果菜Aを洗浄するものである。振り分け部4dは洗浄済みの果菜Aを横に広げて、二股に分かれている上段供給部5aと下段供給部5bに送り込むものである。振り分け部4dは振動式のベルトコンベアが適する。上段供給部5aは果菜Aを上段の果菜搬送体2aの果菜載せエリア24まで搬送するものであり、上段の果菜搬送体2aの果菜載せエリア24まで配置されている。下段供給部5bは果菜Aを下段の果菜搬送体2bの果菜載せエリア24まで搬送するものであり、下段の果菜搬送体2bの果菜載せエリア24まで配置されている。上段供給部5a、下段供給部5bにはベルトコンベアが適する。コンテナ排出ライン4eは果菜Aをあけて空になったコンテナを載せて移動して、果菜供給ライン4の外に排出するものであり、ローラコンベア、ベルトコンベア等のコンベアが適する。
【0019】
前記ダンパー4b、洗浄機4c、振り分け部4d、コンテナ排出ライン4eの全て又は一部は、場合によっては設ける必要がない。その場合は、選果場に搬入してきたコンテナ内の果菜Aを、作業者Hが手作業で一個ずつ取り出すとか、作業者Hがコンテナを傾けてコンテナ内の果菜Aを上段供給部5a、下段供給部5bにあけるなどすることができる。
【0020】
[果菜搬送体]
図1の上段の果菜搬送体2aは、二本の無端走行体21(
図2)に果菜キャリア7(
図7、
図8)が
図9、
図10のように多数取り付けられている。二本の無端走行体21はチェーンであり、二つの駆動ホイールH1と二つの従動ホイールH2(
図2)に平行に周回されている。二本の無端走行体21は駆動ホイールH1の回転により走行し、従動ホイールH2で上方から下方に折り返し走行し、駆動ホイールH1で下方から上方に折り返して循環走行(折り返し循環走行)するようにしてある。無端走行体21にはタイミングベルトや他の無端回転体を使用することができる。タイミングベルトの場合は
図2の駆動ホイールH1と従動ホイールH2をプーリーにする。
【0021】
果菜搬送体2aの長さは選果場の広さによっても異なるが、通常は数十メートル、場合によっては100m以上もある。
図1の場合は、右側(搬送方向手前側)から左側(搬送方向先方)に順次、作業者Hが果菜キャリア7に果菜Aを載せる果菜載せエリア24、搬送中の果菜Aの形状、大きさ、糖度等を計測して等階級別に判別する判別エリア25、判別された果菜Aを搬送中に等階級別に送り出して仕分けする仕分けエリア26としてある。
【0022】
[果菜キャリア]
果菜キャリア7には各種形状、構造のものを使用することができる。一例として
図7、
図8に示す果菜キャリア7は一つのフレーム10に四本のベルト11が周回されたべルトコンベア式である。果菜キャリア7はフレーム10が無端走行体21に取り付けられて(
図9、
図10)、無端走行体21が走行すると同方向に走行するようにしてある。
【0023】
[果菜キャリアのフレーム]
果菜キャリア7(
図7、
図8)のフレーム10は金属製、硬質樹脂製、FRP製等の各種材質製であり、平板12の両側を略直角に折り曲げて二枚の取り付け片13a、13bを形成した側面視「コ」字状である。平板12は斜め後方向きになっており、取り付け片13a、13bも斜め後方向きに平行になっていて、取り付け片13a、13bを二本の無端走行体21に取り付けたとき(
図9)に、無端走行体21の走行方向(
図9の矢印方向)に対し斜め後方向きになるようにしてある。平板12の上には細長の巻き台15(
図7)が四本平行に設けられている。これら四本の巻き台15も平板12の斜め後方向きに合わせて斜め後方向きにしてある。四本の巻き台15の夫々の長手方向両端にはローラ16(
図7、
図8)が回転可能に取り付けられている。巻き台15の横幅及び長さは載せる果菜Aの形状、大きさ等によっても異なるが、一例としては例えば幅約2〜3cm程度、長さ10〜15cm程度が適する。巻き台15は四本以上であってもよく三本以下であってもよい。平板12には四本のガイド溝14(
