(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
(スロットマシン100の機械的構成)
図1および
図2の外観図に示すように、遊技機としてのスロットマシン100は、前面が開口した筐体102と、筐体102の前面一端に回動可能に上下に並んで配置される前面上扉104および前面下扉106とが設けられている。前面上扉104の下部略中央には、ガラス板や透明樹脂板等で構成された無色透明の図柄表示窓108が設けられており、筐体102内の図柄表示窓108に対応した位置には、3つのリール110(左リール110a、中リール110b、右リール110c)が、それぞれ独立して回動可能に設けられている。左リール110a、中リール110b、右リール110cには、
図3(a)の図柄配列に示すように、21に等分された各領域に複数種類の図柄がそれぞれ配列されており、遊技者は、図柄表示窓108を通じて、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれの3つの連続する図柄(上段、中段、下段)を視認することができる。
【0014】
前面下扉106の上部には操作部設置台112が形成され、操作部設置台112には、メダル投入部114、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120、演出スイッチ122等が設けられている。メダル投入部114は、メダル投入口114aを通じて遊技媒体としてのメダルの投入を受け付ける。ベットスイッチ116は、スロットマシン100の内部に電気的に貯留(以下、単にクレジットという)されているメダルのうち、1回の遊技で必要とされる規定数のメダルを投入(ベット)する。
【0015】
スタートスイッチ118は、例えば傾倒操作を検出可能なレバーで構成され、遊技者による遊技の開始操作を検出する。ストップスイッチ120(ストップスイッチ120a、ストップスイッチ120b、ストップスイッチ120c)は、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれに対応して設けられており、遊技者の停止操作を検出する。演出スイッチ122は、例えば、押圧スイッチと、その周囲に回転自在に配されたジョグダイヤルスイッチとから構成され、遊技者の押圧操作や回転操作を検出する。
【0016】
前面上扉104の上部略中央には、演出に伴う様々な画像を表示する液晶表示部124が設けられている。また、前面上扉104の上部や左右には、例えば高輝度の発光ダイオード(LED)によって構成される演出用ランプ126が設けられる。また、前面上扉104の裏面における液晶表示部124の左右位置や前面下扉106の裏面における内面左右位置には、効果音や楽音等による聴覚的な演出を行うスピーカ128が設けられている。
【0017】
操作部設置台112には、メインクレジット表示部130およびメイン払出表示部132が設けられている。また、図柄表示窓108と操作部設置台112との間には、サブクレジット表示部134およびサブ払出表示部136が設けられている。これらメインクレジット表示部130およびサブクレジット表示部134にはクレジットされているメダルの枚数(クレジット枚数)が表示され、メイン払出表示部132およびサブ払出表示部136にはメダルの払出枚数が表示される。
【0018】
筐体102内におけるリール110の下方には、メダル排出口140aからメダルを払い出すためのメダル払出装置(メダルホッパー)142が設けられている。また、前面下扉106の前面下部には、メダル排出口140aから払い出されたメダルを貯留するための受け皿部140が設けられている。また、筐体102内には、電源スイッチ144が設けられている。電源スイッチ144は、スロットマシン100を管理する管理者が操作し、電源の切断状態と電源の投入状態の2つの状態を切り換えるために用いられる。
【0019】
スロットマシン100では、メダルがベットされると、有効ラインAが有効化するとともに、スタートスイッチ118に対する操作が有効となり、遊技が開始可能となる。ここで、ベットは、ベットスイッチ116の操作を通じてクレジットされているメダルを投入する場合と、メダル投入部114を通じてメダルを投入する場合と、詳しくは後述するリプレイ役が有効ラインA上に表示されたことに基づいてメダルを自動投入する場合のいずれも含む。また、有効ラインAは、当選役の入賞を判定するためのラインであり、本実施形態では1本である。有効ラインAは、
図3(b)に示すように、図柄表示窓108に臨む9つの図柄(3リール×上中下の3段)のうち、左リール110aの中段、中リール110bの中段、右リール110cの中段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインに設定されている。無効ラインは、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせのみでは当選役を把握しにくい場合に、当選役の把握を容易にする他の図柄組み合わせを表示する、当選役の入賞判定には用いられない有効ラインA以外のラインであり、本実施形態では、
図3(b)に示す4つの無効ラインB1、B2、C1、C2を想定している。
【0020】
そして、遊技が開始可能な状態で、遊技者によりスタートスイッチ118が操作されると、遊技が開始され、左リール110a、中リール110b、右リール110cが回転されるとともに、当選種別抽選等が実行される。その後、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cをそれぞれ停止させる。そして、当選種別抽選の抽選結果および有効ラインAに表示された図柄の組み合わせによって、メダルの払い出しを受け得る当選役に入賞した場合にはメダルの払い出しが実行され、メダルの払い出しを受け得る当選種別に非当選であった場合または当選したが入賞しなかった場合には左リール110a、中リール110b、右リール110cが全て停止したことをもって、遊技が終了する。
【0021】
(スロットマシン100の電気的構成)
図4は、スロットマシン100の概略的な電気的構成を示したブロック図である。
図4に示すように、スロットマシン100は、遊技の進行を制御する主制御基板200と、遊技の進行に応じた演出を制御する副制御基板202とを含む制御基板が設けられている。また、主制御基板200と副制御基板202との間の電気的な信号の伝達は、不正防止等の観点から、主制御基板200から副制御基板202への一方向のみに制限される。
【0022】
(主制御基板200)
主制御基板200は、中央処理装置であるメインCPU200a、プログラム等が格納されたメインROM200b、ワークエリアとして機能するメインRAM200c等を含む半導体集積回路を有し、スロットマシン100全体を統括的に制御する。なお、メインRAM200cは、電源が切断された場合においても、設定変更が行われてRAMクリアが実行されない限り、データが消去されることなく保持される。
【0023】
また、主制御基板200は、メインCPU200aが、メインROM200bに格納されたプログラムに基づきメインRAM200cと協働することで機能する、初期化手段300、ベット手段302、当選種別抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、状態制御手段312、コマンド送信手段314、外部出力手段316等の機能部を有する。
【0024】
主制御基板200では、メダル投入口114aへのメダルの投入を検出する投入メダル検出部114b、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118およびストップスイッチ120から各種の検出信号を受信しており、受信した検出信号に基づいて、メインCPU200aが種々の処理を実行する。
