(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
夫々の前記略四角柱体における四つの側面のうち、少なくとも一つの側面が、前記垂直面で構成され、残りの側面が、前記傾斜面で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子搭載用基板。
夫々の前記略四角柱体における四つの側面のうち、少なくとも一つの側面が、前記垂直面で構成され、残りの側面が、前記垂直面と前記傾斜面とを有する面で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子搭載用基板。
夫々の前記略四角柱体における四つの側面の夫々の角部に形成された隣り合う傾斜面同士が、面一に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体素子搭載用基板。
一つの半導体装置領域の境界近傍に配置された、前記略四角柱体における前記垂直面を有して構成される少なくとも一つの側面が、一つの半導体装置領域の境界方向を向いていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の半導体素子搭載用基板。
隣り合う前記略四角柱体同士の対向する側面において、一方の前記略四角柱体の側面が、前記垂直面で構成され、他方の前記略四角柱体の側面が、前記傾斜面又は前記垂直面と前記傾斜面とを有する面で構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体素子搭載用基板。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施形態の説明に先立ち、本発明を導出するに至った経緯及び本発明の作用効果について説明する。
【0022】
図13は特許文献1に記載の技術を用いた半導体素子搭載用基板の要部構成を示す説明図で、(a)はリード部等を形成するときのレジストマスクとめっき層との高さ方向の位置関係を示す図、(b)はリード部等の形状を示す図、(c)は(b)に示す半導体素子搭載用基板に半導体素子を搭載し、封止樹脂で封止した状態を示す図、(d)は(c)の樹脂封止体から導電性基板を引き剥がした状態を示す図である。
【0023】
特許文献1に記載の技術を用いた半導体素子搭載用基板は、
図13(a)に示すように、レジストマスク51の上面を超えるように金属をめっきすることで、
図13(b)に示すように、ダイパッド部とリード部をなすめっき層52の上端部周縁に張り出し部52aが形成されている。そして、
図13(c)に示すように、半導体素子53を搭載し、ボンディングワイヤ54で半導体素子53とめっき層52とを接続後、樹脂封止した際に張り出し部52aを封止樹脂55に食い込ませ、樹脂封止体から導電性基板50を引き剥がす際にめっき層52が封止樹脂55側に残るようにしている。
しかし、特許文献1に記載の技術は、レジストマスク51の上面を超えるように金属のめっき量をコントロールすることが難しく、形成するめっき層52の全てが同じ張り出し長さにならず、また、張り出し部52aが大きくなって隣のめっき層52と繋がってしまい易い。
しかも、特許文献1に記載の技術を用いた半導体装置において、隣り合うリード部等同士の間隔を狭め、また、パッケージサイズの最小化を図るべく樹脂封止後の個々の半導体装置に切断するための境界位置を可能な限りリード部等に近づけるには、リード部等を構成するめっき層52をより薄く形成する必要があるが、めっき層52を薄くすると、張り出し部52aの幅も厚みも小さくなり、封止樹脂55との密着性が低下し易い。
また、特許文献1に記載の技術のように、レジストマスク51の上面を超えるように金属をめっきすることで張り出し部52aを形成すると、張り出し部52aが大きく形成された場合、レジストマスク51を除去する際に張り出し部52の根元部にレジストが残り易く、品質の低下を招き易い。
【0024】
図14は特許文献2に記載の技術を用いた半導体素子搭載用基板の要部構成を示す説明図で、(a)はレジストマスクを形成する状態を示す図、(b)は形成されたレジストマスクの形状を示す図、(c)は基板にエッチングを施した状態を示す図、(d)はめっき層を形成した状態を示す図、(e)はめっき層により構成されるリード部等の形状を示す図、(f)は(e)の半導体素子搭載用基板を封止樹脂で封止した後に、導電性基板を剥離除去した状態を示す図である。
図15は
図14の半導体素子搭載用基板におけるリード部等をなす略四角柱体の一例を示す説明図で、(a)は上面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。
図16は
図14の半導体素子搭載用基板の概略構成の一例を示す説明図で、(a)は断面図、(b)は半導体素子を搭載後に封止樹脂で封止した状態を示す図、(c)は個々の半導体装置に切断するための境界位置とリード部等との位置関係を示す図、(d)は個々の半導体装置に切断された状態を示す図である。なお、
図16中、10は導電性基板、15は半田ボール、20は半導体素子、30は封止樹脂である。
