(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カーテンレールに通される第1貫通孔と、前記第1貫通孔の貫通方向に交差する方向に貫通し、カーテンを吊り下げるフックに通される第2貫通孔と、を有するカーテンリングであって、
前記第1貫通孔を構成する内径面を含む円環状のリング部と、
前記リング部の外径側に配置され、前記フックが取り付けられる取り付け部と、を備え、
前記リング部の内径面は、
前記第1貫通孔の貫通方向に沿って配置される第1面と、
前記第1貫通孔の貫通方向において前記第1面と前記リング部の両端面との間に配置され、前記第1貫通孔の開口が広くなるようそれぞれ前記第1貫通孔の貫通方向に対して傾斜している一対の第2面と、を含み、
前記取り付け部は、
前記リング部の外径側に突出し、前記リング部の一方の前記端面側に配置され、前記第2貫通孔を構成する第1内側面を有する第1突出部と、
前記リング部の外径側に突出し、前記第1貫通孔の貫通方向において前記第1突出部と間隔をあけて前記リング部の他方の前記端面側に配置され、前記第2貫通孔を構成する第2内側面を有する第2突出部と、
前記リング部の外径面と前記リング部の径方向に間隔をあけて、前記第1突出部と前記第2突出部とを連結するよう配置され、前記第2貫通孔を構成する第3内側面を有する棒状部と、を含み、
前記第1突出部は、前記棒状部の外径面よりも外径側に位置する第1突出領域を含み、
前記第2突出部は、前記棒状部の外径面よりも外径側に位置する第2突出領域を含む、カーテンリング。
前記第1貫通孔の中心軸を含み、前記第1貫通孔の貫通方向に沿って延びる平面で切断した断面において、前記第1面と一方の前記第2面とのなす角度を角度θとすると、角度θは、1度以上20度以下である、請求項1または請求項2に記載のカーテンリング。
前記第1突出領域の前記棒状部の外径面からの突出長さを長さEとすると、長さEは、2mm以上5mm以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のカーテンリング。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示に係るカーテンリングは、カーテンレールに通される第1貫通孔と、第1貫通孔の貫通方向に交差する方向に貫通し、カーテンを吊り下げるフックに通される第2貫通孔と、を有する。カーテンリングは、第1貫通孔を構成する内径面を含む円環状のリング部と、リング部の外径側に配置され、フックが取り付けられる取り付け部と、を備える。リング部の内径面は、第1貫通孔の貫通方向に沿って配置される第1面と、第1貫通孔の貫通方向において第1面とリング部の両端面との間に配置され、第1貫通孔の開口が広くなるようそれぞれ第1貫通孔の貫通方向に対して傾斜している一対の第2面と、を含む。取り付け部は、リング部の外径側に突出し、リング部の一方の端面側に配置され、第2貫通孔を構成する第1内側面を有する第1突出部と、リング部の外径側に突出し、第1貫通孔の貫通方向において第1突出部と間隔をあけてリング部の他方の端面側に配置され、第2貫通孔を構成する第2内側面を有する第2突出部と、リング部の外径面とリング部の径方向に間隔をあけて、第1突出部と第2突出部とを連結するよう配置され、第2貫通孔を構成する第3内側面を有する棒状部と、を含む。第1突出部は、棒状部の外径面よりも外径側に位置する第1突出領域を含む。第2突出部は、棒状部の外径面よりも外径側に位置する第2突出領域を含む。
【0010】
カーテンリングは、第1貫通孔にカーテンレールを通し、カーテンを吊り下げるフックを第2貫通孔に通して使用される。カーテンリングは、カーテンの開閉の際にフック側から加えられる力により、カーテンレールの長手方向に移動する。ここで、カーテンレールとして、長手方向の長さを可変な突っ張り棒が用いられる場合がある。突っ張り棒は、径の異なる2つの中空円筒状部材を含む場合がある。2つの中空円筒状部材の繋ぎ目部分に段差が生じる。径の小さな部材側から径の大きな部材側にカーテンリングが移動する際に、カーテンリングは段差を乗り越える必要がある。カーテンリングについては、この段差を容易に乗り越えることができ、滑らかに移動させることができることが求められる。
【0011】