【0025】
初期化手段300は、主制御基板200における初期化処理を実行する。ベット手段302は、遊技に使用するためのメダルをベットする。当選種別抽選手段304は、スタートスイッチ118の操作に基づき、詳しくは後述するように、当選役の当否、より詳しくは、当選役が含まれる当選種別の当否を決定する当選種別抽選を行う。
【0026】
リール制御手段306は、スタートスイッチ118の操作に応じて、左リール110a、中リール110b、右リール110cを回転制御し、回転している左リール110a、中リール110b、右リール110cにそれぞれ対応したストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cを停止制御する。
【0027】
また、主制御基板200には、リール駆動制御部150が接続されている。このリール駆動制御部150は、スタートスイッチ118の操作信号に応じ、リール制御手段306から送信される、左リール110a、中リール110b、右リール110cの回転開始信号に基づいて、ステッピングモータ152を駆動する。また、リール駆動制御部150は、ストップスイッチ120の操作信号に応じ、リール制御手段306から送信される、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれの停止信号および回転位置検出回路154の検出信号に基づいて、ステッピングモータ152の駆動を停止する。
【0028】
判定手段308は、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたか否か判定する。ここで、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることを単に入賞という場合がある。払出制御手段310は、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたこと(入賞されたこと)に基づいて、当該当選役に対応する数だけメダルを払い出す。また、主制御基板200には、メダル払出装置142が接続されており、払出制御手段310は、メダルの払出枚数を計数しながらメダルを排出する。
【0029】
状態制御手段312は、複数種類の遊技状態のいずれかに遊技状態を移行させる遊技状態制御手段320と、複数種類の演出状態のいずれかに演出状態を移行させる演出状態制御手段322とが設けられており、遊技状態および演出上を含む遊技状況を制御する。
【0030】
コマンド送信手段314は、ベット手段302、当選種別抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、状態制御手段312等の動作に伴う、遊技に関するコマンドを順次決定し、決定したコマンドを副制御基板202に順次送信する。
【0031】
また、主制御基板200には、乱数発生器(乱数生成手段)200dが設けられる。乱数発生器200dは、計数値を順次インクリメントし、所定の数値範囲内でループさせ、所定の時点における計数値を抽出することで乱数を得る。主制御基板200の乱数発生器200dによって生成される乱数(以下、当選種別抽選乱数という)は、当選種別抽選手段304が当選種別を決定するために用いられる。
【0032】
(副制御基板202)
また、副制御基板202は、主制御基板200と同様に、中央処理装置であるサブCPU202a、プログラム等が格納されたサブROM202b、ワークエリアとして機能するサブRAM202c等を含む各種半導体集積回路を有し、主制御基板200からのコマンドに基づき、特に演出を制御する。また、サブRAM202cにもメインRAM200c同様、不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、データが消去されることなく保持される。なお、副制御基板202にも、主制御基板200同様、乱数発生器(乱数生成手段)202dが設けられており、乱数発生器202dによって生成される乱数(以下、演出抽選乱数という)は、主に演出の態様を決定するために用いられる。
【0033】
また、副制御基板202は、サブCPU202aが、サブROM202bに格納されたプログラムに基づき、サブRAM202cと協働することで機能する、初期化決定手段330、コマンド受信手段332、演出制御手段334等の機能部を有する。
【0034】
初期化決定手段330は、副制御基板202における初期化処理を実行する。コマンド受信手段332は、主制御基板200等、他の制御基板からのコマンドを受信し、コマンドに対する処理を行う。演出制御手段334は、演出スイッチ122から検出信号を受信するとともに、受信されたコマンドに基づいて液晶表示部124、スピーカ128、演出用ランプ126の各デバイスで行われる遊技の演出を決定する。具体的に、演出制御手段334は、液晶表示部124に表示される画像データや、演出用ランプ126、サブクレジット表示部134、サブ払出表示部136等の電飾機器を通じた演出のための電飾データを決定するとともに、スピーカ128から出力すべき音声を構成する音声データを決定する。そして、演出制御手段334は、決定した遊技の演出を実行する。より具体的には、副制御基板202に設けられた画像IC202e(画像生成手段)は、演出制御手段334によって決定された演出に基づく画像データを順次生成(描画)し、生成した画像データを液晶表示部124に出力することで、画像データに対応する画像を液晶表示部124に表示させる。なお、演出には、後述するART遊技状態(AT状態)において、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作態様を報知し、払出枚数の多い特定の当選役の入賞を補助する補助演出も含まれる。
【0035】
(主制御基板200で用いられるテーブル)
図5は、当選役を説明するための説明図であり、
図6は、当選種別抽選テーブルを説明するための説明図である。
【0036】
スロットマシン100においては、詳しくは後述するように、複数種類の遊技状態および演出状態が設けられており、遊技の進行に応じて遊技状態および演出状態が移行される。そして、主制御基板200では、遊技状態制御手段320により管理、制御される遊技状態に対応する複数の当選種別抽選テーブル等がメインROM200bに格納されている。当選種別抽選手段304は、メインRAM200cに記憶された現在の設定値(遊技利益を得る容易性を段階的に示したもの)と現在の遊技状態に応じて、対応する当選種別抽選テーブルをメインROM200bから抽出し、抽出した当選種別抽選テーブルに基づき、スタートスイッチ118の操作信号に応じて取得された当選種別抽選乱数が当選種別抽選テーブル内のいずれの当選種別に対応するか判定する。
【0037】
ここで、当選種別抽選テーブルで抽出される当選種別を構成する当選役には、リプレイ役、小役、ボーナス役が含まれる。リプレイ役は、リプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されると、遊技者によるメダルの新たなるベットを行わずして再度遊技を実行できる役であり、小役は、その小役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることにより、図柄組み合わせに応じて所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、ボーナス役は、そのボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることにより、遊技状態制御手段320により管理される遊技状態をボーナス遊技状態に移行させることができる役である。
