特許第6867172号(P6867172)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6867172測定対象物の移動量を計測する移動量計測装置及び測定対象物の移動量を計測する移動量計測方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6867172
(24)【登録日】2021年4月12日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】測定対象物の移動量を計測する移動量計測装置及び測定対象物の移動量を計測する移動量計測方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/02 20060101AFI20210419BHJP
   H02G 9/10 20060101ALI20210419BHJP
   H02G 9/00 20060101ALI20210419BHJP
   H02G 1/06 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   G01B21/02 Z
   H02G9/10
   H02G9/00
   H02G1/06
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-3761(P2017-3761)
(22)【出願日】2017年1月13日
(65)【公開番号】特開2018-112497(P2018-112497A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2019年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000207089
【氏名又は名称】大電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094617
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 正浩
(72)【発明者】
【氏名】加藤 康雄
(72)【発明者】
【氏名】石岡 陽平
(72)【発明者】
【氏名】木口 知弘
(72)【発明者】
【氏名】舟橋 隆
(72)【発明者】
【氏名】倉永 裕司
(72)【発明者】
【氏名】小田 英範
【審査官】 清水 靖記
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−228433(JP,A)
【文献】 実開平04−014428(JP,U)
【文献】 実開昭61−113536(JP,U)
【文献】 実開昭60−056210(JP,U)
【文献】 中国実用新案第204255336(CN,U)
【文献】 特開2003−044973(JP,A)
【文献】 実公平04−048481(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/00 − 21/32
H02G 1/00 − 1/10
H02G 9/00 − 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺な測定対象物に取り付けて、測定対象物の移動量を計測する移動量計測装置であり、長尺な測定対象物の近傍に設置される変位センサと、変位センサから滑車を介して所定の方向に引き出されるセンサワイヤと、センサワイヤの端部を測定対象物に固定するワイヤ固定手段とを備え、センサワイヤを、測定対象物に沿うように並行に配置し、前記測定対象物の長手方向の伸長量を、前記センサワイヤを介して計測する移動量計測装置であって、
前記センサワイヤを測定対象物に沿うように並行に配置させるために、変位センサの設置位置と、ワイヤ固定手段によるセンサワイヤの固定位置を調整可能にしていることを特徴とする、測定対象物の移動量を計測する移動量計測装置。
【請求項2】
前記変位センサは前記滑車を備え、この滑車を介して変位センサからセンサワイヤを所定の方向に引き出し、前記ワイヤ固定手段によりセンサワイヤの端部を測定対象物に固定し、センサワイヤを測定対象物に沿うように並行に配置している請求項1に記載の、測定対象物の移動量を計測する移動量計測装置。
【請求項3】
長尺な測定対象物に取り付けて、測定対象物の移動量を計測する移動量計測装置であり、長尺な測定対象物の近傍に設置される変位センサと、変位センサから滑車を介して所定の方向に引き出されるセンサワイヤと、センサワイヤの端部を測定対象物に固定するワイヤ固定手段とを備え、センサワイヤを、測定対象物に沿うように並行に配置し、前記測定対象物の長手方向の伸長量を、前記センサワイヤを介して計測する移動量計測装置であって、
前記ワイヤ固定手段は、一端にセンサワイヤの端部を接続した略L字型のワイヤ取付金具と、ワイヤ取付金具の他端を、測定対象物の所定位置に固定する締結バンドとからなり、
前記ワイヤ取付金具は、測定対象物に当接する面に滑り止めが貼着されていることを特徴とする、測定対象物の移動量を計測する移動量計測装置。
【請求項4】
前記測定対象物は、マンホール内に設置されている送電ケーブルである請求項1乃至のいずれか1つの項に記載の、測定対象物の移動量を計測する移動量計測装置。
【請求項5】
長尺な測定対象物に取り付けて、測定対象物の移動量を計測する移動量計測方法であり、変位センサを長尺な測定対象物の近傍に設置する工程と、変位センサが備えている滑車を介して、変位センサからセンサワイヤを所定の方向に引き出し、センサワイヤの端部を測定対象物に固定する工程において、センサワイヤを測定対象物に沿うように並行に配置し、前記測定対象物の長手方向の伸長量を、前記センサワイヤを介して計測する移動量計測方法であって、
