特許第6867084号(P6867084)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6867084新規な陽イオン性ポリホスファゼン化合物、ポリホスファゼン−薬物コンジュゲート化合物およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6867084
(24)【登録日】2021年4月12日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】新規な陽イオン性ポリホスファゼン化合物、ポリホスファゼン−薬物コンジュゲート化合物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/59 20170101AFI20210419BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20210419BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20210419BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20210419BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210419BHJP
   C08G 79/025 20160101ALI20210419BHJP
   C08G 81/00 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   A61K47/59
   A61K47/65
   A61K31/337
   A61K31/282
   A61P35/00
   C08G79/025
   C08G81/00
【請求項の数】2
【全頁数】50
(21)【出願番号】特願2019-45513(P2019-45513)
(22)【出願日】2019年3月13日
(62)【分割の表示】特願2016-575280(P2016-575280)の分割
【原出願日】2015年3月13日
(65)【公開番号】特開2019-123878(P2019-123878A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2019年3月13日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0030564
(32)【優先日】2014年3月14日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0034030
(32)【優先日】2015年3月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516275273
【氏名又は名称】シーエヌファーム・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CNPHARM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ソン, ヨン ソ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン, ヨン ジョ
(72)【発明者】
【氏名】アヴァジ, プラカシュ ゴーダ
【審査官】 中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0324490(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0292384(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/016696(WO,A1)
【文献】 特許第6659021(JP,B2)
【文献】 Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2007年,17,2975-2978
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G79/00−79/14,C08G81/00−81/02,A61K6/00−51/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式3で表される線状のポリホスファゼン−薬物コンジュゲート化合物:
[化学式3]
【化1】

前記化学式3において、
nは、3〜300の整数であり、
MPEGは、平均分子量350〜1000のメトキシポリエチレングリコールからOH官能基を除いた残基を示し、
Lは、シスアコニチック無水物のリンカーであり、
Dは、ドセタキセルからOH官能基を除いた残基を示し、
Rは、エチルである。ここで、xとyはそれぞれ、0〜0.5、zは、0より大きくて1.0以下の値を有し、x+y+z=1である。
【請求項2】
下記化学式2で表される線状のポリホスファゼン−薬物コンジュゲート化合物:
[化学式2]
【化2】

前記化学式2において、
nは、3〜300の整数であり、
MPEGは、平均分子量350〜1000のメトキシポリエチレングリコールからOH官能基を除いた残基を示し、
Sは、アミノエタノールにおけるアミノ基及び水酸基からそれぞれ1つのHを除いた残基であり、
Lは、シスアコニチック無水物のリンカーであり、
Dは、[(トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)]からNH官能基を除いた残基を示し、
xとyは0であり、zは1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた癌組織選択性と生体適合性を有する陽イオン性線状ポリホスファゼン薬物伝達体化合物を合成し、これに疎水性抗癌剤を化学的に結合させたコンジュゲート化合物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、臨床で使用されているほとんどの抗癌剤は、分子量が1000未満の低分子量の単量体である。特に、これら単量体の抗癌剤を静脈注射する場合、体内で正常細胞と癌細胞に対する選択性がなくて深刻な毒性と副作用を伴い、薬物が血中にとどまる半減期(1〜2時間)が短くて持続的な治療効果を期待することができず、抗癌剤治療の限界となっている。したがって、最近の抗癌剤の新薬開発において克服すべき最も核心的な技術は、抗癌剤薬物が癌部位に選択的に伝達する癌標的化(tumor targeting)技術と癌部位に到達した薬物が適期に適当な速度で抗癌剤を放出させる放出制御技術である。このような抗癌剤治療の限界を克服しようとする研究努力がここ数十年間世界的に活発に行われてきており、その結果、高分子薬物伝達体を用いることが最も効果的で実用的であることが分かり、最近は高分子治療法(polymer therapy)という新たな分野が誕生するに至った(R.Haag,F.Kratz,Angew.Chem.Int.Ed.45(2006)1198−1215)。
【0003】
これまで薬物伝達体として使用されている高分子は、ほとんどが有機系高分子である。数多くの天然または合成高分子が薬物伝達体として研究/試みられてきたが、実用化の可能性がある高分子は極少数に過ぎなかった。その理由は、高分子物質が特に抗癌剤伝達体として使用されるには、上記で説明された抗癌剤を運搬する薬物伝達体の癌選択性と薬物放出速度のほか、水溶性、生分解性、高分子自体の生体毒性、薬物との相溶性など多様な物性を同時に満足させなければならないからである。
【0004】
本発明者らは、このような状況に対処して、以前から有機系炭素ではない無機系窒素(N)とリン(P)が交互に共役結合で連結されたポリホスファゼン(polyphosphazene)という無機高分子骨格に多様な有機グループを導入することにより、多様な物性の有機/無機ハイブリッド薬物伝達体を設計できることを見出し(Youn Soo Sohn,et al.Macromolecules,1995,28,7566)、ここ10余年間、新たな癌組織選択性高分子型抗癌剤の開発に総力を傾けている。特に、本研究の初期には、多様な分子量の親水性ポリエチレングリコール(PEG:poly(ethylene glycol))と多様な複数形態の疎水性オリゴペプチド(oligopeptide)を導入させて両親媒性ポリホスファゼンを合成することにより、温度感応性など多様な物性を有する知能型薬物伝達体を開発した。このような両親媒性ポリホスファゼンは、温度感応性ミセル、ヒドロゲルなどの多様なナノ構造体を形成するが、疎水性オリゴペプチドによる水に対する溶解度の減少および毒性の発現などの生体適合性に問題が発生することにより実用化に困難があることが分かった。すべての両親媒性高分子は、水溶液で加熱する場合、溶媒の水分子との親和力が低下し、一定温度に至ると高分子が沈殿で離れるが、この時の該温度を低臨界溶液温度(lower critical solution temperature)という。静脈注射用薬物伝達体として使用するには、低臨界溶液温度が体温よりはるかに高ければ(50℃以上)安全であるが、これらの両親媒性ポリホスファゼンは、ほとんど水溶液でこの温度が体温より低く、皮下注射などの局所伝達用抗癌剤伝達体としては好適であるが。静脈注射用薬物伝達体としては使用が不可能であった。
【0005】
一方、代表的な疎水性抗癌剤であるタキサン系抗癌剤、すなわち、パクリタキセルおよびドセタキセルは、現在、臨床で乳癌、卵巣癌、小細胞肺癌など様々な種類の癌に優れた治療効果を示し、最も広く使用される抗癌剤の一つである。しかし、これらのタキサン系抗癌剤は、疎水性が強くて水に対する溶解度(<1μg/ml)が低すぎるため、そのまま注射剤として使用できず、界面活性剤であるポリソルベート80(Polysorbate80)またはクレモフォール(Cremophore EL)とエチルアルコールに製剤されて使用されている。しかし、そのように製剤化されたタキサン系抗癌剤は、溶解剤として使用される界面活性剤とアルコールに起因する神経毒性などの副作用とタキサン系抗癌剤自体の強い毒性のため、その使用が大きく制限されている。
【0006】
したがって、このような問題を解決するために、特にここ10余年間、世界的に多くの研究が多方面で進められているが、なかでも、特に最近は、有機系高分子ミセルなど多様なナノ構造体を用いようとする研究が活発に行われている。特に、親水性ブロックと疎水性ブロックとから構成された両親媒性高分子ミセルの場合、疎水性グループがミセル内部の核をなすため、タキサンのような疎水性薬物をミセルの核の内部に効率的に捕集して可溶化することができる。また、タキサン分子にポリエチレングリコールのような親水性基を直接化学的に結合させて可溶化したコンジュゲート型抗癌剤と、水溶性ポリグルタミン酸にパクリタキセルを結合させた高分子コンジュゲート型抗癌剤など、様々な種類の高分子型抗癌剤が現在臨床試験段階に入っている。
【0007】
このように低分子量の抗癌剤を高分子にコンジュゲーションさせた高分子型予備薬物(prodrug)は、薬物の体内滞留時間を延長し、癌組織の特性と高分子粒子の「向上した透過保全(enhanced permeability and retention(EPR))効果(Maeda H,et al.J.Control.Release65(2000)271−284)」によって癌組織選択性を付与し、薬物放出速度を制御することにより、治療効果を極大化し、また、毒性を画期的に低減することができる点で最も合理的な接近方法として期待されている。これまでの研究報告によれば、高分子ナノ粒子の場合、「向上した透過保全(EPR)効果」によって癌選択性を示すには、高分子粒子の大きさが50〜200nm程度にはならなければならないことが知られている(Torchilin V.P.,J.Control.Release73(2001)137−172)。また、最近、遺伝子伝達体に対する研究によれば、陽イオン性高分子の場合、陰イオンの性質を呈する細胞内で透過効率が大きく向上するという事実が知られている(Gabrielson,N.P.;Park,D.W.J.Control.Release136(2009)54−61)。しかし、現在最も進展した第III相臨床試験中にあるポリグルメックス(poliglumex)は、ポリグルタミン酸にパクリタキセルをエステル結合でコンジュゲーションさせた予備薬物として強い陰イオンを呈しており、パクリタキソールを最大30%まで溶かせる特徴を持っているが、癌組織以外の他の器官により多く蓄積されるという欠点(Wallace S.;Li C.Adv.Drug Deliv.Rev.60(2008)886−898)があって、実用化が遅延されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】R.Haag,F.Kratz,Angew.Chem.Int.Ed.45(2006)1198−1215
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、優れた癌組織選択性を示す新たな陽イオン性ポリホスファゼン系薬物伝達体化合物およびこれらのポリホスファゼン系薬物伝達体化合物に抗癌剤を化学的に結合させたコンジュゲート型化合物、そしてその製造方法を提供することである。
【0010】
本発明者らは、上述した技術的背景の下で、より優れた癌組織選択性を示す抗癌剤薬物伝達体を開発するために努力している間、ポリホスファゼン骨格に、溶解剤として、親水性のポリエチレングリコールと、疎水性抗癌剤を前記高分子に化学結合で連結させることが可能な多重官能基を有するスペーサ(spacer)グループとして、アミノ酸、アミノ酸を含むオリゴペプチド、および線状アミノアルコールからなる群より選択される1種を導入して、新たな薬物伝達用ポリホスファゼン化合物を合成した。このように合成された薬物伝達用ポリホスファゼン化合物は、陽イオン(cation)性と体内残留時間が非常に長い(3日以上)癌組織選択性とを有するという事実を見出した。また、この化合物に、酸性条件で薬物を放出できるリンカー(linker)を用いて疎水性抗癌剤をコンジュゲーションさせることにより、癌組織選択性に優れ、生分解性を有し、癌組織で薬物の調節放出が可能なスマート高分子型コンジュゲート化合物を合成することができた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、下記化学式1で表される線状のポリホスファゼン化合物を提供する。
[化学式1]
【化1】
【0012】
式中、nは、3〜300の整数であり、MPEGは、平均分子量350〜1000のメトキシポリエチレングリコールを示し、Sは、スペーサグループとして、リシン、アルギニン、グルタミン、アスパラギン、チロシン、リシンを含むオリゴペプチド、アルギニンを含むオリゴペプチド、グルタミンを含むオリゴペプチド、アスパラギンを含むオリゴペプチド、チロシンを含むオリゴペプチド、アミノエタノール、アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、およびアミノヘキサノールからなる群より選択される1種であり、lは、0〜0.9であり、mは、0.1〜1であり、l+m=1である。
【0013】
また、本発明は、下記化学式2で表されるポリホスファゼン−薬物コンジュゲート化合物を提供する。
[化学式2]
【化2】
【0014】
式中、nは、3〜300の整数であり、MPEGは、平均分子量350〜1000のメトキシポリエチレングリコールを示し、Sは、スペーサグループとして、リシン、アルギニン、グルタミン、アスパラギン、チロシン、リシンを含むオリゴペプチド、アルギニンを含むオリゴペプチド、グルタミンを含むオリゴペプチド、アスパラギンを含むオリゴペプチド、チロシンを含むオリゴペプチド、アミノエタノール、アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、およびアミノヘキサノールからなる群より選択される1種であり、Lは、前記スペーサグループと前記薬物を化学結合で連結させることが可能なリンカー(linker)を示し、Dは、OHまたはNH官能基を有する薬物であり、xとyはそれぞれ、0〜0.5であり、zは、0より大きくて1.0以下であり、x+y+z=1である。
【0015】
また、本発明は、(a)出発物質の六塩化環状ホスファゼンを熱重合してポリジクロロホスファゼン線状重合体を合成した後、メトキシポリエチレングリコールのナトリウム塩と反応させて、ポリホスファゼン高分子中間体を得るステップと、
(b)前記ポリホスファゼン高分子中間体を、リシンエステル、リシンを含むオリゴペプチドのエステル、アミノエタノール、アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、およびアミノヘキサノールからなる群より選択される1種と反応させて、親水性陽イオン性(cationic)ポリホスファゼン高分子薬物伝達体を製造するステップと、
(c)OHまたはNH官能基を有する薬物を、リンカー(linker)を用いてポリホスファゼン高分子に化学結合で結合させるのに容易な薬物前駆体(precursor)を製造するステップと、
(d)前記(b)ステップのポリホスファゼン高分子薬物伝達体に前記(c)ステップの薬物前駆体(precursor)を導入して、前記化学式2の化合物を得るステップと、を含む前記化学式2の化合物の製造方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、(a)出発物質の六塩化環状ホスファゼンを熱重合してポリジクロロホスファゼン線状重合体を合成した後、メトキシポリエチレングリコールのナトリウム塩と反応させて、ポリホスファゼン高分子中間体を得るステップと、
