(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可撓性フラットケーブルが少なくとも第1の絶縁層及び第2の絶縁層を含み、前記複数の導体ライン及び前記温度センサが前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層との間に挟まれている、請求項1に記載の電子エアロゾル供給システム。
前記温度センサが、前記制御機器と前記温度センサとの間で信号を通信するための前記少なくとも1本の導体ラインを通じて、前記感知された温度を前記制御機器に通知するように構成されており、
前記制御機器は、前記バッテリーの前記感知された温度が前記指定動作範囲外となった場合にエラー状態を検出するように構成されている、請求項3に記載の電子エアロゾル供給システム。
前記制御機器が、前記エラー状態の前記検出に応じて前記バッテリーからの前記電力供給を減じ又は中止するように構成されている、請求項3〜5のいずれか一項に記載の電子エアロゾル供給システム。
前記制御機器が、前記制御機器と前記温度センサとの間で信号を通信するための前記少なくとも1本の導体ラインを通じて制御コマンドを前記温度センサへ伝送するように構成されている、請求項3〜6のいずれか一項に記載の電子エアロゾル供給システム。
前記可撓性フラットケーブルの前記導体ラインが、前記バッテリーから前記制御機器に電力を供給するために用いられる、請求項3〜7のいずれか一項に記載の電子エアロゾル供給システム。
前記可撓性フラットケーブルの前記導体ラインが、前記バッテリーから及び/又は前記制御機器から、前記温度センサに電力を供給するために用いられる、請求項3〜8のいずれか一項に記載の電子エアロゾル供給システム。
前記可撓性フラットケーブルの一方の端部が前記バッテリーの少なくとも一つの端子に接続されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の電子エアロゾル供給システム。
前記可撓性フラットケーブルの前記導体ラインが、前記バッテリーから前記気化器に電力を供給するために用いられる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の電子エアロゾル供給システム。
前記バッテリーが長手方向軸線を有し、前記可撓性フラットケーブルが前記長手方向軸線と平行な方向に延びている、請求項1〜12のいずれか一項に記載の電子エアロゾル供給システム。
前記バッテリーが外面を有し、前記可撓性フラットケーブルが前記バッテリーの前記外面に対して実質的に接線方向である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の電子エアロゾル供給システム。
前記バッテリーが再充電可能であり、前記バッテリーの前記感知された温度が指定動作範囲外となったという検出されたエラー状態に応じて、前記電子エアロゾル供給システムが、前記バッテリーを再充電するための前記バッテリーへの電力供給を減じ又は中止するように構成されている、請求項1〜14のいずれか一項に記載の電子エアロゾル供給システム。
検出されたエラー状態を使用者に通知するための音声及び/又は視覚ユーザインターフェースをさらに備える、請求項1〜15のいずれか一項に記載の電子エアロゾル供給システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特定の例及び実施形態の態様及び特徴について説明する。特定の例及び実施形態のいくつかの態様及び特徴は従来実施されている場合があり、簡潔にするために、これらは詳細には説明しない。それゆえ、詳細に説明していない本書において論じられる装置及び方法の態様及び特徴は、このような態様及び特徴を実施するための任意の従来の手法に従って実施され得ることを理解されたい。
【0010】
以下の説明全体を通して、用語「eシガレット」は電子エアロゾル(蒸気)供給システムやその他の同様の用語と互換的に使用される。
【0011】
図1は、本発明のいくつかの実施形態に係るeシガレット10を示す概略図である。eシガレット10は、点線LAによって示される長手方向軸線に沿って延びる実質的に円筒形の形状を有し、二つの主要なコンポーネント(構成要素)、すなわち、コントロールユニット20とカトマイザ(カートリッジ)30とを備える。円筒体を横切る断面、すなわち、線LAと垂直な平面での断面は、所望に応じて、円形、楕円形、正方形、長方形、六角形、又は何らかの他の規則的な形状若しくは不規則な形状としてもよい。eシガレット10の諸実施形態は、実質的に円筒形以外の形状、例えば、実質的に楕円体の形状を有し得ることも理解されたい。
【0012】
カトマイザ30は、例えば、ニコチンを含む液体配合物のリザーバを包含する内部チャンバと、気化器(ヒータ等)と、マウスピース35とを含む。カトマイザ30は、ウィック、又は液体をリザーバからヒータへ移送するための同様の機構をさらに含み得る。
【0013】
コントロールユニット20は、電力をeシガレット10に供給するためのバッテリー若しくは電池等の電力源と、主としてeシガレット10の様々な機能を制御するための制御回路(以下においてより詳細に述べる)とを含む。ヒータが、制御回路によって制御されるバッテリー(
図1には示されていない)から電力を受けると、ヒータは液体を気化し、この蒸気(エアロゾル)は、その後、使用者によってマウスピース35を通して吸引される。
【0014】
図1に示される実施形態では、コントロールユニット20及びカトマイザ30は、長手方向軸線LAと平行な方向に分離することによって互いに切り離し可能であるが、デバイス10が使用されている時には、コントロールユニット20とカトマイザ30との間の機械的及び電気的な接続をもたらすための、符号25A(カトマイザ30上)及び符号25B(コントロールユニット20上)として概略的に示される接続部(「コネクタ」ともいう)によって連結される。実施形態によっては、コントロールユニット20からカトマイザ30へ電力を伝達するために電気誘導が利用されてもよい。コネクタ25A及び25Bは、カトマイザ30をコントロールユニット20に接続するためのバヨネット式の固定手段を提供するために用いられる。他の実施形態は、スナップ嵌め又はねじ式接続部のようなコントロールユニット20とカトマイザ30との間の異なる形態の接続部を用い得ることは理解されよう。
【0015】