前記センサワイヤを測定対象物に沿うように並行に配置させるために、変位センサの設置位置と、ワイヤ固定手段によるセンサワイヤの固定位置を調整可能にしていることを特徴とする、測定対象物の移動量を計測する移動量計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、地中管路のマンホール内に設置されている送電ケーブル等の、測定対象物の移動量を計測する移動量計測装置及び測定対象物の移動量を計測する移動量計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、例えば、地中管路のマンホール内に設置されている送電ケーブルは、その構成として、中心に電気を流す銅線を束ねた部分を備え、その外側に絶縁性のプラスチック等を被覆して絶縁している。
【0003】
この様な送電ケーブルは、温度や振動等が原因で移動してしまうことがある。
【0004】
例えば、周辺の環境温度が変化したり、送電による負荷変動に伴い温度が変化したりすると、送電ケーブルの熱伸縮で、地中管路内において送電ケーブルの移動現象が生じる。
【0005】
因みに、送電ケーブルの銅線に電流を流すことで銅線部分が発熱し、送電したタイミングで送電ケーブルが徐々に温まって行き、ある程度の温度で一定になる。そのため、地中管路内において、送電前に送電ケーブルの移動量を予測することは難しい。
【0006】
また、道路下の管路内に敷設されている送電ケーブルでは、路上を走行する車両の進行方向に送り込むような進行性の振動駆動力が作用して、送電ケーブルが車両の進行方向へ徐々に移動してしまう現象が生じることがある。この現象は、波乗り現象と呼ばれている。この様な波乗り現象が生じると、送電ケーブルの下流側で弛みが生じる一方、上流側では送電ケーブルの余長が不足してしまうという不都合が生じている。
【0007】
上記したような送電ケーブルの移動現象ついて、従来における一般的な対策としては、設置条件に応じてある程度送電ケーブルが移動するものと推定できる場合に、設計の段階で送電ケーブルの移動を吸収できるような緩衝装置を設置したり、送電ケーブルが移動しないようするストッパ装置を設置したりしている。
【0008】
このストッパ装置としては、例えば、スプリングの弾発力により、送電ケーブルの一部分を締め付けるように押さえ込んで送電ケーブルの移動を止める、クリート機構を用いた拘束装置がある。しかし、管路内に敷設されている送電ケーブルの、移動しようとする作用が強い場合、その移動を完全に阻止することができなかった。
【0009】
また、送電ケーブル同士を繋いでいる接続部では、通常は送電ケーブルを固定している状態であるが、この接続部において送電ケーブルが互いに内側に向けて徐々に移動すると、接続部分において徐々に弛みが生じ、その緩みが増加してある限界を越えてくると、送電ケーブルに、所謂座屈という現象が生じる。
【0010】
この様な座屈現象が生じると、送電ケーブルを絶縁するために銅線部分を被覆している絶縁性のプラスチック等にも歪みが生じて、最悪の場合、このプラスチック部分が破損して地絡事故になる可能性がある。
【0011】
一方、接続部において送電ケーブルが互いに外側に向けて徐々に移動し、接続している送電ケーブルが引っ張られてしまうと、接続部において送電ケーブルが抜け外れてしまい、断線事故になる可能性もある。
【0012】
そのため、送電ケーブルが移動しているか否かを監視することが、非常に重要な管理項目になっている。
【0013】
この様な送電ケーブルの移動を監視するものとして、例えば、特許文献1に示す移動検出システムが存在そしている。このシステムは、送電ケーブルの移動量を検出すると共に、マンホール内に作業者が入らなくても、送電ケーブルの移動量の検出結果を確認することができるものである。
【0014】
具体的には、送電ケーブルの外周面にクランプリングを介して被検出板を装着し、この被検出板の左方に第1〜第3センサを配設している。そして、送電ケーブルが左方向に移動すると、各センサの第1〜第3接触子が被検出板によって順次押され、これらのオン状態の数によって、送電ケーブルの移動量を二段階に検出するものである。
【0015】
また、特許文献1では、マンホール内の所定位置に接触式の複数のセンサを配設し、送電ケーブルがその長手方向に移動したとき、被検出体が複数のセンサの接触子に順次に接触するように構成されている。この様ように送電ケーブルの移動量が、各センサ配列ピッチにより検出されるのである。
【0016】
さらに、各センサにより検出された送電ケーブルの移動量に関する情報は、センサ本体から信号線を介して監視装置に送られ、該監視装置から無線信号として、地上部側の情報表示装置に伝送されている。
【0017】
この他、特許文献2に示すような、波乗り現象によるケーブルの移動量を予測し、一定の閾値を超えた際には警告を行なう、波乗り現象予測システムと予測方法が存在している。
【0018】
具体的には、監視サーバは、予測対象地域を分割して検出手段が少なくとも1つ設置された複数の予測対象エリア等を形成する予測対象エリア等形成手段と、管路情報、交通情報、ケーブル情報を備えた基礎データ蓄積手段と、ケーブルの設置作業またはケーブル移動の修正作業が行なわれた時期的情報を備えた作業データ蓄積手段と、時期的情報から導かれる経過時間、管路情報、交通情報、ケーブル情報とケーブル移動量との関係を関数として持ち、関数により得た関数値と検出手段によって検出したケーブル移動量検出値とから、各ケーブルについてケーブル移動量推定値を推計する移動量推定手段と、ケーブル移動量推定値を監視し、一定の閾値を超えた場合に警告を発する監視警告手段とを具備している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2010−93936号公報
