特許第6867083号(P6867083)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6867083
(24)【登録日】2021年4月12日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】安定した粉砕ルテイン顆粒を含む飲料
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/58 20060101AFI20210419BHJP
【FI】
   A23L2/00 M
   A23L2/58
【請求項の数】24
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-549229(P2018-549229)
(86)(22)【出願日】2017年4月3日
(65)【公表番号】特表2019-512250(P2019-512250A)
(43)【公表日】2019年5月16日
(86)【国際出願番号】EP2017057814
(87)【国際公開番号】WO2017168006
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2020年1月28日
(31)【優先権主張番号】429/16
(32)【優先日】2016年4月1日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ベック, マルクス
(72)【発明者】
【氏名】エストレリャ, アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】フンダ, エルガー
(72)【発明者】
【氏名】ヒッツフェルト, アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シュレーゲル, バーンド
(72)【発明者】
【氏名】アーバン, カイ
【審査官】 村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−512657(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01964479(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料中での顆粒の使用であって、前記顆粒が、
(i)以下の粒径分布:
0.6〜1.5μmの範囲のD[3,2]、および1.1〜3.5μmの範囲のD[v,0.5]
を有する、ルテインおよびゼアキサンチンならびにこれらの任意の混合物からなる群から選択される粉砕カロテノイドと、
(ii)少なくとも1つの食品用加工デンプン、グルコースシロップおよびスクロースを含むマトリックスと、
(iii)水溶性酸化防止剤と
を含み、前記顆粒が、以下の粒径分布:
200〜300μmの範囲のD[3,2]、および220〜320μmの範囲のD[v,0.5]
を有し、全てのD値が、フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折により測定したときの値であり、前記粉砕カロテノイドが前記マトリックスにより封入されている、使用。
【請求項2】
前記粉砕カロテノイドの量、前記食品用加工デンプンの量、前記グルコースシロップの量、前記スクロースの量および前記水溶性酸化防止剤の量が合わせて、前記顆粒の全重量の少なくとも90重量%である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記粉砕カロテノイドの量、前記食品用加工デンプンの量、前記グルコースシロップの量、前記スクロースの量および前記水溶性酸化防止剤の量が合わせて、前記顆粒の全重量の少なくとも95重量%である、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記飲料が、2〜5の範囲のpHを有するソフトドリンクである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記顆粒が、以下の粒径分布:
230〜270μmの範囲のD[3,2]、および240〜290μmの範囲のD[v,0.5]
を有し、全てのD値が、フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折により測定したときの値である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記粉砕カロテノイドが、以下の粒径分布:
0.8〜1.2μm(好ましくは、0.8〜1.1μm)の範囲のD[3,2]、および1.1〜2.6μm(好ましくは、1.1〜2.1μm)の範囲のD[v,0.5]
を有し、全てのD値が、フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折により測定したときの値である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
顆粒であって、
(i)以下の粒径分布:
0.6〜1.5μmの範囲のD[3,2]、および1.1〜3.5μmの範囲のD[v,0.5]
を有する、ルテインおよびゼアキサンチンならびにこれらの任意の混合物からなる群から選択される粉砕カロテノイドと、
(ii)少なくとも1つの食品用加工デンプン、グルコースシロップおよびスクロースを含むマトリックスと、
(iii)水溶性酸化防止剤と
を含み、前記顆粒が、以下の粒径分布:
200〜300μmの範囲のD[3,2]、および220〜320μmの範囲のD[v,0.5]
を有し、全てのD値が、フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折により測定したときの値であり、前記粉砕カロテノイドが前記マトリックスにより封入されている、顆粒。
【請求項8】
