(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示のものは、本体内に引き出し可能に設けたトレイにホースリールや消火器を収納し、前記トレイを前面側に引き出すようにしている。そのため、消火栓装置の前面側にはトレイを引き出すための空間が必要となる。
しかしながら、消火栓装置の前面側は、車道に近く、事故車等が消火栓装置の前面側にあることもあり、消火栓装置の前面にはほとんど空間がないことも考えられる。そのため、消火活動に支障がでることが想定される。
【0007】
また、特許文献2に開示されたもののように、車道側に引き出すトレイにホースリールや消火器を収納した場合、トレイの引き出しは車道側からしかできず、またホースや消火器の取り出しも車道側からしかできない。そのため、消火活動は車道からしかできず、円滑かつ効果的な消火活動を迅速に行うことができないという問題がある。
【0008】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、消火栓装置を監視員通路内に埋め込むようにして設置した場合においても、ホースや消火器の取り出しに支障が生ずることなく、また迅速な消火活動ができる消火栓装置を得ることを目的としている。
また、消火器の取り出しに支障が生ずることなく、また迅速な消火活動ができる消火器箱を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る消火栓装置は、巻いた状態のホースを横にして収納するホース収納部と消火器を横に寝かせた状態で収納する消火器収納部を有し上面が開口した箱形状の本体部と、該本体部の上面開口を覆う天板部を備えた消火栓装置であって、
前記天板部は、手前側天板部と奥側天板部によって奥行き方向で2分割されてなり、
前記手前側天板部は、奥側の辺部が前記本体部又は前記奥側天板部に回動可能に取り付けられて開閉可能になっていることを特徴とするものである。
【0010】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記手前側天板部は、前記奥側の辺部を回動して開放可能になっており、前記手前側天板部の開放状態における上面を通路として使用できることを特徴とするものである。
【0011】
(3)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記手前側天板部は、開放途中の起立状態で保持可能になっており、前記手前側天板部を開放した状態で、前記奥側天板部を通路として使用できることを特徴とするものである。
【0012】
(4)また、上記(3)に記載のものにおいて、前記手前側天板部は、起立状態で前面側に前記ホースの引き出し時に前記ホースをガイドするホースガイドを備えていることを特徴とするものである。
【0013】
(5)また、上記(3)又は(4)に記載のものにおいて、前記手前側天板部は、起立状態で前面側に前記ホースの先端に設けられる消火ノズルを保持するノズルホルダを備え、
該ノズルホルダは、前記消火ノズルを保持可能な起立した姿勢と、前記手前側天板部側に倒れた姿勢との間で姿勢変更可能に取り付けられており、かつ常に倒れる姿勢になる方向に付勢手段によって付勢されていることを特徴とするものである。
【0014】
(6)また、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のものにおいて、前記天板部の分割位置は、前記ホース収納部の上方にあり、前記手前側天板部を開放状態で前記奥側天板部が前記ホースの引き出し時に前記ホースに当接してホース引出し規制手段として機能することを特徴とするものである。
【0015】
(7)また、上記(1)乃至(6)のいずれかに記載のものにおいて、前記手前側天板部は、その前辺側が下方に屈曲して奥行き方向断面形状がL字状になっており、
前記本体部の前面部の上部が前記手前側天板部の前辺側に対応して切り欠かれて、高さが低くなっていることを特徴とするものである。
【0016】
