【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔公開場所〕 DHC公式オンラインショップ 〔公開年月日〕 平成28年5月12日 〔公開場所〕 DHC会報誌 〔公開年月日〕 平成28年5月12日 〔公開場所〕 DHC直営店 〔公開年月日〕 平成28年5月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る下地化粧料の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されない。
【0012】
本実施の形態に係る下地化粧料は、成分(A)として(アクリル酸ブチル/イソプロピルアクリルアミド/ジメタクリル酸PEG−18)クロスポリマーと、成分(B)として増粘剤と、成分(C)として感触改良剤と、成分(D)として清涼剤とを少なくとも含有するジェル状の化粧料である。
【0013】
A.(アクリル酸ブチル/イソプロピルアクリルアミド/ジメタクリル酸PEG−18)クロスポリマー
成分(A)の(アクリル酸ブチル/イソプロピルアクリルアミド/ジメタクリル酸PEG−18)クロスポリマーは、下記式に示される、アクリル酸ブチルとイソプロピルアクリルアミドとジメタクリル酸PEG−18とから構成される架橋型の共重合体である。成分(A)によって、熱と水に対する耐性を向上して、高温多湿下での化粧持ちを良くする。アクリル酸ブチル/イソプロピルアクリルアミド/ジメタクリル酸PEG−18)クロスポリマーは、分子量は例えば10000以上の範囲であり、CAS.No.は488730−04−7である。
【0015】
成分(A)の(アクリル酸ブチル/イソプロピルアクリルアミド/ジメタクリル酸PEG−18)クロスポリマーの含有量は、化粧料に対して0.05〜5質量%の範囲である。成分(A)の含有量が5質量%を超えると、ポリマーの溶解性が低下することから均一なジェル状の化粧料とならず、0.05質量%未満であると、高温下での汗や皮脂に対する被膜形成の維持を十分に得ることができない。
【0016】
B.増粘剤
成分(B)の増粘剤としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミドのホモポリマー、又はこれらを含むコポリマー等のアクリル系増粘剤が挙げられる。アクリル系増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリルアミド、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ポリアクリレートクロスポリマー6、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー、ポリアクリレート−13、これらの混合物等が挙げられる。これらのうち、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ポリアクリレートクロスポリマー6又はこれらの混合物が好ましく、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー又はポリアクリレートクロスポリマー6がより好ましい。一般的に、本発明に係る化粧料はジェル(ゲル)形状である。このような増粘剤であれば、高温下で長時間の使用に亘っても汗や皮脂による化粧崩れを防ぐと共に、化粧料を好適なジェル形状とすることができる。
【0017】
増粘剤の含有量は、通常化粧料に含有される程度であればよい。例えば、増粘剤が(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ポリアクリレートクロスポリマー6又はこれらの混合物である場合、その含有量は、化粧料に対して1〜5質量%の範囲である。このような増粘剤の含有量が5質量%を超えると、増粘剤の分散が困難となる。1質量%未満であると、ジェル形状の化粧料にならない。
【0018】
C.感触改良剤
成分(C)の感触改良剤としては、無機粉体、高重合メチルシロキサン、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー等の架橋型メチルポリシロキサン、ジメチコン、これらの混合物等が挙げられる。これらのうち、架橋型メチルポリシロキサン若しくはジメチコン又はこれらの混合物が好ましい。架橋型メチルポリシロキサンは、シリコーン粉体であり、低分子量のジメチコンやシクロメチコンとの混合物で化粧料に添加しやすい粘性に調整された市販品や乳化剤との混合物として水溶性エマルジョンになった市販品がある。例えば、信越シリコーン株式会社の商品名「KSG16」や東レ・ダウコーニング株式会社の商品名「BY22-129」がある。このような感触改良剤であれば、長時間の使用に亘っても汗や皮脂による化粧崩れを防ぐと共に、化粧料を下地化粧料用として好適な感触を付与させることができる。
【0019】
感触改良剤の含有量は、通常化粧料に含有される程度であればよい。例えば、感触改良剤を架橋型メチルポリシロキサンとする場合、その含有量は、化粧料に対して0.1〜1質量%とすることができる。このような感触改良剤の含有量が1質量%を超えると、均一な混合が困難となってしまい、0.1質量%未満であると、良好な感触が維持できない。
【0020】
D.清涼剤
