(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0017】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る水栓装置100の側面図である。
図2は、水栓装置100の平面図である。
図3は、水栓装置100の分解斜視図である。
図4(a)は、水栓装置100の断面図である。
図4(b)は水栓装置100の部分断面図である。
図1から
図3及び
図4(a)において、切替操作ボタン(後述)は押し込み位置にある。一方、
図4(b)において、切替操作ボタンは飛び出し位置にある。
図4(a)は、浄水吐出状態を示す。
図4(b)は、原水吐出状態を示す。
【0018】
水栓装置100は、吐水を原水と浄水とに切り替えることが可能な浄水機能付き水栓装置である。水栓装置100において、切替操作ボタンの位置と吐水切替との関係は、次の通りである。
(a)切替操作ボタンが押し込み位置にあるとき(ボタン凹)、浄水が吐出される。
(b)切替操作ボタンが飛び出し位置にあるとき(ボタン凸)、原水が吐出される。
【0019】
水栓装置100は、グリップ部102と、ヘッド部104とを有する。グリップ部102には、水質浄化材(水質浄化カートリッジ106)が内蔵されている。グリップ部102は、水質浄化カートリッジ106を配置するための空洞部と、この空洞部を画定する内面e2と、この空洞部に挿入された水質浄化カートリッジ106とを有する。この水質浄化カートリッジ106は、交換可能である。
【0020】
水質浄化カートリッジ106は、水質浄化材を含む透水部106aと、中空部106bとを有している。透水部106aの形状は、略円筒状である。図示されないが、典型的な透水部は、水質浄化材と外側ろ過層と内側ろ過層とを有する。水質浄化材は、例えば、活性炭を主成分とする。外側ろ過層及び内側ろ過層には、例えば不織布が用いられる。外側ろ過層及び/又は内側ろ過層に、滅菌作用を有するセラミックが採用されてもよい。外側ろ過層及び/又は内側ろ過層に、イオン交換体が採用されてもよい。外側ろ過層は複数層であってもよい。内側ろ過層は複数層であってもよい。
【0021】
透水部106aは、水を透過させうる。原水は、透水部106aを透過することで、浄化される。原水は、透水部106aの外側から、前記水質浄化材を透過し、中空部106bに至ることで、浄水となる。
【0022】
グリップ部102において、前記内面e2と透水部106a(の外面)との間に、隙間流路GW1が形成されている。隙間流路GW1は、グリップ部102の原水流路である。原水吐出状態において、原水は、この隙間流路GW1から、透水部106aを透過することなく、ヘッド部104の原水流路GW2に至る。原水は、この原水流路GW2から吐水口110に至り、吐出される。
【0023】
グリップ部102において、水質浄化カートリッジ106の中空部106bは、浄水水路JW1である。浄水水路JW1は、グリップ部102の浄水流路である。浄水吐出状態において、浄水は、この浄水水路JW1から、ヘッド部104の浄水水路JW2に至る。浄水は、この浄水水路JW2から吐水口110に至り、吐出される。
【0024】
浄水吐出状態において、透水部106aの外面に異物等が付着する。しかしこの異物等は、原水吐出状態において、原水とともに排出される。よって、水質浄化カートリッジ106の目詰まりが抑制される。水質浄化カートリッジ106の浄水性能は、長期間維持される。
【0025】
水栓装置100は、水栓本体から取り外して使用されうる。この場合、グリップ部102が把持される。
【0026】
ヘッド部104は、グリップ部102の下流側に位置する。ヘッド部104は、水栓装置100の先端部を構成している。ヘッド部104は、グリップ部102に、取り外し可能に取り付けられている。水質浄化カートリッジ106を交換する際には、ヘッド部104がグリップ部102から取り外され、古い水質浄化カートリッジ106が水栓先端側から引き抜かれ、新しい水質浄化カートリッジ106が水栓先端側から前記空洞部に挿入される。
【0027】
ヘッド部104は、吐水口110を有する。水は、吐水口110から吐出される。浄水又は原水のいずれかが、吐水口110から吐出される。水栓装置100は、水質浄化材を透過して吐水口110へと至る浄水流路と、水質浄化材を透過せずに吐水口110へと至る原水流路と、を有している。
【0028】
図5は、ヘッド部104の内部部品の分解側面図である。
図6は、
図5の断面図である。
図7は、
図5の平面図である。
【0029】
ヘッド部104は、切替操作部120を有する。切替操作部120は、押しボタンである。押しボタン120は、原水流路と浄水流路とを切り替える切替ボタンとして機能する。
【0030】
ヘッド部104は、オルタネイト動作方式の押しボタン機構130を有している。この押しボタン機構130により、押しボタン120を押すごとに、押しボタン120の位置は、第1位置(飛び出し位置)と第2位置(押し込み位置)とに切り替わる。
【0031】
図5から
図7が示すように、押しボタン機構130は、第1切替こま132、第2切替こま134、切替リング136、切替軸138、切替カバー140及びコイルスプリングCS1を有する。押しボタン120が前後方向に移動すると、第1切替こま132は、第2切替こま134及び切替軸138とともに前後方向に移動する。第2切替こま134は、ボタンの押圧操作毎に回転し、この回転毎に、切替リング136に対する第2切替こま134の軸方向位置が切り替わる。この結果、押しボタン120が、異なる2つの位置(第1位置及び第2位置)で保持される。更に、ヘッド部104は、ヘッド本体144を有する。
【0032】
この押しボタン機構130には、スラストロック機構である。このスラストロック機構は、ボタン機構として広く用いられている。スラストロック機構は、例えば、ボールペンにも採用されており、ボールペンの芯の出し入れを可能としている。例えば、特許第3454756号公報及び特許第5721679号公報でも、このスラストロック機構が採用されている。本実施形態の押しボタン機構130は、これらの特許公報に記載されている機構と同様である。
【0033】
一般に、いわゆるオルタネイト動作方式の押しボタン機構として、ハート状カム機構、回転カム機構、ラチェットカム機構等が知られている。これらの機構はいずれも公知である。押しボタン機構130として、これらの機構のいずれかが採用されうる。オルタネイト動作方式を可能とするあらゆるボタン機構が採用されうる。
【0034】
押しボタン機構130のオルタネイト動作の詳細は、次の通りである。飛び出し位置(第1位置)にある切替操作部120を押圧すると、切替操作部120は、最も押し込まれた位置(最大押し込み位置:第3位置)にまで移動する。押圧を解除すると、切替操作部120は、この最大押し込み位置(第3位置)から、押し込み位置(第2位置)に移動して静止する。押圧力を再度加えない限り、この押し込み位置(第2位置)が維持される。次に、押し込み位置(第2位置)にある切替操作部120を押圧すると、切替操作部120は、最大押し込み位置(第3位置)にまで移動する。押圧を解除すると、切替操作部120は、この最大押し込み位置(第3位置)から、飛び出し位置(第1位置)に移動して静止する。このように、切替操作部120を押すごとに、切替操作部120は、飛び出し位置(第1位置)と押し込み位置(第2位置)とに交互に停止すると共に、これらの相互移行毎に、最大押し込み位置(第3位置)が経由される。切替操作部120の可動範囲は、第1位置から第3位置までである。切替操作部120の移動方向は、特定方向とも称される。この特定方向は、軸方向に一致している。
【0035】
なお、上述の通り、本願では、「前後方向」、「前方」及び「後方」との文言が用いられる。この前後方向の前方とは、水栓先端側(
図1における左側)を意味する。この前後方向の後方とは、水栓本体側(
図1における右側)を意味する。
【0036】
ヘッド部104は、吐水口110から吐出される水が原水か浄水かを切り替える切替弁V1を有する。
図5から
図7が示すように、切替弁V1は、原水流路を開閉しうる原水弁部VGと、浄水流路を開閉しうる浄水弁部VJとを有している。
【0037】
図4(a)及び
図4(b)が示すように、原水弁部VGと浄水弁部VJとは、直接的に連結されている。原水弁部VGと浄水弁部VJとは、他部材を介して間接的に連結されていてもよい。
【0038】
図5から
図7が示すように、原水弁部VGは、軸体Z1と、原水シール部材S1とを有する。原水シール部材S1は、Oリングである。原水弁部VGは、2つの原水シール部材S1を有する。原水シール部材S1は、切替弁V1と同軸である。
【0039】
浄水弁部VJは、軸体Z2と、浄水シール部材S2とを有する。浄水シール部材S2は、Oリングである。浄水弁部VJは、1つの浄水シール部材S2を有する。浄水シール部材S2は、切替弁V1と同軸である。
【0040】
図4(a)及び
図4(b)が示すように、軸体Z1は軸体Z2に連結されている。軸体Z2は、軸体Z1の後方(水性本体側)に設けられている。切替操作部120の切替操作に関わらず、軸体Z1と軸体Z2との相対的な位置関係は変わらない。軸体Z1及び軸体Z2は、特定方向に延びる同一の直線に沿って配置されている。すなわち、軸体Z1及び軸体Z2の少なくとも一部がこの直線に交わるように、軸体Z1及び軸体Z2が配置されている。本実施形態では、特定方向が、軸体Z1の軸方向に一致している。特定方向が、軸体Z2の軸方向に一致している。上記直線が、軸体Z1の中心軸に一致している。上記直線が、軸体Z2の中心軸に一致している。軸体Z1と軸体Z2とは、同軸で配置されている。
【0041】
なお、軸体Z1と軸体Z2とで共通する軸方向が、本願において「軸体軸方向」とも称される。本実施形態では、特定方向が、軸体軸方向に一致している。なお、原水弁部VGと浄水弁部VJとで軸体が一体である場合、当該軸体の軸方向が、軸体軸方向である。
【0042】
図4(a)及び
図4(b)が示すように、原水弁部VGは、軸体Z1と2つの原水シール部材S1とを有する。軸体Z1の軸方向の第1位置に、第1の原水シール部材S11が配置されている。軸体Z1の軸方向の第2位置に、第2の原水シール部材S12が配置されている。軸体Z1と第1の原水シール部材S11と第2の原水シール部材S12とは同軸である。
