(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6867060
(24)【登録日】2021年4月12日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】車両駆動装置
(51)【国際特許分類】
B60W 20/17 20160101AFI20210419BHJP
B60K 6/24 20071001ALI20210419BHJP
B60W 10/30 20060101ALI20210419BHJP
B60W 10/08 20060101ALI20210419BHJP
F02B 37/00 20060101ALI20210419BHJP
F02D 29/06 20060101ALI20210419BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20210419BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20210419BHJP
B60L 58/13 20190101ALI20210419BHJP
【FI】
B60W20/17
B60K6/24
B60W10/30 900
B60W10/08 900
F02B37/00 302C
F02D29/06 D
F02D29/06 E
B60L50/16
B60L50/60
B60L58/13
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-78606(P2020-78606)
(22)【出願日】2020年4月27日
【審査請求日】2020年12月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】320011199
【氏名又は名称】株式会社石川エナジーリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】鹿野 達
【審査官】
家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−229251(JP,A)
【文献】
特開2001−298806(JP,A)
【文献】
特開昭64−012026(JP,A)
【文献】
特開平07−042572(JP,A)
【文献】
特開昭63−045419(JP,A)
【文献】
特開平01−193033(JP,A)
【文献】
特表2013−536911(JP,A)
【文献】
特開2001−231109(JP,A)
【文献】
特開平4−124428(JP,A)
【文献】
特開昭64−53022(JP,A)
【文献】
特表2018−535356(JP,A)
【文献】
米国特許第3961199(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 − 20/50
B60K 6/20 − 6/547
F02C 7/00
F02B 37/00 − 39/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンに過給する過給装置と、
車体に駆動力を与えるモータと、
前記モータに給電するバッテリと、
前記エンジン、前記モータ、前記過給装置の駆動を制御する演算制御手段と、を具備し、
前記演算制御手段は、車速および走行負荷に基づいて、第1運転状態と、第2運転状態と、第3運転状態と、を切り替えることができ、
前記第1運転状態では、前記エンジンが前記車体に駆動力を与え、
前記第2運転状態では、前記バッテリから供給される電力により駆動する前記モータが前記車体に駆動力を与え、
前記第3運転状態では、前記エンジンを停止させた状態で、前記過給装置で発電機を回転することで発電された電力により駆動する前記モータが、前記車体に駆動力を与えることを特徴とする車両駆動装置。
【請求項2】
前記演算制御手段は、車速および走行負荷に応じて、運転状態を切り替えることを特徴とする請求項1に記載の車両駆動装置。
【請求項3】
前記演算制御手段は、
前記バッテリの残容量が一定以上であれば、前記第2運転状態を実行し、
前記バッテリの残容量が一定未満であり、且つ、前記走行負荷が一定以上または走行速度が一定以上であれば、前記第1運転状態を実行し、
前記バッテリの残容量が一定未満であり、且つ、前記走行負荷が一定未満であり、且つ、前記走行速度が一定未満であれば、前記第3運転状態を実行することを特徴とする請求項2に記載の車両駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両駆動装置に関し、特に、駆動源としてモータおよびエンジンを備えた車両に搭載される車両駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、駆動源としてモータおよびエンジンを備えたハイブリッド自動車が用いられている。ハイブリッド自動車は、低速走行時等の走行負荷が小さいときには、バッテリから給電されたモータから駆動力を得る。一方、ハイブリッド自動車は、高速走行時等の走行負荷が大きいときには、エンジンから駆動力を得る。このように制御することで、ハイブリッド自動車では、燃費を向上することができる。係るハイブリッド自動車は、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−8924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した一般的なハイブリッド自動車では、車両が走行する状況に合わせた駆動に関して改良の余地があった。
