特許第6867021号(P6867021)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6867021過負荷検出装置、送電制御装置、過負荷検出方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6867021
(24)【登録日】2021年4月12日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】過負荷検出装置、送電制御装置、過負荷検出方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20210419BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20210419BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   H02J13/00 301A
   H02J3/38 120
   H02J3/00
   H02J13/00 311A
   H02J13/00 311S
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-100910(P2017-100910)
(22)【出願日】2017年5月22日
(65)【公開番号】特開2018-196312(P2018-196312A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】塩見 和紀
【審査官】 佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−274812(JP,A)
【文献】 特開2003−061247(JP,A)
【文献】 特開2013−055819(JP,A)
【文献】 特開平11−146560(JP,A)
【文献】 特開2008−187806(JP,A)
【文献】 特開2004−056996(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/151960(WO,A1)
【文献】 特開2003−189472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 3/00
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能エネルギーを利用して発電し、遮断器を介して接続される送電線に電力を供給する発電機の発電電力の予測結果を示す発電予測データを取得する発電予測データ取得手段と、
変電所から前記送電線へ供給される送電電力を示すデータを含む変電所電力データを取得する変電所電力データ取得手段と、
前記発電予測データと前記変電所電力データとに基づいて、前記送電線の送電区間が前記発電機の接続ノードで分割された複数の分割区間のそれぞれについて、各分割区間の電力を示す区間電力を算出する区間電力算出手段と、
前記区間電力と各分割区間に対して設定されたしきい値とを比較し、前記分割区間のそれぞれについて過負荷状態が生じるか否かを判定する過負荷判定手段とを備える過負荷検出装置。
【請求項2】
前記区間電力算出手段は、前記送電線に対する前記変電所及び前記発電機の接続関係に応じて定義される区間電力計算式に従って前記区間電力を算出する請求項1に記載の過負荷検出装置。
【請求項3】
前記区間電力計算式は、前記送電線に接続された変電所の電力の送受電のパターンごとに定義される請求項2に記載の過負荷検出装置。
【請求項4】
再生可能エネルギーを利用して発電し、遮断器を介して接続される送電線に電力を供給する発電機の発電電力の予測結果を示す発電予測データを取得する発電予測データ取得手段と、
変電所から前記送電線へ供給される送電電力を示すデータを含む変電所電力データを取得する変電所電力データ取得手段と、
前記発電予測データと前記変電所電力データとに基づいて、前記送電線の送電区間が前記発電機の接続ノードで分割された複数の分割区間のそれぞれについて、各分割区間の電力を示す区間電力を算出する区間電力算出手段と、
前記区間電力と各分割区間に対して設定されたしきい値とを比較し、前記分割区間のそれぞれについて過負荷状態が生じるか否かを判定する過負荷判定手段と、
前記過負荷判定手段における判定結果に応じて前記遮断器を制御する遮断器制御手段とを備える送電制御装置。
【請求項5】
前記遮断器制御手段は、前記過負荷判定手段が過負荷状態が生じると判定すると、過負荷状態が生じると判定された分割区間に接続される発電機の少なくとも1つに対応する遮断器を遮断して、前記発電機の少なくとも1つを前記送電線から切り離す請求項4に記載の送電制御装置。
【請求項6】
前記遮断器制御手段は、あらかじめ定められた優先順位に従った順序で前記遮断器を遮断する請求項5に記載の送電制御装置。
【請求項7】
前記遮断器制御手段は、前記遮断器の遮断を実施した後で、かつ前記過負荷判定手段が前記遮断された遮断器が再投入された場合に過負荷状態が生じないと判定した場合、前記遮断した遮断器の再投入を行う請求項5又は6に記載の送電制御装置。
【請求項8】
前記発電予測データを生成する発電予測装置を更に有する請求項4から7何れか1項に記載の送電制御装置。
【請求項9】
再生可能エネルギーを利用して発電し、遮断器を介して接続される送電線に電力を供給する発電機の発電電力を予測し、
変電所から前記送電線へ供給される送電電力を示すデータを含む変電所電力データを取得し、
前記発電機の発電電力の予測結果を示す発電予測データと前記変電所電力データとに基づいて、前記送電線の送電区間が前記発電機の接続ノードで分割された複数の分割区間のそれぞれについて、各分割区間の電力を示す区間電力を算出し、