【0038】
本実施形態における当選役は、
図5に示すように、リプレイ役として、当選役「通常リプレイ」、「移行リプレイ1」〜「移行リプレイ7」(以下、かかる8つのリプレイ役を単に当選役「リプレイ役」と略す場合がある)が設けられている。また、小役として、当選役「維持ベル1」〜「維持ベル24」(以下、かかる24つの小役を単に当選役「維持ベル」と略す場合がある)、当選役「増加ベル1」〜「増加ベル2」(以下、かかる2つの小役を単に当選役「増加ベル」と略す場合がある)、当選役「チェリー」が設けられている。また、ボーナス役として、「RBB1」、「RBB2」、「RBB3」、「CBB」(以下、当選役「RBB1」、「RBB2」、「RBB3」、「CBB」の4つを単に当選役「BB」と略す場合がある)が設けられている。
図5では、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれに、各当選役を構成する1または複数の図柄が対応付けられている。
【0039】
ここで、本実施形態においては、遊技者によってストップスイッチ120が操作されたときに、入賞可能な当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ラインA上にある場合には、リール制御手段306によって、当該図柄が有効ラインA上に停止するように停止制御がなされる。また、ストップスイッチ120が操作されたときに、入賞可能な当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が、有効ラインA上にはないが、リール110の回転方向と反対の方向の図柄4コマ分に相当する範囲(引込範囲)内に存在している場合には、リール制御手段306によって、離れている図柄数が滑りコマ数となり、当該当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持した後に停止するように停止制御がなされる。また、入賞可能な当選役に対応する図柄がリール110中に複数あり、いずれもリール110の引込範囲内に存在している場合には、予め定められた優先順位に従っていずれの図柄を有効ラインA上に引き込むか決定され、当該優先された図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持した後に停止するように停止制御がなされる。なお、ストップスイッチ120が押圧操作されたときに、入賞可能な当選役以外の当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ラインA上にある場合には、リール制御手段306によって、その図柄を有効ラインA上に停止させないようにする、所謂蹴飛ばし処理も並行して実行される。また、後述するように、当選種別に含まれる当選役に操作態様(操作順や操作タイミング)が入賞条件として設定されている場合、リール制御手段306は、遊技者の操作態様にも応じて当選役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示可能に停止制御する。
【0040】
そして、当選役「通常リプレイ」、当選役「移行リプレイ3」〜「移行リプレイ7」、当選役「増加ベル」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄は、各リール110において、上記の停止制御によって、必ず有効ラインA上に表示可能なように配列されている。一方、当選役「移行リプレイ1」〜「移行リプレイ2」、当選役「維持ベル」、「チェリー」、「BB」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄は、各リール110において、上記の停止制御によって、必ずしも有効ラインA上に表示可能なように配列されていないので、所謂とりこぼしが発生する場合がある。
【0041】
図6に示すように、当選種別抽選テーブルでは、複数の当選領域が区画されており、各遊技状態によって抽選の対象となる当選種別が異なったり、ハズレ(不当選)の有無が異なったりする。
図6では、各遊技状態(非RT状態(非RT)、RT1状態(RT1)、RT2状態(RT2)、RT3状態(RT3)、内部中遊技状態(内部中)、ボーナス遊技状態(BB))毎に割り当てられた当選領域(当選種別)を「○」で表しているが、実際には、複数の遊技状態それぞれに対応する当選種別抽選テーブルがメインROM200bに記憶されている。当選種別抽選テーブルでは、区画化された各当選領域にはそれぞれ当選範囲を示す数値である所定の置数(当選範囲値)と当選種別が対応付けられており、遊技状態毎に割り当てられた全ての当選領域の置数を合計すると当選種別抽選乱数の総数(65536)となる。当選種別抽選手段304は、その時点の遊技状態に基づいて、当該当選種別抽選テーブルにおける複数の当選領域のうち番号の高い方から、順次、置数を取得し、その置数を当選種別抽選乱数から減算して、その減算値が0未満となると、その時点の当選領域に対応付けられた当選種別を当選種別抽選の抽選結果としている。
【0042】
図6の当選種別抽選テーブルによれば、当選領域1には、当選役「通常リプレイ」が単独で含まれる当選種別「通常リプレイ」が対応付けられており、当該当選種別「通常リプレイ」の当選に応じて当選役「通常リプレイ」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができる。当選領域2〜13には、詳しくは後述する、RT状態を移行させるための当選役「移行リプレイ1」〜「移行リプレイ7」と、当選役「通常リプレイ」とが重複して含まれる当選種別「移行リプレイ1」〜「移行リプレイ12」がそれぞれ対応付けられている。このように、複数の当選役が重複して含まれる当選種別に当選した場合には、いずれの当選役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に優先的に表示させるかについての入賞条件、例えば、ストップスイッチ120a、120b、120cが操作される順番が設定されている。
【0043】
以下の説明において、左リール110a、中リール110b、右リール110cの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順1」とし、左リール110a、右リール110c、中リール110bの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順2」とし、中リール110b、左リール110a、右リール110cの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順3」とし、中リール110b、右リール110c、左リール110aの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順4」とし、右リール110c、左リール110a、中リール110bの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順5」とし、右リール110c、中リール110b、左リール110aの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順6」とする。
【0044】
例えば、RT1状態において、当選種別「移行リプレイ1」に当選し、打順1による操作が行われた場合、RT2状態への移行を示す当選役「移行リプレイ4」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に優先的に表示されるように停止制御がなされる。また、打順2〜打順6による操作が行われた場合、当選役「通常リプレイ」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に優先的に表示されるように停止制御がなされる。
