特許第6867116号(P6867116)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6867116
(24)【登録日】2021年4月12日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】床材敷設体
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/10 20060101AFI20210419BHJP
   E04F 15/00 20060101ALI20210419BHJP
   E04F 15/02 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   E04F15/10 104F
   E04F15/00 G
   E04F15/02 E
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-131239(P2016-131239)
(22)【出願日】2016年7月1日
(65)【公開番号】特開2018-3420(P2018-3420A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】大橋 正和
(72)【発明者】
【氏名】三宅 慶昌
(72)【発明者】
【氏名】三谷 大貴
【審査官】 園田 かれん
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0260223(US,A1)
【文献】 特開平09−096091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00−15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに整列して敷設される複数の床材を備え、各床材が、隣接する他の床材との連結手段を有する床材敷設体であって、
前記床材の少なくとも1つは、熱膨張率が相対的に低い第1床材であり、
前記床材の少なくとも他の1つは、熱膨張率が相対的に高い第2床材であり、
前記第2床材の連結手段とその連結相手である第4の床材の連結手段との間の相対変位を許容する隙間が、前記第1床材の連結手段とその連結相手である第3の床材の連結手段との間の相対変位を許容する隙間より大きく、前記第2床材の連結手段における、前記第4の床材に対する相対変 位許容量が、前記第1床材の連結手段における、前記第3の床材に対する相対変位許容量よりも大きく、前記各連結手段が嵌合孔及び雄嵌合部を含み、前記第2床材の嵌合孔が前記第1床材の嵌合孔より大きいか、又は前記第2床材の雄嵌合部が前記第1床材の雄嵌合部より小さく、前記第3の床材が、もう1つの第1床材であり、前記第4の床材が、もう1つの第2床材であることを特徴とする床材敷設体。
【請求項2】
互いに整列して敷設される複数の床材を備え、各床材が、隣接する他の床材との連結手段を有する床材敷設体であって、
前記床材の少なくとも1つは、熱膨張率が相対的に低い第1床材であり、
前記床材の少なくとも他の1つは、熱膨張率が相対的に高い第2床材であり、
前記第2床材の連結手段における、連結相手である第4の床材に対する相対変位許容量が、前記第1床材の連結手段における、連結相手である第3の床材に対する相対変位許容量よりも大きく、
各床材が、床材本体と、前記床材本体の1の縁部に設けられた雄嵌合部と、前記床材本体の他の縁部に設けられた雌嵌合部とを有し、前記雌嵌合部には、他の床材の雄嵌合部が嵌合可能な嵌合孔が形成されており、
前記第2床材の嵌合孔が前記第1床材の嵌合孔より大きいか、又は前記第2床材の雄嵌合部が前記第1床材の雄嵌合部より小さく、前記第2床材の嵌合孔又は雄嵌合部と前記第4の床材の雄嵌合部又は嵌合孔との間の相対変位を許容する隙間が、前記第1床材の嵌合孔又は雄嵌合部と前記第3の床材の雄嵌合部又は嵌合孔との間の相対変位を許容する隙間より大きく、前記第3の床材が、もう1つの第1床材であり、前記第4の床材が、もう1つの第2床材であることを特徴とする床材敷設体。
【請求項3】
前記第2床材における雌嵌合部が配置された縁部が、前記第1床材における雌嵌合部が配置された縁部より弾性変形し易いことを特徴とする請求項2に記載の床材敷設体。
【請求項4】