本開示のカーテンリングは、第1貫通孔にカーテンレールとしての突っ張り棒を通し、第2貫通孔にフックを取り付けて使用される。カーテンを開閉する際に、カーテンレールが径の小さい部材側から径の大きい部材側へ移動する場合を考える。フックに加えられた力によりカーテンレールは、径の小さい部材の外径面に沿って移動し、突っ張り棒の段差に達する。本開示のカーテンリングによると、リング部の内径面は、第1貫通孔の貫通方向に沿って配置される第1面と、第1貫通孔の貫通方向において第1面とリング部の両端面との間に配置され、第1貫通孔の開口が広くなるようそれぞれ第1貫通孔の貫通方向に対して傾斜している一対の第2面と、を含む。よって、段差に達した後に、第1面と第2面との境界部分を支点として、カーテンリング全体が段差を乗り越える方向に傾く。すなわち、第2面は傾斜面であるため、段差が位置する側の開口が鉛直方向上向きとなるように傾き、段差がリング部の第2面の下に潜り込むような形になる。そうすると、リング部の端面とカーテンレールの段差とが接触してカーテンリングの移動の抵抗となることを抑制し、段差を乗り越えてリング部が段差を通過しやすくなる。
【0012】
カーテンリングが移動して段差に達してリング部と段差が接触した際に、フックにより加えられた力によりカーテンリングが長手方向に倒れて過度に傾いてしまうおそれがある。リング部が過度に傾くと、段差にリング部が引っ掛かってしまうおそれがある。そうすると、この引っ掛かりがカーテンリングの移動の抵抗となってしまい、カーテンリングを滑らかに移動させることが困難となる。本開示のカーテンリングに含まれる取り付け部は、上記構成の第1突出部と、第2突出部とを含む。そして、第1突出部は、棒状部の外径面よりも外径側に位置する第1突出領域を含む。第2突出部は、棒状部の外径面よりも外径側に位置する第2突出領域を含む。よって、フックを介してカーテンリングを移動させようとする際に、第2貫通孔の内側に位置する面とフックのうちの第2貫通孔に通された部分の側面とが接触し、第1突出領域または第2突出領域の内側面とフックのうちの鉛直方向の下向きに延びる部分の側面とが接触することになる。そうすると、過度にカーテンリングが傾くことを抑制して、フックから伝えられる力を、カーテンリングの長手方向の移動に効率的に利用することができる。すなわち、カーテンリングが段差を乗り越える際に、カーテンリングの姿勢が傾きすぎることを抑制し、フックを介してカーテンリングに伝えられる力をカーテンリングの移動に有効に利用することができる。したがって、カーテンリングが段差を乗り越えて容易に長手方向に移動することができる。この場合、第1突出部および第2突出部の双方に突出領域が設けられているため、カーテンリングの取り付けの方向性を考える必要はない。よって、取り付けの際の方向性を気にしないで済み、利便性の向上を図ることができる。その結果、このようなカーテンリングによると、カーテンレールの長手方向の滑らかな移動を確実に確保することができる。
【0013】
上記カーテンリングにおいて、第1貫通孔の貫通方向と、第2貫通孔の貫通方向とは、直交していてもよい。このようにすることにより、より適切に段差を乗り越える際のカーテンリングの傾きを抑制することができる。
【0014】
上記カーテンリングにおいて、第1貫通孔の中心軸を含み、第1貫通孔の貫通方向に沿って延びる平面で切断した断面において、第1面と一方の第2面とのなす角度を角度θとすると、角度θは、1度以上20度以下でもよい。角度θを1度以上とすることにより、段差の傾斜度合いに関わらず、滑らかに段差を乗り越えることができる。また、角度θを20度以下とすることにより、段差と接触した際のカーテンリングのある程度の傾きをより適切にすることができる。
【0015】
上記カーテンリングにおいて、第1突出領域の棒状部の外径面からの突出長さを長さEとすると、長さEは、2mm以上5mm以下であってもよい。このようにすることにより、一般的なフックの形状に応じて、カーテンリングのある程度の傾きを適切に確保することができる。
【0016】
[本願発明の実施形態の詳細]
次に、本開示のカーテンリングの一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0017】
(実施の形態1)
本開示の実施の形態1におけるカーテンリングの構成について説明する。
図1は、実施の形態1のカーテンリングを、カーテンレールとしての突っ張り棒に取り付けた状態を示す概略斜視図である。
図2は、
図1に示す突っ張り棒の一部および実施の形態1のカーテンリングの概略断面図である。
図2は、一点鎖線で示す突っ張り棒の長手方向の中心軸19を含む
図1中の断面II−IIで切断した場合の断面図である。
図1および
図2において、突っ張り棒の長手方向を矢印D