【0025】
特許文献2に記載の技術を用いた半導体素子搭載用基板は、
図14(a)〜
図14(c)に示すように、散乱光を用いてレジスト層61の開口部の断面形状を台形に形成することで、ダイパッド部やリード部をなすめっき層62が逆台形形状に形成されている。そして、逆台形形状に形成されためっき層62により封止樹脂63との密着性を向上させるようにしている。
しかるに、特許文献2に記載の技術により形成されるダイパッド部やリード部をなす金属層62は、
図15(a)〜
図15(c)に示すように、四方の側面が、下面62dよりも上面62cが大きくなる方向に傾斜した傾斜面62bとなる。
しかし、四方の側面が下面62dよりも上面62cが大きくなるように傾斜した傾斜面62bでは、例えば、
図16(a)に示すような半導体素子搭載用基板において、隣り合うリード部等62同士の間隔を狭めたり、
図16(b)〜
図16(d)に示すような半導体装置の製造において、樹脂封止後の個々の半導体装置に切断するための境界位置を可能な限りリード部等に近づけたりすることが難しくなる。
【0026】
即ち、例えば、
図15(a)〜
図15(c)に示すような逆台形形状のダイパッド部やリード部をなす金属層62の半導体素子搭載側の面(上面62c)を基準として小さくしようとすると、半導体素子搭載側とは反対側の面(下面62d)が四方から各辺全体にわたって狭まる結果、下面62dが小さくなりすぎ、また、形成すること自体が難しくなり易い。
一方、
図15(a)〜
図15(c)に示すような逆台形形状のダイパッド部やリード部をなす金属層62の上面62cを基準として小さくしようとしても、逆台形形状である分、上面62cが四方から各辺全体にわたって広がる結果、上面62cを小さくすることができない。
このため、四方の側面が下面62dよりも上面62cが大きくなるように傾斜した傾斜面62bで構成された特許文献2に記載の半導体素子搭載用基板では、金属層62の上面62cが下面62dよりも水平方向に突出する分、隣り合うリード部等同士の間隔を狭めたり、樹脂封止後の個々の半導体装置に切断するための境界位置を可能な限りリード部等に近づけたりすることが難しい。
また、特許文献2に記載のような、四方の側面が下面62dよりも上面62cが大きくなるように傾斜した傾斜面62bで構成されたリード部の下面62c近傍に、個々の半導体装置に切断するための境界位置を極力近づけると、リード部の上面62dの一部が切断されて、リード部を構成するめっき層が半導体装置の切断面から露出し、露出しためっき層断面と封止樹脂との界面から水分が浸入して半導体装置の耐久性に大きな支障が生じる虞がある。
【0027】
また、特許文献2に記載の技術では、四方の側面が下面62dよりも上面62cが大きくなるように傾斜した傾斜面に形成するために、散乱光を使用しているが、散乱光を使用してレジスト層に傾斜形状を形成する技術では、平行光を用いてレジスト層に所定形状を形成する場合に比べて、下面の寸法精度のバラツキが大きく精度が悪くなる。特に、半導体装置の小型化、薄型化により、リード形状が小さくなる傾向にある中では、下面の寸法精度の向上は重要であるが、特許文献2に記載の散乱光を使用してレジスト層に傾斜形状を形成する技術ではこの要請に十分応えることが困難である。
【0028】
しかるに、本発明者らは、これらの問題を検討し、試行錯誤の末に、リード部等をなす金属層の封止樹脂との密着性を向上させると同時に、隣り合うリード部等同士の間隔を狭くすることができ、また、樹脂封止後の個々の半導体装置に切断するための境界位置をリード部等に極力近づけてパッケージサイズを最小化することが可能な本発明の半導体素子搭載用基板を導出するに至った。
【0029】
本発明の半導体素子搭載用基板は、導電性基板の上側の面に、少なくともリード部をなす、めっき層からなる略四角柱体を複数個有する半導体素子搭載用基板において、夫々の略四角柱体における側面全体が、
略四角柱体の高さ方向の全長にわたる長さを有して導電性基板の上側の面に対して略垂直な垂直面と、
略四角柱体の高さ方向の全長にわたる長さを有して略四角柱体の上面が下面よりも大きくなる方向に傾斜した傾斜面とで構成されている。
【0030】
本発明の半導体素子搭載用基板のように、夫々の略四角柱体における側面全体を、
略四角柱体の高さ方向の全長にわたる長さを有して導電性基板の上側の面に対して略垂直な垂直面と、
略四角柱体の高さ方向の全長にわたる長さを有して略四角柱体の上面が下面よりも大きくなる方向に傾斜した傾斜面とで構成すれば、
略四角柱体の高さ方向の全長にわたる長さを有して導電性基板の上側の面に対して略垂直な垂直面により、隣り合うリード部等同士の間隔を狭めたり、樹脂封止後の個々の半導体装置に切断するための境界位置を可能な限りリード部等に近づけたりすることができると同時に、
略四角柱体の高さ方向の全長にわたる長さを有して上面が下面よりも大きくなる方向に傾斜した傾斜面により、封止樹脂への食いつきや引っ掛かり
を略四角柱体の高さ方向の全長にわたる長さを有してもたせることができ、導電性基板を封止樹脂から剥離する際に、リード部の封止樹脂からの脱落等を防止することができ、封止樹脂との密着性を向上させることができる。