前記区間電力と各分割区間に対して設定されたしきい値とを比較し、前記分割区間のそれぞれについて過負荷状態が生じるか否かを判定する過負荷検出方法。
【請求項10】
コンピュータに、
再生可能エネルギーを利用して発電し、遮断器を介して接続される送電線に電力を供給する発電機の発電電力の予測結果を示す発電予測データを取得し、
変電所から前記送電線へ供給される送電電力を示すデータを含む変電所電力データを取得し、
前記発電予測データと前記変電所電力データとに基づいて、前記送電線の送電区間が前記発電機の接続ノードで分割された複数の分割区間のそれぞれについて、各分割区間の電力を示す区間電力を算出し、
前記区間電力と各分割区間に対して設定されたしきい値とを比較し、前記分割区間のそれぞれについて過負荷状態が生じるか否かを判定する処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過負荷検出装置、方法、及びプログラムに関し、更に詳しくは、送電線の過負荷状態を検出する過負荷検出装置、方法、及びプログラムに関する。
【0002】
また、本発明は、上記送電線の送電制御を行う送電制御装置に関する。
【背景技術】
【0003】
送電線を過電流(過負荷)から保護する装置が知られている。例えば、特許文献1には、送電線に流れる電流を計測し、計測した電流が所定の設定値を超える場合に過負荷状態を検出する装置が記載されている。また、特許文献2には、送電線に流れる電流と送電線の周囲温度とに基づいて送電線の導体温度を演算し、導体温度が所定の設定値を超える場合に過負荷状態を検出する装置が記載されている。
【0004】
ここで、送電線には、例えば太陽光や風力などの再生可能エネルギーを用いて発電を行う発電機が接続される場合がある。一般に、そのような発電機の発電電力は、気象条件などに左右される。再生可能エネルギーの発電予測に関して、特許文献3には、日射量、風速、気温、及び降雨量などの様々な気象条件に基づいて、発電電力を予測することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−129428号公報
【特許文献2】特開平4−317511号公報
【特許文献3】特開2014−26625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2には、送電線の過負荷状態が検出された場合に、発電機と送電線との間に配置された遮断器を制御し、発電機から送電線への送電を停止することで、送電線の過負荷状態を回避することが記載されている。しかしながら、これら文献では、過負荷状態を事後的にしか検出できず、過負荷状態を事前に検知することはできない。このため、例えば電流が急激に増加し、過負荷が検出される前に電流の大きさが許容値を超えた場合に、送電線が破損する可能性がある。特許文献3は、単に、再生可能エネルギーの発電電力を予測することを開示しているに過ぎず、上記問題点を解消するための手段を提供しない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、実際に過負荷状態となる前に送電線の過負荷状態を検知可能な過負荷検出装置、送電制御装置、過負荷検出方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、再生可能エネルギーを利用して発電し、遮断器を介して接続される送電線に電力を供給する発電機の発電電力の予測結果を示す発電予測データを取得する発電予測データ取得手段と、変電所から前記送電線へ供給される送電電力を示すデータを含む変電所電力データを取得する変電所電力データ取得手段と、前記発電予測データと前記変電所電力データとに基づいて、前記送電線の送電区間が前記発電機の接続ノードで分割された複数の分割区間のそれぞれについて、各分割区間の電力を示す区間電力を算出する区間電力算出手段と、前記区間電力と各分割区間に対して設定されたしきい値とを比較し、前記分割区間のそれぞれについて過負荷状態が生じるか否かを判定する過負荷判定手段とを備える過負荷検出装置を提供する。
【0009】
本発明は、また、再生可能エネルギーを利用して発電し、遮断器を介して接続される送電線に電力を供給する発電機の発電電力の予測結果を示す発電予測データを取得する発電予測データ取得手段と、変電所から前記送電線へ供給される送電電力を示すデータを含む変電所電力データを取得する変電所電力データ取得手段と、前記発電予測データと前記変電所電力データとに基づいて、前記送電線の送電区間が前記発電機の接続ノードで分割された複数の分割区間のそれぞれについて、各分割区間の電力を示す区間電力を算出する区間電力算出手段と、前記区間電力と各分割区間に対して設定されたしきい値とを比較し、前記分割区間のそれぞれについて過負荷状態が生じるか否かを判定する過負荷判定手段と、前記過負荷判定手段における判定結果に応じて前記遮断器を制御する遮断器制御手段とを備える送電制御装置を提供する。
【0010】
本発明は、再生可能エネルギーを利用して発電し、遮断器を介して接続される送電線に電力を供給する発電機の発電電力を予測し、変電所から前記送電線へ供給される送電電力を示すデータを含む変電所電力データを取得し、前記発電機の発電電力の予測結果を示す発電予測データと前記変電所電力データとに基づいて、前記送電線の送電区間が前記発電機の接続ノードで分割された複数の分割区間のそれぞれについて、各分割区間の電力を示す区間電力を算出し、前記区間電力と各分割区間に対して設定されたしきい値とを比較し、前記分割区間のそれぞれについて過負荷状態が生じるか否かを判定する過負荷検出方法を提供する。