図8)が平行に一定間隔で開口されている。これらのガイド溝14も平板12に斜め後方向きに開口されている。
【0024】
[果菜キャリアのベルト]
巻き台15の上面−ローラ16の外周−巻き台15の底面にベルト11が周回されている。夫々の巻き台15の上面には下方に窪んだ凹部があり(図示しない)、ベルト11に果菜Aを載せるとベルト11が前記凹部に沿って下方に弛んで、果菜Aが安定するようにしてある。個々のベルト11のうち巻き台15の上面を走行する部分(上走行部)11a(
図7)の先端側から、ベルト11のうち巻き台15の底面側を走行する部分(下走行部)11b(
図8)にかけて、スリット17(
図7)が開口されている。スリット17は夫々のベルト11の横幅方向略中央部に開口されている。
【0025】
各ベルト11の横幅は載せる果菜Aの形状、大きさ等によっても異なるが、少なくとも小さい果菜や短い果菜の場合は一個ずつ載せることができる広さにしてある。具体的には巻き台15及びローラ16の横幅と同じ又はほぼ同じ程度が良く、例えば、巻き台15及びローラ16の横幅が約2〜3cmの場合はそれと同じ程度にする。胡瓜や茄子のように長い果菜Aを載せる場合は
図7、
図9のように隣接する二本以上のベルト11に跨がせて載せることができる。西瓜、メロンのように大きな果菜の場合はベルト11の横幅を広くする。ベルト11はズック製、樹脂製、ゴム製といった各種材質製であり、果菜載せ面(表面)が平面状の平ベルトである。
【0026】
[果菜キャリアの支持具]
図7のように、各ベルト11の上走行部11aの上には支持具18が固定されている。支持具18はベルト11の上走行部11aの上に果菜Aを載せる際の位置決めの目安となり、上走行部11aの上に載せた果菜A(
図7、
図9)の後方を支持して、果菜搬送中に果菜Aの位置ずれや転倒等を防止することもできるものである。また、ベルト11が回転して果菜Aをプールコンベア3a(
図2)に送り出すときに、ベルト11の往回転に伴って、その往回転方向に移動して果菜Aを押し出すこともできる。
【0027】
[果菜キャリアの果菜載せ部]
図7に示すように、ベルト11の上走行部11aの上面であって支持具18の直近手前には果菜載せ部19(例えば、
図7の三角印)を設けておくことができる。果菜載せ部19は上走行部11aの上に果菜Aを載せる箇所であり、任意形状のマークを表示するとか、果菜Aが転倒し難い材質製の受け材を上走行部11aの上面に貼り付けるとか、ベルト11自体を果菜Aが位置ずれしにくい構造にするなどして形成することができる。果菜載せ部19の位置は支持具18の前方であって、果菜載せ部19に載せた果菜Aの背面が支持具18に接触する程度離れた位置が好ましい。また、果菜載せ部19の位置は載せる果菜Aの大きさによって変えるのが望ましい。例えば、トマト、胡瓜のように小さい果菜の場合は支持具18の前方直近に設け、西瓜、メロンように大きい果菜の場合は支持具18から離して前方に設ける。
図13の場合は、支持具18に果菜を載せる窪みを設けて、その窪みを果菜載せ部19としてある。
【0028】
[果菜キャリアのガイド軸]
四本のベルト11の夫々の上走行部11aには、ガイド軸20(
図8)が固定されている。ガイド軸20はその上端部がベルト11の上走行部11aに取付け板(図示しない)を介して取り付けられており、下端部が個々のベルト11のスリット17(
図7、
図8)を貫通し、フレーム10の平板12のガイド溝14内をも貫通して、
図8のようにフレーム10の下方まで突出している。このガイド軸20はガイド溝14及びスリット17に沿って往復スライド可能であり、この往復スライドに伴ってベルト11が同方向に往復回転できるようにしてある。