1で示す向きまたはその逆の向きで示し、鉛直方向を矢印D
2で示す向きまたはその逆の向きで示し、突っ張り棒の使用時における前後方向を矢印D
3で示す向きまたはその逆の向きで示す。鉛直方向の下向きが、矢印D
2で示す向きである。なお、
図1および
図2において、カーテン(図示せず)の上端領域に取り付けられてカーテンを吊り下げ、カーテンリング40に引っ掛けられるようにして取り付けられ、吊り下げられるフック30も併せて図示している。また、実際の使用状態においては、複数のカーテンリング40が突っ張り棒10に取り付けられるが、理解を容易にする観点から、
図1および
図2において、一つのカーテンリング40のみを図示している。
【0018】
図1および
図2を参照して、まず、カーテンリングが取り付けられるカーテンレールとして機能する突っ張り棒10の構成について、簡単に説明する。突っ張り棒10は、中空円筒状の第1の筒状部11と、第1の筒状部11よりも細い中空円筒状の第2の筒状部12と、突っ張り棒10の取り付け時において壁面と接触する第1のキャップ13と、突っ張り棒10の取り付け時において壁面と接触する第2のキャップ14と、コイルスプリング15と、中空円筒状の接続部16と、を含む。第1の筒状部11、第2の筒状部12およびコイルスプリング15は、金属製である。第1のキャップ13、第2のキャップ14および接続部16は、樹脂製である。
【0019】
第1の筒状部11の長手方向の一方側の端部(矢印D
1で示す向きの端部)に第1のキャップ13が嵌め込まれるようにして取り付けられる。第1のキャップ13の端面17が、窓枠等において対向する左右の壁のうちの一方側である第1の壁面(図示せず)と接触する。第1の筒状部11の長手方向の他方側の端部に接続部16が嵌め込まれるようにして取り付けられる。第2の筒状部12の長手方向の一方側の端部は、第1の筒状部11の内径側に配置される。第2の筒状部12の長手方向の他方側の端部に第2のキャップ14が嵌め込まれるようにして取り付けられる。第2のキャップ14の端面18が、窓枠等において対向する左右の壁のうちの他方側である第2の壁面(図示せず)と接触する。第1の筒状部11および第2の筒状部12の内径側に、コイルスプリング15が配置される。コイルスプリング15の長手方向の一方側の端部は、第1のキャップ13側において固定されている。
【0020】
窓枠等において対向する左右の壁面間に突っ張り棒10を取り付ける際には、長手方向の全体の長さが壁面間に応じた所望の長さとなるよう、第1の筒状部11の内径側から第2の筒状部12を引き出して、長手方向の長さを調整する。そしてコイルスプリング15に対する第2の筒状部12の長手方向の位置を規制しながら、コイルスプリング15によりテンションを維持した状態で、突っ張り棒10を壁面間に取り付ける。
【0021】
第2の筒状部12の外径(第2の筒状部12の外径面22の直径)L
1は、第1の筒状部11の内径(第1の筒状部11の内径面23の直径)L
2よりも小さい。第1の筒状部11の内径側に第2の筒状部12の一部が配置される。第1の筒状部11の外径(第1の筒状部11の外径面21の直径)L
3は、第2の筒状部12の外径L
1よりも大きい。なお、具体的には、たとえば外径L
1として10.3mmが選択され、内径L
2として12.2mmが選択され、外径L
3として13.3mmが選択される。第1の筒状部11と第2の筒状部12との境目に、接続部16が配置される。接続部16の外径面24は、外径面21から外径面22に向かって徐々に外径が小さくなるよう構成されている。すなわち、本実施形態においては、接続部16の外径面24は、テーパー状である。第1の筒状部11の外径面21と接続部16の外径面24と、第2の筒状部12の外径面22とが連なるようにして構成される。接続部16の外径面24と第2の筒状部12の外径面22との間において、段差25が生じる。
【0022】
なお、カーテンリング40に取り付けられるフック30は、それぞれ棒状の第1部分31、第2部分32および第3部分33と、第1折り返し部34と、第2折り返し部35と、を含む。フック30は、一体的に形成されている。フック30は、第1部分31および第2部分32が第1折り返し部34によって折り返され、第2部分32および第3部分33が第2折り返し部35によって折り返されるよう構成されている。フック30は、樹脂製であってもよいし、金属製であってもよい。
【0023】
次に、実施の形態1におけるカーテンリング40の構成について説明する。
図3は、実施の形態1におけるカーテンリング40の外観を示す概略斜視図である。
