【実施例】
【0053】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0054】
〔実施例及び比較例で用いた各種特性及び物性の測定方法〕
((1)粘度平均分子量の測定)
実施例及び比較例で製造したポリエチレン粒子の粘度平均分子量を以下に示す方法によって求めた。
まず、溶解管にポリエチレン粒子10mgを秤量し、溶解管を窒素置換した後、20mLのデカヒドロナフタレン(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール1g/Lを加えたもの)を加え、150℃で2時間攪拌してポリエチレン粒子を溶解させた。
この溶液を、135℃の恒温槽で、ウベローデタイプの粘度計を用いて、標線間の落下時間(ts)を測定した。同様に、ポリエチレン粒子の質量を変えて3点の溶液を作製し、落下時間を測定した。ブランクとして、ポリエチレン粒子を入れていないデカリンのみの落下時間(tb)を測定した。
以下の式(I)に従って求めたポリマー(ポリエチレン)の還元粘度(η
sp/C)をそれぞれプロットして、濃度(C)(単位:g/dL)とポリマーの還元粘度(η
sp/C)との直線式を導き、濃度0に外挿した極限粘度[η]を求めた。
(η
sp/C)=(t
s/t
b−1)/C (単位:dL/g) (I)
次に、下記式(II)を用いて、上記極限粘度[η]の値を用い、粘度平均分子量(Mv)を算出した。
Mv=(5.34×10
4)×[η]
1.49 (II)
【0055】
((2)ポリエチレン粒子の分級)
ポリエチレン粒子を、JIS Z 8801規格に準拠した目開き300μm、212μm、150μm、106μm、75μm、53μmの標準ふるいにかけて、前記順序で分級し、各目開きサイズのふるいにオンしたポリエチレン粒子の画分を採取した。目開き300μmをパスし、目開き212μmをオンした画分を画分1、目開き212μmをパスし、目開き150μmをオンした画分を画分2、目開き150μmをパスし、目開き106μmをオンした画分を画分3、目開き106μmをパスし、目開き75μmをオンした画分を画分4、目開き75μmをパスし、目開き53μmをオンした画分を画分5とした。
【0056】
((3)貯蔵弾性率が1000Paに達する温度)
各画分(1〜5)100重量部と流動パラフィン(松村石油(株)製P−350(登録商標))900重量部とを量り取り、スパチュラで撹拌し、スラリー溶液1〜5を調製した。各スラリー溶液(1〜5)1.5gを用いて、下記条件により貯蔵弾性率が1000Paに達した時の温度を測定した。各スラリー溶液1〜5の貯蔵弾性率が1000Paに達する温度をそれぞれT(212),T(150),T(106),T(75),T(53)とした。
測定装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製 MARSIII
ステージ:20mmφ
プレート:20mmφパラレルプレート
ギャップ:0.5mm
測定条件:(1)110℃2min保温
(2)110℃から150℃に1℃/minで昇温(周波数1Hz、応力5μNm一定 条件)
【0057】
((4)平均粒子径(D50)の測定)
200mLのポリカップにポリエチレン粒子100gを量り取り、カーボンブラック1gを加えて薬さじで十分に撹拌した。撹拌したポリエチレン粒子を、JIS Z 8801規格に準拠した目開きが300μm、212μm、150μm、106μm、75μm、53μmのふるいにかけて分級した際、得られる各ふるいに残ったポリエチレン粒子の重量を目開きの小さい側から積分した積分曲線において、50%重量となる粒子径を平均粒子径とした。
【0058】
((5)ポリエチレン粒子の見掛け密度)
ポリエチレン粒子の見掛け密度は、JIS K−6721:1997に従い測定(算出)した。
【0059】
((6)粒度分布D90/D10)
ポリエチレン粒子の粒度分布D90/D10は、レーザー式粒度分布測定器(島津製作所社製 SALD−2100)により、ポリエチレン粒子径の小さい側から積分した積分曲線において、10%の存在分率となる粒子径をD10とし、90%の存在分率となる粒子径をD90として、D90/D10を算出とした。
【0060】
((7)膜厚)