【0045】
当選領域14〜25には、当選役「増加ベル」と当選役「維持ベル」とが重複して含まれる当選種別「選択ベル左1」〜「選択ベル右4」(以下、かかる12つの当選種別を単に当選種別「選択ベル」と略す場合がある)がそれぞれ対応付けられている。なお、当選領域14〜25の当選確率(置数の数)は等しくなるように設定されている。遊技者は、通常、いずれの当選種別に当選しているのかを知ることができないため、上記のような当選領域14〜25を設けることにより、当選役「増加ベル」を入賞させにくくしている。また、当選役「維持ベル」が優先的に表示される打順でストップスイッチ120a、120b、120cが操作されても、必ずしも当選役「維持ベル」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させられるとは限らないので、その操作態様によっては、とりこぼしが発生することがある。
【0046】
当選領域26には、当選役「増加ベル」と当選役「維持ベル」とが重複して含まれる当選種別「共通ベル」が対応付けられており、当選領域27には、当選役「チェリー」が単独で含まれる当選種別「チェリー」が対応付けられており、当選領域28〜31には、当選役「RBB1」、「RBB2」、「RBB3」、「CBB」がそれぞれ単独で含まれる当選種別「RBB1」、「RBB2」、「RBB3」、「CBB」が対応付けられている。なお、以下では、当選種別「RBB1」、「RBB2」、「RBB3」、「CBB」を纏めて当選種別「BB」と称する場合がある。
【0047】
当選領域32には、当選種別「ハズレ」が対応付けられており、かかる当選種別に当選すると、
図5に示したいずれの当選役に対応する図柄組み合わせも有効ラインA上に表示されることなく、メダルの払い出し等が行われることはない。ただし、後述するように、BB内部当選フラグが次遊技に持ち越されている場合、当選種別「ハズレ」の当選により、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることが可能となる。
【0048】
なお、上述したいずれかの当選種別に当選すると、それぞれの当選種別に対応する内部当選フラグが成立(オン)するとともに、この内部当選フラグの成立状況に応じて、各リール110の停止制御がなされることとなる。このとき、小役が含まれる当選種別に当選したものの、これら当選役に対応する図柄組み合わせを、その遊技内で有効ラインA上に表示させることができなかった場合には、当該遊技の終了後に内部当選フラグがオフされる。つまり、小役の当選の権利は小役が含まれる当選種別に当選した遊技内のみに限られ、当該権利を次遊技に持ち越すことはできない。これに対して、当選役「BB」が含まれる当選種別に当選した場合には、BB内部当選フラグが成立(オン)するとともに、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されるまで、BB内部当選フラグが遊技を跨いで持ち越される。なお、リプレイ役である当選役「リプレイ」が含まれる当選種別に対応する内部当選フラグが成立した場合には、その当選役に対応する図柄組み合わせが必ず有効ラインA上に表示され、メダルを要することなく次遊技を行うために必要となる処理が行われた後に、当該内部当選フラグがオフされる。
【0049】
(遊技状態の移行)
図7は、遊技状態の移行を説明するための図である。ここでは、通常遊技状態、内部中遊技状態、ボーナス遊技状態といった複数の遊技状態が設けられている。また、通常遊技状態では、非RT状態、RT1状態、RT2状態、RT3状態といった複数のRT状態が設けられている。
【0050】
非RT状態、RT1状態、RT2状態、RT3状態は、それぞれリプレイ役の当選確率が、非RT状態=1/7.3、RT1状態=1/1.4、RT2状態=1/1.4、RT3状態=1/7.3に設定されている。ここでは、RT1状態のリプレイ役の当選確率が比較的高く設定されており、遊技者はRT1状態に移行することで、遊技を有利に進行することができる。また、RT1状態では、補助演出を行うAT状態を並行して実行することを想定しており、本実施形態においては、RT1状態と並行してAT状態を実行している状態をART遊技状態という。
【0051】
通常遊技状態における非RT状態は、複数の遊技状態における初期状態に相当する遊技状態である。非RT状態において、当選種別「選択ベル」に当選し、かつ、いずれの小役(当選役「増加ベル」、「維持ベル」)に対応する図柄の組み合わせも有効ラインA上に表示されなかった場合、つまり、とりこぼしが発生した場合に、遊技状態制御手段320は、遊技状態をRT1状態に移行させる。
【0052】
また、RT1状態において、当選種別「移行リプレイ1」〜「移行リプレイ6」のいずれかに当選し、かつ、当選役「移行リプレイ4」に対応する図柄組み合わせが表示された場合に、遊技状態制御手段320は、遊技状態をRT2状態に移行させる。
【0053】
また、RT2状態において、当選種別「移行リプレイ7」〜「移行リプレイ12」のいずれかに当選し、かつ、当選役「移行リプレイ5」または当選役「移行リプレイ6」に対応する図柄組み合わせが表示された場合に、遊技状態制御手段320は、遊技状態をRT3状態に移行させる。一方、RT2状態において、当選種別「選択ベル」に当選し、かつ、いずれの小役に対応する図柄の組み合わせも有効ラインA上に表示されなかった場合、つまり、とりこぼしが発生した場合に、遊技状態制御手段320は、遊技状態をRT1状態に移行させる。
【0054】
また、遊技状態制御手段320は、RT3状態において、当選種別「BB」に当選することなく、規定遊技数(例えば、256遊技)が経過すると、遊技状態を非RT状態に移行させる。
【0055】
また、通常遊技状態において、非RT状態、RT1状態、RT2状態、RT3状態のいずれであっても、当選種別「BB」に当選し、BB内部当選フラグが成立すると、遊技状態制御手段320は、遊技状態を、ボーナス遊技状態の準備状態に相当する内部中遊技状態に移行させる。このとき、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができなかった場合には、そのままBB内部当選フラグが次遊技に持ち越される(内部中遊技状態が維持される)。そして、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されると、遊技状態制御手段320は、遊技状態をボーナス遊技状態に移行させる。また、ボーナス遊技状態において、所定枚数(例えば、当選役「RBB1」においては204枚、当選役「RBB2」、「RBB3」、「CBB」においては60枚)以上のメダルが払い出されると、遊技状態制御手段320は、遊技状態を非RT状態(通常遊技状態)に移行させる。ただし、当選種別「BB」が成立した遊技で、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させた場合、遊技状態制御手段320は、内部中遊技状態を経由せず、直接、ボーナス遊技状態に移行させる。このように、遊技状態制御手段320は、遊技状態をボーナス遊技状態に移行させると、入賞した当選役「BB」に応じた所定枚数のメダルを払い出せるといった遊技利益を遊技者に付与する遊技利益付与手段としても機能する。
【0056】
(演出状態の移行)
図8は、主制御基板200における演出状態の移行を説明するための説明図である。ここでは、非AT状態、AT準備状態、AT状態といった複数の演出状態が設けられている。
【0057】