各床材の縁部には、隣接する他の床材側へ突出する縁凸部が形成され、
前記第2床材の縁凸部の突出量が、前記第1床材の縁凸部の突出量より小さいことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の床材敷設体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルコニー、ベランダ、テラス等に敷設される複数の床材からなる床材敷設体に関し、特に、熱膨張率が異なる複数種の床材を組み合わせてなる床材敷設体に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の床材は、パネル状の床材本体を備えている(特許文献1等参照)。床材本体の縁に連結手段が設けられている。連結手段は、雄嵌合部及び雌嵌合部を含む。複数の床材が縦横に並べられて敷設される。隣接する床材における一方の雌嵌合部に他方の雄嵌合部が嵌合される。特許文献1の連結手段は、熱伸縮を吸収できるように弾性変形可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−030024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱膨張率が互いに異なる複数種の床材を組み合わせて敷設する場合、各床材の熱膨張率に応じて適切な伸縮処理代を確保するのは容易でない。目地外観が悪くなるのを懸念して詰めて敷設すると、熱膨張率が高い床材が熱膨張によって反りや浮き上がり等の変形を来すことがある。
本発明は、かかる事情に鑑み、熱膨張率が互いに異なる複数種の床材を組み合わせて敷設する場合、反りや浮き上がり等の変形を防止又は抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は、互いに整列して敷設される複数の床材を備え、各床材が、隣接する他の床材との連結手段を有する床材敷設体であって、
前記床材の少なくとも1つは、熱膨張率が相対的に低い第1床材であり、
前記床材の少なくとも他の1つは、熱膨張率が相対的に高い第2床材であり、
前記第2床材の連結手段における、連結相手の床材に対する相対変位許容量が、前記第1床材の連結手段における、連結相手の床材に対する相対変位許容量よりも大きいことを特徴とする。
これによって、熱膨張率が異なる床材どうしを組み合わせて敷設しても、これら床材どうし間の熱伸縮量の差を吸収でき、熱膨張率の違いによって反りや浮き上がり等の変形が起きるのを防止又は抑制することができる。
【0006】
各床材が、床材本体と、前記床材本体の1の縁部に設けられた雄嵌合部と、前記床材本体の他の縁部に設けられた雌嵌合部とを有し、前記雌嵌合部には、他の床材の雄嵌合部が嵌合可能な嵌合孔が形成されており、
前記第2床材の嵌合孔が前記第1床材の嵌合孔より大きいか、又は前記第2床材の雄嵌合部が前記第1床材の雄嵌合部より小さいことが好ましい。
これによって、第2床材の連結手段の相対変位許容量が、第1床材の連結手段の相対変位許容量よりも確実に大きくなるようにすることができる。
【0007】
前記第2床材における雌嵌合部が配置された縁部が、前記第1床材における雌嵌合部が配置された縁部より弾性変形し易いことが好ましい。
これによって、高熱膨張率の第2床材が大きく膨張したときは、前記縁部が弾性変形することで、第2床材全体が変形するのを防止できる。
【0008】
各床材の縁部には、隣接する他の床材側へ突出する縁凸部が形成され、
前記第2床材の縁凸部の突出量が、前記第1床材の縁凸部の突出量より小さいことがこのましい。
これによって、隣接する床材どうし間に適切な大きさの目地幅ひいては伸縮処理代を容易に設定することができる。例えば、第1床材どうしは、互いに縁凸部どうしが突き当たるように敷き詰める。詰めて敷設することで、目地の外観を良好にすることができる。この第1床材の配置に合わせて第2床材を敷設することで、第2床材どうし間には、前記第1、第2床材の縁凸部の突出量差に対応する伸縮処理代(伸縮余裕)を確保できる。この結果、高熱膨張率側の第2床材が反りや浮き上がり等の変形を来すのを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、熱膨張率が互いに異なる複数種の床材どうし間の熱伸縮量の差を吸収でき、反りや浮き上がり等の変形が起きるのを防止又は抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る床材敷設体の平面図である。