セパレータの膜厚を、東洋精機製の微小測厚器(タイプKBM(登録商標))を用いて室温23℃で測定した。
【0061】
((8)膜の外観特性(未溶融物由来の欠点))
セパレータ625cm
2を測定サンプルとし、未溶融物に由来する欠点が見えるか、目視で観察し、膜の外観特性を評価した。評価基準は、以下のとおりである。
◎:全く見えなかった
○:1ヶ所以上3か所以下の欠点が見られた
△:4か所又は5か所の欠点が見られた
×:5か所を超える欠点が見られた
【0062】
((9)低電気抵抗性)
SBA S 0402に従い希硫酸24時間含浸後の低電気抵抗性を測定した。評価基準は、以下のとおりである。
◎:電気抵抗が22mΩcm
2以下であった
○:電気抵抗が22mΩcm
2を超え、24mΩcm
2以下であった
△:電気抵抗が24mΩcm
2を超え、26mΩcm
2以下であった
×:電気抵抗が26mΩcm
2を超えた
【0063】
((10)引張強度)
JIS K 7127に従い、下記装置及び測定条件で引張強度を測定した。評価基準は、以下のとおりである。
装置:エーアンドデイ社製 テンシロン
サンプル形状:試験片タイプ5
チャック間距離:80mm
引張速度:300mm/min
◎:引張強度が5.0Mpa以上であった
○:引張強度が4.5MPa以上5.0MPa未満であった
△:引張強度が4.0MPa以上4.5MPa未満であった
×:引張強度が4.0MPa未満であった
【0064】
((11)再混練後の強度保持率)
再混練後の微多孔膜について、前記(8)に記載の方法により引張強度を測定し、以下の式(III)により強度保持率を求めた。評価基準は以下のとおりである。
強度保持率(%)=(再混練した微多孔膜の引張強度/再混練していない微多孔膜の引張強度)×100 (III)
◎:強度保持率が95%以上であった
○:強度保持率が90%以上95%未満であった
△:強度保持率が80%以上90%未満であった
×:強度保持率が80%未満であった
【0065】
〔触媒合成例〕
〔固体触媒成分[A]の調製〕
(1)(A−1)担体の合成
担体(A−1)の前駆体として、平均粒径7μm、比表面積660m
2/g、細孔容積1.4mL/g、圧縮強度7MPaのシリカを用いた。
窒素置換した容量8Lオートクレーブに加熱処理後のシリカ(130g)をヘキサン2500mL中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーに、攪拌下20℃にて、ルイス酸性化合物であるトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1M)を195mL加えた。その後、2時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させて、トリエチルアルミニウムを吸着させた(A−1)担体のヘキサンスラリー2695mLを調製した。
【0066】
(遷移金属化合物成分[B]の調製)
遷移金属化合物(B−1)として、[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウム−1,3−ペンタジエン(以下、「錯体1」と略称する)を使用した。また、有機マグネシウム化合物(B−2)として、組成式Mg(C
2H
5)(C
4H
9)(以下、「Mg1」と略称する)を使用した。
200mmolの錯体1をイソパラフィン炭化水素(エクソンモービル社製アイソパーE)1000mLに溶解し、これにMg1のヘキサン溶液(濃度1M)を40mL加え、更にヘキサンを加えて錯体1の濃度を0.1Mに調整し、遷移金属化合物成分[B]を得た。
【0067】
(活性化剤[C]の調製)
ボレート化合物(C−1)として、ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(以下、「ボレート」と略称する)17.8gをトルエン156mLに添加して溶解し、ボレートの100mmol/Lトルエン溶液を得た。このボレートのトルエン溶液に(C−2)としてエトキシジエチルアルミニウムの1mol/Lヘキサン溶液15.6mLを室温で加え、さらにトルエンを加えて溶液中のボレート濃度が70mmol/Lとなるように調整した。その後、室温で1時間攪拌し、ボレートを含む活性化剤[C]を調製した。