(b)前記ポリホスファゼン高分子中間体を、スペーサグループである、リシンエステル、リシンを含むオリゴペプチドのエステル、アミノエタノール、アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、およびアミノヘキサノールからなる群より選択される1種と反応させて、親水性陽イオン性(cationic)ポリホスファゼン高分子薬物伝達体を製造するステップと、
(c)前記(b)ステップのポリホスファゼン高分子薬物伝達体のスペーサグループにリンカーを先に結合させるステップと、
(d)前記(c)ステップのポリホスファゼン高分子薬物伝達体のリンカーにOHまたはNH官能基を有する薬物を結合させて、前記化学式2の化合物を得るステップと、を含む前記化学式2の化合物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の線状ポリホスファゼン化合物は、非常に高い癌組織選択性を有する効果がある。また、本発明の線状ポリホスファゼン−薬物コンジュゲート化合物は、従来の有機系高分子を用いたコンジュゲート薬物とは異なり、体内の肝、腎臓などの主要器官には多く積もることなく血液内で長期間循環し、特に、癌組織に選択的に多量蓄積される優れた癌組織選択性を示し、中性の血液や組織では疎水性抗癌剤を放出せず、酸性の(pH=4〜7)癌組織でのみ選択的に毒性の高い抗癌剤を放出することにより、体内で抗癌剤による毒性を画期的に低下させるなど、抗癌剤として優れた物性を有する効果がある。
【0018】
このように、本発明のポリホスファゼン化合物およびポリホスファゼン−薬物コンジュゲート化合物は、実用化の可能性が非常に高い新物質である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施例1のポリホスファゼン化合物の粒度分布を示す図である。(平均直径=3.0nm)
図2図2は、実施例1のポリホスファゼン化合物の陽イオン性を示すゼータ電位の測定結果を示す図である。
図3図3は、実施例14のポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲート化合物の粒度分布を示す図である。(平均直径=60nm)
図4図4は、実施例14のポリホスファゼン−パクリタキセルコンジュゲート化合物のピレン蛍光を用いたミセルの臨界濃度(CMC)の測定結果を示す図である。
図5図5は、実施例20のポリホスファゼン−パクリタキセルコンジュゲート化合物の分子量の変化を示す図である。
図6図6は、(a)A549癌細胞を移植したマウスに、実施例14のポリホスファゼン化合物に蛍光染料のCy5.5で標識した薬物伝達体を血液注射した後、12時間、24時間、48時間、72時間硬化後、各器官を分離して撮ってex vivo NIR蛍光イメージを示す図である。ここで、1は肝、2は肺、3は腎臓、4は脾臓、5は癌組織、6は筋肉を示す。(b)は12時間、24時間、48時間、および72時間に抽出した全体血液(WB)と血漿(PL)のNIR蛍光イメージを示す図である。
図7図7は、実施例14のポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲート化合物を蛍光染料Cy5.5で標識した後、SCC7癌細胞を移植したマウスに注入した後、24時間、48時間後の組織分布を比較した図である。ここで、1は肝、2は肺、3は脾臓、4は腎臓、5は心臓、6は癌組織を示す。
図8図8は、前記図7で実施した組織分布実験から得た各組織の蛍光強度を、薬物で処理されていない対照群マウスの同じ組織の蛍光強度の比率を測定して定量的な組織分布を示す図である。
図9図9は、実施例14のポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲート化合物のSprague−Dawlyラットを用いた薬物動力学実験結果のうち、ドセタキセルの時間に応じたプラズマ濃度プロファイルを示す。
図10図10は、BALB/Cヌードマウスを用いた実施例14のポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲート化合物の胃癌細胞株MKN−28に対する異種移植(xenograft)試験結果である。
図11図11は、前記図10で薬物投与開始から試験終了まで40日間のヌードマウスの体重変化を示す。
図12図12は、A549癌細胞を移植したマウスを用いた実施例14の異種移植(xenograft)抗癌活性に対する実験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の構成および作用をより詳細に説明する。本発明は、以下の説明で具体化されるが、それに限定するものではない。
以下、本発明の構成および作用を詳細に説明する。
【0021】
上記の目的を達成するために、本発明は、下記化学式1で表される線状のポリホスファゼン化合物を提供する。
[化学式1]
【化1】
【0022】
式中、nは、3〜300の整数であり、MPEGは、平均分子量350〜1000のメトキシポリエチレングリコールを示し、Sは、スペーサグループとして、リシン、アルギニン、グルタミン、アスパラギン、チロシン、リシンを含むオリゴペプチド、アルギニンを含むオリゴペプチド、グルタミンを含むオリゴペプチド、アスパラギンを含むオリゴペプチド、チロシンを含むオリゴペプチド、アミノエタノール、アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、およびアミノヘキサノールからなる群より選択される1種であり、lは、0〜0.9であり、mは、0.1〜1であり、l+m=1である。
【0023】
前記本発明のポリホスファゼン化合物は、親水性でかつ、多官能性基(multifunctional group)を保有しているリシンまたはリシンを含む親水性オリゴペプチドと親水性ポリエチレングリコール(PEG)をホスファゼン骨格に導入したもので、従来の両親媒性ポリホスファゼンとは異なり、低臨界溶液温度が100℃以下では観察されない。また、体内血液半減期が画期的に延長されると同時に、高分子の毒性も画期的に改善され、特に驚くべきことは、ポリホスファゼン自体が高い癌組織選択性を示すというのである。このようなポリホスファゼン自体の癌組織選択性はまだ確かではないが、おそらく高分子に結合されているリシンのアミン基によるホスファゼン高分子の陽イオン性とポリエチレングリコールによる血液内での長期循環(long circulation)に起因すると推定される。
【0024】
前記リシンを含む親水性オリゴペプチドの好ましい例として、グリシルリシンが挙げられる。
【0025】
また、本発明は、下記化学式2で表されるポリホスファゼン−薬物コンジュゲート化合物を提供する。
[化学式2]
【化2】
【0026】
式中、nは、3〜300の整数であり、MPEGは、平均分子量350〜1000のメトキシポリエチレングリコールを示し、Sは、スペーサグループとして、リシン、アルギニン、グルタミン、アスパラギン、チロシン、リシンを含むオリゴペプチド、アルギニンを含むオリゴペプチド、グルタミンを含むオリゴペプチド、アスパラギンを含むオリゴペプチド、チロシンを含むオリゴペプチド、アミノエタノール、アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、およびアミノヘキサノールからなる群より選択される1種であり、Lは、前記スペーサグループと前記薬物を化学結合で連結させることが可能なリンカー(linker)を示し、Dは、OHまたはNH官能基を有する薬物であり、xとyはそれぞれ、0〜0.5であり、zは、0より大きくて1.0以下であり、x+y+z=1である。
【0027】
本発明の一実施形態において、
前記Sは、リシンまたはリシンを含むジペプチドあるいはトリペプチドであることが好ましいが、これに限定されない。
【0028】
本発明の他の実施形態において、
前記Sは、アミノエタノールまたはアミノプロパノールであることが好ましいが、これに限定されない。
【0029】
好ましくは、前記薬物は、疎水性抗癌剤である。
【0030】
前記疎水性抗癌剤は、ドセタキセル(docetaxel)、パクリタキセル(paclitaxel)、カンプトテシン(camptothecin)、および[(トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)]からなる群より選択された1種であるとよい。
【0031】
本発明の一実施形態において、
前記化学式2は、下記化学式3〜5のいずれか1つで表される。
[化学式3]
【化3】
[化学式4]
【化4】
前記化学式3および4において、nは、3〜300の整数であり、MPEGは、平均分子量350〜1000のメトキシポリエチレングリコールを示し、Dは、ドセタキセル、パクリタキセル、カンプトテシン(camptothecin)、および[(トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)]からなる群より選択された1種を示し、Rは、C1−6の線状、分枝状または環状アルキル、またはOCHBzである。ここで、xとyはそれぞれ、0〜0.5、zは、0より大きくて1.0以下の値を有し、x+y+z=1であり、
[化学式5]
【化5】
前記化学式5において、nは、3〜300の整数であり、MPEGは、平均分子量350〜1000のメトキシポリエチレングリコールを示し、Dは、ドセタキセル、パクリタキセル、およびカンプトテシンからなる群より選択される1種を示し、R’は、t−BocまたはCBZグループを示し、ここで、xとyはそれぞれ、0〜0.5、zは、0より大きくて1.0以下の値を有し、x+y+z=1である。
以下、各成分を具体的に説明する。
【0032】
[薬物伝達体]
本発明で合成した薬物伝達体ポリホスファゼン化合物は、炭素−炭素結合が骨格をなす有機系高分子とは異なり、無機系元素であるリン(P)と窒素(N)の共役結合が高分子骨格をなし、リン原子に親水性ポリエチレングリコールと抗癌剤薬物を化学的結合させることが可能なスペーサグループとして、リシンまたはリシンを含むオリゴペプチド類または線状アミノアルコールが側鎖に導入された新たな無機/有機ハイブリッド型高分子化合物である。導入されたリシンまたはこれを含有するペプチドは、アミノ酸の固有pKa値に応じてポリホスファゼン高分子体に陽イオン性を付与することができる。この陽イオン性は、スペーサとして導入されたアミノ酸の種類に応じて調節可能である。本発明で使用されたポリエチレングリコールは、分子量300〜2000の範囲のメトキシポリエチレングリコールを使用し、その含有量は0.5〜1.8の比率で導入され、この導入比率は、合成された高分子化合物の溶解度および体内挙動、または加水分解される速度によってその用途に合わせて調節することができる。また、薬物のコンジュゲーション比率によっても変化させることができ、薬物がコンジュゲーションされたポリホスファゼン高分子化合物に陽イオン性調節のためにも変化させることができる。ポリホスファゼン高分子化合物の分子量は、繰り返し単位体(NP)の個数によって定められ、同じ繰り返し単位を有する場合にも、導入されたポリエチレングリコールの分子量によっても調節可能である。本発明の側鎖型高分子(branched polymer)化合物は、一般の有機系線状高分子に比べて高い分子量を有するが、小さい水和ボリュームを有する特徴がある。すなわち、原子の密集度が一般の線状高分子化合物に比べて非常に高いため、ボリュームに比べて高い分子量を有する特徴がある。このような特徴のため、相対的に小さな大きさを有するミセルを形成する場合にも、高い癌組織選択性を維持する高分子化合物を得ることができる。
【0033】
[抗癌剤薬物]
本発明の側鎖型ポリホスファゼン高分子化合物に結合される薬物は、OHまたはNH官能基を少なくとも1つ以上有する薬物で、好ましくは、疎水性抗癌剤として、大別して、タキサン(taxan)系薬物、カンプトテシン(camptothecin)系薬物、および白金錯体系薬物を主に使用したが、これに限定しない。すなわち、ここで、例を挙げた2つの系列の薬物以外にも、OH、NHなどの官能基を有するいかなる抗癌剤も本薬物伝達体−スペーサ−リンカーシステムでは導入が可能であり、本発明の例示は、立体障害のため反応性が低下すると知られた代表的な2つの系列の薬物に対する例を利用して説明した。
【0034】
上記で説明された本発明の親水性線状ホスファゼン高分子に疎水性タキサン系抗癌剤を化学的に結合させたポリホスファゼン−タキサン系薬物コンジュゲート化合物は、まだ世界的に報告されていない完全に新たな形態の静脈注射用高分子抗癌剤であって、その分子量分布を約3,000〜300,000Daまで調節可能であり、特に、分子量が30,000〜100,000Daの範囲の高分子を分離することにより、生体適合性と効率性を極大化することができた。本発明の親水性ポリホスファゼン化合物自体はミセルを形成することができないが、疎水性タキサン系抗癌剤分子が結合されたコンジュゲート−薬物化合物は、約20nm〜100nmの大きさのミセル粒子を形成することにより、上述した「向上した透過保全(EPR)効果」と本ポリホスファゼン−タキサン系薬物コンジュゲート化合物のミセルの皮(shell)を形成するポリエチレングリコールによる血中長期循環性(long circulation)などによって優れた癌組織選択性を確保することができた。最後に、優れた抗癌効果のために最も重要な癌組織に到達したポリホスファゼン−タキサン系薬物コンジュゲート化合物から抗癌成分であるタキサン系薬物の適期放出を誘導するために、癌組織/細胞の酸性(pH=4〜7)環境でのみ分解可能な無水アコニット酸のようなリンカー(linker)を用いてホスファゼン高分子とタキサン系薬物を連結することにより、ホスファゼン−タキサン系薬物コンジュゲートが血中および正常組織では分解せず、癌組織/細胞に到達した後にのみタキサン系抗癌剤を放出できるように設計することにより、優れた抗癌効果と同時に、体内で薬物による毒性を画期的に低下させることができる理想型の新たな高分子コンジュゲート物質の合成を完成した。
【0035】
下記化学式6のドセタキセルは、2,7,10,2’位に4個のOH基を有しており、このうち、最も反応性が良い2’位のOH基を用いてリンカーグループとエステル結合(−COOD−)させ、再び該リンカーとポリホスファゼンのスペーサとアミド結合(−CONH−)反応をさせてコンジュゲーションさせる。
[化学式6]
【化6】
【0036】
パクリタキセルの場合にも同様であり、最も反応性が良い2’位のOH基を用いてリンカーとエステル結合で反応させた後、該リンカーを用いてポリホスファゼンに導入されたスペーサにアミド結合で反応をさせてコンジュゲーションさせる。
【0037】
この時、リンカーを用いる理由は、立体障害の多く生じる薬物をエステル結合で直接高分子にコンジュゲーションさせる場合には、収率が大きく低下し、複数種類の異性体が生じ得る問題を有する。特にドセタキセルの場合、反応時間が24時間以上長くなると、自体の異性体が生じる危険が非常に高いため、リンカーを導入して単分子間の速やかな反応を利用して速い時間内に高収率でリンカーを導入し、導入されたリンカーの高い反応性を利用してポリホスファゼンに速い時間内に高収率で反応させることができるからである。
【0038】
本発明で使用したカンプトテシン系の薬物は、次の例示の化合物を含むが、これらだけを意味するものではなく、薬学的に活性のある誘導体をすべて含む。特に、カンプトテシン(camptothecin)、イリノテカン(irinotecan)、トポテカン(topotecan)、そしてベロテカン(belotecan)のカンプトテシン系の薬物を含むことができる。
【0039】
[スペーサ(S)]
本発明では、リンカーと化学結合が可能なスペーサグループを導入した。スペーサグループは、リンカーとの結合に使用可能な1級アミン基とポリホスファゼン高分子骨格に結合(graft)が可能な1級アミン基またはアルコール基を有するアミノ酸類、すなわち、リシン、アルギニン、グルタミン、アスパラギン、チロシン、およびこれらを含むオリゴペプチドまたは線状アミノアルコールから選択される1種である。好ましくは、リシンまたはリシンを含むオリゴマーである。このようなアミノ酸は、塩基性アミノ酸類に分類されるアミノ酸であり、塩基性アミノ酸が導入される場合には、そのアミノ酸の固有pKa値に応じて特定pHで高分子体に陽イオン性を付与する特徴を有する。また、単純なアミノ酸類のみを含むのではなく、2つ以上のアミノ酸の組み合わせによりスペーサを導入することができる。例えば、グリシル−リシン(Gly−Lys)、アラニル−リシン(Ala−Lys)、またはこれらのアミノ酸類を用いた組み合わせであるトリペプチドなどが使用される。さらに、特定の組み合わせのアミノ酸またはペプチドの場合には、保護基のカルボキシルエステルを加水分解して、リンカーを導入せずに薬物を直接導入してもよい。これに使用可能な代表的なアミノ酸はリシンであり、実施例においてもその例を示した。
【0040】
[リンカー(linker)]
高分子を用いたコンジュゲート型抗癌剤の場合には、薬物の調節放出が薬物の活性において最も重要な役割を果たす。
【0041】
本発明では、薬物部分と高分子薬物伝達体を連結させるに際して、アミド結合(−CONH−)および/またはエステル結合(−COO−)中でリンカーと薬物の種類に応じて選択して使用した。これは、すでに知られた酸−刺激感応性無水アコニット酸をリンカー(linker)として用いた既存の薬物伝達システムとの差別点であり、これによって効率的な薬物の調節放出が可能になった。また、薬物のうち、アミン官能基を有しない薬物に対しても使用可能なリンカーであるため、薬物の適用範囲を画期的に高めたスペーサ−リンカーシステムである。
