特許第6867210号(P6867210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6867210-貼付剤 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6867210
(24)【登録日】2021年4月12日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】貼付剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/192 20060101AFI20210419BHJP
   A61K 31/165 20060101ALI20210419BHJP
   A61K 36/81 20060101ALI20210419BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20210419BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20210419BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20210419BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20210419BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   A61K31/192
   A61K31/165
   A61K36/81
   A61K47/14
   A61K47/32
   A61K47/44
   A61K9/70 401
   A61P29/00
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-68195(P2017-68195)
(22)【出願日】2017年3月30日
(65)【公開番号】特開2018-168125(P2018-168125A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2020年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004020
【氏名又は名称】ニチバン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】城戸 博隆
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 勝久
【審査官】 飯濱 翔太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−076960(JP,A)
【文献】 特開2005−170833(JP,A)
【文献】 特開2012−149061(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/129745(WO,A1)
【文献】 特開2003−286162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
A61K 47/00−47/69
A61K 9/00− 9/72
A61P 1/00−43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の片面に、フェルビナクを含有する粘着剤層が設けられた消炎鎮痛貼付剤において、該粘着剤層が、
(a)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、
(b)ロジン系粘着付与樹脂、
(c)軟化剤、
(d)酸化防止剤、
(e)フェルビナク、並びに
(f)前記粘着剤層の総質量に基づいて0.01質量%乃至0.05質量%の範囲の、ノニル酸ワニリルアミド及びカプサイシン及びトウガラシエキスからなる群より選ばれる少なくとも一種の温感刺激成分
を含有する消炎鎮痛貼付剤(但し、該粘着剤層はテルペン系樹脂を含まない)
【請求項2】
前記温感刺激成分を、前記粘着剤層の総質量に基づいて0.01質量%乃至0.03質量%の範囲で含有する請求項1記載の消炎鎮痛貼付剤。
【請求項3】
貼付面積が5cm乃至50cmの範囲である請求項1又は請求項2記載の消炎鎮痛貼付剤。
【請求項4】
前記ロジン系粘着付与樹脂が、水添ロジン系粘着付与樹脂である請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の消炎鎮痛貼付剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体の片面に、非ステロイド系消炎鎮痛薬の一種であるフェルビナクを含有する粘着剤層が設けられた消炎鎮痛貼付剤に関する。本発明の消炎鎮痛貼付剤は、フェルビナクを経皮的に皮膚透過性良く局所組織内に投与することができ、しかも、貼付面積が少ない場合でも、患者に不快感を与えることなく適度の温感刺激性(効き目感)を持続することができる。
【背景技術】
【0002】