【0011】
本発明は、コンピュータに、再生可能エネルギーを利用して発電し、遮断器を介して接続される送電線に電力を供給する発電機の発電電力の予測結果を示す発電予測データを取得し、変電所から前記送電線へ供給される送電電力を示すデータを含む変電所電力データを取得し、前記発電予測データと前記変電所電力データとに基づいて、前記送電線の送電区間が前記発電機の接続ノードで分割された複数の分割区間のそれぞれについて、各分割区間の電力を示す区間電力を算出し、前記区間電力と各分割区間に対して設定されたしきい値とを比較し、前記分割区間のそれぞれについて過負荷状態が生じるか否かを判定する処理を実行させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の過負荷検出装置、送電制御装置、過負荷検出方法、及びプログラムは、実際に過負荷状態となる前に送電線の過負荷状態を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の概略的な送電制御装置を示すブロック図。
図2】本発明の一実施形態に係る過負荷検出装置を含む送電システムを示すブロック図。
図3】送電線過負荷検知装置の構成を示すブロック図。
図4】送電系統を示す系統図。
図5】区間電力の算出に用いられる区間電力計算式を示す図。
図6】各分割区間に設定される判定しきい値を示す表。
図7】区間電力の数値例を示す系統図。
図8】区間電力計算式、計算結果、判定しきい値、及び過負荷状況の発生の有無を示す表。
図9】分割区間と遮断する発電機との対応関係を示す表。
図10】遮断時の動作手順を示すフローチャート。
図11】復旧時の動作手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の概要を説明する。図1は、本発明の概略的な送電制御装置(システム)を示す。送電制御装置20は、発電予測データ取得手段11、変電所電力データ取得手段12、区間電力算出手段13、過負荷判定手段14、及び遮断器制御手段21を有する。送電制御装置20の構成要素のうち、発電予測データ取得手段11、変電所電力データ取得手段12、区間電力算出手段13、及び過負荷判定手段14は、過負荷検出装置10を構成する。
【0015】
過負荷検出装置10は、再生可能エネルギーを利用して発電する発電機が接続される送電線において過負荷状態が発生しているか否かを判断する。各発電機は、遮断器を介して送電線に接続される。発電予測データ取得手段11は、再生可能エネルギーを利用して発電する発電機の発電電力の予測結果を示す発電予測データを取得する。変電所電力データ取得手段12は、変電所から発電機が接続される送電線へ供給される送電電力を示すデータを含む変電所電力データを取得する。
【0016】
区間電力算出手段13は、発電予測データと変電所電力データとに基づいて、送電線の送電区間が発電機の接続ノードで分割された複数の分割区間のそれぞれについて、各分割区間の電力を示す区間電力を算出する。過負荷判定手段14は、算出された区間電力と各分割区間に対して設定されたしきい値とを比較する。過負荷判定手段14は、比較結果に基づいて、分割区間のそれぞれについて過負荷状態が生じるか否かを判定する。遮断器制御手段21は、過負荷判定手段14における判定結果に応じて発電機と送電線との間に配置された遮断器を制御する。
【0017】
本実施形態では、変電所から送電線に送電される電力と、再生可能エネルギーを利用して発電する発電機の発電電力の予測値とに基づいて、各分割区間における送電電力が計算される。本発明では、発電電力の予測値を用いて過負荷状態の有無を判定することで、実際に過負荷状態が生じる前の段階で、過負荷状態の発生を検知することができる。過負荷状態の発生が検知された場合に、遮断器を制御して、発電機から送電線への送電を停止させることで、過負荷状態の回避が可能である。
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る過負荷検出装置を含む送電システムを示す。この送電システムは、遠方監視制御装置101、送電線過負荷検知装置102、発電予測装置103、変電所104、及び遮断器105を含む。
【0019】
遠方監視制御装置101は、例えば電力会社などの中央制御室などに配置される。遠方監視制御装置101は、通信回線を介して変電所104と接続されており、変電所104の監視及び制御を実施する。遠方監視制御装置101は、例えば遠方の変電所104に設置された制御装置と通信する通信装置、オペレータに各種情報を表示する表示装置、オペレータの操作を受け付ける操作卓、及び各種演算や制御などを行うサーバなどを含む。遠方監視制御装置101は、図示しない発電所の運転や停止などの制御も行う。
【0020】
発電予測装置103は、再生可能エネルギーを利用して発電する発電機(そのような発電機を有する発電所)の発電電力を予測する。発電予測装置103は、例えば日照、気温、風速、及び降雨量などの気象条件に基づいて、発電電力を予測する。発電予測装置103が発電電力を予測する際に使用するアルゴリズムは特に限定されず、発電予測装置103は、任意の計算手法を用いて発電電力を予測する。
【0021】
送電線過負荷検知装置102は、変電所104間を接続する送電線の過負荷状態を検知する。送電線過負荷検知装置102は、例えば、送電線を変電所104や図示しない発電所ごとの区間に分け、区間ごとに過負荷状態が生じるか否かを判断する。本実施形態では、送電線過負荷検知装置102は、発電予測装置103が予測した発電電力を用いて、過負荷状態が生じるか否かの判断を行う。送電線過負荷検知装置102は、過負荷状態が生じると判断すると、遠方監視制御装置101に遮断器105の制御を要求し、送電線へ送電電力を低下させる。