【0042】
この反応は、一般的なカップリング(coupling)反応条件ですべて実行が可能であり、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、ジメチルホルムアミド、そしてテトラヒドロフランなど反応に影響を及ぼさないいかなる種類の有機溶媒も使用が可能である。ただし、リンカー導入時に、エステル結合を作るために生成される中間体物質の不安定性のため、全体反応はよく乾燥した溶媒とアルゴン気流下で進行しなければならず、生成された不安定な中間体の反応効率を増加させるために、低温(−10〜0℃)を維持して反応を進行させた。また、無水シスアコニット酸の場合には、塩基条件で無水物環が開かれる特徴があるので、異性体が生じ得る可能性があるため、一般的にエステル結合の形成に使用する塩基性のDMAP(dimethylaminopyridine)触媒の代わりに、DPTS(dimethylaminopyridine/p−toluene sulfonic acid、0.1−1.0当量)を用いて、中性状態で触媒の役割を果たせる反応条件を選択して反応した。これを用いて複合体を形成させることが可能な薬物は、オリゴペプチド(oligopeptides)、ポリペプチド(polypeptides)、単分子薬物、抗体(antibody)、ヌクレオチド(nucleotide)、リピド(lipid)系列など、−OHまたは−NHの官能基を有するいかなる物質も可能である。最も好まれるスペーサ−リンカー−薬物の結合種類は、アミド(スペーサ−リンカー)/エステル(リンカー−スペーサ)結合であり、アミド(スペーサ−リンカー)/アミド(リンカー−スペーサ)、そしてエステル(スペーサ−リンカー)/エステル(リンカー−スペーサ)結合も可能である。
【0043】
本発明で使用したリンカーの場合、下記化学式7〜11に相当する多様な環状無水物系列のリンカーを使用することができ、好ましくは、下記化学式7のアコニチック無水物を使用する。
[化学式7]
【化7】
[化学式8]
【化8】
[化学式9]
【化9】
[化学式10]
【化10】
[化学式11]
【化11】
【0044】
酸性条件(pH=5.5)で薬物の放出が起こりやすいと知られたリンカーである無水アコニット酸の場合には、一般的に下記反応式1のような反応経路によって合成される。しかし、このような合成方法の場合には、図式のように薬物を放出できない異性体が生じ得る問題を有しており、薬物の付く位置によって薬物の放出速度が異なってその比率を調節することが難しく、また、その比率によって抗癌活性が異なる問題を有する。特に、スペーサ/リンカー、そしてリンカー/薬物の結合がすべてアミド結合で連結される場合には、加水分解による薬物の放出が非常に難しい異性体(反応式1−inactive)が生成されるため、薬物の効率性が低下する問題を有する。
[反応式1]
【数1】
【0045】
また、反応式2の場合には、すべてエステル結合で連結されるリンカーとして作用する場合であり、この場合にも、不活性(inactive)組み合わせが生じ得るが、エステル結合の体内での酵素による加水分解のため、薬物の放出が可能ではあるが、この場合にも、特定条件である酸性条件での薬物の調節放出がやや難しい異性体が生成されるという欠点がある。また、薬物の−OH基を用いて無水物環を開環する反応の場合、親核基として作用する方を過剰使用しなければならず、特に立体障害の多く生じる薬物の場合には、より多量の薬物を使用しなければならないという欠点がある。本発明に使用したタキサン系の薬物の場合には、少なくては20倍以上を使用してこそ反応が完了することを確認した。この場合、薬物に基づいた収率が5%以下と非常に低いため、商業化において非常に大きな問題として作用し得る。
[反応式2]
【数2】
【0046】
反面、本発明の合成経路に相当する次の反応式3は、一例として、無水アコニット酸の環を先に開環せず、枝部分のカルボン酸部分を薬物と先に反応させた後、無水物の環を過剰のNHS(N−hydroxy succinimide)を用いて開環したり、1級アミンを有するスペーサが導入された高分子を用いて直接環を開環することができる。この時、NHSを用いて環を開環すると、一般的に知られた活性エステル(active ester)を形成し、1級アミンを有する物質とこれ以上の試薬なしに、塩基条件下で容易にアミド結合の形成可能な誘導体を得ることができる。この反応の他の利点は、比較的収率の低い過程であるエステル結合を作る過程でリンカーグループを過剰に使用して薬物の浪費を防ぐことができ、反応の終結点を比較的簡単なTLC方法を利用して確認できるという利点がある。また、既存の知られた反応方法とは異なり、無水物環の開環を後で行うため、薬物の放出が難しい異性体が生じないという利点を有する新たな合成方法である。
[反応式3]
【数3】
【0047】
また、本発明は、前記線状ポリホスファゼン化合物およびポリホスファゼン−薬物コンジュゲート化合物の製造方法を提供する。
【0048】
この時、必要に応じて使用される薬物、スペーサ、リンカーについて具体例を挙げて説明するが、本発明がこれらの例に限定されるものではない。
【0049】
本発明の線状ポリホスファゼン高分子化合物は、3価の窒素(N)と5価のリン(P)とから構成されたホスファゼン基本単位骨格(−N=P−)のリン原子に親水性が強いメトキシポリエチレングリコール(MPEG)を先に結合させた後、1級アミン基2個とカルボキシル基1個を有する多官能性(multifunctional)リシン、リシンを含むオリゴペプチドまたは線状アミノアルコールを結合させて合成する。このように合成したポリホスファゼン化合物の側枝グループである多官能性リシン、リシンを含むオリゴペプチドまたは線状アミノアルコールをスペーサとして使用し、無水アコニット酸をリンカーとして用いて、タキサン系、白金錯体系、またはカンプトテシン系などの疎水性抗癌剤をポリホスファゼン高分子に連結させると、新たな高分子型の線状ポリホスファゼン−薬物コンジュゲート化合物を得ることができる。
【0050】
本発明のコンジュゲート化合物は、癌組織に選択的に多量蓄積される優れた癌組織選択性を示すが、前記化学式2のx、y、zの値を調節することにより、水に対する溶解度が高く、体内滞留時間が長く、癌組織選択性に優れた抗癌剤を製造することができる。
【0051】
本発明において、前記リシン、アルギニン、グルタミン、アスパラギン、またはチロシンを含むオリゴペプチドから選択される1種のスペーサは、好ましくは、リシンおよびグリシンを含むオリゴペプチドで、例えば、ジペプチドあるいはトリペプチドである。より好ましくは、グリシルリシンから構成されたジペプチドである。この時、特にこれに制限されるものではないが、前記オリゴペプチドにおいて、リシンは、タキサン系抗癌剤(D)に連結される末端部位に位置することが好ましい。具体的には、例えば、前記化学式2において、Sは、リシン、グリシルリシン、リシンエステル、またはグリシルリシンエステルであるとよく、好ましくは、前記Sは、リシン、リシンC1−6アルキルエステル、またはグリシルリシンC1−6アルキルエステルであり、より好ましくは、前記Sは、リシンエチルエステルまたはグリシルリシンエチルエステルである。
【0052】
また、線状アミノアルコールから選択される1種のスペーサは、好ましくは、アミノエタノール、アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、アミノヘキサノールであり、より好ましくは、アミノエタノールとアミノプロパノールである。
【0053】
本発明において、タキサン系抗癌剤(D)は、リシンのアミン基またはカルボキシル基を介して高分子に連結されるが、前記抗癌剤がリシンのカルボキシル基に連結される場合、リシンのアミン基は、アミン保護基(例:t−Boc、FMOC、CBZグループ)で保護されていることが好ましい。
【0054】
前記化学式2において、Lは、スペーサ(S)と抗癌剤(D)を化学的に連結させるリンカーで、シスアコニチック無水物、スクシニル無水物、またはマレイック無水物などを示し、より好ましくは、前記Lは、アコニチック無水物である。
【0055】
一方、本発明において、抗癌剤(D)としては、タキサン系抗癌剤、カンプトテシン系抗癌剤、または白金錯体系抗癌剤を使用し、例えば、ドセタキセル(docetaxel)、パクリタキセル(paclitaxel)、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、ベロテカン、オキサリプラチン(Oxaliplatin)などが挙げられるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0056】
本発明のコンジュゲート化合物は、分子量が約3,000〜300,000の値を有し、好ましくは30,000〜100,000の値を有し、水溶液で溶けやすく、平均粒子の直径が20〜200nmの大きさの比較的大きなミセル粒子を形成する。本発明の高分子ミセル型コンジュゲート化合物は、上述した「向上した透過保全(EPR)効果」によって優れた癌組織選択性を示す。
【0057】
このような本発明のポリホスファゼンおよびポリホスファゼン−タキサンコンジュゲート化合物は、次の4ステップを含む合成工程により製造される:
(a)出発物質の六塩化環状ホスファゼンを熱重合してポリジクロロホスファゼン線状重合体(N=PClを合成した後、メトキシポリエチレングリコールのナトリウム塩と反応させて、ポリホスファゼン高分子中間体[NPCl(MPEG)]を得るステップと、
(b)前記ポリホスファゼン高分子中間体を、リシンエステル、リシンを含むオリゴペプチドのエステル、アミノエタノール、アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、およびアミノヘキサノールからなる群より選択される1種と反応させて、親水性陽イオン性(cationic)ポリホスファゼン高分子薬物伝達体を製造するステップと、
(c)OHまたはNH官能基を有する薬物をリンカー(linker)を用いてポリホスファゼン高分子に化学結合で結合させるのに容易な薬物前駆体(precursor)を製造するステップと、
(d)前記(b)ステップのポリホスファゼン高分子薬物伝達体に前記(c)ステップの薬物前駆体(precursor)を導入して、下記化学式2の化合物を得るステップ。
[化学式2]
【化2】
【0058】
式中、nは、3〜300の整数であり、MPEGは、平均分子量350〜1000のメトキシポリエチレングリコールを示し、Sは、スペーサグループとして、リシン、リシンを含むオリゴペプチド、アミノエタノール、アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、およびアミノヘキサノールからなる群より選択される1種であり、Lは、前記スペーサグループと前記薬物を化学結合で連結させることが可能なリンカー(linker)を示し、Dは、OHまたはNH官能基を有する薬物であり、xとyはそれぞれ、0〜0.5であり、zは、0より大きくて1.0以下であり、x+y+z=1である。
【0059】
本発明の他の実施形態において、
前記OHまたはNH官能基を有する薬物は、ドセタキセル(docetaxel)、パクリタキセル(paclitaxel)、カンプトテシン(camptothecin)、および[(トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)]からなる群より選択される1種であるとよいが、これに限定されない。
【0060】
前記(a)〜(d)までの4ステップの反応は、薬物の構造に応じてやや変化を与えることができる。例えば、白金錯体系抗癌剤の場合、(c)ステップで薬物とリンカーを予め反応させて前駆体を作った後、(d)ステップで前駆体をポリホスファゼン高分子に導入する代わりに、(c)ステップでリンカーを先に高分子に結合させた後、(d)ステップで薬物を高分子のリンカーと結合させてもよい。
【0061】
次のすべての製造過程は、水分が入らないように真空および窒素ラインを用いて行うことが好ましく、反応に使用する各種溶媒は、水分を十分に除去して使用することが好ましい。
以下、製造過程について詳細に説明する。
【0062】
(a)ステップ
まず、下記化学式12で表される六塩化環状ホスファゼン三量体すなわち、(N=PClを文献に提示された方法(Youn Soo Sohn,et al.Macromolecules,28,7566(1995))によって熱重合させて、平均分子量が10〜10の範囲である、化学式13で表されるポリジクロロホスファゼン線状重合体(N=PClを得る。
[化学式12]
【化12】
[化学式13]
【化13】
【0063】
前記化学式13において、nは、ポリホスファゼンの重合度で3〜300の整数である。
【0064】
下記化学式14のモノメトキシポリエチレングリコールをトルエンと水のアゼオトロピ現象を利用して水分を除去させた後、アルカリ金属のナトリウムと反応させて、化学式15のメトキシポリエチレングリコールのナトリウム塩として作った後、トリエチルアミンの存在下で化学式13のポリジクロロホスファゼン線状重合体と反応させる。
[化学式14]
【化14】
[化学式15]
【化15】
【0065】
前記化学式14および15において、aは、MPEGの重合度で7〜22である。
本発明の実施形態によれば、前記aは、7〜22になるとよい。
【0066】
前記反応をより詳細に説明すれば、まず、前記化学式12の六塩化ホスファゼン三量体(N=PClと、これに対して3〜10重量%に相当する量の無水塩化アルミニウム(AlCl)をパイレックス(登録商標)反応管に入れて真空状態で密封した後、10〜20rpmで回転させ、230〜250℃で3〜5時間溶融反応させると、化学式13のポリジクロロホスファゼン線状重合体を得る。次に、化学式14のモノメトキシポリエチレングリコールを1.2〜1.5当量のナトリウム金属片とともに、任意の有機溶媒、好ましくは、テトラヒドロフラン(THF)、ベンゼン、トルエンなどの溶媒で反応させて、化学式15のアルコキシド型のナトリウム塩として作る。こうして作った化学式15のメトキシポリエチレングリコールのナトリウム塩溶液を、同じ溶媒に溶かした化学式13のポリジクロロホスファゼン線状重合体1モル(1繰り返し単位)に0.5〜1.8当量滴加する。この時、反応溶媒は、前記反応を阻害しない任意の溶媒であればよく、好ましくは、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、クロロホルムなどの溶媒中で行われる。化学式19のポリジクロロホスファゼン溶液を0℃以下の低い温度に冷却させた後、化学式15のメトキシポリエチレングリコールのナトリウム塩溶液を徐々に付加するが、好ましくは、0℃以下で2〜8時間反応させた後、室温で6〜24時間反応させて、ポリエチレングリコールが0.5〜1.8当量置換された下記化学式16の高分子中間体を製造することができる。前記低温で反応を行うためには、例えば、氷−浴槽を用いて行うことができる。
[化学式16]
【化16】
【0067】
化学式16において、nは、ポリホスファゼンの重合度で3〜300の整数であり、aは、MPEGの重合度で7〜22であり、bは、MPEGの置換量で0.5〜1.8である。
【0068】
(b)ステップ
前記化学式16のポリホスファゼン高分子中間体の未置換の2−b個の塩素に対して、1.5〜1.8当量のリシンエステルまたはリシンを含むオリゴペプチドのエステルと6当量のトリエチルアミンを任意の有機溶媒、好ましくは、テトラヒドロフラン、クロロホルム、またはジクロロメタン溶媒に溶かした混合溶液を前記反応液に滴加し、40〜60℃で12時間〜3日間還流反応させる。この時、前記リシンエステルとしては、例えば、下記化学式17で表される物質を使用することができ、リシンを含むオリゴペプチドのエステルとしては、下記化学式18で表される物質を使用することができる。この時、グリシン部分は、グリシンのほか、ロイシン、フェニルアラニン、イソロイシン、バリンなどのアミノ酸類に代替できる。
[化学式17]
【化17】
[化学式18]
【化18】
【0069】
前記化学式17および18において、Rは、C1−6の線状、枝状または環状アルキル、またはOCHBzであり、R’は、アミングループの保護基であるt−Boc(tert−butoxycarbonyl)、Fmoc(fluorenylmethyloxycarbonyl)、またはCBZ(carbozenyloxy)グループを示す。
【0070】
本発明において、前記Rの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、またはt−ブチルなどが挙げられるが、特にこれに制限されるものではない。
【0071】
次に、反応溶液を遠心分離または濾過して副産物として生成された過剰の沈殿物(例:EtNHClまたはNaCl)を除去した後、濾液を減圧濃縮し、これに再びエタノールを添加してさらに減圧濃縮する。この作業を2回繰り返して有機系溶媒を完全に除去した後に、オイル状態の反応混合物を再び少量のエタノール(100ml)に溶かした後、多量の水(900ml)を添加して、低温で再結晶する。3時間後、溶液を0.45μmのメンブレンを用いてフィルタして、沈殿物を除去する。この溶液を再び0.2μm、そして0.1μmのメンブレンを用いて100nm以上の高分子あるいは沈殿物をすべて除去した後に、限外濾過膜装備と限外濾過膜(MWCO=3,000Da)を用いて低分子量の不純物を除去する。この時、最初3回のデソルティング作業では水:エタノール3:1の体積比率の溶液で洗い、以後、純粋な水で6回以上洗浄作業、精製作業、そして濃縮作業を経て、高濃度の高分子溶液を得る。こうして得られたポリホスファゼン高分子溶液を凍結乾燥して、ポリホスファゼン高分子誘導体、例えば、下記化学式19または化学式20のポリホスファゼン系高分子誘導体を得ることができる。