【0029】
[往ガイド、切り替え片]
移動する果菜搬送体2a(果菜搬送ライン)の下には、
図11、
図12(a)(b)に示すように、往ガイド27、切り替え片28が配置されている。往ガイド27は固定であり、切り替え片28は判別部9a(
図1)での判別結果に基づいて、
図12(a)のように往ガイド27と同一軸線上に一直線になる位置から、
図12(b)のように横向きになる位置まで往復回転可能である。切り替え片28の前記往復回動(切り替え)は、判別部9aでの判別結果に応じて判別部9aから送信される切り替え信号に基づいて行われる。往ガイド27と切り替え片28は一対となっており、
図1に示す夫々のプールコンベア3aの位置(果菜送り出し位置)に対応して配置されている。
【0030】
図7、
図9のように、果菜Aが二以上のベルト11に跨がって載っている場合は、それらベルト11と連動する二本以上のガイド軸20がその往ガイド27で同方向に同期して移動できるようにする。そのためには、二以上の切り替え片28が同期して往ガイド27と一直線になるように切り替える。
【0031】
[復ガイド]
果菜搬送体2a(果菜搬送ライン)の下方には、
図12(c)のように復ガイド29も配置されている。復ガイド29は果菜Aを送り出した果菜キャリア7が、その後も走行して元の位置(果菜載せエリア24:
図1)に戻るまでの間に、ガイド軸20を往移動する前の元の位置に戻す(復移動させる)ものであり、
図12(c)のように、果菜搬送体2aの下に多数配置されている最後(最先方の)の往ガイド27よりも果菜キャリア7の移動方向先方に配置されている。
図12(c)の復ガイド29は三角形であり、その斜面がガイド面29aとなっている。ガイド面29aは移動してくる果菜キャリア7のガイド軸20を
図12(c)の矢印Z方向に案内して、当該ガイド軸20を往移動する前の元の位置に戻す(復移動させる)ことができる傾斜にしてある。ガイド軸20の移動に伴って、当該ガイド軸20と連動するベルト11も逆回転して、ベルト11の上走行部11aの果菜載せ部19を送り出し前の状態に戻して、一列(略一例を含む)に揃えるものである。復ガイド29は他の形状、例えば棒状であってもよい。
【0032】
[果菜の送り出し]
図2のように二本の無端走行体21に取り付けられた果菜キャリア7は、無端走行体21が
図2の矢印X方向に移動すると、その移動と同方向に移動する。果菜キャリア7の移動に伴ってガイド軸20(
図8)も同方向に移動する。判別結果に応じて、切り替え片28が
図11、
図12(a)のように往ガイド27と同一軸線上に一列に停止しているときは、移動する果菜キャリア7のガイド軸20は切り替え片28に当たり、前記移動が進行するにつれて
図11、
図12(a)の矢印Y方向(果菜キャリア7の移動方向斜め後方)に移動(往移動)する。この往移動に伴って果菜キャリア7のベルト11も搬送方向斜め後方(
図2の矢印Y方向)に回転(往回転)し、ベルト11の上走行部11aの上の果菜載せ部19の上に載せてある果菜Aが矢印Y方向に送り出されて、矢印Y方向先方に配置されているプールコンベア3a(
図1)に送り込まれるようにしてある。
【0033】
切り替え片28が判別結果に応じて
図12(b)のように上方に回動すると、移動してくる果菜キャリア7のガイド軸20は切り替え片28と往ガイド27の間を通過(直進)して、果菜キャリア7のベルト11が回転せずベルト11の上走行部11aに載せてある果菜Aは側方に送り出されない。往ガイド27を通過した果菜キャリア7は本来の仕分け位置まで到来すると、通過した往ガイド27の先方にあって、