非AT状態は、非AT通常状態と非ATチャンス状態とが設けられている。演出状態が非AT状態であった場合、補助演出の実行頻度がAT状態より極めて低く、ほぼ補助演出が行われない、または、補助演出が全く行われないので、獲得できるメダルの枚数が制限される。非AT通常状態は、複数の演出状態のうち、初期状態に相当する演出状態である。
【0058】
演出状態制御手段322は、非AT通常状態において、当選種別抽選により決定された当選種別に基づいて、演出状態を非AT状態から、AT準備状態を経由したAT状態へ移行させるか否かをAT抽選により決定する。そして、非AT通常状態において、AT抽選に当選すると、演出状態制御手段322は、演出状態をAT準備状態に移行させる(1)。
【0059】
また、演出状態制御手段322は、非AT通常状態における所定の契機、例えば、当選種別抽選で決定された当選種別に基づいて、演出状態を非ATチャンス状態に移行させるか否かをチャンス抽選により決定する。そして、非AT通常状態において、チャンス抽選に当選すると、演出状態制御手段322は、演出状態を非ATチャンス状態に移行させる(2)。つまり、非AT通常状態において、演出状態制御手段322は、AT抽選とチャンス抽選とを遊技ごとに行っている。なお、AT抽選およびチャンス抽選は独立して抽選してもよいし、一度に抽選(どちらかのみが当選する抽選)してもよい。
【0060】
非ATチャンス状態は、所定の遊技数に亘って継続する。演出状態制御手段322は、非ATチャンス状態の各遊技においてAT抽選を行う。そして、非ATチャンス状態において、AT抽選に当選すると、演出状態制御手段322は、演出状態をAT準備状態に移行させる(1)。ここで、非ATチャンス状態のAT抽選では、非AT通常状態よりAT抽選の当選確率が高く設定されている。例えば、非AT通常状態および非ATチャンス状態のいずれの演出状態においてもAT抽選が行われるが、当選種別抽選により当選種別「チェリー」が決定された場合において、演出状態が非AT通常状態であれば1/20の確率でAT抽選に当選するのに対し、非ATチャンス状態であれば1/5の確率でAT抽選に当選する。
【0061】
一方、非ATチャンス状態において、所定の遊技数が経過するまでに、AT抽選に当選しないと、演出状態制御手段322は、演出状態を非AT通常状態に戻す(3)。なお、AT状態に移行することなく非AT状態で所定の遊技数が消化されると(所謂、ゾーンや天井に到達)、演出状態制御手段322は、演出状態をAT準備状態へ移行させる(1)。なお、非AT状態において、当選種別「RBB1」に当選すると、AT抽選に必ず当選し(AT状態への移行が確定し)、当選種別「RBB2」、「RBB3」に当選すると、ボーナス遊技状態において所定の確率でAT抽選に当選し、当選種別「CBB」に当選すると、ボーナス遊技状態において、当選種別「RBB2」、「RBB3」に当選した場合よりも低い確率でAT抽選に当選する。
【0062】
AT準備状態では、遊技状態をRT1状態へ移行させるための待機状態であり、遊技状態が非RT状態およびRT2状態である場合には、当選種別「選択ベル」に当選し、かつ、いずれの小役に対応する図柄の組み合わせも有効ラインA上に表示されなかった場合、つまり、とりこぼしが発生した場合に、演出状態制御手段322は、演出状態をAT状態に移行させる(4)。そして、AT状態とRT1状態が並行して進行するART遊技状態が実行される。
【0063】
AT状態では、補助演出によって操作態様が報知されることで、メダルの消費を抑えつつ、多くのメダルを獲得することが可能となる。したがって、遊技者は、AT状態において、非AT状態と比べ、遊技を有利に進行することができる。このように、演出状態制御手段322は、演出状態をAT状態に移行させると、補助演出により多くのメダルを獲得できるといった遊技利益を遊技者に付与する遊技利益付与手段としても機能する。
【0064】
AT状態において、演出状態制御手段322は、例えばAT状態が継続可能な継続遊技数が経過する等の所定の終了条件が成立すると、演出状態を非AT状態に移行させる(5)。
【0065】
(演出の一例)
図9は、演出の一例を説明するための説明図であり、
図10は、楽曲のフレームを説明するための説明図である。演出制御手段334は、当選種別抽選により当選役「BB」を含む当選種別「BB」に当選し、遊技状態がボーナス遊技状態に移行された場合、複数の楽曲の中から、いずれかの楽曲(ここでは楽曲a)をスピーカ128から出力させるとともに、
図9に示すように、出力される楽曲に合わせたPV画像(画像データ)を画像IC202eに生成させて液晶表示部124に表示させる特定演出を実行する。
【0066】
また、画像IC202eは、スピーカ128から出力される楽曲aに合わせて、その楽曲aの歌詞が記された歌詞画像124aをPV画像に重畳させて液晶表示部124に表示する。例えば、画像IC202eは、スピーカ128から「会いたくて」といった歌詞が出力されている間、
図9(a)に示すように、「会いたくて」と記された歌詞画像124aを液晶表示部124に表示させる。その後、画像IC202eは、スピーカ128から「震える」といった歌詞が出力されている間、
図9(b)に示すように、「震える」と記された歌詞画像124aを液晶表示部124に表示させる。また、演出制御手段334は、スピーカ128から「眠れない」といった歌詞が出力されている間、
図9(c)に示すように、「眠れない」と記された歌詞画像124aを液晶表示部124に表示させる。このように、楽曲aの歌詞と、歌詞画像124aで示される歌詞とを同期させることで、遊技者は、その楽曲aの歌詞を視覚的にも把握することができる。
【0067】
ところで、楽曲をスピーカ128から出力する場合、楽曲における歌詞が出力される再生速度(再生時間)に合わせて、
図10(a)に示すように、表示される歌詞画像124aのフレーム数が予め設定された楽曲テーブルが不図示のROMに記憶されている。例えば、楽曲aの楽曲テーブルでは、「会いたくて」と記された歌詞画像124aは150フレームに設定されており、「震える」と記された歌詞画像124aは120フレームに設定されており、「眠れない」と記された歌詞画像124aは200フレームに設定されており、設定されているフレームの間、同一の歌詞画像124aが連続して表示される。つまり、楽曲テーブルでは、各歌詞画像124aの表示時間が設定されているとも言える。
【0068】
そして、画像IC202eは、楽曲テーブルを参照して、所定の処理時間(例えば、33.3ms)ごと、つまり、フレームごとに、液晶表示部124に表示される画像データ(PV画像および歌詞画像124aが合成された画像データ)を生成し、生成した画像データに基づく画像を液晶表示部124に表示させる。具体的には、画像IC202eは、
図10(b)に示すように、「会いたくて」の歌詞がスピーカ128から出力される1つ前の処理時間において、「会いたくて」と記された歌詞画像124aを液晶表示部124に表示するための画像データを生成する描画処理を行う。そして、次の処理時間において、前回の処理時間において生成された画像データを液晶表示部124に出力することで、「会いたくて」と記された歌詞画像124aが液晶表示部124に表示される。また、「会いたくて」と記された歌詞画像124aが液晶表示部124に表示されると同時に、スピーカ128から「会いたくて」の歌詞が出力される。そして、画像IC202eは、楽曲テーブルを参照して、この描画処理を150回行うことで、「会いたくて」と記された歌詞画像124aを150フレームに亘って液晶表示部124に表示する。
【0069】
図11は、処理落ちが発生した際の従来の画像表示を説明する図である。画像IC202eは、画像データを生成する描画処理が遅れてしまい(いわゆる処理落ち)、
図11(a)に示すように、フレームを生成する1回の処理時間の間に描画処理が終わらないと、次の処理時間においては、新たな画像データを液晶表示部124に出力することができずに、前のフレームの画像が液晶表示部124にそのまま表示されることになる。例えば、