【0005】
具体的には、例えば都市部の道路に於いて車両に多少大きな駆動力が必要な場合、上記した従来型のハイブリッド自動車では、エンジンから駆動力を得ることから、エンジンが運転されることで大きな騒音および振動が問題となることが考えられる。
【0006】
更にまた、バッテリの残容量が一定以下となると、エンジンで発電機を駆動することでバッテリを充電するが、この充電のためのエンジン駆動が騒音源および振動源となる課題も考えられる。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両から発生する騒音および振動を低減することができる車両駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の車両駆動装置は、エンジンと、前記エンジンに過給する過給装置と、車体に駆動力を与えるモータと、前記モータに給電するバッテリと、前記エンジン、前記モータ、
前記過給装置の駆動を制御する演算制御手段と、を具備し、
前記演算制御手段は、第1運転状態と、第2運転状態と、第3運転状態と、を切り替えることができ、前記第1運転状態では、前記エンジンが前記車体に駆動力を与え、前記第2運転状態では、前記バッテリから供給される電力により駆動する前記モータが前記車体に駆動力を与え、前記第3運転状態では、前記エンジンを停止させた状態で、前記過給装置で発電機を回転することで発電された電力により駆動する前記モータが、前記車体に駆動力を与えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の車両駆動装置では、前記演算制御手段は、前記車両の車速および走行負荷に応じて、運転状態を切り替えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の車両駆動装置では、前記演算制御手段は、前記バッテリの残容量が一定以上であれば、前記第2運転状態を実行し、前記バッテリの残容量が一定未満であり、且つ、走行負荷が一定以上または走行速度が一定以上であれば、前記第1運転状態を実行し、前記バッテリの残容量が一定未満であり、且つ、前記走行負荷が一定未満であり、且つ、前記走行速度が一定未満であれば、前記第3運転状態を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の車両駆動装置は、エンジンと、前記エンジンに過給する過給装置と、車体に駆動力を与えるモータと、前記モータに給電するバッテリと、前記エンジン、前記モータ、
前記過給装置の駆動を制御する演算制御手段と、を具備し、
前記演算制御手段は、第1運転状態と、第2運転状態と、第3運転状態と、を切り替えることができ、前記第1運転状態では、前記エンジンが前記車体に駆動力を与え、前記第2運転状態では、前記バッテリから供給される電力により駆動する前記モータが前記車体に駆動力を与え、前記第3運転状態では、前記エンジンを停止させた状態で、前記過給装置で発電機を回転することで発電された電力により駆動する前記モータが、前記車体に駆動力を与えることを特徴とする。
これにより、本発明の車両駆動装置によれば、バッテリおよび車両の走行状況に応じて、過給装置により発電した電力でモータを回転させることで、静粛性を保ちつつ、駆動源から発生する騒音を低減することができる。
【0020】
また、本発明の車両駆動装置では、前記演算制御手段は、前記車両の車速および走行負荷に応じて、運転状態を切り替えることを特徴とする。これにより、本発明の車両駆動装置によれば、車両の車速および走行負荷に応じて、運転状態を切り替えることで、例えば郊外に於いては車両を高速で走行させることができ、また、都市内では車両の静粛性を確保することができる。
【0021】
また、本発明の車両駆動装置では、前記演算制御手段は、前記バッテリの残容量が一定以上であれば、前記第2運転状態を実行し、前記バッテリの残容量が一定未満であり、且つ、走行負荷が一定以上または走行速度が一定以上であれば、前記第1運転状態を実行し、前記バッテリの残容量が一定未満であり、且つ、前記走行負荷が一定未満であり、且つ、前記走行速度が一定未満であれば、前記第3運転状態を実行することを特徴とする。これにより、本発明の車両駆動装置によれば、バッテリの残容量、走行負荷および走行速度を勘案して各状態を実行するので、車両およびバッテリの状態に応じて、高速走行および静粛性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両駆動装置を備えた車両を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る車両駆動装置を示す模式図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る車両駆動装置の機能を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図を参照して本実施形態に係る車両駆動装置11を説明する。以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