(8)本発明に係る消火器箱は、消火器を横に寝かせた状態で収納する消火器収納部を有し上面が開口した箱形状の本体部と、該本体部の上面開口を覆う天板部を備えた消火器箱であって、
前記天板部は、手前側天板部と奥側天板部によって奥行き方向で2分割されてなり、
前記手前側天板部は、奥側の辺部が前記本体部又は前記奥側天板部に回動可能に取り付けられて開閉可能になっていることを特徴とするものである。
【0017】
(9)また、上記(8)に記載のものにおいて、前記手前側天板部は、170度以上回動して開放可能になっており、開放状態では手前側天板部を通路として使用できることを特徴とするものである。
【0018】
(10)また、上記(8)に記載のものにおいて、前記手前側天板部は、開放途中の起立状態で保持可能になっており、前記手前側天板部を開放した状態で、前記奥側天板部を通路として使用できることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る消火栓装置は、巻いた状態のホースを横にして収納するホース収納部と消火器を横に寝かせた状態で収納する消火器収納部を有し上面が開口した箱形状の本体部と、該本体部の上面開口を覆う天板部を備えたものであって、前記天板部は、手前側天板部と奥側天板部によって奥行き方向で2分割されてなり、前記手前側天板部は、奥側の辺部が前記本体部又は前記奥側天板部に回動可能に取り付けられて開閉可能になっていることにより、例えば消火栓装置を監視員通路内に埋め込むように設置した場合、前記手前側天板部の開扉を車道側からでも監視員通路上からでも行うことができ、かつホースの引き出しや消火器の取り出しについても、車道側からでも監視員通路上からでも行うことができる。このため、火災時の消火活動を迅速かつ円滑に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[実施の形態1]
本実施の形態に係る消火栓装置は、設置場所が限定されるわけでないが、例えばトンネル内の車道の路肩に構築された監視員通路に設けられた設置用空間内に設置される場合に好適なものである。
そこで、まず消火栓装置の設置に好適な監視員通路の設置用空間について
図11に基づいて説明する。
図11は、トンネルの路肩の監視員通路83の一部を示したものであり、図中、81はトンネル壁面、83は監視員通路、85は車道である。
【0022】
設置用空間87は、
図11に示すように、監視員通路83の前壁89から監視員通路83の車道幅方向に切り欠くように設けられ、監視員通路83の軸線に直交する断面では設置用空間87を形成する壁がL字形状になっている。監視員通路83の路面には設置用空間87の上面に該当する開口部があり、該開口部の開口縁部91は、後述する消火栓装置1の天板部13の周縁部(張出し部19)が載置される3辺の部分が一段低くなった段部になっている。
なお、一般的に監視員通路83における車道85寄りには、落下防止用の柵(図示なし)が監視員通路83に沿って設けられているが、上述の設置用空間87に消火栓装置1を設置する場合には、設置用空間87の部分には柵は設けられない。
【0023】
上記のような設置用空間87への設置に好適な本実施の形態の消火栓装置1を、
図1〜
図4に基づいて説明する。
消火栓装置1は、
図2、3のように巻いた状態のホース3を横にして収納するホース収納部5と消火器7を横に寝かせた状態で収納する消火器収納部9を有し上面が開口した箱形状の本体部11と、本体部11の上面開口を覆う天板部13を備えている。
そして、天板部13は、手前側天板部15と奥側天板部17によって奥行き方向で2分割されてなり、手前側天板部15が開閉可能になっている。
以下、消火栓装置1を構成する各部について詳細に説明する。
【0024】
<本体部>
本実施の形態における本体部11は、ホース収納部5と消火器収納部9を有し、
図1、
図2に示すように、上面が開口した略直方体形状をしている。
本体部11の形状は、高さよりも奥行きの大きい扁平な直方体形状をしている。
本体部11の両側部及び後辺部(奥側の辺部)には、外方に張出す張出し部19が設けられている。