【0043】
浄水弁部VJは、軸体Z2と1つの浄水シール部材S2とを有する。軸体Z2と浄水シール部材S2とは同軸である。
【0044】
原水弁部VGは浄水弁部VJに連結されている。原水弁部VGの水栓本体側に、浄水弁部VJが連結されている。切替操作部120の操作に関わらず、原水弁部VGと浄水弁部VJとの相対的な位置関係は変わらない。原水弁部VG及び浄水弁部VJは、特定方向に延びる同一の直線に沿って配置されている。本実施形態では、この特定方向が、原水弁部VGの軸方向に一致している。本実施形態では、この特定方向が、浄水弁部VJの軸方向に一致している。原水弁部VGと浄水弁部VJとは、同軸で配置されている。
【0045】
なお、特に説明がない限り、原水弁部VGと浄水弁部VJとで共通する軸方向は、本願において単に「軸方向」とも称される。本実施形態では、特定方向が、軸方向に一致している。
【0046】
図4(a)及び
図4(b)が示すように、水栓装置100(ヘッド部104)は、隣接部としての第1隣接部R1と、隣接部としての第2隣接部R2とを有する。なお、本願では、切替弁V1に隣接する部分が、広く隣接部と総称される。隣接部は、1つの部材で構成されていてもよいし、2以上の部材で構成されていてもよい。本実施形態では、第1隣接部R1は切替カバー140であり、第2隣接部R2はヘッド本体144である。
【0047】
第1隣接部R1は、円筒内面C1と、この円筒内面C1によって画定される円筒空洞部とを有する。円筒内面C1は、切替弁V1と同軸である。切替弁V1の移動に伴い、第1の原水シール部材S11は、この円筒内面C1上を摺動する。円筒内面C1と原水シール部材S11との当接位置は、軸方向に変動しうる。
【0048】
第2隣接部R2は、円筒内面C2と、この円筒内面C2によって画定される円筒空洞部とを有する。円筒内面C2は、切替弁V1と同軸である。切替弁V1の移動に伴い、第2の原水シール部材S12は、この円筒内面C2上を摺動する。円筒内面C2は、原水弁部VGの弁座である。円筒内面C2と原水シール部材S12との当接位置(シール位置)は、軸方向に変動しうる。つまり、原水弁部VGでは、シール位置が軸方向に変動しうる。
【0049】
図4(a)が示すように、第2隣接部R2は、特定方向に対して傾斜している浄水弁用傾斜面K1を有している。浄水弁用傾斜面K1は、浄水弁部VJの弁座である。浄水弁用傾斜面K1は、切替弁V1と同軸である。浄水弁用傾斜面K1は、後方に向いた面である。
【0050】
図4(b)の原水吐出状態において、浄水シール部材S2は、コイルスプリングCS1の付勢力によって、浄水弁用傾斜面K1に押し付けられている。コイルスプリングCS1の付勢力は、切替弁V1を水栓先端側に向かって押圧している。
【0051】
図4(a)及び
図4(b)が示すように、切替弁V1は、原水弁部VGと、浄水弁部VJと、コイルスプリングCS1とを有する。
【0052】
切替弁V1は、押しボタン機構130(切替軸138)に連結されている。切替弁V1は、押しボタン機構130のオルタネイト動作に連動して動く。切替操作部120(ボタン)の位置に連動して、切替弁V1は、第1位置P1、第2位置P2及び第3位置P3を採りうる。第1位置P1は、切替弁V1の可動範囲のうち、最も水栓先端側の位置である。第3位置P3は、切替弁V1の可動範囲のうち、最も水栓本体側の位置である。第2位置P2は、第1位置P1と第3位置P3との間に位置する。切替操作部120の移動方向は、前記特定方向である。切替弁V1の移動方向は、前記特定方向である。切替操作部120の操作によって、切替弁V1は、一体的に特定方向に沿って移動する。換言すれば、切替操作部120の操作によって、原水弁部VG及び浄水弁部VJは、一体的に特定方向に沿って移動する。切替弁V1の位置に関わらず、原水弁部VGと浄水弁部VJとの相対的な位置関係は、変化しない。
【0053】
図4(b)が示すように、切替操作部120が飛び出し位置(第1位置)にあるとき、切替弁V1は第1位置P1にある。切替弁V1が第1位置P1にあるとき、原水が吐出される。
図4(a)が示すように、切替操作部120が押し込み位置(第2位置)にあるとき、切替弁V1は第2位置P2にある。切替弁V1が第2位置P2にあるとき、浄水が吐出される。押しボタン機構130が操作されていない状態では、押しボタン機構130が採りうる位置は、第1位置P1及び第2位置P2のみである。第1位置P1と第2位置P2との相互移行において、第3位置P3が経由される。
【0054】
このように、特定方向の移動により、原水弁部VGが閉状態にあり且つ浄水弁部VJが開状態にある浄水吐出状態と、原水弁部VGが開状態にあり且つ浄水弁部VJが閉状態にある原水吐出状態とが達成されている。切替操作部120を押すだけで、浄水吐出状態と原水吐出状態との相互移行が可能である。切替弁V1の移動だけで、原水弁部VG及び浄水弁部VJの弁が開閉しうる。
【0055】
図4(b)が示す原水吐出状態では、第1の原水シール部材S11は円筒内面C1に当接しているが、第2の原水シール部材S12は円筒内面C2に当接していない。切替弁V1の移動に伴い、浄水シール部材S2は、円筒内面C2によって画定される円筒空洞部から抜けだしており、円筒内面C2よりも水栓先端側に位置する。第2の原水シール部材S12は、円筒内面C1と円筒内面C2との間の空間部に位置しており、非当接状態にある。この結果、円筒内面C2における止水が解除され、原水が円筒内面C2の内側の円筒空洞部に流れ込む。この原水が吐水口110から排出される。このように、第2の原水シール部材S12と円筒内面C2との当接が解除されることで、原水弁部VGの開状態が達成されている。一方、この原水吐出状態において、浄水弁部VJは閉状態にある。すなわち、浄水シール部材S2と浄水弁用傾斜面K1との当接により、浄水が止められている。
【0056】
図4(a)が示す浄水吐出状態では、第1の原水シール部材S11が円筒内面C1に内側から当接し、且つ、第2の原水シール部材S12が円筒内面C2に内側から当接している。これらの当接により、原水弁部VGの閉状態が達成されている。一方、この浄水吐出状態において、浄水弁部VJは開状態にある。浄水吐出状態では、浄水シール部材S2が浄水弁用傾斜面K1から離れている。浄水シール部材S2は浄水弁用傾斜面K1よりも水栓本体側に位置する。浄水シール部材S2と浄水弁用傾斜面K1との間から浄水が流れ込み、この浄水が、吐水口110から吐出される。
【0057】
図8は、水栓装置100の分解斜視図である。ヘッド部104に関して、
図8では、ヘッド本体144の外側に配置された部材が示されている。
【0058】
グリップ部102は、グリップ本体102aと、グリップカバー102bとを有する。グリップ本体102aは、係合孔部E1を有する。係合孔部E1は、グリップ本体102aを貫通している。グリップカバー102bは、グリップ本体102aの略全体を覆っている。グリップカバー102bは、係合孔部E1を覆っている。係合孔部E1は、外部から視認されない。グリップカバー102bは、外観性を高める。また、係合孔部E1がグリップカバー102bで覆われているため、係合孔部E1から内部に水が浸入することが防止される。
【0059】
なお、グリップカバー102bを設けずに、グリップ本体102aの内面に凹部を設けて、これを係合孔部E1とすることもできる。この場合も、係合孔部E1は外部から視認されない。ただし、筒状のグリップ本体102aの内面に凹部を設けるのは、製造上、容易ではない。貫通孔の方が製造が容易である。本実施形態では、貫通孔とグリップカバー102bとを用いることで、外観性を高めつつ,製造が容易とされている。
【0060】
グリップ部102には、ヘッド部104の一部(挿入部154)が挿入されている。挿入部154が挿入されているグリップ部102の空間が、内方空間部102cである(
図4(a)及び
図4(b)参照)。係合孔部E1は、内方空間部102cに面して設けられている。更にグリップ部102は、第1当接面F1を有する(
図8参照)。本実施形態では、第1当接面F1は、グリップ部102の前方の端面である。
【0061】
ヘッド部104は、ヘッド本体144と、第1ヘッドカバー150と、第2ヘッドカバー152とを有する。また、ヘッド部104は、グリップ部102に挿入される挿入部154を有する。第1ヘッドカバー150と第2ヘッドカバー152とにより、挿入部154を除くヘッド部104の全体が覆われている。ヘッドカバー150は、解除ボタン200(後述)を貫通させるための貫通孔156を有する。
【0062】
ヘッド部104は、伝達部材160(第1伝達部材160R、第2伝達部材160L)を有する。第1伝達部材160Rと第2伝達部材160Lとは、切替弁V1の軸線を含む平面に対して互いに対称に配置されている。すなわち、第1伝達部材160Rと第2伝達部材160Lとは、互いに鏡像の関係にある。
【0063】
ヘッド部104は、弾性体180(第1弾性体180R、第2弾性体180L)を有する。第1弾性体180Rは、第1伝達部材160Rとヘッド本体144との間に配置されている。上面開口線80Lは、第2伝達部材160Lとヘッド本体144との間に配置されている。第1弾性体180Rと第2弾性体180Lとは、切替弁V1の軸線を含む平面に対して互いに対称に配置されている。すなわち、第1弾性体180Rと第2弾性体180Lとは、互いに鏡像の関係にある。本実施形態では、弾性体180は、コイルスプリングである。コイルスプリング以外の弾性体が用いられても良い。
【0064】
ヘッド部104は、解除ボタン200(第1解除ボタン200R、第2解除ボタン200L)を有する。第1解除ボタン200Rは、第1伝達部材160Rの外側に取り付けられている。第2解除ボタン200Lは、第2伝達部材160Lの外側に取り付けられている。第1解除ボタン200Rと第2解除ボタン200Lとは、切替弁V1の軸線を含む平面に対して互いに対称に配置されている。すなわち、第1解除ボタン200Rと第2解除ボタン200Lとは、互いに鏡像の関係にある。解除ボタン200(操作部)の操作方向(移動方向)は、特定方向に対して垂直である。第1解除ボタン200R(の中心)と第2解除ボタン200L(の中心)とは同一直線上に位置する。更に、第1解除ボタン200Rと第2解除ボタン200Lとで、操作力の向きは互いに逆向きである。よって、両者に加わる操作力が相殺され、ヘッド部104とグリップ部102との接合部に作用する応力が抑制されている。