図12(a)のように往ガイド27と一直線上に切り替えられている切り替え片28に突き当たり、その切り替え片28と一直線になっている往ガイド27に沿って果菜搬送方向斜め後方に移動する。その移動に伴って果菜キャリア7のベルト11が同方向に回転し、ベルト11の上の果菜Aがその往ガイド27に対応した果菜搬送方向斜め後方のプールコンベア3aに送り出される。この場合、送り出される果菜Aは搬送方向への送り速度(慣性)が低減されるためプールコンベア3aに送り出される果菜Aが転倒し難くなる。
【0034】
果菜キャリア7は果菜Aを送り出した後に果菜搬送方向に移動を続けて、元の位置(果菜Aを載せる位置)に戻る間に、戻りガイド(復ガイド)29(
図12(c))に案内されて、往移動とは逆方向に戻り移動(復移動)する。この移動に共って移動するスライド軸20が
図12(c)の復ガイド29に当たると、ガイド軸20は復ガイド29のガイド面(斜面)29aに沿って
図12(c)の矢印Z方向に案内されて往移動する前の元の位置に戻される(復移動する)。ガイド軸20の復移動に伴って果菜キャリア7のベルト11がガイド軸20と同じ方向に移動して、ベルト11の上走行部11aに設けた果菜載せ部19が果菜Aを載せる元の位置に戻り、個々のベルト11の果菜載せ部19が往回転前の元の位置に一列又は略一例に整列する。整列した果菜載せ部19に果菜Aに載せることにより果菜Aが一列に整列して搬送され、毎回同じ状態で計測器8aを通過でき、計測精度がばらつかず、計測精度が向上する。
【0035】
前記ガイド軸20の移動とベルト11の回転は、ガイド軸20がベルト11の上走行部11aに取り付けられている場合であるが、ガイド軸20をベルト11の下走行部11bに取り付けた場合は、ガイド軸20の移動とベルト11の回転は逆になる。
【0036】
[ベルトのユニット化]
図7、
図9のように幅の狭いベルト11を多数本配列した場合は、隣接する二本或いは数本のベルト11を一組のユニットとすることもできる。この場合は、
図7、
図9のように一つのユニットに果菜Aを跨がせて載せ、果菜Aを載せたユニットの支持具18を同時に同方向に往回転(同期回転)させて、一つのユニットの数本のベルト11を同時に同方向に移動させて、ユニットの上の果菜Aを送り出すことができる。ユニット化した場合は、支持具18やベルト11の色をユニットごとに変えておくと果菜Aを載せるユニットを判別し易くなって便利である。
【0037】
[果菜キャリアの他例]
本発明における果菜キャリア7は他の形状、構造であってもよい。一例として
図13に示す果菜キャリア7は、一つのフレーム10の前後方向両端にローラ16が回転可能に取り付けられており、そのローラ16の外周に幅の広い一枚のベルト11を往復回転可能に周回してある。この果菜キャリア7もベルト11の上走行部11aの上に支持具18を取り付けてある。支持具18は図示しないガイド軸20によりベルト11の上走行部11aに取り付けてある。支持具18には果菜Aを載せる果菜載せ部19が一段窪んで形成されている。
【0038】
[トラッキングスイッチ]
図11に示す果菜自動選別装置1では、果菜搬送体2aの果菜搬送方向側方であって、プールコンベア3aの配置側と反対側(
図1の作業者H側)にトラッキングスイッチSWを設けてある。
図13のSWはトラッキングスイッチであり、作業員Hが果菜キャリア7のベルト11の果菜載せ部19に果菜Aを載せるときに、果菜Aの傷、色等を目視選別して、その結果に応じて操作するものである。トラッキングスイッチSWは回転可能な二本のスイッチ用無端走行体Tに多数のトラッキングスイッチSWを取り付けて、スイッチ用無端走行体Tと共に回転するようにしたものである。
【0039】
トラッキングスイッチSWは果菜載せエリア24の多くの果菜キャリア7と並行に配置されている(
図2、