【特許文献2】特開2012−23941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上記したように、送電ケーブルの移動の監視は、非常に重要な管理項目になっていることから、ケーブル移動の確認を継続的に実施することが必要不可欠である。
【0021】
そして、例えば、送電ケーブルの移動量とオフセット(曲がり)や、送電ケーブルの熱伸縮の存否を確認するために、従来では、1ヶ月から3ヶ月に1回の頻度で、マンホールの開放を伴う確認作業を実施していた。
【0022】
しかしながら、マンホール等の開放を伴う従来の確認作業では、多額の費用を要することから、コスト面において問題がある。
【0023】
また、業務面においては、点検委託の手続に膨大な業務を要している。さらに、温度と移動量の相関を確認するために、例えば、1時間毎の自動測定等のような、新たな測定方法が必要となる。そして、従来の手法で移動量の測定作業を実施すると、費やされる時間と労力が極めて大きいものとなる。
【0024】
この他、上記した特許文献1に示すマンホール内の送電ケーブルの移動検出システムにおいては、マンホール等の開放を伴わずに路上からケーブル移動量の測定データを採取可能としているが、被検出体が複数のセンサの接触子に順次に接触するように構成されていて、送電ケーブルの移動量が各センサの配列ピッチにより検出されることから、ケーブル移動量の細かい数値である、例えば、ミリやセンチの単位では、実質的に測定不可能である。
【0025】
また、上記した特許文献2に示す波乗り現象予測システムと予測方法においては、ケーブル移動量の検出手段であるセンサの具体的な配置や構成に関して、何等開示されていない。
【0026】
そこで、本発明は如上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、マンホールを開放することなく、路上において、送電ケーブルのケーブル移動量をミリやセンチの単位で細かく、しかも、例えば、1時間毎に自動で計測することができる、測定対象物の移動量を計測する移動量計測装置及び測定対象物の移動量を計測する移動量計測方法を提供することを目的とする。
【0027】
また、マンホール内の各設備に何等の悪影響を与えることなく、構成が簡易で低コストで送電ケーブルに設置することができ、さらに変位計測データをセンサ側で、例えば、1時間毎の記録データ(1年分相当)として一括保存しておくことができる、移動量計測装置及び移動量計測方法を提供することを目的とする。
【0028】
さらに、センサ側で一括保存した変位計測データを外部機器から容易に一括受信することができ、また、防水性に優れ、しかもセンサ側へ給電するためのマンホール内部における電源の確保も容易にした、移動量計測装置及び移動量計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明に係る請求項1の発明は、長尺な測定対象物Pに取り付けて、測定対象物Pの移動量を計測する移動量計測装置であり、長尺な測定対象物Pの近傍に設置される変位センサ1と、変位センサ1から滑車を介して所定の方向に引き出されるセンサワイヤ2と、センサワイヤ2の端部を測定対象物Pに固定するワイヤ固定手段(4,5)とを備え、センサワイヤ2を、測定対象物Pに沿うように並行に配置し、前記測定対象物Pの長手方向の伸長量を、前記センサワイヤ2を介して計測する移動量計測装置であって、前記センサワイヤ2を測定対象物Pに沿うように並行に配置させるために、変位センサ1の設置位置と、ワイヤ固定手段(4,5)によるセンサワイヤ2の固定位置を調整可能にしていることで、上述した課題を解決した。
【0030】
この請求項1に係る測定対象物Pの移動量を計測する移動量計測装置によれば、長尺な測定対象物Pの近傍に設置される変位センサ1と、変位センサ1から引き出されるセンサワイヤ2と、センサワイヤ2の端部を測定対象物Pに固定するワイヤ固定手段(4,5)とを備えているので、例えば、地中管路のマンホール内に設置されている送電ケーブルの各設備に何等の悪影響を与えることなく、移動量計測装置を送電ケーブルに簡単に設置することができる。
【0031】
また、センサワイヤ2を、測定対象物Pに沿うように並行に配置していることから、測定対象物Pとして、例えば、送電ケーブル等のケーブル移動量を、ミリやセンチの単位で細かく、しかも、例えば、1時間毎に自動で精確に計測することができる。
【0032】
しかも、変位センサ1の設置位置と、ワイヤ固定手段(4,5)によるセンサワイヤ2の固定位置を調整する簡単な作業により、センサワイヤ2を測定対象物Pに沿うように並行に配置することができる。
【0034】
さらに、本発明に係る請求項の発明は、前記変位センサ1は前記滑車3を備え、この滑車3を介して変位センサ1からセンサワイヤ2を所定の方向に引き出し、前記ワイヤ固定手段(4,5)によりセンサワイヤ2の端部を測定対象物Pに固定し、センサワイヤ2を測定対象物Pに沿うように並行に配置していることで、同じく、上述した課題を解決した。
【0035】
この請求項に係る測定対象物Pの移動量を計測する移動量計測装置によれば、変位センサ1の滑車3を介して変位センサ1からセンサワイヤ2を所定の方向に引き出し、ワイヤ固定手段(4,5)によりセンサワイヤ2の端部を測定対象物Pに固定する作業により、センサワイヤ2を測定対象物Pに沿うように並行に配置することができる。