【0065】
図9(a)は、伝達部材160(第1伝達部材160R、第2伝達部材160L)の斜視図である。
図9(b)は、伝達部材160を上側から見た側面図である。
図9(c)は、伝達部材160の内面を示す裏面図である。
図9(d)は、伝達部材160を下側から見た側面図である。
図9(e)は、伝達部材160の外面を示す平面図である。なお、第1伝達部材160Rと第2伝達部材160Lとは共通化されているので、以下では、この部材を伝達部材160として説明する。
【0066】
伝達部材160は、その外側の面に、係合突起T1と、傾斜面Y1と、段差面D1とを有する。段差面D1は、係合突起T1の前方に位置する。傾斜面Y1は、係合突起T1に隣接している。傾斜面Y1は、係合突起T1の後方に位置する。傾斜面Y1は、後方(先端側)にいくほどヘッド部104の中心側となるように傾斜している。傾斜面Y1の前方縁は、係合突起T1と傾斜面Y1との境界である。傾斜面Y1の後方縁は、伝達部材160の後端に位置する。傾斜面Y1は、本願にいう第2当接面の一例である。
【0067】
なお、第2当接面は、傾斜面Y1でなくてもよいが、ヘッド部104の装着を円滑とする観点から、傾斜面Y1が好ましい。傾斜面Y1は、平面でもよいし、曲面でもよい。ヘッド部104の装着を円滑とする観点及び製造容易性の観点から、平面が好ましい。
【0068】
伝達部材160は、その内側の面に、ヘッド係合部162を有する。ヘッド係合部162は、突起である。ヘッド係合部162は、円柱状の突起である。ヘッド係合部162は、2箇所に設けられている。
【0069】
伝達部材160は、その内側の面に、弾性体配置部164を有する。弾性体配置部164は、凹部である。弾性体配置部164は、円筒状の凹部を形成している。弾性体配置部164は、着座底面166と円周側面168とを有する。弾性体配置部164は、係合突起T1の前方に位置する。弾性体配置部164の前方に、第1のヘッド係合部162が位置する。ヘッド係合部162の後方に、第2のヘッド係合部162が位置する。
【0070】
伝達部材160は、ボタン係合部170を有する。ボタン係合部170は、貫通孔である。
【0071】
図10(a)は、解除ボタン200(第1解除ボタン200R、第2解除ボタン200L)の斜視図である。
図10(b)は、伝達部材160を上側から見た側面図である。
図10(c)は、伝達部材160の内面を示す裏面図である。
図10(d)は、伝達部材160を下側から見た側面図である。
図10(e)は、伝達部材160の外面を示す平面図である。なお、第1解除ボタン200Rと第2解除ボタン200Lとは共通化されているので、以下では、この部材を解除ボタン200として説明する。
【0072】
解除ボタン200は、操作押圧面202と、内側係合部204と、側面206とを有する。操作押圧面202は、滑らかな曲面である。この曲面は、ヘッドカバー150の表面の形状に対応している。
図10(c)及び
図10(e)が示すように、解除ボタン200の輪郭形状は、円形である。解除ボタン200の輪郭形状は、ヘッドカバー150の貫通孔156の形状に対応している。
【0073】
図11(a)は、伝達部材160に解除ボタン200が固定された状態を示す平面図である。
図11(b)は、
図11(a)のA−A線に沿った断面図である。
図11(c)は、
図11(a)のB−B線に沿った断面図である。
【0074】
図10と
図9との対比で明らかなように、内側係合部204の輪郭形状は、伝達部材160のボタン係合部170の形状に対応している。
図11(c)が示すように、内側係合部204をボタン係合部170に挿入することで、解除ボタン200が伝達部材160に固定されている。内側係合部204に設けられた小突起208により、固定強度が高められている。小突起208により、嵌め殺しの固定が達成されている。
【0075】
図12(a)は、ヘッド本体144の斜視図である。
図12(b)は、ヘッド本体144の平面図である。
図12(c)は、ヘッド本体144の側面図である。
図12(d)は、ヘッド本体144を前方から見た正面図である。
【0076】
ヘッド本体144は、前述の挿入部154と、第1伝達部材160R等が取り付けられる第1側面部222Rと、第2伝達部材160L等が取り付けられる第2側面部222Lとを有する。
【0077】
第1側面部222Rは、伝達部材160(第1伝達部材160R)のヘッド係合部162が係合する側面係合部224Rを有する。2箇所の側面係合部224Rが設けられている。2箇所のヘッド係合部162のそれぞれが、これらの側面係合部224Rに係合している。側面係合部224Rはスライド孔である。この側面係合部224Rの内部を、ヘッド係合部162が摺動しうる。
【0078】
第2側面部222Lは、伝達部材160(第2伝達部材160L)のヘッド係合部162が係合する側面係合部224Lを有する。2箇所の側面係合部224Lが設けられている。2箇所のヘッド係合部162のそれぞれが、これらの側面係合部224Lに係合している。側面係合部224Lはスライド孔である。この側面係合部224Lの内部を、ヘッド係合部162が摺動しうる。
【0079】
このように、伝達部材160は、ヘッド係合部162と側面係合部224とのスライド係合部によって、変位可能に支持されている。更に、これらのスライド係合部が2箇所に設けられている。このため、伝達部材160は、その姿勢を安定的に維持しつつ、変位することができる。
【0080】
図12が示すように、ヘッド本体144は、弾性体保持部230を有する。第1側面部222Rに、弾性体保持部230Rが設けられている。第2側面部222Lに、弾性体保持部230Lが設けられている。
【0081】
弾性体保持部230は、突起である。第1弾性体180Rの一端部に、弾性体保持部230Rが挿入されている。第2弾性体180Lの一端部に、弾性体保持部230Lが挿入されている。
【0082】
弾性体180は、弾性体保持部230と弾性体配置部164とにより、伸縮可能な状態で安定的に支持されている。弾性体180は、伝達部材160を外側に付勢している。
【0083】
このように構成された水栓装置100において、ヘッド部104は、グリップ部102に対して、取り外し可能に取り付けられている。
【0084】
グリップ部102は、ヘッド部104の一部(挿入部154)が挿入される内方空間部102cと、内方空間部102cに面して設けられた係合孔部E1と、第1当接面F1とを有する(
図8参照)。本実施形態では、第1当接面F1は、グリップ部102の前端面である。もちろん、第1当接面F1は、グリップ部102の前端面に限定されず、第2当接面に当接しうる位置にあればよい。
【0085】
図13は、ヘッド部104の取付工程を示している。
図13(a)は、ヘッド部104がグリップ部102に装着される途中の段階を示す断面図である。
図13(b)は、この装着が完了した正規装着状態を示す断面図である。ヘッド部104がグリップ部102に取り付けられる際には、
図13(a)の状態(挿入段階)から
図13(b)の正規装着状態へと進行する。
【0086】
この取付工程では、先ず、挿入部154の内方空間部102cへの挿入が開始される。挿入部154の一部が内方空間部102cに挿入されているが、傾斜面Y1が第1当接面F1から力を受けていない状態が、挿入開始段階とも称される。この挿入開始段階において、傾斜面Y1(第2当接面)が、第1当接面F1(グリップ部102の前端面)に当接する(
図13(a)の拡大部参照)。第1伝達部材160Rと第2伝達部材160Lの両方において、傾斜面Y1が第1当接面F1に当接する。このとき、解除ボタン200の操作は不要である。操作部(解除ボタン200)に外力が作用していない非操作状態において、傾斜面Y1の後端(先端)Y11は、第1当接面F1よりも内側に位置している。すなわち、挿入開始段階において、傾斜面Y1の後端Y11は、第1当接面F1よりも内側に位置している。挿入開始段階における2つの傾斜面Y1における後端Y11は、いずれも、前記非操作状態において、第1当接面F1(グリップ部102の前端面)の内側に位置しうる。前記非操作状態において、全ての傾斜面Y1(第2当接面)のそれぞれは、第1当接面F1に当接しうる位置にある。このため、解除ボタン200を操作することなく、傾斜面Y1は第1当接面F1に当接する。
【0087】
この状態で、ヘッド部104をグリップ部102に押し込む(
図13(a)の黒塗り矢印を参照)。この押し込みにより、傾斜面Y1は、第1当接面F1から押圧されつつ、後方(グリップ部102側)に移動する。この移動と同時に、傾斜面Y1は、第1当接面F1に押されて、内側(ヘッド部104の中心側)に変位する。傾斜面Y1は平面又は滑らかな曲面であるので、第1当接面F1は傾斜面Y1上を摺動し、傾斜面Y1の内側への変位は円滑に進行する。この傾斜面Y1と共に、係合突起T1も内側に変位する。
【0088】
更にヘッド部104を押し込むと、第1当接面F1によって傾斜面Y1が更に内側に押し込まれ、係合突起T1は、退行位置に達する。更にヘッド部104を押し込むと、係合突起T1は、係合孔部E1の位置に達し、係合孔部E1に入り込む。なぜなら、係合突起T1は弾性体180により外側に付勢されているからである。係合突起T1は、係合孔部E1の位置に達すると、弾性体180の付勢力によって係合位置に移動(突出)しつつ、係合孔部E1に入り込む。これにより正規装着状態となる。正規装着状態では、段差面D1と、係合孔部E1の内面とが係合しているため、ヘッド部104の係止は確実である。
【0089】
このように、ヘッド部104の挿入に伴う第1当接面F1と傾斜面Y1(第2当接面)との当接により、係合突起T1は退行位置にまで変位するように構成されている。ヘッド部104の挿入に伴う第1当接面F1と傾斜面Y1(第2当接面)との当接により、係合突起T1は、操作部200の操作を伴うこと無く、退行位置にまで変位するように構成されている。よって、ヘッド部104の取付は、ヘッド部104をグリップ部102に挿入するだけでよく、操作部(解除ボタン200)の操作は不要である。