【0024】
図1は、車両駆動装置11を含む車両10を示す模式図である。車両10は、車体12と、車体12に備えられたエンジン13、モータ14、バッテリ15、発電機36、ガスタービン16および演算制御手段17を備えている。
【0025】
車両10としては、EV(Electric Vehicle)、HEV(Hybrid Electric Vehicle)またはPHEV(Plug−in Hybrid Electric Vehicle)等を採用することができる。また、車両10がハイブリッド機構を備える場合は、シリーズハイブリッド形式でも良いし、パラレルハイブリッド形式でも良い。ここでは、車両10として乗用車を例示しているが、車両駆動装置11を他の車両に適用することもできる。
【0026】
エンジン13は、車体12に駆動力を与える内燃機関であり、具体的には、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等を採用することができる。また、エンジン13は、車体12に駆動力を与え、更に、発電機36にも駆動力を与える。後述するように、エンジン13には、過給装置18が備えられても良い。
【0027】
モータ14は、車体12に駆動力を与える。モータ14は、バッテリ15、発電機36、またはガスタービン16と連結された後述する発電機25から供給される電力で駆動する。
【0028】
ガスタービン16は、エンジン13が停止している間に、バッテリ15またはモータ14に電力を供給する装置である。ガスタービン16としては、バッテリ15またはモータ14に電力を供給するための専用機構として設けられても良いし、後述する過給装置18の別機能として設けられてもよい。ここで、ガスタービン16はマイクロガスタービンとも称される。
【0029】
バッテリ15は、例えば、リチウムイオン電池等の充電可能な二次電池である。バッテリ15は、モータ14や車両10の電装品に電力を供給する。更に、バッテリ15は、エンジン13により稼働される発電機36、または、バッテリ15により稼働される後述する発電機25により充電される。
【0030】
演算制御手段17は、CPUから成り、車体12に取り付けられた図示しない各種センサの出力に基づいて、モータ14、バッテリ15、エンジン13、ガスタービン16および発電機36の動作を制御する。
【0031】
図2を参照して、車両駆動装置11の構成を詳述する。
図2は車両駆動装置11を構成するエンジン13、過給装置18、インバータ26およびバッテリ15を示す模式図である。
【0032】
エンジン13は、シリンダ35、ピストン33、コネクティングロッド34およびクランクシャフト32を有している。また、シリンダ35には、吸気口23および排気口24が連通している。
【0033】
過給装置18は、圧縮部19およびタービン部21を有している。圧縮部19およびタービン部21の内部には夫々回転羽根が内蔵されており、回転羽根は回転軸31に対して相対回転不能に接続されている。また、回転軸31の端部には発電機25の回転子が相対回転不可能に接続されている。
【0034】
燃焼部20は、後述するバイパス径路29に介装されており、燃焼部20には燃料供給部22が繋がっている。燃料供給部22から、燃焼部20にガソリン等の燃料が噴射される。
【0035】
過給装置18の発電機25は、インバータ26と接続されており、インバータ26はバッテリ15と接続されている。発電機25は交流電力を発電し、インバータ26は当該交流電力を直流電力に変換し、当該直流電力はバッテリ15に蓄電される。
【0036】
過給装置18の圧縮部19と、エンジン13の吸気口23とは、吸気径路27を介して連通している。また、エンジン13の排気口24と過給装置18のタービン部21とは、排気径路28を介して連通している。吸気径路27の途中部分と、吸気径路27の途中部分とは、バイパス径路29で連通している。
【0037】
バイパス径路29と吸気径路27との接続箇所には弁30が介装されており、バイパス径路29と排気径路28との接続箇所には弁37が介装されている。
【0038】
上記した構成の車両駆動装置11の動作を説明する。圧縮部19およびタービン部21が過給装置18として用いられる際には、弁30は、吸気径路27の上流側と下流側を連通し、吸気径路27とバイパス径路29とを遮断している。かかる構成により、圧縮部19からの圧縮空気が、不用意に燃焼部20に供給されることを防止できる。また、弁37は、排気径路28の上流側と下流側とを連通し、排気径路28とバイパス径路29とを遮断する。かかる構成により、排気口24から排気される排気ガスが、不必要に燃焼部20の側に進入することを防止できる。