【0036】
さらに、本発明に係る請求項の発明は、長尺な測定対象物Pに取り付けて、測定対象物Pの移動量を計測する移動量計測装置であり、長尺な測定対象物Pの近傍に設置される変位センサ1と、変位センサ1から滑車を介して所定の方向に引き出されるセンサワイヤ2と、センサワイヤ2の端部を測定対象物Pに固定するワイヤ固定手段(4,5)とを備え、センサワイヤ2を、測定対象物Pに沿うように並行に配置し、前記測定対象物Pの長手方向の伸長量を、前記センサワイヤ2を介して計測する移動量計測装置であって、前記ワイヤ固定手段(4,5)は、一端にセンサワイヤ2の端部を接続した略L字型のワイヤ取付金具5と、ワイヤ取付金具5の他端を、測定対象物Pの所定位置に固定する締結バンド4とからなり、前記ワイヤ取付金具4は、測定対象物Pに当接する面に滑り止めが貼着されていることで、同じく、上述した課題を解決した。
【0037】
この請求項に係る測定対象物Pの移動量を計測する移動量計測装置によれば、センサワイヤ2の端部を接続した略L字型のワイヤ取付金具5の他端を、締結バンド4によって、その位置を調節しながら測定対象物Pの所定位置に固定するので、センサワイヤ2を測定対象物Pに沿うように並行に配置することができる。
【0039】
さらに、測定対象物Pに当接する面に滑り止めが貼着されているので、締結バンド4を介してワイヤ取付金具5の一部分を締め付けるようにして測定対象物Pに強く押し付けて固定したときに、その固定位置がずれてしまう事態の発生を確実に防止することができる。
【0040】
また、測定対象物Pが送電ケーブルである場合、その絶縁外皮(シース)の硬さが変化した場合であっても、その固定位置がずれてしまう事態の発生を確実に防止することができる。
【0041】
さらに、本発明に係る請求項の発明は、前記測定対象物Pは、マンホール内に設置されている送電ケーブルであることで、同じく、上述した課題を解決した。
【0042】
この請求項に係る測定対象物Pの移動量を計測する移動量計測装置によれば、マンホール内に設置されている送電ケーブルについて、熱伸縮や波乗り現象等を要因として生じるケーブル移動量を、ミリやセンチの単位で細かく、しかも、例えば、1時間毎に自動で精確に計測することができる。
【0043】
この他、本発明に係る請求項の発明は、長尺な測定対象物Pに取り付けて、測定対象物Pの移動量を計測する移動量計測方法であり、変位センサ1を長尺な測定対象物Pの近傍に設置する工程と、変位センサ1が備えている滑車3を介して、変位センサ1からセンサワイヤ2を所定の方向に引き出し、センサワイヤ2の端部を測定対象物Pに固定する工程において、センサワイヤ2を測定対象物Pに沿うように並行に配置し、前記測定対象物Pの長手方向の伸長量を、前記センサワイヤ2を介して計測する移動量計測方法であって、前記センサワイヤ2を測定対象物Pに沿うように並行に配置させるために、変位センサ1の設置位置と、ワイヤ固定手段(4,5)によるセンサワイヤ2の固定位置を調整可能にしていることで、同じく、上述した課題を解決した。
【0044】
この請求項に係る測定対象物Pの移動量を計測する移動量計測方法によれば、センサワイヤ2を測定対象物Pに沿うように並行に配置していることから、測定対象物Pとしての、例えば、送電ケーブル等のケーブル移動量を、ミリやセンチの単位で細かく、しかも、例えば、1時間毎に自動で精確に計測することができる。
【0046】
また、変位センサ1の設置位置と、ワイヤ固定手段(4,5)によるセンサワイヤ2の固定位置を調整するという簡単な作業により、確実に、センサワイヤ2を測定対象物Pに沿うように並行に配置することができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、マンホールを開放することなく、路上において、送電ケーブルのケーブル移動量をミリやセンチの単位で細かく、しかも、例えば、1時間毎に自動で計測することができる。
【0048】
また、マンホール内の各設備に何等の悪影響を与えることなく、構成が簡易で低コストで送電ケーブルに設置することができ、さらに変位計測データをセンサ側で、例えば、1時間毎の記録データ(1年分相当)として一括保存しておくことができる。
【0049】
加えて、センサ側で一括保存した変位計測データを外部機器から容易に一括受信することができ、また、防水性に優れ、しかもセンサ側へ給電するためのマンホール内部における電源も容易に確保することができる
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】移動量計測装置のシステムの概略を示す構成図である。
図2】移動量計測装置を構成する各機器の概要を示す斜視図である。
図3】マンホール内における送電ケーブルの接続部と、ケーブル拘束金具の管口の周辺を示す側面図である。
図4】送電ケーブルのケーブル拘束金具の管口に変位センサ設置し、変位センサから引き出したセンサワイヤを送電ケーブルに沿うように並行に配置している状態を示す斜視図である。
図5】送電ケーブルのケーブル拘束金具の管口に変位センサ設置し、変位センサから引き出したセンサワイヤを送電ケーブルに沿うように並行に配置している状態を、別方向から見た斜視図である。
図6】送電ケーブルのケーブル拘束金具の管口に設置される変位センサの構成を示す分解斜視図である。
図7】送電ケーブルのケーブル拘束金具の管口に、変位センサを設置している状態を示す斜視図である。
図8】ワイヤ取付金具の構成を示もので、(a)は斜め上方向から見た斜視図、(b)は斜め下方から見た斜視図である。
図9】ワイヤ取付金具の構成を示もので、(a)は下面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図10】送電ケーブルに電源を取り付けている状態を示す斜視図である。