【0090】
図14は、ヘッド部104の取り外し工程を示している。
図14(a)は解除ボタン200が押圧された状態を示す断面図である。
図14(b)は、この取り外しがほぼ完了した状態を示す断面図である。
【0091】
この取り外し工程では、先ず、解除ボタン200が押圧される(
図14(a)の小さな黒塗り矢印を参照)。この押圧により、解除ボタン200は内側に移動(退行)する。この解除ボタン200の移動により、解除ボタン200が取り付けられている伝達部材160も内側に移動する。この結果、伝達部材160の一部である係合突起T1も内側に移動する。
【0092】
解除ボタン200の操作により、係合突起T1が退行位置にまで移動される(
図14(a))。この移動により、係合突起T1と係合孔部E1との係合が解除される。この係合が解除された状態で、ヘッド部104をグリップ部102から引き抜くことで(
図14(a)の大きな黒塗り矢印参照)、ヘッド部104の取り外しが完了する。
図14(b)では、係合突起T1が内方空間部102cから外に出ている。
【0093】
このように、ヘッド部104の着脱は容易である。ヘッド部104の装着は、操作部200を操作することなく、ヘッド部104を挿入するだけでよい。ヘッド部104の取り外しは、操作部200を押圧しながらヘッド部104を引き抜くだけでよい。ビス等の外部部品は存在しないので、当該部品の紛失ということもない。素手で簡単に着脱することができ、着脱時の治具も不要である。
【0094】
この着脱構造は、ヘッド部104とグリップ部102との相対回転を伴う回転方式ではない。よって、結合部の形状が、円筒形状に限定されない。結果として、形状の設計自由度に優れた水栓装置が実現する。例えば、水栓装置100のような、美観性に優れたデザインも可能となる。
【0095】
係合孔部E1はグリップカバー102bで覆われているので、外部から視認されない。係合孔部E1に係合している係合突起T1も、外部から視認されない。よって、美観性に優れる。更に、操作部(解除ボタン200)の外面(操作押圧面202)の形状が、その周囲のヘッド部104の外面に対応した形状とされている(
図3参照)。このため、美観性がより一層高められている。
【0096】
上述の通り、操作部(解除ボタン200)の動きは、係合突起T1に伝達されている。上記実施形態では、伝達部材160が、係合突起T1を有している。よって、本実施形態では、操作部200の動きを係合突起T1に伝達する伝達部は、伝達部材160の一部である。係合突起T1と伝達部とが一体とされることで、操作部200の動きが確実に係合突起T1に伝達される。また、この一体構造により、構造が単純化されているので、耐久性が向上すると共に、組み立てが容易となる。後述の第2実施形態でも、伝達部が、係合突起T3と一体の部材(第1伝達部材360L)を含んでいる。
【0097】
もちろん、上記伝達部は、係合突起T1とは別の部材であってもよい。また例えば、伝達部材160が操作部を含んだ一体部材であってもよい。後述の第2実施形態では、伝達部が、係合突起T3を有する部材(第1伝達部材360L)とは別の部材(第2伝達部材360U及び第3伝達部材360C)を含んでいる。このうち、第2伝達部材360Uは、係合突起T3とは別の係合突起T2を有している。
【0098】
図15(a)は、ヘッドカバー150の斜視図であり、
図15(b)はヘッドカバー150の平面図であり、
図15(c)はヘッドカバー150の側面図であり、
図15(d)はヘッドカバー150を後方から見た背面図である。
【0099】
本実施形態では、ヘッドカバー150の外形が、ヘッド部104の外形である。ただし、解除ボタン200が配置されている部分については、解除ボタン200の外面(操作押圧面202)が、ヘッド部104の外形である。解除ボタン200が配置されている位置において、ヘッド部104の外形(ヘッドカバー150の外形)は、偏平形状である。解除ボタン200が配置されている部分において、ヘッド部104の外形(輪郭)の断面線が、以下において操作領域断面線とも称される。この操作領域断面線は、その全体が、滑らかな曲線によって構成されている。この操作領域断面線の一部は、解除ボタン200の外面(操作押圧面202)によって構成されている。この操作領域断面線は、楕円状である。なお、この操作領域断面線は、上記特定方向に対して垂直な方向に沿った断面における断面線である。
【0100】
この外形(操作領域断面線)は、幅広方向Wを有する。幅広方向Wとは、上記操作領域断面線において、横断幅が最大となる方向である。横断幅とは、操作領域断面線を横切る線分の長さであり、換言すれば、操作領域断面線と任意の直線との間の2つの交点間の距離である。この外形(操作領域断面線)は、幅狭方向Nを有する。幅狭方向Nとは、上記操作領域断面線において、横断幅が最小となる方向である。
【0101】
この幅広方向Wの両側に、解除ボタン200が設けられている。
図15における貫通孔156の位置に、解除ボタン200が設けられている(
図3参照)。
【0102】
この幅広方向Wの両側に、解除ボタン200が設けられている。従って、解除ボタン200は、押し込み操作性に優れる。特に、幅広方向Wの両側から挟み込むようにして解除ボタン200を押圧することになるため、2つの解除ボタン200を同時に押す操作が行いやすい。加えて、2つの解除ボタン200は、切替弁V1の軸線を含む平面に対して互いに対称に配置されている。また、解除ボタン200の押圧方向(移動方向)は、前記特定方向に対して垂直である。よって、2つの解除ボタン200を同時に押す操作がより一層容易とされている。
【0103】
[第2実施形態]
図16は、第2実施形態に係る水栓装置300の側面図である。
図17(a)は水栓装置300の上面図であり、
図17(b)は水栓装置300の下面図である。
図18は、水栓装置300の分解斜視図である。
図19(a)及び
図19(b)は、水栓装置300の断面図である。
図16から
図18及び
図19(a)において、切替操作ボタン320(後述)は飛び出し位置にある。一方、
図19(b)において、切替操作ボタン320は押し込み位置にある。
図19(a)は、浄水吐出状態を示す。
図19(b)は、原水吐出状態を示す。
【0104】
水栓装置300は、吐水を原水と浄水とに切り替えることが可能な浄水機能付き水栓装置である。水栓装置300において、切替操作ボタンの位置と吐水切替との関係は、次の通りである。
(a)切替操作ボタンが飛び出し位置にあるとき(ボタン凸)、浄水が吐出される。
(b)切替操作ボタンが押し込み位置にあるとき(ボタン凹)、原水が吐出される。
【0105】
水栓装置300は、グリップ部302と、ヘッド部304とを有する。グリップ部302には、水質浄化材(水質浄化カートリッジ306)が内蔵されている。グリップ部302は、水質浄化カートリッジ306を配置するための空洞部と、この空洞部を画定する内面e2と、この空洞部に挿入された水質浄化カートリッジ306とを有する。この水質浄化カートリッジ306は、交換可能である。水質浄化カートリッジ306の構成及び機能は、前述した水質浄化カートリッジ106と同様である。
【0106】
ヘッド部304は、切替操作部320を有する。本実施形態では、切替操作部320は、切替操作ボタンである。この切替操作部320は、押しボタンである。切替操作ボタン320は、原水流路と浄水流路とを切り替えるボタンとして機能する。
【0107】
水栓装置300は、水栓本体から取り外して使用されうる。この場合、グリップ部302が把持される。
【0108】
ヘッド部304は、グリップ部302の下流側に位置する。ヘッド部304は、水栓装置300の先端部を構成している。ヘッド部304は、グリップ部302に、取り外し可能に取り付けられている。水質浄化カートリッジ306を交換する際には、ヘッド部304がグリップ部302から取り外され、古い水質浄化カートリッジ306が水栓先端側から引き抜かれ、新しい水質浄化カートリッジ306が水栓先端側から前記空洞部に挿入される。
【0109】
ヘッド部304は、吐水口310を有する。水は、吐水口310から吐出される。浄水又は原水のいずれかが、吐水口310から吐出される。水栓装置300は、水質浄化材を透過して吐水口310へと至る浄水流路と、水質浄化材を透過せずに吐水口310へと至る原水流路と、を有している。
【0111】
ヘッド部304は、オルタネイト動作方式の押しボタン機構330を有している。この押しボタン機構330により、押しボタン320を押すごとに、押しボタン320の位置は、第1位置(飛び出し位置)と第2位置(押し込み位置)とに切り替わる。
【0112】
図20から
図22が示すように、押しボタン機構330は、第1切替こま332、第2切替こま334、切替リング336、切替軸338、第1切替ケース340、Oリング342,第2切替ケース344、パッキン346、第3切替ケース348、Oリング350、コイルスプリングCS1及びコイルスプリングCS2を有する。更に、ヘッド部304は、ヘッド本体351を有する。押しボタン320が前後方向に移動すると、第1切替こま332は、第2切替こま334及び切替軸338とともに前後方向に移動する。第2切替こま334は、ボタンの押圧操作毎に回転し、この回転毎に、切替リング336に対する第2切替こま334の軸方向位置が切り替わる。この結果、押しボタン320が、異なる2つの位置(第1位置及び第2位置)で保持される。
【0113】
ヘッド本体351は、リンク支持部357を有する。ヘッド本体351の左右両側に、リンク支持部357が設けられている。リンク支持部357は、円筒の突出部である。リンク支持部357は、挿入孔を有している。この挿入孔に、第3伝達部材360Cの回転支持部392(後述)が挿入される。
【0114】
この押しボタン機構330でも、スラストロック機構が用いられている。前述した押しボタン機構330と同様に、この押しボタン機構330は、オルタネイト動作方式の押しボタン機構である。押しボタン機構330のオルタネイト動作は、前述の第1実施形態と同様である。