図11)。トラッキングスイッチSWはチェーン、タイミングベルト等のスイッチ用無端走行体Tにその走行方向に一列に並べて多数取付けられている。スイッチ用無端走行体Tは水平走行し、一方の折り返し箇所で上から下に折り返し、他方の折り返し箇所で下から上に折り返して循環走行するようにしてある。トラッキングスイッチSWはスイッチ用無端走行体Tの循環走行に伴って循環走行するようにしてある。トラッキングスイッチSWは二以上を一組とすることができ、作業員Hが果菜載せエリア24で果菜キャリア7のベルト11に載せる果菜Aの傷、色、変形等を目視判別して、各組のトラッキングスイッチSWを操作して果菜Aを判別エリア25で判別する前に事前選別することができるようにしてある。トラッキングスイッチSWを押すとその信号が判別エリア25の制御部に送信されて果菜選別情報となるようにしてある。
【0040】
図2のトラッキングスイッチSWは、果菜載せエリア24の作業員配置側(果菜搬送体2aの搬送方向側方であって手前側)に配置されているが、果菜搬送体2aを挟んで作業員配置側の向かい側に配置することもできる。図示したトラッキングスイッチSWはシーソー式スイッチであるが、プッシュ式スイッチとか他の駆動形式のスイッチであってもよい。トラッキングスイッチSWは各果菜キャリア7に設ける必要はなく、例えば、
図11のように多数のトラッキングスイッチSWをスイッチ用無端走行体Tに取り付けて、スイッチ用無端走行体Tの回転に伴って回転するようにすることもできる。
【0041】
[プールコンベア]
プールコンベア3a(
図1)も回転ローラの外周にベルト33を周回したベルトコンベア式であり、果菜Aを多数個プールできる長さと横幅にしてある。プールコンベア3aは果菜キャリア7から果菜Aが送り出される度に回転して果菜Aを一個ずつ引き継ぐことができるようにしてある。
【0042】
等階級ごとのプールコンベア3aのベルト33の本数は
図4のように複数本のベルト33をその幅方向に複数本配列したものが望ましい。上段のプールコンベア3aのベルト33の本数と下段のプールコンベア3bのベルト33の本数は同じ本数であってもよいが、同じ横幅のコンベアを複数本配列する場合は、
図3のように、下段のプールコンベア3bのベルト33の本数を上段のプールコンベア3aのベルト33の本数よりも多くし、上段のプールコンベア3aを下段のプールコンベア3bの横幅方向中央部に配置して、下段のプールコンベア3bの横幅方向両外側が上段のプールコンベア3aの幅方向外側よりも外側に突出させておくことができる。
【0043】
下段のプールコンベア3bの幅方向外側が上段のプールコンベア3aの幅方向外側よりも外側に突出するようにするためには、下段のプールコンベア3bのベルトの横幅を上段のプールコンベアのベルトの横幅よりも広くすることもできる。
図5(a)(b)に示すように、上段のプールコンベア3aを下段のプールコンベア3bの幅方向外側寄りに配置して、下段のプールコンベア3bの幅方向一側方が、上段のプールコンベア3aの幅方向外側に突出するようにすることもできる。
【0044】
図1の場合は、プールコンベア3aが果菜搬送体2aの側方の二以上の箇所に、果菜搬送体2aと直交させて平行に配置してある。
図1ではプールコンベア3aを果菜Aの等階級の数だけ設けて、夫々のプールコンベア3aに果菜Aを等階級別に送り出すことができるようにしてある。プールコンベア3aは果菜搬送体2aに対して多少斜め後方又は斜め前方に向けて配置することもできる。
【0045】
全てのプールコンベア3aはベルト33の本数、幅、長さ等を同じにする必要はなく、数の多い等階級の果菜Aを引き継ぐプールコンベア3aは本数を多くしたり、横幅を広くしたり、長さを長くしたりして、多くの果菜Aを確実にプールできるようにすることもできる。果菜Aの数が少ない等階級の果菜Aを引き継ぐプールコンベア3aはベルト33の本数を少なくしたり、横幅を狭くしたり、短くしたりしても、果菜Aを確実にプールすることができる。