張出し部19は、本体部11を設置用空間87内に収容する際に、設置用空間87の開口縁部91に形成された段部に載置する。これによって、張出し部19及び天板部13と、監視員通路83の路面とが面一になる。なお、張出し部19は少なくとも両側の2辺に設けられれば良く、その場合は開口縁部91の段部も両側の2辺にだけあれば良い。
【0025】
本体部11の前面部には、赤色表示灯21、非常時であることを監視員に知らせるための非常ボタン23、非常ボタン23を押したときに点灯する非常ランプ25が設けられている。
以下、ホース収納部5と消火器収納部9について詳細に説明する。
【0026】
《ホース収納部》
ホース収納部5は、ホース3を内巻きにした状態で横向き(巻いた状態でホース3により形成される筒体を縦にした向き)にして収納されている。このため、ホース収納部5は、高さよりも奥行きの大きい扁平な矩形状になっている。
なお、ホース収納部5へのホース3の収納は内巻き以外の収納形態でも良く、例えば、ホースリールにホース3を巻き付けるリール式の収納形態でも良い。リール式の場合でも、リールに巻き付けられたホース3は横向きに載置される。
【0027】
ホース3の収納状態で、ホース3の先端に取り付けられた消火ノズル27が手前寄りに載置又は保持されている。
また、ホース収納部5の図中右側の手前側には、消火栓弁を操作するための操作レバー29が設けられている。
【0028】
《消火器収納部》
消火器収納部9は、複数(本例では2本)の消火器7を横に寝かせた状態で収納できるようになっている。本実施の形態では、
図1、
図2に示すように、手前側天板部15の下方に2本の消火器7を本体部11の幅方向に向けて寝かせて収納している。
なお、本例の消火器収納部9は、消火器7の上部側が若干だけ高くなるように消火器7を傾斜させて収納している。
消火器7を取り出す際には、消火器7の上部に設けられたレバー31(
図3参照)を持つことになるので、消火器7の上部側を高くすることで、消火器7を横に寝かせた状態であってもレバー31を持ちやすくなり、消火器7の取り出しが容易になる。
【0029】
なお、消火器収納部9における消火器7が載置される載置面を手前側に向かってさらに下り傾斜となる傾斜面にしてもよい。このような傾斜面を設けることで、手前側の消火器7を取り出すと奥側の消火器7が手前側に滑って移動するので、取り出しがより容易になる。
【0030】
<天板部>
天板部13は、
図1に示すように、手前側天板部15と奥側天板部17によって奥行き方向で2分割されてなり、手前側天板部15は、奥側の辺部が奥側天板部17にヒンジ33によって回動可能に取り付けられて開閉可能になっている。
天板部13は、閉止状態では、監視員通路83の路面として作業者が通行できる。
【0031】
奥側天板部17は、常時は開放することなく、点検時に開放できるようにねじ等で固定されている。
奥側天板部17と手前側天板部15の境界、すなわち天板部13の分割位置は、ホース収納部5の上方に位置している。このため、
図2に示すように、手前側天板部15を開放した状態でも、平面視で奥側天板部17がホース3を覆うようになっている。このような配置にしたことで、奥側天板部17がホース3の引き出し時にホース3に当接してホース引出し規制手段として機能する。すなわち、仮にホース3の上方を覆うものが何もない場合、操作レバー29を操作して消火栓弁を開放してからホース3を引きだす際に、ホース3の動きを規制するものがないため、ホース3が水圧で暴れたり、あるいは無秩序にほどけてしまう場合があるが、奥側天板部17がホース3を覆うように配置されていることで、ホース3に当接してホース3の暴れを防止したり、無秩序にほどけようとするのを規制したりすることができる。
なお、本実施の形態1では、天板部13の分割位置は、天板部13の奥行き方向における中央部に位置しており、ホース収納部5の奥行き方向における中央部に位置している。
【0032】
手前側天板部15の上面には、
図1に示すように、取っ手35が設けられており、取っ手35を引き上げることで、
図2、