【0039】
エンジン13のシリンダ35には、吸気径路27を介してガソリン等の燃料を含有する混合気が送り込まれる。エンジン13にて、吸入、圧縮、燃焼、排気を繰り返すことで、ピストン33は上下方向に往復運動する。この往復運動に伴い、コネクティングロッド34を介してピストン33に回転可能に接続されているクランクシャフト32は、所定方向に回転する。クランクシャフト32から取り出される動力により、車両10および上記した発電機36が駆動される。
【0040】
エンジン13の運転に伴い、シリンダ35から排出される排気ガスは、排気径路28を介して過給装置18のタービン部21に導入し、タービン部21に内蔵された回転羽根を回転させる。これにより、圧縮部19に内蔵された回転羽根も回転し、圧縮部19の内部で吸気ガスが圧縮される。圧縮された吸気ガスは、吸気径路27および吸気口23を経由して、シリンダ35に送り込まれる。係る構成により、シリンダ35に吸気ガスは過給され、エンジン13の出力を大きくすることができる。
【0041】
エンジン13が運転されている際は、弁30および弁37により、吸気径路27および排気径路28とバイパス径路29とは遮断されている。このようにすることで、吸気径路27および排気径路28からバイパス径路29に気体が進入することを防止できる。また、エンジン13が運転されている際は、発電機25で発電を行い、インバータ26を介してバッテリ15を充電することもできる。
【0042】
次に、エンジン13を停止した状態で、過給装置18をガスタービン16として用いる方法を説明する。
【0043】
先ず、弁30と弁37とを切り替え、吸気径路27、バイパス径路29および排気径路28を連通する。これより、圧縮部19、吸気径路27、弁30、燃焼部20、バイパス径路29、弁37、排気径路28が、連通する。これにより、過給装置18で圧縮された混合気は、燃焼部20で燃焼した後に、タービン部21に送られる。
【0044】
一方、弁30が介装された部分で吸気径路27を遮断し、これにより圧縮部19が圧縮した混合気が不必要にシリンダ35に送られない。また、弁37が介装された部分で28を遮断する。これにより、燃焼部20で燃焼された気体が、排気径路28から排気口24側に向かって進入することは無い。
【0045】
次に、回転軸31に接続された回転羽根が圧縮部19の内部で回転することで、圧縮部19の内部で空気が圧縮される。圧縮された空気は、吸気径路27、バイパス径路29および排気径路28を介して、燃焼部20に導入される。燃焼部20では、燃料供給部22から噴出された燃料が燃焼し、この燃焼によりタービン部21の内部で回転羽根が回転する。
【0046】
これにより、当該回転羽根に接続されている回転軸31が回転し、発電機25による発電が行われる。発電機25により発電された交流電力は、インバータ26で直流電力に変換され、当該直流電力によりバッテリ15は充電される。また、発電機25で発電した電力により、バッテリ15を経由せずに、上記したモータ14を駆動させることもできる。
【0047】
図3のフローチャートを参照して、上記した車両駆動装置11の動作を説明する。
【0048】
ステップS10では、演算制御手段17は、バッテリ15の残容量が規定値未満であるか否かを判断する。ここで、バッテリ15の残容量は、SOC(State Of Charge)とも称される。例えばリチウムイオン電池であるバッテリ15は、SOCが30%以上80%以下の範囲となるように制御される。
【0049】
ステップS10でYESの場合、即ちバッテリ15の残容量が一定未満の場合は、演算制御手段17は、ステップS11に移行する。これにより、バッテリ15の残量が更に減少することを防止できる。
【0050】
一方、ステップS10でNOの場合、即ちバッテリ15の残容量が一定以上の場合は、演算制御手段17は、ステップS16に移行する。これにより、バッテリ15およびガスタービン16を運転することなく、モータ14で車両10を走行させることができる。
【0051】
ステップS11では、演算制御手段17は、車両10の走行速度Vが規定車速以上であるか否かを判断する。ここで、規定車速Vとは例えば、30Km/hである。
【0052】
ステップS11でYESの場合、即ち車両10の走行速度Vが規定車速以上の場合は、演算制御手段17は、ステップS12に移行する。即ち、演算制御手段17は、車両10が市街地等以外の例えば郊外を走行していると判断し、静粛性よりも駆動性を優先した状態で車両10を走行させる。
【0053】
一方、ステップS11でNOの場合、即ち車両10の走行速度が規定車未満の場合は、演算制御手段17は、ステップS16に移行し、バッテリ15から発生する電力により回転するモータ14から発生する動力で、車両10を駆動する。即ち、演算制御手段17は、車両10が市街地等を走行していると判断し、静粛性を優先した状態で車両10を走行させる。
【0054】