図4は、
図3に示す実施の形態1のカーテンリング40を長手方向から見た外観図である。
図5は、
図2に示すカーテンリング40の断面の一部を拡大して示す拡大断面図である。
図5は、
図2中の断面V−Vで切断した場合の断面図である。また、
図5は、破線で示す第1貫通孔41の中心軸45を含み、第1貫通孔41の貫通方向に沿って延びる平面で切断した断面図である。
【0024】
併せて
図3、
図4および
図5を参照して、カーテンリング40は、カーテンレールとしての突っ張り棒10に通される第1貫通孔41と、第1貫通孔41の貫通方向に交差する方向に貫通し、カーテンを吊り下げるフック30に通される第2貫通孔42と、を有する。第1貫通孔41の貫通方向は、突っ張り棒10にカーテンリング40が取り付けられた際の長手方向となる。第1貫通孔41は、丸孔状である。カーテンリング40は、リング部43と、リング部43の外径側に配置され、フック30が取り付けられる取り付け部44と、を備える。リング部43は、円環状である。リング部43の内径L
4は、第1の筒状部11の外径L
3および第2の筒状部12の外径L
1よりも大きい。リング部43の内径L
4としては、たとえば22mm以上38mm以下の値が選択される。本実施形態においては、リング部43の内径L
4は、22mmである。突っ張り棒10の第1の筒状部11および第2の筒状部12にリング部43の第1貫通孔41を通すようにして、カーテンリング40が突っ張り棒10に取り付けられる。
【0025】
リング部43は、外径面51と、第1貫通孔41を構成する内径面52と、第1貫通孔41の貫通方向の一方側に配置される第1端面53と、第1貫通孔41の貫通方向の他方側に配置される第2端面54と、を含む。外径面51は、取り付け部44が設けられている箇所を除き、第1貫通孔41の貫通方向に見て円弧状である。第1端面53および第2端面54は共に第1貫通孔41の貫通方向に垂直な平面である。内径面52は、突っ張り棒10に取り付けられた際に、第1の筒状部11の外径面21、第2の筒状部12の外径面22または接続部16の外径面24に対向する。
【0026】
内径面52は、第1貫通孔41の貫通方向に沿って配置される第1面56と、一対の第2面57,58と、を含む。第1面56は、第1貫通孔41の貫通方向に見て、円弧状である。第1面56は、円柱面に相当する面である。一方の第2面57は、第1貫通孔41の貫通方向において第1面56とリング部43の第1端面53との間に配置される。他方の第2面58は、第1貫通孔41の貫通方向において第1面56とリング部43の第2端面54との間に配置される。
図5に示す断面において、第2面57,58はそれぞれ、第1面56に対して傾斜している。第2面57,58はそれぞれ、円錐面の一部に相当する面である。第2面57,58はそれぞれ、第1貫通孔41の開口が広くなるよう第1貫通孔41の貫通方向に対して傾斜している。第1面56と第2面57とのなす角度を角度θとすると、角度θは、1度以上20度以下である。本実施形態においては、角度θは、18.5度である。第1面56と第2面58とのなす角度は、第1面56と第2面57とのなす角度θと同じである。
【0027】
取り付け部44は、第1突出部61と、第2突出部62と、棒状部63と、を含む。第1突出部61および第2突出部62はそれぞれ、板状である。第1突出部61は、リング部43の外径側に突出し、リング部43の一方の端面である第1端面53側に配置される。第1突出部61は、第1貫通孔41の貫通方向において外側に配置される第1外側面64と、第2貫通孔42を構成する第1内側面66とを有する。本実施形態においては、第1端面53と、第1外側面64とは、同一平面で連なっている。第2突出部62は、リング部43の外径側に突出し、第1貫通孔41の貫通方向において第1突出部61と間隔をあけてリング部43の他方の端面である第2端面54側に配置される。第2突出部62は、第1貫通孔41の貫通方向において外側に配置される第2外側面65と、第2貫通孔42を構成する第2内側面67とを有する。本実施形態においては、第2端面54と、第2外側面65とは、同一平面で連なっている。棒状部63は、リング部43の外径面51とリング部43の径方向に間隔をあけて、第1突出部61と第2突出部62とを連結するよう配置される。棒状部63は、リング部43の外径面51の外径側に配置されている。棒状部63は、中実円筒状である。すなわち、棒状部63は、丸棒状である。棒状部63は、リング部43の径方向において外径側に配置される第3外側面75と、第2貫通孔42を構成する第3内側面68と、を有する。棒状部63は、矢印D