[化学式19]
【化19】
[化学式20]
【化20】
【0072】
前記化学式19および20において、nは、ポリホスファゼンの重合度で3〜300の整数であり、OMPEGは、平均分子量350〜1000のメトキシポリエチレングリコールを示し、bは、0.5〜1.8の値を有する。また、Rは、C1−6の線状、枝状または環状アルキル、またはOCHBzであり、R’は、アミングループの保護基であるt−Boc、Fmoc、またはCBZグループを示す。
【0073】
(c)ステップ
前記(b)ステップで合成したポリホスファゼン高分子薬物伝達体にタキサンのような疎水性抗癌剤を化学的に直接結合させることは、高分子および薬物の化学構造上容易でない上に、たとえ結合させてコンジュゲートを作っても、体内で薬物が高分子伝達体から容易に離れられるように、適当なリンカー(L)を用いて高分子薬物伝達体と抗癌剤を連結させてコンジュゲートを合成しなければならない。コンジュゲート型抗癌剤の合成において、リンカーの役割は非常に重要である。特に、本発明において、リンカーグループは、ポリホスファゼン高分子薬物伝達体の官能基(−COOH、−NH)とタキサン抗癌剤の官能基(−OH、−NH)を用いて容易に連結できなければならず、より重要なのは、このように合成されたコンジュゲート抗癌物質が体内注入時に血中では抗癌剤を放出せず、癌組織に到達した後は抗癌剤を直ちに放出できなければならないからである。本発明では、下記化学式7の無水アコニット酸が、特にタキサン抗癌剤コンジュゲートの合成に最適なリンカーであることを見出し、次のようにタキサンと無水アコニット酸が結合された前駆体を合成した。
【0074】
無水アコニット酸(2.0mmol、312mg)とドセタキセル(1.0mmol、803mg)をアルゴン気流下で混ぜた後、低温に冷却させる。これに、THFまたはジクロロメチレンクロライド溶媒に溶解させて混合した後、低温(0℃)を維持し、DIC(2.0mmol、0.252g)、DPTS(2.0mmol、0.58g)を順に入れて、中性状態で無水アコニット酸のカルボン酸とドセタキセルの−OH(2’)をエステル結合で12時間反応させる。12時間後、TLCを用いて反応が終結されたことを確認した後、NHS(N−hydroxysuccinimide)をDIPEAとともに過剰に添加して、無水アコニット酸の無水環を開環する。無水アコニット酸の環は、塩基性溶液で−OH官能基または−NH官能基によって開環反応が起こりやすいことが知られている。添加後、再び12時間反応させ、反応液を0℃に3時間冷却させる。その後、反応溶液を減圧フィルタして、溶けない不純物を除去する。その後、減圧蒸留して使用した有機溶媒をすべて除去し、オイル状態の反応混合物を得る。これに、エタノール(50ml)を添加して完全に溶かした後、多量の水(500ml)を添加した後、冷蔵庫で3時間再結晶する。上等液を注ぎ捨てる作業を2回繰り返した後、オイル状態の反応水にメチレンクロライド300mlを添加して完全に溶解させる。この溶液を分別漏斗に移した後、飽和した塩水(100ml)を用いて3回洗浄する。洗浄後、有機層を集め、この有機層を無水NaHCOを用いて乾燥した後、減圧フィルタし、減圧蒸留して、−NH官能基を有するスペーサ(S)に直接アミド結合で結合させて、リンカーの導入された薬物前駆体を95%以上の高収率で得ることができた。
【0075】
(d)ステップ
前記(b)ステップで得られたポリホスファゼン高分子薬物伝達体に疎水性抗癌剤、例えば、タキサン系抗癌剤を結合させて、本発明の化学式2で表される線状ポリホスファゼン−抗癌剤コンジュゲートを得る。この時、ポリホスファゼン高分子誘導体にタキサン抗癌剤を結合させる方法には、ポリホスファゼン高分子のリシンアミン基とアコニチックリンカーを用いてアミド結合で連結させる方法と、ポリホスファゼン高分子のリシンカルボキシル基とタキサンの2’−アルコール基をエステル結合で連結する方法の2つがある。したがって、本(d)ステップは、下記の2つの方法で行われる。
【0076】
まず、アミド結合方法の場合、前記得られたポリホスファゼン高分子誘導体、例えば、化学式19または化学式20の高分子誘導体に、アミン保護基(t−Boc)を三フッ化酢酸(trifluoroacetic acid)とメチレンクロライドの2:1混合溶液を用いて6時間以上反応させて保護基を除去した後、反応溶液をトリエチルアミンを用いて中和した後に、減圧蒸留して濃縮する。この濃縮液をNaHCO飽和溶液に再び溶かして、限外濾過膜(例:MWCO=3,000)を用いて、水/エタノールの混合溶液で3回、そして純粋な水で6回洗う作業と精製作業を経た後、200ml以下に濃縮して凍結乾燥する。
【0077】
このように乾燥したホスファゼン系高分子と、これに導入しようとする抗癌剤、例えば、ドセタキセルと連結基リンカー(linker)、例えば、無水アコニット酸を予め反応させて活性化されたエステル形態に製造されたアコニチックタキサン−NHS(N−hydroxysuccinimidyl)エステルを12時間塩基性条件で反応させる。12時間後、減圧蒸留して濃縮し、再びエタノールに溶かして減圧濃縮して使用した溶媒およびDIPEA(diisopropylethylamine)をすべて除去する(37℃、5mmbar)。溶媒がすべて除去された高分子混合物をエタノール50mlを用いて綺麗に溶かした後に、水950mlを添加した後、冷蔵庫で3時間再結晶する。3時間後、溶液を減圧フィルタして得られた溶液を、限外濾過膜装置を用いて、前記のような方法でエタノール30%水溶液を用いて5回洗浄し、再び純粋な水を用いて6回以上洗浄して、精製作業と未反応薬物をすべて除去し、追加的に使用したエタノールをすべて除去して、所望の化学式3または化学式4のポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲートを合成した。この時、透析回数は、透析して出る濾液のUV spectrumを測定して、ドセタキセルの残留量が0.1%以下になるまで洗浄した。
[化学式3]
【化3】
[化学式4]
【化4】
【0078】
前記化学式3および4において、nは、ポリホスファゼンの重合度で3〜300の整数であり、MPEGは、平均分子量350〜1000のメトキシポリエチレングリコールを示し、Lは、スペーサと薬物を化学結合で連結させることが可能なリンカー(linker)を示し、Dは、タキサン系、カンプトテシン系、または白金錯体系の抗癌剤を示し、Rは、C1−6の線状、分枝状または環状アルキル、またはOCHBzである。ここで、xとyはそれぞれ、0〜0.5であり、zは、0より大きくて1.0以下の値を有し、x+y+z=1である。
【0079】
次に、エステル結合方法では、得られたポリホスファゼン高分子誘導体のリシンのエステルをアルカリで加水分解して酸性化した後、タキサン分子と直接エステル化反応させて行われる。具体的には、例えば、前記化学式19のポリホスファゼン高分子誘導体をメタノールに溶かした後、エステルグループをKOHまたはNaOH(1.5〜2倍過剰)を用いて加水分解して、金属塩形態のポリホスファゼンを得る。メタノールを減圧蒸留して除去した後、固体状態の反応混合物を水(100ml)に溶かした後、分別漏斗に移す。この溶液にメチレンクロライドまたはクロロホルム(300ml)を添加した後、有機酸溶液を徐々に添加して徐々に酸性化させる。水層のpHを約4〜3程度低下させた後、添加した有機溶媒で高分子を抽出する。有機溶媒を用いて3回さらに抽出して集めた有機溶媒層を、無水NaHCOを用いて乾燥し、これをフィルタした後、減圧濾過して、加水分解された高分子を得る。加水分解されたホスファゼン系高分子とタキサン(例:パクリタキセル)をテトラヒドロフランなどの任意の有機溶媒に溶かした後、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドとトリエチルアミンを添加して、タキサンを高分子体にエステル結合でコンジュゲーションさせる。薄層クロマトグラフィー法(例:CHCl:MeOH=10:1)を用いて反応が終わったことを確認した後、減圧濾過、減圧蒸留して反応溶液を濃縮させた後、最後に透析膜(例:MWCO=3,500)を用いて分離精製し、凍結乾燥すると、本発明のコンジュゲート化合物、例えば、下記化学式5のポリホスファゼン−タキサンコンジュゲート化合物を得ることができる。
[化学式5]
【化5】
【0080】
前記化学式5において、nは、ポリホスファゼンの重合度を示す値で3〜300の整数であり、MPEGは、平均分子量350〜1000のメトキシポリエチレングリコールを示し、Dは、ドセタキセル、パクリタキセル、およびカンプトテシンからなる群より選択される1種を示し、R’は、t−Boc、Fmoc、またはCBZグループを示す。ここで、xとyはそれぞれ、0〜0.5、zは、0より大きくて1.0以下の値を有し、x+y+z=1である。
【0081】
以下、本発明の構成および作用を実施例および実験例を挙げて説明するが、本発明の権利範囲が必ずしもこれに制限されるわけではない。
【0082】
実施例では、Perkin−Elmer C、H、N分析器で炭素、水素、および窒素の元素分析を行った。水素核磁気共鳴スペクトルとリン核磁気共鳴スペクトルは、Varian Gemini−500NMR Spectrometerを用いて得た。水溶液中でのナノ粒子の粒度分布は、Malvern Zetasizer(Nano−ZS)を用いて測定した。
【0083】
実施例
ポリホスファゼン化合物(薬物伝達体)の合成
実施例1.[NP(MPEG550)1.5(LysEt)0.5の合成
六塩化ホスファゼン三量体([NPCl、11.54g、100mmol)に、触媒の三塩化アルミニウム(AlCl、7.5wt%)を添加した後、既存の方法(Sohn Y.S.et al.Macromolecules1995,28,7566)通りに250℃で5時間溶融重合してポリジクロロホスファゼン([NPCl)を合成した。一方、分子量550のメトキシポリエチレングリコール(MPEG550)(82.5g、150.0mmol)とナトリウム(Na)金属(4.9g、200.4mmol)を乾燥したトルエン溶媒に入れて、アルゴン気流下、6時間、120℃で撹拌して、メトキシポリエチレングリコールのナトリウム塩を製造した。前記作られたポリジクロロホスファゼンをガラス反応器に移した後、これに、乾燥したテトラヒドロフラン(100ml)を入れて溶かした後、氷浴(0℃)で前記製造したメトキシポリエチレングリコールのナトリウム塩溶液を60分間滴加した。1時間後に氷浴を除去し、常温で12時間引き続き反応させて、MPEG550が置換されたホスファゼン高分子中間体反応溶液を得る。別の容器で乾燥したクロロホルム溶媒(200mL)で乾燥したトリエチルアミン(71.6ml、516mmol)で中和したBoc−lysineエチルエステル(Nα−BocLysEt、20.5g、75.0mmol)を前記高分子反応溶液に徐々に加えた後、常温で24時間反応させた。この反応溶液を濾過して生成された過剰の沈殿物(NEt.HClまたはNaCl)を除去し、濾液を減圧濃縮した後、再び少量のエタノールに溶かして2回減圧乾燥する。減圧乾燥後、再び水に溶かして溶けない沈殿物を除去した後、限外濾過膜(CE、MWCO=3,000)を用いて、分子量3000以下の不純物を除去する。蒸留水を用いて5回以上洗浄した高分子溶液を凍結乾燥して、ポリホスファゼン高分子誘導体を得た。その後、ポリホスファゼン高分子誘導体から保護基(t−Boc)を除去するために、前記誘導体を30%(v/v)トリフルオロ酢酸が溶けているメチレンクロライド(200ml)に再び溶かした後、6時間反応させて、リシンアミン基の保護基であるターシャリーブチルオキシカルボニル基が完全に除去された薬物コンジュゲーション用の純粋なポリホスファゼン誘導体[NP(MPEG550)1.5(LysEt)0.5を得た(収率65%、3.37g)。
【0084】
1H−MNRを用いてリシンのアルファアミンの脱保護反応を確認した後、反応溶液を氷浴下で冷却させた後、トリエチルアミンを添加して溶液を中和させる。完全に中和されたことを確認した後、減圧蒸留器を用いて有機溶媒を完全に除去し、再び高分子溶液にNaHCO溶液を添加して完全に溶かす。完全に溶けない場合には、メンブレンフィルタを用いて溶けない不純物を除去する。
【0085】
この時、濃い高分子溶液は、メンブレンフィルタが難しいため、0.45μm、0.2μm、そして0.1μmの順にフィルタして、綺麗な高分子溶液を得る。
【0086】
こうして得られた高分子溶液は、まず、限外濾過膜を用いて、デソルティング(desalting)作業を行う。デソルティング作業が行われた高分子溶液は、再び多様なMWCO値を有する限外濾過膜を用いて、所望の範囲の分子量を有する高分子物質を選択的に抽出する。本発明で使用した限外濾過膜は、3kDa、30kDa、100kDa、300kDaのMWCO値を有する限外濾過膜を用いて、所望の分子量範囲を有するポリホスファゼン高分子を抽出して使用した。この時、高分子の総収率は90%、分子量ごとの収得率はそれぞれ(20、30、5、30、5%)の収得率で高分子物質を得る。
【0087】
組成式:C8317041
元素分析理論値(%):C,51.33;H,8.82;N,2.88。
測定値(%):C,51.66;H,8.59;N,2.83。
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl)(δ,ppm):1.25(s,1.5H,Lys−OCHCH),2.49(br,1.00H,suucinyl−CH),2.90(br,1.00H,Lys−ε−CH),3.38(s,4.50H,MPEG550−OCH),3.65(br,66.0H,MPEG550−OCHCH),4.4(s,1H,Lysine−CH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl,ppm):δ−0.014(s),δ−5.551(s)。
【0088】
実施例2.[NP(MPEG750)1.5(LysEt)0.5の合成
六塩化ホスファゼン三量体([NPCl、11.54g、100mmol)、MPEG750(112.5g、150mmol)、トリエチルアミン(80.0ml、600mmol)、Boc−lysineエチルエステル(Nα−BocLysEt、20.5g、75.0mmol)を用いて、実施例1と同様の方法でポリホスファゼン高分子誘導体を合成した。合成した高分子は、実施例1と同様の方法で、限外濾過膜と装備を用いて、3〜30kDa、30〜100kDa、100〜300kDa、そして300kDa以上の分子量ごとに分離分取した。
[NP(MPEG750)1.5(LysEt)0.5を得た(収率、74%)。
【0089】
組成式:C10721853
元素分析理論値(%):C,52.01;H,8.89;N,2.27。測定値(%):C,51.30;H,8.99;N,2.363。
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl)(δ,ppm):1.25(s,1.50H,Lys−OCHCH),1.39−1.98(br,3.00H,Lys−CH),2.90(br,1H,Lys−ε−CH),3.38(s,4.50H,MPEG750−OCH),3.65(br,98.0H,MPEG750−OCHCH),4.01(bs,6H,MPEG750−CH),4.45(m,0.5H,Lys−CH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl,ppm):δ−0.014(s),δ−5.551(s)。
【0090】
実施例3.[NP(MPEG1000)1.5(LysEt)0.5の合成
六塩化ホスファゼン三量体([NPCl、11.54g、100mmol)、MPEG1000(150g、150mmol)、トリエチルアミン(80.0ml、600mmol)、Nα−BocLysEt(20.5g、75.0mmol)を用いて、実施例1と同様の方法でポリホスファゼン高分子誘導体を合成した。合成した高分子は、実施例1と同様の方法で、限外濾過膜と装備を用いて、3〜30kDa、30〜100kDa、100〜300kDa、そして300kDa以上の分子量ごとに分離分取した。
[NP(MPEG1000)1.5(LysEt)0.5を得た(収率、74%)。
【0091】
組成式:C14329071
元素分析理論値(%):C,52.62;H,8.96;N,1.72。測定値(%):C,53.01;H,8.70;N,1.93。
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl)(δ,ppm):1.25(s,1.50H,Lys−OCHCH),1.39−1.98(br,3.00H,Lys−CH),2.90(br,1H,Lys−ε−CH),3.38(s,4.50H,MPEG750−OCH),3.65(br,130.0H,MPEG1000−OCHCH),4.45(m,0.5H,Lys−CH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl,ppm):δ−0.014(s),δ−5.551(s)。
【0092】