ステップS12では、演算制御手段17は、車両10の走行負荷が規定負荷未満であるか否かを判断する。ここで、走行負荷とは車両10が走行することで生じている負荷であり、例えば、アクセルの開度である。ここでは、規定開度としてアクセルの開度θが20%であることを採用している。
【0055】
ステップS12でYESの場合、即ちアクセルの開度θが規定開度未満の場合は、演算制御手段17は、ステップS13に移行する。即ち、演算制御手段17は、車両10にそれほど大きな駆動性が必要とされていないと判断し、静粛性と駆動性を両立する走行状態を実現する。
【0056】
一方、ステップS12でNOの場合、即ちアクセルの開度θが規定開度以上の場合は、演算制御手段17は、ステップS15に移行する。即ち、演算制御手段17は、大きな駆動力が必要されていると判断し、高速走行性を優先した走行状態を実現する。
【0057】
ステップS13では、演算制御手段17は、車両10の走行速度Vが規定車速未満であるか否かを判断する。ここで、規定車速とは、例えば80Km/hである。
【0058】
ステップS13でYESの場合、即ち車両10の走行速度Vが規定車速未満の場合は、演算制御手段17は、ステップS14に移行する。即ち、演算制御手段17は、車両10にそれほど大きな駆動性が必要とされていないと判断し、静粛性を優先した走行状態を実現する。
【0059】
一方、ステップS13でNOの場合、即ち車両10の走行速度Vが規定車速以上の場合は、演算制御手段17は、ステップS15に移行する。即ち、演算制御手段17は、大きな駆動力が必要されていると判断し、高速走行性を優先した走行状態を実現する。
【0060】
ステップS14(第3運転状態)では、演算制御手段17は、マイクロガスタービンであるガスタービン16を運転し、ガスタービン16と接続された発電機25で発電した電力により車両10を駆動させる。例えば、発電機25で発電した電力でモータ14を回転させ、これにより車両10の駆動力を得る。また、ガスタービン16で駆動された発電機25で得られた電力を一旦バッテリ15に蓄電し、バッテリ15からの電力によりモータ14を駆動することもできる。ステップS14では、エンジン13は停止状態で良い。
【0061】
タービン部21が運転時に発生させる騒音は、エンジン13が運転時に発生させる騒音よりも遙かに小さい。よって、ステップS14でタービン部21を用いて車両10に駆動力を与えることで、バッテリ15の残容量が少なくても、エンジン13を運転する必要が無いので、車両10が走行時に発生する騒音を小さくすることができる。特に、都市部等に於いては車両10に要求される静粛性は厳しいことから、バッテリ15のSOCが低い状況に於いて、このような地域で高速走行が必要とされる際に、ガスタービン16を用いて車両10を駆動させることで、車両10に必要とされる静粛性を充分に満たすことができる。
【0062】
ステップS15(第1運転状態)では、演算制御手段17は、エンジン13のみにより得られる駆動力により車両10を駆動する。この時、モータ14およびガスタービン16は停止状態としても良い。アクセルの開度が大きい場合、または、車両10が高速で走行している場合は、車両10は郊外を走行していると判断できる。このような場合は、車両10には静粛性はそれほど必要とされないので、エンジン13の大きな駆動力で車両10を効果的に高速走行させることができる。
【0063】
ステップS16(第2運転状態)では、バッテリ15から発生する電力により回転するモータ14から発生する動力で、車両10を駆動する。ステップS16では、モータ14のSOCが充分であるので、モータ14の駆動力で静粛性および低振動を保った状態で車両10は走行することができる。ステップS16では、エンジン13は停止状態で良い。
【0064】
以上が車両駆動装置11の動作に関する説明である。
【0065】
以上、本発明の実施形態を示したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。また、上記した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 車両
11 車両駆動装置
12 車体
13 エンジン
14 モータ
15 バッテリ
16 ガスタービン
17 演算制御手段
18 過給装置
19 圧縮部
20 燃焼部
21 タービン部
22 燃料供給部
23 吸気口
24 排気口
25 発電機
26 インバータ
27 吸気径路
28 排気径路
29 バイパス径路
30 弁
31 回転軸
32 クランクシャフト
33 ピストン
34 コネクティングロッド
35 シリンダ
36 発電機
37 弁
【要約】
【課題】車両から発生する騒音を低減することができる車両駆動装置を提供する。
【解決手段】本発明の車両駆動装置11は、エンジン13と、エンジン13に過給する過給装置18と、を具備し、エンジン13が停止している際に、過給装置18がガスタービンとして機能する。これにより、大きな駆動力が必要とされる際にはエンジン13により車体12を駆動し、静粛性が必要とされる際にはガスタービン16で車体12を駆動することで、車体12の状況に応じて駆動性と静粛性を両立することができる。
【選択図】
図2