図2図2は、前記床材敷設体の分解平面図である。
図3図3は、図2のIII-III線に沿う、前記床材敷設体の第1床材の断面図である。
図4図4は、図2のIV-IV線に沿う、前記床材敷設体の第2床材の断面図である。
図5図5(a)は、図3の円部Vaの拡大断面図である。図5(b)は、図4の円部Vbの拡大断面図である。
図6図6(a)は、図2の円部VIaの拡大平面図である。図6(b)は、図2の円部VIbの拡大断面図である。
図7図7(a)は、第1床材の雌雄の嵌合部どうしを嵌合させる様子を示す断面図である。図7(b)は、図1のVII-VII線に沿う断面図である。
図8図8(a)は、第2床材の雌雄の嵌合部どうしを嵌合させる様子を示す断面図である。図8(b)は、図1のVIII-VIII線に沿う断面図である。
図9図9(a)は、図1の円部IXaの拡大平面図である。図9(b)は、図1の円部IXbの拡大平面図である。
図10図10は、前記第2床材どうしが大きく熱膨張した状態における連結部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
図1は、床材敷設体1を示したものである。床材敷設体1は、複数の床材2を備えている。バルコニー、ベランダ、テラス等の床面F(図7(b)、図8(b))上に複数の床材2が縦横に並べられて敷設されている。
【0012】
図1及び図2に示すように、各床材2は、床材本体10と、連結手段3を有している。床材本体10は、表側(図1において紙面手前)の床パネル11と、裏側(図1において紙面奥側)のベース枠20を含む。ベース枠20の縁部21に他の床材2との連結用の連結手段3が設けられている。連結手段3は、雄嵌合部30と、雌嵌合部40を含む。隣接する2つの床材2における一方の雄嵌合部30が他方の雌嵌合部40に嵌め込まれることによって、これら床材2どうしが連結されている。
【0013】
図2に示すように、床材敷設体1においては、複数種(図2では2種類)の床材2が組み合わせられている。床材敷設体1の床材2のうち少なくとも1つ(図2では2つ)は、第1床材2Aであり、他の少なくとも1つ(図2では2つ)は、第2床材2Bである。以下、これら2種類の床材2の構成要素を互いに区別するときは、第1床材2Aの構成要素の符号にAを付し、第2床材2Bの構成要素の符号にBを付す。
【0014】
図2に示すように、第1床材2Aの全体形状は、平面視で概略正方形になっている。第1床材2Aの床パネル11Aは、例えば4つの単体パネル12Aに分割されている。各単体パネル12Aは、床パネル11Aの4分の1の大きさの正方形の平板状になっている。4つの単体パネル12Aが縦横に整列されている。単体パネル12Aの材質は、タイルである。タイルの線膨張係数等の熱膨張率は、樹脂の熱膨張率よりも低い。タイルの線膨張係数は、1.0×10−5/℃程度であるのに対し、ポリエチレン(PE)等の樹脂の線膨張係数は10.0×10−5/℃程度である。
【0015】
第1床材2Aのベース枠20Aの材質は、例えばポリエチレン(PE)等の樹脂である。第1床材2Aにおける単体パネル12Aとベース枠20Aとは互いに接着によって接合されている。接合手段は、接着に限られず、ネジ止め、融着等であってもよい。
【0016】
図2に示すように、ベース枠20Aは、平面視で4つの単体パネル12Aを合わせた大きさの概略正方形になっている。図3に示すように、ベース枠20Aには、脚部24Aと、嵌合部30A,40Aが形成されている。図2に示すように、ベース枠20Aの直交する2つの縁部21Aに複数の雄嵌合部30Aが間隔を置いて設けられている。ベース枠20Aの他の2つの縁部21Aに複数の雌嵌合部40Aが間隔を置いて設けられている。
【0017】
図2及び図5(a)に示すように、雄嵌合部30Aは、上面が開口され、かつ下面が閉じられた長円形断面又は略四角形断面の筒形状になっている。雄嵌合部30Aの長径は、当該雄嵌合部30Aが配置された縁部21Aの延び方向に沿っている。雄嵌合部30Aは、ベース枠20Aひいては床材本体10Aの底部から下方へ突出されている。
【0018】