図11(b)に示すように、「会いたくて」の歌詞画像124aを含む画像データを生成する描画処理に5回の処理落ちが発生した場合、「会いたくて」の歌詞画像124aが本来の150フレームに対して155フレームに亘って表示される。つまり、「会いたくて」の歌詞画像124aが本来よりも長く表示される。そのため、「会いたくて」の次の歌詞である「震える」がスピーカ128から出力されるときにも、「会いたくて」の歌詞画像124aが液晶表示部124に表示され続けてしまうことになり、その後、スピーカ128から出力される歌詞と、液晶表示部124に表示される歌詞とがずれてしまうことになる。
【0070】
図12は、処理落ちが発生した際の本実施形態の画像表示を説明する図である。そこで、本実施形態の画像IC202eでは、1回の描写処理が終了した際に終了命令が出力されるようになされており、次の描写処理が開始されるときに終了命令が出力されていなかった場合には、処理落ちのフレーム数をカウントする処理落ちカウンタを1ずつ加算、更新する。そして、現在表示している歌詞画像の描画処理が全て終了した時点(設定されたフレーム数分の描画処理が終了した時点)で、次に表示する歌詞画像のフレーム数から処理落ちカウンタの値を減算した値を、次の歌詞画像を表示するフレーム数に決定(更新)するとともに、処理落ちカウンタをリセットする。
【0071】
これにより、処理落ちが発生しない場合には、現在表示している歌詞画像の描画処理が終了した時点で、処理落ちカウンタの値が0になるため、次の歌詞画像を表示するフレーム数は、予め設定された値のままになる。
【0072】
一方、
図12(b)に示すように、「会いたくて」の歌詞画像124aを含む画像データを生成する描画処理に5回の処理落ちが発生した場合、「会いたくて」の歌詞画像124aが155フレームに亘って表示され、このとき処理落ちカウンタの値が5となる。そして、「会いたくて」の次の歌詞である「震える」の歌詞画像124aを含む画像データを最初に生成する際に、「震える」の歌詞画像124aを表示するフレーム数である120回から、処理落ちカウンタの値を減算した115フレームが、「震える」の歌詞画像124aを含む画像データの描画回数となる。
【0073】
このように、予め設定されたフレーム数(表示期間)の画像が順次表示される画像データを生成する描画処理において処理落ちした場合に、次の画像のフレーム数(表示期間)を、前の画像で処理落ちした回数分だけ減らすことにより、次の歌詞画像124aの表示が終了するタイミングと、次の歌詞の音声が終了するタイミングとを一致させることができる。つまり、歌詞画像124aの表示のずれを調整することができる。
【0074】
以下、主制御基板200、副制御基板202における具体的処理をフローチャートに基づいて説明する。
【0075】
(主制御基板200のメイン処理)
図13は、主制御基板200のメイン処理を示したフローチャートである。ここでは、本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
【0076】
(ステップS100)
電源スイッチ144を介してスロットマシン100の電源が投入され、通電状態になると、初期化手段300は、遊技開始に備え初期化処理を実行する。初期化手段300は、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをメインRAM200cに保持している。したがって、不意の電断が生じたとしても、この初期化処理において、保持されたバックアップデータを用い電断前の状態に復帰させることができる。例えば、各リール110の回転中に不意の電断が起きたとしても、復帰動作後に再度各リール110が回転している状態から開始される。したがって、初期化処理では、基本的に、メインRAM200cのRAMクリアは行われない。
【0077】
(ステップS200)
続いて、遊技者によるベットスイッチ116の操作、または、メダル投入部114へのメダルの投入を通じ、ベット手段302がメダルをベットする。また、コマンド送信手段314は、その操作がなされたことを示す投入コマンドを生成し、生成された投入コマンドを副制御基板202に送信する。
【0078】
(ステップS300)
次に、当選種別抽選手段304は、スタートスイッチ118に対する遊技開始操作を有効化し、スタートスイッチ118の操作待ち状態に移行する。ここで、当選種別抽選手段304は、遊技者によるスタートスイッチ118の操作に応じて、主制御基板200の乱数発生器200dによって更新された当選種別抽選乱数から、スタートスイッチ118が操作された時点における当選種別抽選乱数を取得する。そして、当選種別抽選手段304は、複数の当選種別抽選テーブルから、現在設定されている遊技状態に対応する1の当選種別抽選テーブルを決定するとともに、取得した当選種別抽選乱数が、決定した当選種別抽選テーブルにおけるいずれの当選領域に対応するか判定し、判定された当選領域の当選種別またはハズレを抽選結果として決定する。また、コマンド送信手段314は、スタートスイッチ118の操作に応じて抽選結果が決定された後、当選種別抽選の抽選結果(当選種別またはハズレ)や遊技状態および演出状態に関する情報等を含む当選種別コマンドを生成し、生成された当選種別コマンドを副制御基板202に送信する。かかる抽選処理S300は後程詳述する。
【0079】
(ステップS400)
スタートスイッチ118が操作されると、リール制御手段306は、ステッピングモータ152を駆動して左リール110a、中リール110b、右リール110cを回転させる。このリール回転処理においては、前回の1遊技における左リール110a、中リール110b、右リール110cの回転開始時点から所定の時間(例えば4.1秒)が経過すると(ウェイト)、当該遊技における左リール110a、中リール110b、右リール110cの回転を開始し、左リール110a、中リール110b、右リール110cの全てが定速回転となったところで、ステップS500に処理を移す。
【0080】
(ステップS500)
続いて、リール制御手段306は、ストップスイッチ120a、120b、120cを有効化し、遊技者によるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を受け付けると、その操作に対応するリール(左リール110a、中リール110b、右リール110cのいずれか)を停止制御する。また、コマンド送信手段314は、ストップスイッチ120a、120b、120cのいずれかの操作がなされると、操作がなされたストップスイッチ120a、120b、120cの情報を示す停止コマンド(第1停止コマンド、第2停止コマンド、第3停止コマンド)を操作の度に生成し、生成された停止コマンドを順次、副制御基板202に送信する。
【0081】
(ステップS600)
次に、判定手段308は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせが予め定められたどの組み合わせに相当するかを判定し、その図柄組み合わせに応じて遊技状態の変更やリプレイに際して要求される種々の処理を実行する。また、コマンド送信手段314は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせや、有効ラインA上に小役に対応する図柄組み合わせが表示された場合におけるメダルの払出枚数等を含む入賞コマンドを生成し、生成された入賞コマンドを副制御基板202に送信する。また、状態制御手段312は、内部中遊技状態において当選役「BB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたことに基づき、遊技状態をボーナス遊技状態に移行させる。かかる判定処理S600は後程詳述する。