【0046】
プールコンベア3aは常時回転させておくことも可能であるが、果菜Aが送り込まれないときは一時停止にして待機させておき、果菜キャリア7から果菜Aが送り込まれるときに果菜一個分だけ回転して果菜Aが載るスペースが確保されるように制御することもできる。プールコンベア3aの回転制御は判別結果に基づいて、制御装置によって行われる。ここで、果菜Aが送り込まれるときとは、送り込まれると同時に、送り込まれる前にという意味である。
【0047】
[果菜自動選別装置]
本発明の果菜自動選別装置の一例として図示したものは、前記した果菜搬送体2aを上下に配置して上段の果菜搬送体2aと下段の果菜搬送体2bとし、上段の果菜搬送体2aと下段の果菜搬送体2bの夫々の果菜搬送方向側方に、前記した構成のプールコンベア3aを配置して上段のプールコンベア3a、下段のプールコンベア3bとしてある。
【0048】
[果菜載せエリア]
前記果菜載せエリア24は、作業者Hが果菜Aを一個ずつ手作業で果菜キャリア7に載せる場所(スペース)であり、数人の作業者Hを配置できる長さにしてある。
【0049】
[判別エリア]
前記判別エリア25は、果菜キャリア7に載せて搬送中の果菜Aの形状、大きさ、糖度等を計測する領域であり、計測器8a、8bが配置されている。計測器8a、8bは判別エリア25の上方に配置して、搬送中の果菜Aを上方から計測できるようにすることも、判別エリア25の側方に配置して、搬送中の果菜Aを側方から計測できるようにすることも、真下に配置して下方から計測することもできる。異なる二以上の位置に配置して異なる方向から計測できるようにすることもできる。計測器8a、8bには光学式計測器をはじめとして、画像式計測器、その他、各種方式の計測器を使用することができる。
【0050】
[仕分けエリア]
図1の仕分けエリア26は、判別エリア25の計測器8a、8bで計測されて、等階級判別された果菜Aを、果菜搬送方向側方に送り出して、果菜Aを等階級別に仕分け(振り分ける)場所である。この仕分けエリア26であって、果菜搬送体2a、2bの下方にはレール状の往ガイド27(
図11)が配置されている。
【0051】
[果菜自動選別装置の配置]
本発明の果菜自動選別装置1は、前記した果菜自動選別装置を上下に配置して一組として四列配置してある。四列のうち中央の二列の果菜自動選別装置1は果菜搬送体2a、2b同士を対向させて配置し、外側二列の果菜自動選別装置1はプールコンベア3a、3bを中央の果菜自動選別装置1のプールコンベア3a、3bと背中合わせにして対向配置してある。
【0052】
図1では上段のプールコンベア3aは六本のベルト33を使用し、下段のプールコンベア3bは上段のプールコンベア3aのベルト33と同じ横幅のベルト33を8本使用して、下段のプールコンベア3bの横幅方向側方が上段のプールコンベア3aの幅方向側方よりも外側に突出させてある。下段のプールコンベア3bには上段のプールコンベア3aの横幅よりも広い横幅のベルトを使用して、下段のプールコンベア3bの横幅方向側方が上段のプールコンベア3aの幅方向側方よりも外側に突出するようにすることもできる。
図5(a)(b)に示すように、上段のプールコンベア3aを下段のプールコンベア3bの横幅方向外側に位置をずらして配置して、下段のプールコンベア3bの幅方向側方が上段のプールコンベア3aの幅方向側方よりも外側に突出させることもできる。下段のプールコンベア3bには上段のプールコンベア3aの横幅よりも広い横幅のベルトを使用して、下段のプールコンベア3bの横幅方向側方が上段のプールコンベア3aの幅方向側方よりも外側に突出させることもできる。下段のプールコンベア3bの横幅方向側方が上段のプールコンベア3aの幅方向側方よりも外側に突出させるのは、下段のプールコンベア3bの果菜Aを取り出す時に、上段のプールコンベア3aが邪魔にならないようにするためである。