フェルビナクは、フェニル酢酸誘導体の一種で、4−ビフェニル酢酸構造を有する非ステロイド系消炎鎮痛薬である。フェルビナクは、消炎鎮痛効果を示す薬物であり、皮膚透過性を有するため、例えば、貼付剤、パップ剤、プラスター剤、ゲル剤、ローションなどの経皮吸収型製剤として用いられている。
【0003】
非ステロイド系消炎鎮痛薬などの薬物は、消炎作用や鎮痛作用などの薬効は有するものの、効き目を感じるような刺激感はない。そこで、多くの経皮吸収型の非ステロイド系消炎鎮痛貼付剤では、L−メントール、DL−メントール、DL−カンフル、ハッカ油、カプサイシン、トウガラシエキス、ノニル酸ワニリルアミドなどの刺激効果を有する成分を添加して、冷感刺激効果または温感刺激効果を付与させることがよく行われている。
【0004】
特に、カプサイシン、トウガラシエキス、ノニル酸ワニリルアミドなどの温感刺激効果を発現させる温感刺激成分は、ほぼ無臭であり、においの少ない経皮吸収剤によく用いられている。
【0005】
例えば、フェルビナクを含有する経皮吸収製剤に温感成分としてノニル酸ワニリルアミドを配合した経皮吸収型製剤も知られている。特開2008−179564(特許文献1)にはフェルビナクとテルペン系粘着付与樹脂とノニル酸ワニリルアミドを含む貼付剤が開示されている。
ここで、特許文献1の実施例には、支持体の片面に、フェルビナク、粘着剤基剤としてのスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、テルペン系粘着付与樹脂、温感刺激成分としてのノニル酸ワニリルアミド等を含有する粘着剤層が設けられた、70cm2(7cm×10cm)の貼付面積の貼付剤が、良好な刺激感を与えた(実施例1〜3)のに対して、テルペン系粘着付与樹脂の代わりにロジン系粘着付与樹脂を用いた同様の貼付剤では、刺激感の評価において良くない結果が得られたことが示されている(比較例2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−179564
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されているような70cm2(7cm×10cm)前後の貼付面積の貼付剤が、従来用いられてきた一般的な大きさの貼付剤であるが、これらの比較的大きな貼付面積の貼付剤は皮膚に貼付するときにシワが入りやすく、必ずしも使い勝手が良いものではなかった。そのため、皮膚に貼り易い、貼付面積の小さな小型の貼付剤が望まれている。
【0008】
しかし、貼付面積を小さくすると、当然効き目感も少なくなり、それにより、効き目感の持続も短くなってしまう。一方、温感刺激成分の量を多くすれば、効き目感の持続は長くなるが、温感刺激成分が多すぎれば、貼付直後の温感刺激が強すぎ患者によっては我慢できずに貼付剤を剥がさなければならない場合があるという問題があった。
【0009】
そのため、フェルビナク、粘着剤基剤としてのスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、テルペン系粘着付与樹脂等を含有する粘着剤層において、通常より多い0.004質量%以上の温感刺激成分を用いて、小型の貼付剤を作製したところ、過度の温感刺激は与えなかったものの、温感刺激による効き目感の持続は、2時間程度であり、決して長いものではなかった。
【0010】
従って、本発明の課題は、フェルビナクを含有する粘着剤層が設けられた小型の消炎鎮痛貼付剤において、過度の温感刺激を与えることなく、かつ、適度の温感刺激による効き目感が長時間持続し得る貼付剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、フェルビナク、粘着剤基剤としてのスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、通常より多い0.01質量%以上の温感刺激成分等を含有する粘着剤層において、ロジン系粘着付与樹脂を用いて小型の貼付剤を作製したところ、過度の温感刺激を与えることなく、かつ、テルペン系粘着付与樹脂を用いた場合とは対照的に、適度の温感刺激による効き目感が長時間持続し得る(6〜8時間程度)ことを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
即ち、本発明は、
[1]支持体の片面に、フェルビナクを含有する粘着剤層が設けられた消炎鎮痛貼付剤において、該粘着剤層が、
(a)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、
(b)ロジン系粘着付与樹脂、
(c)軟化剤、
(d)酸化防止剤、
(e)フェルビナク、並びに
(f)前記粘着剤層の総質量に基づいて0.01質量%乃至0.05質量%の範囲の、ノニル酸ワニリルアミド及びカプサイシン及びトウガラシエキスからなる群より選ばれる少なくとも一種の温感刺激成分
を含有する消炎鎮痛貼付剤、
[2]前記温感刺激成分を、前記粘着剤層の総質量に基づいて0.01質量%乃至0.03質量%の範囲で含有する前記[1]記載の消炎鎮痛貼付剤、
[3]貼付面積が5cm2乃至50cm2の範囲である前記[1]又は前記[2]記載の消炎鎮痛貼付剤、