【0031】
詳しくは、本発明のように、夫々の略四角柱体における側面全体を、
略四角柱体の高さ方向の全長にわたる長さを有して導電性基板の上側の面に対して略垂直な垂直面と、
略四角柱体の高さ方向の全長にわたる長さを有して略四角柱体の上面が下面よりも大きくなる方向に傾斜した傾斜面とで構成するようにすれば、特許文献1に記載の技術とは異なり、レジスト層により、リード部等をなす略四角柱体における垂直面の辺の長さ、傾斜面の角度等を任意に設定して形状を制御でき、また、張り出し部の根元にレジストが残るようなことが無い。そして、垂直面を個々の半導体装置に切断する側に配置することにより、傾斜面に比べて、個々の半導体装置に切断するための境界位置をリード部に近づけることができる。その結果、その分、半導体装置のパッケージサイズを縮小させることができる。
【0032】
また、特許文献2に記載の技術とは異なり、垂直面を有する側面部分で、隣り合うリード部等同士の間隔を狭めたり、樹脂封止後の個々の半導体装置に切断するための境界位置を可能な限りリード部等に近づけたりすることが可能となる。
【0033】
即ち、例えば、略四角柱体の上面を基準として小さくしようとした場合、略四角柱体の下面が四方から各辺全体にわたって狭まることはなく、略四角柱体の下面における垂直面と接する辺は狭まらない。このため、下面が小さくなりすぎず、形成すること自体が難しくなり難い。
一方、略四角柱体の下面を基準として小さくしようとした場合、略四角柱体の上面が四方から各辺全体にわたって広がることはなく、略四角柱体の上面における垂直面と接する辺は広がらない。
このため、本発明の半導体素子搭載用基板のようにすれば、略四角柱体の垂直面が水平方向に突出しない長さ分、隣り合うリード部等同士の間隔を狭めたり、樹脂封止後の個々の半導体装置に切断するための境界位置を可能な限りリード部等に近づけたりすることができる。
そして、特許文献2に記載の技術とは異なり、個々の半導体装置に切断するための境界位置を、リード部等をなすめっき層の垂直面を有する側面近傍に近づけることによって、リード部等をなす、めっき層からなる略四角柱体が半導体装置の切断面から露出することもない。
【0034】
また、本発明は、特許文献2に記載の技術とは異なり、
略四角柱体の高さ方向の全長にわたる長さを有して導電性基板の上側の面に対して略垂直な垂直面を有するため、略四角柱体をめっき形成するためのめっき用レジストマスクを、平行光を使用して形成し、散乱光を使用しない。このため、特許文献2に記載の技術のような散乱光を用いた場合における、下面の寸法精度のバラツキが大きく精度が悪くなることもない。
【0035】
そして、このような本発明の半導体素子搭載用基板は、導電性基板の上側の面上に、第1の波長で感光する第1のレジスト層、第1のレジスト層上に、第1のレジスト層が感光しない第2の波長を少なくとも含む所定波長で感光する第2のレジスト層、を順次形成するとともに、導電性基板の下側の面上に第1の波長で感光する第3のレジスト層を形成する工程と、第1の波長を少なくとも含む所定波長で第1の露光を行い、第1、第2のレジスト層における略四角柱体の上面領域に対応する所定領域以外の領域を硬化させるとともに、第3のレジスト層の全領域を硬化させ、次に、第2の波長で第2の露光を行い、第2のレジスト層における未硬化部分のうちの、少なくとも一部が略四角柱体の上面の辺縁と位置が一致し、他部が略四角柱体の上面の辺縁よりも内側に位置する、略四角柱体の下面領域に対応する所定領域以外の領域を硬化させ、次に、第1、第2のレジスト層の未硬化部分を現像し、第2のレジスト層における第2の露光による硬化部分の直下に位置する第1のレジスト層の未露光部分が削れて第1のレジスト層の下面が上面よりも大きくなる方向に傾斜した傾斜面を有して残存するように第1、第2のレジスト層の未硬化部分を除去し、次に、第1の波長を少なくとも含む所定波長で第3の露光を行い、傾斜した形状に残存する第1のレジスト層の未露光部分を硬化させて、めっき用レジストマスクを形成する工程と、めっき用レジストマスクを用いてめっき加工を施し、側面全体が、導電性基板の上側の面に対して略垂直な垂直面と、上面が下面よりも大きくなる方向に傾斜した傾斜面とで構成された、めっき層からなる略四角柱体を形成する工程と、めっき用レジストマスクを除去する工程と、を有することによって製造可能である。
【0036】
従って、本発明によれば、半導体素子を搭載後、樹脂封止し導電性基板を除去して完成させる半導体装置において、樹脂封止後、導電性基板の除去時等における封止樹脂からのリード部等の脱落及び剥離を防止し、かつ、多ピン化を図るために隣り合うリード部等同士の間隔を狭くすることができ、また、樹脂封止後の個々の半導体装置に切断するための境界位置をリード部等に極力近づけてパッケージサイズを最小化することが可能な半導体素子搭載用基板及びその製造方法が得られる。
【0037】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【0038】
