特許第6867094号(P6867094)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6867094金属構成要素および官能性ポリマーマトリックスを含む複合材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6867094
(24)【登録日】2021年4月12日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】金属構成要素および官能性ポリマーマトリックスを含む複合材料
(51)【国際特許分類】
   C08L 15/00 20060101AFI20210419BHJP
   B60C 9/00 20060101ALI20210419BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20210419BHJP
   D07B 1/16 20060101ALI20210419BHJP
   D07B 1/06 20060101ALI20210419BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20210419BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20210419BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20210419BHJP
【FI】
   C08L15/00
   B60C9/00 J
   B60C9/00 K
   B60C1/00 C
   D07B1/16
   D07B1/06 A
   C08L9/00
   C08K3/04
   C08K3/013
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-524431(P2018-524431)
(86)(22)【出願日】2016年11月3日
(65)【公表番号】特表2018-536739(P2018-536739A)
(43)【公表日】2018年12月13日
(86)【国際出願番号】FR2016052843
(87)【国際公開番号】WO2017081387
(87)【国際公開日】20170518
【審査請求日】2019年11月5日
(31)【優先権主張番号】1560848
(32)【優先日】2015年11月13日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100179305
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 幸大
(72)【発明者】
【氏名】テュイリエ アンヌ−リーズ
(72)【発明者】
【氏名】ガヴァール−ロンシェ オディル
【審査官】 櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−152047(JP,A)
【文献】 特開昭58−193134(JP,A)
【文献】 特表2011−508068(JP,A)
【文献】 特表2013−521376(JP,A)
【文献】 特開昭62−149929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L,C08C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、金属表面を有する構成要素、および少なくとも1個の芳香族基を有する官能性ジエンポリマーを含むポリマーマトリックスをベースとする複合材料であって、前記芳香族基が、少なくとも2個のヒドロキシル官能基によって置換されており、前記ヒドロキシル官能基のうち2個がビシナルである、複合材料。
【請求項2】
構成要素の全体が、金属製である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
金属表面が、鉄、銅、亜鉛、スズ、アルミニウム、コバルトまたはニッケルを含む、請求項1または2に記載の複合材料。
【請求項4】
構成要素が、スレッドまたはコードである、請求項1から3のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項5】
芳香族基が、式(I)を有するジヒドロキシアリール基であり、式中、記号*は、官能性ジエンポリマーの鎖への直接的または間接的な連結を表す、請求項1から4のいずれか1項に記載の複合材料。
【化1】
【請求項6】
官能性ジエンポリマーが、ポリブタジエン、ポリイソプレン、1,3−ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらの混合物によって構成されるポリマーの群から選択される、請求項1から5のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項7】
ポリマーマトリックスが、ジエンエラストマーEdをさらに含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項8】
ポリマーマトリックス中に分散した補強充填剤をさらに含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項9】
補強要素およびカレンダー加工ゴムを含み、補強要素が埋め込まれている、補強された製品であって、それぞれの補強要素は請求項1〜4のいずれか1項に記載の構成要素からなり、カレンダー加工ゴムはポリマーマトリックスを含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項10】
タイヤ用の強化補強材である、請求項9に記載の複合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両用タイヤ、特に、カーカスプライまたはクラウンプライなどのラジアルカーカス補強材を有するタイヤのための補強構造物または補強材として使用することが意図される、金属およびジエンポリマーをベースとする複合材料の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の方法において、ラジアルカーカス補強材を有するタイヤは、トレッド、2つの非伸張性のビード、ビードをトレッドと連結する2つのサイドウォール、およびカーカス補強材とトレッドの間の周囲に配置されたベルトを含み、このベルトおよびカーカス補強材は、補強要素によって、または、例えば金属製のケーブルもしくはモノフィラメントなどの補強材によって補強された、様々なゴムのプライ(または「層」)からなる。したがって、スレッド要素で補強された補強プライは、粘性物質、および粘性物質中に埋め込まれた補強要素で構成される。粘性物質は、通常、ジエンエラストマー、天然ゴム、カーボンブラックなどの補強充填剤、硫黄および酸化亜鉛をベースとする架橋系をベースとしている。補強要素は、プライの内部で、互いにほぼ平行に配列される。
公知の方法において、タイヤの走行中に非常に強い応力にさらされる、これらのプライを補強するこれらの機能を効果的に実現させるために、これらの金属のスレッド補強要素は、金属疲労における高耐久性、高引張強度、耐摩耗性および耐腐食性、周囲のゴムとの強い接着性などの、非常に多くの数の相反することの多い技術基準を満たさなければならず、かつ、この性能を可能な限り長期間非常に高いレベルで維持する能力がなければならない。