カトマイザ30に接続するために用いられるコントロールユニット20の接続部25Bはまた、コントロールユニットがカトマイザ30から切り離されている時に、充電デバイス(図示せず)を接続するためのソケットの役割も果たし得る。実施形態によっては、コントロールユニット20は、接続部25Bと反対の端部又はその近くに、例えば、ミニUSBポート又はマイクロUSBポートの形態の、再充電用の導電性接触子が設けられていてもよい。この場合には、コントロールユニット20は、このようなポートを用いてバッテリーを(再)充電するためにカトマイザ30から分離されなくてもよい。
【0016】
多くのデバイスでは、カトマイザ30は、eリキッドの供給源が使い果たされると、カトマイザ30の廃棄のためにコントロールユニット20から切り離され、必要とされる場合には他のカトマイザと交換される。対照的に、コントロールユニット20は、通常、カトマイザを交換しながらも再使用可能である。
【0017】
図2及び
図3はそれぞれ、
図1のeシガレットのコントロールユニット20及びカトマイザ30の概略図である。例えば、配線及びより複雑な形状のような様々なコンポーネントや細部は、明確にするために、
図2及び
図3から省略されていることに留意されたい。
図2に示されるように、コントロールユニット20は、バッテリー210、並びに例えば(マイクロ)コントローラ、プロセッサ、ASIC、又は同様の形態の制御チップを設けることによってeシガレットのための制御機能を与えるための回路板215を含む制御回路を含む。制御チップはプリント回路板(printed circuit board、PCB)に取り付けられてもよい。バッテリー210は、通常、形状は円筒形であり、eシガレットの長手方向軸線LAに沿って、又は少なくともそれに近接して(及びそれと実質的に平行に)延びる中心軸線を有する。
【0018】
図2では、回路板215は、カートリッジ30(
図1参照)と反対方向に、バッテリー210から長手方向に離間された状態で示されている。しかし、当業者であれば、回路板215のための様々な他の採り得る位置、例えば、バッテリー210の、図示のものとは反対の端部における位置もあることを認識するであろう。さらなる可能性は、回路板215がバッテリー210の側部に沿って配置されることである。例えば、長方形断面を有するeシガレット10の場合には、回路板215はコントロールユニット20の一つの外壁に隣り合って配置され、バッテリー210はコントロールユニット10の反対の外壁の方に若干オフセットし得るであろう。回路板215によって提供される機能は、複数の回路板にわたって、及び/又はPCBに取り付けられていない複数のコンポーネントにわたって分割されていてもよく、これらの追加のコンポーネント及び/又はPCBはeシガレット10内に必要に応じて配置され得ることにも留意されたい。例えば、バッテリー210の(再)充電機能性を制御するための回路板215の機能は、放電を制御するための(すなわち、バッテリー210からカトマイザ30のヒータに電力を供給するための)機能とは別個に(例えば、異なるPCB上に)設けられてもよい。
【0019】
図示の例における回路板215はまた、センサユニットを含む。使用者がマウスピース35を吸った場合、空気が一つ以上の空気入口孔(
図1及び
図2には示されていない)を通してeシガレット10に吸い込まれる。圧力センサ及び/又はマイクロフォンを含み得るセンサユニットはこの空気流を検出し、このような検出に応じて、回路板215はバッテリー210からカトマイザ30内のヒータに電力を供給する(これは一般的にパフ(1パフは1回の吸引)動作と称される)。他の実施形態では、eシガレット10は、使用者がバッテリーからヒータに電力を供給するために操作することができるボタン又はスイッチを設けられていてもよい。
図1及び
図2には明示的に示されていないが、コントロールユニット20はまた、
図4〜
図7を参照して後に述べるように、集積化温度センサを有する電気コネクタを含む。
【0020】
図3に示されるように、カトマイザ30は、カトマイザ30(及びeシガレット10)の中心(長手方向)軸線に沿ってマウスピース35から、カトマイザをコントロールユニット20に連結するコネクタ25Aへ延びる空気通路161を有する。eリキッド160のリザーバが空気通路161の周りに設けられている。このリザーバ160は、例えば、eリキッド中に浸される綿若しくは発泡体を設けることによって具現化されてもよく、又は他の実施形態では、eリキッドは好適な容器内に自由に保持されるようにしてもよい。カトマイザ30はまた、空気通路161を流れ、マウスピース35を通して外へ出る蒸気を生成すべくリザーバ160からのeリキッドを加熱するためのコイルの形態のヒータ155を含む。ヒータ155は、ライン166及び167を通じて電力供給され、ライン166及び167がコネクタ25Aを介してバッテリー210の互いに反対の極(正極及び負極、又はその逆)に接続される。
【0021】
図3には示されていないが、カトマイザ30のいくつかの実施形態は、ヒータ155の温度を感知するように構成されたヒータ温度センサを含み得る。ヒータ温度センサはカトマイザ30内に配置されているが、例えば、コネクタ25A及び25Bを通じて、回路板215に接続される。したがって、回路板215は、ヒータ155の現在の温度に基づいてヒータ155に供給される電力を制御することができる。
【0022】
上述したように、コネクタ25A及び25Bはコントロールユニット20とカトマイザ30との間の機械的及び電気的な接続を可能とする。
図2において見られるように、コネクタ25Bは、絶縁材260によって分離された二つの電気端子、外部接触子240及び内部接触子250を含む。同様に、コネクタ25Aは、
図3において見られるように、絶縁材172によって分離された、内部電極175及び外部電極171を含む。カトマイザ30がコントロールユニット20に接続されると、カトマイザ30の内部電極175及び外部電極171はコントロールユニット20の内部接触子250及び外部接触子240とそれぞれ機械的に(及びそれゆえに電気的に)係合する。内部接触子250はコイルばね255に取り付けられており、これにより、嵌合(接続)中に、内部電極175は内部接触子250を押してコイルばね255を圧縮し、それによって、カトマイザ30がコントロールユニット20に接続された時に良好な機械的及び電気的な接触を確実にすることを助ける。
【0023】
図3のカトマイザコネクタ25Aにはまた、eシガレットの長手方向軸線から互いに反対方向に延びる二つのラグ又はタブ180A、180Bが設けられている。これらのタブは、カトマイザ30をコントロールユニット20に接続するためのバヨネット式固定手段を形成するために用いられる。
【0024】