成分(D)の清涼剤としては、サリチル酸メチル、カンフル、メントール、メントール誘導体、これらの混合物等が挙げられる。メントール誘導体としては、乳酸メンチル、シュウ酸メンチルエチルアミド、PCAメンチル、メントキシプロパンジオール、等を挙げることができる。これらのうち、メントール、メントール誘導体、又はこれらの混合物が好ましい。このような清涼剤であれば、高温下で長時間の使用に亘っても汗や皮脂による化粧崩れを防ぐと共に、化粧料に好適な清涼感を持たせることができる。
【0021】
清涼剤の含有量は、通常化粧料に含有される程度であればよい。例えば、清涼剤がメントール又はメントール誘導体である場合、その含有量は、化粧料に対して0.01〜1質量%の範囲とすることができる。このような清涼剤の含有量が1質量%を超えると、目に刺激を与えてしまい、0.01質量%未満であると、清涼感が付与できない。
【0022】
また、本実施の形態に係る下地化粧料には、前記成分の他に、乳化剤、保湿剤、防腐剤、pH調整剤、水等を含有することができる。乳化剤、保湿剤、防腐剤、pH調整剤としては、化粧料に一般的に使用されているものを用いることができ、これらの含有量は、本実施の形態に係る下地化粧料の使用性に悪影響を与えない限りにおいて当業者が適宜決定することができる。また、水については、精製水が好ましく、その含有量は、本実施の形態に係る下地化粧料を構成する成分の合計を100質量%とするように当業者が適宜決定することができる。
【0023】
保湿剤としては、メチルグルコシドを骨格とするもの、例えばメチルグルセス−10、メチルグルセス−20等のポリオキシエチレンメチルグルコシド等や多価アルコール等が挙げられる。
【0024】
多価アルコールとしては、例えば、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,2−ペンタンジオール、イソプレングリコール、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等が挙げられる。
【0025】
防腐剤としては、例えば、フェノキシエタノール、安息香酸やその塩、サリチル酸やその塩、ソルビン酸やその塩、パラオキシ安息香酸エステル等が挙げられる。
【0026】
pH調整剤としては、例えば、クエン酸やその塩、リン酸やその塩、乳酸やその塩、リンゴ酸やその塩、酸性や塩基性のアミノ酸等が挙げられる。
【0027】
さらに、本実施の形態に係る下地化粧料には、前記成分の他に、エタノールや紫外線吸収剤、酸化チタンや酸化亜鉛のような紫外線散乱剤、金属イオン封鎖剤、ミョウバンのような収斂剤等を含有することができる。また、植物抽出成分、抗炎症剤等の他の化粧料の成分をさらに含有させることもできる。これらの成分としては、化粧料に一般的に使用されているものを用いることができ、これらの含有量は、本実施の形態に係る下地化粧料の使用性に悪影響を与えない限りにおいて、当業者が適宜決定することができる。
【0028】
紫外線吸収剤としては、例えば、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、メトキシケイヒ酸オクチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、オキジベンゾン-3、オキジベンゾン-4等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル等の安息香酸エステル系紫外線吸収剤、サリチル酸2−エチルヘキシル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸ホモメンチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、2,4,6−[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン等のトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0029】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、エデト酸やその塩、エチドロン酸、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン等を挙げられる。
【0030】
抗炎症成分としては、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸ステアリル、アラントイン、酢酸トコフェロール、トコフェロール、アズレン等が挙げられる。
【実施例】
【0031】
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。含有量は特記しない限り質量%で示す。
【0032】
<化粧料の調製>
[処方例1]
処方例1の下地化粧料を、次の工程i)〜iii)により調製した。
i)精製水を60℃まで加温し、メチルグルセス−20、メントール、防腐剤、pH調整剤を溶解した後、撹拌しながらポリアクリレートクロスポリマー6を添加し、均一となるまで混合した。
ii)i)で得た混合物を50℃以下まで冷却し、撹拌しながら(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーの水溶性エマルジョンとしてBY22-129を添加し、均一になるまで混合した。
iii)ii)で得た混合物を35℃以下まで冷却し、撹拌しながら(アクリル酸ブチル/イソプロピルアクリルアミド/ジメタクリル酸PEG−18)クロスポリマーを添加し、均一になるまで混合した。得られた混合物を処方例1の化粧料とした。
【0033】
[
参考処方例2]