請求項7に記載の顆粒であって、前記粉砕カロテノイドの量、前記食品用加工デンプンの量、前記グルコースシロップの量、前記スクロースの量および前記水溶性酸化防止剤の量が合わせて、前記顆粒の全重量の少なくとも90重量%である、顆粒。
【請求項9】
請求項7または8に記載の顆粒であって、前記粉砕カロテノイドの量、前記食品用加工デンプンの量、前記グルコースシロップの量、前記スクロースの量および前記水溶性酸化防止剤の量が合わせて、前記顆粒の全重量の少なくとも95重量%である、顆粒。
【請求項10】
キログラム単位の食品用加工デンプンの量が、キログラム単位のグルコースシロップおよび前記スクロースの総量と同一である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の顆粒。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか一項に記載の顆粒であって、前記顆粒が、以下の粒径分布:
230〜270μmの範囲のD[3,2]、および240〜290μmの範囲のD[v,0.5]
を有し、全てのD値が、フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折により測定したときの値である、顆粒。
【請求項12】
前記粉砕カロテノイドが、以下の粒径分布:
0.8〜1.2μm(好ましくは、0.8〜1.1μm)の範囲のD[3,2]、および1.1〜2.6μm(好ましくは、1.1〜2.1μm)の範囲のD[v,0.5]
を有し、全てのD値が、フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折により測定したときの値である、請求項7〜11のいずれか一項に記載の顆粒。
【請求項13】
請求項7〜12のいずれか一項に記載の顆粒であって、前記顆粒中の粉砕カロテノイドの量が、前記顆粒の全重量に基づいて、1〜30重量%の範囲、より好ましくは5〜25重量%の範囲、更により好ましくは5〜17重量%の範囲、最も好ましくは10〜17重量%の範囲である、顆粒。
【請求項14】
請求項7〜13のいずれか一項に記載の顆粒であって、前記食品用加工デンプンの量が、前記顆粒の全重量に基づいて、10〜50重量%の範囲、より好ましくは25〜45重量%の範囲である、顆粒。
【請求項15】
請求項7〜14のいずれか一項に記載の顆粒であって、前記グルコースシロップの量が、前記顆粒の全重量に基づいて、5〜40重量%の範囲、より好ましくは10〜30重量%の範囲、最も好ましくは15〜25重量%の範囲である、顆粒。
【請求項16】
請求項7〜15のいずれか一項に記載の顆粒であって、前記スクロースの量が、前記顆粒の全重量に基づいて、5〜40重量%の範囲、より好ましくは10〜30重量%の範囲、最も好ましくは15〜25重量%の範囲である、顆粒。
【請求項17】
請求項7〜16のいずれか一項に記載の顆粒であって、前記水溶性酸化防止剤の量が、前記顆粒の全重量に基づいて、0.1〜10重量%の範囲、より好ましくは2〜7重量%の範囲、最も好ましくは4〜6重量%の範囲である、顆粒。
【請求項18】
請求項7〜17のいずれか一項に記載の顆粒であって、前記顆粒が、直径5mmのオリフィスを通る少なくとも100g/分の流動性を有する、顆粒。
【請求項19】
請求項7〜18のいずれか一項に記載の顆粒であって、前記顆粒が、以下の化合物:加水分解レシチン産物、アラビアガム、脂溶性酸化防止剤、イソマルト、α−ゼアカロテンおよびβ−ゼアカロテンをいずれも含まない、顆粒。
【請求項20】
請求項7〜19のいずれか一項に記載の顆粒を含む飲料。
【請求項21】
2〜5の範囲のpHを有するソフトドリンクである、請求項20に記載の飲料。
【請求項22】
60日間にわたって1以下の色安定性DEを有する、請求項20または21に記載の飲料。
【請求項23】
150NTU以下の濁度を有する、請求項20〜22のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項24】
請求項7〜19のいずれか一項に記載の顆粒を製造するためのプロセスであって、以下のステップ:
a)少なくとも1つの食品用加工デンプン、グルコースシロップおよびスクロースの水溶液を提供するステップと、
b)ステップa)の前記溶液に、ルテインおよびゼアキサンチンならびにこれらの任意の混合物からなる群から選択されるカロテノイドを添加し、それにより懸濁液を得るステップと、
c)前記粉砕カロテノイドの以下の粒径分布:
0.6〜1.5μmの範囲のD[3,2]、および1.1〜3.5μmの範囲のD[v,0.5]
が達成されるまで、ステップb)の前記懸濁液を粉砕するステップであって、前記D値はいずれも、フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折(Malvern Instruments Ltd,Malvern,UK,Mastersizer 3000)により測定したときの値である、ステップと、
d)ステップc)の前記懸濁液を噴霧顆粒化して、本発明に従う顆粒を得るステップと
を含み、前記プロセスの間に、水溶性酸化防止剤(好ましくは、アスコルビン酸ナトリウム)が添加される、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の概要]
本発明は、飲料中での顆粒の使用に関し、ここで、顆粒は、
(i)以下の粒径分布:
0.6〜1.5μmの範囲のD[3,2]、および1.1〜3.5μmの範囲のD[v,0.5]
を有する、ルテインおよびゼアキサンチンならびにこれらの任意の混合物からなる群から選択される粉砕カロテノイドと、
(ii)少なくとも1つの食品用加工デンプン、グルコースシロップおよびスクロースを含むマトリックスと、
(iii)水溶性酸化防止剤と
を含み、顆粒は、以下の粒径分布:
200〜300μmの範囲のD[3,2]、および220〜320μmの範囲のD[v,0.5]