【0003】
したがって、粘性物質と金属スレッド補強要素の間の接着が、この性能の耐久性における重要な性質であることは容易に理解される。例えば、粘性物質を鋼鉄と連結するための昔ながらのプロセスは、真ちゅう(銅−亜鉛合金)による鋼鉄の表面のコーティングからなり、鋼鉄と粘性物質の間の結合は、加硫中の真ちゅうの硫化、または粘性物質中に存在するエラストマーの硬化によって確立される。実際には、鋼鉄と粘性物質の間の接着は、遭遇する様々な応力、特に、機械的応力および/または熱応力の影響下で形成された硫化物が徐々に成長する結果として、経時的に弱くなり得ることは公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、タイヤ製造者は、既に存在する複合材料の代替の解決手段となり、密着していて硫化工程に頼る必要がない、金属およびジエンポリマーマトリックスをベースとする複合材料を見出すことに絶えず追われている。
これらの研究中に、出願人企業は、様々な金属について言及された課題を解決することを可能にする解決手段を発見した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明の第1の主題は、少なくとも、金属表面を有する構成要素、および少なくとも1個の芳香族基を有する官能性ジエンポリマーを含むポリマーマトリックスをベースとする複合材料であって、芳香族基が、少なくとも2個のヒドロキシル官能基によって置換されており、ヒドロキシル官能基のうち2個がビシナルである、複合材料である。
本発明は、本発明による複合材料を含むタイヤに関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
I.発明の詳細な説明
本明細書において、「aからbの間」という表現によって表される値の任意の範囲は、aよりも大きく、bよりも小さいことを示す値の範囲を表し(すなわち、境界のaおよびbは除かれる)、一方「a〜b」という表現によって表される値の任意の範囲は、aからbまでを示す値の範囲を意味する(すなわち、厳密に境界のaおよびbを含む)。
本明細書において、別段の明確な指示がない限り、示された全てのパーセント(%)は、質量%である。
【0007】
「少なくとも、構成要素およびポリマーマトリックスをベースとする」複合材料という表現は、構成要素およびポリマーマトリックスを含む複合材料であって、ポリマーマトリックスが、複合材料の製造の様々な段階中、特に、ポリマーマトリックスの架橋中、またはポリマーマトリックスの架橋前の複合材料の作製中に、構成要素の金属表面と反応することが可能である、複合材料を意味するものとして理解されるべきである。
本出願において、「芳香族基」という名称は、本発明に従って定義される少なくとも2個のビシナルのヒドロキシル官能基によって置換されており、かつその実施形態のいずれか1つによる本発明の必要性のために有用な官能性ジエンポリマーによって保持されている、芳香族基を表す。
本出願において、ヒドロキシル官能基は、OH基を指す。
【0008】
本発明による複合材料は、少なくとも、ポリマーマトリックスおよび金属表面を有する構成要素をベースとする。ポリマーマトリックスは、複合材料中に存在する全てのポリマー(すなわち、高分子鎖)を表す。構成要素の金属表面は、構成要素の全表面の全てまたは一部であってもよく、ポリマーマトリックスと接触する状態になること、すなわち、1つまたは複数のポリマーマトリックスのポリマーと接触する状態になることが意図されている。
本発明によれば、構成要素は、ポリマーマトリックスで、完全または部分的に覆われる。
本発明によれば、構成要素の一部のみが金属性であって、この部分が少なくとも金属性表面を構成するか、または構成要素の全体が金属性である。好ましくは、構成要素の全体が、金属製である。
【0009】
本発明の第1の変形形態によれば、構成要素の金属性表面は、構成要素の残部以外の材料製である。言い換えれば、構成要素は、金属性表面で構成される金属層によって、全体または一部分が覆われている材料製である。金属性表面によって、全部または一部分が覆われている材料は、金属性または非金属性、好ましくは金属性である。
本発明の第2の変形形態によれば、構成要素は、単一の材料製であり、この場合、構成要素は、金属性表面の金属と同一である金属製である。
本発明の有利な実施形態によれば、金属性表面は、鉄、銅、亜鉛、スズ、アルミニウム、コバルトまたはニッケルを含む。
【0010】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、金属性表面の金属は、鉄、銅、亜鉛、スズ、アルミニウム、コバルト、ニッケルおよびこれらの金属の少なくとも1つを含有する合金によって構成される群から選択される金属である。合金は、例えば、鋼鉄、青銅および真ちゅうなどの2元合金または3元合金であってもよい。好ましくは、金属性表面の金属は、鉄、銅、スズ、亜鉛またはこれらの金属の少なくとも1つを含有する合金である。より好ましい方法において、金属性表面の金属は、鋼鉄、真ちゅう(Cu−Zn合金)または青銅(Cu−Sn合金)である。
本出願において、「金属性表面の金属は本明細書の以下で表す金属である」という表現は、金属性表面が、本明細書の以下で表す金属製であることを意味する。例えば、上記に記載した「金属性表面の金属が鉄である」という表現は、金属性表面が鉄製であることを意味する。いくつかの金属は、周囲空気との接触において酸化に付されて、金属は、ステンレス鋼を除き、部分的に酸化され得る。
金属性表面が、鋼鉄製である場合、鋼鉄は、好ましくは、炭素鋼またはステンレス鋼である。鋼鉄が、炭素鋼である場合、その炭素含量は、好ましくは、包括的に、0.01%から1.2%の間、もしくは0.05%から1.2%の間であり、または0.2%から1.2%の間、特に、0.4%から1.1%の間でもある。鋼鉄がステンレスである場合、これは、好ましくは、少なくとも11%のクロムおよび少なくとも50%の鉄を含有する。
構成要素は、任意の形状であってよい。好ましくは、構成要素は、スレッドまたはコードの形状である。
【0011】
本発明の1つの具体的な実施形態によれば、構成要素は、少なくとも1ミリメートルに等しい長さを有する。長さは、構成要素の最も大きい寸法を意味するものと理解される。少なくとも1ミリメートルに等しい長さを有する構成要素としては、スレッド様の要素(モノフィラメントまたはコード)および非スレッド様の要素などの、例えば、車両用タイヤにおいて使用される補強要素が挙げられる。
本発明の1つの特に好ましい実施形態によれば、複合材料は、構成要素が補強要素を形成し、ポリマーマトリックスが補強要素を覆っている、補強された構造物である。
ポリマーマトリックスの必須の特徴は、少なくとも1個の芳香族基を保持する官能性ジエンポリマーであって、芳香族基は、少なくとも2個のヒドロキシル官能基によって置換されており、ヒドロキシル官能基のうち2個はビシナルである。
2個のビシナルの官能基は、隣接する芳香環の炭素によって保持されている2個の官能基を意味するものと理解される。言い換えれば、1個のヒドロキシル官能基は、他のヒドロキシル官能基に対してオルト位にある。