参考処方例2
(以下、処方例2ともいう。)の下地化粧料を、次の工程i)〜iii)により調製した。
i)精製水を60℃まで加温し、メチルグルセス−20、メントール、防腐剤、pH調整剤を溶解した後、撹拌しながら(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを添加し、均一となるまで混合した。
ii)i)で得た混合物を50℃以下まで冷却し、撹拌しながら(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーとジメチコンの混合物であるKSG-16を添加し、均一になるまで混合した。
iii)ii)で得た混合物を35℃以下まで冷却し、撹拌しながら(アクリル酸ブチル/イソプロピルアクリルアミド/ジメタクリル酸PEG−18)クロスポリマーを添加し、均一になるまで混合した。得られた混合物を処方例2の化粧料とした。
【0034】
処方例1及び処方例2について、それらの成分と各成分の含有量とを表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
<化粧持ちテスト>
処方例1、2の化粧料について、高温多湿下での化粧持ちについて検証した。処方例1の化粧料を40代の人工皮膚上に均一に塗布し、さらにその上にファンデーションを均一に塗布した。また、比較例として、同様の人工皮膚にファンデーションのみを略同厚に塗布したものを準備した。これらを32℃、55%の高温多湿下に1時間置いた後、写真撮影により表面状態を観察した。結果を
図1(a1)〜(b2)に示す。
【0037】
図1(a1)は、処方例1の化粧料を用いた人工皮膚の表面状態を示す図であり、図(a2)は、
図1(a1)中の点線内の一部分を拡大した写真である。
図1(b1)は、ファンデーションのみを用いた人工皮膚の表面状態を示す図であり、図(b2)は、
図1(b1)中の点線内の一部分を拡大した写真である。
図1(a2)に示すように、処方例1の化粧料を用いた人工皮膚は、高温多湿下で1時間経過した後も、毛穴が確認できなかった。一方、
図1(b2)に示すように、処方例1の化粧料を用いない人工皮膚は、高温多湿下で1時間経過した後、毛穴が確認できる状態となっていた。
【0038】
結果より、処方例1、すなわち(アクリル酸ブチル/イソプロピルアクリルアミド/ジメタクリル酸PEG−18)クロスポリマーを0.05〜5質量%含有した化粧料であれば、高温多湿下で長時間経過しても、ファンデーションの化粧崩れを防いで化粧持ちが良いことがわかった。また、ジェル状の化粧持ちを向上させるための増粘剤として、ポリアクリレートクロスポリマー6が好適であることを確認した。
【0039】
続いて、処方例2の化粧持ちについて、処方例1と同様にして検討したところ、処方例1と同様に、高温多湿下で1時間経過した後も、毛穴が確認できなかった。結果より、処方例2においても、(アクリル酸ブチル/イソプロピルアクリルアミド/ジメタクリル酸PEG−18)クロスポリマーを0.05〜5質量%含有した化粧料であれば、高温多湿下で長時間経過しても、ファンデーションの化粧崩れを防いで化粧持ちが良いことがわかった。また、ジェル状の化粧持ちを向上させるための増粘剤として、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーも好適であることを確認した。
【0040】
<負荷テスト>
処方例1、2の化粧料について、温水を用いて負荷テストを行った。処方例1の化粧料を、スライドガラス上シーロンフィルムを巻きつけたところに均一に塗布し、さらにその上にファンデーションを均一に塗布した。また、同様に、スライドガラス上シーロンフィルムを巻きつけたところにファンデーションのみを略同厚に塗布したものを準備した。これらを38℃の温水に浸漬しながら、30分間強制撹拌した後、表面状態を観察した。結果を
図2(a)〜(b)に示す。
【0041】
図2(a)は、処方例1の化粧料を用いたファンデーションの表面状態を示す図であり、
図2(b)は、比較例として、ファンデーションの表面状態を示す図である。
図2(a)に示すように、処方例1の化粧料を用いた場合は、ファンデーションの崩れが殆ど確認できなかった。一方、
図2(b)に示すように、比較例として、処方例1の化粧料を用いないファンデーションでは、化粧崩れが起きていることを確認した。
【0042】
結果より、(アクリル酸ブチル/イソプロピルアクリルアミド/ジメタクリル酸PEG−18)クロスポリマーを0.05〜5質量%含有した化粧料であれば、温水下という負荷条件においても、ファンデーションを含むメイクの崩れを防ぐことが確認できた。また、下地化粧料の特性を向上させるための増粘剤として、ポリアクリレートクロスポリマー6が好適であることを確認した。
【0043】
続いて、処方例2の化粧料について、処方例1と同様にして負荷テストを行ったところ、処方例1と同様に、高温多湿下で1時間経過した後も、ファンデーションの崩れが殆ど確認できなかった。この結果より、処方例2においても、(アクリル酸ブチル/イソプロピルアクリルアミド/ジメタクリル酸PEG−18)クロスポリマーを0.05〜5質量%含有した化粧料であれば、温水下という負荷条件においても、ファンデーションを含むメイクの崩れを防ぐことが確認できた。また、下地化粧料の特性を向上させるための増粘剤として、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーも好適であることを確認した。