を有し、全てのD値は、フラウンホーファー(Fraunhofer)散乱モデルに従ってレーザー回折により測定したときの値であり、粉砕カロテノイドはマトリックスにより封入されている。
【0002】
本発明は更に、顆粒自体および飲料自体、ならびにこのような顆粒の製造プロセスに関する。
【0003】
好ましくは、粒径分布は、再分散された顆粒を超音波で処理し、遠心分離した後に測定される。
【0004】
カロテノイドは、ルテインおよびゼアキサンチンならびにこれらの任意の混合物からなる群から選択される。驚くことに、本発明に従う粉砕ルテインの顆粒を含む飲料は、強い黄色を示す。
【0005】
好ましくは、カロテノイドはルテインである。ルテインは、目の健康において重要な役割を果たす。従って、ルテインを含むダイエットサプリメント(特に、錠剤形態)に対する需要だけでなく、ルテインが補充された飲料に対する需要も高まっている。
【0006】
水溶性酸化防止剤は、好ましくは、アスコルビン酸ナトリウムである。
【0007】
好ましくは、粉砕カロテノイドは、以下の粒径分布を有する:
フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折(Malvern Instruments Ltd,Malvern,UK,Mastersizer 3000)により測定したときに、D[3,2]は0.8〜1.2μmの範囲であり、好ましくは、D[3,2]は0.8〜1.1μmの範囲である。
【0008】
フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折(Malvern Instruments Ltd,Malvern,UK,Mastersizer 3000)により測定したときに、D[v,0.5]は好ましくは1.1〜2.6μmの範囲であり、より好ましくは、D[v,0.5]は1.1〜2.1μmの範囲である。
【0009】
顆粒の粒径分布は、好ましくは、以下の通りである:
200〜300μmの範囲(好ましくは、230〜270μmの範囲)のD[3,2]、および220〜320μmの範囲(好ましくは、240〜290μmの範囲)のD[v,0.5]。全てのD値は、フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折(Malvern Instruments Ltd,Malvern,UK,Mastersizer 3000)により測定したときの値である。
【0010】
[発明の詳細な説明]
[本発明に従う飲料]
本発明によると、上記のような優先度(preference)を有する粉砕カロテノイド(特に、ルテイン)の顆粒は、好ましくは、以下の飲料:ソフトドリンク、ならびにフレーバーウォーター、強化水、スポーツドリンク、ミネラルドリンクおよび炭酸飲料を着色および/または強化および/または補充するために使用することができる。フルーツジュースおよびフルーツジュース含有ソフトドリンクも着色され得る。アルコール飲料、インスタント飲料粉末、糖含有飲料、およびノンカロリー甘味料または人工甘味料を含有するダイエット飲料は、本発明の顆粒によって着色および/または強化および/または補充され得る飲料のまた更なる例を示す。このような着色および/または強化および/または補充された飲料も本発明によって包含され、フレーバーウォーター、ソフトドリンクおよびスポーツドリンクが好ましい。
【0011】
ソフトドリンクは低温殺菌されていてもよいし、低温殺菌されていなくてもよい。通常、これらは、2〜5の範囲、好ましくは2.5〜4の範囲、更により好ましくは2.8〜3.6の範囲のpHを有し、すなわち、これらは酸性である。
【0012】
本発明に従う飲料は顆粒を含み、ここで、顆粒は、
(i)以下の粒径分布:
0.6〜1.5μmの範囲のD[3,2]、および1.1〜3.5μmの範囲のD[v,0.5]
を有する、ルテインおよびゼアキサンチンならびにこれらの任意の混合物からなる群から選択される粉砕カロテノイドと、
(ii)少なくとも1つの食品用加工デンプン、グルコースシロップおよびスクロースを含むマトリックスと、
(iii)水溶性酸化防止剤と
を含み、顆粒は、以下の粒径分布:
200〜300μmの範囲のD[3,2]、および220〜320μmの範囲のD[v,0.5]
を有し、全てのD値は、フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折により測定したときの値である。
【0013】
[飲料中の粉砕カロテノイドの量]
好ましくは、飲料中の粉砕カロテノイド(上記のような優先度を有する)の量は、飲料の全重量に基づいて、1ppm〜20ppmの範囲であり、より好ましくは、1ppm〜15ppmの範囲であり、最も好ましくは、1ppm〜10ppmの範囲である。粉砕カロテノイドは、本発明に従う顆粒の形態で飲料に添加される。
【0014】
本発明に従う顆粒は、より詳細にこれから説明される。
【0015】
[本発明に従う顆粒]
本発明は、
(i)以下の粒径分布:
0.6〜1.5μmの範囲のD[3,2]、および1.1〜3.5μmの範囲のD[v,0.5]
を有する、ルテインおよびゼアキサンチンならびにこれらの任意の混合物からなる群から選択される粉砕カロテノイドと、
(ii)少なくとも1つの食品用加工デンプン、グルコースシロップおよびスクロースを含むマトリックスと、
(iii)水溶性酸化防止剤と
を含む顆粒に関し、ここで、顆粒は、以下の粒径分布:
200〜300μmの範囲のD[3,2]、および220〜320μmの範囲のD[v,0.5]
を有し、全てのD値は、フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折により測定したときの値である。
【0016】
粒径分布の優先度は既に上記に示されている。
【0017】
[カロテノイド]
カロテノイドは、ルテインおよびゼアキサンチンならびにこれらの任意の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、カロテノイドはルテインである。
【0018】