図11】送電ケーブルに電源を取り付けている状態を、別方向から見た斜視図である。
図12】電源の構成を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図13】マンホール内における送電ケーブルの接続部と、ケーブル拘束金具の管口の周辺を示す側面図である。
図14】送電ケーブルのケーブル拘束金具の管口に変位センサ設置し、変位センサから引き出したセンサワイヤを送電ケーブルに沿うように並行に配置している状態を示す斜視図である。
図15】送電ケーブルのケーブル拘束金具の管口に変位センサ設置し、変位センサから引き出したセンサワイヤを送電ケーブルに沿うように並行に配置している状態を、別方向から見た斜視図である。
図16】送電ケーブルのケーブル拘束金具の管口に設置される変位センサの構成を示す分解斜視図である。
図17】送電ケーブルのケーブル拘束金具の管口に、変位センサを設置している状態を示す斜視図である。
図18】送電ケーブルのクリート側に変位センサ設置し、変位センサから引き出したセンサワイヤを送電ケーブルに沿うように並行に配置している状態を示す斜視図である
図19】送電ケーブルのクリート側に変位センサ設置し、変位センサから引き出したセンサワイヤを送電ケーブルに沿うように並行に配置している状態を、別方向から見た斜視図である。
図20】送電ケーブルのクリート側に設置される変位センサの構成を示す分解斜視図である。
図21】送電ケーブルのクリート側に変位センサ設置している状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下に、図面を参照して、本発明の一実施の形態について説明する。
【0052】
(移動量計測装置の構成)
本発明に係る測定対象物Pの移動量を計測する移動量計測装置は、図4及び図5に示すように、長尺な測定対象物Pの近傍に取り付けられるケーブル移動量計測用の変位センサ1と、変位センサ1から引き出されるセンサワイヤ2と、センサワイヤ2の端部を測定対象物Pに固定するワイヤ固定手段(4,5)とを備えている。
【0053】
そして、図4及び図5に示すように、前記変位センサ1には滑車3が付設されており、この滑車3を介して前記変位センサ1からセンサワイヤ2を所定の方向、すなわち、センサワイヤ2を長尺な測定対象物Pに沿う方向に引き出し、前記ワイヤ固定手段(4,5)によりセンサワイヤ2の端部を測定対象物Pに固定し、センサワイヤ2を測定対象物Pに沿うように並行に配置させている。
【0054】
この様に、前記センサワイヤ2を測定対象物Pに沿うように並行に配置させるためには、変位センサ1をまず測定対象物Pの近傍に固定し、ワイヤ固定手段(4,5)を介したセンサワイヤ2の固定位置調整を行う。
【0055】
(変位センサ)
変位センサ1としては、例えば、精密ポテンショメータを搭載したコンパクトタイプのワイヤ式変位計が使用され、測定対象物Pの移動量をセンサワイヤ2の伸縮に対応させている。
【0056】
前記変位センサ1は、図1に示すように、無線発信器6Aを備えた無線計測部6に接続されており、この無線計測部6は、無線発信器6Aを介して、無線で地上のパソコン9に設置されている無線受信器9Aに向けて測定条件の設定や記録データの伝送を行うものとし、変位センサ1による変位計測データを無線計測部6で、例えば、1時間毎の記録データ(1年分相当)として一括保存できるようにしている。
【0057】
前記無線計測部6は、図1及び図2に示すように、前記変位センサ1に電力を供給するよう電源7を備えた電源本体8に接続されており、電源本体8によって、変位センサ1に電力を常時供給することができるようにしている。
【0058】
(センサ支持機構部)
上記変位センサ1には測定対象物Pの近傍に装着されるセンサ支持機構部51を備えている。すなわち、センサ支持機構部51は、図4乃至図7に示すように、測定対象物Pの近傍に万力のようにして挟み込んでボルトVで締結固定される略コの字型の突っ張り固定部材22と、突っ張り固定部材22の片面に前後方向にスライド調整可能となって取り付けられるL字枠状の支持架台23と、支持架台23のL字他端片側(起立面側)に上下方向(測定対象物Pに沿った方向)にスライド調整可能となって取り付けられる略三角板状の軸受板24と、を備えている。また、軸受板24の三角頂点には、上記滑車3を構成する円筒形のスペーサSを、ネジWとナットNにより回転可能に取り付けている。
【0059】
前記センサワイヤ2を測定対象物Pに沿って並行に配置するために変位センサ1の設置位置を調整する場合には、まず、突っ張り固定部材22を固定しているボルトVをいったん緩めておき、窪み部21Aに沿って左右何れか側に突っ張り固定部材22をスライドさせる。そして、測定対象物Pの長手方向に沿うようにセンサワイヤ2を引き出す好ましい位置において、ボルトVをきつく締め付けて固定するのである。
【0060】
(ワイヤ固定手段)
図8及び図9に示すように、前記ワイヤ固定手段(4,5)は、略L字型のワイヤ取付金具5と、撓曲自在な帯板状の締結バンド4から構成されている。ワイヤ取付金具5の立設しているL字の端部の内側面には、前記変位センサ1から引き出されたセンサワイヤ2の端部が固定される筒状のワイヤ取付孔部11が設けられている。
【0061】
そして、前記センサワイヤ2が測定対象物Pに沿って並行に配置されるように、ワイヤ取付金具5のL字の他端側を測定対象物Pの所定位置の側面に当接させた状態で、締結バンド4を介してL字の他端側を上記締結バンド4により締め付けるようにし、測定対象物Pに強く押し付けて固定するのである。