本発明の特定の実施形態によれば、官能性ジエンポリマーは、少なくとも2個のヒドロキシル官能基によって置換された数個の芳香族基を保持し、ヒドロキシル官能基のうち2個はビシナルである。
好ましい方法において、芳香族基の2個のヒドロキシル官能基が存在する。
本発明のいずれか1つの実施形態によれば、2個のビシナルのヒドロキシル官能基は、好ましくは、それぞれ、結合、または官能性ジエンポリマーの鎖、特に、主鎖への芳香族基の連結を確実にする基に対して、メタ位およびパラ位にある。
芳香族基上のヒドロキシル官能基の相対的な位置、すなわち、ビシナルは、金属に、ゴム組成物に対する良好な接着性を付与する。
本発明の特に好ましい実施形態によれば、芳香族基は、式(I)を有するジヒドロキシアリール基であり、式中、記号*は、官能性ジエンポリマーの鎖、特に主鎖への、直接的または間接的な連結を表す。
【0012】
【化1】
【0013】
ジエンポリマーが、ジエン単位を含み、かつ、通常、ジエンモノマー(2個の共役または非共役の炭素−炭素二重結合を保持するモノマー)から、少なくとも部分的に(すなわち、ホモポリマーまたはコポリマー)作製されたポリマーを意味するものとして、理解されるべきであることを忘れてはならない。
ジエンポリマーは、より具体的には、以下を意味するものとして理解される。
(a)4〜12個の炭素原子を有する共役ジエンモノマーの任意のホモポリマー;
(b)共役ジエンモノマーの任意のコポリマー、特に、エチレン、α−モノオレフィン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリレート、カルボン酸ビニルエステル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、4〜12個の炭素原子を有する共役ジエンモノマーなどの共役ジエンモノマーおよびビニルモノマーの任意のコポリマー;
(c)5〜12個の炭素原子を有する非共役ジエンモノマーの任意のホモポリマー;
(d)非共役ジエンモノマーの任意のコポリマー、特に、エチレンまたはα−モノオレフィン、5〜12個の炭素原子を有する非共役ジエンモノマーなどの非共役ジエンモノマーおよびモノオレフィンの任意のコポリマー;
(e)(a)〜(d)に定義されたポリマーの混合物。
【0014】
以下は、共役ジエンとして、特に適切である:1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、例えば、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−3−エチル−1,3−ブタジエンもしくは2−メチル−3−イソプロピル−1,3−ブタジエンなどの2,3−ジ(C1−C5アルキル)−1,3−ブタジエン、アリール−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンまたは2,4−ヘキサジエン。
α−モノオレフィンとしては、アルケンおよびビニル芳香族化合物、特に、例えば、スチレン、オルト−、メタ−、パラ−メチルスチレンなどの8〜20個の炭素原子を有するものが挙げられる。
適切な非共役ジエンとしては、例えば、特に、1,4−ヘキサジエン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ノルボルナジエンおよびジシクロペンタジエンなどの5〜12個の炭素原子を有するものである。
適切な(メタ)アクリロニトリルとしては、アクリルニトリルおよびメタクリロニトリルである。
【0015】
(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、グリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートなどの、アクリル酸またはメタクリル酸と、1〜12個の炭素原子を有するアルコールとから誘導されるアクリルエステル、すなわち、アクリレートまたはメタクリレートが挙げられる。
カルボン酸のビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニル、好ましくは、酢酸ビニルが挙げられる。
適切なビニルエーテルとしては、例えば、エーテル官能基ORのR基が、1〜6個の炭素原子を含有するものである。
本出願において、ジエンポリマーは、2個のヒドロキシル官能基によって置換された少なくとも1個の芳香族基を保持するので、官能性と呼ぶ。
【0016】
好ましくは、官能性ジエンポリマーは、ポリブタジエン、ポリイソプレン、1,3−ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらの混合物によって構成されるポリマーの群から選択される。1,3−ブタジエンコポリマーまたはイソプレンコポリマーとしては、特に、1,3−ブタジエンまたはイソプレンと、スチレンまたは(メタ)アクリレート、特に、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートの共重合から得られるものが挙げられる。当業者であれば、官能性ジエンポリマーとして、本発明の必要性のために有用な、ポリブタジエン、ポリイソプレン、1,3−ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーが、本発明のいずれか1つの実施形態によって定義される、1個または複数の芳香族基を保持することを、十分に理解する。
本発明のいずれか1つの実施形態によれば、官能性ジエンポリマーにおけるジエン単位は、好ましくは、官能性ジエンポリマーの50質量%超、より好ましくは70質量%超を占める。
本発明のいずれか1つの実施形態によれば、官能性ジエンポリマーによって保持されている芳香族基は、好ましくは、官能性ジエンポリマーのポリマー鎖のペンダント基である。
官能性ジエンポリマーによって保持されている芳香族基は、官能性ジエンポリマーのポリマー鎖の末端、または官能性ジエンポリマーのポリマー鎖の末端の外側に存在していてもよい。
本発明の1つの特定の実施形態によれば、芳香族基は、官能性ジエンポリマーのポリマー鎖の鎖末端に、特に、官能性ジエンポリマーのポリマー鎖の一端または両端に、独占的に保持されている。
【0017】
官能性ジエンポリマーは、当業者に公知の方法によって合成することができる。例えば、非限定的な以下の方法が挙げられる。
− 国際公開第2009/086490号パンフレットおよび国際公開第2011/002994パンフレットの特許出願に記載されているような、官能基の脱保護によって加水分解され得る少なくとも2個のビシナルのOR官能基(式中、Rは、炭素鎖を表す)によって置換された少なくとも1個の芳香族基を保持するジエンポリマーの修飾;
− 例えば、フランス特許出願第14/60290号およびフランス特許出願第FR14/60620号の番号で出願された特許出願に記載されているような、少なくとも2個のビシナルのヒドロキシル官能基によって置換された芳香族基を保持し、求核性官能基も保持する求核性化合物による、エポキシ化ジエンポリマーの修飾または少なくとも1個のエポキシペンダント基を保持するジエンポリマーの変換;
− 例えば、フランス特許出願第15/577707号の番号で出願された特許出願に記載されているような、少なくとも2個のビシナルのヒドロキシル官能基によって置換された芳香族基を保持し、求電子基も保持する化合物による、鎖末端に求核性基を保持するジエンポリマーの修飾。