【0068】
(固体触媒[D]の調製)
上記操作により得られた担体(A−1)のスラリー2695mLに、30℃にて500rpmで撹拌しながら、上記操作により得られた活性化剤[C]44mLをヘキサン176mLで希釈したものと、遷移金属化合物成分[B]35mLをヘキサン140mLで希釈したものと、を別のラインから定量ポンプを用い、同時に添加し、添加時間3時間で、その後、3時間反応を継続することにより、固体触媒[D]を調製した。
【0069】
(液体成分[E]の調製)
有機マグネシウム化合物(E−1)として、組成式AlMg
6(C
2H
5)
3(C
4H
9)
12(以下、「Mg2」と略称する)を使用した。
200mLのフラスコに、ヘキサン40mLとMg2を、MgとAlの総量として38.0mmolを攪拌しながら添加し、20℃でメチルヒドロポリシロキサン(25℃における粘度20センチストークス;以下、「シロキサン化合物」と略称する)2.27g(37.8mmol)を含有するヘキサン40mLを攪拌しながら添加し、その後80℃に温度を上げて3時間、攪拌下で反応させることにより、液体成分[E]を調製した。
【0070】
(水添触媒[F]の調製)
窒素置換した攪拌機付の容量2.0LのSUSオートクレーブに、チタノセンジクロライド37.3gをヘキサン1Lで導入した。500rpmで撹拌しながら、トリイソブチルアルミニウムとジイソブチルアルミニウムハイドライドの(9:1)の混合物0.7mol/L、429mLを室温で、1時間かけてポンプで添加した。添加後71mLのヘキサンでラインを洗浄した。1時間撹拌を継続し、濃青色の均一な100mM/L溶液[F]を得た。
【0071】
(固体触媒成分[G]の調製)
<(1)(G−1)担体の合成>
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに2mol/Lのヒドロキシトリクロロシランのヘキサン溶液1,000mLを仕込み、65℃で攪拌しながら組成式AlMg
5(C
4H
9)
11(OC
4H
9)
2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液2,550mL(マグネシウム2.68mol相当)を4時間かけて滴下し、さらに65℃で1時間攪拌しながら反応を継続させた。
反応終了後、上澄み液を除去し、1,800mLのヘキサンで2回洗浄した。さらに、このスラリーを65℃に保ち、1mol/Lのジエチルアルミニウムクロリドのヘキサン溶液100mlを攪拌下加えて1時間反応させた。反応終了後、上澄み液を除去し、1,800mLのヘキサンで4回洗浄し、(G−1)担体を得た。
<(2)固体触媒成分[G]の調製>
上記(G−1)担体110gを含有するヘキサンスラリー1,970mLに0℃で攪拌しながら0.2mol/Lの四塩化チタンヘキサン溶液110mLと0.2mol/Lの組成式AlMg
5(C
4H
9)
11(OSi(C
2H
5)H)
2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液110mLとを同時に1時間かけて添加した。
添加後、10℃で1時間反応を継続させた。
反応終了後、上澄み液を1100mL除去し、ヘキサン1,100mLで4回洗浄することにより、固体触媒成分[G]を調製した。
【0072】
(固体触媒成分[H]の調製)
<(1)(H−1)担体の合成>
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに2mol/Lのヒドロキシトリクロロシランのヘキサン溶液1,000mLを仕込み、65℃で攪拌しながら組成式AlMg
5(C
4H
9)
11(OC
4H
9)
2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液2,550mL(マグネシウム2.68mol相当)を4時間かけて滴下し、さらに65℃で1時間攪拌しながら反応を継続させた。
反応終了後、上澄み液を除去し、1,800mLのヘキサンで2回洗浄し、(H−1)担体を得た。
<(2)固体触媒成分[H]の調製>
上記(H−1)担体110gを含有するヘキサンスラリー1,970mLに10℃で攪拌しながら1.0mol/Lの四塩化チタンヘキサン溶液110mLと1.0mol/Lの組成式AlMg