[ルテイン]
出発材料として、最も好ましくは、50〜80重量%のルテイン含量を有する、Kemin Foods(US)から入手可能ないわゆる「ルテインケーキ」が使用される。このルテインケーキは、マリーゴールドの花を抽出することによって得られる。ルテインケーキはゼアキサンチンも含有し、ルテイン対ゼアキサンチンのモル比は約9:1である。任意の他の天然源から、または発酵によって、または化学合成によって得られるルテインも使用され得る。
【0019】
天然源から抽出されたルテインは、多くの場合、特定の量のゼアキサンチンも含有する。
【0020】
本発明の好ましい実施形態では、ルテインおよび/またはゼアキサンチンを除いて他のカロテノイドは全く存在しない。出発材料、例えば「ルテインケーキ」中に既に微量で存在し得るカロテノイドは、この除外に含まれない。
【0021】
[カロテノイドの量]
カロテノイドの量は、顆粒の全重量に基づいて、好ましくは1〜30重量%の範囲、より好ましくは5〜25重量%の範囲、更により好ましくは5〜17重量%の範囲、最も好ましくは10〜17重量%の範囲である。
【0022】
カロテノイドがルテインおよびゼアキサンチンの混合物である場合、そのモル比は好ましくは20:1〜2:1の範囲であり、より好ましくは、そのモル比は10:1〜4:1の範囲である。
【0023】
[「食品用加工デンプン」]
食品用加工デンプンは、親水性部分および親油性部分を提供する化学構造を有するように既知の方法によって化学的に加工された食品用デンプンである。好ましくは、食品用加工デンプンは、その構造の一部として長い炭化水素鎖(好ましくは、C5〜C18)を有する。
【0024】
好ましくは、本発明の顆粒を作るために1つの食品用加工デンプンが使用されるが、2つ以上の異なる食品用加工デンプンの混合物を使用することも可能である。
【0025】
デンプンは親水性であり、従って、乳化力を有さない。しかしながら、食品用加工デンプンは、既知の化学的方法によって疎水性部分で置換されたデンプンから作られる。例えば、デンプンは、炭化水素鎖で置換された無水コハク酸などの環状ジカルボン酸無水物によって処理され得る(O.B.Wurzburg(編),“Modified Starches:Properties and Uses,CRC Press,Inc.Boca Raton,Florida,1986、および続版を参照)。本発明の特に好ましい食品用加工デンプンは、以下の式(I)
【化1】

を有し、式中、Stはデンプンであり、Rはアルキレンラジカルであり、R’は疎水性基である。好ましくは、Rは、ジメチレンまたはトリメチレンなどの低級アルキレンラジカルである。R’は、好ましくは5〜18個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基であり得る。式(I)の好ましい化合物は、「OSA−デンプン」(オクテニルコハク酸デンプンナトリウム)である。置換度、すなわち、非エステル化遊離ヒドロキシル基の数に対するエステル化ヒドロキシル基の数は、通常、0.1%〜10%の範囲、好ましくは0.5%〜4%の範囲、より好ましくは3%〜4%の範囲で異なる。
【0026】
「OSA−デンプン」という用語は、オクテニルコハク酸無水物(OSA)で処理された任意のデンプン(コーン、ワクシーメイズ、ワクシーコーン、小麦、タピオカおよびジャガイモなどの任意の天然源からのもの、あるいは合成されたもの)を示す。置換度、すなわち、非エステル化遊離ヒドロキシル基の数に対するOSAでエステル化されたヒドロキシル基の数は、通常、0.1%〜10%の範囲、好ましくは0.5%〜4%の範囲、より好ましくは3%〜4%の範囲で異なる。OSA−デンプンは、「食品用加工デンプン」という語句でも知られている。
【0027】
「OSA−デンプン」という用語は、例えば、商品名HiCap 100、Capsul(オクテニルブタン二酸アミロデキストリン)、Capsul HS、Purity Gum 2000、Clear Gum Co03、UNI−PURE、HYLON VIIでNational Starch/lngredionから;それぞれ、National Starch/lngredionおよびRoquette Freresから;商品名CEmCapでCereStar/Cargillから、またはTate&Lyleから市販されているようなデンプンも包含する。
【0028】
[食品用加工デンプン/OSAデンプンの量]
食品用加工デンプン(好ましくは、OSAデンプン)の量は、顆粒の全重量に基づいて、好ましくは10〜50重量%の範囲、より好ましくは25〜45重量%の範囲である。
【0029】
[グルコースシロップ]
グルコースシロップは、そのままで使用することもできるし、あるいは乾燥形態で使用することもできる。いずれも、市販のデンプン加水分解物、すなわち、単糖、オリゴ糖および多糖の混合物である。本発明によると、好ましくは、乾燥グルコースシロップが使用される。乾燥グルコースシロップについて示される優先度は、非乾燥グルコースシロップにも当てはまる。
【0030】
「デキストロース当量」(DE)という用語は加水分解度を示し、乾燥重量に基づいてD−グルコースとして計算される還元糖の量の尺度であり、スケールは、DEが0に近い天然デンプンと、DEが100であるグルコースとを基準とする。
【0031】
乾燥グルコースシロップは、非乾燥グルコースシロップと同様に、通常、20よりも高いそのDE価によって分類される。本発明によると、好ましくは、20〜95の範囲、より好ましくは20〜30の範囲、最も好ましくは20〜23の範囲のDEを有する乾燥グルコースシロップが使用される。
【0032】
本発明の別の実施形態では、2つのグルコースシロップの混合物が使用され、一方は、低いDE、好ましくは25以下のDE、より好ましくは20〜25の範囲のDEを有し、他方は、高いDE、好ましくは90以上のDE、より好ましくは90〜100の範囲のDEを有する。
【0033】
[乾燥グルコースシロップの量]