【0018】
官能性ジエンポリマーのための調製方法は、官能性ジエンポリマーのマクロ構造、特に、数平均モル質量およびその多分散指数の値に応じて、および、官能性ジエンポリマーのミクロ構造、特に、官能性ジエンポリマーのジエンの部分の1,4−シス、1,4−トランスおよび1,2結合のそれぞれの含量に従って、芳香族基が、官能性ジエンポリマーの鎖の末端またはその鎖末端の外側に存在するように、当業者によって注意深く選択される。
官能性ジエンポリマー中の芳香族基の含量は、好ましくは官能性ジエンポリマー1gあたり0.01〜3ミリ当量(meq/g)、より好ましくは0.15〜2meq/g、さらにより好ましくは0.3〜1.5meq/gで変化する。これらの範囲は、本発明の任意の1ついずれか1つの実施形態に適用されてもよい。
本発明の1つの実施形態によれば、官能性ジエンポリマーはエラストマーである。これが、エラストマーである場合、官能性ジエンポリマーは、好ましくは、80,000g/mol超の数平均モル質量を示す。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、官能性ジエンポリマーは、1,000g/mol〜80,000g/mol、好ましくは1,000g/mol〜30,000g/mol、より好ましくは1,000g/mol〜10,000g/mol、さらにより好ましくは1,000g/mol〜5,000g/molの範囲の数平均モル質量を有する。通常、これらの数平均モル質量、特に、最小値では、エラストマー性を与える官能性ジエンポリマーのミクロ構造に応じて、低すぎる場合がある。
本発明の1つの具体的な実施形態によれば、官能性ジエンポリマーは、ポリマーマトリックスの最大で30質量%、好ましくは、ポリマーマトリックスの5から30質量%の間を占める。
【0020】
本発明の別の実施形態によれば、ポリマーマトリックスは、官能性ジエンポリマーに加えて、ジエンエラストマーEdを含み、これは、好ましくは、ポリマーマトリックスの50質量%超を占める。ジエンエラストマーは、それらのミクロ構造またはそれらのマクロ構造によって互いに異なる、1つまたは複数のジエンエラストマーを意味するものと理解される。ジエンエラストマーEdが、官能性ジエンポリマーの定義に適合しないことが理解される。好ましくは、ジエンエラストマーEdは、2個のビシナルのヒドロキシル基を保持する芳香族基を欠いている。ジエンエラストマーEdが、2個のビシナルのヒドロキシル基を保持する芳香族基を欠いている好ましい実施形態を、本発明のいずれか1つの実施形態に適用することができる。
ジエンエラストマー(または、代替として「ゴム」、この2つの用語は、同義語であるとみなされる)は、そのミクロ構造に関して上記で定義したように、ジエンポリマーとして公知の方法で理解されなければならない。
【0021】
ジエンエラストマーは、「実質的に不飽和」または「実質的に飽和」の2つのカテゴリーに分類することができる。「実質的に不飽和」とは、通常、15%(mol%)超であるジエン起源の単位の含量を有する共役ジエンモノマーから、少なくとも部分的に得られるジエンエラストマーを意味するものと理解され;したがって、ブチルゴムまたはEPDM型のジエンおよびα−オレフィンのコポリマーなどのジエンエラストマーは、前記定義内には包含されず、特に、「実質的に飽和」のジエンエラストマー(常に、ジエン起源の単位の15%未満である、低い含量または非常に低い含量)として記載されてもよい。「実質的に不飽和」のジエンエラストマーのカテゴリーにおいて、「高度不飽和」のジエンエラストマーは、特に、50%超のジエン起源(共役ジエン)の単位の含量を有するジエンエラストマーを意味するものとして理解される。
ジエンエラストマーEdは、自体公知の方法で、当業者に公知の官能化剤、カップリング剤または星状分枝剤によって、星状分枝化、カップリング化、官能化または非官能化することができる。
【0022】
ポリマーマトリックスがジエンエラストマーEdを含有する、いずれか1つの実施形態によれば、ジエンエラストマーEdは、好ましくは、高度不飽和のジエンエラストマーであり、最も好ましい方法において、ポリブタジエン、ポリイソプレン、1,3−ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらの混合物で構成される高度不飽和エラストマーの群から選択される。さらにより好ましい方法において、ジエンエラストマーEdは、90質量%超の1,4−シス結合を有するポリイソプレンである。良好には、ジエンエラストマーは、天然ゴムである。
【0023】
本発明の1つの実施形態によれば、ジエンエラストマーEdおよび官能性ジエンポリマーは、ポリマーマトリックスの少なくとも90質量%を占める。本発明のこの実施形態によれば、官能性ジエンエラストマーは、好ましくは、ポリマーマトリックスの最大で30質量%、特に、ポリマーマトリックスの5から30質量%の間を占める。この実施形態は、天然ゴムの場合におけるような、弾力性、接着性、ひずみ誘起による結晶化の性質などの、ジエンエラストマーEdに固有の性質から利益を得ながら、複合材料の層間剥離に対する良好な抵抗性を得るために、特に、タイヤへの適用のために有利である。良好には、ポリマーマトリックスは、官能性ジエンポリマーおよびジエンエラストマーEdからなる。
本発明による複合材料は、ポリマーマトリックス中に分散した補強充填剤を含んでいてもよい。
【0024】
補強充填剤は、通常、例えば、ポリマーマトリックスの接着性または剛性を改善するために使用される。補強充填剤は、ジエンポリマー、より具体的には、エラストマーを含有するポリマーマトリックスを補強するその能力について公知の充填剤である。補強充填剤は、典型的には、タイヤの製造のために使用することができるゴム組成物において慣用されている補強充填剤である。補強充填剤は、例えば、カップリング剤を公知の方法で組み合わせるか、カーボンブラックなどの有機充填剤、シリカなどの無機補強充填剤、または、これらの2種類の充填剤の混合物である。補強充填剤は、好ましくは、カーボンブラックである。
このような補強充填剤は、典型的には、ナノ粒子からなり、この(質量)平均径は、1μm未満、通常、500nm未満、最も一般的には、20から200nmの間、特に、より好ましくは、20から150nmの間である。
【0025】
全てのカーボンブラック、特に、タイヤまたはそれらのトレッドにおいて慣用されているブラック(「タイヤ−グレード」ブラック)が、カーボンブラックとして適切である。後者のうち、より具体的には、例えば、N115、N134、N234、N326、N330、N339、N347、N375、N550、N683およびN772ブラックなどの、100、200および300シリーズの補強カーボンブラック、または500、600もしくは700シリーズのブラック(ASTMグレード)が挙げられる。これらのカーボンブラックは、市販されているそのままで、または他の任意の形態で、例えば、使用されるいくつかのゴム製造添加剤のための支持体として、使用されてもよい。