【0022】
送電線過負荷検知装置102及び発電予測装置103は、例えばプロセッサ及びメモリなどを含むコンピュータ装置として構成される。送電線過負荷検知装置102と発電予測装置103とは、物理的に分離している必要はなく、1つの装置として構成されていてもよい。あるいは、送電線過負荷検知装置102及び発電予測装置103の少なくとも一方は、遠方監視制御装置101の一部であってもよい。送電線過負荷検知装置102は、図1の過負荷検出装置10に対応し、遠方監視制御装置101及び送電線過負荷検知装置102は、図1の送電制御装置20に対応する。
【0023】
図3は、送電線過負荷検知装置102の構成を示す。送電線過負荷検知装置102は、データ受信部121、データ入力部122、データ蓄積部123、区間電力算出部124、過負荷判定部125、及び遮断要求部126を有する。送電線過負荷検知装置102において、例えばデータ受信部121、区間電力算出部124、過負荷判定部125、及び遮断要求部126の機能は、コンピュータがプログラムに従って動作することで実現され得る。
【0024】
データ受信部121は、発電予測装置103から、再生可能エネルギーを利用して発電する発電機の発電電力の予測結果を示す発電予測データを取得する。発電予測装置103は、例えば翌日分の発電電力を予測する。発電予測装置103は、所定時間単位、例えば30分単位で発電電力を予測し、その予測結果を送電線過負荷検知装置102に送信する。データ受信部121は、例えば前日にその翌日の発電電力を予測した発電予測データを取得する。データ受信部121は、当日に発電電力の予測結果が変更になった場合は、変更後の発電予測データを取得する。
【0025】
また、データ受信部121は、遠方監視制御装置101から、変電所104(図2を参照)から送電線へ供給される送電電力を示すデータを含む変電所電力データを取得する。データ受信部121は、遠方監視制御装置101から、例えば送電線電流を示すデータを取得する。データ受信部121は、例えば所定の周期で、遠方監視制御装置101から現在の送電電力を示すデータを取得する。データ受信部121は、遠方監視制御装置101から、例えば30分ごとに、変電所104から送電線に送電される送電電力を示すデータと、変電所104が送電線から受電する受電電力を示すデータとを取得する。データ受信部121は、図1の発電予測データ取得手段11及び変電所電力データ取得手段12として機能する。
【0026】
データ入力部122は、送電線区間、区間電力計算式、過負荷の判定しきい値、過負荷状態が生じた場合に遮断の対象とする発電機、及びその際の遮断順位などを示す各種情報を入力する。データ入力部122は、例えばキーボードやポインティングデバイスなどの入力装置を含む。データ蓄積部123は、例えばハードディスク装置などの補助記憶装置であり、データ受信部121が取得した発電予測データ及び変電所電力データや、データ入力部122から入力された各種データを記憶する。
【0027】
区間電力算出部124は、発電予測データと変電所電力データとに基づいて、送電線の送電区間が発電機の接続ノードで分割された複数の分割区間のそれぞれについて、各分割区間の電力を示す区間電力を算出する。区間電力算出部124は、例えば送電線に対する変電所及び発電機の接続関係に応じて定義される区間電力計算式に従って、区間電力を算出する。区間電力計算式は、データ入力部122から入力され、データ蓄積部123に記憶される。区間電力計算式は、例えば送電線に接続された変電所の電力の送受電のパターンごとに定義される。
【0028】
過負荷判定部125は、区間電力算出部124で算出された区間電力に基づいて、分割区間のそれぞれについて過負荷状態が生じるか否かを判定する。過負荷判定部125は、過負荷状態の判定では、区間電力と各分割区間に対して設定された判定しきい値とを比較する。過負荷判定部125は、区間電力が判定しきい値以上の場合は過負荷状態が生じると判定し、区間電力が判定しきい値未満の場合は過負荷状態が生じないと判定する。判定しきい値は、データ入力部122から入力され、データ蓄積部123に記憶される。
【0029】
遮断要求部126は、過負荷判定部125で過負荷状態が生じると判定されると、遮断器105の遮断要求を遠方監視制御装置101に送信する。遠方監視制御装置101は、図1の遮断器制御手段21に対応する手段を有しており、遮断要求部126から送信される遮断要求に従って、発電機の遮断(遮断器105の開閉)を制御する。遮断要求部126は、過負荷判定部125で過負荷状態が生じると判定されると、過負荷状態が生じると判定された分割区間に接続される発電機の少なくとも1つに対応する遮断器105を遮断して、発電機の少なくとも1つを送電線から分離させる。遮断要求部126は、例えば分割区間ごとに設定された遮断対象の発電機を、あらかじめ定められた遮断順序に基づいて分離(遮断)させる。
【0030】
なお、上記では、送電線過負荷検知装置102が遠方監視制御装置101から変電所電力データを取得する例を説明したが、これには限定されず、送電線過負荷検知装置102が変電所104から電力データを収集することとしてもよい。また、上記では、送電線過負荷検知装置102が、遠方監視制御装置101を通じて遮断器105を開閉する例を説明したが、これには限定されない。送電線過負荷検知装置102は、遮断器制御手段21に対応する手段を有していてもよく、遠方監視制御装置101を介さずに遮断器105の開閉を制御してもよい。
【0031】