図4は、いくつかの実施形態に係るコントロールユニット320を概略的に示している。コントロールユニット320は、上述したようなコントロールユニット20と概ね同様である。例えば、配線及びより複雑な造形のような様々なコンポーネント及び細部は、明確にするために、
図4から省略されている。
【0025】
コントロールユニット320は、回路板315、並びにバッテリー310、外部コネクタ325B、327及び電気コネクタ390を備える制御回路からなる。回路板315は、上述した回路板215と実質的に同様であり、電子エアロゾル供給システムの一つ以上の機能を制御するように構成されており、例えば、バッテリー310からカトマイザ30のヒータ155に供給される電力を制御する。上述のように、回路板315の機能は一つ以上の物理的構成要素、例えば、一つ以上のPCB全体に広げられてもよい。例えば、一つのPCBは、カトマイザ30のヒータへの電力供給を制御するために設けられてもよく、その一方で、別の物理的に別個のPCBは、外部供給源からのバッテリー310の再充電を制御するために設けられてもよい。
図4に示される実施形態では、回路板315は、バッテリー310と、カトマイザに結合するためのコネクタ325Bとの間にあることに留意されたい。
【0026】
バッテリー310は、上述したようなバッテリー210と実質的に同様である。概して述べるならば、バッテリー310は、制御回路、及びeシガレット10の他のコンポーネンに電力を供給するとともに、例えば(以下においてさらに詳細に説明するような)接続部又はポート327を介して好適な再充電システムに接続することによって再充電され得る。実施形態によっては、バッテリー310はリチウムイオンバッテリーとすることができる。
【0027】
コネクタ325Bはコントロールユニット320の一方の端部302に配置され、
図1に示されるコネクタ25Bと同様である。コントロールユニット320には、端部302と反対の先端部304(したがって、先端部304はマウスピース35から最も遠くにある)に配置された別のコネクタ327が設けられている。コネクタ327は、バッテリー310を再充電するべく電力を提供するための、充電システム等の外部電力源に接続するために用いられる。例えば、接続部327は、好適なリード線及びアダプタを通しての商用電源又は他の電源への接続を可能にする(マイクロ若しくはミニ)USBポート又は同様のものとすることができる。このような接続部はまた、パーソナルコンピュータ又は同様のものに接続された際の、電気エアロゾル供給システムの使用に関するデータのようなデータの転送も容易化することができる。別の可能性としては、接続部327が、適切に構成された誘導充電システムの近傍に配置された時に誘導電力伝達を可能にする導電プレートとすることができることがある。
【0028】
図4に示されるコントロールユニット320におけるバッテリー310及び回路板315の位置付けは、多くの採り得る構成のうちの一つであることは理解されるであろう。例えば、回路板315はバッテリー310よりも先端部304の近傍に配置されていてもよい。これについては、例えば
図2を参照されたい。他の構成では、回路板315は、バッテリー310の側部に、例えば
図4における左側又は右側に配置されていてもよい。したがって、回路板315の位置付けは図示の特定の構成に限定されず、所与のコントロールユニット320の空間的制約及び構造に応じて配置され得る。
【0029】
コントロールユニット320には、バッテリー310と回路板315との間の電気的接続を可能とする電気コネクタ390が設けられている。電気コネクタ390は、
図4では、バッテリー310の下部、すなわち先端部304に最も近い部位から、バッテリー310の長さに沿って回路板315に延びるように示されている。しかし、当業者ならば、電気コネクタ390がコントロールユニット320におけるバッテリー310及び回路板315の相対位置に応じて適切に引き回され得ることは理解されよう。さらなる可能性は、電気導体390が、バッテリー310及びコネクタ325Bを(PCB315と接続状態で又は非接続状態で)つなぐために、或いは電力及び/又は信号の伝送ためのコントロールユニット320における任意の他の所望の接続を可能とする用いられ得ることである。
【0030】
電気コネクタ390は、フレックスケーブルとも呼ばれる可撓性フラットケーブル(flat flexible cable、FFC)を含む。フレックスケーブルが、取り付けられた(小さい)コンポーネント、及び、例えばそれらのコンポーネント同士を電気的につなげるための且つ外部接続のための他の導電経路を提供するための導電トラックを含み得るという点で、このようなフレックスケーブルはPCBといくつかの点において同様である。しかし、従来のPCBが固体基板(板)を用いて形成されるのに対して、フレックスケーブルは可撓性の積層基板上に形成される。電気コネクタ390のためのフレックスケーブルの使用は様々な利点を有する。例えば、フレックスケーブルは、コントロールユニット320以外のものとは別個に形成し、その後、(例えば、より煩雑な手順になるであろう、複数のワイヤをコントロールユニット320内に個々に取り付けることを必要とするのではなく)複数の導電経路をサポートする単一のコンポーネントとしてeシガレット内に組み込む(組み立てる)ことができる。
【0031】
フレックスケーブル390は、
図4において、扁平可撓性導体の平面が紙面と垂直であるように示されている(すなわち、フレックスケーブルは縁部を付けた状態で示されている)。
図4は原寸に比例しておらず、理解しやすくするために、フレックスケーブルの厚さは、最も実用的な実施形態の場合よりもバッテリー310のサイズに対して大きく示されていることを理解されたい。さらに、描きやすくするために、フレックスケーブル390は、(回路板315及びバッテリーの先端部に接続するために)角張った隅部を両端において有するように示されているが、実際には、これらの隅部は一般的に滑らかであるか又は曲線的であろう。
【0032】
フレックスケーブルは、
図4において、第1の電気絶縁層391と第2の電気絶縁層392との間に挟まれた導電層393から形成された積層構造からなるように(極めて概略的に)示されている。導電層393は、通常、複数の導体トラック(見えない)を含むまた。温度センサ394がフレックスケーブル内に取り付けられている。第1及び第2の電気絶縁層391、392は、実際上、導電層393及び温度センサ394のための保護シール又はコーティングとなりし、また、例えば、コントロールユニット320における他のコンポーネントから導電層393及び温度センサ394を電気的に絶縁することに留意されたい。
【0033】