【0053】
上段の果菜搬送体2aと下段の果菜搬送体2bのいずれの高さも、作業者Hが果菜Aを載せることができる高さであり、上段の果菜搬送体2aの高さは作業者Hが手を上方に伸ばして果菜Aを載せることができる高さにしてある。
【0054】
[果菜自動選別装置の使用例]
本発明の果菜自動選別装置の使用例を以下に説明する。
図1において、ベルトコンベア式の搬送コンベア4aに投入された果菜Aは、
図1の右側から左側に搬送され、洗浄機4cに送られて洗浄される。洗浄済みの果菜Aは振り分け部(例えば、振動式ベルコンベア)4dの振動で横に広げられながら、ベルトコンベア式の上段供給部5aとベルトコンベア式の下段供給部5bに振り分けられて送られる。上段供給部5aと下段供給部5bに送られた果菜Aは、
図1の右側から左側に搬送される。
【0055】
上段供給部5aに供給された果菜Aは上段供給部5aの横(果菜載せエリア24)に待機している作業員Hによって、走行中の上段の果菜搬送体2aの果菜キャリア7の上に一個ずつ載せられる。下段供給部5bに供給された果菜Aは、下段供給部5bの横(果菜載せエリア24)に待機している作業員Hによって走行中の下段の果菜搬送体2bの果菜キャリア7の上に一個ずつ載せられる。上段と下段の果菜キャリア7は同じものである。このとき、作業者Hが果菜Aを目視して傷の有無、変形、色付き具合等を判別して果菜キャリア7に載せ、判別結果に応じてトラッキングスイッチSW(
図11、
図13)を押す。例えば、載せた果菜Aに少しの傷がある場合はいずれかのトラッキングスイッチSWを押し、色付きに難点がある場合は横に並んでいる二つのトラッキングスイッチSWを押す。極度の傷があるとか極端に変形したりして、商品として販売できないような果菜Aは果菜キャリア7に載せない。
【0056】
上段の果菜キャリア7に載せた果菜Aは、果菜キャリア7の移動により
図1の右側から左側に搬送され、判別エリア25に到達すると、上段の計測器8aでその形状、大きさ、重さ、糖度等の必要事項が計測され、判別部9aで計測データに基づいて等階級判別される。同様にして、下段の果菜キャリア7に載せた果菜Aは、下段の果菜キャリア7の移動により
図1の右側から左側に搬送され、下段の計測器8bでその形状、大きさ、重さ、糖度等の必要事項が計測され、判別部9bで計測データに基づいて等階級判別される。上段の計測器8aと下段の計測器8bは同じもの、上段の判別部9aと下段の判別部9bも同じものである。
【0057】
上段の判別済み果菜Aは仕分けエリア26に搬送されて、判別結果に応じて上段のプールコンベア3aに送り出され、上段のプールコンベア3aの横で、作業員Hにより一個ずつ取り出されて箱詰めされる(
図3、
図5)。下段の判別済み果菜Aも仕分けエリア26に搬送され、仕分けエリア26において、判別結果に応じて下段のプールコンベア3bに送り出され、下段のプールコンベア3bの横で、作業員Hにより一個ずつ取り出されて箱詰めされる(
図3、
図5)。この場合、前記判別結果に基づいて、どの果菜キャリア7の果菜Aを、どのプールコンベア3a、3bに送り出すか指示され、この指示に基づいて、切り替え片28が進路変更位置に切換えられ、送り出す果菜Aが載っているベルト11のガイド軸20が往ガイド27に案内される。果菜Aが二以上のベルト11に跨がって載っている場合は、二以上の切り替え片28が同期して動作して、二以上の果菜載せ体2aのガイド軸20がほぼ同期して同方向に案内される。
【0058】