補強充填剤の含量は、複合材料の想定される適用、および補強充填剤の特性、特に、そのBET比表面積に応じて、当業者によって選択される。例えば、タイヤにおける複合材料の適用のためには、特に、タイヤにおける補強構造物または補強材としては、補強充填剤の含量は、好ましくは、ポリマーマトリックス100部あたり、20〜80部にわたる範囲内である。20部を下回ると、ポリマーマトリックスの補強が不十分になる場合がある。80部を上回ると、複合材料に熱をもたらし得るポリマーマトリックスのヒステリシスが増加する危険性があり、これは、複合材料の性能の低下をもたらす場合がある。
【0026】
本発明による複合材料は、ポリマーマトリックスのための架橋系を含んでいてもよい。複合材料の製造中、架橋系は、通常、構成要素が、架橋系を含有し、および補強充填剤を含有していてもよいポリマーマトリックスと接触させられた後、ならびに成形後に、ポリマーマトリックスの架橋を引き起こすために反応することが意図されている。架橋は、通常、ポリマーマトリックスの弾力性も改善する。架橋系は、加硫系であり得、または、例えば、タイヤの製造のために使用することができるゴム組成物において慣用されている、1つまたは複数のペルオキシド化合物をベースとし得る。
【0027】
適切な加硫系は、硫黄(または、硫黄供与剤)、および通常、一次加硫促進剤をベースとしている。様々な公知の二次加硫促進剤または加硫活性化剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸もしくは同等の化合物、またはグアニジン誘導体(特に、ジフェニルグアニジン)を、例えば、後に記載するような、第1の非生産段階中および/または生産段階中に組み込まれる、このベース加硫系に、添加してもよい。硫黄は、ポリマーマトリックスの100部あたり0.5〜12部、特に、ポリマーマトリックスの100部あたり1〜10部の範囲の好ましい含量で使用される。一次加硫促進剤は、ポリマーマトリックス100部あたり、0.5から10部の間、より好ましくは、ポリマーマトリックス100部あたり、0.5から5部の間の好ましい含量で使用される。(一次または二次)促進剤としては、硫黄の存在中において、ジエンポリマー、特に、ジエンエラストマーの加硫のための促進剤として作用できる任意の化合物、特に、チアゾール型の促進剤およびそれらの誘導体、ならびにチウラム型および亜鉛ジチオカルバメート型の促進剤を使用してもよい。好ましくは、スルフェンアミド型の一次促進剤を使用してもよい。
【0028】
化学的架橋を、1つまたは複数のペルオキシド化合物を使用して行う場合、前記ペルオキシド化合物(単数)または化合物(複数)は、ポリマーマトリックス100部あたり、0.01〜10部を占める。化学的架橋系として使用することができるペルオキシド化合物としては、アシルペルオキシド、例えば、ベンゾイルペルオキシドまたはp−クロロベンゾイルペルオキシド、ケトンペルオキシド、例えば、メチルエチルケトンペルオキシド、ペルオキシ酸エステル、例えば、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエートおよびt−ブチルペルオキシフタレート、アルキルペルオキシド、例えば、ジクミルペルオキシド、ジ(t−ブチル)ペルオキシベンゾエートおよび1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、またはヒドロペルオキシド、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシドが挙げられる。
【0029】
本発明による複合材料はまた、ジエンポリマー、特に、エラストマーを含有するポリマーマトリックス中に常に分散した、通常の添加物を全てまたは一部含有していてもよい。当業者は、複合材料の想定される適用に従って添加物を選択する。例えば、タイヤにおける複合材料の適用のため、特に、タイヤにおける補強構造物または補強材としては、添加物として、顔料、抗オゾンワックス、化学的オゾン劣化防止剤、酸化防止剤などの保護剤、可塑剤またはデリバリー剤が挙げられる。
第1の非生産段階および生産段階は、ゴム組成物の製造において当業者に周知の、機械的な作業工程、特に、ニーディングである。第1の非生産段階は、通常、機械的作業が、110℃から190℃の間、好ましくは、130℃から180℃の間の最高温度までの高温で行われる点で、生産段階と区別される。非生産段階に続く、通常、冷却工程後の生産段階は、架橋系を組み込む仕上げ段階中、より低い温度、典型的には、110℃未満、例えば、40℃から100℃の間の機械的作業によって定義される。
【0030】
補強充填剤、架橋系および添加物は、通常、構成要素をポリマーマトリックスと接触させる前に、ポリマーマトリックスにそれらを組み込むことによって、ポリマーマトリックス中に分散される。例えば、補強充填剤は、機械的混合、特に、熱機械的混合によって、前記した添加剤が存在していてもよい中で、ポリマーマトリックス中に組み込まれてもよい。混合温度は、ポリマーマトリックスの熱感受性、補強充填剤の粘度および特性に応じて、当業者によって、注意深く選択される。架橋系は、典型的には、ポリマーマトリックス中でその分散を可能にするために架橋が生じる温度より低い温度で、ポリマーマトリックス中に組み込まれ、その後、複合材料は、ポリマーマトリックスの架橋前に成型される。通常、架橋系は、ポリマーマトリックス中への補強充填剤および他の添加物の組み込み後に、ポリマーマトリックス中に組み込まれる。
【0031】
1つの特に好ましい実施形態によれば、複合材料は、補強要素およびカレンダー加工ゴムを含み、補強要素が埋め込まれている、補強された製品であり、それぞれの補強要素は、本発明のいずれか1つの実施形態に従って上記で定義された構成要素からなり、カレンダー加工ゴムは、ポリマーマトリックスを含む。この実施形態によれば、補強要素は、通常、中心の方向に沿って、隣り合って配置される。カレンダー加工ゴムは、ポリマーマトリックスに加えて、ポリマーマトリックス中に分散された、上記で定義された、補強充填剤、架橋系および他の添加物を含有していてもよい。タイヤにおける想定される適用のためには、したがって、複合材料は、タイヤ用の補強材を構成してもよい。
本発明による複合材料は、未硬化状態(ポリマーマトリックスの架橋前)であってもよく、または硬化状態(ポリマーマトリックスの架橋後)であってもよい。複合材料は、構成要素が、上記に記載の、補強充填剤、架橋系および他の添加物が組み込まれていてもよいポリマーマトリックスと接触した後、硬化される。
【0032】
複合材料は、
− 補強充填剤、架橋系および他の添加物が分散していてもよい、2層のポリマーマトリックスを製造する工程、
− 2層の間に積層することによって、2層中に構成要素をサンドイッチする工程、
− 必要に応じて、複合材料を硬化させる工程
を含むプロセスによって製造されてもよい。
あるいは、複合材料は、層の一部に構成要素を積層することによって製造してもよく、次いで、層は、その全体の長さまたはその長さの一部にわたって、このようにサンドイッチされた構成要素を覆うために、それ自体の上に折り畳まれる。
層は、カレンダー加工によって作製されてもよい。複合材料の硬化中に、ポリマーマトリックスは、特に、加硫によって、またはペルオキシドによって、架橋される。
複合材料を、タイヤにおける補強材として使用することが意図される場合、複合材料の硬化は、通常、タイヤのケーシングの硬化中に行われる。
【0033】