図1は本発明の一実施形態に係る半導体素子搭載用基板の概略構成の一例を示す説明図で、(a)は断面図、(b)は半導体素子を搭載後に封止樹脂で封止した状態を示す図、(c)は個々の半導体装置に切断するための境界位置とリード部等との位置関係を示す図、(d)は個々の半導体装置に切断された状態を示す図である。
図2は
図1の実施形態の半導体素子搭載用基板におけるリード部等をなす略四角柱体の一例を示す説明図で、(a)は上面図、(b)は(a)のC−C断面図、(c)は(a)のD−D断面図である。
【0039】
本実施形態の半導体素子搭載用基板は、
図1(a)に示すように、導電性基板10と、その上側の面上に配置された半導体素子搭載用及び外部機器と接続するためのリード部等をなす、めっき層からなる略四角柱体11を複数有している。なお、本実施形態の半導体素子搭載用基板においては、リード部等は、リード部の他にダイパッド部も含むが、後述するように、フリップチップ実装により半導体素子を搭載するタイプには、ダイパッド部がない。このため、本実施形態の半導体素子搭載用基板における、めっき層からなる略四角柱体11は、少なくともリード部をなしている。
導電性基板10は、上側の面上にめっき層からなる略四角柱体11が形成される基板であり、電気めっきによりめっき層を形成することが可能なように、導電性を有する材料で構成されている。
夫々の略四角柱体11は、
図2(a)〜
図2(c)に示すように、側面全体が、
略四角柱体11の高さ方向の全長にわたる長さを有して導電性基板10の上側の面に対して略垂直な垂直面11aと、
略四角柱体11の高さ方向の全長にわたる長さを有して略四角柱体11の上面11cが下面11dよりも大きくなる方向に傾斜した傾斜面11bとで構成されている。より詳しくは、
図2に示す例では、夫々の略四角柱体11における四つの側面のうち、一つの側面(
図2(a)において、左側の側面)が、垂直面11aで構成され、残りの三つの側面(
図2(a)において、上下及び右側の側面)が、傾斜面11bで構成されている。
【0040】
なお、本実施形態の半導体素子搭載用基板は、夫々の略四角柱体11における側面全体が、
略四角柱体11の高さ方向の全長にわたる長さを有して導電性基板10の上側の面に対して略垂直な垂直面11aと、
略四角柱体11の高さ方向の全長にわたる長さを有して略四角柱体11の上面11cが下面11dよりも大きくなる方向に傾斜した傾斜面11bとで構成されていれば、
図2に示す例の構成に限定されない。
例えば、
図3(a)〜
図3(c)に示すように、夫々の略四角柱体11における四つの側面のうち、三つの側面(
図3(a)において、上下及び左側の側面)が、垂直面11aで構成され、残りの一つの側面(
図3(a)において、右側の側面)が、傾斜面11bで構成されていてもよい。
また、例えば、
図4(a)〜
図4(c)に示すように、夫々の略四角柱体11における四つの側面のうち、隣り合う二つの側面(
図4(a)において、下及び左側の側面)が、垂直面11aで構成され、残りの隣り合う二つの側面(
図4(a)において、上及び右側の側面)が、傾斜面11bで構成されていてもよい。
また、例えば、
図5(a)〜
図5(c)に示すように、夫々の略四角柱体11における四つの側面のうち、対向する二つの側面(
図5(a)において、上下の側面)が、垂直面11aで構成され、残りの隣り合う二つの側面(
図5(a)において、左右の側面)が、傾斜面11bで構成されていてもよい。
【0041】
また、本実施形態の半導体素子搭載用基板は、夫々の略四角柱体11における四つの側面の夫々が、垂直面11aの部分と傾斜面11bの部分とを有していてもよい。
例えば、
図6(a)〜
図6(c)に示すように、夫々の略四角柱体11の略四角柱体における四つの側面の全ての角部が傾斜面11bで構成され、角部以外の部分が垂直面11bで構成されていてもよい。
また、例えば、
図7(a)〜
図7(c)に示すように、夫々の略四角柱体11の略四角柱体における四つの側面のうち、上面11c及び下面11dの一方の対角線上に位置する角部(
図7(a)において、右上と左下の角部)が傾斜面11bで構成されていてもよい。また、
図7(a)に示すように、角部に形成された隣り合う傾斜面11b同士が、面一に形成されていてもよい。
また、例えば、
図8(a)〜
図8(c)に示すように、短手方向に対向する二つの側面(
図8(a)において、左右の側面)が垂直面11aで構成され、長手方向に対向する二つの側面(
図8(a)において、上下の側面)が、両端部を垂直面11a、両端部の間を傾斜面11bで構成されていてもよい。
また、例えば、
図9(a)〜
図9(c)に示すように、短手方向に対向する二つの側面(
図9(a)において、左右の側面)が両端部を垂直面11a、両端部の間を傾斜面11bで構成され、長手方向に対向する二つの側面(
図9(a)において、上下の側面)が、傾斜面11bで構成されていてもよい。
【0042】
次に、
図1(c)〜
図1(d)を用いて、本発明の実施形態に係る半導体素子搭載用基板を用いた半導体装置の一例について説明する。
図1(c)〜
図1(d)は
図1(a)に示す半導体素子搭載用基板を用いた半導体装置の概略構成の一例を示す断面図である。