図4は、送電系統を示す。ここでは、変電所104(図2を参照)として、変電所A141と変電所B142とを考え、これら変電所A141及び変電所B142が、2つの送電線171及び172で接続されている場合を考える。変電所A141と送電線171との接続ノードをAL1とし、変電所B142と送電線171との接続ノードをBL1とする。また、変電所A141と送電線172との接続ノードをAL2とし、変電所B142と送電線172との接続ノードをBL2とする。
【0032】
変電所A141及び変電所B142は、それぞれ図示しない他の変電所や発電所にも接続されている。変電所A141及び変電所B142は、それぞれ他の変電所や発電所から電力の供給を受け、供給される電力を送電線171及び172に送電する。あるいは、変電所A141及び変電所B142は、送電線171及び172を介して電力を受電し、受電した電力を他の送電線などを介して他の変電所などに供給する。
【0033】
送電線171には、再生可能エネルギーを利用して発電する発電機(G1)161及び発電機(G2)162が、対応する遮断器(CB1)151及び遮断器(CB2)152を介して接続される。送電線171と発電機161との接続ノードをg1とし、送電線171と発電機162との接続ノードをg2とする。一方、送電線172には、再生可能エネルギーを利用して発電する発電機(G3)163及び発電機(G4)164が、対応する遮断器(CB3)153及び遮断器(CB4)154を介して接続される。送電線172と発電機163との接続ノードをg3とし、送電線172と発電機164との接続ノードをg4とする。
【0034】
上記の場合、送電線171の変電所A141と変電所B142との間の送電区間は、ノードAL1〜g1、ノードg1〜g2、及びノードg2〜BL2の3つの区間に分割される。また、送電線172の変電所A141と変電所B142との間の送電区間は、ノードAL2〜g3、ノードg3〜g4、及びノードg4〜BL2の3つの区間に分割される。区間電力算出部124(図3を参照)は、これら6つの区間(分割区間)における区間電力を算出する。
【0035】
なお、説明簡略化のために、図4には簡略化された系統図が示されているが、送電系統はより複雑なものであってもよい。例えば、送電線は途中に分岐箇所を有していてもよく、ある変電所から送電された電力が、2つの変電所で受電されてもよい。
【0036】
図5は、区間電力の算出に用いられる区間電力計算式を示す。前提として、ある送電線に対して送電を行う少なくとも1つの変電所が存在し、かつ、その送電線から受電する少なくとも1つの変電所が存在するものとする。変電所のノードの電力が「+」(0を含む正の数)の場合は変電所が送電を行う、つまり変電所からから送電線に電力(電流)が供給される旨を示し、「−」の場合は変電所が受電を行う、つまり変電所に対して送電線から電力が供給される旨を示す。
【0037】
区間電力計算式は、送電線に接続された変電所の電力の送受電のパターンごとに定義される。図5において、区間電力計算式に記述されるAL1、AL2、BL1、及びBL2は、変電所が送電線に現在送電している送電電力、又は変電所が送電線から現在受電している受電電力を表す。また、区間電力計算式に記述されるg1〜g4は、発電予測装置103(図2及び図3を参照)で予測された発電機151〜154の発電電力を表す。各分割区間の区間電力は、変電所104における送受電のパターンに応じてこれらの絶対値を加算することで、算出することができる。
【0038】
例えば、変電所A141が送電線171及び172に送電し、変電所B142が送電線171及び172から受電する場合を考える。つまり、ノードAL1及びAL2の電力が「+」で、ノードBL1及びBL2の電力が「−」である場合を考える。この場合、各分割区間の区間電力計算式は、図5のNo.1で定義される。例えば図4に示される送電線171における発電機151と発電機152との間の送電区間(区間g1〜g2)の区間電力は、変電所A141から送電線171に供給される電力AL1と、発電機151の発電電力の予測値g1との和(AL1+g1)で算出される。なお、1つの送電線から受電する変電所が複数ある場合は、分岐直前の分割区間の区間電力を、受電している変電所の現在の受電電力の比で分配して区間電力を計算すればよい。
【0039】
図6は、各分割区間に設定される判定しきい値を示す。この例では、分割区間(送電区間)AL1〜g1、g1〜g2、g2〜BL1、BL2〜g4、g4〜g3、及びg3〜AL2に対して、500MWが判定しきい値として設定されている。判定しきい値は、分割区間ごとに異なっていてもよい。過負荷判定部125(図3を参照)は、各分割区間に対して算出した区間電力と、各分割区間に対して設定された判定しきい値とを比較し、過負荷状態が生じる分割区間が存在するか否かを判断する。
【0040】
図7は、区間電力の数値例を示す。ここでは、変電所A141が送電線171及び172に対してそれぞれ送電を行う場合を考える。データ受信部121(図3を参照)は、遠方監視制御装置101から、現在のノードAL1の送電電力+100MWと、ノードAL2の送電電力+200MWとを取得し、データ蓄積部123に変電所電力データとして記憶する。また、データ受信部121は、前日に、発電予測装置103から翌日分の各発電機の発電電力の予測結果を取得しており、データ蓄積部123に発電予測データとして記憶している。
【0041】
図8は、図7の例における区間電力計算式と、計算結果、判定しきい値、及び過負荷状況の発生の有無をまとめた表を示す。上記の場合、区間電力算出部124は、図5のNo.1の区間電力計算式を用いて、各分割区間の区間電力を算出する。区間電力算出部124は、例えばデータ受信部121が新たな変電所電力データを取得しデータ蓄積部123に記憶すると、その変電所電力データをデータ蓄積部123から読み出す。また、区間電力算出部124は、現在時刻が属する時間帯の次の時間帯における発電予測データをデータ蓄積部123から読み出す。区間電力算出部124は、読み出した変電所電力データと発電予測データとを区間電力計算式に適用し、次の時間帯のおける各分割区間の区間電力(その予測値)を算出する。