【0115】
ヘッド部304は、吐水口から吐出される水が原水か浄水かを切り替える切替弁V2を有する。
図20から
図22が示すように、切替弁V2は、原水流路を開閉しうる原水弁部VGと、浄水流路を開閉しうる浄水弁部VJとを有している。更に、切替弁V2は、弁継ぎ手Z3を有する。弁継ぎ手Z3の一端部は、軸体Z1に接続されている。弁継ぎ手Z3の他端部は、軸体Z2に接続されている。原水弁部VGと浄水弁部VJとは、弁継ぎ手Z3を介して間接的に連結されている。原水弁部VGと浄水弁部VJとの間の位置関係は、変化しうる。
【0116】
原水弁部VGは、軸体Z1と、原水シール部材PK1とを有する。原水シール部材PK1は、パッキンである。原水シール部材PK1は、軸体Z1に取り付けられている。
【0117】
浄水弁部VJは、軸体Z2と、浄水シール部材S2とを有する。浄水シール部材S2は、Oリングである。浄水シール部材S2は、軸体Z2に取り付けられている。
【0118】
図19(a)及び
図19(b)が示すように、水栓装置300(ヘッド部304)は、隣接部としての第1隣接部R1と、隣接部としての第2隣接部R2とを有する。上述の通り、本願では、切替弁V2に隣接する部分が、広く隣接部と総称される。
【0119】
第1隣接部R1は、原水弁用当接面M1を有している(
図19(b)参照)。この原水弁用当接面M1は、後方に向いた面である。この原水弁用当接面M1が軸方向に対して垂直な面とされ、この垂直な面が原水シール部材PK1と当接してシール機能をなす面シールが構成されてもよい。また、第3切替ケース348の後方側の端部の基面から後方側に突出するリップ部が設けられ、このリップ部が原水シール部材PK1と当接してシール機能をなすリップシールが構成されてもよい。なお、シール性を高める為には、リップ部を備える構成、つまり、リップシールが好ましい。前記リップ部の最先端部に平面(軸方向に対して垂直な平面)が形成されていてもよいし、前記リップ部の最先端部が曲面とされ、当該最先端部に平面がない構成とされてもよい。最先端部に平面がない構成としても、その最先端部は原水シール部材PK1に当接すると変形するので、その当接面は原水弁用当接面M1として機能する。このように、原水弁用当接面M1は、第3切替ケース348の後端面又は当該後端面部分に配置されるリップ部とされうる。
【0120】
第2隣接部R2は、浄水弁用当接面K1を有している。この浄水弁用当接面K1は、浄水弁用傾斜面である。前述した第1実施形態では、浄水弁用当接面K1は後方に向いた面であるが、本第2実施形態では、浄水弁用当接面K1は、前方に向いた面である。
【0121】
図19(b)の原水吐出状態において、押しボタン320は押し込み位置にある。このとき、浄水シール部材S2は浄水弁用傾斜面K1に当接しており、原水シール部材PK1は原水弁用当接面M1から離れている。つまりこのとき、原水弁部VGは開状態にあり、浄水弁部VJは閉状態にある。
【0122】
図19(a)の浄水吐出状態において、押しボタン320は飛び出し位置にある。このとき、浄水シール部材S2は浄水弁用傾斜面K1から離れており、原水シール部材PK1は原水弁用当接面M1に当接している。つまりこのとき、原水弁部VGは閉状態にあり、浄水弁部VJは開状態にある。
【0123】
切替弁V2は、押しボタン機構330の一部である。切替弁V2は、押しボタン機構330におけるオルタネイト動作にて動く。切替操作部320(ボタン)の位置に連動して、切替弁V2は、第1位置P1、第2位置P2及び第3位置P3を採りうる。第1位置P1は、切替弁V2の可動範囲のうち、最も水栓先端側の位置である。第3位置P3は、切替弁V2の可動範囲のうち、最も水栓本体側の位置である。第2位置P2は、第1位置P1と第3位置P3との間に位置する。切替操作部320の移動方向は、前記特定方向である。切替弁V2の移動方向は、前記特定方向である。切替操作部320の操作によって、切替弁V2は、特定方向に沿って移動する。換言すれば、切替操作部320の操作によって、原水弁部VG及び浄水弁部VJは、特定方向に沿って移動する。
【0124】
図19(b)が示すように、切替操作部320が押し込み位置(第2位置)にあるとき、切替弁V2は第2位置P2にある。切替弁V2が第2位置P2にあるとき、原水が吐出される。
図19(a)が示すように、切替操作部320が飛び出し位置(第1位置)にあるとき、切替弁V2は第1位置P1にある。切替弁V2が第1位置P1にあるとき、浄水が吐出される。押しボタン機構330が操作されていない状態では、押しボタン機構330が採りうる位置は、第1位置P1及び第2位置P2のみである。第1位置P1と第2位置P2との相互移行において、第3位置P3が経由される。
【0125】
このように、特定方向の移動により、原水弁部VGが閉状態にあり且つ浄水弁部VJが開状態にある浄水吐出状態と、原水弁部VGが開状態にあり且つ浄水弁部VJが閉状態にある原水吐出状態とが達成されている。切替操作部320を押すだけで、浄水吐出状態と原水吐出状態との相互移行が可能である。切替弁V2の移動だけで、原水弁部VG及び浄水弁部VJの弁が開閉しうる。
【0126】
図23は、ヘッド部304の分解斜視図である。
図24は、グリップ部302の分解斜視図である。なお、
図23では、操作ボタン320の記載が省略されている。
【0127】
図24が示すように、グリップ部302は、グリップ本体302aと、グリップカバー302bとを有する。グリップ本体302aは、係合孔部E2を有する。係合孔部E2は、グリップ本体302aを貫通している。グリップカバー302bは、グリップ本体302aの略全体を覆っている。グリップカバー302bは、係合孔部E2を覆っている。係合孔部E2は、外部から視認されない。グリップカバー302bは、外観性を高める。また、係合孔部E2がグリップカバー302bで覆われているため、係合孔部E2からの水の浸入が防止される。
【0128】
なお、グリップカバー302bを設けずに、グリップ本体302aの内面に凹部を設けて、これを係合孔部E2とすることもできる。この場合も、係合孔部E2は外部から視認されない。ただし、筒状のグリップ本体302aの内面に凹部を設けるのは、製造上、容易ではない。貫通孔の方が製造が容易である。本実施形態では、貫通孔とグリップカバー302bとを用いることで、外観性を高めつつ,製造が容易とされている。
【0129】
グリップ部302には、ヘッド部304の一部が挿入されている。
図18が示すように、ヘッド304のうち、グリップ部302に挿入される部分が、挿入部354と称される。挿入部354が挿入されているグリップ部302の空間が、内方空間部と称される。係合孔部E2は、この内方空間部に面して設けられている。更にグリップ部302は、第1当接面F2を有する(
図18及び
図24参照)。本実施形態では、第1当接面F2は、グリップ部302(グリップ本体302a)の前方の端面である。
【0130】
図23が示すように、ヘッド部304は、ヘッド本体351と、ヘッドカバー355とを有する。また、ヘッド部304は、グリップ部302に挿入される挿入部354を有する。ヘッドカバー355により、挿入部354を除くヘッド部304が覆われている。
【0131】
ヘッド部304は、伝達部を構成する伝達部材360を有する。ヘッド部304は、伝達部材360として、第1伝達部材360L、第2伝達部材360U及び第3伝達部材360Cを有する。伝達部材360は、第1伝達部材360Uと、第2伝達部材360L、第3伝達部材360Cとで構成されている。第1伝達部材360Lは、ヘッド本体351の下側に取り付けられている。第2伝達部材360Uは、ヘッド本体351の上側に取り付けられている。第3伝達部材360Cは、2つである。第3伝達部材360Cは、ヘッド本体351の右側と、ヘッド本体351の左側とに取り付けられている。
【0132】
ヘッド部304は、弾性体380を有する。弾性体380は、第1伝達部材360Lとヘッド本体351との間に配置されている。弾性体380は、第1伝達部材360Lを、下方(ヘッド本体351の外方)に向かって付勢している。後述されるリンク機構により、弾性体380は、係合突起T2,T3を突出方向に付勢している。本実施形態では、弾性体380は、コイルスプリングである。弾性体380として、コイルスプリング以外の弾性体が用いられても良い。
【0133】
ヘッド部304は、解除ボタン400を有する。解除ボタン400は、第1伝達部材360Lに取り付けられている。解除ボタン400は、第1伝達部材360Lに固定されている。
【0134】
水栓装置300において、解除ボタン400は露出している。解除ボタン400は、指で操作(押圧)されうる。なお、指で操作する構成とせずに、解除ボタン400を操作するための治具や工具等で操作する構成とされてもよい。また、指と、治具や工具等との両方で操作できるようにされてもよい。解除ボタン400は、押しボタンである。解除ボタン400は、水栓装置300の下側に位置する(
図17(b)参照)。
【0135】
図25(a)は、第2伝達部材360Uの斜視図である。
図25(b)は、第2伝達部材360Uを前側から見た正面図である。
図25(c)は、第2伝達部材360Uの側面図である。
【0136】
第2伝達部材360Uは、全体として左右対称の部材である。第2伝達部材360Uは、係合突起T2を有する。係合突起T2の数は複数(3つ)である。係合突起T2は、第2伝達部材360Uの上面に設けられている。係合突起T2は、傾斜面Y2と、段差面D2とを有する。段差面D2は、係合突起T2の前方に位置する。傾斜面Y2は、係合突起T2の後方に位置する。傾斜面Y2は、前記特定方向に対して傾斜している。傾斜面Y2は、後方にいくほどヘッド部304の中心側(下側)となるように傾斜している。傾斜面Y2の後方縁は、第2伝達部材360Uの後端に位置する。傾斜面Y2は、本願にいう第2当接面の一例である。
【0137】
なお、第2当接面は、傾斜面Y2でなくてもよいが、ヘッド部304の装着を円滑とする観点から、傾斜面Y2が好ましい。傾斜面Y2は、平面でもよいし、曲面でもよい。ヘッド部304の装着を円滑とする観点及び製造容易性の観点から、平面が好ましい。
【0138】