5(C
4H
9)
11(OSi(C
2H
5)H)
2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液110mLとを同時に1時間かけて添加した。
添加後、10℃で1時間反応を継続させた。
反応終了後、上澄み液を1100mL除去し、ヘキサン1,100mLで4回洗浄することにより、固体触媒成分[H]を調製した。
【0073】
〔実施例1〕
(ポリエチレン粒子の製造方法)
撹拌装置が付いたベッセル型300L重合反応器を用いた。重合温度はジャケット冷却により75℃に保った。溶媒としてノルマルヘキサンを60L/時間で供給した。固体触媒[D]を重合速度が10kg/時間となるように気相部にミスト状にして供給した。液体成分[E]をMgとAlの総量として6mmol/時間で供給した。水素は固体触媒[D]のフィード配管に2NL/時間で供給した。このフィード配管に、別途水添触媒[F]を反応器内濃度が0.32μmol/Lとなるように供給した。重合圧力0.8MPaG、平均滞留時間3時間の条件で、気相部にエチレンを供給し連続重合を行い、重合スラリーを得た(重合工程)。なお、重合工程において、反応器上部には、気相部のエチレンとヘキサンを冷却して循環させる熱交換器を設置し、冷却したエチレンを気相部に供給した。
重合スラリーを遠心分離機に送り、ポリマーとそれ以外の溶媒等を分離し、ポリエチレン粒子を得た(分離工程)。分離されたポリエチレン粒子は、70℃で窒素ブローしながら乾燥した(乾燥工程)。なお、この乾燥工程で、重合後のポリエチレン粒子(ポリエチレンパウダー)に対し、スチームを噴霧して、触媒及び助触媒の失活を実施した(失活工程)。得られたポリエチレン粒子を、目開き425μmの篩を用いて、篩を通過しなかったものを除去することで、ポリエチレン粒子を得た(分級工程)。
【0074】
(微多孔膜の製造方法)
100mLのポリカップにポリエチレン粒子3.7g、流動パラフィン(松村石油(株)製P−350(商標))26.6g、シリカ(PPG製HiSil233)9.5g、カーボンブラック0.02g、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.01gを加えて薬さじで撹拌することにより、ポリエチレン混合物を得た。得られたポリエチレン混合物を東洋精機製作所製ラボプラストミルミキサー(本体型式:4C150、ミキサー形式:R−60)に仕込み、回転数を50rpmに設定して190℃で10分間混練した。混練物をただちに250mm×250mm、厚み0.1mmの金型を用いて200℃10MPaの条件で300秒間加圧し、25℃10Mpaの条件で600秒間冷却することで、黒色膜を得た。この黒色膜をヘキサンに10分間含浸させて流動パラフィンを抽出し、乾燥させることにより、第1の微多孔膜を得た。
続いて、100mLのポリカップにポリエチレン粒子3.0g、流動パラフィン(松村石油(株)製P−350(商標))21.3g、シリカ(PPG製HiSil233)7.6g、カーボンブラック0.02g、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.01gを加えて薬さじで撹拌し、前記、黒色膜8.0gとともに、東洋精機製作所製ラボプラストミルミキサー(本体型式:4C150、ミキサー形式:R−60)に仕込み、回転数を50rpmに設定して190℃で10分間混練した。混練物をただちに250mm×250mm、厚み0.1mmの金型を用いて200℃10MPaの条件で300秒間加圧し、25℃10Mpaの条件で600秒間冷却することで、再混練黒色膜を得た。この再混練黒色膜をヘキサンに10分間含浸させて流動パラフィンを抽出し、乾燥させることにより、再混練後の微多孔膜(第2の微多孔膜)を得た。
【0075】
〔実施例2〕
重合工程において、重合温度75℃、重合圧力0.6MPaG、及び平均滞留時間3時間の条件で、気相部にエチレンを供給し連続重合を行ったこと、固体触媒成分[G]を用い、重合速度(生産速度)が10kg/時間となるように供給したこと、助触媒成分としてトリイソブチルアルミニウムとジイソブチルアルミニウムハイドライド(9:1)の混合物0.7mol/Lを10mmol/Hrの速度で、固体触媒成分[G]とは別の導入ラインにより添加したこと、水素を供給しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレン粒子を得た。微多孔膜は、実施例1と同様にして得た。