実施例4.[NP(MPEG550)1.25(LysEt)0.75の合成
六塩化ホスファゼン三量体([NPCl、11.54g、100mmol)、MPEG550(69.0g、126mmol)、トリエチルアミン(80.0ml、600mmol)、Nα−BocLysEt(27.4g、100mmol)を用いて、実施例1と同様の方法でポリホスファゼン高分子誘導体を合成した。合成した高分子は、実施例1と同様の方法で、限外濾過膜と装備を用いて、3〜30kDa、30〜100kDa、100〜300kDa、そして300kDa以上の分子量ごとに分離分取した。
[NP(MPEG550)1.25(LysEt)0.75を得た(収率、74%)。
【0093】
組成式:C74.515335.5
元素分析理論値(%):C,51.14;H8.82;N,4.14。測定値(%):C,50.87;H,9.028;N,4.31。
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl)(δ,ppm):1.25(s,2.25H,Lys−OCHCH),1.39−1.98(br,4.50H,Lys−CH),2.90(br,1.5H,Lys−ε−CH),3.38(s,3.75H,MPEG750−OCH),3.65(br,82.5H,MPEG550−OCHCH),4.45(m,0.7H,Lys−CH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl,ppm):δ−0.014(s),δ−5.551(s)。
【0094】
実施例5.[NP(MPEG550)1.0(LysEt)1.0の合成
六塩化ホスファゼン三量体([NPCl、11.54g、100mmol)、MPEG550(55.0g、100mmol)、トリエチルアミン(80.0ml、600mmol)、Nα−BocLysEt(35.6g、130mmol)を用いて、実施例1と同様の方法でポリホスファゼン高分子誘導体を合成した。合成した高分子は、実施例1と同様の方法で、限外濾過膜と装備を用いて、3〜30kDa、30〜100kDa、100〜300kDa、そして300kDa以上の分子量ごとに分離分取した。 [NP(MPEG550)1.0(LysEt)1.0を得た(収率、74%)。
【0095】
組成式:C6613630
元素分析理論値(%):C,50.95;H,8.81;N,5.40。測定値(%):C,50.29;H,8.95;N,5.51。
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl)(δ,ppm):1.25(s,3.00H,Lys−OCHCH),1.39−1.98(br,6.00H,Lys−CH),2.90(br,2.0H,Lys−ε−CH),3.38(s,3.0H,MPEG750−OCH),3.65(br,66.0H,MPEG500−OCHCH),4.45(m,1.0H,Lys−CH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl,ppm):δ−0.014(s),δ−5.551(s)。
【0096】
実施例6.[NP(MPEG550)1.50(GlyLysEt)0.50の合成
六塩化ホスファゼン三量体([NPCl、11.54g、100mmol)、MPEG550(82.5g、150mmol)、トリエチルアミン(80.0ml、600mmol)、Gly(Nε−BocLysEt(24.8g、90mmol)を用いて、実施例1と同様の方法でポリホスファゼン高分子誘導体を合成した。合成した高分子は、実施例1と同様の方法で、限外濾過膜と装備を用いて、3〜30kDa、30〜100kDa、100〜300kDa、そして300kDa以上の分子量ごとに分離分取した。
[NP(MPEG550)1.5(GlyLysEt)0.5を得た(収率、74%)。
【0097】
組成式:C8517342
元素分析理論値(%):C,51.06;H,8.72;N,3.50。測定値(%):C,50.75;H,8.82;N,3.61。
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl)(δ,ppm):1.25(s,3.00H,Lys−OCHCH),1.39−1.98(br,6.00H,Lys−CH),2.90(br,2.0H,Lys−ε−CH),3.38(s,3.0H,MPEG750−OCH),3.65(br,66.0H,MPEG500−OCHCH),3.92(bs,2H,Gly−CH),4.45(m,1.0H,Lys−CH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl,ppm):δ−0.014(s),δ−5.551(s)。
【0098】
実施例7.[NP(MPEG550)1.5(Nα−BocLys)0.5の合成
六塩化ホスファゼン三量体([NPCl、11.54g、100mmol)、MPEG550(82.5g、150mmol)、トリエチルアミン(80.0ml、600mmol)、Nα−BocLysEt(20.5g、75mmol)を用いて、実施例1と同様の方法でポリホスファゼンスペーサのアミングループが保護された高分子誘導体を合成した。合成した誘導体(10g、10mmol)、NaOH(0.4g、10mmol)をメタノール溶媒に溶かして、4時間常温で反応させて加水分解する。加水分解はH−NMRを用いて確認し、加水分解が確認された高分子溶液は減圧蒸留して、固体状態の高分子を得る。この固体を蒸留水に溶かした後、有機酸溶液を用いてpHを3以下に低下させた後、クロロホルムまたはメチレンクロライド溶媒を用いて3回抽出する。抽出した有機層は無水NaHCOを用いて乾燥し、乾燥した有機層は再び減圧蒸留して、カルボン酸形態のポリホスファゼン高分子を得る。(収率:95%以上)
【0099】
組成式:C8617443
元素分析理論値(%):C,51.28;H,8.71;N,2.78。測定値(%):C,51.02;H,8.94;N,2.91。
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl)(δ,ppm):1.32(s,4.5H,Boc−CH),1.39−1.98(br,6.00H,Lys−CH),2.90(br,2.0H,Lys−ε−CH),3.38(s,3.0H,MPEG550−OCH),3.65(br,66.0H,MPEG550−OCHCH),4.45(m,1.0H,Lys−CH)。
【0100】
実施例8.[NP(MPEG550)(AE)]の合成
六塩化ホスファゼン三量体([NPCl、(2.0g、5.72mmol)、触媒の三塩化アルミニウム(AlCl、7.0wt%)、分子量550のメトキシポリエチレングリコール(MPEG550)(9.48g、17.2mmol)とナトリウム(Na)金属(0.59g、25.7mmol)を、実施例1と同様の方法で反応させて、MPEG550が置換されたホスファゼン高分子中間体溶液を得る。一方、2−アミノエタノール(AE)(1.30g、21.3mol)と水和ナトリウム(0.61g、25.4mmol)を、乾燥したテトラヒドロフラン(50ml)溶媒で常温で5時間反応させると、黄色の2−アミノエタノールのナトリウム塩が沈殿で離れる。この沈殿を濾過して、エチルエーテル(ethylether)で十分に洗った後、ジメチルスルホキシド(DMSO)(50ml)溶媒に溶かした後、この溶液を前記MPEG550が置換されたホスファゼン中間体溶液に徐々に加えた後、約50℃で24時間反応させる。反応液から副産物の塩化ナトリウムを濾過/除去した後、濾過液をセルロースメンブレン(MWCO:3.5kDa)を用いて透析した後、凍結乾燥すると、新たな機能性ポリホスファゼン高分子[NP(MPEG550)(AE)]を得る(収率:70%)。
【0101】
組成式:C275714P.H
元素分析理論値(%):C,47.45;H,8.64;N,4.10;測定値(%):47.38;H,8.61;N,3.95。
水素核磁気共鳴スペクトル(DO)(δ,ppm):3.26(s,3H,OCHof MPEG),3.50−3.52(m,4H,(CHof aminoethanol),3.54−3.81(brm,46H,CHof MPEG),3.83−4.10(brm,2H,−P−O−CH− of MPEG)。
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl,ppm):δ−2.66(O−P−O)。
【0102】
実施例9.[NP(MPEG750)(AE)]の合成
六塩化ホスファゼン三量体([NPCl、(2.0g、5.72mmol)、触媒の三塩化アルミニウム(AlCl、7.0wt%)、分子量750のメトキシポリエチレングリコール(MPEG750)(12.9g、17.2mmol)、ナトリウム(Na)金属(0.59g、25.7mmol)、2−アミノエタノール(AE)(1.30g、21.3mol)、および水和ナトリウム(0.61g、25.4mmol)を実施例8と同様の方法で反応させて、MPEG750が置換されたホスファゼン高分子[NP(MPEG750)(AE)](収率:78%)を得る。
【0103】
組成式:C357318P.H
元素分析理論値(%):C,48.89;H,8.73;N,3.26;測定値(%):C,48.02;H,8.96;N,3.55。
水素核磁気共鳴スペクトル(DO)(δ,ppm):3.41(s,3H,OCHof MPEG),3.49−3.53(m,4H,(CHof aminoethanol),3.57−3.83(brm,62H,CHof MPEG),3.83−4.05(brm,2H,−P−O−CH− of MPEG)。
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl,ppm):δ−3.95(O−P−O)。
【0104】
抗癌剤−リンカー前駆体の合成
実施例10.2’−Aconitic−docetaxel NHS esterの合成
Aconitic anhydride(20mmol、3.12g)、DPTS(6.0g、20mmol)とdocetaxel(8.03g、10.0mmol)を4時間真空乾燥した後、低温(−10℃)に冷却させた後、よく乾燥したテトラヒドロフラン(100ml)を添加して反応物を完全に溶かす。反応物を完全に溶かした後、同じくよく乾燥したテトラヒドロフランに溶かしたDCI(20mmol、2.5g)を20分間徐々に添加する。−10℃を維持したまま6時間反応させた後、再び0℃で6〜12時間反応させる。反応の進行過程は、TLC(展開溶媒、MC:MeOH=95:5)を用いてrf値が0.4程度のドセタキセルの点が消えることを用いて確認した。未反応ドセタキセルが消えることを確認した後、もう1回、HPLCを用いて最終反応の完了を確認した後、この反応溶液に過剰のN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS、11.5g、100mmol)と塩基としてはDIPEA(diisopropyl ethyl amine)を過剰(5〜10倍)に添加して、塩基性条件で作って、追加的に12時間反応をさらに行った。12時間後、反応混合物を減圧乾燥して固体状態の反応混合物を得、この混合物を再び少量のエタノール(50ml)に溶かした後、過剰の水(950ml)を添加して、0℃で3時間再結晶する。その後、上等液を注ぎ捨てた後、濃褐色のオイルをクロロホルムまたはメチレンクロライドなどの有機溶媒に溶かす。この溶液を分別漏斗に移した後、塩水/酸性(クエン酸、pH=2)/塩基性(NaHCO、pH=9)/塩水の順に洗浄した後、有機層を乾燥剤(MgSO)を用いて乾燥した後、フィルタ、そして減圧蒸留して、所望の2’−aconitic−docetaxel−NHS esterを得ることができた。
【0105】
組成式:C536021
元素分析理論値(%):C,59.99;H,5.70;N,2.64。測定値(%):C,60.07;H,5.86;N,2.71。
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl)(δ,ppm):1.13ppm(s,3H,C17−CH),1.24ppm(s,3H,C16−CH),1.34ppm(s,9H,C60−t Bu),1.75ppm(s,3H,C19−CH),1.96ppm(s,3H,C18−CH),2.18ppm(d,2H,C14−CH),2.43ppm(s,3H,C22−CH),2.64(t,4H,NHS−CHCH),2.92(s,2H,aconitic−CH),4.21ppm(d,1H,C20−CH),4.24ppm(m,1H,C7−CH),4.32ppm(d,1H,C20−CH),4.95ppm(dd,1H,C5−CH),5.23ppm(d,1H,C10−CH),5.40ppm(d,1H,C30−CH),5.69ppm(d,1H,C2−CH),6.40−6.68(m,1H,aconitic−CH),7.51ppm(m,2H,C33,C27−CH),7.53(m,6H,C32,C34−CH;C31,C35−CH;C26,C28−CH),8.12(d,2H,C25,C29−CH)。
【0106】
実施例11.2’−Aconitic−paclitaxel−NHSエステルの合成
Anconitic anhydride(3.12g、20mmol)、paclitaxel(8.53g、10mmol)、DPTS(5.88g、20mmol)、NHS(100mmol、11.5g)、DIC(20mmol、2.52g)、そしてDIPEA(10ml)を用いて、実施例6と同様の方法で、2’−Aconitic−paclitaxel−NHSエステルを得る。
【0107】
組成式:C555819
元素分析理論値(%):C,62.85;H,5.56;N,2.67。測定値(%):C,61.90;H,5.75;N,2.80。
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl)(δ,ppm):1.13ppm(s,3H,C17−CH),1.24ppm(s,3H,C16−CH),1.34ppm(s,9H,C60−t Bu),1.75ppm(s,3H,C19−CH),1.96ppm(s,3H,C18−CH),2.18ppm(d,2H,C14−CH),2.43ppm(s,3H,C22−CH),2.64(t,4H,NHS−CHCH),2.92(s,2H,aconitic−CH),4.21ppm(d,1H,C20−CH),4.24ppm(m,1H,C7−CH),4.32ppm(d,1H,C20−CH),4.95ppm(dd,1H,C5−CH),5.23ppm(d,1H,C10−CH),5.40ppm(d,1H,C30−CH),5.69ppm(d,1H,C2−CH),6.40−6.68(m,1H,aconitic−CH),7.51ppm(m,2H,C33,C27−CH),7.53(m,6H,C32,C34−CH;C31,C35−CH;C26,C28−CH),8.12(d,2H,C25,C29−CH)。
【0108】
実施例12.2’−Aconitic−camptothecin−NHSエステルの合成
Anconitic anhydride(20mmol、3.12g)、camptothecin(10mmol、3.48g)、DPTS(20mmol、5.88g)、NHS(100mmol、11.5g)、DIC(20mmol、2.52g)、そしてDIPEA(10ml)を用いて、実施例6と同様の方法で、2’−Aconitic−camptothecin−NHSエステルを得る。
【0109】
組成式:C302311
元素分析理論値(%):C,59.90;H,3.85;N,6.99。測定値(%):C,60.29;H,3.98;N,6.57。
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl)(δ,ppm):0.9(t,3H,C18−CH3),2.0(m,2H,C19−CH),2.64(t,4H,NHS−CHCH),2.92(s,2H,aconitic−CH),4.20(d,2H,C5−CH),4.76(m,2H,C22−CH),6.40−6.68(m,1H,aconitic−CH),6.70(s,1H,C14−CH),7.59(s,1H,C11−CH),7.80(m,2H,C12−CH;C7−CH),8.0(m,2H,C9−CH;C12−CH)
【0110】
実施例13.2’−Aconitic−glycamptothecinの合成
t−Boc−glycine(0.5g、2.85mmol)とcamptothecin(CPT)(0.5g、1.43mmol)を無水塩化メチレン(20ml)に溶かした後、これに、DIPC(0.36ml、2.85mmol)およびDMAP(0.31g、2.53mmol)を加えて、室温で16時間かき混ぜて反応させる。反応混合物を希釈塩酸(pH2)で抽出した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、回転乾燥器で乾燥させると、t−Boc−glycamptothecinが得られる。この中間化合物を塩化メチレンとフッ化酢酸の混合溶媒(10ml/10ml)で1時間反応させて、t−Bocを除去して得られたcamptothecin−gly−NHとcis−aconitic anhydride(0.57g、3.63mmol)をジメチルホルムアルデヒド(DMF)溶媒(2ml)に溶かした後、0℃で16時間反応させた後、エーテルを加えて沈殿させて濾過/乾燥すると、camptothecin前駆体2’−Aconitic−glycamptothecinが80%の収率で得られる。