第2伝達部材360Uは、リンク係合部U2を有している。第2伝達部材360Uの左右両側のそれぞれに、リンク係合部U2が設けられている。リンク係合部U2は、下方延在部EU2に設けられた孔(貫通孔)である。
【0139】
図26(a)は、第1伝達部材360Lを上方から見た斜視図である。
図26(b)は、第1伝達部材360Lを前側から見た正面図である。
図26(c)は、第1伝達部材360Lの側面図である。
図26(d)は、第1伝達部材360Lを下方から見た斜視図である。
【0140】
第1伝達部材360Lは、全体として左右対称の部材である。第1伝達部材360Lは、係合突起T3を有する。係合突起T3の数は複数(2つ)である。係合突起T3は、第1伝達部材360Lの下面に設けられている。係合突起T3は、傾斜面Y3と、段差面D3とを有する。段差面D3は、係合突起T3の前方に位置する。傾斜面Y3は、係合突起T3の後方に位置する。傾斜面Y3は、前記特定方向に対して傾斜している。傾斜面Y3は、後方にいくほどヘッド部304の中心側(上側)となるように傾斜している。傾斜面Y3の後方縁は、第1伝達部材360Lの後端に位置する。傾斜面Y3は、本願にいう第2当接面の一例である。
【0141】
なお、第2当接面は、傾斜面Y3でなくてもよいが、ヘッド部304の装着を円滑とする観点から、傾斜面Y3が好ましい。傾斜面Y3は、平面でもよいし、曲面でもよい。ヘッド部304の装着を円滑とする観点及び製造容易性の観点から、平面が好ましい。
【0142】
第1伝達部材360Lは、リンク係合部L1を有している。第1伝達部材360Lの左右両側のそれぞれに、リンク係合部L1が設けられている。リンク係合部L1は、上方延在部EL1に設けられた孔(貫通孔)である。
【0143】
第1伝達部材360Lは、スライド孔SL1を有している。スライド孔SL1は、上下方向に延在している。このスライド孔SL1に、ヘッド本体351の第1スライド凸部(図示されず)が挿入される。このスライド凸部とスライド孔SL1との間の摺動に起因して、第1伝達部材360Lは、その姿勢を維持しながら上下方向に移動しうる。
【0144】
第1伝達部材360Lは、バネ収容部370と円筒突起372とを有している。このバネ収容部370は、円筒突起372の周囲に存在する空間である。前述したコイルスプリング380が、バネ収容部370に配置される。この配置において、コイルスプリング380の内側に円筒突起372が挿通されている。この挿通により、コイルスプリング380は、伸縮可能に保持されている。
【0145】
図27(a)は解除ボタン400の斜視図であり、
図27(b)は解除ボタン400を後方からみた背面図であり、
図27(c)は解除ボタン400の底面図である。
【0146】
解除ボタン400は、押圧面402と、取付係合部404とを有する。押圧面402は、水栓装置300において露出している面である。取付係合部404は、左右それぞれに設けられている。取付係合部404は上方に延びている。取付係合部404の上端に係合ツメ406が設けられている。
【0147】
図28(a)は、第1伝達部材360Lに解除ボタン400が固定された部材を下方から見た底面図である。
図28(b)は、
図28(a)のb−b線に沿った断面図である。
図28(c)は、
図28(a)のc−c線に沿った断面図である。
【0148】
前述の通り、解除ボタン400は第1伝達部材360Lに固定されている。
図28(b)が示すように、解除ボタン400の係合ツメ406が、第1伝達部材360Lの係合ツメ362に係合している。この係合により、解除ボタン400の固定が達成されている。解除ボタン400と第1伝達部材360Lとは一体で動く。なお、当然ながら、第1伝達部材360Lと解除ボタン400とが一体成形されていてもよい。
【0149】
図29(a)は、上方から見た第3伝達部材360Cの斜視図である。
図29(b)は、第3伝達部材360Cを上方から見た平面図である。
図29(c)は、下方から見た第3伝達部材360Cの斜視図である。
【0150】
第3伝達部材360Cは、全体として、細長いリンク部材である。第3伝達部材360Cは、基部390と、回転支持部392と、第1リンク部394と、第2リンク部396とを有する。回転支持部392は、第1リンク部394と第2リンク部396との間に位置する。第1リンク部394は第3伝達部材360Cの一端側に位置し、第2リンク部396は第3伝達部材360Cの他端側に位置する。回転支持部392は、第3伝達部材360Cの中心に位置する。
【0151】
本実施形態では、回転支持部392は、断面が円形の軸体である。この軸体は、基部390から、ヘッド部304の中心に向かって延びている。本実施形態では、第1リンク部394は、断面が円形の軸体である。この軸体は、基部390から、ヘッド部304の中心に向かって延びている。本実施形態では、第2リンク部396は、断面が円形の軸体である。この軸体は、基部390から、ヘッド部304の中心に向かって延びている。なお、本実施形態では、全ての軸体が同一方向に延びているが、異なる方向に延びてもよい。また、これらは軸体に限られず、例えば孔に置換されてもよく、この場合、リンク係合部U2(
図25)及びリンク係合部L1(
図26)が軸体とされうる。
【0152】
図30(a)から(c)は、ヘッド本体351に伝達部材360(解除ボタン400を含む)が取り付けられた組立体500を示す。
図30(a)は、組立体500を上から見た斜視図である。
図30(b)は、組立体500を下から見た斜視図である。
図30(c)は、組立体500の側面図である。
【0153】
前述の通り、第2伝達部材360Uは、ヘッド本体351の上側に取り付けられている。
図25(a)が示す通り、第2伝達部材360Uは、スライド孔SL2を有している。スライド孔SL2は、上下方向に延在している。このスライド孔SL2に、ヘッド本体351の第2スライド凸部353(
図30(a)参照)が挿入される。このスライド凸部353とスライド孔SL2との間の摺動に起因して、第2伝達部材360Uは、その姿勢を維持しながら上下方向に移動しうる。
【0154】
第1伝達部材360Lと第2伝達部材360Uとは、第3伝達部材360Cによって連結されている。第2伝達部材360Uは、第1伝達部材360Lに連動する。第1伝達部材360Lが上側(ヘッド本体351の中心側)に移動すると、第2伝達部材360Uが下側(ヘッド本体351の中心側)に移動する。第1伝達部材360Lが下側に移動すると、第2伝達部材360Uが上側に移動する。第1伝達部材360Lと、第2伝達部材360Uと、第3伝達部材360Cとで、リンク機構が構成されている。このリンク機構の詳細については、後述される。
【0155】
図31(a)はグリップ本体302aの斜視図であり、
図31(b)はグリップ本体302aを上側から見た平面図であり、
図31(c)はグリップ本体302aを下から見た底面図である。前述の通り、グリップ本体302aは、係合孔部E2を有する。合計5つの係合孔部E2が設けられている。これらの係合孔部E2は、グリップ本体302aを貫通している。グリップ本体302aがグリップカバー302bに覆われることで、係合孔部E2は、内方空間部に面した凹部となる。係合孔部E2は、内方空間部に向かって開口する凹部である。
【0156】
グリップ本体302aは、解除ボタン回避部303を有する。解除ボタン回避部303は、グリップ本体302aの下側に設けられている。解除ボタン回避部303は、解除ボタン400の形状に沿って設けられた欠落部である。解除ボタン回避部303は、解除ボタン400の設置を許容する。
【0157】
図32(a)はヘッド部304がグリップ部302に装着される途中の段階を示す平面図であり、
図32(b)は
図32(a)のb−b線に沿った断面図である。
図33(a)は、ヘッド部304の装着が完了した正規装着状態を示す平面図であり、
図33(b)は
図33(a)のb−b線に沿った断面図である。ヘッド部304のグリップ部302への取り付けでは、
図32の状態(挿入段階)から
図33の正規装着状態への移行が達成される。
【0158】
ヘッド部304の取付工程では、先ず、挿入部354の内方空間部302cへの挿入が開始される。挿入部354の一部が内方空間部302cに挿入されているが、傾斜面Y2,Y3が第1当接面F2から力を受けていない状態が、挿入開始段階とも称される。この挿入開始段階において、傾斜面Y2,Y3(第2当接面)が、第1当接面F2(グリップ部302の前端面)に当接する(
図32(b)の拡大部参照)。第2伝達部材360Uの傾斜面Y2と第1伝達部材360Lの傾斜面Y3とが、第1当接面F2に当接する。このとき、解除ボタン400の操作は不要である。操作部(解除ボタン400)に外力が作用していない非操作状態において、傾斜面Y2の後端は、第1当接面F2よりも内側に位置している。同様に、操作部(解除ボタン400)に外力が作用していない非操作状態において、傾斜面Y3の後端は、第1当接面F2よりも内側に位置している。よって、解除ボタン400を操作することなく、傾斜面Y2、Y3は第1当接面F2に当接する。つまり、非操作状態において、全ての第2当接面Y2,Y3が、第1当接面F2に当接する。
【0159】
この状態で、ヘッド部304をグリップ部302に押し込む(
図32(a)の黒塗り矢印を参照)。この押し込みにより、傾斜面Y2、Y3は、第1当接面F2から押圧されつつ、内側(ヘッド部304の中心側)に変位する(
図32(b)の黒塗り矢印参照)。第1当接面F2は傾斜面Y2,Y3上を摺動し、傾斜面Y2,Y3の内側への変位は円滑に進行する。傾斜面Y2(係合突起T2)の変位に伴い、第2伝達部材360Uの全体が変位する。すなわち、ヘッド部304の押し込みにより、第2伝達部材360Uは下側に変位する。傾斜面Y3(係合突起T3)の変位に伴い、第1伝達部材360Lの全体が変位する。すなわち、ヘッド部304の押し込みにより、第1伝達部材360Lは上側に変位する。
【0160】
更にヘッド部304を押し込むと、第1当接面F2によって傾斜面Y2,Y3が更に内側に押し込まれ、係合突起T2,T3は、退行位置に達する。更にヘッド部304を押し込むと、係合突起T2,T3は係合孔部E2の位置に達し、係合孔部E2に入り込む(