【0062】
締結バンド4によって締め付けて固定されるL字の他端側の外面には、例えば、粗目のサンドペーパ等の滑り止め用の紙ヤスリ10が、両面粘着ファスナ等を介して貼着されている。滑り止めは、ゴムシート等でも良い。
【0063】
次に、本実施形態による変位センサ1を使用した測定対象物Pの移動量を計測する移動量計測方法について説明する。
【0064】
まず、上記したセンサ支持機構部51によって、変位センサ1を長尺な測定対象物Pの近傍に設置する。
【0065】
次に、変位センサ1が備えている滑車3を介して、変位センサ1からセンサワイヤ2を所定の方向に引き出し、センサワイヤ2の端部をワイヤ取付孔部11に取り付け、締結バンド4を介してワイヤ取付金具5の他端側を上記締結バンド4により締め付けるようにし、測定対象物Pに強く押し付けて固定するのである。
【0066】
そして、センサワイヤ2を測定対象物Pに沿うように並行に配置させるためには、変位センサ1の設置位置と、ワイヤ固定手段(4,5)によるセンサワイヤ2の固定位置の何れか一方の位置を調整するか、もしくは両者の位置を同時に調整して行われる。
(移動量計測システムの全体構成)
次に、本発明に係る測定対象物Pの移動量を計測する移動量計測システムの全体構成について詳述する。
【0067】
本システムは、図1及び図2に示すように、上記した構成によるケーブル移動量計測用の変位センサ1と、変位センサ1に接続され、パソコン9に、例えば、USB等で接続されている無線受信器9Aと送受信可能な無線発信器6Aを搭載した無線計測部6と、無線計測部6と直流電源ケーブルによって接続された電源本体8と、電源本体8にコネクタ接続された、例えば、クランプ型DC電源等の1個又は複数(2個等)の電源7と、を有するシステム構成となっている。
【0068】
尚、以下の記載は、マンホールMH内の送電ケーブルを測定対象物Pとして説明する。
【0069】
(無線計測部詳細)
無線計測部6は、周波数が、例えば、429MHz等の特定小電力無線による無線発信器6Aが接続されており、例えば、4台の変位センサ1による変位計測データを、例えば、1時間毎の記録データ(1年分相当)として一括保存しておくことができる。
【0070】
さらに、無線発信器6Aを、例えば、マンホールMH内の上部(足場付近)に設置しておくことで、外との通信性が確保され、これによって無線計測部6で読み取り記録した、例えば、1時間毎の変位計測データや測定条件の設定データ等を、無線発信器6Aを介して、マンホールMH近傍の路上に設置(所持)した、例えば、無線受信器9Aを備えたパソコン9側に定期的に伝送するものとなっている。
【0071】
(変位センサ詳細)
図4及び図5に示すように、変位センサ1としては、上記したように、精密ポテンショメータを搭載したコンパクトタイプのワイヤ式変位計が使用され、送電ケーブルPの移動量をセンサワイヤ2の伸縮に対応させている。そして、図3に示すように、地下に配設されたマンホールMHの内部には二本の送電ケーブルPが敷設されており、各送電ケーブルPのケーブル移動量をそれぞれ個別に検出するために上記変位センサ1が送電ケーブルPの近傍に装着される。
【0072】
すなわち、変位センサ1は、図3図13図19に示すように、中間にケーブル接続部KSを配してなるマンホールMHの管路入口(以下、管口と称す)壁面に設けられている、例えば、「MH管口A側」のケーブル拘束金具21(図3参照)や「MH管口B側」の支持金物31(図13参照)、さらにはマンホールMH内における管口外側に配されているストッパ(拘束)装置40による「追加クリートC側」のクリート架台41(図3図13図19参照)等に取り付けられる3つのセンサ設置形態があり、管路内に引き込まれる方向に引っ張られて移動する送電ケーブルPの移動量を検出するものである。
【0073】
図4及び図5に示すように、各変位センサ1には、それぞれ専用の構成によるセンサ支持機構部51が用意されており、各センサ支持機構部51には滑車3を備えている。この滑車3を介して変位センサ1からセンサワイヤ2を所定の方向に引き出し、ワイヤ固定手段(4,5)によりセンサワイヤ2の端部を送電ケーブルPの所定の位置に固定するのである。
【0074】
尚、センサ支持機構部51のさらに詳細な構成については、後述する(図6図7図14図21等参照)。
【0075】
(センサワイヤの捩じれ修正)
送電ケーブルPの熱伸縮によるケーブル移動量をミリやセンチの単位で細かく精確に計測するためには、送電ケーブルPと、変位センサ1から引き出されたセンサワイヤ2を、並行に配置する必要がある。
【0076】
このことから、上記「MH管口A側」のケーブル拘束金具21や「MH管口B側」の支持金物31、さらには「追加クリートC側」のクリート架台41等への変位センサ1の設置位置、または、ワイヤ取付金具5の取付位置のいずれかを配置調節することで、送電ケーブルPの長手方向に沿って伸長するセンサワイヤ2の捩れ状態を修正するのである。
【0077】
(電源詳細)
電源7は、図10乃至図12に示すように、送電ケーブルPの負荷電流から電力を得るもので、既設の送電ケーブルP周囲を囲繞するように配置される、例えば、防水性のクランプリング構造による電磁誘導式電源等が使用される。すなわち、電源7は、一対の半円リング7A、7Bの各端部同士が防水用の円筒キャップ7Dを介して連結されてリング状となし、一方の円筒キャップ7D側には、一対のヒンジ用ボルト7Eによって連結されているヒンジ部7Cが設けられ、このヒンジ部7Cを介して一対の半円リング7A、7Bの各他端側が開放される構造となっている。
【0078】