【0082】
(ステップS700)
続いて、払出制御手段310は、ステップS600における判定結果に基づき、例えば、有効ラインA上に小役に対応する図柄組み合わせが表示されると、当該小役に対応するメダルの払出処理を実行し、有効ラインA上にリプレイ役に対応する図柄組み合わせが表示されると、自動的に次遊技のベットを行うための処理を実行する。また、状態制御手段312は、ボーナス遊技状態においてメダルの所定枚数の払い出しが実行されると、遊技状態を非RT状態に移行させ、その遊技状態に対応する当選種別抽選テーブルを設定する。このように、払出制御手段310は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせに対応して種々の処理を遂行し、当該遊技を終了する。また、コマンド送信手段314は、メダルの払出処理がなされた場合、払出処理がなされたことを示す払出コマンドを生成し、生成された払出コマンドを副制御基板202に送信する。
【0083】
ステップS200からステップS700までの一連の処理を通じて1回の遊技が実行される。以後は、ステップS200からステップS700までを繰り返すこととなる。
【0084】
(抽選処理S300)
図14は、上記ステップS300の抽選処理を示したフローチャートである。ここでは本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
【0085】
(ステップS301)
まず、当選種別抽選手段304は、その時点の遊技状態に応じた当選種別抽選テーブルを参照し、スタートスイッチ118の操作に基づき、複数種類の当選種別のいずれかを当選種別抽選により決定する。
【0086】
(ステップS302)
当選種別抽選手段304は、当選種別抽選により決定された当選種別に当選役「BB」が含まれるか、すなわち、BB内部当選フラグが成立しているか判定する。その結果、当選役「BB」が含まれていればステップS303に処理を移し、当選役「BB」が含まれていなければステップS304に処理を移す。
【0087】
(ステップS303)
遊技状態制御手段320は、遊技状態を内部中遊技状態に移行する。
【0088】
(ステップS304)
遊技状態制御手段320は、演出状態が非AT状態であるか判定する。その結果、演出状態が非AT状態であればステップS305に処理を移し、演出状態が非AT状態でなければステップS306に処理を移す。
【0089】
(ステップS305)
遊技状態制御手段320は、当選種別抽選の抽選結果に基づいてAT抽選を行う。また、遊技状態制御手段320は、演出状態が非AT通常状態であれば、当選種別抽選の抽選結果に基づいてチャンス抽選を行い、当該抽選処理を終了する。
【0090】
(副制御基板202のサブ処理)
図15は、副制御基板202のサブ処理を示したフローチャートである。
【0091】
(ステップS1100)
電源スイッチ144を介してスロットマシン100の電源が投入され、通電状態になると、初期化決定手段330は、遊技開始に備え初期化処理を実行する。初期化決定手段330は、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをサブRAM202cに保持している。
【0092】
(ステップS1200)
コマンド受信手段332は、主制御基板200からのコマンドが受信されているか否か判定する。その結果、コマンドが受信されていれば、ステップS1300に処理を移し、コマンドが受信されていなければ、ステップS1400に処理を移す。
【0093】
(ステップS1300)
上記ステップS1200においてコマンドが受信されていると判定されれば、コマンド受信手段332は、当該受信されたコマンドに基づいて種々の処理を実行する。かかるコマンド受信処理S1300は後程詳述する。
【0094】
(ステップS1400)
演出制御手段334は、演出スイッチ122の検出信号を解析し、その解析結果に基づいて種々の処理を行う。
【0095】
(ステップS1500)
演出制御手段334は、実行が決定された各種演出の実行情報(タイムテーブル)を参照して、当該タイムテーブルに記憶された該当時間に対応する処理を実行するタイムスケジュール管理処理を行い、ステップS1200からの処理を繰り返す。この処理では、液晶表示部124の表示画像を挿入したり切り替えたりし、また、各種のコマンドを各デバイスに送信する。これにより各種演出が実行されることとなる。
【0096】
(コマンド受信処理S1300)
図16は、上記ステップS1300のコマンド受信処理を示したフローチャートである。ここでは、特に、AT状態の遷移について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
【0097】
(ステップS1301)
まず、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが投入コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが投入コマンドであれば、ステップS1302に処理を移し、受信したコマンドが投入コマンドでなければ、ステップS1303に処理を移す。
【0098】
(ステップS1302)
上記ステップS1301において受信したコマンドが投入コマンドであると判定されれば、演出制御手段334は、次の遊技のための遊技開始準備が行われたとして、それまで実行されていた演出を所定条件下で切り換えたり、終了させる。
【0099】
(ステップS1303)
続いて、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが当選種別コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが当選種別コマンドであれば、1遊技が開始されたとし、ステップS1304に処理を移し、受信したコマンドが当選種別コマンドでなければ、ステップS1306に処理を移す。
【0100】
(ステップS1304)
上記ステップS1303において受信したコマンドが当選種別コマンドであると判定されれば、演出制御手段334は、当選種別コマンドに基づいて遊技の演出を決定する。例えば、ボーナス遊技状態に移行された場合に、複数の楽曲の中から、いずれかの楽曲をする。かかる演出決定処理S1304は後程詳述する。
【0101】
(ステップS1305)
次に、演出制御手段334は、決定した演出を実行開始する。例えば、決定した演出が補助演出であれば、演出制御手段334は、当該補助演出をタイムテーブルに設定する。
【0102】
(ステップS1306)
続いて、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが停止コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが停止コマンドであれば、ステップS1307に処理を移し、受信したコマンドが停止コマンドでなければ、ステップS1308に処理を移す。
【0103】
(ステップS1307)
上記ステップS1306において受信したコマンドが停止コマンドであると判定されれば、演出制御手段334は、その停止コマンドが、第1停止コマンド、第2停止コマンド、第3停止コマンドのいずれであるか、また、その停止操作は、ストップスイッチ120a、120b、120cのいずれになされた停止操作かを判定し、その判定結果と演出の内容に基づいて、種々の処理を行うとともに、演出態様を変動させる。
【0104】
(ステップS1308)