3で示す向きまたはその逆の向きで示す方向において、第1突出部61の両端部および第2突出部62の両端部とそれぞれ間隔をあけて、第1突出部61および第2突出部62に連結されている。
【0028】
第2貫通孔42は、第1貫通孔41の貫通方向と直交する方向に貫通する。第2貫通孔42の貫通方向は、突っ張り棒10にカーテンリング40が取り付けられた際に、矢印D
3で示す向きまたはその逆の向きで示す前後方向となる。第2貫通孔42は、第1突出部61の第1内側面66と、第2突出部62の第2内側面67と、棒状部63の第3内側面68と、リング部43の外径面51の一部とによって構成されている。第2貫通孔42は、矢印D
3で示す向きから見て、矢印D
2の方向に長い矩形状となっている。第2貫通孔42の長手方向の幅Wとしては、たとえば3mm以上5mm以下の値が選択される。幅Wは、対向する第1内側面66と第2内側面67との長さ方向の間隔である。本実施形態においては、第2貫通孔42の長手方向の幅Wは、4mmである。この第2貫通孔42にフック30が挿入される。フック30は、第1折り返し部34が棒状部63の第3内側面68に接触するようにして、棒状部63に引っ掛けられる。フック30やフック30に取り付けられるカーテンの重さにより、取り付け部44は、鉛直方向の下向きに向く。
【0029】
第1突出部61は、棒状部63の外径面である第3外側面75よりも外径側に位置する第1突出領域71を含む。第1突出部61の外径側の端部73は、長手方向に見て円弧状であり、この円弧状の端部73を含む領域が第1突出領域71となっている。第2突出部62は、棒状部63の外径面である第3外側面75よりも外径側に位置する第2突出領域72を含む。第2突出部62の外径側の端部74は、長手方向に見て円弧状であり、この円弧状の端部74を含む領域が第2突出領域72となっている。第1突出領域71の内側面76と第2突出領域72の内側面77とは、長手方向において対向している。第1突出領域71の棒状部63の第3外側面75からの突出長さを長さEとすると、長さEは、2mm以上5mm以下である。本実施形態においては、長さEは、2mmである。第2突出領域72の棒状部63の第3外側面75からの突出長さは、第1突出領域71の棒状部63の第3外側面75からの突出長さと同じであり、長さEである。
【0030】
カーテンリング40は、使用時において、カーテンの開け閉めに伴い、突っ張り棒10の長手方向に移動する。カーテンリング40が取り付けられる箇所によっては、突っ張り棒10に含まれる接続部16と第2の筒状部12の外径面22との段差25を跨いで移動する場合がある。ここで、矢印D
1で示す向きと逆の向きに沿い、径の大きい第1の筒状部11側から径の小さい第2の筒状部12側へ移動する際は、フック30やフック30に取り付けられるカーテンの自重等により、段差25に引っ掛からずに、滑らかに移動することができる。一方、矢印D
1で示す向きに沿い、径の小さい第2の筒状部12側から径の大きい第1の筒状部11側へ移動する際は、段差25を乗り越えて移動する必要がある。カーテンリング40については、この段差25を容易に乗り越えることができ、滑らかに移動させることができることが求められる。
【0031】
次にまず、本開示の範囲外である第1貫通孔を有するリング部の断面が丸状であり、フックが取り付けられる取り付け部に突出領域が設けられていないカーテンリングを移動させる際のカーテンリングの動きについて説明する。
図6は、第1貫通孔を有するリング部の断面が丸状であり、フックが取り付けられる取り付け部に突出領域が設けられていないカーテンリングの概略斜視図である。
図7は、
図6に示すカーテンリングを突っ張り棒に取り付けた状態の突っ張り棒の一部およびカーテンリングの概略断面図である。
【0032】
図6および
図7を参照して、カーテンリング100は、第1貫通孔101を有する円環状のリング部103と、リング部103と連なって設けられ、フック30が引っ掛けられる第2貫通孔102を有する取り付け部104と、を備える。リング部103の断面は、丸状である。取り付け部104もリング部103と同様に円環状であり、その断面は丸状である。
【0033】
次に、
図6に示すカーテンリング100を第2の筒状部12側から第1の筒状部11側へ移動させる際のカーテンリング100の動きについて説明する。一般的にカーテンを開け閉めしようとする時、カーテンを持って突っ張り棒10の長手方向に引っ張る。この場合、矢印D