【0111】
組成式:C282310
元素分析理論値(%):C,59.84;H,4.09;N,7.48;測定値(%):C,59.72;H,4.01;N,7.39。
水素核磁気共鳴スペクトル(DMSO)(δ,ppm):0.88−0.93(brm,3H,−CHof CPT−C18),2.12−2.16(m,2H,−CHof CPT−C−19),2.86(s,2H,−CHof cis−aconitate),3.92−4.42(brm,2H,−CHof glycine),5.27(brs,2H,−CHof CPT−C5),5.49(brs,2H,−CHof CPT−C22),5.97(s,1H,=CH of cis−aconitate),7.18−7.21(m,1H,=CH of CPT−C14),7.69−7.72(m,1H,=CH of CPT−C11),7.84−7.89(m,1H,=CH of CPT−C10)8.10−8.21(m,2H,=CH of CPT−C12 and C9),8.68(brs,1H,=CH of CPT−C7),12.3−12.8(brs,−COOH of cis−aconitatic acid)。
【0112】
ポリホスファゼン−抗癌剤コンジュゲート化合物の合成
実施例14.[NP(MPEG550)1.5(LysEt−2’−aconitic−docetaxel)0.5の合成
実施例1で得られたポリホスファゼン誘導体(4.85g、5.0mmol)をメチレンクロライドに溶かした後、氷浴を用いて冷却させ、実施例8の2’−アコニチックドセタキセルNHSエステル(2’−aconitic−docetaxel−NHS、2.65g、2.5mmol)をメチレンクロライドに溶かした後、反応フラスコに添加する。十分に冷却した後、DIPEA(10ml)を添加した後、12時間低温(0〜5℃)を維持して反応させる。12時間後、反応溶媒を減圧蒸留して除去した後、再びエタノールに溶かして減圧蒸留する過程を2回繰り返す。減圧蒸留後得られる高分子物質を、再び少量のエタノールと多量の水に溶かして再結晶する。この時、溶けない沈殿物はメンブレンフィルタを用いて除去し、最後に、綺麗な溶液は限外濾過膜を用いて分離精製する。限外濾過膜を用いて精製する時は、初期にはエタノール30%(v/v)溶液を用いて5回洗浄した後、再び純粋な水に切り替えて5回洗浄、濃縮させる。こうして得られた濃縮溶液を凍結乾燥して、最終ポリホスファゼン−薬物コンジュゲート化合物[NP(MPEG550)1.5(LysEt−2’−aconitic−docetaxel)0.5を得る。(収率=90%)
【0113】
組成式:C13222559
元素分析理論値(%):C,54.89;H,7.85;N,2.42。測定値(%):C,53.62:H,7.92;N,2.67。
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl)(δ,ppm):1.13ppm(s,1.5H,C17−CH),1.24ppm(s,1.5H,C16−CH),1.34ppm(bs,4.1H,C60−t Bu),1.75ppm(s,1.5H,C19−CH),1.96ppm(s,1.5H,C18−CH),2.18ppm(d,1.0H,C14−CH),2.43ppm(s,1.5H,C22−CH),4.21ppm(d,0.5H,C20−CH),4.24ppm(m,0.5H,C7−CH),4.32ppm(d,0.5H,C20−CH),4.95ppm(dd,0.5H,C5−CH),5.23ppm(d,0.5H,C10−CH),5.40ppm(d,0.5H,C30−CH),5.69ppm(d,0.5H,C2−CH),7.51ppm(m,1.0H,C33,C27−CH),7.53(m,3.0H,C32,C34−CH;C31,C35−CH;C26,C28−CH),8.12(d,0.6H,C25,C29−CH),1.24(s,1.5H,Lys−OCHCH),1.29(bs,1H,Lys−CH),1.55ppm(bs,1H,Lys−CH2),1.80(bs,1H,Lys−CH),2.90(br,1H,Lys−e−CH),3.38ppm(s,4.50H,CHO−,PEG),and3.63ppm(m,66.0H,−CHCH−O−),4.4(s,0.51H,Lysine−CH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl,ppm):δ−0.014(s),δ−5.551(s)。
【0114】
実施例15.[NP(MPEG550)1.5(LysEt)0.2(LysEt−2’−aconitic−docetaxel)0.3の合成
実施例1で得られたポリホスファゼン誘導体(9.7g、10.0mmol)、実施例8の2’−アコニチックドセタキセルNHSエステル(3.18g、3.0mmol)、そしてDIPEA(5ml)を用いて、実施例14と同様の方法で、最終ポリホスファゼン−薬物コンジュゲート化合物[NP(MPEG550)1.5(LysEt)0.2(LysEt−2’−aconitic−docetaxel)0.3を得る。(収率=90%)
【0115】
組成式:C112.42034.651.8
元素分析理論値(%):C,53.79;H,8.15;N,2.57。測定値(%):C,53.48:H,8.31;N,2.64。
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl)(δ,ppm):1.13ppm(s,0.9H,C17−CH),1.24ppm(s,0.9H,C16−CH),1.34ppm(bs,3.31H,C60−t Bu),1.75ppm(s,0.9H,C19−CH),1.96ppm(s,0.9H,C18−CH),2.18ppm(d,0.6H,C14−CH),2.43ppm(s,0.9H,C22−CH),4.21ppm(d,0.3H,C20−CH),4.24ppm(m,0.3H,C7−CH),4.32ppm(d,0.3H,C20−CH),4.95ppm(dd,0.31H,C5−CH),5.23ppm(d,0.3H,C10−CH),5.40ppm(d,0.3H,C30−CH),5.69ppm(d,0.3H,C2−CH),7.51ppm(m,0.6H,C33,C27−CH),7.53(m,1.8H,C32,C34−CH;C31,C35−CH;C26,C28−CH),8.12(d,0.6H,C25,C29−CH),1.24(s,1.5H,Lys−OCHCH),1.29(bs,1H,Lys−CH),1.55ppm(bs,1H,Lys−CH2),1.80(bs,1H,Lys−CH),2.90(br,1H,Lys−e−CH),3.38ppm(s,4.50H,CHO−,PEG),and3.63ppm(m,66.0H,−CHCH−O−),4.4(s,0.51H,Lysine−CH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl,ppm):δ−0.014(s),δ−5.551(s)。
【0116】
実施例16.[NP(MPEG750)1.5(LysEt)0.2(LysEt−2’−aconitic−docetaxel)0.3の合成
実施例2のポリホスファゼン(12.3g、10mmol)と実施例11の2’−アコニチックドセタキセルNHSエステル(5.3g、5.0mmol)、そしてDIPEA(10ml)を用いて、実施例14と同様の方法で、最終ポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲート化合物[NP(MPEG750)1.5(LysEt)0.2(LysEt−2’−aconitic−docetaxel)0.3を得る。(収率=89%)
【0117】
組成式:C136.42514.663.8
元素分析理論値(%):C,53.92;H,8.33;N,2.12。測定値(%):C,53.27:H,8.45;N,2.31。
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl)(δ,ppm):1.13ppm(s,0.9H,C17−CH),1.24ppm(s,0.9H,C16−CH),1.34ppm(bs,3.31H,C60−t Bu),1.75ppm(s,0.9H,C19−CH),1.96ppm(s,0.9H,C18−CH),2.18ppm(d,0.6H,C14−CH),2.43ppm(s,0.9H,C22−CH),4.21ppm(d,0.3H,C20−CH),4.24ppm(m,0.3H,C7−CH),4.32ppm(d,0.3H,C20−CH),4.95ppm(dd,0.31H,C5−CH),5.23ppm(d,0.3H,C10−CH),5.40ppm(d,0.3H,C30−CH),5.69ppm(d,0.3H,C2−CH),7.51ppm(m,0.6H,C33,C27−CH),7.53(m,1.8H,C32,C34−CH;C31,C35−CH;C26,C28−CH),8.12(d,0.6H,C25,C29−CH),1.24(s,1.5H,Lys−OCHCH),1.29(bs,1H,Lys−CH),1.55ppm(bs,1H,Lys−CH2),1.80(bs,1H,Lys−CH),2.90(br,1H,Lys−ε−CH),3.38ppm(s,4.50H,CHO−,PEG),and3.63ppm(m,98.0H,−CHCHO−),4.0(bs,4H,MPEG750−CH),4.51(s,0.51H,Lysine−CH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl,ppm):δ−0.014(s),δ−5.551(s)。
【0118】
実施例17.[NP(MPEG1000)1.5(LysEt)0.2(LysEt−2’−aconitic−docetaxel)0.3の合成
実施例3のポリホスファゼン(15.6g、10mmol)と実施例8の2’−アコニチックドセタキセルactive ester(5.3g、5.0mmol)、そしてDIPEA(10mml)を用いて、実施例14と同様の方法で、最終ポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲート化合物[NP(MPEG1000)1.5(LysEt)0.2(LysEt−2’−aconitic−docetaxel)0.3を得る。(収率=89%)
【0119】
組成式:C172.43234.648.2
元素分析理論値(%):C,54.04、H,8.50;N,1.68。測定値(%):C,53.71:H,8.74;N,2.01。
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl)(δ,ppm):1.13ppm(s,0.9H,C17−CH),1.24ppm(s,0.9H,C16−CH),1.34ppm(bs,3.31H,C60−t Bu),1.75ppm(s,0.9H,C19−CH),1.96ppm(s,0.9H,C18−CH),2.18ppm(d,0.6H,C14−CH),2.43ppm(s,0.9H,C22−CH),4.21ppm(d,0.3H,C20−CH),4.24ppm(m,0.3H,C7−CH),4.32ppm(d,0.3H,C20−CH),4.95ppm(dd,0.31H,C5−CH),5.23ppm(d,0.3H,C10−CH),5.40ppm(d,0.3H,C30−CH),5.69ppm(d,0.3H,C2−CH),7.51ppm(m,0.6H,C33,C27−CH),7.53(m,1.8H,C32,C34−CH;C31,C35−CH;C26,C28−CH),8.12(d,0.6H,C25,C29−CH),1.24(s,1.5H,Lys−OCHCH),1.29(bs,1H,Lys−CH),1.55ppm(bs,1H,Lys−CH),1.80(bs,1H,Lys−CH),2.90(br,1H,Lys−ε−CH),3.38ppm(s,4.50H,MPEG−CHO−),and3.63ppm(m,128H,MPEG−CHCHO),4.0(bs,4H,MPEG1000−CH),4.51(s,0.51H,Lysine−CH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl,ppm):δ−0.014(s),δ−5.551(s)。
【0120】
実施例18.[NP(MPEG550)1.0(LysEt)0.5(LysEt−2’−aconitic−docetaxel)0.5の合成
実施例5のポリホスファゼン(7.7g、10mmol)と実施例11の2’−アコニチックドセタキセルNHSエステル(6.36g、6.0mmol)、そしてDIPEA(10mml)を用いて、実施例14と同様の方法で、最終ポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲート化合物[NP(MPEG550)1.0(LysEt)0.5(LysEt−2’−aconitic−docetaxel)0.5を得る。(収率=89%)
【0121】
組成式:C11519148
元素分析理論値(%):C,55.21;H,7.70;N,3.92。測定値(%):C,54.92:H,8.01;N,3.99。
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl)(δ,ppm):1.13ppm(s,0.9H,C17−CH),1.24ppm(s,0.9H,C16−CH),1.34ppm(bs,3.31H,C60−t Bu),1.75ppm(s,0.9H,C19−CH),1.96ppm(s,0.9H,C18−CH),2.18ppm(d,0.6H,C14−CH),2.43ppm(s,0.9H,C22−CH),4.21ppm(d,0.3H,C20−CH),4.24ppm(m,0.3H,C7−CH),4.32ppm(d,0.3H,C20−CH),4.95ppm(dd,0.31H,C5−CH),5.23ppm(d,0.3H,C10−CH),5.40ppm(d,0.3H,C30−CH),5.69ppm(d,0.3H,C2−CH),7.51ppm(m,0.6H,C33,C27−CH),7.53(m,1.8H,C32,C34−CH;C31,C35−CH;C26,C28−CH),8.12(d,0.6H,C25,C29−CH),1.24(s,3.0H,Lys−OCHCH),1.29(bs,2H,Lys−CH),1.55ppm(bs,2H,Lys−CH2),1.80(bs,2H,Lys−CH),2.90(br,2H,Lys−e−CH),3.38ppm(s,3.00H,CHO−,PEG),and3.63ppm(m,44.0H,−CHCH−O−),4.4(s,0.51H,Lysine−CH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl,ppm):δ−0.014(s),δ−5.551(s)。
【0122】
実施例19.[NP(MPEG550)1.5(GlyLysEt)0.2(GlyLysEt−2’−aconitic−docetaxel)0.3の合成
実施例6のポリホスファゼン(10.4g、10mmol)と実施例8の2’−アコニチックドセタキセルNHSエステル(5.3g、5.0mmol)、そしてDIPEA(10mml)を用いて、実施例14と同様の方法で、最終ポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲート化合物[NP(MPEG550)1.5(GlyLysEt)0.2(GlyLysEt−2’−aconitic−docetaxel)0.3を得る。(収率=89%)
【0123】
組成式:C114.42065.652.8
元素分析理論値(%):C,53.53;H,8.09;N,3.06。測定値(%):C,52.98:H,8.23;N,3.19。
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl)(δ,ppm):1.13ppm(s,0.9H,C17−CH),1.24ppm(s,0.9H,C16−CH),1.34ppm(bs,3.31H,C60−t Bu),1.75ppm(s,0.9H,C19−CH),1.96ppm(s,0.9H,C18−CH),2.18ppm(d,0.6H,C14−CH),2.43ppm(s,0.9H,C22−CH),4.21ppm(d,0.3H,C20−CH),4.24ppm(m,0.3H,C7−CH),4.32ppm(d,0.3H,C20−CH),4.95ppm(dd,0.31H,C5−CH),5.23ppm(d,0.3H,C10−CH),5.40ppm(d,0.3H,C30−CH),5.69ppm(d,0.3H,C2−CH),7.51ppm(m,0.6H,C33,C27−CH),7.53(m,1.8H,C32,C34−CH;C31,C35−CH;C26,C28−CH),8.12(d,0.6H,C25,C29−CH),1.24(s,1.5H,Lys−OCHCH),1.29(bs,1H,Lys−CH),1.55ppm(bs,1H,Lys−CH2),1.80(bs,1H,Lys−CH),2.90(br,1H,Lys−e−CH),3.38ppm(s,4.50H,CHO−,PEG),and3.63ppm(m,66.0H,−CHCH−O−),3.98(bs,2H,Gly−CH),4.4(s,0.51H,Lysine−CH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl,ppm):δ−0.014(s),δ−5.551(s)。
【0124】