図33(b)参照)。なぜなら、係合突起T3を含む第1伝達部材360Lはコイルスプリング380により外側(下側)に付勢されており、且つ、係合突起T2を含む第2伝達部材360Uはリンク機構により外側(上側)に付勢されているからである。係合突起T2,T3が係合孔部E2に入り込むことで、正規装着状態(
図33)が達成される。正規装着状態では、段差面D2と、係合孔部E2の内面とが係合しているため、ヘッド部304の係止は確実である。
【0161】
このように、ヘッド部304の挿入に伴う第1当接面F2と傾斜面Y2,Y3(第2当接面)との当接により、係合突起T2,T3は退行位置にまで変位するように構成されている。ヘッド部304の挿入に伴う第1当接面F2と傾斜面Y2,Y3(第2当接面)との当接により、係合突起T2,T3は、操作部400の操作を伴うこと無く、退行位置にまで変位するように構成されている。よって、ヘッド部304の取付は、ヘッド部304をグリップ部302に挿入するだけでよく、操作部(解除ボタン400)の操作は不要である。
【0162】
図34(a)及び
図34(b)は、ヘッド部304の取り外し工程の第1段階を示している。
図34(a)及び
図34(b)は、解除ボタン400が押圧された状態を示す。この第1段階では、解除ボタン400が押圧される(
図34(b)の黒塗り矢印を参照)。この押圧により、解除ボタン400は内側(上側)に移動する。この解除ボタン400の移動により、解除ボタン400が取り付けられている第1伝達部材360Lも内側(上側)に移動する。この第1伝達部材360Lに連動して、第2伝達部材360Uも内側(下側)に移動する(
図34(b)の拡大部の黒塗り矢印参照)。第1伝達部材360Lと第2伝達部材360Uとの連動は、後述されるリンク機構によって達成されている。
【0163】
解除ボタン400の押圧操作により、係合突起T2,T3が退行位置にまで移動される(
図34(b))。この移動により、係合突起T2,T3と係合孔部E2との係合が解除される。ヘッド部304の取り外し工程の第2段階では、この係合が解除された状態で、ヘッド部304をグリップ部302から引き抜く(
図34(a)の黒塗り矢印参照)。この引き抜きにより、ヘッド部304の取り外しが完了する。
【0164】
このように、ヘッド部304の着脱は容易である。ヘッド部304の装着は、操作部400を操作することなく、ヘッド部304を挿入するだけでよい。ヘッド部304の取り外しは、操作部400を押圧しながらヘッド部304を引き抜くだけでよい。ビス等の外部部品は存在しないので、当該部品の紛失ということもない。素手で簡単に着脱することができ、治具を用いることなく着脱を可能にできる。
【0165】
この着脱構造は、ヘッド部304とグリップ部302との相対回転を伴う回転方式ではない。よって、結合部の形状が、円筒形状に限定されない。結果として、形状の設計自由度に優れた水栓装置が実現する。例えば、水栓装置300のような、美観性に優れたデザインも可能となる。
【0166】
係合孔部E2はグリップカバー302bで覆われているので、外部から視認されない。係合孔部E2に係合している係合突起T2,T3も、外部から視認されない。よって、美観性に優れる。更に、操作部(解除ボタン400)の露出面(押圧面402)は、水栓装置300の下側(裏側)に位置する。よって、押圧面402が目立たず、水栓装置300の美観性がより一層高められている。
【0167】
上述の通り、操作部(解除ボタン400)の動きは、直接的に係合突起T3に伝達され、更に、上記リンク機構によって、係合突起T2に伝達されている。本実施形態では、操作部400の動きを係合突起T2,T3に伝達する伝達部は、第1伝達部材360L、第2伝達部材360U及び第3伝達部材360Cである。係合突起T2への伝達は、リンク機構により達成されている。
【0168】
操作部の動きを係合突起T2に伝達する上記リンク機構は、第1伝達部材360L、第2伝達部材360U及び第3伝達部材360Cを有する。前述の通り、第3伝達部材360Cは、回転支持部392、第1リンク部394及び第2リンク部396を有する(
図29参照)。
図32(b)が示すように、第1リンク部394は、第1伝達部材360Lのリンク係合部L1(
図26参照)に回動可能に係合している。第2リンク部396は、第2伝達部材360Uのリンク係合部U2(
図25参照)に回動可能に係合している。回転支持部392は、第3伝達部材360Cの回転中心である。回転支持部392は、ヘッド本体351のリンク支持部357(
図23参照)に回動可能に支持されている。
【0169】
なお、第3伝達部材360Cの回転中心線(回転支持部392の中心線)の向きは、左右方向である。第3伝達部材360Cの回転中心線は、前後方向に対して垂直である。第1リンク部394とリンク係合部L1との間の回転における中心線は、第3伝達部材360Cの回転中心線に平行である。第2リンク部396とリンク係合部U2との間の回転における中心線は、第3伝達部材360Cの回転中心線に平行である。
【0170】
このリンク機構は、左右対称である。第3伝達部材360Cと他の部材との上記係合は、左側の第3伝達部材360C及び右側の第3伝達部材360Cの両方で成立している。
【0171】
このリンク機構は、回転体である第3伝達部材360Cと、この回転体の回転中心からズレた位置に回動可能に係合する部材360U,360Lとを有するクランク機構である。このリンク機構(クランク機構)は、第2伝達部材360Uを第1伝達部材360Lに連動させる。解除ボタン400が押圧され、第1伝達部材360Lが上側に移動すると、第2伝達部材360Uは下側に移動する。より詳細には、第1伝達部材360Lが上側に移動すると、第1リンク部394が上側に移動し、第3伝達部材360Cが回転支持部392を中心として回転し、第2リンク部396が下側に移動する。
図32(b)又は
図33(b)と
図34(b)との対比を参照されたい。解除ボタン400の押圧が解除されると、逆の動きが起こる。すなわち、第1伝達部材360Lが下側に移動すると、第3伝達部材360Cは逆回転し、第2伝達部材360Uは上側に移動する。このリンク機構(クランク機構)により、解除ボタン400の押圧に伴って全ての係合突起T2,T3が退行し、且つ、解除ボタン400の押圧解除に伴って全ての係合突起T2,T3が突出する。
【0172】
なお、上述の通り、第1伝達部材360Lは下方に付勢されている。解除ボタン400の位置に関わらず、第1伝達部材360Lは下方に(係合突起T3が突出する方向に)付勢されている。また、第1伝達部材360L及び第2伝達部材360Uは、それぞれ、その姿勢を維持しつつ上下方向にスライド移動しうるように支持されている。よって、上記リンク機構の動きは安定的である。
【0173】
この第2実施形態の水栓装置300では、解除ボタン400が、係合突起T3に近い。また、解除ボタン400が、第1伝達部材360Lの回転中心線に近い。よって、第1伝達部材360Lを傾斜させるモーメントが生じにくい。この構成は、リンク機構の安定的な動作に寄与する。
【0174】
本実施形態では、ヘッドカバー355の外形が、ヘッド部304の外形である。ただし、解除ボタン400が配置されている部分については、解除ボタン400の外面が、ヘッド部304の外形である。また、グリップカバー302bの外形が、グリップ部302の外形である。グリップ部302の外形は、偏平形状である。これに対応して、ヘッド部304の外形も、偏平形状である。
【0175】
解除ボタン400が配置されている部分において、グリップ部302の外形の断面線が、操作領域断面線とも称される。この外形(操作領域断面線)は、幅広方向Wを有する。上述の通り、幅広方向Wとは、上記操作領域断面線において、横断幅が最大となる方向である。
【0176】
この幅広方向Wの中央に、解除ボタン400が設けられている(
図17(b)参照)。また、解除ボタン400は、水栓装置300(グリップ部302)の下側に位置している。水栓装置300の底面図(
図17(b))が、解除ボタン400の全体を含む。従って、解除ボタン400は、目立たない。加えて、解除ボタン400とその周辺部材(グリップカバー302b)との間の境界k1も、グリップ部302の下側に位置している。水栓装置300の底面図(
図17(b))が、境界k1の全体を含む。この境界k1も、目立たない。水栓装置300は外観性に優れる。なお、前記幅広方向Wに対して平行で且つ前記特定方向に対して平行な平面が基準平面とされるとき、水栓装置300の底面図は、この基準平面への投影像とされうる。
【0177】
この解除ボタン400の位置は、水栓装置300を把持するときの親指又は人差し指の位置に近い。この位置に配置された解除ボタン400は、操作性に優れる。
【0178】
解除ボタン400は、1カ所のみに設けられている。1カ所のみの操作で済むため、操作性が高い。
【0179】
解除ボタン400が1カ所のみであるにも関わらず、係合突起は複数の箇所に設けられている。しかも、係合突起は、水栓装置300の下側及び上側の両方に設けられている。上述のリンク機構により、解除ボタン400の数が抑制されつつ、係合突起の数及び位置の自由度が高められている。
【0180】
上記リンク機構は、解除ボタン400が固定されている第1伝達部材360Lと、第2伝達部材360Uと、第3伝達部材360Cとを有している。第3伝達部材360Cは、回転支持部392と、この回転支持部392に対して一方側に設けられた第1リンク部394と、この回転支持部392に対して他方側に設けられた第2リンク部396とを有している。回転支持部392は、第3伝達部材360Cを回転可能に支持している。回転支持部392は、他部材によって回動可能に支持されている。この他部材とは、第1伝達部材360L及び第2伝達部材360U以外の部材であって、解除ボタン400の操作に関わらず固定された部材である。上記第2実施形態では、この他部材は、ヘッド本体351である。他部材は、ヘッド本体351以外の部材であってもよい。
【0181】