1で示す向きにフック30を移動させることにより、カーテンを閉めるものとする。そうすると、フック30を介して、カーテンリング100は、矢印D
1で示す向きに移動する。ここで、カーテンリング100は、リング部103の内径面105が第2の筒状部12の外径面22上を滑るようにして移動する。そして、段差25に達する。
【0034】
図8は、
図6に示すカーテンリング100において、段差25に達した状態を示す概略断面図である。
図8を参照して、段差25に達したカーテンリング100の内径面105は、段差25に接触して引っ掛かる。そうすると、リング部103は、段差25を乗り越えられず、リング部103の移動は、一旦ここで停止する。一方、フック30側から矢印D
1で示す向きに加えられる力Fにより、取り付け部104は、矢印D
1で示す向きに移動しようとする。そうすると、カーテンリング100は、引っ掛かっている部分を支点として、突っ張り棒10の長手方向に対して大きく傾斜してしまう。すなわち、段差25に引っ掛かる前はリング部103から鉛直方向の下向きに延びていた取り付け部104が、大きく傾いてしまうことになる。このように、過度にカーテンリング100が傾くと、フック30から伝えられる力Fを、カーテンリング100の長手方向の移動に効率的に利用することができない。
【0035】
図9は、
図8に示す状態からさらに力が加えられた状態を示す概略断面図である。
図9を参照して、引き続き矢印D
1で示す向きに力Fが加えられても、カーテンリング100の傾きが大きくなるだけで、リング部103の内径面105が段差25に引っ掛かった状態のままとなる。このように、
図6に示すカーテンリング100では、滑らかに移動させることは困難である。
【0036】
次に、実施の形態1におけるカーテンリング40を、第2の筒状部12側から第1の筒状部11側へ移動させる際のカーテンリング40の動きについて説明する。再び
図2を参照して、カーテンを閉める際に、フック30を介して、カーテンリング40は、矢印D
1で示す向きに移動する。ここで、カーテンリング40は、リング部43の内径面52、具体的には、内径面52の第1面56が第2の筒状部12の外径面22上を滑るようにして移動する。そして、段差25に達する。
【0037】
図10は、
図3〜
図5に示す実施の形態1のカーテンリング40において、段差25に達した状態を示す概略断面図である。
図11は、
図10に示すカーテンリング40の一部を拡大して示す概略断面図である。
図10および
図11を参照して、カーテンリング40は、第1貫通孔41の貫通方向に対して傾斜している上記構成の第2面57,58を含むため、カーテンリング40が段差25に達した後に、第1面56と第2面58との境界部分P
1を支点として矢印Rで示す方向に回転し、カーテンリング40全体が段差25を乗り越える方向に傾く。すなわち、第2面57,58は傾斜面であるため、段差25が位置する側の開口が鉛直方向上向きとなるように傾き、段差25がリング部43の第2面57の下に潜り込むような形になる。そうすると、リング部43の第1端面53とカーテンレールとしての突っ張り棒10の段差25とが接触してカーテンリング40の移動の抵抗となることを抑制し、段差25を乗り越えてリング部43が段差25を通過しやすくなる。
【0038】
さらにカーテンリング40は、カーテンを閉めようとしてフック30から伝えられる力Fにより、矢印D
1で示す向きに移動しようとする。
図12は、実施の形態1のカーテンリング40において、段差25を乗り越えた状態を示す概略断面図である。
図12を参照して、カーテンリング40は、棒状部63の外径面である第3外側面75よりも外径側に位置する上記構成の第2突出領域72を含むため、フック30を介してカーテンリング40を移動させようとする際に、第2貫通孔42の内側に位置する面、具体的には第1内側面66とフック30のうちの第2貫通孔42に通された第1折り返し部34の側面36とが点P
2において接触する。また、第2突出領域72の内側面77とフック30のうちの鉛直方向の下向きに延びる部分、具体的には第1部分31および第2部分32の側面37とが点P