続いて、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが入賞コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが入賞コマンドであれば、ステップS1309に処理を移し、受信したコマンドが入賞コマンドでなければ、ステップS1310に処理を移す。
【0105】
(ステップS1309)
上記ステップS1308において受信したコマンドが入賞コマンドであると判定されれば、演出制御手段334は、当該入賞コマンドに基づく演出をタイムテーブルに設定する。
【0106】
(ステップS1310)
続いて、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが払出コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが払出コマンドであれば、ステップS1311に処理を移し、受信したコマンドが払出コマンドでなければ、当該コマンド受信処理S1300を終了する。
【0107】
(ステップS1311)
上記ステップS1310において受信したコマンドが払出コマンドであると判定されれば、演出制御手段334は、当該払出コマンドに基づく演出をタイムテーブルに設定し、当該コマンド受信処理S1300を終了する。そうすると、メダルの払出に応じて、サブクレジット表示部134およびサブ払出表示部136の数値が更新される。
【0108】
(演出決定処理S1304)
図17は、上記ステップS1304の演出決定処理を示したフローチャートである。ここでは本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
【0109】
(ステップS1304−1)
まず、演出制御手段334は、ボーナス遊技状態に移行されたか否か判定する。その結果、ボーナス遊技状態に移行されていれば、ステップS1304−2に処理を移し、ボーナス遊技状態に移行されていなければ、当該演出決定処理S1304を終了する。
【0110】
(ステップS1304−2)
演出制御手段334は、複数の楽曲の中から、いずれかの楽曲を選択する。
【0111】
(ステップS1304−3)
演出制御手段334は、上記ステップS1304−2において選択した楽曲を決定し、当該演出決定処理を終了する。
【0112】
(画像生成処理S2000)
図18は、画像IC202eによる画像生成処理を示したフローチャートである。この画像生成処理は、所定の周期ごとに実行される。ここでは本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
【0113】
(ステップS2001)
まず、画像IC202eは、前回の画像生成処理において終了命令が出力されたか否か判定する。その結果、前回の画像生成処理において終了命令が出力されていれば、ステップS2003に処理を移し、前回の画像生成処理において終了命令が出力されていなければステップS2002に処理を移す。
【0114】
(ステップS2002)
画像IC202eは、処理落ちカウンタを1加算して更新し、当該画像生成処理を終了する。
【0115】
(ステップS2003)
画像IC202eは、終了命令をリセットする。
【0116】
(ステップS2004)
画像IC202eは、現在表示されている歌詞画像124aを表示するフレーム数を示す描画カウンタが0であるか否か判定する。その結果、描画カウンタが0であればステップS2005に処理を移し、描画カウンタが0でなければステップS2008に処理を移す。
【0117】
(ステップS2005)
画像IC202eは、楽曲データを参照し、次に表示する歌詞、および、フレーム数を読み出す。
【0118】
(ステップS2006)
画像IC202eは、上記ステップS2005において読み出したフレーム数から、処理落ちカウンタの値を減算し、減算した値を新たに描画カウンタにセットする。
【0119】
(ステップS2007)
画像IC202eは、処理落ちカウンタを0にリセットする。
【0120】
(ステップS2008)
画像IC202eは、描画カウンタを1減算して更新する。
【0121】
(ステップS2009)
画像IC202eは、楽曲データを参照し、歌詞画像124aを含む画像データを生成する。
【0122】
(ステップS2010)
画像IC202eは、描画処理が終了したことを条件に終了命令を出力し、当該画像生成処理S2000を終了する。
【0123】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0124】
また、上述した実施形態では、状態制御手段312が、主制御基板200において遊技状態や演出状態を管理する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、状態制御手段312は、副制御基板202において遊技状態や演出状態を管理してもよい。また、上述した実施形態では、主制御基板200と副制御基板202とが、遊技を進行するための機能部を分担するように配したが、主制御基板200の機能部を副制御基板202に配しても、副制御基板202の機能部を主制御基板200に配してもよく、また、全ての機能部を1の制御基板に纏めて配することもできる。
【0125】
また、上述した実施形態において、当選種別「BB」に当選している場合、および、当選種別「BB」に不当選である場合における所定の確率で示唆演出を実行するようにした。しかしながらこれに限らず、非AT通常状態においてAT抽選またはチャンス抽選に当選した場合、および、AT抽選またはチャンス抽選に不当選した場合における所定の確率で、AT状態または非ATチャンス状態への移行を示唆する示唆演出を実行するようにしてもよい。つまり、何らかの遊技利益を付与する場合、および、遊技利益を付与しない場合における所定の確率で示唆演出を実行するようにすればよい。
【0126】
また、上述した実施形態において、所定の歌詞画像124aが処理落ちした場合、次の歌詞画像124aを表示する際の表示期間(フレーム数)を更新(調整)していたが、次以降の歌詞画像124aを表示する際に表示期間(フレーム数)を更新(調整)するようにしてもよい。例えば、所定の歌詞画像124aが4フレーム処理落ちした場合、次の歌詞画像124aを表示する際に2フレームを減らし、さらに次の歌詞画像124aを表示する際に2フレーム減らすようにしてもよい。
【0127】
また、所定の歌詞画像124aが処理落ちした場合であって、次の歌詞画像124aの表示期間(フレーム数)が処理落ちしたフレーム数よりも短い場合、次の歌詞画像124aの表示期間(フレーム数)を1フレーム以上の遊技者が認識し得る期間だけにし、それ以降の歌詞画像124aの表示期間(フレーム数)で調整するようにしてもよい。
【0128】
また、上述した実施形態において、歌詞画像124aをPV画像に重畳させて液晶表示部124に表示するようにしたが、歌詞画像124aとPV画像とが一体となった画像を液晶表示部124に表示するようにしてもよい。例えば、複数の楽曲を連続して出力する場合に、歌詞画像124aとPV画像とが一体となった画像の描画が終わった時点で終了命令を出力し、処理落ちが発生した場合、次以降の歌詞画像124aとPV画像とが一体となった画像の表示期間(フレーム数)を更新(調整)するようにすればよい。
【0129】
また、上述した実施形態において、画像IC202eが、終了命令が出力されていなかった場合に、処理落ちカウンタを1ずつ加算、更新するようにしたが、サブCPU202aが、画像IC202eにより終了命令が出力されていなかった場合に、処理落ちカウンタを1ずつ加算、更新するようにしてもよい。
【0130】
また、上述した主制御基板200および副制御基板202が行う各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。