【0043】
図1(d)に示す半導体装置は、
図1(a)に示す半導体素子搭載用基板のダイパッド部又はリード部をなす略四角柱体11の上面11cに半導体素子20を搭載し、半導体素子20の電極とリード部をなす略四角柱体11の上面11cとを接続し、半導体素子搭載空間を封止樹脂30により樹脂封止した後、導電性基板10を除去し(
図1(b)参照)、個々の半導体装置に切断する(
図1(c)参照)ことにより作製される。導電性基板10の除去により露出したリード部等をなす略四角柱体11の下面11dは、外部機器とはんだ接合するための外部端子となる。
【0044】
なお、本実施形態のリード部等をなす略四角柱体を適用可能な半導体素子搭載用基板は、例えば、
図10(a)、
図10(b)に示すような、半導体素子20の電極を、リード部をなす略四角柱体11の上面11cに直接接合するフリップチップ実装タイプ、あるいは、
図10(c)、
図10(d)に示すような、ダイパッド部として機能する略四角柱体11’の周辺にリード部をなす略四角柱体11を配置し、ワイヤボンディングにて半導体素子20’を搭載するタイプ、あるいは、
図10(e)、
図10(f)に示すように、ワイヤボンディングにて光半導体素子20’’を搭載するタイプのいずれにも適用可能である。
図10中、15は半田ボール、15’はボンディングワイヤ、16はダイアタッチ材、30は封止樹脂、31はリフレクタ樹脂である。
【0045】
このように構成される本実施形態の半導体素子搭載用基板は、例えば、次のようにして製造する。
図11は本発明の実施形態に係る半導体素子搭載用基板の製造工程の一例を示す説明図である。なお、
図11では便宜上、
図2に示すリード部等をなす略四角柱体11を有する半導体素子搭載用基板の製造工程を示すこととする。また、製造の各工程において実施される、薬液洗浄や水洗洗浄を含む前処理・後処理等は、便宜上説明を省略する。
【0046】
まず、導電性基板10を準備する(
図11(a)参照)。使用する導電性基板10の材質は、導電性が得られれば特に限定はないが、一般的には、例えば、CuまたはCu合金等の金属材料を用いる。なお、導電性基板を引き剥がし除去する場合は、SUS材を用いてもよい。
次に、導電性基板10の上側の面上に、第1の波長で感光する第1のレジスト層R1、第1のレジスト層R1上に、第1のレジスト層R1が感光しない第2の波長を少なくとも含む所定波長で感光する第2のレジスト層R2を、順次形成するとともに、導電性基板10の下側の面上に第1の波長で感光する第3のレジスト層R3を形成する(
図11(b)参照)。
次に、所定パターンのガラスマスクを用いて第1の波長を少なくとも含む所定波長で第1の露光を行い、第1、第2のレジスト層R1、R2における略四角柱体の上面領域に対応する所定領域以外の領域を硬化させるとともに、第3のレジスト層R3の全領域を硬化させる(
図11(c)参照)。
次に、第2の波長で第2の露光を行い、第2のレジスト層R2における未硬化部分のうちの、少なくとも一部が略四角柱体の上面の辺縁と位置が一致し、他部が略四角柱体の上面の辺縁よりも内側に位置する、略四角柱体の下面領域に対応する所定領域以外の領域を硬化させる(
図11(d)参照)。
次に、第1、第2のレジスト層R1、R2の未硬化部分を現像し、第2のレジスト層R2における第2の露光による硬化部分の直下に位置する第1のレジスト層R1の未露光部分が削れて第1のレジスト層の下面が上面よりも大きくなる方向に傾斜した傾斜面を有して残存するように第1、第2のレジスト層R1、R2の未硬化部分を除去する(
図11(e)参照)。
次に、第1の波長を少なくとも含む所定波長で第3の露光を行い、傾斜した形状に残存する第1のレジスト層R1の未露光部分を硬化させて、めっき用レジストマスク41を形成する(
図11(f)参照)。
【0047】
次に、めっき用レジストマスク41を用いてめっき加工を施し、側面全体が、
高さ方向の全長にわたる長さを有して導電性基板10の上側の面に対して略垂直な垂直面11aと、
高さ方向の全長にわたる長さを有して上面11cが下面11dよりも大きくなる方向に傾斜した傾斜面11bとで構成された、めっき層からなる略四角柱体11を形成する(
図11(g)参照)。
なお、めっきの種類は、特に限定は無い。例えば、導電性基板10の上側の面上に、Auめっき層、第1のPdめっき層、Niめっき層、第2のPdめっき
層を順に層状に積み重ねる4層めっき、あるいは、更にAuめっき又はAgめっき又はAgめっきとAuめっきの順
に積層を行う5層又は6層めっき等を行う。リード部等をなす略四角柱体11のめっき厚さも、特に限定は無いが、封止樹脂との密着性を考慮すれば、比較的硬度があり安価であるNiめっきを下段側から上段側をまたぐように厚さを設定することが好ましい。また、最表面には、ボンディング性の良い金属材料であるPd、Ag、Au等のめっき層を必要最低限形成する。
【0048】
次に、めっき用レジストマスク41を除去する(
図11(h)参照)。
これにより、夫々の略四角柱体11における側面全体が、