第1及び第2の電気絶縁層391及び392は可撓性の誘電材料で形成されている。同じ材料、又は各層の材料の可撓性及び熱膨張特性が適切に整合される場合には、異なる材料を層391、392の各々として用いることができる。実施形態によっては、第2の電気絶縁層392(又は逆に、第1の電気絶縁層391)は省略されてもよい(その場合、これは、ベースとして硬質基板を有するが、上部が開放しているPCBに近似する)。電気コネクタ390のための可撓性材料の使用は、電気コネクタ390を様々な異なる所望の構成又は形状に加工する可能性をもたらす。これは、可撓性コネクタ(ケーブル)390がコントロールユニット320内の限られた空間をうまく利用すること、例えば、コントロールユニット30の内部の他のコンポーネント間に湾曲経路を形成することを助けることができる。
【0034】
第1及び/又は第2の電気絶縁層のための好適な可撓性の誘電材料の例としては(特に)ポリエステル又はポリイミドである。第1及び/又は第2の電気絶縁層391、392は、通例、0.05〜0.3mm、例えば、0.1〜0.2mmの厚さを有する。ただし、他の厚さとすることも可能である。第1及び第2の電気絶縁層391、392の各々の厚さは同じである必要はないことにも留意されたい。第1及び第2の電気絶縁層391、392の誘電材料は電気絶縁性を有するが、フレックスケーブルは、一般に、これらの二つの絶縁層の間に挟まれた温度センサ394と、コントロールユニット320の内部環境、特に、バッテリー310との間の熱エネルギーの効率的な伝達をサポートし、それによって現在のバッテリー温度のより正確な測定をもたらすように構成されるべきである。この良好な熱伝達をサポートするためのフレックスケーブルの様々な採り得る構成が以下においてさらに詳細に説明する。
【0035】
図4に示される実施形態では、導電層393は第1の電気絶縁層391の表面上に設けられており、バッテリー310と回路板315との間の、前者から後者に電力を提供するための電気接続を可能にする。ところで、
図4では、バッテリーの両方の端子が先端部に隣り合って位置すると仮定しているが、一方のバッテリー端子がバッテリーの各端部に配置される場合には、回路板315から、バッテリーの最も近い端部への追加の電気リンクをサポートするために、別個のコネクタ(フレックス又は別様のもの)が設けられていてもよいことに留意されたい。導電層393は、コントロールユニット320内における様々な電力ポイント及び/又は信号ポイント間のさらなる電気的な接続をもたらし得る。
【0036】
導体層393は、導電材料、例えば、第1の絶縁層391上にトラックとして堆積された銅のストリップ(帯状体)から形成される。実施形態によっては、導電層393内の導体トラックの数は2〜10本の範囲内にある(ただし、フレックスケーブルは、一般的に、所望の場合には、より多数のトラックを支持することができる)。このようなトラックは、0.5〜1.5mmのピッチ(隣り合う導体ストリップ又はトラックの間の距離)をもって互いに実質的に平行に設けられていてもよい。ただし、その間隔は、温度センサ394を収めるために、少なくとも、このセンサを包囲する領域内においてはより大きくてもよい。トラックの数及び間隔のためのこれらの範囲は単なる例として提示したにすぎず、他の値も用いられ得ることは理解されよう。
【0037】
導電トラックの端部には、フレックスケーブル390と他のコンポーネントとの間の電気接続部を形成するための好適なパッドやランド等が設けられてもよい。例えば、他のコンポーネントはワイヤによってフレックスケーブル390に接続されてもよく、又はフレックスケーブルは、別のコンポーネント上のコネクタに直接接続するように構成されてもよい。ワイヤ又は他のコネクタは、例えば、はんだ付け、圧締め、又はねじ留め等によってフレックスケーブルに取り付けられ得る。他の実施形態では、コネクタがフレックスケーブル390に取り付けられている場合があり、その場合、他のコンポーネントはこのコネクタにリンクすることができる。
【0038】
上述したように、
図4は原寸に比例しておらず、導電層393は、通例、第1及び/又は第2の絶縁層の厚さよりも小さい厚さを有することを理解されたい。例えば、導電層は約0.05mmの厚さを有し得る。比較的薄い導体層393は、絶縁層391、392の(ひいては、コネクタ390全体のための)可撓性に適合する可撓性をもたらす。導電層393のトラック間の空間は好適な絶縁材で充填され得ることに留意されたい(一つの可能性は、第1及び第2の絶縁層391、392がこれらの介在領域内で互いに接合されることである)。
【0039】
フレックスケーブル390の厚さは、通例、0.25mm〜0.4mmの範囲内にあり、例えば、0.3mmである。第1及び第2の絶縁層391、392が、温度センサ394(又は
図4に示されていない任意の他の同様のコンポーネント)を受け入れるために若干撓み又は歪むので、全厚は、温度センサ394の位置において、例えば、さらに0.1〜0.2mmだけ若干大きくなり得る。
【0040】
図4に示されるように、温度センサ394及び導電層393は積層構造内において第1及び第2の電気絶縁層391、392の間に挟まれている。温度センサ394は、層393内の導電トラックへのはんだ付けされた電気接続部を有し得るが、任意の他の好適な形式の接合が用いられ得る。これらの導電トラックは、バッテリーから温度センサ394に電力を供給するために用いることができ、また、温度センサへの又は温度センサからの信号送信のためにも用いられ得る。
【0041】
温度センサ394は、フレックスケーブル390がバッテリー310と回路板315との間に接続された時に、温度センサ394が少なくともバッテリー310と近接して(隣り合って)位置するように、第1の電気絶縁層391上に配置されている。実施形態によっては、温度センサはバッテリーと直接接触していてもよい。例えば、温度センサは、積層された層のうちの一つを貫いて突出し、バッテリーに接触し得るか、第1又は第2の絶縁層391のうちの一つの一部分が、バッテリーと温度センサとの間の直接接触を可能にするために省略されてもよい(除去されてもよい)。別の可能性としては、温度センサ394が絶縁層のうちの一つを通じてバッテリー310と間接的に接触するというものである。いずれにせよ、温度センサは、バッテリーの温度の変化を判定することができるよう、バッテリー310と良好に熱接触するように構成されている。
【0042】