実施例20.[NP(MPEG550)1.50(LysEt)0.2(LysEt−2’−succinylpaclitaxel)0.3の合成
実施例1のポリホスファゼン(9.7g、10.0mmol)と文献(C.M.Huang,et al.Chem.BioL2000,7,453)に知られた方法通りに合成した2’−スクシニルパクリタキソール(5.26g、5.0mmol)を、DCI(20mmol、2.54g)とDIPEA(10mml)を用いて、一般的なエステル結合方法を利用してポリホスファゼン高分子に化学結合させた。反応液は減圧濾過後、減圧蒸留して乾燥した後、実施例14と同様の方法で、最終ポリホスファゼン−パクリタキソールコンジュゲート化合物[NP(MPEG550)1.50(LysEt)0.2(LysEt−2’−succinylpaclitaxel)0.3を合成する。(収率=90%)
【0125】
組成式:C113.62024.651.8
元素分析理論値(%):C,54.49;H,8.12;N,2.57。測定値(%):C,54.15;H,8.26;N,2.61。
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl)(δ,ppm):1.25(s,1.5H,Lys−OCHCH),2.49(br,1.00H,suucinyl−CH),2.90(br,1.00H,Lys−ε−CH),3.38(s,4.50H,MPEG550−OCH),3.65(br,66.0H,MPEG550−OCHCH),1.13(s,12H),1.25(s,12H),1.35(s,36H),1.68(m,8H),1.75(s,12H),1.86(m,8H),1.96(s,12H),2.36(m,20H),2.60(m,4H),3.98(s,8H),4.06(d,8H),4.30(m,12H),4.33(m.8H),4.97(d,4H),5.22(m,4H),5.36(s,4H),5.60(m,4H),5.69(m,8H),6.20(t,4H),7.33(m,8H),7.41(m,8H),7.52(m,8H),7.61(m,4H),7.33(m,4H),8.12(d,8H)
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl,ppm):δ−0.014(s),δ−5.551(s)。
【0126】
実施例21.[NP(MPEG550)1.50(GlyLysEt−2’−succinylpaclitaxel)0.50の合成
実施例6のポリホスファゼン(10.4g、10mmol)と文献の知られた方法通りに合成した2’−スクシニルパクリタキソール(7.36g、7.0mmol)を、DCI(20mmol、2.54g)とDIPEA(10mml)を用いて、一般的なエステル結合方法を利用してポリホスファゼン高分子に化学結合させた。反応液は減圧濾過後、減圧蒸留して乾燥した後、実施例14と同様の方法で、最終ポリホスファゼン−パクリタキソールコンジュゲート化合物[NP(MPEG550)1.50(GlyLysEt−2’−succinylpaclitaxel)0.50を合成する。(収率=80%)
【0127】
組成式:C13622658
元素分析理論値(%):C,55.67;H,7.76;N,2.86。測定値(%):C,55.36:H,7.99;N,2.93。
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl)(δ,ppm):1.25(s,1.5H,Lys−OCHCH),2.49(br,1.00H,suucinyl−CH),2.90(br,1.00H,Lys−ε−CH),3.38(s,4.50H,MPEG550−OCH),3.65(br,66.0H,MPEG550−OCHCH),1.13(s,12H),1.25(s,12H),1.35(s,36H),1.68(m,8H),1.75(s,12H),1.86(m,8H),1.96(s,12H),2.36(m,20H),2.60(m,4H),3.98(s,8H),4.06(d,8H),4.30(m,12H),4.33(m.8H),4.97(d,4H),5.22(m,4H),5.36(s,4H),5.60(m,4H),5.69(m,8H),6.20(t,4H),7.33(m,8H),7.41(m,8H),7.52(m,8H),7.61(m,4H),7.33(m,4H),8.12(d,8H)
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl,ppm):δ−0.014(s),δ−5.551(s)。
【0128】
実施例22.[NP(MPEG550)1.50(Nα−BocLys)0.2(Nα−BocLys−docetaxel)0.3の合成
実施例7のポリホスファゼン(9.57g、10.0mmol)とドセタキセル(10.6g、10.0mmol)を真空乾燥した後、よく乾燥した有機溶媒であるテトラヒドロフラン、メチレンクロライド、またはクロロホルムなどの有機溶媒に溶かす。反応容器を氷浴を用いて冷却させた後、同じ溶媒に溶かしたDCI(20mmol、2.54g)とDIPEA(10mml)を徐々に反応容器に添加する。この状態で、低温(0℃)で24時間反応させた後、反応液は減圧濾過後、減圧蒸留して乾燥した後、実施例14と同様の方法で、最終ポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲート化合物[NP(MPEG550)1.50(Nα−BocLys)0.2(Nα−BocLys−docetaxel)0.3を合成する。(収率=60%)
【0129】
組成式:C113.8204.24.650.8
元素分析理論値(%):C,54.42;H,8.19;N,2.57。測定値(%):C,55.06;H,7.98;N,2.60。
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl)(δ,ppm):1.25(s,1.5H,Lys−OCHCH),2.49(br,1.00H,suucinyl−CH),2.90(br,1.00H,Lys−ε−CH),3.38(s,4.50H,MPEG550−OCH),3.65(br,66.0H,MPEG550−OCHCH),1.13(s,12H),1.25(s,12H),1.35(s,36H),1.68(m,8H),1.75(s,12H),1.86(m,8H),1.96(s,12H),2.36(m,20H),2.60(m,4H),3.98(s,8H),4.06(d,8H),4.30(m,12H),4.33(m.8H),4.97(d,4H),5.22(m,4H),5.36(s,4H),5.60(m,4H),5.69(m,8H),6.20(t,4H),7.33(m,8H),7.41(m,8H),7.52(m,8H),7.61(m,4H),7.33(m,4H),8.12(d,8H)
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl,ppm):δ−0.014(s),δ−5.551(s)。
【0130】
実施例23.[NP(MPEG550)1.5(LysEt)0.2(LysEt−2’−aconitic−camptothecin)0.3の合成
実施例1のポリホスファゼン(9.7g、10.0mmol)と前記合成した実施例12の20−aconitic−camptothecin−NHSエステル(2.5g、5.03mmol)を、実施例14と同様の方法で反応させて、最終ポリホスファゼン−カンプトテシンコンジュゲート化合物[NP(MPEG550)1.5(LysEt)0.2(LysEt−2’−aconitic−camptothecin)0.3を合成する(収率:75%)。
【0131】
組成式:C98.6180.85.245.8
元素分析理論値(%):C,53.01;H,8.16;N,3.26。測定値(%):C,52.61;H,8.42;N,3.34。
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl)(δ,ppm):0.9(t,3H,C18−CH3),2.0(m,2H,C19−CH),2.64(t,4H,NHS−CHCH),2.92(s,2H,aconitic−CH),4.20(d,2H,C5−CH),4.76(m,2H,C22−CH),6.40−6.68(m,1H,aconitic−CH),6.70(s,1H,C14−CH),7.59(s,1H,C11−CH),7.80(m,2H,C12−CH;C7−CH),8.0(m,2H,C9−CH;C12−CH),1.24(s,1.5H,Lys−OCHCH),1.29(bs,1H,Lys−CH),1.55ppm(bs,1H,Lys−CH2),1.80(bs,1H,Lys−CH),2.90(br,1H,Lys−e−CH),3.38ppm(s,4.50H,CHO−,PEG),and3.63ppm(m,66.0H,−CHCH−O−),4.4(s,0.51H,Lysine−CH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl,ppm):δ−0.014(s),δ−5.551(s)。
【0132】
実施例24.[NP(MPEG550)(LysEt)(aconitic−glycylcamptothecin)]の合成
実施例5の薬物伝達体[NP(MPEG550)(LysEt)](0.5g、0.25mmol)と実施例13で合成したcamptothecin前駆体CPT−Gly−ACA−NHSエステル(0.17g、0.25mmol)を、実施例14と同様の方法で反応させて、最終ポリホスファゼン−カンプトテシンコンジュゲート化合物[NP(MPEG550)(LysEt)(aconitic−glycylcamptothecin)]を合成する(収率:85%)。
【0133】
組成式:C11119150
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl)(δ,ppm):H NMR(DMSO,ppm):0.89−0.92(brm,3H,−CHof CPT−C18),1.13−1.58(brm,6H,−CHof lysine),2.12−2.17(brm,2H,−CHof CPT−C−19),3.01(s,2H,−CHof cis−aconitate),3.21(s,9H,−OCHof MPEG),3.34−3.54(brm,144H,−CH−CHof MPEG),3.94−4.41(brm,5H,−CHofg lycine,P−NH−CHof lysine and=CH of cis−aconitate),5.29(brs,2H,−CHof CPT−C5),5.47(brs,2H,−CHof CPT−C22),7.15−7.17(m,1H,=CH of CPT−C14),7.69−7.72(m,1H,=CH of CPT−C11),7.84−7.94(m,1H,=CH of CPT−C10)8.10−8.21(m,2H,=CH of CPT−C12 and CPT−C9),8.68(brs,1H,=CH of CPT−C7).31P NMR(DMSO,ppm):δ−5.19(O−P−O),0.85(O−P−N)。
【0134】
実施例25.[NP(MPEG550)(AE)(ACA)Pt(dach)]の合成
実施例8の薬物伝達体[NP(MPEG550)(AE)](1g、1.5mmol)を0.5M酸性炭酸ナトリウム水溶液(pH=9.0、50ml)に溶かした後、これに、cis−aconitic anhydride(2.35g、15mmol)を加えた後、4℃で5時間反応させた後、セルロースメンブレン(MWCO:3.5kD)で透析して精製すると、リンカーのアコニット酸(ACA)が高分子に結合された中間体[NP(MPEG550)(AE)(ACA)]が得られる。この溶液に水酸化バリウム(1.33mmol)のメタノール(20ml)溶液を加えた後、常温で5時間かき混ぜた後、減圧蒸留して乾燥させる。乾燥した固体を再び蒸留水(10ml)に溶かした後、これに、白金錯体抗癌成分を含む硫酸塩(dach)Pt(SO)(dach:trans−1,2−diaminocyclohexane)(0.49g、1.21mmol)の水溶液(10ml)を徐々に加えた後、常温で3時間以上反応させた後、沈殿副産物の硫酸バリウムを濾過/除去し、セルロースメンブレン(MWCO:3.5kD)で透析後、凍結乾燥すると、化合物[NP(MPEG550)(AE)(ACA)Pt(dach)]を得る(収率:74%)。
【0135】
組成式:C397319PPt.H
元素分析理論値(%):C,40.83;H,6.54;N,4.88。測定値:C,40.54;H,6.34;N,4.62。
水素核磁気共鳴スペクトル(DO,ppm):1.04−1.20(brm,4H,C−4,C−5 of dach),1.44(brs,2H,C−3 of dach),1.82−1.93(brm,2H,C−6 of dach),2.02−2.52(brm,2H,C−1,C−2 of dach),3.26(s,3H,OCHof MPEG),3.41−3.45(m,6H,CHof cis−aconitate and aminoethanol),3.47−3.81(brm,46H,−O−CHof MPEG),3.95−4.21(brm,2H,−P−O−CH− of MPEG),4.69(s,1H,−C=CH− of cis−aconitate)。
リン核磁気共鳴スペクトル(DO,ppm):−4.53(O−P−O)。
【0136】
実施例26.[NP(MPEG750)(AE)(ACA)Pt(dach)]の合成
実施例9で合成した薬物伝達体[NP(MPEG750)(AE)](1g、1.19mmol)、cis−aconitic anhydride(1.86g、11.91mmol)、Ba(OH).8HO(0.35g、1.11mmol)、そして(dach)Pt(SO)(0.4g、0.99mmol、pH=−7.2)を用いて、実施例25と同様の方法で、高分子白金錯体化合物[NP(MPEG750)(AE)(ACA)Pt(dach)]を得る(収率:72%)。
【0137】
組成式:C478923PPt.H
元素分析理論値(%):C,42.65;H,6.88;N,4.23。測定値:C, 42.32;H,7.64;N,3.88。
水素核磁気共鳴スペクトル(DO,ppm):1.05−1.21(brm,4H,C−4,C−5 of dach),1.47(brs,2H,C−3 of dach),1.80−1.93(brm,2H,C−6 of dach),2.01−2.45(brm,2H,C−1,C−2 of dach),3.27(s,3H,−OCH of MPEG),3.41−3.45(m,6H,−CHof cis−aconitate and aminoethanol),3.50−3.72(brm,62H,−CHof MPEG),3.99−4.13(brm,2H,−P−O−CHof MPEG),4.70(s,H,−C=CH− of cis−aconitate)。
リン核磁気共鳴スペクトル(DO,ppm):−4.52(O−P−O)。
【0138】
実施例27.[NP(MPEG550)(LysEt)(ACA)Pt(dach)]の合成
実施例5の薬物伝達体[NP(MPEG550)(LysEt)](1g、1.28mmol)、リンカーのcis−aconitic anhydride(ACA)(2g、11.91mmol)、そしてBa(OH).8HO(0.44g、1.39mmol)、および(dach)Pt(SO)(0.52g、1.28mmol)を、実施例25と同様の方法で、高分子白金錯体化合物[NP(MPEG550)(LysEt)(ACA)Pt(dach)]を得る(Yield:79%)。
【0139】
組成式:C458420PPt.H
元素分析理論値(%):C,42.88;H,6.83;N,5.56。測定値:C,42.63;H,6.61;N,5.42。
水素核磁気共鳴スペクトル(DO,ppm):1.07−1.21(brm,7H,−CH,−(CH of lysine),1.43−1.48(brm,6H,−C−3,−C−4,C−5 of dach),1.80−1.93(brm,8H,−CHlysine and −C−6 of dach),2.02−2.26(brm,2H,C−1,C−2 of dach),2.82(brs,2H,−CHof cis−aconitate),3.26(s,3H,−OCHof MPEG),3.44−3.72(brm,46H,−CH−CHof MPEG),3.96−4.03(brm,3H,−CHof ethylester and −N−CH of lysine),4.62(s,1H,=CH of cis−aconitate)。
【0140】
実験例
[物性測定および効能試験]
実験例1.ミセルの形成に対する実験
実施例1のポリホスファゼン化合物および実施例14のポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲートをそれぞれ水に溶かして(0.2%wt./wt.)、DLS(Dynamic Light Scattering)法でこれらの粒度とゼータ電位(zeta potential、ξ)を測定し、有意な結果を図1図2、および図3に示した。
【0141】