略四角柱体11の高さ方向の全長にわたる長さを有して導電性基板10の上側の面に対して略垂直な垂直面11aと、
略四角柱体11の高さ方向の全長にわたる長さを有して略四角柱体11の上面11cが下面11dよりも大きくなる方向に傾斜した傾斜面11bとで構成された、本実施形態の半導体素子搭載用基板が得られる。
【0049】
なお、略四角柱体11の厚さは、略四角柱体11の上面11cが第2のレジスト層R2の下面よりも低い位置に位置するように設定する。好ましくは、第1のレジスト層R1の厚さの1/2から4/5の位置に、略四角柱体11の上面11cが位置するようにめっき厚さを設定する。
【0050】
また、第1のレジスト層R1の下面が上面よりも大きくなる方向に傾斜した傾斜面における傾斜角度は、第1のレジスト層R1の厚みや現像工程での現像時間、現像液の吐出圧力等により調整することができる。また、この傾斜角度は、水平方向を基準に任意に設定することができるが、封止樹脂との密着性を考慮すると、30°〜80°に設定することが好ましく、30°〜60°に設定することがより好ましい。
【0051】
次に、上述の製造工程を経て作製された半導体素子搭載用基板を用いた半導体装置の製造について説明する。
図12は本発明の実施形態に係る半導体素子搭載用基板を用いた半導体装置の製造工程の一例を示す説明図である。
【0052】
まず、半導体素子搭載用基板における、リード部等をなす略四角柱体11上に半導体素子20を搭載する。その際、半導体素子20は、リード部等をなす略四角柱体11上に、例えば、半田ボール15を用いて接着固定する(
図12(a)参照)。なお、ワイヤボンディング法によって半導体素子とリード部とを電気的に接合することも可能であるが、
図12の例では便宜上フリップチップ実装により半導体素子を搭載する例についてのみ説明することとする。
次に、半導体素子搭載用基板の半導体素子20を搭載した空間領域を封止樹脂30で封止する(
図12(b)参照)。
次に、樹脂封止30で封止した樹脂封止体から、導電性基板10を除去する。導電性基板10の除去方法は、溶解液を用いて、導電性基板を溶解除去する。あるいは、導電性基板10がAlからなる場合には、引き剥がし除去する方法を用いる(
図12(c)参照)。
最後に、個々の半導体装置に切断し(
図12(d)参照)、半導体装置を完成させる(
図12(e)参照)。
【0053】
本実施形態の半導体素子搭載用基板によれば、夫々の略四角柱体11における側面全体を、
略四角柱体11の高さ方向の全長にわたる長さを有して導電性基板10の上側の面に対して略垂直な垂直面11aと、
略四角柱体11の高さ方向の全長にわたる長さを有して略四角柱体11の上面11cが下面11dよりも大きくなる方向に傾斜した傾斜面11bとで構成したので、
略四角柱体11の高さ方向の全長にわたる長さを有して導電性基板10の上側の面に対して略垂直な垂直面11aにより、隣り合うリード部等同士の間隔を狭めたり、樹脂封止後の個々の半導体装置に切断するための境界位置を可能な限りリード部等に近づけたりすることができると同時に、
略四角柱体11の高さ方向の全長にわたる長さを有して上面11cが下面11dよりも大きくなる方向に傾斜した傾斜面11bにより、封止樹脂30への食いつきや引っ掛かり
を略四角柱体11の高さ方向の全長にわたる長さを有してもたせることができ、導電性基板10を封止樹脂30から剥離する際に、リード部の封止樹脂30からの脱落等を防止することができ、封止樹脂30との密着性を向上させることができる。
【0054】
詳しくは、夫々の略四角柱体11における側面全体を、
略四角柱体11の高さ方向の全長にわたる長さを有して導電性基板10の上側の面に対して略垂直な垂直面と、
略四角柱体11の高さ方向の全長にわたる長さを有して略四角柱体の上面が下面よりも大きくなる方向に傾斜した傾斜面とで構成するようにしたので、特許文献1に記載の技術とは異なり、レジスト層により、リード部等をなす略四角柱体における垂直面の辺の長さ、傾斜面の角度等を任意に設定して形状を制御でき、また、張り出し部の根元にレジストが残るようなことが無い。そして、垂直面11aを個々の半導体装置に切断する側
へ配置することにより、傾斜面に比べて個々の半導体装置に切断するための境界位置をリード部
へ近づけることができる。その結果、その分、半導体装置のパッケージサイズを縮小させることができる。
【0055】
また、特許文献2に記載の技術とは異なり、垂直面11aを有する側面部分で、隣り合うリード部等同士の間隔を狭めたり、樹脂封止後の個々の半導体装置に切断するための境界位置を可能な限りリード部等に近づけたりすることが可能となる。
【0056】
即ち、例えば、略四角柱体11の上面11cを基準として小さくしようとした場合、略四角柱体11の下面11dが四方から各辺全体にわたって狭まることはなく、略四角柱体11の下面11dにおける垂直面11aと接する辺は狭まらない。このため、下面11dが小さくなりすぎず、形成すること自体が難しくなり難い。
一方、略四角柱体11の下面11dを基準として小さくしようとした場合、上面11cが四方から各辺全体にわたって広がることはなく、上面11cにおける垂直面11aと接する辺は広がらない。