任意の好適な種類の温度センサを温度センサ394として用いることができることを理解されたい。典型的な例としては、抵抗温度デバイス(resistance temperature device、RTD)及び熱電対デバイスが挙げられる。温度センサ394は、少なくとも、バッテリー310の指定動作範囲、例えば、0℃〜60℃にわたる温度に対して対応することができる。動作時、温度センサ394は、バッテリー310の温度を指示する電圧及び/又は電流等の物理パラメータを監視する。例えば、温度センサ394は、温度と共に変化するコンポーネントの抵抗、又は熱電対の電圧出力を監視し得る。
【0043】
温度センサ394は、導電層によって回路板315上のコントローラ(例えばプロセッサ、マイクロコントローラ等)にリンクされ得る。温度センサ394は測定温度をコントローラへ出力する。コントローラは温度を監視し、バッテリー310のこの測定温度に基づいて電子エアロゾル供給システムの一つ以上の機能を調節するために用いられる。例えば、測定温度が、バッテリーの指定動作温度範囲外にあることが見いだされた場合には、コントローラは、バッテリーから得られる電力を遮断するか、又は少なくとも電力量を低減し得る。他の実施形態では、温度センサ394自体が、測定温度がバッテリーの指定動作温度範囲内にあるかどうかを監視し、そうでない場合には、このエラー状態に応じて適切な良くなくとも一つのアクションを遂行するために適当な警告信号をコントローラへ送信することを担い得ることに留意されたい。
【0044】
図5は、第1の電気絶縁層491、複数の導体ストリップ493及び温度センサ494を有する、電気コネクタ490の一部分の概略図である(これらは、
図4の電気導体390、第1の絶縁層391、導電層393及び温度センサ394にそれぞれ概ね対応する)。電気コネクタ490は、導体ストリップ493の上にあり、第2の絶縁層392に対応する第2の絶縁層(
図5には示されていない)が設けられていてもよいが、これは実施形態によっては省略されてもよい。
【0045】
図5において、複数の導体ストリップ493は、
図5に示される可撓性の電気コネクタ493の部分を通って延びるライン495A及び495Bを含む。これらの2本のライン495A及び495Bは、例えば、(
図4に示されるように)バッテリー31の正端子及び負端子を回路板315に接続するために用いられ得る。上述したように、電力ライン495A、495Bは、この目的のために各端部において好適な接続手段(パッド、フリップロックコネクタ等)が設けられてもよい。
【0046】
図5は、温度センサ494が第1の電気絶縁層491の表面上に配置され得る一つの採り得る構成を(非常に概略的な形で)追加的に示す。この構成では、温度センサ導体ストリップ496が設けられており、温度センサ494の電気的接続を可能にする。導体ストリップ496は複数の個々の(別個の)ライン(
図5には示されていない)を含み得ることに留意されたい。加えて、導体ストリップは、温度センサ494から一方向にのみ延びるように示されているが、温度センサ494のための所望の電気接続に応じて導体ストリップは両方向に延びてもよい。
【0047】
導体ストリップ496は温度センサ494への正及び負の電力供給ラインを提供し得る。電力供給は、バッテリー310から、又は代替的に、回路板315から(例えば、回路板315上のプロセッサから)受けることができる。温度センサ494への電力供給(又はその少なくとも1本のライン)は、代わりに、例えば、ライン495A及び495Bへの接続によって(
図5にはそのような接続は示されていない)、バッテリー310と回路板315との間の電力供給ラインから分岐するか、或いは(設けられている場合には)接地面への接続を利用し得る。別の可能性としては、温度センサ494がその独自の内部電力源、例えば、小型バッテリーを組み込み得るということである。
【0048】
温度センサ494は、一般的に、例えば導体ストリップ496の一部として、少なくとも1本の出力信号送信ライン及び(実施形態によっては)少なくとも1本の入力制御ラインが設けられる。信号送信ライン及び入力制御ラインは、典型的には、温度センサ494を回路板315に、より詳細には、この回路板上に配置されたマイクロコントローラやプロセッサのような制御機能部にリンクしている。場合によっては、信号送信及び制御は1本又は複数本の共有ラインを利用し得る。場合によっては、信号送信及び/又は制御は、例えば、信号を符号化するための適切な変調方式を用いることによって、2本の電力ラインのうちの一方又は両方を通じて実施され得る。
【0049】
実施形態によっては、出力信号送信リンクは、温度センサによって、測定温度を回路板315へ出力するために用いられ得る。このとき、回路板315は、測定温度を任意の動作範囲外状態について監視することを担当する。他の実施形態では、温度センサは、範囲外の温度測定値に対応するエラー状態を報告するための警告(これは、感知された温度が過度に高い、又は過度に低いかどうかについての指示を含み得る)を回路板315へ送信するために出力信号送信リンクを用い得る。
【0050】
実施形態によっては、入力制御リンクが設けられており、回路板315(又は他の適切な制御機能性)によって、例えば、温度センサ494において、許容動作範囲のための上側閾値及び下側閾値を設定するために用いられてもよい。この場合には、上側閾値を上回るか又は下側閾値を下回る測定温度が、次に、範囲外の温度測定値のための警告を発するであろう。
【0051】
実施形態によっては、温度センサ494は、抵抗温度検出器(RTD)(その抵抗は温度の関数である)である。固定された基準電流が回路板315によってRTDに供給されてもよく、回路板315はまた、RTD間の電圧も監視する。バッテリー温度が変化した場合には、これは、結果的に、RTD(温度センサ494)の温度、ひいては、抵抗を変化させることになる。したがって、回路板(又はeシガレット内の他の好適な手段)によって監視される電圧は抵抗の変化と共に変化することになり、これがバッテリー310の温度の変化を示す。他の実施形態では、温度センサ494は、熱電対デバイス、又はバッテリー310にリンクされる、温度変化を検出するための任意の他の好適な温度センサであってもよい。
【0052】
図6には可撓性電気コネクタ490’の別の実施形態が概略的に示されている(可撓性電気コネクタ490’は、
図5における可撓性電気コネクタ490、及び
図4における可撓性電気コネクタ390に概ね対応し、他の参照符号については類似の対応関係を有することは理解されよう)。温度センサ494’は、温度センサ494’に接続する導体ストリップ496’の形状、材料及び/又は形態等を変更することによって、導電層493内に形成されている。温度センサ494’を導体ストリップ496’内に、又はその一部として形成することは、(例えば、温度センサ494’が、導体ストリップ496に取り付けられ得る追加のコンポーネントとして形成されている