【0042】
区間電力算出部124は、現在時刻が属する時間帯の次の時間帯において、例えばノードAL1〜g1の分割区間の区間電力が100MW、ノードg1〜g2の分割区間の区間電力が200MW、ノードg2〜BL1の分割区間の区間電力が300MWであるという計算結果を出力する。また、区間電力算出部124は、次の時間帯において、ノードBL2〜g4の分割区間の区間電力が600MW、ノードg4〜g3の分割区間の区間電力が400MW、ノードg3〜AL2の分割区間の区間電力が200MWであるという計算結果を出力する。
【0043】
過負荷判定部125は、区間電力算出部124が計算した各分割区間の区間電力と判定しきい値とを比較する。各分割区間の判定しきい値が500MWであった場合、過負荷判定部125は、分割区間BL2〜g4の区間電力(600MW)が判定しきい値(500MW)を超えていると判定し、次の時間帯において、その区間で過負荷状態が生じると判断する。他の分割区間については、区間電力は判定しきい値を下回っているため、次の時間帯において過負荷状態は生じないと判断できる。
【0044】
図9は、分割区間と過負荷が生じた場合に遮断する発電機との対応関係を示す。例えば管理者は、事前に、過負荷状態が生じると判断された場合に遮断する発電機及びその遮断順序を設定する情報を、データ入力部122(図3を参照)を用いて送電線過負荷検知装置102に入力している。遮断要求部126は、何れかの区間で過負荷状態が生じると判断されると、図9に示される情報を参照して、どの発電機を遮断するか、つまりどの発電機に対応する遮断器を「開」にするかを決定する。
【0045】
遮断要求部126は、遠方監視制御装置101を通じて、分割区間ごとに設定された遮断順位で、過負荷状態が解消するまで発電機を遮断する。遮断要求部126は、例えば分割区間BL2〜g4において過負荷状態が生じると判断された場合、遠方監視制御装置101に対して、発電機G4、G3、G2、G1の順で、対応する遮断器CB4、CB3、CB2、CB1を「開」に制御することを要求する。なお、分割区間BL2〜g4は送電線172の送電区間に含まれており、送電線172には発電機(G1)161及び発電機(G2)162は直接接続されていない。発電機161及び162の遮断が、送電線172において生じる過負荷状態の解消に有効でない場合、それら発電機は遮断順位から除外されていてもよい。
【0046】
以下、動作手順を示す。図10は、遮断時の動作手順を示す。管理者などは、データ入力部122(図3を参照)を用いて、システムの動作に必要な各種情報(データ)を入力する(ステップA1)。ステップA1では、例えば送電線の送電区間を発電所や変電所で分割した分割区間を示す情報、各区間の区間電力計算式を定義する情報、区間ごとに設定された判定しきい値を示す情報、過負荷状態が生じる場合に遮断する発電機を指定する情報、及び遮断順位を示す情報などが入力される。ステップA1で入力された情報は、データ蓄積部123に記憶される。
【0047】
データ受信部121は、発電予測装置103から発電予測データを取得する(ステップA2)。データ受信部121は、例えば発電予測装置103から、翌日分の発電予測結果を示す発電予測データを取得し、データ蓄積部123に記憶する。発電予測データの取得は、例えば1日に1回実施される。発電予測装置103が生成する発電予測データが変更された場合は、変更後の発電予測データがデータ蓄積部123に記憶され、以降の処理において使用される。
【0048】
データ受信部121は、遠方監視制御装置101から、変電所の現在の変電所電力データを取得する(ステップA3)。データ受信部121は、例えば所定時間が経過するごとに、定期的に遠方監視制御装置101から変電所電力データを取得し、データ蓄積部123に記憶する。
【0049】
区間電力算出部124は、ステップA2で取得された発電予測データと、ステップA3で取得された変電所電力データとを用いて、各分割区間の区間電力を算出する(ステップA4)。区間電力算出部124は、ステップA4では、例えば前日に取得された当日分の発電予測データと、現在の変電所電力データとに基づいて、分割区間のそれぞれについて区間電力を算出する。区間電力算出部124は、既に遮断された発電機がある場合は、その発電機を除外して区間電力を算出する。
【0050】
過負荷判定部125は、ステップA4で算出された各分割の区間電力と、各分割区間の判定しきい値とを比較し、区間電力が判定しきい値以上であるか否かを判断する(ステップA5)。過負荷判定部125は、区間電力が判定しきい値以上である分割区間が存在する場合は、その分割区間において過負荷状態が生じると判定する。区間電力が判定しきい値よりも小さいと判断された場合、処理はステップA3に戻り、ステップA3において次の変電所電力データが取得される。
【0051】
遮断要求部126は、ステップA5で過負荷状態が生じると判定されると、遠方監視制御装置101に遮断要求を送信し、送電線に接続される発電機の少なくとも1つを遮断する(ステップA6)。遮断要求部126は、例えば現在時刻が、過負荷状態が生じると判定された時間帯の開始時刻になると、遠方監視制御装置101に遮断要求を送信する。発電機が遮断されることで、送電線へ供給される電力が低下し、過負荷状態の発生を事前に回避することが可能である。その後、処理はステップA3に戻り、ステップA3において次の変電所電力データが取得される。