このため、本発明の半導体素子搭載用基板のようにすれば、略四角柱体11の垂直面11aが水平方向に突出しない長さ分、隣り合うリード部等同士の間隔を狭めたり、樹脂封止後の個々の半導体装置に切断するための境界位置を可能な限りリード部等に近づけたりすることができる。
そして、特許文献2に記載の技術とは異なり、個々の半導体装置に切断するための境界位置を、リード部等をなすめっき層11の垂直面11aを有する側面に近づけることによって、リード部等をなす、めっき層からなる略四角柱体11が半導体装置の切断面から露出することもない。
【0057】
また、本実施形態の半導体素子搭載用基板によれば、特許文献2に記載の技術とは異なり、
略四角柱体11の高さ方向の全長にわたる長さを有して導電性基板10の上側の面に対して略垂直な垂直面11aを有するため、略四角柱体11をめっき形成するためのめっき用レジストマスクを、平行光を使用して形成し、散乱光を使用しない。このため、特許文献2に記載の技術のような散乱光を用いた場合における、下面の寸法精度のバラツキが大きく精度が悪くなることもない。
【0058】
従って、本実施形態によれば、半導体素子を搭載後、樹脂封止し導電性基板を除去して完成させる半導体装置において、樹脂封止後、導電性基板の除去時等における封止樹脂からのリード部等の脱落及び剥離を防止し、かつ、多ピン化を図るために隣り合うリード部等同士の間隔を狭くすることができ、また、樹脂封止後の個々の半導体装置に切断するための境界位置をリード部等に極力近づけてパッケージサイズを最小化することが可能な半導体素子搭載用基板及びその製造方法が得られる。
【実施例】
【0059】
以下、本発明の半導体素子搭載用基板の実施例について説明する。なお、理解の容易のため、上述の実施形態の構成要素に対応する構成要素については、実施形態と同一の参照符号を付すこととする。また、以下の実施例では、便宜上、
図2に示した略四角柱体11を有する半導体素子搭載用基板を製造した。なお、
図3〜
図9に示した略四角柱体11を有する半導体素子搭載用基板も同様に製造可能である。
【0060】
実施例1
導電性基材10として、板厚0.2mmのSUS板(SUS430)を幅140mmの長尺板状に加工したものを用意した(
図11(a)参照)。次に、導電性基板10の上側の面上に、第1のレジスト層R1として、第1の波長(365nm)で感光する厚み0.040mmの感光性ドライフィルムレジストを、ラミネートロールを用いて貼り付けた。次に、第1のレジスト層R1の上に、第2のレジスト層R2として、第1の波長で感光せず、第1のレジスト層R1が感光しない第2の波長(405nm)で感光する厚み0.025mmの感光性ドライフィルムレジストを貼り付けた。また、導電性基板10の下側の面上に、第3のレジスト層R3として、第1の波長(365nm)で感光する厚み0.040mmの感光性ドライフィルムレジストをラミネートロールで貼り付けた(
図11(b)参照)。
【0061】
次に、導電性基板10の上側の面側に、第1、第2のレジスト層R1、R2におけるリード部等をなす、めっき層からなる略四角柱体11の上面11cの領域に対応する所定領域以外の領域を開口し、その他の領域を覆うパターンを形成したガラスマスク、下側の面側に、第3のレジスト層R3の全領域を開口するパターンを形成したガラスマスクを夫々のドライフィルムレジストの上に被せ、第1の波長と第2の波長を含む紫外光で第1の露光を行い、第1、第2のレジスト層R1,R2における略四角柱体11の上面11cの領域に対応する所定領域以外の領域を硬化させるとともに、第3のレジスト層R3の全領域を硬化させた(
図11(c)参照)。次に、略四角柱体11の下面領域に対応する所定領域以外の領域を開口するパターンを形成したガラスマスクをドライフィルムレジストの上に被せ、第2の波長のみを含む紫外光で第2の露光を行い、第2のレジスト層R2における未硬化部分のうちの、少なくとも一部が略四角柱体11の上面11cの辺縁と位置が一致し、他部が略四角柱体11の上面11cの辺縁よりも内側に位置する、略四角柱体11の下面11dの領域に対応する所定領域以外の領域を硬化させた(
図11(d)参照)。このとき、第1のレジスト層R1の一部の感光エリア内のドライフィルムは、第1の波長のみに感光するため、未露光状態であった。
【0062】
その後、炭酸ナトリウム溶液を用いて、紫外光の照射が遮られて感光しなかった未硬化のドライフィルムレジストを溶かす現像処理を行った(
図11(e)参照)。現像時間、現像液の吐出圧力等適宜調整することで、第1のレジスト層R1の未硬化部分に形成される傾斜面の傾斜角度が約45°になるように設定した。その後、第1の波長と第2の波長を含む紫外光による第3の露光を行い、第1のレジスト層R1の現像で残った未露光部分を硬化処理した(
図11(f)参照)。
【0063】
次に、レジスト層が除去されて開口部が形成された導電性基材10の露出部表面に、電気めっきを行った(
図11(g)参照)。リード部をなすめっき層からなる略四角柱体を形成するため、Auめっきを約0.02μm