また、一対の半円リング7A、7Bを閉じた状態では、半円リング7A、7B相互の外周を締結バンド7Fで巻回して縛結固定するようにしてある。こうして送電ケーブルPに流れる送電電流の電磁誘導により、電源7に二次電流(交流)を発生させ、これを直流に変換し、変位センサ1、無線計測部6、電源本体8等の測定機器用の電力を出力するものである。例えば、60アンペアの負荷電流で、約1ワットの電力を安定供給するものとなる。
【0079】
(無線受信器詳細)
無線受信器9Aは、パソコン9のUSBポートに接続され、マンホール内の無線発信器6Aとデータの送受信を行うものである。通信は通信ターミナルソフトを使用し、パソコン9のコマンド入力により行う。
【0080】
尚、パソコン9には、変位センサ1によるケーブル移動量の測定値をミリ単位の移動量に換算するための、表計算シートのテンプレートが保存されている。
【0081】
次に、上記した移動量計測システムにおける変位センサ1の送電ケーブルP近傍への取付方法の詳細について説明する。
【0082】
(MH管口A側への変位センサ取付詳細)
まず、「MH管口A側」のケーブル拘束金具21の管口への変位センサ1の取付について、図6及び図7に基づき詳細に説明する。
【0083】
センサ支持機構部51は、図6及び図7に示すように、「MH管口A側」のケーブル拘束金具21のフランジ状の管口側に万力のようにして挟み込んでボルトVで締結固定される略コの字型の突っ張り固定部材22と、突っ張り固定部材22の片面に前後方向(送電ケーブルPに対して近接又は離反する方向)にスライド調整可能となって取り付けられるL字枠状の支持架台23と、支持架台23のL字他端片側(起立面側)に上下方向(送電ケーブルPに沿った方向)にスライド調整可能となって取り付けられる略三角板状の軸受板24と、軸受板24の三角頂点に円筒形のスペーサSをネジWとナットNにより回転可能に取り付けられる滑車3と、を備えている。
【0084】
この滑車3を介して、変位センサ1からセンサワイヤ2を所定の方向に引き出し、ワイヤ固定手段(4,5)によりセンサワイヤ2の端部を送電ケーブルPの所定の位置に固定するのである。
【0085】
図6に示すように、ケーブル拘束金具21のフランジ状の管口側の環状平面部上には、円弧状の窪み部21Aが形成されており、固定用の2個のボルトVをこの窪み部21Aに落とし込んで、上記突っ張り固定部材22が固定される。
【0086】
このとき、センサワイヤ2を測定対象物Pに沿うように並行に配置させるためには、変位センサ1の設置位置と、ワイヤ固定手段(4,5)によるセンサワイヤ2の固定位置の何れか一方の位置を調整するか、もしくは両者の位置を同時に調整して行われる。
【0087】
変位センサ1の設置位置を調整する場合には、突っ張り固定部材22を固定しているボルトVをいったん緩めておき、窪み部21Aに沿って左右何れか側に突っ張り固定部材22をスライドさせ、送電ケーブルPの長手方向に沿って伸長するセンサワイヤ2を並行状態にしてから、再度ボルトVをきつく締め付けて固定する。
【0088】
ワイヤ取付金具5の取付位置を変更する場合には、締結バンド4をいったん緩めてからワイヤ取付金具5を所定の位置までずらし、送電ケーブルPの長手方向に沿って伸長するセンサワイヤ2を並行状態にしてから、再度締結バンド4をきつく締め付けて固定する。
【0089】
図6に示すように、支持架台23のL字一端片側(突っ張り固定部材22に当接する面)には、支持架台23を突っ張り固定部材22に固定するためのボルトVが挿入される相互にずれた一対の長孔23Aを備え、この長孔23Aで支持架台23の位置をスライドさせることで、突き出し調整できるようにしている。
【0090】
支持架台23のL字他端片側(起立面側)には、軸受板24を固定するためのボルトVが挿入される相互にずれた一対の長孔23Bを備え、この長孔23Bで軸受板24の位置をスライドさせることで、上下方向(送電ケーブルPに沿った方向)にスライド調整できるようにしている。
【0091】
(MH管口B側への変位センサ取付詳細)
次に、「MH管口B側」の支持金物31の管口への変位センサ1の取付について、図13乃至図17に基づき詳細に説明する。
【0092】
「MH管口B側」におけるケーブル拘束金具21のフランジ状の環状平面部上には、角度120°おきに3本となって棒ネジ32が植設されており、この棒ネジ32に対応して、ドーナッツ状の支持金物31の環状平面部上には角度120°おきに円弧状となった3個の貫通孔33が穿設されている。
【0093】
棒ネジ32は貫通孔33に各挿入され、棒ネジ32にねじ込ませた一対のナットNで貫通孔33を挟み込むようにして、支持金物31がケーブル拘束金具21に三点支持となって固定されている。
【0094】
変位センサ1は、上記支持金物31にセンサ支持機構部51によって固定されている。この場合におけるセンサ支持機構部51は、前記支持架台23の代わりに、一対のL字片状の支持板34,35によって支持金物31を挟み込み、ボルトVとナットNで固定してある。一方の支持板34(ワイヤ取付金具5に対向する側)には、変位センサ1が4本のネジWで固定され、他方の支持板35には、上記した滑車3を備えた軸受板24がボルトVとナットNで取り付けられる。
【0095】
尚、支持板35に形成した一対の長孔35Aで支持板35の位置をスライドさせることで軸受板24の突き出し距離が調整できるようにしてある。また、軸受板24はケーブル拘束金具21と支持金物31との間に配されることから、変位センサ1から引出された前記センサワイヤ2は、支持金物31の中央開口部31Aに通されてから、ワイヤ取付金具5に接続される。
【0096】