乾燥グルコースシロップの量は、製剤の全重量に基づいて、0.1〜40重量%の範囲、好ましくは5〜40重量%の範囲、より好ましくは10〜30重量%の範囲、最も好ましくは15〜25重量%の範囲である。
【0034】
非乾燥グルコースシロップが使用される場合、同じ量で使用される。
【0035】
[スクロース(=サッカロース)]
本発明の好ましい実施形態では、食品用加工デンプン対乾燥グルコースシロップ対スクロースの重量比は、(1.5〜2.5)対(0.5〜1.5)対(0.5〜1.5)であり、より好ましくは、(1.8〜2.2)対(0.8〜1.2)対(0.8〜1.2)であり、最も好ましくは、2対1対1である。
【0036】
[スクロースの量]
スクロースの量は、顆粒の全重量に基づいて、好ましくは5〜40重量%の範囲であり、より好ましくは10〜30重量%の範囲であり、最も好ましくは15〜25重量%の範囲である。
【0037】
本発明の好ましい実施形態では、乾燥グルコースシロップの量およびスクロースの量は、キログラム単位で同一である。本発明の更に好ましい実施形態では、キログラム単位の食品用加工デンプンの量は、キログラム単位の乾燥グルコースシロップおよびスクロースの総量と同じ量である。
【0038】
[水溶性酸化防止剤]
好ましくは、水溶性酸化防止剤はアスコルビン酸ナトリウムであるが、食品グレードであり、従って人が消費するのに適している他の水溶性酸化防止剤も使用され得る。
【0039】
[水溶性酸化防止剤の量]
水溶性酸化防止剤(特に、アスコルビン酸ナトリウム)の量は、顆粒の全重量に基づいて、好ましくは0.1〜10重量%の範囲、より好ましくは2〜7重量%の範囲、最も好ましくは4〜6重量%の範囲である。
【0040】
また本発明の顆粒は、顆粒の全重量に基づいて、最大で7重量%までの水を含有していてもよく、好ましくは、最大で5重量%までの水を含有する。
【0041】
本発明の好ましい実施形態では、粉砕カロテノイドの量、少なくとも1つの食品用加工デンプンの量、グルコースシロップの量、スクロースの量および水溶性酸化防止剤(好ましくは、アスコルビン酸ナトリウム)の量は合計して、好ましくは、顆粒の全重量に基づいて、最大で少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%までの量である。
【0042】
本発明の更により好ましい実施形態では、顆粒は、粉砕カロテノイド、少なくとも1つの食品用加工デンプン、グルコースシロップ、スクロース、水溶性酸化防止剤(好ましくは、アスコルビン酸ナトリウム)および水からなる。
【0043】
本発明の更に好ましい実施形態では、50〜80重量%のルテイン含量を有するルテインケーキが使用され、ルテインケーキ対マトリックス(食品用加工デンプン+乾燥グルコースシロップ+スクロースの量からなる)の重量比は、1:(4〜6)、好ましくは1:(4.8〜5.5)、より好ましくは1対(5〜5.3)である。
【0044】
本発明の別の好ましい実施形態では、50〜80重量%のルテイン含量を有するルテインケーキが使用され、ルテインケーキ対食品用加工デンプンの重量比は、1対(1.5〜4)、好ましくは1対(2〜3)、より好ましくは1対(2.5〜2.7)である。
【0045】
本発明の更に好ましい実施形態では、50〜80重量%のルテイン含量を有するルテインケーキが使用され、ルテインケーキ対乾燥グルコースシロップの重量比は、1対(0.5〜2)、好ましくは1対(1.0〜1.5)、より好ましくは1対(1.25〜1.35)である。
【0046】
本発明の更に好ましい実施形態では、50〜80重量%のルテイン含量を有するルテインケーキが使用され、ルテインケーキ対スクロースの重量比は、1対(0.5〜2)、好ましくは1対(1.0〜1.5)、より好ましくは1対(1.25〜1.35)である。
【0047】
好ましくは、他の化合物は全く存在しない。好ましくは、更なる親水コロイド(食品用加工デンプンの他に)および更なる乳化剤は全く存在しない。
【0048】
存在しないのが好ましい化合物は以下のものである:
− 加水分解レシチン産物、特に、国際公開第2009/071295号パンフレットの5頁、5〜19行目において開示されるもの;
− アカシアガム;例えば、国際公開第2007/009601号パンフレットに開示されるようなアラビアガム;また国際公開第2008/110225号パンフレットに開示されるように修飾される;
− 例えば、国際公開第2009/147158号パンフレットに開示されるようなガティガム;
− ゼラチン(魚、ブタ、ウシのゼラチン)などのタンパク質;
− 例えば、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体;
− 植物タンパク質;
− 乳タンパク質;
− リグニンスルホナート;
− 植物ガムおよび食品用加工デンプンの結合体、特に、国際公開第2011/039336号パンフレットに開示されるもの;
− ラウリル硫酸ナトリウムおよび他のアルキル硫酸ナトリウム;
− 例えば、dl−α−トコフェロールなどの脂溶性酸化防止剤;
− 例えば、米国特許出願公開第2008/0026124号明細書のプロセスで使用されるようなイソマルト;
− α−ゼアカロテン;
− β−ゼアカロテン。
【0049】
本発明の特に好ましい実施形態では、以下の化合物はどれも顆粒中に存在しない:
− 加水分解レシチン産物、特に、国際公開第2009/071295号パンフレットの5頁、5〜19行目において開示されるもの;
− 例えば、国際公開第2007/009601号パンフレットに開示されるようなアラビアガム;
− 例えば、dl−α−トコフェロールなどの脂溶性酸化防止剤;
− 例えば、米国特許出願公開第2008/0026124号明細書のプロセスで使用されるようなイソマルト;
− α−ゼアカロテン;
− β−ゼアカロテン。
【0050】
好ましい実施形態では、本発明の顆粒は油を含有しない。顆粒中に存在し得る任意の親油性物質は、ルテインの供給源として使用されるルテインケーキの一部であるため、「油」という用語はこれらを包含しない。