本発明の別の主題であるタイヤは、本発明による複合材料を含むという必須の特徴を有する。タイヤは、未硬化状態(ポリマーマトリックスの架橋前)であってもよく、または硬化状態(ポリマーマトリックスの架橋後)であってもよい。通常、タイヤの製造中に、複合材料は、タイヤの硬化工程の前に、硬化状態(すなわち、ポリマーマトリックスの架橋前)で、タイヤの構造に積層される。
本発明およびさらに他の上述の特徴は、説明として与えられたものであって、限定するものではない、本発明のいくつかの例示的な実施形態の以下の説明を読むことにより、よりよく理解されるであろう。
【0034】
II.本発明の例示的な実施形態
II.1− 本発明の必要性のために有用な官能性ジエンポリマーの調製:
プロトンNMR分析:
プロトンNMR分析を使用して、使用または合成したポリマーのミクロ構造を決定した。官能性ジエンポリマー中の3,4−ジヒドロキシアリール基の含量を、モル百分率(mol%、すなわち、ジエンポリマーのモノマー単位100モルあたり)として、または官能性ジエンポリマーのグラム当たりのミリ当量(meq/g)として示す。
スペクトルは、5mmのBBI z−grad「ブロードバンド」プローブを備えた、Bruker 500 MHz分光計で得た。定量的な1H NMR実験は、単一の30°のパルスシーケンスおよびそれぞれの取り込みの間に3秒の反復時間を使用する。試料は、重クロロホルム(CDCl3)または重メタノール(MeOD)に溶解する。
【0035】
SEC分析:
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用する。SECは、多孔質のゲルを充填されたカラムを通して、それらのサイズに従って、溶液中の高分子を分離することを可能にする。高分子は、それらの流体力学的容積に従って分離され、最も大きなものが最初に溶出する。
絶対的な方法ではないが、SECは、ポリマーのモル質量の分布を把握することを可能にする。様々な数平均モル質量(Mn)および質量平均モル質量(Mw)は、市販の標準から決定することができ、多分子性または多分散指数(PI=Mw/Mn)は、「ムーア」較正によって計算することができる。
ポリマーの調製:分析前に、ポリマー試料の特定の処理はしない。後者を、1容積%のジイソプロピルアミン、1容積%のトリエチルアミンおよび0.1容積%の蒸留水を含有するテトラヒドロフラン(THF)に、約1g/Lの濃度で、簡単に溶解する。次いで、溶液を、注入前に、0.45μmの多孔性を有するフィルターを通してろ過する。
SEC分析:使用した装置は、Waters Allianceクロマトグラフである。溶出溶媒は、1容量%のジイソプロピルアミンおよび1容量%のトリエチルアミンを含有するテトラヒドロフランである。流速は、0.7mL/分であり、システムの温度は、35℃であり、分析時間は、90分である。市販の名称Styragel HMW7、Styragel HMW6Eおよび2つのStyragel HT6Eの順序の4つのWatersカラムのセットを使用する。
注入するポリマー試料の溶液の容積は、100μlである。検出器は、Waters 2410示差屈折計であり、クロマトグラフデータの作製に使用するソフトウェアは、Waters Empower systemである。
計算された平均モル質量は、PSS Ready Cal−Kitの市販のポリスチレン標準から作製された較正曲線に対する。
【0036】
II.1.1− 3,4−ジヒドロキシアリール基を保持し、求核性官能基も保持する求核性化合物である3,4−ジヒドロキシヒドロ桂皮酸との反応による、イソプレンおよびグリシジルメタクリレートコポリマーの修飾による:
予め、イソプレンおよびグリシジルメタクリレートコポリマーA、BおよびCを、以下の手順に従って、フリーラジカル重合によって調製する。
グリシジルメタクリレート(MAGLY)、イソプレン、トルエンおよびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を、アルゴン気流下、オートクレーブ反応器に導入する。反応混合物を、温度Tで、時間tの間、加熱および撹拌する。重合の最後に、コポリマーをメタノール中で沈殿させる。コポリマーを、1H NMRによって分析する。それぞれのコポリマーについて、試薬および溶媒の量、温度Tならびに時間tを、表1aに示す。
【表1】

表1bは、調製したコポリマーA、BおよびCのミクロ構造をモル百分率で表して示す。
【表2】
【0037】
次いで、コポリマーAまたはBまたはCを、以下の手順に従って、3,4−ジヒドロキシアリール基を保持する化合物である3,4−ジヒドロキシヒドロ桂皮酸との反応によって修飾する。
冷却器を取り付けた1ツ口の丸底フラスコ中、イソプレンおよびグリシジルメタクリレートコポリマー(AまたはBまたはC)を、ジオキサンに溶解する。3,4−ジヒドロキシヒドロ桂皮酸を添加する。次いで、反応媒体を、磁気撹拌によって撹拌し、120℃で72時間加熱する。次いで、反応媒体を、周囲温度に戻し、次いで、ポリマーを水中で凝固させ、ろ過し、次いで、ジクロロメタンに再び溶解して、Na2SO4で乾燥する。次いで、溶液を、蒸発させて、乾固する。
【0038】
イソプレンおよびグリシジルメタクリレートのそれぞれのコポリマーAおよびBおよびCについて、3,4−ジヒドロキシヒドロ桂皮酸によってコポリマーを修飾する反応において使用した試薬および溶媒の量を表2に示す。また、表2では、修飾されたコポリマーAFおよびBFおよびCFのそれぞれのミクロ構造およびマクロ構造を示す。
【表3】
【0039】
II.1.2− 3,4−ジヒドロキシヒドロ桂皮酸との反応による、1,3−ブタジエン、スチレンおよびグリシジルメタクリレートコポリマーの修飾による:
予め、1,3−ブタジエン、スチレンおよびグリシジルメタクリレートコポリマーDおよびEを、それぞれ、以下の手順に従って、フリーラジカル重合によって調製する。
ラジカル乳化重合を、不活性な窒素雰囲気下、穏やかな撹拌を用いて、蓋をしたボトル中で行う。
【0040】
228およびヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリドを、ボトル内に導入する。ボトルに蓋をし、次いで、窒素を用いて、10分間、スパージする。以下の化合物および溶液(これらの溶液は、事前にスパージされて、任意の微量の酸素は除去されている)を、その後、引き続いて、表3に示す含量で、ボトル内に導入する。
− 水
− 100g/LのHPO4Na2溶液(HPO4Na2溶液)
− 100g/LのH2PO4NH4溶液(H2PO4NH4溶液)
− 0.7mol/Lのtert−ドデシルメルカプタンのスチレン溶液(tert−ドデシルメルカプタン溶液)
− スチレン
− グリシジルメタクリレート
− 1,3−ブタジエン
反応媒体を、撹拌し、40℃で加熱する。重合を、60%の変換後、1mLの100g/Lのレゾルシノールの水溶液の添加によって、停止する。
コポリマーを、アセトン/メタノール(50/50 v/v)混合物から沈殿させる。
コポリマーを、50℃で、真空下(200torr)、オーブン中に置くことによって乾燥させる。
コポリマーDおよびEのそれぞれについて、試薬、化合物および溶液の量を、表3aに示す。
【0041】
【表4】

表3bは、調製したコポリマーDおよびEのミクロ構造をモル百分率で表して示す。
【表5】