図2及び図3に示すように、雌嵌合部40Aは、ベース枠20Aから外方(隣接する床材2側)へ延出されている。雌嵌合部40Aは、嵌合孔41Aを有し、環状になっている。嵌合孔41Aは、好ましくは真円形になっている。嵌合孔41Aの内周面には、一対の突起部44Aが互いに対峙するように形成されている。
【0019】
図2及び図6(a)に示すように、ベース枠20Aの各縁部には、複数の縁凸部22Aが間隔を置いて設けられている。これら縁凸部22Aは、前記縁部のちょうど嵌合部30A,40Aの配置部分の外側面から外方(隣接する床材2側)へ突出されている。
【0020】
図2に示すように、第2床材2Bは、第1床材2Aよりも小さい。第2床材2Bは、例えば第1床材2Aを敷き詰めた際に、第1床材2Aよりも小さい幅のスペースが残った場合、そのスペースを埋めるために使用される。第2床材2Bの全体形状は、第1床材2Aの半分の大きさの平面視で概略長方形になっている。第2床材2Bの床パネル11Bは、2つの単体パネル12Bを含む。各単体パネル12Bは、床パネル11Bの2分の1の大きさの正方形の平板状になっている。単体パネル12Bの大きさは、単体パネル12Aの大きさと等しい。
第2床材2Bのベース枠20Bは、2つの単体パネル12Bを合わせた大きさの長方形になっている。
【0021】
第2床材2Bは、全体が樹脂によって構成されている。つまり、単体パネル12B及びベース枠20Bが、ポリエチレン(PE)等の樹脂によって一体成形されている。樹脂の線膨張係数等の熱膨張率は、タイルの熱膨張率よりも高い。したがって、第2床材2Bの熱膨張率は、第1床材2Aの熱膨張率よりも高い。言い換えると、第1床材2Aの熱膨張率は相対的に低く、第2床材2Bの熱膨張率は相対的に高い。
例えば、−10℃〜60℃の範囲で温度変化があった場合、第1床材2Aと第2床材2Bとの間に最大で1mm〜数mm程度の伸縮量の差が生じる。
【0022】
図4に示すように、ベース枠20Bには、脚部24Bと、嵌合部30B,40Bが形成されている。図2に示すように、ベース枠20Bの3つの縁部21Bに複数の雄嵌合部30Bが間隔を置いて設けられている。ベース枠20Bの残り1つの短辺側の縁部21Byに複数の雌嵌合部40Bが間隔を置いて設けられている。
【0023】
図2及び図5(b)に示すように、雄嵌合部30Bは、断面が長円形又は略四角形をなし、かつ下方へ開口された筒形状になっている。雄嵌合部30Aの長径は、当該雄嵌合部30Aが配置された縁部21Aの延び方向に沿い、短径は隣接する床材2との対向方向に沿っている。雄嵌合部30Bは、ベース枠20Bひいては床材本体10Bの底部から下方へ突出されている。雄嵌合部30Bの長径及び短径は、雄嵌合部30Aの長径及び短径とそれぞれ略等しい。要するに、図5において、雄嵌合部30Bの短径寸法D30Bは、雄嵌合部30Bの短径寸法D30Aと略等しい(D30B≒D30A)。
【0024】
図4及び図6(b)に示すように、雌嵌合部40Bは、縁部21Byから外方(隣接する床材2側)へ延出されている。雌嵌合部40Bは、雌嵌合部40Aと同様に、嵌合孔41Bを有し、環状になっている。嵌合孔41Bの内周面には、一対の突起部44Bが互いに対峙するように形成されている。図6(b)に示すように、嵌合孔41Bは、真円に近い長穴になっている。嵌合孔41Bの長径は、縁部21Byと直交する方向(隣接する床材2との対向方向(図6(b)において左右))へ向けられている。嵌合孔41Bの短径は、縁部21Byと平行に向けられている。
【0025】
図6(a)及び図6(b)に示すように、嵌合孔41Bは、嵌合孔41Aよりも大きい。詳しくは、嵌合孔41Bの長径寸法D41Bが、嵌合孔41Aの直径D41Aよりも大きい(D41B>D41A)。言い換えると、隣接する床材2との対向方向(図6において左右方向)に沿う、嵌合孔41Bの寸法D41Bは、嵌合孔41Aの同方向の寸法D41Aよりも大きい。したがって、嵌合孔41Bにおける、嵌合相手の雄嵌合部30に対する相対変位許容量は、嵌合孔41Aにおける、嵌合相手の雄嵌合部30に対する相対変位許容量よりも大きい。ひいては、第2床材2の連結手段3Bにおける、連結相手である第4の床材2に対する相対変位許容量が、第1床材2の連結手段3Aにおける、連結相手である第3の床材2に対する相対変位許容量よりも大きい。
【0026】
図6(b)に示すように、第2床材2Bの縁部21By(雌嵌合部40Bが配置された縁部)は、比較的薄肉の板状になっており、第1床材2Aにおける縁部21A(雌嵌合部40Aが配置された縁部)と比べて、弾性変形されやすい。