果菜キャリア7のガイド軸20が往ガイド27に案内されると、果菜キャリア7のベルト11の上走行部11aがガイド軸20と同方向に移動し、ベルト11の上走行部11aに載せてある果菜Aがプールコンベア3a、3bへ送り出される(等級別に仕分けされる)。この送り出しと同時に又は送り出す直前に、プールコンベア3a、3bを果菜一個分だけ回転させて果菜Aを一個だけ載せるスペースを確保して、果菜Aが確実に載り移るようにするとともに、後からプールコンベア3a、3bから送り出される果菜Aが、先にプールコンベア3a、3bに送られている果菜Aに追突しないようにする。果菜Aが送り出される前にプールコンベア3a、3bを回転させると、送り出される果菜Aがプールコンベア3a、3bに引き込まれて、果菜キャリア7からプールコンベア3a、3bへの引き継ぎがスムースに且つ確実に行われる。
【0059】
果菜キャリア7をそのまま通過させる旨の指示があったときは、切り替え片28は作動せずに往ガイド27から離れたままとなり、果菜Aを載せた果菜キャリア7のガイド軸20が
図12(b)のように往ガイド27と切り替え片28の間を通過する。通過して当該果菜Aの本来の仕分け位置まで搬送されると、前記判別結果に基づいて切り替え片28が進路変更位置に切替えられて、その果菜キャリア7のガイド軸20が往ガイド27に案内されて、果菜キャリア7のガイド軸20とベルト11が同方向に回転して、果菜Aが果菜搬送側方のプールコンベア3a、3bに送り出される。果菜キャリア7が果菜搬送体2a、2bの搬送方向斜め後方を向いている場合は、果菜キャリア7の上の果菜Aは斜め後方に送り出されて送り出し速度が減速されるため、プールコンベア3a、3bに送り出されるときに、送り出し慣性により勢いが付きすぎて転倒するとか、プールコンベア3a、3bに先にプールされている果菜Aに衝突するといったことがなく、果菜Aに傷付きにくくなる。
【0060】
果菜Aを送り出した果菜キャリア7は無端走行体21の走行回転によってそのまま走行を継続して果菜載せエリア24に戻る。戻る前に、ガイド軸20が果菜搬送体2a、2bの途中下方に配置されている復ガイド29に案内されて果菜Aを送り出す前の元の位置まで自動的に戻される。この戻しに伴って果菜キャリア7のベルト11も果菜Aを送り出す前の元の位置まで自動的に戻って、多数のベルト11の果菜載せ部19(
図7、
図13)が一列に揃う。
【0061】
プールコンベア3a、3bに送り出された果菜Aは一定数量になるまでプールされてから、プールコンベア3a、3bの回転によって、次の作業工程に送り込まれる。
【0062】
前記果菜キャリア7への果菜Aの載せ、搬送中の果菜Aの計測、判別、判別結果に基づくプールコンベア3a、3bへの送り出しの繰り返しにより、多くの果菜Aを等階級別に仕分けする。
【0063】
(他の実施形態)
前記実施形態は、ベルト11が往復移動する場合であるが、本発明ではベルト11が、一方向に循環回転する場合であってもよい。この場合の果菜自動選別方法はベルト11が一方向循環回転すること以外は前記実施形態の場合と同様である。この場合、ベルト11はモータ等で一方向に循環回転させ、果菜送り出し後に、果菜載せエリア24に戻るまでの間に、果菜Aを載せる前の元の位置に戻って、果菜載せ部19が一例に戻るようにする。
【0064】
前記実施形態は、果菜送り出し方向を斜め後方又は斜め前方とする場合であるが、本発明では真横に送り出すこともできる。この場合、果菜キャリア7のベルト11をフレーム10の横方向に対して直交する向きで(真横に向けて)巻くことができる。果菜キャリア7を無端走行体21に対して、ベルト11が果菜搬送方向真横を向くように取り付けることもできる。
【0065】
果菜Aを斜め後方、斜め前方、真横のいずれに送り出す場合であっても、果菜キャリア7のベルト11と、プールコンベア3a、3bの間に減速体を設けて、ベルト11から送り出される果菜Aの送り出し速度を減速させて、果菜Aがプールコンベア3a、3bに載り移るときに転倒しにくくなるようにすることもできる。