図1からみると、ドセタキセルをコンジュゲーションさせる前には、ポリホスファゼン高分子の水溶液での平均粒子サイズが3nm〜4nm程度でミセルを形成せず、流体力学的粒子(hydrodynamic volume)の大きさを示している。これは、ポリホスファゼンに導入されたリシン置換基がpH7.4で陽イオン性(図2)を呈するため、親水性が強いユニマー(unimer)状態でいながら、疎水性薬物のドセタキセルがコンジュゲーションされると、0.2%の濃度でその平均直径が60nmの大きさに大きくなることが確認された(図3)。このように粒子の平均直径が20倍程度増加することは、ポリホスファゼン薬物伝達体が疎水性薬物とコンジュゲーションされながら、親水性高分子から両親媒性高分子にその性格が変わってミセルを形成することを確認することができた。また、ミセルの大きさは、5〜70℃の温度範囲で5℃間隔で測定した結果、温度に関係なく、一定の粒子サイズを有することを確認した。
【0142】
実験例2.ポリホスファゼン−パクリタキセルコンジュゲートのミセルの臨界濃度の測定
前記実験例1から明らかなように、本発明のポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲート化合物は、水溶液でミセルを形成するが、これら薬物が静脈注射用ミセル形態の注射剤として使用されるには、安定したミセルが形成されて疎水性の薬物を保護する機能をしなければならない。このようなミセルの安定度は、ミセルの臨界濃度(CMC:critical micelle concentration)で表示され、臨界濃度の測定方法には様々な方法が知られているが、pyrene蛍光法が最も広く使用されている。したがって、その方法(Kalyanasundoram,K.;Thomas,J.K.J.Am.Chem.Soc.,1988,99,2039)によって、次のように試験を行った。
【0143】
まず、6×10−7Mの濃度でpyrene水溶液を作った後、実施例20のポリホスファゼン−パクリタキセルコンジュゲートを5.0〜0.0005%(wt/wt)の濃度に溶かした試料を作った。蛍光分光分析器を用いて、339nm波長(lex)での蛍光スペクトルと390nm波長(lem)でのスペクトルを測定した後、バンドIの蛍光強度とバンドIIIの蛍光強度の比を用いてミセルの臨界濃度を決定して、その結果を図4に示した。
【0144】
このように決定された実施例1のポリホスファゼン−パクリタキセルコンジュゲートの臨界濃度は41mg/Lの非常に低い濃度で測定され、静脈注射する場合、血中でもミセル形態が維持できることが期待される。この結果は薬物の疎水性に起因すると推定される。
【0145】
実験例3.高分子化合物の生分解性に対する実験
装備:Yonglin GPC systems
流速:1ml/min
移動相:水(8)/アセトニトリル(2)(0.5%NaNO添加剤添加)
カラム:Waters Hydrogel HR column(1xguard、1xlinear、2xHR2)
【0146】
実施例20のポリホスファゼン−パクリタキセルコンジュゲート250mgをpH5.4とpH7.4のバッファー(PBS)溶液5mlにそれぞれ溶かした後、37℃の恒温槽で徐々に撹拌しながら、定められた時間ごとに(0.5/1/2/4/6/8/16Day)500μlずつ取って、凍結乾燥した。凍結乾燥した各試料にTHFを添加してよく溶かした後、0.45マイクロシリンジフィルタで濾過した後、その濾過液を減圧蒸留して真空乾燥した。その後、0.2%のターシャリーブチルアンモニウムブロミドを含有したTHFを用いて、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)で分解された高分子分布を分析して、図5に示した。
【0147】
図5から明らかなように、初期2日目までは10,000〜15,000Da程度分子量が急激に減少するが、4日目からは分子量が徐々に減少する。また、pH7.4では、pH5.4においてより分解される程度がやや少ないことが分かる。この結果は、体内条件が中性のpH7.4ではポリマー基本骨格が相対的に安定しており、癌細胞がある組織のpHであるpH5.4ではポリマー基本骨格がより良く分解されることを意味するもので、癌細胞組織で薬物を体内により良く放出させることができると推定される。そして、ポリマー基本骨格の半減期は約16日程度と長い時間体中で長い間循環することができて、薬物を運搬するのに好適な物質であると予想される。また、この半減期に対する情報は、静脈注射用薬物伝達体の体外排出時間の調節において非常に重要な意味を有する。本発明では、多様な分子量範囲の高分子を分離分取し、これらの体内挙動と排出、そして加水分解される半減期を用いて、所望の時間内に体外排出可能な高分子型薬物伝達体の合成における基礎資料とし、薬物伝達体の分子量分布とその半減期の相関関係を利用して、薬物の用途に合った薬物伝達体の分子量範囲を選択して使用することができる。
【0148】
実験例4.ポリホスファゼン高分子化合物の癌組織選択性に対する実験
装備:Kodak image station4000mm digital imaging system(Kodak,New Haven,CT)。
Excitation and emition filter:Omega Optical,Battlebor,VT(ex:560nm、em:700nm)。
【0149】
実験動物は8週齢CH3/HeNヌードマウス(nude mouse)(Instityte of Medical Science、Tokyo)を用意した後、滅菌した場所で滅菌した餌と水を飲ませ、自由に運動をさせて用意した。癌細胞(A549)(1x10)をマウスに移植した後、癌組織の大きさが300mmの時まで癌組織を育てた後、マウスを2つのグループに分けた。1グループはCy5.5が付いているポリホスファゼン高分子を注入し、他の1グループは薬物処理せずに対照群として使用した。定められた時間にマウスを解剖して、正常筋肉(part of biceps femoris)、癌組織、肝、腎臓、肺、心臓、脾臓などの主要組織を丸ごと摘出した。摘出された組織の近赤外線(680nm to 720nm)蛍光イメージ(NIR fluorescence image)をCCDカメラ(Kodak Image Station4000MM)で測定した。
【0150】
実施例1で合成したポリホスファゼン系高分子化合物に対する癌組織選択性に対する実験を、Kodak image station4000mmを用いたex vivo長期分布実験を通して確認した。前記合成した高分子に、NIRF(near infra−red fluorescence)物質のCy5.5で標識したマウスモデルを用いて、高分子物質の組織分布および血液内挙動を確認した。Cy5.5がラベリングされているポリホスファゼン系高分子化合物をi.v.でマウスに注射した後、12時間、24時間、48時間、そして72時間の時間間隔で主要臓器である肝(1)、肺(2)、腎臓(3)、脾臓(4)、癌組織(5)、正常組織(6)(図6(a))、そして血液(図6(b))をそれぞれ摘出して、図6に示した。特に、ポリホスファゼン高分子の組織分布(図6a)をみると、蛍光強度からみて、他の組織に比べて癌組織(5)にはるかに多く蓄積されることが分かった。前記実験例1から明らかなように、ポリホスファゼン高分子は親水性で粒子サイズも非常に小さいユニマー(unimer)であって、このように優れた癌組織選択性を示す理由は、高分子成分であるリシンのアルファ−アミン基による陽イオン性(図2参照)と粒子の表面をなすポリエチレングリコールによる長期循環性(long circulation)のためと推定される。
【0151】
実験例5.ポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲートの癌組織選択性に対する実験
実施例14で合成したポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲートに、前記実験例4と同様の方法でCy5.5で標識した後、マウスモデルを用いてポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲートの組織分布を比較した(図7)。コンジュゲートの組織分布に対する定量は、Cy5.5が付いている試料が注入されたマウスの組織と、処理されていない対照群マウス組織の近赤外線蛍光強度の比率を測定して、その結果を図8に示した。
【0152】
図7から明らかなように、24時間と48時間とも癌組織で高い蛍光強度を示すことが分かり、他の器官には癌組織に比べて相対的に少なく分布していることを確認した。また、24時間よりは、48時間経過後により高い蛍光強度を示すことから、ポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲートが血液内で長時間(>48時間)循環し、特に癌組織に多く蓄積されることを確認することができた。また、各組織ごとに比較測定したポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲートの組織分布をグラフで示すと、図8の通りである。この図からみると、本発明のポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲート化合物が体内のどの主要組織よりも癌組織に圧倒的に蓄積されており、したがって、優れた癌組織選択性を示すことを明らかに示している。
【0153】
実験例6.ポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲート中のドセタキセル含有量の測定法
薬物の含有量は、H−NMR(Varian500Hz)法を利用した面積積分値の比率、UVスペクトル(Perkin Elmer、Lamda)を用いた吸光度法、そしてHPLC法などを利用して測定した。H−NMR法を利用する場合には、薬物含有量の誤差範囲が大きく測定される傾向があり、UVスペクトルまたはHPLCを用いて薬物の含有量を測定した。高濃度ではあるが、薬物がポリホスファゼン骨格に近接しているため、NMR法で薬物の含有量を測定するには誤差範囲が大きくて、UVとHPLC法を交差定量して薬物の含有量を測定した。まず、H−NMRを用いた方法では、ポリホスファゼン内にあるMPEG(−OCHCHOCH)のターミナルmethoxy(3H、−CH)protonの個数とドセタキセルの7.33ppm(C10、2H)の積分値を比較して定量した。
【0154】
UVを用いた定量法を述べると、水:アセトニトリルを1:1で混ぜた溶液(10ml)を用いて、ドセタキセル(10.0mg)を完全に溶かした後、これを1/2倍ずつ6回希釈すなわち、1mg/ml(1mg/ml)、1/2mg/ml(0.5mg/ml)、1/4mg/ml(0.25mg/ml)、1/8mg/ml(0.125mg/ml)、1/16mg/ml(0.0625mg/ml)、1/32mg/ml(0.03225mg/ml)に希釈して標準定量曲線グラフを得、これを用いて高分子中のドセタキセルの含有量を定量した。この時、干渉現象を示すことができる実施例1と実施例11のアコニチックグループのスペクトルは、定量に使用した230nm波長で吸光がないことを確認し、したがって、この方法が高分子内のドセタキセルの定量に最も好適な方法であることを確認し、これを用いて定量した。
【0155】
実験例7.ポリホスファゼン−2’−アコニチックドセタキセルコンジュゲートのin vitro薬物放出に対する実験
装備:Agilent1100 series with DAD detector(230nm)
カラム:Agilent Zobax Eclipse Plus C18 column(直径=4.6mm、長さ=150mm、particle size=3.5μm)
流速:1.0ml/min
移動相の組成:A:0.1%TFA in HO;B:Acetonitrile(isocratic method)
【0156】
本発明に使用した薬物のin vitro環境下での薬物放出実験は、HPLCを用いて進行させた。この時、定量曲線は、前記実験例6で製造した標準溶液を用いて得、3回繰り返し測定およびR値が許容可能な誤差範囲にあることを確認して、標準定量曲線に用いた。
【0157】
UVスペクトルを用いて薬物の濃度を決定した溶液を2.0mlHPLC用バイアルに500μLずつ入れる。このバイアルを37℃の培養器で定められた時間間隔の間培養した後、HPLCを撮る前に、再び500μLのアセトニトリルを添加して、沈殿物なしに完全に溶かした後、前記ドセタキセル分析法により放出されたドセタキセルの量を定量した。
【0158】
また、アコニチックスペーサは、酸性条件で薬物放出速度が速いため、この特徴を確認するために、前記のような方法で、pH5.4、7.4に対する実験も進行させた。ただし、pHが調節された放出溶媒を使用する場合には、アセトニトリルが添加されると、沈殿物を形成し得るため、アセトニトリルを添加した後、0.45μmシリンジフィルタを用いて沈殿物を除去した後、定量した。
【0159】
実験例8.ポリホスファゼン−パクリタキセルコンジュゲートの体外細胞毒性に対する実験
パクリタキセル抗癌剤は、乳癌などの女性癌に優れた治療効果を示すので、本体外細胞毒性(in vitro cytotoxicity)試験では、乳癌(MCF−7)と卵素癌(SK−OV3)、そして肺癌(A549)と胃癌(SNU638)などを選定して、癌細胞を二酸化炭素5%および空気95%が供給される37℃の細胞培養器内で培養した後、文献に報告されたSRB法(Rita Song外J.Control.Release105(2005)142−150)により細胞毒性を測定した。
【0160】
実験結果は、下記表1(体外細胞毒性に関する実験結果)に示した。表1から明らかなように、IC50値は標準パクリタキセルより高くなり、薬物のコンジュゲーション量の多い実施例17の場合、全体的により高い細胞毒性を示した。これは、疎水性薬物であるパクリタキセルのコンジュゲーション量が多くなると、CMCが低くなる実験結果と一致する結果であり、IC50値が高いことは、in vitro実験条件下で薬物の放出速度が相対的に遅いことを表す。
【0161】
【表1】
【0162】
実験例9.ポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲートの薬物動力学に対する実験
前記合成した実施例14のポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲートの体内挙動を確認するために、現在臨床で使用するドセタキセル製剤のタキソテール(登録商標)(Taxotere、(株)サノフィアベンティス)を対照物質として、Sprague−Dawlyラットを用いた薬物動力学実験を文献(Jun et al.Int.J.Pharm.422(2012)374−380)方法により行い、図9に時間に応じたドセタキセルのプラズマ濃度プロファイルを、そして表2に薬物動力学パラメータを示した。表と図からみると、ドセタキセル基準で同量(5mg/kg)を投与したにもかかわらず、初期濃度(C)が対照物質(8.764μg/ml)と比べて、本ポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲートの(0.263μg/ml)の場合に非常に低いことから、ポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲート薬物は、ほぼ中性の血中では分解せずに血中で循環していて、ほとんど毒性を示していないことを確認することができた。また、表からみると、ポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲート化合物の体内半減期(t1/2)が対照物質のタキソテールに比べて約10倍程度遅く、しかも、薬物の生体利用率を示すAUClast値は約2倍に達することにより、薬効にも優れていることを裏付けている。
【0163】
【表2】
【0164】
実験例10.ポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲートのxenograft抗癌活性に対する実験
実施例14のポリホスファゼン−ドセタキセルコンジュゲートの薬効を試験するために、現在臨床で使用するドセタキセル製剤のタキソテール(登録商標)(Taxotere、(株)サノフィアベンティス)を対照物質として、BALB/Cヌードマウスを用いて、ヒト癌細胞株の中でも最も難治癌に属する胃癌細胞株MKN−28に対するin vivo xenograft実験を、文献(Jun et al.Int.J.Pharm.422(2012)374−380)方法により行った。薬物投与量は、対照物質であるタキソテールの場合、ドセタキセル基準で最適な投与量と知られた10mg/kgに固定し、本コンジュゲート化合物投与量は、ドセタキセル基準で10mg/kgおよび20mg/kgとして3回(day1、5、9)投与した後、30日間癌組織の大きさを測定した。図10は、MKN28細胞株に対する抗癌活性を示し、図11では、タキソテールおよびコンジュゲート化合物投与開始から40日間の実験鼠の体重変化を示す。図10からみると、コンジュゲート化合物の抗癌効果が対照物質のタキソテールとほぼ対等であることが分かる。しかし、より重要なのは、図11に示された薬物投与期間中のヌードマウスの体重変化である。すなわち、図11を詳細に説明すれば、タキソテールの場合、マウスの平均体重が薬物投与直後に初期体重の約10%以上減少するのに対し、コンジュゲート化合物の場合、薬物投与期間中にも生理食塩水を投与した群と同一に体重増加が観察されることから、薬物による毒性が非常に低いと判断される。同じ方法で行った肺癌細胞株A549に対する実験結果を図12に示した。この図からみると、実施例14のコンジュゲート薬物の薬効がむしろ対照物質のタキソテールより優れていることが分かる。
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