【0052】
なお、上記手順に従って遮断された遮断器(発電機)は、その発電機から送電線への送電を再開した場合でも過負荷状態が生じないと判定された場合に、復旧させることができる。例えば、遮断要求部126は、遮断器の遮断が実施された後で、かつ遮断された遮断器が再投入された場合でも過負荷状態が生じないと判定される場合は、遮断した遮断器の再投入を遠方監視制御装置101に要求してもよい。
【0053】
図11は、遮断器の復旧時の手順を示す。区間電力算出部124は、遮断中の発電機があるか否かを判断する(ステップB1)。遮断中の発電機がない場合、処理はステップB1に戻る。区間電力算出部124は、ステップB1で遮断中の発電機があると判断した場合、発電機が復旧した場合の区間電力、つまり対応する遮断器が「閉」の場合の区間電力を算出する(ステップB2)。区間電力算出部124は、ステップB2では、例えば区間電力計算式に、遮断中の発電機の発電電力が含まれる分割区間について、区間電力を算出する。
【0054】
過負荷判定部125は、ステップB2で算出された区間電力が、発電機の復旧に関連した復旧しきい値以下であるか否かを判断する(ステップB3)。復旧しきい値は、例えば、過負荷状態か否かの判定に用いられる判定しきい値よりも少し低い値に設定される。遮断要求部126は、ステップB3で区間電力が復旧しきい値以下であると判断されると、遠方監視制御装置101に復旧要求を送信し、遮断中の発電機に対応する遮断器を「閉」に制御する(ステップB4)。遮断器が「閉」となることで、発電機から送電線への送電が再開される。
【0055】
ステップB3で区間電力が復旧しきい値よりも大きいと判断された場合、処理はステップB1に戻る。区間電力算出部124は、例えば新たな変電所電力データが得られるたびにステップB2を実行し、区間電力の算出結果を更新する。このようにすることで、過負荷状態が解消した場合に、発電機を送電系統に自動で復帰させることができる。なお、遮断された発電機の送電系統への復帰は、遠方監視制御装置101のオペレータが手動で実施してもよい。
【0056】
本実施形態では、送電線過負荷検知装置102は、発電予測装置103から再生可能エネルギーの発電電力の予測結果を取得する。送電線過負荷検知装置102は、送電線の分割区間ごとに、発電電力の予測結果を用いて、過負荷状態が生じるか否かを判定する。本実施形態では、過負荷状態が生じるか否かの判定に、再生可能エネルギーの発電電力の予測結果が用いられる。予測結果を用いて過負荷状態が生じるか否かを判定することで、実際に過負荷状態が生じる前に、過負荷状態が生じることを検知することができる。このため、再生可能エネルギーの発電電力が急激に増加するような場合でも、過負荷状態の発生を事前に検知することができ、送電線の破損や停電などの事態を防ぐことができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に対して変更や修正を加えたものも、本発明に含まれる。
【0058】
上記実施形態において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記憶媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、又はハードディスクなどの磁気記録媒体、例えば光磁気ディスクなどの光磁気記録媒体、CD(compact disc)、又はDVD(digital versatile disk)などの光ディスク媒体、及び、マスクROM(read only memory)、PROM(programmable ROM)、EPROM(erasable PROM)、フラッシュROM、又はRAM(random access memory)などの半導体メモリを含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)を用いてコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバなどの有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0059】
例えば、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0060】
[付記1]
再生可能エネルギーを利用して発電し、遮断器を介して接続される送電線に電力を供給する発電機の発電電力量の予測結果を示す発電予測データを取得する発電予測データ取得手段と、
変電所から前記送電線へ供給される送電電力量を示すデータを含む変電所電力データを取得する変電所電力データ取得手段と、
前記発電予測データと前記変電所電力データとに基づいて、前記送電線の送電区間が前記発電機の接続ノードで分割された複数の分割区間のそれぞれについて、各分割区間の電力量を示す区間電力データを算出する区間電力算出手段と、
前記区間電力データと各分割区間に対して設定されたしきい値とを比較し、前記分割区間のそれぞれについて過負荷状態が生じるか否かを判定する過負荷判定手段とを備える過負荷検出装置。
【0061】
[付記2]
前記発電予測データ取得手段は、前日に当日の発電電力量を予測した発電予測データを取得する付記1に記載の過負荷検出装置。
【0062】
[付記3]
前記発電予測データ取得手段は、当日に前記発電機の発電電力量の予測が変更された場合は、変更後の発電予測データを取得する付記2に記載の過負荷検出装置。
【0063】
[付記4]
前記区間電力算出手段は、前記送電線に対する前記変電所及び前記発電機の接続関係に応じて定義される区間電力計算式に従って前記区間電力データを算出する付記1から3何れか1つに記載の過負荷検出装置。
【0064】