[4]前記ロジン系粘着付与樹脂が、水添ロジン系粘着付与樹脂である前記[1]乃至前記[3]の何れか1つに記載の消炎鎮痛貼付剤
に関する。
【発明の効果】
【0013】
支持体の片面に、非ステロイド系消炎鎮痛薬であるフェルビナクを含有する粘着剤層を設けた本発明の消炎鎮痛貼付剤は、粘着剤層がスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ロジン系粘着付与樹脂、軟化剤、酸化防止剤、フェルビナク、粘着剤層の総質量に基づいて0.01質量%乃至0.05質量%の範囲の、ノニル酸ワニリルアミド及びカプサイシン及びトウガラシエキスからなる群より選ばれる少なくとも一種の温感刺激成分を含むことによって、過度に温感刺激を起こすことなく、効き目感が持続できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1及び比較例1の貼付剤の効き目感の持続性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の消炎鎮痛貼付剤は、支持体の片面に、フェルビナクを含有する粘着剤層が設けられた消炎鎮痛貼付剤において、該粘着剤層が、
(a)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、
(b)ロジン系粘着付与樹脂、
(c)軟化剤、
(d)酸化防止剤、
(e)フェルビナク、並びに
(f)前記粘着剤層の総質量に基づいて0.01質量%乃至0.05質量%の範囲の、ノニル酸ワニリルアミド及びカプサイシン及びトウガラシエキスからなる群より選ばれる少なくとも一種の温感刺激成分を含有することを特徴とする。
【0016】
本発明に用いる薬効成分としてのフェルビナクとしては市販のものを用いることができる。
フェルビナクの含有量は、特に制限されるものではないが、粘着剤層の総質量に基づいて、好ましくは0.3〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。
【0017】
本発明に用いるスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体は、粘着剤層に粘着性を付与するとともに、各成分を粘着剤層中に保持し、他の成分を溶解または分散させる役割を担うものである。スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の含有量は、粘着性、他の成分の保持性、フェルビナクの分散性などの観点から、粘着剤層の総質量に基づいて、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%である。
【0018】
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の含有量が少なすぎると、粘着剤層の凝集性や保型性が低下する傾向にある。他方、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の含有量が多すぎると、粘着力の低下、粘着剤層中の各成分の不均一化、あるいは各成分の混合作業や粘着剤組成物の塗工作業などにおける作業性の低下を招きやすくなる。
【0019】
本発明に用いるスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体は、特に限定されず市販されているものを用いてもよい。市販されている、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体としては、日本ゼオン(株)製の商品名クインタック3520,3530,3421、JSR(株)製の商品名SIS5000、5002、5229、クレイトンポリマージャパン(株)製の商品名クレイトンD(SIS)シリーズなどがある。また、これらを1種又は2種以上の組み合わせで用いることもできる。
【0020】
本発明に用いるスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体のスチレン含有量は特に限定されないが、10%〜30%が好ましく、13%〜26%がより好ましい。
【0021】
ロジン系粘着付与樹脂はロジンまたはロジン誘導体であり、ロジンエステル、水添ロジンエステル、水添ロジングリセリンエステル等を用いることができ、水添ロジンエステルが好ましく、水添ロジングリセリンエステルがより好ましい。
本発明に用いるロジン系粘着付与樹脂の軟化点は、特に限定されないが、80℃〜110℃が好ましく、90℃〜110℃がより好ましく、95℃〜105℃がさらに好ましい。
【0022】
本発明に用いるロジン系粘着付与樹脂は、市販されているものを用いてもよく、具体的な市販されているロジン系粘着付与樹脂としては、荒川化学工業(株)製の商品名エステルガム、ペンセル、スーパーエステル、パインクリスタルなどが挙げられる。
【0023】
本発明に使用し得るロジン系粘着付与樹脂は、上記で列挙したものを単独で用いることもできるが、2種以上を組み合わせで用いることもできる。