【0076】
〔実施例3〕
重合工程において、重合温度を60℃としたこと、水素を気相濃度が2000ppmになるように気相部に供給したこと以外は、実施例2と同様にして、ポリエチレン粒子を得た。微多孔膜は、実施例1と同様の操作によって得た。
【0077】
〔実施例4〕
重合工程において、水添触媒[F]を反応器内濃度が1.6μmol/Lとなるように供給したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレン粒子を得た。微多孔膜は、実施例1と同様にして得た。
【0078】
〔実施例5〕
重合工程において、水添触媒[F]を反応器内濃度が1.7μmol/Lとなるように供給し、さらに、1−ブテンを気相部の濃度が0.4mol%になるように供給したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレン粒子を得た。微多孔膜は、実施例1と同様にして得た。
【0079】
〔実施例6〕
重合工程において、水添触媒[F]を反応器内濃度が2.0μmol/Lとなるように供給し、反応器上部で冷却したエチレンを液相部に供給したこと以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン粒子を得た。微多孔膜は、実施例1と同様にして得た。
【0080】
〔実施例7〕
(重合工程)
ヘキサン14Lを入れた撹拌装置が付いたベッセル型30L重合反応器にエチレンを気相部に断続的に供給した。重合圧力は0.4MPaに保ち、重合温度はジャケット冷却により61℃に保った。助触媒としてトリイソブチルアルミニウムを1.5mmol添加し、その後、固体触媒成分[G]を0.2g分気相部にミスト状に添加することで重合反応を開始した。反応器上部には、気相部のエチレンとヘキサンを冷却して循環させる機構を設け、冷却したエチレンを気相部に供給した。3時間反応させた後、反応器を脱圧することで未反応のエチレンを除去し、重合スラリーを得た(重合工程)。
以降の工程(分離工程、乾燥工程、失活工程、及び分級工程)は実施例1と同様にしてポリエチレン粒子を得た。微多孔膜は、実施例1と同様にして得た。
【0081】
〔実施例8〕
重合工程において、水添触媒[F]を反応器内濃度が3.5μmol/Lとなるように供給したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレン粒子を得た。微多孔膜は、実施例1と同様にして得た。
【0082】
〔比較例1〕
重合工程において、重合温度を76℃としたこと、固体触媒成分[G]を用い、重合速度(生産速度)が10kg/時間となるように液相部に供給したこと、気相部のエチレンとヘキサンとを冷却して循環させなかったこと以外は、実施例2と同様にして、ポリエチレン粒子を得た。微多孔膜は、実施例1と同様にして得た。
【0083】
〔比較例2〕
重合工程において、水添触媒[F]を反応器内濃度が1.7μmol/Lとなるように供給したこと、気相部のエチレンとヘキサンを冷却して循環させなかったこと以外は、実施例4と同様にして、ポリエチレン粒子を得た。微多孔膜は、実施例1と同様にして得た。
【0084】
〔比較例3〕
重合工程において、固体触媒成分[G]を用いずに、固体触媒成分[H]を用い、重合温度を70℃とし、重合圧力を0.35MPaとし、平均滞留時間2時間の条件でエチレンを気相部に供給し連続重合を行ったこと以外は、実施例2と同様にして、ポリエチレン粒子を得た。微多孔膜は、実施例1と同様にして得た。
【0085】
実施例1〜8及び比較例1〜3のポリエチレン粒子の特性、並びに実施例1〜8及び比較例1〜3のポリエチレン粒子を用いて得られた微多孔膜の物性を上述した方法により測定した。なお、微多孔膜の物性のうち、膜厚、膜の外観特性、低電気抵抗性、引張強度については第1の微多孔膜を用い、再混練後の強度保持率については、第1の微多孔膜と再混練後の微多孔膜(第2の微多孔膜)とを用いた。測定結果を下記表1に示す。
【0086】
【表1】