図5の構成と比べて)可撓性電気コネクタ490’の全厚の低減を助ける。
【0053】
図6に示される実施形態では、温度センサ494’は、(別個の追加のコンポーネントを電気導体490’に組み込むことによるのではなく)導体ストリップ496’の一部分の幅を減じることによって形成されている。この減じられた幅の部分はより高い抵抗を有し、このため、導体ストリップ496’に沿った総抵抗のうちの比較的高い割合をもたらし得る。温度センサ494’は、導体ストリップ496’と同じ材料から、又は異なる材料(例えば、温度に伴うより大きな抵抗変化を伴うもの、すなわち、より高い抵抗率温度係数を有するもの)から形成され得る。
【0054】
動作時、温度変化が、この減じられた幅の部分、すなわち、温度センサ494’の抵抗に影響を及ぼす。このとき、これは、導体ストリップ496’の全体的な抵抗を監視することによって、例えば、回路板315上における温度変化が検出されることを可能にする。したがって、本実施形態における温度センサ494’はRTDの形態のものと考えることができ、(例えば)バッテリー310から直接又はPCB315のコンポーネントから電力供給を受け得る。
【0055】
図7は、フレックスケーブルの平面と垂直な方向から見たときの、電気コネクタ590のさらなる実施形態の簡略化された概略図を示す。電気コネクタ590、可撓性ケーブルは、上述された電気コネクタ390、490、490’と多くの点で同様である。
図7において見られるように、導体ストリップ593及び温度センサ594が、可撓性の第1の誘電材料を含む基板591上に設けられ、
図5及び
図6のものと同様のフレックスケーブルを形成している。
図7では、温度センサ594は円形形状を有するように示されているが、これは模式的なものであり、長方形等の、デバイスのための任意の適切な形状が用いられ得ることに留意されたい。
【0056】
温度センサ594は、破線の外形線で示された符号597によって示される第2の材料の層又はパッチによって表面が覆われており、これにより、温度センサ594は、実際上、基板591と層597との間に挟まれる。第2の材料の層597は温度センサ594の全て又は一部のみを覆ってもよく、また、層597が、基板591の任意の他のエリアの上にさらに延びることなく、温度センサ594のみを覆うよう範囲が限定されてもよい。基板591及び導体ストリップ593(及び適切な場合には、温度センサ594)の残りの部分は、層392(
図4参照)の可撓性誘電材料と類似の、第3の誘電体層(
図7には示されていない)で覆われていてもよい。このとき、第2の材料のパッチ597は第3の誘電体層の窓と考えることができる。
【0057】
第2の材料597は、第1の誘電材料及び/又は第3の誘電材料591(設けられた場合)よりも高い熱伝達係数を有し、バッテリー310の温度の変化が温度センサ594を通じて(第1又は第3の誘電材料を通じて伝達されるよりも)より迅速に、効率的に伝達されることを可能にし、それによって、より高感度の温度読み値、及びバッテリー温度の変化へのより良好な時間応答をもたらす。
【0058】
第2の材料597は、バッテリー310と温度センサ594との間の良好な熱伝導性を可能にする任意の好適な材料とすることができる。加えて、第2の材料が、バッテリー310と接触していることから高温を受けやすい場合には、第2の材料597は、実施形態によっては、可撓性のコネクタ590の他のコンポーネントよりも熱損傷に対する抵抗性が高いものとなり得る。
【0059】
第2の材料が基板591の比較的小さいエリアを覆い、その結果、コネクタ590の全体的な可撓性に大きく寄与することはないため、第2の材料597は可撓性であってもよいし可撓性でなくてもよい。加えて、例えば、バッテリー表面及び/又は温度センサ自体が電気絶縁性の外面又はコーティングを設けられているかどうかに応じて、第2の材料597は誘電性(電気絶縁性)であってもよいし誘電性(電気絶縁性)でなくてもよい。この点に関して、第2の層597のための材料の選定は第1の材料層591(又は第3の材料層)の場合よりも広くなり得る。
【0060】
実施形態によっては、第3の誘電体層は省略されてもよい。この場合には、第2の材料597はバッテリーと可撓性コネクタ590の残りの部分との間のスペーサの役割も果たし得る。他の実施形態では、第2の層597は、例えば、温度センサ594が第3の誘電体層における適当な窓又は孔を通してバッテリー310に直接接触することを可能にするよう、省略されてもよい。
【0061】
図5及び
図6の実施形態では、温度センサにはその独自の専用の導体ストリップ496、496’が設けられていた。
図7に示されるもの等の他の実施形態では、温度センサ594は、例えば、バッテリー310から制御板315に電力を供給するために利用される2本の導体ストリップ593を横切って配置され得る。このような構成では、温度センサ594は、温度情報を電力供給に対する重畳信号(又は変調)の形態で伝送し得る(このように通信するためのこうした技法及びプロトコルは当技術分野において周知であり、本書においてさらに詳細には説明しない)。同様のアプローチを、回路板315から温度センサへの通信の制御をサポートするためにも用いることができる。さらなる回路構成があること、例えば、温度センサ594自体が、感知された温度が範囲外であった場合に導体ライン593上における電力伝送を阻止するためのスイッチを直接組み込まれることは、当業者にとっては明らかであろう。
【0062】
図8は、いくつかの実施形態に係る、本書において説明したもの等のeシガレット10のためのコントロールユニット320を動作させる方法を示す。ステップS1において、好適なバッテリー動作温度範囲を設定する。この設定は、概して述べるならば、製造時に遂行されるか、又は製造後に自動的に遂行される(例えば、新しいバッテリーユニットが挿入された場合に、コントロールユニットは、適切な動作温度範囲に関するバッテリーと共に供給される情報にアクセスし得る)。
【0063】