、Pdめっきを0.02μm、Niめっきを27μm、Pdめっきを0.05μm順次施した。めっき層の厚さは、第1のレジスト層R1の略2/3を目安に設定した。
【0064】
最後に、水酸化ナトリウム溶液でドライフィルムレジストを剥離して、本発明の実施例1に係る半導体素子搭載用基板を得た(
図11(h)参照)。
【0065】
次に、作製した半導体素子搭載用基板に半導体素子20をフリップチップ実装にて搭載し、半導体素子20とリード部をなすめっき層からなる略四角柱体11を半田ボール15で接続し(
図12(a)参照)、半導体素子20が搭載されている空間を封止樹脂30で封止(
図12(b)参照)した後、樹脂封止体から導電性基材10を引き剥がし除去した(
図12(c)参照)。最後に、所定の半導体装置の寸法になるように切断し、実施例1に係る半導体装置を完成させた(
図12(e)参照)。
【0066】
比較例1
比較例1では、レジスト被覆工程で、導電性基板10の両面に厚み0.025mmの感光性ドライフィルムレジストを、ラミネートロールを用いて貼り付け、露光現像を行った。めっき工程では、レジスト層を超える厚さ(40μm)で、めっき層を形成した。その他の条件は、実施例1と同様にして半導体素子搭載用基板及び半導体装置を完成させた。
【0067】
比較例2
比較例2では、レジスト被覆工程で導電性基板10の上側の面に厚み0.05mmの感光性ドライフィルムレジスト、下側の面に厚み0.025mm感光性ドライフィルムレジストを、ラミネートロールを用いて貼り付け、露光工程では散乱紫外光を用いて露光を行い、その後、現像を行った。散乱紫外光で露光することで、レジスト層は半露光状態となり、台形形状のレジストマスクが形成された。めっき工程では、形成された台形形状のレジストマスクの開口部にめっきを行い、逆台形形状のリード部を作製した。その他の条件は実施例1と同様にして半導体素子搭載用基板及び半導体装置を完成させた。
【0068】
評価
実施例1、比較例1及び比較例2の半導体素子搭載用基板に対し、以下の方法を用いて評価を行った。
【0069】
半導体素子搭載用基板において、1単位のリードフレームサイズを70mm×250mmとするとともに、その中を5ブロックに区画し、リードフレーム周辺とブロック間には必要サイズのレール部を設定し、この中で設計することのできる半導体素子搭載部の個数を比較した。比較結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
表1に示すように、実施例1の半導体素子搭載用基板では、1ブロック当り1600個、1リードフレーム当り8000個の半導体装置が配置可能であったが、比較例1、比較例2の半導体素子搭載用基板では、半導体装置の配置可能数が1ブロック当り1444個、1リードフレーム当り7220個に留まった。そして、比較例1、2の半導体素子搭載用基板における半導体装置の配置可能数と比較して実施例1の半導体素子搭載用基板における半導体装置の配置可能数は、10.8%の集積率向上となった。また、半導体装置1個当りのサイズ比較は、比較例1、2の半導体素子搭載用基板における半導体装置サイズと比較して実施例1の半導体素子搭載用基板における半導体装置サイズは、4.8%縮小可能となった。
【0072】
また、半導体素子搭載用基板の製作工程のレジスト剥離工程で、レジスト残り不具合の有無を顕微鏡で100枚ずつ観察した。その結果、実施例1、比較例2の半導体素子搭載用基板に関してはレジスト残りの発生が無かったが、比較例1の半導体素子搭載用基板では、一部のリード部にレジスト残りの発生が見られた。
【0073】
また、実施例1、比較例1及び比較例2の半導体素子搭載用基板を使用して半導体素子を搭載し樹脂封止後、導電性基板を引き剥がし除去工程で、リード部が導電性基板に残る不具合の有無を顕微鏡観察により確認した。
その結果、実施例1、比較例1、比較例2の半導体素子搭載用基板は、いずれも、封止樹脂と導電性基板との間でリード部が導電性基板に残る不具合はなく良好であり、実施例1においても十分封止樹脂と密着性を確保していることが確認できた。
【0074】
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施形態及び実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述した実施例1の半導体素子搭載用基板の製造では、第2のレジスト層として、第1の波長で感光せず、第2の波長で感光するものを用いたが、第2のレジスト層として、第2の波長に加えて、第1の波長でも感光するものを用いてもよい。
また、例えば、上述した実施例1の半導体素子搭載用基板の製造において、第2のレジスト層として、第2の波長に加えて、第1の波長でも感光するものを用いるとともに、第1の露光波長として、第1の波長のみを用いてもよい。
また、例えば、上述した実施例1の半導体素子搭載用基板の製造において、第3の露光波長として、第1の波長のみを用いてもよい。
即ち、本発明の半導体素子搭載用基板の製造方法においては、例えば、次の表2に示すように、第1〜第3のレジスト層の感光波長、第1〜第3の露光波長を組み合わせることができる。
【表2】