【0051】
本発明との関連での「油」という用語は、グリセロールおよび任意のトリグリセリド、例えば、コーン油、ヒマワリ油、大豆油、ベニバナ油、菜種油、ピーナッツ油、パーム油、パーム核油、綿実油、オリーブ油もしくはココナッツ油のような植物油または脂肪、またはMCT(中鎖トリグリセリド)、およびこれらの任意の混合物を包含する。
【0052】
油は、任意の起源に由来し得る。油は、天然油、変性油または合成油であり得る。本発明との関連での「油」という用語は、従って、キャノーラ油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アーモンド油、カシュー油、マカダミア油、モンゴンゴナッツ油、プラカキシ(pracaxi)油、ピーカン油、松の実油、ピスタチオ油、サチャインチ(sacha Inchi)(プルケネティア・ボルビリス(Plukenetia volubilis))油またはクルミ油も包含する。
【0053】
また本発明には、本特許出願において言及される粉砕カロテノイドの任意の好ましい特徴と、食品用加工デンプン、グルコースシロップ、スクロース、水溶性酸化防止剤の任意の好ましい特徴との任意の組み合わせも包含され、そしてまたこれらの好ましい重量比、および本特許出願において言及される顆粒の任意選択的な他の成分も、明確に言及されていなくても包含される。
【0054】
従って、本発明の好ましい実施形態の任意の組み合わせは、明確に言及されていなくても本発明によって包含される。
【0055】
本発明の好ましい顆粒は、1〜30重量%(好ましくは、5〜25重量%)の範囲の量の粉砕カロテノイドと、10〜50重量%(好ましくは、25〜45重量%)の範囲の量の少なくとも1つの食品用加工デンプンと、0.1〜40重量%(好ましくは、10〜30重量%)の範囲の量のグルコースシロップと、0.1〜40重量%(好ましくは、10〜30重量%)の範囲の量のスクロースと、0.1〜10重量%(好ましくは、2〜7重量%)の範囲の量の少なくとも1つの水溶性酸化防止剤(好ましくは、アスコルビン酸ナトリウム)と、0〜7重量%の量の水とを含む顆粒であり、全ての量は、顆粒の総量に基づいており、ここで、カロテノイドは、ルテインおよびゼアキサンチンならびにこれらの任意の混合物からなる群から選択され、粉砕カロテノイドは、以下の粒径分布:
0.6〜1.5μmの範囲のD[3,2]、および1.1〜3.5μmの範囲のD[v,0.5]
を有し、顆粒は、以下の粒径分布:
200〜300μmの範囲のD[3,2]、および220〜320μmの範囲のD[v,0.5]
を有し、全てのD値は、フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折により測定したときの値であり、粉砕カロテノイドは、マトリックスにより封入されている。
【0056】
本発明の製剤の化合物(粉砕カロテノイド、食品用加工デンプン、グルコースシロップ、スクロース、水溶性酸化防止剤および水)の更なる優先度は、既に上記に示されている。
【0057】
[本発明に従う顆粒の製造プロセス]
本発明に従う顆粒は、以下のプロセス:
a)少なくとも1つの食品用加工デンプン、グルコースシロップおよびスクロースの水溶液を提供するステップと、
b)ステップa)の溶液に、ルテインおよびゼアキサンチンならびにこれらの任意の混合物からなる群から選択されるカロテノイドを添加し、それにより懸濁液を得るステップと、
c)粉砕カロテノイドの以下の粒径分布:
0.6〜1.5μmの範囲のD[3,2]、および1.1〜3.5μmの範囲のD[v,0.5](D値はいずれも、フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折(Malvern Instruments Ltd,Malvern,UK,Mastersizer 3000)により測定したときの値である)
が達成されるまで、ステップb)の懸濁液を粉砕するステップと、
d)ステップc)の懸濁液を噴霧顆粒化して、本発明に従う顆粒を得るステップと
に従って得られ、このプロセスの間に、水溶性酸化防止剤(好ましくは、アスコルビン酸ナトリウム)が添加される。
【0058】
任意選択的に、ステップc)の後に、2.5〜4.0の範囲(好ましくは、2.9〜3.5の範囲)のpHへのpH調整が実行されてもよい。本発明の好ましい実施形態では、このpH調整ステップが実行される。
【0059】
このプロセスにより、好ましくは、以下の粒径分布:
200〜300μmの範囲(好ましくは、230〜270μmの範囲)のD[3,2]、220〜320μmの範囲(好ましくは、240〜290μmの範囲)のD[v,0.5](D値はいずれも、フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折(Malvern Instruments Ltd,Malvern,UK,Mastersizer 3000)により測定したときの値である)
を有する顆粒が得られる。
【0060】
本発明の好ましい実施形態では、ステップd)は、流動床顆粒化によりステップc)で得られた懸濁液を乾燥させることによって実行される。
【0061】
[本発明の顆粒および飲料の利点]
本発明の顆粒は優れた流動性を有し、従って、容易に飲料に添加することができる。
【0062】
本発明の顆粒は、特に、直径5mmのオリフィスを通る少なくとも100g/分の流動性、および/または直径7mmのオリフィスを通る少なくとも250g/分の流動性、および/または直径9mmのオリフィスを通る少なくとも500g/分の流動性、および/または直径10mmのオリフィスを通る少なくとも700g/分の流動性、および/または直径15mmのオリフィスを通る少なくとも2000g/分の流動性を示す。
【0063】