ロジン系粘着付与樹脂の使用量は、粘着剤層の総質量に基づいて、好ましくは20〜40質量%、より好ましくは25〜35質量%である。
【0024】
本発明に用いる軟化剤は、特に限定されないが、植物油、液状ポリイソブレン、液状ポリブテン、流動パラフィン等を用いることができ、流動パラフィンがより好ましい。
軟化剤の使用量は、粘着剤層の総質量に基づいて、好ましくは30〜50質量%、より好ましくは35〜45質量%である。
【0025】
本発明に用いる酸化防止剤は公知のものを用いることができ、特に限定されないが、ジブチルヒドロキシトルエンが好ましい。
酸化防止剤の使用量は、粘着剤層の総質量に基づいて、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは0.1〜1質量%である。
【0026】
本発明に用いるノニル酸ワニリルアミド及びカプサイシン及びトウガラシエキスからなる群より選ばれる少なくとも一種の温感刺激成分は市販のものを用いることができる。ノニル酸ワニリルアミドがより好ましい。
温感刺激成分の使用量は、粘着剤層の総質量に基づいて、0.01〜0.05質量%の範囲であるが、この使用量は、通常の市販の70cm2(7cm×10cm)前後の貼付面積の貼付剤における使用量よりも多いものとなる。温感刺激成分の好ましい使用量の範囲としては、0.015〜0.04質量%、0.01〜0.03質量%、0.015〜0.03質量%等が挙げられる。
【0027】
本発明の消炎鎮痛貼付剤の粘着剤層は、一般的な消炎鎮痛貼付剤の製造方法であるカレンダー法やホットメルト法などにより作製することができる。
【0028】
カレンダー法では、はじめに、加圧ニーダーで、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、粘着付与樹脂、酸化防止剤並びにフェルビナクを、100〜150℃で10〜30分間混練り後、可塑剤を数回に分けて添加して混練りを継続し、最後にノニル酸ワニリルアミドを添加して、さらに5〜20分間混練りして、各成分が均一となった粘着剤組成物を得る。上記の混練時の温度及び時間は、例を挙げて説明したものであり、これらの範囲に限定されるものではない。
【0029】
前記方法にて得られた粘着剤組成物(膏体)を、カレンダー塗工機にて、100〜200℃に温度制御した2本のロール間を通して剥離ライナー上に100〜250μmの厚さに展延した後、これに、支持体をラミネートし、消炎鎮痛貼付剤を作製する。
【0030】
ホットメルト法とは、加熱制御可能な高速回転ミキサーで、最初にスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、粘着付与樹脂、酸化防止剤、及び軟化剤を、窒素雰囲気下、100〜190℃の膏体温度で20〜100分間加熱高速撹拌して溶解物とする。その後、有効成分であるフェルビナクと温感刺激成分であるノニル酸ワニリルアミド、またはカプサイシンを前記溶融物中に添加し、さらに120〜190℃の膏体温度で5〜30分間加熱高速撹拌して各成分が均一となった粘着剤組成物を得る。上記の撹拌時の温度及び時間は、例を挙げて説明したものであり、これらの範囲に限定されるものではない。
【0031】
前記方法にて得られた粘着剤組成物(膏体)を、ホットメルト塗工機にて、100〜200℃に温度制御したダイヘッド部分から押し出して剥離ライナー上に100〜250μmの厚さに展延した後、これに、支持体をラミネートし、消炎鎮痛貼付剤を作製する。
【0032】
これらの方法にて、本発明における消炎鎮痛貼付剤を得ることができるが、製造方法としてはこれらに限定されるものではない。
【0033】
支持体としては、フィルム、不織布、和紙、綿布、編布、不織布とフィルムのラミネート複合体等の柔軟性を有する支持体が挙げられる。これらの支持体は、皮膚に密着することができ、かつ、皮膚の動きに追随することができる程度の柔軟な材質が好ましい。これらの支持体の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ナイロン、コットン、アセテートレーヨン、レーヨン、レーヨン/ポリエチレンテレフタレート複合体、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、アクリル系ポリウレタン、エステル系ポリウレタン、エーテル系ポリウレタン、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、セロハン等を必須成分とするものが挙げられる。支持体としては、薬物が吸着されず、かつ、支持体側から薬物が放出されないものが好ましい。
【0034】
前記剥離ライナーとしては、シリコーン処理したポリエステルフィルム、シリコーン処理したポリエチレンラミネート上質紙、シリコーン処理したグラシン紙などが挙げられる。剥離ライナーとしては、薬物が吸収・吸着しにくい材質であることが好ましい。
【0035】
本発明の貼付剤の貼付面積は、通常の市販の70cm2(7cm×10cm)前後の貼付面積の貼付剤よりも小さいものであり、貼付しやすさを考慮すると5cm2〜50cm2が好ましく、5cm2〜40cm2がより好ましい。
【実施例】