図3に示すように、手前側天板部15の領域の全体を開放することができる。手前側天板部15は、180度回動して、完全に開放した状態では、ほぼ水平状態になって、その上面(開放状態での手前側天板部15の上面)を作業者が通路として使用できる。そのため、手前側天板部15を開放した状態でも消火栓装置1の幅方向に移動することができ、消火作業を迅速に行うことができる。
なお、
図4に示す状態は、完全に開放する直前の状態を示している。
前述したように、監視員通路83には一般的に柵が設けられるが、手前側天板部15を通路として使用できることで、消火栓装置1の両側に柵があっても作業者の移動が円滑にできる。
【0033】
上記のように構成された本実施の形態の消火栓装置1においては、通常時は天板部13が閉扉状態になっており、天板部13を監視員通路83として使用できる。
火災時においては、手前側天板部15を開放することになるが、この開放は、車道85側からでも、監視員通路83の上からでも行うことができる。したがって、特許文献2に開示されたもののように、車道85側からのみトレイの引き出しをするものに比較して、円滑な消火活動ができる。
【0034】
手前側天板部15を開放すると、ホース3の引き出しや、消火器7の取り出しをすることになるが、この場合においても、車道85側からでも、監視員通路83側からでもできる。そして、開放された手前側天板部15が通路として利用できるので、監視員通路83上での移動も自由にできるので、この点でも消火活動が円滑にできる。
【0035】
なお、手前側天板部15を回動可能に取り付ける位置は、奥側天板部17に限らず、本体部11の側面に取り付けるようにしてもよい。
【0036】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る消火栓装置37を、
図5〜
図8に基づいて説明する。なお、
図5〜
図8において実施の形態1を示した
図1〜
図4と同一部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
本実施の形態の消火栓装置37は、手前側天板部15がホース収納部5側の第1手前側天板部39と、消火器収納部9側の第2手前側天板部41と、点検用天板部43に分割されている。
そして、第1手前側天板部39及び第2手前側天板部41には、常時開放方向に付勢するガススプリング45と、第1手前側天板部39、第2手前側天板部41を起立状態で保持する起立保持手段47とが設けられている。
さらに、第1手前側天板部39の内面(起立状態での前面)には、ホース3の先端に設けられた消火ノズル27を保持するノズルホルダ49(
図6参照)、ホース3の引き出しをガイドするホースガイド51が設けられている。
以下、第1手前側天板部39及び第2手前側天板部41に付属する部品について詳細に説明する。
【0038】
ガススプリング45は、シリンダロッド53の下端側が本体部11の底部に回動可能に固定され、シリンダ55の上端側が第1手前側天板部39及び第2手前側天板部41にそれぞれ回動可能に連結されている。ガススプリング45は第1手前側天板部39、第2手前側天板部41を閉扉状態から回動させて開扉状態にする付勢力を有している。そして、第1手前側天板部39及び第2手前側天板部41には、第1手前側天板部39及び第2手前側天板部41を閉扉状態で保持したり、開扉させたりするための操作部57が設けられている。操作部57は、ラッチ59(
図6参照)を有しており、閉扉状態ではこのラッチ59が本体部11に係止して閉扉状態を保持するようになっている。
なお、ラッチ59のみでは第1手前側天板部39や第2手前側天板部41の閉扉状態を確実に保持できないので、本実施の形態ではラッチ59の動作と連動するラッチ機構60を設けている。ラッチ機構60は、ワイヤ62を介して操作部57と繋がっており、操作部57を開操作することで操作部57のラッチ59とラッチ機構60を同時に開状態にでき、操作部57の操作のみで第1手前側天板部39及び第2手前側天板部41の開扉操作ができる。
また、上記では操作部57を操作するとラッチ59とラッチ機構60が連動させる手段をワイヤ62として説明したが、ラッチ59とラッチ機構60が連動すれば何でも良く、例えば、ステンレス等の棒形状のものを用いても同様の連動を行うことができる。