変位センサ1の設置位置を調整する場合には、棒ネジ32にねじ込ませた一対のナットNをいったん緩めて貫通孔33に沿って支持金物31を左右何れか側にスライドさせ、送電ケーブルPの長手方向に沿って伸長するセンサワイヤ2を並行状態にしてから、再度ナットNをきつく締め付けて支持金物31を固定する。
【0097】
次に、「追加クリートC側」への変位センサ1の取付について、図18乃至図21に基づき詳細に説明する。
【0098】
クリート架台41は、縦横に交差するアングル材41A,41Bによって構成され、センサワイヤ2はクリート架台41の内側に配線される。センサ支持機構部51としては、変位センサ1はセンサ架台42の上面にネジWで固定され、センサ架台42は左右一対の吊り金具43で横向きのアングル材41Aに固定されている。縦向きのアングル材41Bには、前記変位センサ1の略真上に位置するよう略矩形薄板状のスライド調整板44が上下一対の吊り金具45に架け渡された左右一対の棒ネジ46に沿って上下方向にスライド可能となって装着されている。
【0099】
すなわち、図21に示すように、スライド調整板44の一端には、左右一対の横長の長孔44Aが形成され、長孔44Aに棒ネジ46が各挿入され、棒ネジ46の上端は上側の吊り金具45に挿入され、棒ネジ46にねじ込ませた一対のナットNで上側の吊り金具45を挟み込むようにして固定される。
【0100】
一方、棒ネジ46の下端はスライド調整板44の長孔44Aに通されてから下側の吊り金具45に挿入され、棒ネジ46にねじ込ませた一対のナットNで下側の吊り金具45及びスライド調整板44を挟み込むようにして固定される。
【0101】
スライド調整板44の他端には、縦方向に延びた3個の長孔44Bが並設されており、このうちの2個の長孔44Bを介して、上記した滑車3を備えた略三角板状の軸受板24がネジWとナットNで固定される。
【0102】
センサワイヤ2の突き出し距離を修正する場合には、スライド調整板44の3個の長孔44Bのうち2個の長孔44Bを適宜変更(再選択)して、軸受板24がネジWとナットNで固定される。
【0103】
センサワイヤ2の捩じれを修正する場合には、下側の吊り金具45及びスライド調整板44を挟み込んでいる一対のナットNが互いに離反するようにいったん緩めておき、スライド調整板44を棒ネジ46に沿って上下何れか側にスライドさせ、送電ケーブルPの長手方向に沿って伸長するセンサワイヤ2を並行状態にしてから、再度ナットNをきつく締め付けて固定する。
【0104】
(送電ケーブルPの移動量計測データの伝送処理)
次に、本実施形態の移動量計測システムにおける変位センサ1を使用した、送電ケーブルPの移動量計測データの伝送処理方法について説明する。
【0105】
マンホールMH内で送電ケーブルPが熱伸縮等によって継続的に移動すると、これに追従してセンサワイヤ2が変位センサ1に引き込まれるか、引出されるかして、そのケーブル移動量が変位計測データとして無線計測部6に出録される。
【0106】
無線計測部6は、変位センサ1による変位計測データを、例えば、1時間毎の記録データとして一括保存する。作業員はマンホールMH近傍の路上にて、無線受信器9Aを備えたパソコン9からの変位計測データを取得するための任意の要求信号(コマンド入力信号)を、無線受信器9Aを介して、マンホールMH内の無線計測部6の無線発信器6Aに向けて送信する。
【0107】
これにより無線計測部6は、読み取り記録されている、例えば、1時間毎の変位計測データや測定条件の設定データ等をパソコン9側の無線受信器9Aに送信する。
【0108】
尚、無線計測部6からパソコン9側に上記各データを定期的に自動伝送するようにしても良い。
【0109】
こうして、路上において、送電ケーブルPのケーブル移動量をミリやセンチの単位で細かく、しかも、例えば、1時間毎の一括データとして取得することができる。また、パソコン9によって取得された変位計測データは、表計算シートのテンプレートに基づいて、ミリ単位のケーブル移動量に換算される。
【0110】
変位計測データは無線計測部6で、例えば、1時間毎の記録データの1年分相当を一括して保存しておくことができ、必要に応じていつでもこの記録データをパソコン9によって取得することができる。
【0111】
尚、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、測定対象物Pとして送電ケーブル以外の様々な長尺な物品について、その移動量を検知することのできる装置・手法として、種々の作業現場において、幅広く利用されるものである。
【符号の説明】
【0113】
P…測定対象物(送電ケーブル)
MH…マンホール
KS…ケーブル接続部
V…ボルト
N…ナット
W…ネジ
S…スペーサ
1…変位センサ
2…センサワイヤ
3…滑車
4…締結バンド(ワイヤ固定手段)
5…ワイヤ取付金具(ワイヤ固定手段)
6…無線計測部
6A…無線発信器
7…電源
7A…半円リング
7B…半円リング
7C…ヒンジ部
7D…円筒キャップ
7E…ヒンジ用ボルト
7F…締結バンド
8…電源本体
9…パソコン
9A…無線受信器
10…滑り止め用の紙ヤスリ
11…ワイヤ取付孔部
21…ケーブル拘束金具
21A…窪み部
22…突っ張り固定部材
23…支持架台
23A…長孔
23B…長孔
24…軸受板
31…支持金物
31A…中央開口部
32…棒ネジ
33…貫通孔
34…支持板
35…支持板
35A…長孔
40…ストッパ(拘束)装置
41…クリート架台
41A…アングル材
41B…アングル材
42…センサ架台
43…吊り金具
44…スライド調整板
44A…長孔
44B…長孔
45…吊り金具
46…棒ネジ
51…センサ支持機構部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21