ステップS2において、バッテリー温度が温度センサ393、494、494’によって感知される。典型的には、これは、温度に直接関連する物理パラメータ、例えば、電圧又は抵抗を感知することを含む。ステップS3において、感知された温度が指定範囲外にあるかどうかを知るためのチェックが行われる(範囲外である場合には、これは、エラー状態であるとみなすことができる)。例えば、感知された温度は、超過している場合には、バッテリー310が安全でない(過度に高い)温度で動作していることを示す上側閾値に対して継続的にチェックされ得る。実施形態によっては、上側閾値は(例えば)50°又は60℃に設定される。感知された温度はまた、(例えば)0℃又は−5℃に設定された下側温度閾値に対して比較され得る。実施形態によっては、単一の閾値チェックのみが存在してもよい(すなわち、指定動作範囲は上方向又は下方向に制限がない)。実施形態によっては、少なくとも一つの閾値又は指定動作範囲は、特定の他のパラメータ、例えば、周囲温度、又は時間、又は温度変化の速度に依存し得る。例えば、瞬間的な温度スパイクは許容可能であり得るが、指定動作範囲からのより長い逸脱はエラー状態を発し得る。同様に、急激な(すなわち、閾値速度よりも大きい)温度上昇は、上側温度閾値がすでに破られたかどうかにかかわりなく、それ自体でエラー状態と見なすことができる。
【0064】
ステップS3においてエラー状態が検出されない場合、例えば、感知された温度が指定動作温度範囲内にある場合には(ステップS3における、NO)、このとき、バッリー310の温度は許容可能と見なされ、したがって、eシガレット10は通常どおり機能し続ける。
図8の内容において、処理はS2へループして戻り、温度の継続監視を指示する。固定された、又は可変の監視頻度が存在してもよく、例えば、S2に係る、温度をサンプリングする速度は、感知されたバッテリー温度が許容動作範囲の端に接近するにつれて、増大し得るであろうことに留意されたい。
【0065】
しかし、感知された温度が指定動作範囲外にある、例えば、上側閾値を上回るよう、エラー状態が存在する場合には(ステップS3における、YES)、このとき、それに応じて、S4において、デバイスの動作を変更する。最も典型的には、これは、バッテリー310からの電力供給を減じ又は停止することを含むことになる。実施形態によっては、この制御(是正)アクションは回路板315によって(回路板315上のプロセッサ等によって)遂行される。回路板315は、感知された温度を温度センサから受け取り、ステップS3の試験を遂行し、次に、それに応じてバッテリーからの電力供給を減じ又は停止する。実施形態によっては、S3及びS4の機能性は温度センサ自体に少なくとも部分的に集積化ないしは統合化されてもよい(ただし、これは、あまり融通の利かないアプローチになる傾向がある)。
【0066】
バッテリー310からの電力は、通常、電気ヒータ155で大量に消費される。したがって、S4においては、バッテリーからヒータへの電力供給を減じ又は停止することが是正アクションの主な焦点となり得る。しかし、例えば、これがコントロールユニット20内のどこかでの短絡によって生じる場合には、温度過上昇の状況に対処するために、電気的動作のより広い遮断が必要となり得る。
【0067】
回路板315は、この供給経路に沿って配置され得るスイッチを動作させることによって、バッテリー310から気化器30への電力供給を停止することができる。実施形態によっては、バッテリー310から気化器30への電力供給は、回路板がデューティサイクルを0(無電力)から1(最大電力)まで増大させることができる、パルス幅変調(pulse width modulation、PWM)を受けてもよい。eシガレットにおいて用いられる一部のバッテリーユニット310は、このようなPWM機能のためのサポート手段を直接組み込んでいる。したがって、回路板315(又は他の制御機器ないしは制御手段)は、PWM供給のデューティサイクルを減じることによって、バッテリー310から得られる電力を減じることができ、このとき、電力は、デューティサイクルを0に減じることによって、完全にオフにすることができる。実施形態によっては、温度が指定範囲を上回った場合には、バッテリー310から得られる電力は最初は減じられ得る。このアクションにもかかわらず温度が上昇し続ける場合には(又は下がらない場合には)、次に、回路板315は、バッテリーから得られる電力供給をさらに減じるとよい(又は完全に停止するとよい)。
【0068】
上の説明は、ベイピング(吸引)中に生じ得るであろうエラー状態に焦点を当てたが、他の状況においても(例えば、バッテリー310を再充電する一環として)エラー状態は生じ得る。再充電中のエラー状態に応じて、回路板315(又は他の適切な制御機器)は、例えば、適切なスイッチングによって、バッテリー310への再充電電流の供給を減じ又は中止し得る。加えて、場合によっては、エラー状態は、過度に低い、すなわち、バッテリーの指定動作閾値を下回る温度によって生じ得る。この場合には、回路板315は、バッテリーが過度に低い温度で動作すること(これはバッテリーを潜在的に損傷するか、又は例えば、気化器が正しく機能するために十分な電力がバッテリーから利用可能でない場合に、eシガレットを劣化した様態で動作させるおそれがある)を防止するために、バッテリーからの電力供給を減じ又は中止し得る。
【0069】
ステップS4の処理はまた、エラー状態の何らかの通知を使用者に提供することも含んでもよい。例えば、eシガレット10は、エラーを表すための特定の様態(例えば、色、時間的パターン等)で照明され得る一つ以上のライトを設けてもよい。同様に、eシガレット10は、エラー状態が発生したことの好適な音響警告を発するための音声出力機器を含んでもよい。
【0070】
エラー状態が
図8のステップS4において対処された後に、処理はステップS2に戻る(実質的に温度の監視が継続される)。したがって、温度が指定動作範囲内に戻った場合に(例えば、下がった場合に)、その後、デバイスの通常動作が再開される。
【0071】
実施形態によっては、通常動作への復帰は、(温度が通常動作範囲内に再び下がることに加えて)特定の状態にさらされ及び/又は処理が課され得る。例えば、使用者は、(特に、上述されたとおりの、何らかの好適な音声及び/又は視覚のユーザインターフェースを介してエラー状態が使用者に合図されたデバイスについては)何らかの特定のアクション、例えば、リセットボタンを押圧することを遂行することが必要になり得るであろう。回路板はまた、通常動作を再開するまでに所定の時間遅延を必要とし得、及び/又は温度は、指定動作範囲のぎりぎりの端にちょうど入るのではなく、指定動作範囲内に(例えば、所定の量だけ)余裕をもって含まれる値に戻ることが必要になり得るであろう。場合によっては、回路板はバッテリーからの電力を部分的に回復するのみであってもよく、例えば、これにより、eシガレットは、少なくとも最初の期間の間、低減された電力レベルで動作を再開することのみ可能である。さらに、このような条件が必要に応じて課されてもよい。
【0072】