【0039】
起立保持手段47は、一端側が第1手前側天板部39又は第2手前側天板部41に回動可能に取り付けられ、他端側が本体部11に係止可能に設けられた幅狭の板状部材によって構成されている(
図6参照)。
起立保持手段47の他端は、本体部11に設けられた細溝61に挿入されており、第1手前側天板部39又は第2手前側天板部41が起立状態になったときに細溝61の周縁に係止可能になっている。
なお、第1手前側天板部39及び第2手前側天板部41は起立状態で直立するのが望ましいが、若干であれば前傾したり後傾したりしてもよく、閉扉状態から80度〜100度程度回動して保持されておればよい。
【0040】
ホースガイド51は、第1手前側天板部39の内面側に設けられており、U字形状をしており、開扉状態においてU字の開口(U字の辺部で囲まれた空間部)が上下を向くように取り付けられている。そして、ホース3は、ホースガイド51のU字の開口内を上下方向に挿通された状態になっている。なお、ホースガイド51の形状はU字形状に限らず、例えば、コ字形状のようにホース3の引き出しをガイドできる形状であれば何でも良い。
【0041】
点検用天板部43は、常時はねじ固定されて閉扉されており、点検時のみにねじを外すことで開放可能になっている。なお、点検用天板部43の下方には、図示しない配管系統等が配設されている。
【0042】
上記のように構成された本実施の形態の動作を、実施の形態1とは異なる部分を中心に説明する。
第1手前側天板部39を閉扉状態から操作部57を操作してラッチ59の係止解除を行うと第1手前側天板部39は2本あるガススプリング45の付勢力によって自動的に開扉し、
図7〜
図8に示すように起立状態で保持される。
第2手前側天板部41も第1手前側天板部39と同様の動作によって開扉する。したがって、第1手前側天板部39及び第2手前側天板部41の開扉作業が極めて円滑かつ容易に行うことができる。
【0043】
また、本実施の形態では、手前側天板部15を第1手前側天板部39と第2手前側天板部41に分割したので、例えば消火器7のみを取り出す場合において、第2手前側天板部41が開扉しても第1手前側天板部39は閉扉状態で通路として使用でき、消火活動の際の作業者の移動が円滑に行える。
【0044】
また、第1手前側天板部39と第2手前側天板部41は開扉状態で、
図6〜
図7に示すように起立状態を保持するので、奥側天板部17を通路として使用することができ、この点でも、作業者の移動が円滑にできるため、消火活動を効率的に行うことができる。
【0045】
第1手前側天板部39を開扉してホース3による消火を行う場合には、操作レバー29を操作すると共に、ノズルホルダ49から消火ノズル27を取り外してホース3を引き出す。このとき、奥側天板部17があることで、ホース3が水圧で暴れたり、あるいは無秩序にほどけてしまうのを防止できる点は実施の形態1で述べた通りである。もっとも、ホース3の引き出されかたによっては、ホース3が奥側天板部17に意図した以上に干渉して円滑な引出しができにくくなる場合も想定されるが、ホースガイド51があることで、ホース3がホース3の巻きの中央近傍に常に引き出されるため、奥側天板部17に過剰に規制されることなく、より円滑なホース3の引出しが可能となる。
【0046】
以上のように、実施の形態2の消火栓装置37は、実施の形態1の効果に加えて、第1手前側天板部39及び第2手前側天板部41の開扉動作が容易かつ円滑に行うことができ、ホース3の引き出しも容易であるという効果が得られている。
【0047】
なお、上記の例では消火器収納部9を、正面視においてホース収納部5の左側に設けていたが、
図9、
図10に示すように、消火器収納部9を、正面視においてホース収納部5の右側に設けるようにしてもよい。すなわち、消火器収納部9のホース収納部5に対する相対的な位置は、左右いずれであってもよい。
なお、
図9、
図10において、ホース収納部5を図中左側に配置したことに伴い、第1手前側天板部39が図中左側で、第2手前側天板部41が図中右側に配置されている。