次いで、コポリマーDまたはEを、以下の手順に従って、3,4−ジヒドロキシアリール基を保持する化合物である3,4−ジヒドロキシヒドロ桂皮酸との反応によって修飾する。
【0042】
冷却器を有する3ツ口の丸底フラスコ中、1,3−ブタジエン、スチレンおよびグリシジルメタクリレートコポリマーを、ジオキサンに溶解する。3,4−ジヒドロキシヒドロ桂皮酸(エポキシド官能基のモル数に対して10当量)を添加する。次いで、反応媒体を、機械的撹拌下、撹拌し、不活性雰囲気下、110℃で72時間、加熱する。その後、反応媒体を、不活性雰囲気下、周囲温度に戻し、次いで、ポリマーを、水から凝固させ、60℃で、真空下(200torr)、オーブン中に置くことによって乾燥させる。
3,4−ジヒドロキシヒドロ桂皮酸によってコポリマーDおよびEを修飾する反応において使用した試薬および溶媒の量を、表4に示す。また、表4では、修飾されたコポリマーのDFおよびEFのそれぞれのミクロ構造およびマクロ構造を示す。
【表6】
【0043】
II.1.3− 3,4−ジヒドロキシアリール基および求核性官能基の両方を保持する求核性化合物である11−[エトキシ(ヒドロキシ)ホスホリル]ウンデシル3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロパノエートとの反応による、エポキシ化ポリイソプレンの修飾による:
修飾反応のために、合成したエポキシ化ポリイソプレンまたはエポキシ化天然ゴムのいずれかを使用する。合成したエポキシ化ポリイソプレンを、合成ポリイソプレンのエポキシ化によって調製する。
【0044】
合成ポリイソプレンの調製のための手順:105mLのメチルシクロヘキサンを含有する、2barの窒素圧下を維持した250mLの反応器に、10.21gのイソプレンを注入する。次いで、4.5mLの1.34モル/Lのn−ブチルリチウムを添加する。媒体を、50℃で45分間加熱して、95%のモノマーの変換率に到達させる。この含量を、200mmHgの減圧下、110℃で乾燥した抽出物を秤量することによって決定する。重合を、リチウムに対して、過剰のメタノールを添加することによって停止する。ポリマー溶液を、ろ過して、媒体中に存在するリチン残渣を除去する。最後に、ポリマー溶液を、ポリマー100部あたり0.2部の4,4’−メチレンビス(2,6−tert−ブチルフェノール)およびポリマー100部あたり0.2部のN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンの添加による酸化防止剤の処理に付し、次いで、ポリマーを、真空下、60℃で2日間、真空下、オーブン中で乾燥させる。ポリイソプレンは、3,000g/molの質量による平均モル質量、1.06の多分散指数(PI)および88mol%の1,4−シス結合を有する。
【0045】
合成ポリイソプレンのエポキシ化のための手順:3ツ口の丸底フラスコ中、合成ポリイソプレンを、メチルシクロヘキサン中、6%の質量濃度に溶解する。混合物を撹拌し、35℃に加熱し;次いで、ギ酸(エポキシ化されるイソプレン単位のモル数に対して1当量)を添加する。次いで、混合物を47℃に加熱し、次いで、過酸化水素(エポキシ化されるイソプレン単位のモル数に対して1当量)を、滴下漏斗を使用して、滴下添加する。次いで、媒体を、50℃で4時間加熱する。反応の終わりに、媒体を、水酸化ナトリウムの水溶液(添加されたギ酸のモル数に対して1当量)を添加することによって中和する。次いで、反応媒体を、分液漏斗を使用して、水で3回洗浄する。次いで、有機相を、MgSO4で乾燥し、次いで、ろ過する。エポキシ化されたポリマーを、オーブン中、45℃で48時間、有機相を乾燥することによって回収する。エポキシ化のレベルは、8.4mol%である。
【0046】
次いで、エポキシ化された合成ポリイソプレン(本明細書の以下においてGという)を、以下の手順に従って、3,4−ジヒドロキシアリール基を保持する化合物である11−[エトキシ(ヒドロキシ)ホスホリル]ウンデシル3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロパノエートとの反応によって修飾する。
15gのG、9.71gの11−[エトキシ(ヒドロキシ)ホスホリル]ウンデシル3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロパノエートおよび170mLのジオキサンを、1ツ口の丸底フラスコに導入する。反応媒体を、撹拌し、90℃で20時間、加熱する。反応の終わりに、ジオキサンを、ロータリーエバポレーターを使用して除去する。得られた物質を、200mLのジクロロメタンに溶解し、媒体を撹拌し、次いで、1MのNaHCO3水溶液を添加する(11−[エトキシ(ヒドロキシ)ホスホリル]ウンデシル3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロパノエートのモル数に対して1当量)。媒体を1時間撹拌し、次いで、分液漏斗および塩水/アセトンの混合物を使用して、抽出を行う。次いで、有機相を、MgSO4で乾燥し、次いで、ろ過する。修飾されたポリマー(本明細書の以下において、GFという)を、オーブン中、45℃で48時間、有機相を乾燥することによって回収する。表5に、修飾されたポリマーGFのミクロ構造およびマクロ構造を示す。
エポキシ化された天然ゴム(本明細書の以下において、Hという)は、主たるポリマー鎖に沿って不規則に分散したエポキシ基を有する天然ゴムであって、「Ekoprena」の名称で販売されており;そのモルエポキシ化レベルは、25%であり、そのムーニー粘度は、75±15である。
【0047】
次いで、これを、以下の手順に従って、3,4−ジヒドロキシアリール基を保持する化合物である11−[エトキシ(ヒドロキシ)ホスホリル]ウンデシル3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロパノエートとの反応によって修飾する。
20gのH、6.04gの11−[エトキシ(ヒドロキシ)ホスホリル]ウンデシル3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロパノエートおよび500mLのトルエンを、1ツ口の丸底フラスコに添加する。反応媒体を、磁気的に撹拌し、90℃で24時間、加熱する。反応の終わりに、修飾されたポリマー(本明細書の以下において、HFという)を、オーブン中で乾燥し、次いで、1Lのエタノール中で、24時間撹拌する。ろ過後、修飾されたポリマーを、オーブン中、60℃で8時間、乾燥させる。
表5に、修飾されたポリマーHFのミクロ構造およびマクロ構造を示す。
【表7】
【0048】
II.1.4− 3,4−ジヒドロキシアリール基を保持し、求核性官能基も保持する化合物である3,4−ジヒドロキシヒドロ桂皮酸との反応によるα,ω−ジヒドロキシル化ポリブタジエンの修飾による:
修飾反応において使用するα,ω−ジヒドロキシル化ポリブタジエンは、Cray ValleyからのPolyBd R20 LMであり、本明細書の以下において、Jという。これを、以下の手順に従って、修飾する:
20.0gのPolyBd R20 LM、8.05g(2.6当量)の3,4−ジヒドロキシヒドロ桂皮酸、0.42g(0.1当量)のp−トルエンスルホン酸および250mLのトルエンを、1ツ口の丸底フラスコに添加する。丸底フラスコに、ディーンスターク装置を取り付け、次いで、混合物を、140℃で48時間、撹拌する。