したがって、本書において説明される手法は、電力を使用してエアロゾルを発生させるための気化器と、気化器及び電子エアロゾル供給システムの他のコンポーネントに電力を供給するためのバッテリー(バッテリー310等)と、積層構造を有し、電力及び/又は信号を伝送するための複数の導体ラインを組み込んだ可撓性フラットケーブル(コネクタ390等)と、バッテリーの温度を感知するための、可撓性フラットケーブルに組み込まれ、バッテリーに隣り合って配置された温度センサと、を備える電子エアロゾル供給システムを提供する。電子エアロゾル供給システムは、バッテリーの感知された温度が指定動作範囲外となった場合には、エラー状態を検出し、このような検出に応じて、バッテリーからの電力供給を減じ又は中止するように構成されている。
【0073】
実施形態によっては、可撓性フラットケーブルは少なくとも第1及び第2の絶縁層を含む。複数の導体ライン及び温度センサは第1及び第2の絶縁層の間に挟まれている。システムは制御機器をさらに含み得、可撓性フラットケーブルは、制御機器と温度センサとの間で信号を通信するための少なくとも1本の導体ラインを含む。制御機器は、エラー状態の検出に応じてバッテリーからの電力供給を低減又は中止するように構成されており、また、ケーブルを通じて制御コマンドを温度センサへ送信し得る。
【0074】
実施形態によっては、バッテリーは長手方向軸線を有し、例えば、バッテリーの形状は、
図2及び
図4示されるもののように、実質的に円筒形である。可撓性フラットケーブルは前記長手方向軸線と平行な方向に延びる。実施形態によっては、フラットケーブルの平面はバッテリーの外面に、実質的に接線方向に配置されてもよい。このとき、これは、より正確な温度感知のために、温度センサを、バッテリーの外面に近接するか、又は触れるように配置するのを支援することができる。
【0075】
実施形態によっては、本書において説明したとおりのバッテリー及び可撓性フラットケーブル(関連機能部を加えたもの)は電子エアロゾル供給システムのためのコントロールユニット内に設けられ得る。このようなコントロールユニットは気化器に接続され、(全体的な)電子エアロゾル供給システムを形成することができる。
【0076】
実施形態によっては、温度センサは、温度依存性を有する抵抗のような物理パラメータを組み込むことによって温度を感知する。場合によっては、温度センサ自体がこの物理パラメータを測定し、及び/又は感知温度読み値に変換してもよく、他の場合には、測定及び/又は変換は外部で遂行されてもよい。例えば、制御回路板315は温度センサの抵抗(物理パラメータ)を測定し、この物理パラメータから感知温度を導出し得るであろう。実施形態によっては、バッテリーの動作温度範囲を、物理パラメータの値のための対応する範囲を用いて表すことができることを前提として、エラー状態の検出は、(温度値への形式変換を行うことなく)温度読み値の形式としての物理パラメータの測定から直接導出され得る。
【0077】
したがって、本書において説明した手法は、
図4におけるコネクタ390等の、可撓性フラットケーブル(FFC、同様に、フレックスケーブル)を利用している。FFCは、所与のピッチ(隔離距離)で平行に敷かれ、二つの誘電体層の間に積層された2本以上の扁平導体を有する積層ケーブルとして形成されてもよい。本書において説明したように、FFCは、eシガレットの様々な部分に配置された複数の信号ポイント及び/又は電力ポイントの、容易で信頼性が高い可撓性の小型接続部を提供するためにeシガレットにおいて用いることができる。例えば、FFCは、通例、電力及び信号を必要に応じて伝送するために、eシガレットのコントロールユニット(再使用可能セグメント)内のバッテリー電池を横断するであろう。主に安全性の理由で、eシガレットバッテリーの温度を監視するために、
図4に示されるもののような温度センサがFFCの積層物内に集積化ないしは統合化されている。
【0078】
このように温度センサをFFC内に集積化ないしは統合化することは多数の利点を有する。例えば、温度センサは、FFCに元から組み込まれている電力線及び信号線にすぐにアクセスできる。加えて、FFCは、正確で敏感な温度追跡のために、温度センサがバッテリーに隣接して配置されることを可能にすることができるが、温度センサは、(必要である場合には)依然としてFFCの一つ以上の積層物によって保護することができる。さらに、FFCは、(例えば、個々の温度センサ及び関連配線を取り付けることと比べて)製造中にeシガレット内に取り付けて固定するのが比較的容易である。FFCはまた、eシガレットの狭い内部空間内に(FFCの可撓性に助けられて)容易に適合することができるコンパクトな解決手段を提示する。
【0079】
上述の実施形態は、いくつかの点において、いくつかの特定の例示的なエアロゾル供給システムに焦点を当てたが、同じ原理を、他の技術を用いる電子エアロゾル供給システムのために適用することができることは理解されよう。例えば、上の説明は、2部分型のeシガレット10を用いる諸実施形態に焦点を当てたが、同じ手法を1部分型又は複数部分型のeシガレットに適用することができる。加えて、上の説明は、液体前駆体から蒸気を生成するためにヒータが用いられる諸実施形態に焦点を当てたが、同じ手法を、蒸気前駆体が固体、ペースト若しくはその他の適当な材料であり、且つ(又は)蒸気若しくはエアロゾルが(加熱によるのではなく)機械的に生成されるデバイスに適用することができる。当業者は多くの他の可能な実施形態を認識するであろう。
【0080】
様々な課題に対処し、当技術を進歩させるために、本開示は、特許請求される発明が実践され得る様々な実施形態を実例として示す。本開示の利点及び特徴は実施形態の代表サンプルのみのものであり、網羅的及び/又は排他的なものではない。それらは、特許請求される発明の理解を助けるため、及びそれらを教示するためにのみ提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって定義されるとおりの本開示の限定、又は特許請求の範囲の等価物の限定と考えられるべきではなく、他の実施形態を利用することができ、特許請求の範囲から逸脱することなく変更を行うことができることを理解されたい。様々な実施形態は、本書において具体的に説明されるもの以外の、開示された要素、構成要素、特徴、部分、ステップ、手段等の様々な組み合わせを適切に含むか、これらからなるか、又はこれらから実質的になり得、それゆえ、従属請求項の特徴は、特許請求の範囲において明示的に提示されたもの以外の組み合わせで独立請求項の特徴と組み合わせられ得ることは理解されるであろう。本開示は、現在特許請求されていないが、将来特許請求される可能性のある他の発明を含み得る。