【0048】
また、上述したノズルホルダ49は第1手前側天板部39の下面に起立した状態で取り付けられていたが、このノズルホルダ49に代えて、
図9に示すように、消火ノズル27を取り外したときに、第1手前側天板部39の下面側に倒れる構造のノズルホルダ63にしてもよい。
【0049】
具体的には、ノズルホルダ63を略C型の2枚の保持片63a、63bから構成し、2枚の保持片63a、63bを所定の距離を離して第1手前側天板部39に蝶番65によって、起立した姿勢と折り畳んだ姿勢との間で姿勢変更可能に取り付け、常に例えば捩りバネ等の付勢手段によって折り畳み方向に付勢するようにする。
消火ノズル27をノズルホルダ63に保持する際には、
図10に示すように、付勢手段の付勢力に抗して各保持片63a、63bを起立させて各保持片63a、63bに消火ノズル27を保持させる。消火ノズル27を保持した状態では、各保持片63a、63bは消火ノズル27に支持されるために、起立状態を保持して消火ノズル27を保持する。
【0050】
消火の際に、消火ノズル27を取り外すと、各保持片63a、63bは付勢手段の付勢力によって自動的に
図9に示す状態に幅方向内側方向に折り畳まれる。このため、ホース3の引き出しの際にノズルホルダ63にホース3が当接することがなく、ホース3の引き出しを円滑に行うことができる。
即ち、保持片63a、63bには折り畳まれる方向に常に付勢力がかかっているが、通常時(消火栓未使用時、消火ノズル27保持時)には起立しており、非常時(消火栓使用時、消火ノズル27取り外し時)には折り畳まれる。
【0051】
なお、ノズルホルダ63の具体的な形状は上記の例に限定されるものではなく、要するに、消火ノズル27を保持させるときには起立した姿勢となり、消火ノズル27を取り外した際には第1手前側天板部39に沿うように倒れた(折り畳まれた)姿勢になるようになっておればよい。例えば、消火ノズル27を取り外すと、各保持片63a、63bは付勢手段の付勢力によって幅方向外側方向に折り畳まれても良い。
【0052】
なお、上記の実施の形態1、2においては手前側天板部15、第1手前側天板部39及び第2手前側天板部41が平板の例を示したが、本発明における手前側天板部は、その前辺側が下方に屈曲して奥行き方向断面形状がL字状になるようにしてもよい。この場合、本体部の前面部の上部は前記手前側天板部の前辺側に対応して切り欠いて、高さを低くすればよい。このようにすれば、手前側天板部を開扉したときに、開放スペースが広く機器の取り出しをスムーズに行うことができ、円滑な消火活動に資することができる。
【0053】
上記の実施の形態1、2では、ホース3を収納するホース収納部5を有する消火栓装置1、37について説明したが、監視員通路83には消火栓装置ではなく、消火器のみを収容する消火器箱を設置することも考えられ、このような場合には、消火器箱にも上述した消火栓装置1、37の特徴を適用することができる。
すなわち、消火器箱を、上述の消火栓装置1、37の本体部11と同様に、消火器を横に寝かせた状態で収納する消火器収納部を有し上面が開口した箱形状の本体部と、該本体部の上面開口を覆う天板部を備え、前記天板部は、手前側天板部と奥側天板部によって奥行き方向で2分割されてなり、前記手前側天板部は、奥側の辺部が前記本体部又は前記奥側天板部に回動可能に取り付けられて開閉可能になっているようにすればよい。
【0054】
また、消火器箱の場合にも、前記手前側天板部を180度回動して開放可能で、開放状態では前記手前側天板部を通路として使用可能してもよく、あるいは、前記手前側天板部を、開放途中の起立状態で保持可能にして前記手前側天板部を開放した状態で、前記奥側天板部を通路として使用可能にしてもよい。
【0055】
そして、このような消火器箱においても、消火栓装置1で述べたのと同様に消火器の取り出しや消火活動の円滑化に関する作用効果を奏する。
また、消火器箱には上述した実施の形態2の消火栓装置37の備える特徴、すなわちガススプリング45による自動開扉の機構を適用することもできる。