【0036】
実施例1
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体としてJSR(株)製の商品名SIS5229(スチレン含有量15%)を25.0質量%、ロジン系粘着付与樹脂として荒川化学工業(株)製の商品名パインクリスタルKE−311(水添ロジングリセリンエステル、軟化点90〜100℃)を31.5質量%、軟化剤としてカネダ株式会社の商品名ハイコールM352(流動パラフィン)を38.0質量%、酸化防止剤として薬添BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)を0.5質量%、フェルナビクを5.0質量%及びノニル酸ワニルアミドを0.02質量%配合し、該配合処方においてホットメルト法で加熱撹拌を行い、均一な粘着剤組成物を調製した。次いで、該粘着剤組成物をシリコーン処理したポリエステルフィルム(厚さ75μm)上に、100μmの厚さに展延して、粘着剤層を形成した。この粘着剤層の上に支持体としてポリエステル系編布をラミネートし、36cm2(6cm×6cm)の貼付面積となるよう裁断し、消炎鎮痛貼付剤を作製した。
【0037】
比較例1
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体としてJSR(株)製の商品名SIS5229(スチレン含有量15%)を25.0質量%、テルペン系粘着付与樹脂として荒川化学工業(株)製の商品名YSレジンPX1150N(テルペン系樹脂、軟化点115℃)を31.5質量%、軟化剤としてカネダ株式会社の商品名ハイコールM352(流動パラフィン)を38.0質量%、酸化防止剤として薬添BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)を0.5質量%、フェルナビクを5.0質量%及びノニル酸ワニルアミドを0.004質量%配合し、該配合処方においてホットメルト法で加熱撹拌を行い、均一な粘着
剤組成物を調製した。次いで、該粘着剤組成物をシリコーン処理したポリエステルフィルム(厚さ75μm)上に、100μmの厚さに展延して、粘着剤層を形成した。この粘着剤層の上に支持体としてポリエステル系編布をラミネートし、36cm2(6cm×6cm)の貼付面積となるよう裁断し、消炎鎮痛貼付剤を作製した。ロジン系粘着付与樹脂の代わりにテルペン系粘着付与樹脂のYSレジンPX1150Nを用い、ノニル酸ワニルアミドの配合量を0.004質量%とした以外は実施例1と同じである。
【0038】
比較例2
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体としてJSR(株)製の商品名SIS5229(スチレン含有量15%)を25.0質量%、テルペン系粘着付与樹脂として荒川化学工業(株)製の商品名YSレジンPX1150N(テルペン系樹脂、軟化点115℃)を31.5質量%、軟化剤としてカネダ株式会社の商品名ハイコールM352(流動パラフィン)を38.0質量%、酸化防止剤として薬添BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)を0.5質量%、フェルナビクを5.0質量%及びノニル酸ワニルアミドを0.02質量%配合し、該配合処方においてホットメルト法で加熱撹拌を行い、均一な粘着剤組成物を調製した。次いで、該粘着剤組成物をシリコーン処理したポリエステルフィルム(厚さ75μm)上に、100μmの厚さに展延して、粘着剤層を形成した。この粘着剤層の上に支持体としてポリエステル系編布をラミネートし、36cm2(6cm×6cm)の貼付面積となるよう裁断し、消炎鎮痛貼付剤を作製した。ロジン系粘着付与樹脂の代わりにテルペン系粘着付与樹脂のYSレジンPX1150Nを用いた以外は実施例1と同じである。この比較例2の消炎鎮痛剤の温感刺激による効き目感を官能評価にて評価しようとしたが、評価者11名全員が貼付後10〜20分で痛みを感じ貼付剤を剥がさねばならなかったので評価は中止した。
【0039】
試験例1
上記で作製した実施例1及び比較例1の消炎鎮痛貼付剤の温感刺激による効き目感を官能評価にて評価した。
尚、温感刺激による効き目感の評価方法は下記の方法で行った。
評点0〜10における評価の指標及びスコアを以下のように設定し、各消炎鎮痛貼付剤の温感刺激による効き目感をスコア化した。
ここで、評点5が最も心地よく、評点10が強すぎ、評点0が効き目無しであることを意味する。
【表1】
スコアは評点5を100点とし、評点が1増える減るごとに20点ずつ減少する。評価
は11名で行いその平均値を平均スコアとした。
【0040】
実施1例及び比較例1で得た消炎鎮痛貼付剤を貼付した後、1時間、2時間、4時間、6時間及び8時間における温感刺激による効き目感の平均スコアを表2及び図1に示した。
【表2】
【0041】
表2及び図1から、ロジン系エステルを用いた実施例1の消炎鎮痛貼付剤はテルペン系樹脂を用いた比較例1の消炎鎮痛貼付剤と比較して、効き目感の持続が長く、良好であることが確認された。
尚、実施1例及び比較例1の消炎鎮痛貼付剤は、何れも過度の温感刺激を与えるものではなかった。
図1