【0027】
図2に示すように、ベース枠20Bの各縁部には、複数の縁凸部22Bが間隔を置いて設けられている。これら縁凸部22Bは、前記縁部のちょうど嵌合部30B,40Bの配置部分の外側面から外方(隣接する床材2側)へ突出されている。
図6(a)及び図6(b)に示すように、第2床材2Bの縁凸部22Bの突出量E22Bは、第1床材2Aの縁凸部22Aの突出量E22Aよりも小さい(E22B<E22A)。これら突出量の差ΔE(=E22A−E22B)は、例えば0.5mm〜数mm程度である。
【0028】
図7に示すように、隣接する床材2A,2Aにおける、一方の雄嵌合部30Aが他方の雌嵌合部40Aの嵌合孔41Aに嵌め込まれている。図8に示すように、隣接する床材2B,2Bにおける、一方の雄嵌合部30Bが他方の雌嵌合部40Bの嵌合孔41Bに嵌め込まれている。更に、図1に示すように、隣接する床材2A,2Bおいて、雄嵌合部30Bが雌嵌合部40Aの嵌合孔41Aに嵌め込まれている。
【0029】
かかる構成の床材敷設体1を床面Fに敷設する際は、例えば、主として第1床材2Aを敷き詰める。図7(a)〜(b)に示すように、隣接する第1床材2A,2Aにおける一方の雄嵌合部30Aを他方の雌嵌合部40Aの嵌合孔41Aに嵌め込む。更に、図7(b)及び図9(a)に示すように、隣接する第1床材2Aの縁凸部22Aどうしを突き当てる。これによって、第1床材2Aどうしを適切な目地幅で詰めて敷設でき、目地の外観を良好にすることができる。
【0030】
床面Fの端部等に第1床材2Aを収めきれない小幅のスペースが出来た場合、そのスペースに第2床材2Bを配置する。第2床材2Bの雄嵌合部30Bを、隣接する第1床材2Aの雌嵌合部40Aの嵌合孔41Aに嵌め込む。かつ、図8(a)〜(b)に示すように、隣接する第2床材2B,2Bにおける一方の雄嵌合部30Bを他方の雌嵌合部40Bの嵌合孔41Bに嵌め込む。これによって、図1に示すように、第2床材2Bを、第1床材2Aの配置間隔に合わせて敷設できる。図9(b)に示すように、隣接する第2床材2Bの縁凸部22Bどうし間には、前記突出量差ΔEの2倍の隙間が形成される。これによって、第2床材2Bどうし間に前記隙間の幅(2ΔE)分の伸縮処理代を確保することができる。
【0031】
床材敷設体1においては、環境温度が変化すると各床材2が熱伸縮する。このとき、第2床材2Bの熱伸縮量が第1床材2Aの熱伸縮量よりも大きい。一方、第2床材2の連結手段3の相対変位許容量は、第1床材2の連結手段3の相対変位許容量よりも大きい。しかも、前述したように、第2床材2Bどうし間には適切な伸縮処理代が確保されている。これによって、床材2A,2Bどうし間の熱伸縮量の差を吸収でき、高熱膨張率側の第2床材2Bが反りや浮き上がり等の変形を来すのを防止することができる。
更に、図10に示すように、高熱膨張率の第2床材2Bが大きく膨張したときは、縁部21Byが弾性変形することで、第2床材2B全体が変形するのを防止できる。
【0032】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、床材2の材質は、第2床材2Bの熱膨張率が第1床材2Aの熱膨張率より高くなる限り、任意に選定できる。第2床材2Bの床材本体10Bとベース枠20とが互いに異なる材質であってもよい。
第2床材2Bの雄嵌合部30Bが第1床材2Aの雄嵌合部30Aより小さくてもよい。詳しくは、図5において、雄嵌合部30Bの寸法D30Bが、雄嵌合部30の同方向の寸法D30Aより小さくてもよい(D30B<D30A)。
縁凸部22が、ベース枠20の縁部における嵌合部30,40からずれた位置に配置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、例えばバルコニー、ベランダ、テラス等の床面に敷設される床材敷設体に適用できる。
【符号の説明】
【0034】
1 床材敷設体
2 床材
2A 第1床材
2B 第2床材
3 連結手段
21,21A,21B 縁部
21By 第2床材における雌嵌合部が配置された縁部
22,22A,22B 縁凸部
30,30A,30B 雄嵌合部(連結手段)
40,40A,40B 雌嵌合部(連結手段)
41,41A,41B 嵌合孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10