好ましい実施形態では、本発明の顆粒は、直径5mmのオリフィスを通る100g/分〜150g/分の範囲の流動性、および/または直径7mmのオリフィスを通る250g/分〜350g/分の範囲の流動性、および/または直径9mmのオリフィスを通る500g/分〜750g/分の範囲の流動性、および/または直径10mmのオリフィスを通る700g/分〜850g/分の範囲の流動性、および/または直径15mmのオリフィスを通る2000g/分〜3000g/分の範囲の流動性を示す。
【0064】
有利なことに、本発明に従う顆粒を含有する飲料は色安定性でもある。このような飲料は、特に、2〜5の範囲のpHを有するソフトドリンクであり、ここで、ソフトドリンクは、低温殺菌されていてもよいし、低温殺菌されていなくてもよい。
【0065】
本発明との関連での「色安定性」は、初期の色と、3か月の貯蔵時間後の色との間の色差DEが10よりも小さくなければならない(DE<10)ことを意味する。DE<10は色差が許容可能な領域にあることを意味し、DE<3では、肉眼で、すなわち比色計などの装置を使用しないと色差は見ることができない。
【0066】
本発明に従う顆粒を含有する飲料、特にソフトドリンクは、60日間にわたって色差DE≦1を示す。
【0067】
本発明に従う顆粒を含む本発明に従う飲料、特に低温殺菌および非低温殺菌ソフトドリンクは、150NTU以下の濁度、好ましくは100〜150NTUの範囲の濁度を示す。最大で60日までの貯蔵時間後でも、濁度は依然としてこの範囲内にある。更に、このようなソフトドリンクは良好な化学安定性を示し、ルテインの含量が、60日の貯蔵時間以内に初期値の80%未満に低下しないことが意味される。
【0068】
また本発明に従う飲料、特に低温殺菌および非低温殺菌ソフトドリンクは、その外観属性に関しても非常に良好な性能を示す。これは、飲料中のカロテノイドのリンギング(ringing)および沈殿/沈降がどちらも(ほとんど)全く起こらないことを意味する。
【0069】
10ppmのルテインを含むこのような低温殺菌および非低温殺菌ソフトドリンは、85〜95の範囲の色値L、3.0〜5.5の範囲のa値、および25〜40の範囲のb値を示す。好ましくは、10ppmのルテインを含むこのような低温殺菌および非低温殺菌ソフトドリンクは、88〜91の範囲の色値L、3.5〜5.2の範囲のa値、および29〜37の範囲のb値を示す。より好ましくは、10ppmのルテインを含むこのような低温殺菌および非低温殺菌ソフトドリンクは、88.6〜90.3の範囲の色値L、3.7〜5.0の範囲のa値、および29.4〜36.6の範囲のb値を示す。
【0070】
本発明はこれから、以下の非限定的な実施例において更に説明される。
【0071】
[実施例]
以下の略語が使用される:RH=室内湿度。
【0072】
[実施例1:本発明に従うルテインおよびゼアキサンチンの顆粒の製造]
72℃で少なくとも30分間予熱した440lの水中に、150kgのOSA−デンプン、75kgの乾燥グルコースシロップおよび75kgのスクロースを溶解させる(マトリックス)。次に、36℃〜20℃の間の温度において、60kgのFloraGloルテイン結晶(Kemin Foods,Des Moines,USから入手可能)を攪拌下でマトリックスに添加する。得られた懸濁液を3.5のpHにpH調整した後、得られたpH調整懸濁液を粉砕ビーズ(直径0.3mm)に添加し、数回の通過で粉砕を行う。得られた懸濁液に18kgのアスコルビン酸ナトリウムを添加する。次に、水を添加し、噴霧乾燥顆粒化を開始する。275kgの顆粒が得られる。
【0073】
[実施例2:本発明に従うルテインおよびゼアキサンチンの顆粒の製造]
72℃で少なくとも30分間予熱した480lの水中に、160kgのOSA−デンプン、80kgの乾燥グルコースシロップおよび80kgのスクロースを溶解させる(マトリックス)。次に、36℃〜29℃の間の温度において、60kgのFloraGloルテイン結晶(Kemin Foods,Des Moines,USから入手可能)を攪拌下でマトリックスに添加する。得られた懸濁液を2.9のpHにpH調整した後、得られたpH調整懸濁液を粉砕ビーズ(直径0.3mm)に添加し、数回の通過で粉砕を行う。得られた懸濁液に20kgのアスコルビン酸ナトリウムを添加する。次に、水を添加し、噴霧乾燥顆粒化を開始する。305kgの顆粒が得られる。
【0074】
[実施例3:本発明に従うルテインおよびゼアキサンチンの顆粒の製造]
72℃で少なくとも30分間予熱した480lの水中に、160kgのOSA−デンプン、80kgの乾燥グルコースシロップおよび80kgのスクロースを溶解させる(マトリックス)。次に、39℃〜21℃の間の温度において、60kgのFloraGloルテイン結晶(Kemin Foods,Des Moines,USから入手可能)を攪拌下でマトリックスに添加する。得られた懸濁液を3.03のpHにpH調整した後、得られたpH調整懸濁液を粉砕ビーズ(直径0.3mm)に添加し、数回の通過で粉砕を行う。得られた懸濁液に18kgのアスコルビン酸ナトリウムを添加する。次に、水を添加し、噴霧乾燥顆粒化を開始する。330kgの顆粒が得られる。
【0075】
[粒径の測定]
本発明の固体粒子の全ての粒径は、Malvern Instruments Ltd.,UKの「Mastersizer 3000」を用いるレーザー回折技術によって決定される。この粒径キャラクタリゼーション方法についての更なる情報は、例えば、“Basic principles of particle size analytics”,Dr.Alan Rawle,Malvern Instruments Limited,Enigma Business Part,Grovewood Road,Malvern,Worcestershire,WR14 1XZ,UK、および“Manual of Malvern particle size analyzer”において見出すことができる。ユーザーマニュアルナンバーMAN 0096,Issue 1.0,Nov.1994が特に参照される。
【0076】
[粒径分布の測定]