反応の終わりに、トルエンを、真空下、蒸発させることによって除去する。次いで、テレケリックポリブタジエンを、ジクロロメタンに溶解し;2回の連続の水性抽出は、過剰の3,4−ジヒドロキシヒドロ桂皮酸、およびp−トルエンスルホン酸の除去を可能にする。ジクロロメタン相を、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。その後、ジクロロメタンを、真空下、蒸発させることによって除去する。表6に、修飾されたポリマーJFのミクロ構造およびマクロ構造を示す。
【表8】
【0049】
II.2− 複合材料の調製:
ポリマーマトリックスと構成要素の間の結合の量を、架橋したポリマーマトリックスから金属表面を有する個々のスレッドの部分を引き出すために必要な力を測定する試験によって決定する。この目的のために、複合材料を、一方が、金属表面を有する構成要素として個々の金属スレッド、および他方が、架橋したポリマーマトリックスを含むエラストマーブレンドを含有する試験片の形状に調製する。
このために、ポリマーマトリックスを含むエラストマーブレンドを、予め調製する。
【0050】
II.2.1− エラストマーブレンドの調製:
ミクロ構造、マクロ構造およびポリマーマトリックス中で使用される官能性ジエンポリマー含量のために、調製されたエラストマーブレンドは、ポリマーマトリックスと区別される。全てのエラストマーブレンドについて、ポリマーマトリックスは、天然ゴムおよび官能性ジエンポリマーの混合物からなり、官能性ジエンポリマーは、ポリマーマトリックスの10、15または25質量%を占める。ポリマーマトリックス中で使用される官能性ジエンポリマーおよびその含量を、表7〜表9に示す。
【0051】
エラストマーブレンドを調製するために、補強充填剤を、本明細書の以下に記載する手順に従って、ポリマーマトリックス、カーボンブラック(N326)および架橋系のペルオキシド(ジクミルペルオキシド)に組み込む。カーボンブラックの含量は、ポリマーマトリックス100部あたり50部であり、ペルオキシドの含量は、ポリマーマトリックス100部あたり5部である。
天然ゴム、カーボンブラックおよび官能性ジエンポリマーを、内部ミキサー(最終充填度:約70容量%)に添加し、ここで、初期の容器温度は、約60℃である。次いで、最高「滴下」温度が約150℃に達するまで、熱機械的操作を行う(非生産段階)。得られた混合物を回収し、冷却し、次いで、架橋系を、30℃で外部ミキサー(ホモフィニッシャー)にて添加し、全てを混合した(生産段階)。
【0052】
II.2.2− 試験片の調製:
得られたエラストマーブレンドを使用して、以下の手順に従って、試験片の形状の複合材料を作製する。
硬化前に互いに適用された2つのプレートで構成される、ゴムのブロックを作製する。ブロックの2つのプレートは、同じエラストマーブレンドからなる。個々のスレッドが、これらのシートのいずれかの側において、等しい距離で離れて、はみ出したまま、未加工の状態の2つのシートの間に捕捉されるのは、このブロックの製造中であり、個々のスレッドの末端は、この後の引張試験のために十分な長さを有する。次いで、個々のスレッドを含有するブロックは、目標とする試験条件に適合する型内に置かれ、当業者の裁量で放置され;例として、この場合において、ブロックを、160℃で、5.5トンの圧力下、組成物によって25分〜60分で変化させた時間で硬化させる。
個々のスレッドは、そのままの(すなわち、覆われていない)鋼鉄、または真ちゅうもしくは青銅で覆われた鋼鉄である。これらの直径は、直径が1.30mmである青銅化されたスレッドは別として、1.75mmであり;真ちゅうコーティングの厚さは、200nm〜1μmであり、青銅コーティングの厚さは、50nm〜0.1μmである。
【0053】
調製された、得られた試験片のそれぞれについて、表7〜表9に示す:
− 官能性ジエンポリマーAF、BF、CF、DF、EF、GF、HFおよびJFを使用した。
− ポリマーマトリックス中の官能性ジエンポリマーの質量分率
− 個々のスレッドの金属性表面の金属
それぞれの試験片は、数字の後に小文字で、例えば、1aと示す。1つの数字は、1つの官能性ジエンポリマーに対応する。小文字は、個々のスレッドの金属性表面の金属の種類を示す:aは真ちゅう、bは鋼鉄、およびcは青銅。
調製された、得られた試験片は、本発明による複合材料に相当する。
【0054】
II.3− 結果:
接着試験:
硬化が完結すると、架橋したブロックおよび個々のスレッドからなる得られた試験片を、所定の速度および所定の温度で、各部分を個々に試験することを可能にするために(例えば、この場合において、100mm/分および周囲温度)、適切な引張試験機のジョーの間に置く。
接着レベルは、試験片からその部分を引き裂くための「引き裂き」力を測定することによって特徴付けられる。
【0055】
結果を、試験片と同一の個々のスレッドを含有し、ポリマーマトリックスが天然ゴムからなるエラストマーブレンドを含有する、対照の試験片に対して、ベースを100として表す(言い換えれば、ポリマーマトリックス中の官能性ジエンポリマーの質量分率は、対照の試験片において0%である)。官能性ジエンポリマーがない場合は別として、対照の試験片およびこれを構成するエラストマーブレンドは、他の試験片およびエラストマーブレンドと、それぞれ、同じ方法で調製される。
任意に100に設定された対照の試験片の値よりも大きい値は、改善された結果、すなわち、対照の試験片の引き裂き力よりも大きな引き裂き力を示す。試験片に対して行われた試験から得られた、ベースを100とする引き裂き力の値を、ポリマーマトリックス中の官能性ジエンポリマーのレベルに従って、および個々のスレッドの性質に従って、表7〜表9にまとめる。
【表9】
【表10】
【表11】
【0056】
接着試験において、100よりも非常に大きい値を示す場合、本発明による複合材料は、大きく改善された引き裂き力を奏し、真ちゅう製および青銅製のもの、すなわち、鉄、銅、亜鉛またはスズを含むものについてのように、鋼鉄製のスレッドの要素について、同様に良好である。
【0057】
改善された引き裂き抵抗は、官能性ジエンポリマーのミクロ構造およびマクロ構造に関わらず、全てのマトリックスについて観察される:
− 実際に、改善は、少なくとも2個のビシナルのヒドロキシル官能基によって置換された芳香族基の位置に関わらず、観察され;ポリマーJFでは、芳香族基は、鎖末端に保持され;ポリマーAF、BF、CF、DF、EF、GFおよびHFポリマーでは、芳香族基は、鎖末端の外側にある;
− 改善は、官能性ジエンポリマーが、ポリブタジエン(JF)、ブタジエンコポリマー(DFおよびEF)、ポリイソプレン(GFおよびHF)またはイソプレンコポリマー(AF、BFおよびCF)である場合、観察される;
− 改善は、数千(AF、BF、CF、DFおよびJF)〜数万(DFおよびEF)または数十万(HF)の範囲の官能性ジエンポリマーに対して、幅広い範囲の数平均モル質量で、観察される。
【0058】
複合材料の性能の改善は、通常、ジエンポリマーおよび鋼鉄または真ちゅうまたは青銅をベースとする複合材料の製造において必要である、任意の硫化工程が存在しない場合に観察されることを意味することも、注目に値する。