3において接触することになる。そうすると、過度にカーテンリング40が傾くことを抑制して、フック30から伝えられる力Fを、カーテンリング40の長手方向の移動に効率的に利用することができる。すなわち、カーテンリング40が段差25を乗り越える際に、カーテンリング40の姿勢が傾きすぎることを抑制し、フック30を介してカーテンリング40に伝えられる力Fをカーテンリング40の移動に有効に利用することができる。したがって、カーテンリング40が段差25を乗り越えて容易に長手方向に移動することができる。この場合、第1突出部61および第2突出部62の双方に第1突出領域71および第2突出領域72が設けられているため、カーテンリング40の取り付けの方向性を考える必要はない。よって、取り付けの際の方向性を気にしないで済み、利便性の向上を図ることができる。
【0039】
以上より、実施の形態1におけるカーテンリング40によると、カーテンレールとしての突っ張り棒10の長手方向の滑らかな移動を確実に確保することができる。
【0040】
本実施形態において、第1貫通孔41の貫通方向と、第2貫通孔42の貫通方向とは、直交している。よって、より適切に段差を乗り越える際のカーテンリング40の傾きを抑制することができるカーテンリング40となっている。
【0041】
本実施形態において、第1貫通孔41の中心軸45を含み、第1貫通孔41の貫通方向に沿って延びる平面で切断した断面において、第1面56と第2面57,58とのなす角度θは、1度以上20度以下である。角度θを1度以上とすることにより、段差25の傾斜度合いに関わらず、滑らかに段差25を乗り越えることができる。また、角度θを20度以下とすることにより、段差25と接触した際のカーテンリング40のある程度の傾きをより適切にすることができる。
【0042】
本実施形態において、第1突出領域71および第2突出領域72の棒状部63の外径面である第3外側面75からの突出長さを長さEとすると、長さEは、2mm以上5mm以下である。よって、一般的なフック30の形状に応じて、カーテンリング40のある程度の傾きを適切に確保することができる。
【0043】
(他の実施の形態)
なお、上記の実施の形態においては、第1突出部61および第2突出部62の端部73,74の形状は、長手方向に見て円弧状であることとしたが、これに限らず、他の形状、たとえば矩形状であってもよいし、三角形状であってもよい。
【0044】
また、上記の実施の形態においては、第1面56および第2面57,58は、環状に構成することとしたが、これに限らず、第1面56および第2面57,58は、内径面52のうちの外径面21,22,24と接触する領域を含む領域、たとえば円環状のリング部43のうちの取り付け部44と反対側の領域に形成することにしてもよい。
【0045】
なお、上記の実施の形態において、第1突出領域71の突出長さと第2突出領域72の突出長さとは、長さEとして同じであることとしたが、これに限らず、第1突出領域71の突出長さと第2突出領域72の突出長さとは、異なっていてもよい。また、第1面56と第2面57とのなす角度と第1面56と第2面58とのなす角度とは、角度θとして同じであることとしたが、これに限らず、第1面56と第2面57とのなす角度と第1面56と第2面58とのなす角度とは、異なっていてもよい。なお、たとえばカーテンリング40が樹脂製である場合、カーテンリング40の各構成部分、たとえば棒状部63と第1突出部61や第2突出部62とが接続されている部分は、滑らかな曲面で連なっていてもよい。また、端部73,74は、長手方向に円弧状でなくともよく、たとえば矩形状であってもよい。また、第1突出部61および第2突出部62はそれぞれ板状でなくともよく、たとえば、棒状であってもよい。
【0046】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した意味ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
カーテンリングは、第1貫通孔を構成する内径面を含む円環状のリング部と、リング部の外径側に配置され、フックが取り付けられる取り付け部と、を備える。リング部の内径面は、第1貫通孔の貫通方向に沿って配置される第1面と、第1面とリング部の両端面との間に配置され、第1貫通孔の開口が広くなるようそれぞれ第1貫通孔の貫通方向に対して傾斜している一対の第2面と、を含む。取り付け部は、リング部の外径側に突出し、リング部の第1貫通孔の貫通方向において間隔をあけて一方及び他方の端面側に配置され、第2貫通孔を構成する第1内側面を有する第1突出部と、第2内側面を有する第2突出部と、リング部の外径面とリング部の径方向に間隔をあけて、第1突出部と第2突出部とを連結し、第2貫通孔を構成する第3内側面を有する棒状部と、を含む。第1突出部及び第2突出部は、棒状部の外径面よりも外径側に位置する第1突出領域及び第2突出領域を含む。