粒径分布は、実施例1、2および3の再分散させた顆粒をそれぞれ超音波で処理し、遠心分離した後に測定した。
【0077】
[流動性]
実施例1〜3に従って製造された3つの顆粒は全て優れた流動性を示した(以下の表1を参照)。
【0078】
【表1】
【0079】
[密度]
以下の表2から分かるように、3つの実施例は全てかさ密度およびタップ密度が高い。
【0080】
【表2】
【0081】
[飲料]
本発明によると、上記のような粒径を有し、かつ実施例1、2または3に従って製造された「ルテインSG−VG形態」(SG=噴霧顆粒化、VG=植物)は、好ましくは、以下の飲料:ソフトドリンク、ならびにフレーバーウォーター、強化水、スポーツドリンク、ミネラルドリンクおよび炭酸飲料を着色するために使用することができる。フルーツジュースおよびフルーツジュース含有ソフトドリンクも着色され得る。アルコール飲料、インスタント飲料粉末、糖含有飲料、およびノンカロリー甘味料または人工甘味料を含有するダイエット飲料は、本発明のルテイン顆粒によって着色され得る飲料のまた更なる例を示す。
【0082】
[ソフトドリンク用途]
ソフトドリンクは、以下の組成を有する。
【0083】
【表3】
【0084】
ソフトドリンクは、以下のように調製される:
ソルビン酸カリウム1)を水中に溶解し、混合物を穏やかに攪拌しながら、他の成分2)を順次添加する。次に、得られたソフトドリンクシロップを、1000mlのソフトドリンクをもたらすような量の飲料水で希釈する。ソフトドリンクのpHは、2.8〜3.5の範囲である。
【0085】
次に、ソフトドリンクをガラスボトルに充填し、ボトルを金属キャップで密封する。トンネル低温殺菌装置(Miele、スイス)を用いて、ボトルを80℃で約3分間低温殺菌する。飲料調製の直後に色の測定を実施する(時間=0)。
【0086】
[色測定]
食品における適用のための色測定は、ヒトの目による色の精神物理的認知に従って色値を表す比色計(Hunter Lab Ultra Scan Pro)を用いて実施される。色測定は、CIEガイドライン(Commission International d’Eclairage)に従って実行される。値は、平面座標Lのいずれかで表すことができ、Lは明度の測定値であり、aは赤−緑−軸上の値であり、bは黄−青−軸上の値である。
【0087】
[機器の設定:]
カラースケール:CIE L/L
光源の定義:D65昼光等価物
ジオメトリ:拡散/8°
波長:5nmの光学的分解能における走査350〜1050nm
サンプル測定領域直径:19mm(大)
較正モード:透過/白色タイル
【0088】
飽和度とも呼ばれることもある彩度(C)は、以下のように算出され得る色の鮮やかさまたは鈍さを説明する:
=√(a2+b2)
【0089】
色相(h)と呼ばれる角度は物体の色がどのように認知されるかを説明し、以下のように算出することができる:
h=tan(b/a)(−1)
【0090】
色差DEは、以下のように算出される:
【数1】
【0091】
[色安定性:]
DE<3 =ヒトの目には見えない
DE>3〜10=ヒトの目に見えるが、許容可能である
DE>10 =許容されない
【0092】
[色値]
【0093】
【表4】
【0094】
【表5】
【0095】
【表6】
【0096】
【表7】
【0097】
【表8】
【0098】
【表9】
【0099】
上記の値から分かるように、色は60日間にわたって安定しており、全ての場合にDEは1未満である。
【0100】
[濁度測定]
懸濁された固体(または粒子)は、ジュースを含有する飲料の濁った外観の原因となる。この濁った外観は、濁度測定によって評価することができる。濁度は、このような粒子の光散乱特性:そのサイズ、その形状およびその屈折率に依存する。この研究では、濁度計(Hach 2100N IS(登録商標)、USA)を用いて濁度測定を実行し、濁度値をNTU(比濁濁度単位)で示した。比濁計(Neophelometer)は、サンプルによって入射光路から90°散乱された光を測定する。
【0101】
表9は、非低温殺菌ソフトドリンクの濁度について得られた結果を示す。
【0102】
【表10】
【0103】
表10は、低温殺菌ソフトドリンクの濁度について得られた結果を示す。
【0104】
【表11】
【0105】
[物理的安定性]
14、30および60日間の貯蔵後に、非低温殺菌および低温殺菌ソフトドリンクをその物理的外観に関して視覚的に評価する。これにより、サンプルがボトルネックにリングを示すかどうか、表面に粒子を示すかどうか、そして白色沈降物を示すかどうかについて、サンプルを視覚的に検査する。以下の注釈の一覧を適用した。
【0106】
[ボトルネックのリング:]
6=リングなし
5=ほとんど目立たないリング
4=認識可能なリング
3=認識可能な明確で細いリング
2=認識可能な強固なリング
1=認識可能な幅広のリング
【0107】
[表面の粒子:]
6=粒子なし
5=1〜10個の粒子
4=10個よりも多い粒子
3=もはや数えられない
2=表面の半分を被覆
1=表面の半分よりも多くを被覆
【0108】
[沈降物:]
6=沈降物なし
5=わずかな無光沢のかけら
4=細かい無光沢の沈降物
3=無光沢の沈降物
2=強固な無光沢の沈降物
1=非常に強固な無光沢の沈降物
【0109】
良好な性能のためには、スコアは3以上でなければならない。
【0110】
表11は、非低温殺菌ソフトドリンクの外観評価について得られた結果を示す。
【0111】
【表12】
【0112】
サンプルはその外観属性に関して非常に良好な性能を示す。
【0113】
表12は、低温殺菌ソフトドリンクの外観評価について得られた結果を示す。
【0114】
【表13】
【0115】
低温殺菌ドリンクにおいても、サンプルはその外観属性に関して非常に良好な性能を示す。
【0116】
【表14】
【0117】
【表15】
【0118】
低温殺菌ソフトドリンクおよび非低温殺菌ソフトドリンクはいずれも、60日間の良好な化学安定性を示した。