[付記5]
前記区間電力計算式は、前記送電線に接続された変電所の電力の送受電のパターンごとに定義される付記4に記載の過負荷検出装置。
【0065】
[付記6]
再生可能エネルギーを利用して発電し、遮断器を介して接続される送電線に電力を供給する発電機の発電電力量の予測結果を示す発電予測データを取得する発電予測データ取得手段と、
変電所から前記送電線へ供給される送電電力量を示すデータを含む変電所電力データを取得する変電所電力データ取得手段と、
前記発電予測データと前記送受電電力データとに基づいて、前記送電線の送電区間が前記発電機の接続ノードで分割された複数の分割区間のそれぞれについて、各分割区間の電力量を示す区間電力データを算出する区間電力算出手段と、
前記区間電力データと各分割区間に対して設定されたしきい値とを比較し、前記分割区間のそれぞれについて過負荷状態が生じるか否かを判定する過負荷判定手段と、
前記過負荷判定手段における判定結果に応じて前記遮断器を制御する遮断器制御手段とを備える送電制御装置。
【0066】
[付記7]
前記遮断器制御手段は、前記過負荷判定手段が過負荷状態が生じると判定すると、過負荷状態が生じると判定された分割区間に接続される発電機の少なくとも1つに対応する遮断器を遮断して、前記発電機の少なくとも1つを前記送電線から切り離す付記6に記載の送電制御装置。
【0067】
[付記8]
前記遮断器制御手段は、あらかじめ定められた優先順位に従った順序で前記遮断器を遮断する付記7に記載の送電制御装置。
【0068】
[付記9]
前記遮断器制御手段は、前記遮断器の遮断を実施した後で、かつ前記過負荷判定手段が前記遮断された遮断器が再投入された場合に過負荷状態が生じないと判定した場合、前記遮断した遮断器の再投入を行う付記7又は8に記載の送電制御装置。
【0069】
[付記10]
前記発電予測データを生成する発電予測装置を更に有する付記6から9何れか1つに記載の送電制御装置。
【0070】
[付記11]
再生可能エネルギーを利用して発電し、遮断器を介して接続される送電線に電力を供給する発電機の発電電力量を予測し、
変電所から前記送電線へ供給される送電電力量を示すデータを含む変電所電力データを取得し、
前記発電機の発電電力量の予測結果を示す発電予測データと前記変電所電力データとに基づいて、前記送電線の送電区間が前記発電機の接続ノードで分割された複数の分割区間のそれぞれについて、各分割区間の電力量を示す区間電力データを算出し、
前記区間電力データと各分割区間に対して設定されたしきい値とを比較し、前記分割区間のそれぞれについて過負荷状態が生じるか否かを判定する過負荷検出方法。
【0071】
[付記12]
再生可能エネルギーを利用して発電し、遮断器を介して接続される送電線に電力を供給する発電機の発電電力量を予測し、
変電所から前記送電線へ供給される送電電力量を示すデータを含む変電所電力データを取得し、
前記発電機の発電電力量の予測結果を示す発電予測データと前記変電所電力データとに基づいて、前記送電線の送電区間が前記発電機の接続ノードで分割された複数の分割区間のそれぞれについて、各分割区間の電力量を示す区間電力データを算出し、
前記区間電力データと各分割区間に対して設定されたしきい値とを比較し、前記分割区間のそれぞれについて過負荷状態が生じるか否かを判定し、
前記過負荷状態が生じるか否かの判定結果に応じて前記遮断器を制御する送電制御方法。
【0072】
[付記13]
コンピュータに、
再生可能エネルギーを利用して発電し、遮断器を介して接続される送電線に電力を供給する発電機の発電電力量の予測結果を示す発電予測データを取得し、
変電所から前記送電線へ供給される送電電力量を示すデータを含む変電所電力データを取得し、
前記発電予測データと前記変電所電力データとに基づいて、前記送電線の送電区間が前記発電機の接続ノードで分割された複数の分割区間のそれぞれについて、各分割区間の電力量を示す区間電力データを算出し、
前記区間電力データと各分割区間に対して設定されたしきい値とを比較し、前記分割区間のそれぞれについて過負荷状態が生じるか否かを判定する処理を実行させるためのプログラム。
【0073】
[付記14]
コンピュータに、
再生可能エネルギーを利用して発電し、遮断器を介して接続される送電線に電力を供給する発電機の発電電力量の予測結果を示す発電予測データを取得し、
変電所から前記送電線へ供給される送電電力量を示すデータを含む変電所電力データを取得し、
前記発電予測データと前記変電所電力データとに基づいて、前記送電線の送電区間が前記発電機の接続ノードで分割された複数の分割区間のそれぞれについて、各分割区間の電力量を示す区間電力データを算出し、
前記区間電力データと各分割区間に対して設定されたしきい値とを比較し、前記分割区間のそれぞれについて過負荷状態が生じるか否かを判定し、
前記過負荷状態が生じるか否かの判定結果に応じて前記遮断器を制御する処理を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0074】
10:過負荷検出装置
11:発電予測データ取得手段
12:変電所電力データ取得手段
13:区間電力算出手段
14:過負荷判定手段
20:送電制御装置
21:遮断器制御手段
101:遠方監視制御装置
102:送電線過負荷検知装置
103:発電予測装置
104、141、142:変電所
105、151〜154:遮断器
121:データ受信部
122:データ入力部
123:データ蓄積部
124:区間電力算出部
125:過負荷判定部
126:遮断要求部
161〜164:発電機
171、172:送電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11