第1伝達部材360Lが第1リンク部394に回動可能に係合しており、第2伝達部材360Uが第2リンク部396に回動可能に係合している。したがって、第1伝達部材360Lが第1方向(例えば上方向)に移動すると、この移動が第3伝達部材360Cの回転に変換され、更にこの回転が、第2伝達部材360Uの第2方向(例えば下方向)への移動に変換される。第1リンク部394と第2リンク部396とが回転支持部392に対して互いに反対側に位置しているため、第1方向と第2方向とは、互いに逆方向となりうる。このリンク機構により、解除ボタン400から離れた位置でも、解除ボタン400の動きに連動して係合突起T2を出退移動させることができる。
【0182】
本実施形態では、第1方向と第2方向との関係は、互いに逆方向である。第1方向と第2方向との関係は、互いに逆方向の関係に限られない。リンク機構の構成により、第1方向及び第2方向は様々に設定することができる。例えば、前記第1から第3伝達部材に加え、他の伝達部材をリンク部材として用いてリンク機構を構成することで、第1方向及び第2方向は様々に設定されうる。よって、係合突起の位置の自由度は高められうる。
【0183】
図15及び
図17(b)において両矢印W1で示されているのは、幅広方向Wにおける上記操作領域断面線の幅である。
図15において両矢印N1で示されているのは、幅狭方向Nにおける上記操作領域断面線の幅である。解除ボタン200の近傍において曲率が大きいほど、解除ボタン200を押しやすい。この観点から、W1/N1は、1.5以上が好ましく、1.7以上がより好ましく、1.9以上がより好ましい。幅N1を小さくするのには限界があり、この観点から、W1/N1は、3.0以下が好ましく、2.8以下がより好ましく、2.5以下がより好ましい。
【0184】
図11(c)において両矢印Hで示されるのは、操作部(解除ボタン200)の高さである。この高さHは、上記操作領域断面線において測定される。すなわち、上記操作領域断面線のうち、操作押圧面202により構成されている部分の高さが、高さHである。この高さHは、操作部(解除ボタン200)の移動方向に対して垂直な方向に沿って測定される。操作部(解除ボタン200)は、特定方向に幅を有しているため、この幅の範囲内で、上記操作領域断面線は複数存在する。この操作領域断面線によって上記高さは相違しているが、この高さの最大値が高さHとされる。
【0185】
図11(c)において両矢印Dで示されるのは、操作部(解除ボタン200)の突出幅である。この突出幅Dは、上記操作領域断面線において測定される。すなわち、上記操作領域断面線のうち、操作押圧面202により構成されている部分の突出高さが、突出高さDである。この突出高さDは、操作部(解除ボタン200)の移動方向に沿って測定される。操作領域断面線によって上記突出高さは相違するが、この突出高さの最大値が突出高さDとされる。
【0186】
比(D/H)が大きくされることで、押し込み操作性を良好としつつ、ヘッド部104を小型化することが可能となる。この観点から、D/Hは、0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.15以上が更に好ましい。高さHが過小であると、かえって押し込み操作性が低下しうる。また、突出高さDが過大であると意匠性や解除ボタンの成形性が低下する。これらの観点から、D/Hは、0.5以下が好ましく、0.4以下がより好ましく、0.3以下が更に好ましい。
【0187】
押し込み操作性の観点から、突出高さDは、0.5mm以上が好ましく、1mm以上がより好ましく、2mm以上が更に好ましい。突出高さDが過大であると、ヘッド外面の曲率と操作部の形状とを一致させにくく意匠性が低下する場合があり、また解除ボタンが樹脂成型品である場合には解除ボタンが厚肉となって成型時に引け(凹み)が生じるなどして成形性が低下する場合がある。これらの観点から、突出高さDは、5mm以下が好ましく、4mm以下がより好ましく、3mm以下が更に好ましい。
【0188】
解除操作の操作性を高める観点から、前記高さHは6mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましく、10mm以上が更に好ましい。水栓装置の大型化を抑止する観点から、前記高さHは16mm以下が好ましく、14mm以下がより好ましく、12mm以下が更に好ましい。
【0189】
図17(b)において両矢印W2で示されるのは、解除ボタン400の露出部分の左右方向幅である。この幅W2は、幅広方向Wに沿って測定される。操作性の観点から、幅W2は、5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、15mm以上がより好ましい。解除ボタン400を目立たなくする観点から、幅W2は、30mm以下が好ましく、28mm以下がより好ましく、25mm以下がより好ましい。解除ボタン400を目立たなくする観点から、幅広方向Wの幅W1に対する幅W2の比(W2/W1)は、0.6以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、0.4以下がより好ましい。
【0190】
図1において両矢印Bで示されているのは、内方空間部102cの開口端(第1当接面F1)と解除ボタン200との距離である。この距離Bの測定において、解除ボタン200の位置X2は、解除ボタン200の特定方向幅の中心とされる。この距離Bは、特定方向に沿って測定される。
【0191】
図1において両矢印Lで示されているのは、ヘッド部104の露出長さである。長さLは、ヘッド部104のうち露出している部分の長さであり、挿入部154の長さは含まない。この長さLは、内方空間部102cの開口端(第1当接面F1)から、ヘッド部104の先端までの長さである。この長さLの測定において、切替操作部120は、押し込み位置とされる。この長さLは、特定方向に沿って測定される。
【0192】
図1が示すように、操作部(解除ボタン200)の位置X2は、ヘッド部104の露出長さLの中央位置X1よりも水栓本体側に位置する。
【0193】
解除ボタン200を操作する際には、ヘッド部104に操作力が加わる。理想的には、2つの解除ボタン200に対して均等且つ互いに逆方向の操作力が作用し、両者は相殺しうる。しかし、実際の操作では、このような理想的な操作力のみではない。解除ボタン200に作用した操作力により、ヘッド部104の露出部分とグリップ部102との境界部に応力が集中しうる。この応力により、当該境界部においてガタ又は破損が生じうる。操作部(解除ボタン200)の位置X2が、前記中央位置X1よりも水栓本体側に位置することで、当該境界部まわりの力のモーメントが小さくなる。よって、グリップ部102とヘッド部104との連結部に作用する応力が抑制される。
【0194】
グリップ部102とヘッド部104との連結部に作用する応力を抑制する観点から、比(B/L)は、0.5未満が好ましく、0.4以下がより好ましく、0.3以下が更に好ましく、0.2以下が特に好ましい。距離Bが小さすぎると、解除ボタン200の支持が難しくなる場合がある。この観点から、比(B/L)は、0.1以上が好ましく、0.12以上がより好ましく、0.15以上が更に好ましい。
【0195】
第2実施形態でも、解除ボタン400は、ヘッド部304の露出長さの中央位置よりも水栓本体側に位置している。更に、解除ボタン400は、ヘッド部304の露出部分よりも水栓本体側に位置している。換言すれば、解除ボタン400は、内方空間部302cの開口端(第1当接面F2)よりも水栓本体側に位置している。この解除ボタン400の位置は、水栓装置300を自然に把持したときの親指又は人差し指の位置に近い。よって、操作性が高まる。また、この解除ボタン400の位置は、ヘッド部304から下方に突出する吐水口形成部312より水栓本体側に位置する。このため、グリップ部302を把持する手の指が、吐水口形成部312に邪魔されることなく、解除ボタン400を操作しうる。この点においても、操作性が向上している。
【0196】
ヘッド本体144,351(挿入部154,354)の材質として、金属及び樹脂が例示される。好ましい樹脂として、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)が例示される。コスト、強度及び耐久性の観点から、ポリオキシメチレン(POM)及びポリフェニレンサルファイド(PPS)がより好ましい。
【0197】
グリップ部102,302の材質として、金属及び樹脂が例示される。好ましい樹脂として、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)が例示される。コスト、強度及び耐久性の観点から、ポリオキシメチレン(POM)及びポリフェニレンサルファイド(PPS)がより好ましい。
【0198】
係合突起T1,T2,T3の材質として、金属及び樹脂が例示される。好ましい樹脂として、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)が例示される。コスト、強度及び耐久性の観点から、ポリオキシメチレン(POM)及びポリフェニレンサルファイド(PPS)がより好ましい。
【0199】
ヘッドカバー150,355の材質として、金属及び樹脂が例示される。好ましい樹脂として、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)が例示される。コスト及び外観性の観点から、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)がより好ましい。
【0200】
弾性体180,380として、圧縮コイルバネ、ねじりコイルバネ、板バネ等が用いられ得る。耐久性及び操作性の観点から、圧縮コイルバネが好ましい。
【0201】
以上に説明されたように、本発明では、水質浄化機能を備え、形状自由度が高い水栓装置が実現されている。
【0202】
本願には、請求項(独立形式請求項を含む)に係る発明に含まれない他の発明も記載されている。本願の請求項及び実施形態に記載されたそれぞれの形態、部材、構成等は、それぞれが有する作用効果に基づく発明として認識される。
【0203】
上記各実施形態で示されたそれぞれの形態、部材、構成等は、これら実施形態の全ての形態、部材又は構成をそなえなくても、個々に、本願請求項に係る発明をはじめとした、本願記載の全発明に適用されうる。