(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6867242
(24)【登録日】2021年4月12日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 8/08 20060101AFI20210419BHJP
F21V 31/03 20060101ALI20210419BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20210419BHJP
F21V 29/83 20150101ALI20210419BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20210419BHJP
F21V 29/76 20150101ALI20210419BHJP
F21V 31/00 20060101ALI20210419BHJP
F21W 131/103 20060101ALN20210419BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20210419BHJP
【FI】
F21S8/08 100
F21V31/03 400
F21V29/503
F21V29/83
F21V17/00 200
F21V29/76
F21V31/00 200
F21W131:103
F21Y115:10
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-123460(P2017-123460)
(22)【出願日】2017年6月23日
(65)【公開番号】特開2019-8979(P2019-8979A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】山崎 良介
【審査官】
竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3163001(JP,U)
【文献】
特開2012−109195(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0188371(US,A1)
【文献】
特開2011−018469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/08
F21V 17/00
F21V 29/503
F21V 29/76
F21V 29/83
F21V 31/00
F21V 31/03
F21W 131/103
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前板部、前記前板部から立ち上がる側板部及び前記前板部の対向位置に位置する開口を有する筐体フレームと、
前記筐体フレームの前記開口側を覆うように前記筐体フレームと一体化された筐体カバーと、
前記筐体フレームと前記筐体カバーとの一体化で形成された空間内に収容固定された光源ユニットと、を備え、
前記光源ユニットは、カバーレンズとハウジングとで形成された気密空間内に光源が収容された構成を有すると共に前記前板部に取り付けられており、
前記前板部は、前記光源ユニットの前記カバーレンズの一部が露出する窓孔を有し、
前記窓孔の端部と前記光源ユニットの前記カバーレンズとの間に隙間を有すると共に前記窓孔の、前記端部を含む周縁部が内側に曲げられていることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記光源ユニットは、前記筐体フレームの前板部に立設されたボスを介して取り付けられていれることを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記筐体カバーは、前記光源ユニットと対向する位置に該光源ユニットからの熱を排熱する排熱孔を備え、前記筐体フレームは前記前板部と前記側板部の間に水抜き孔が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の照明器具。
【請求項4】
前記光源ユニットは、前記ハウジングの、前記カバーレンズと反対側に光源の発熱を放熱する放熱フィンを有していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の照明器具。
【請求項5】
屋外において前記筐体フレームの前記前板部を下方に向けて用いられることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関するものであり、詳しくは、屋外使用の照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の照明器具としては、特許文献1に「照明器具」の名称で開示されたものがある。
【0003】
開示された照明器具は
図14にあるように、本体部(器具本体)80とカバー81とがホットメルト82を介在して一体化され、その内部空間83に、複数の発光素子84を実装した基板(第1の基板)85と複数の発光素子84の点灯制御を行う回路部品を実装した基板(第2の基板)86が設けられている。
【0004】
第1の基板85に実装された複数の発光素子84は、カバー81に対向配置されて夫々の発光素子84からの出射光がカバー81を透過して外部に向けて照射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6066240号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記構成からなる照明器具90は、主に屋外で街路灯として使用される。そのため、設置環境下で風雨や潮風に晒されることによりカバー81の表面に水垢や塩分あるいは塵埃等の汚れが付着して光の透過率が低下し、時間と共に照射光量が減少するといった問題を有している。
【0007】
この問題に対し、定期的に清掃等のメンテナンスを施すことによって照射光量の低下を防止することができるが、そのためにはメンテナンス毎にメンテナンス費用が発生してランジングコストの上昇を招くことになる。
【0008】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて創案なされたもので、その目的とするところは、屋外使用でありながら定期的なメンテナンスを必要とすることなく所定の照射光量を維持することができる照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載された発明は、前板部、前記前板部から立ち上がる側板部及び前記前板部の対向位置に位置する開口を有する筐体フレームと、 前記筐体フレームの前記開口側を覆うように前記筐体フレームと一体化された筐体カバーと、前記筐体フレームと前記筐体カバーとの一体化で形成された空間内に収容固定された光源ユニットと、を備え、前記光源ユニットは、カバーレンズとハウジングとで形成された気密空間内に光源が収容された構成を有すると共に前記前板部に取り付けられており、前記前板部は、前記光源ユニットの前記カバーレンズの一部が露出する窓孔を有し、前記窓孔の端部と前記光源ユニットの前記カバーレンズとの間に隙間を有すると共に前記窓孔の、前記端部を含む周縁部が内側に曲げられていることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載された発明は、請求項1において、前記光源ユニットは、前記筐体フレームの前板部に立設されたボスを介して取り付けられていれることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載された発明は、請求項1又は請求項2のいずれかにおいて、前記筐体カバーは、前記光源ユニットと対向する位置に該光源ユニットからの熱を排熱する排熱孔を備え、前記筐体フレームは前記前板部と前記側板部の間に水抜き孔が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項4に記載された発明は、請求項1〜請求項3のいずれかにおいて、前記光源ユニットは、前記ハウジングの、前記カバーレンズと反対側に光源の発熱を放熱する放熱フィンを有していることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項5に記載された発明は、請求項1〜請求項4のいずれかにおいて、屋外において前記筐体フレームの前記前板部を下方に向けて用いられることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、筐体フレームと筐体カバーとの一体化で形成された空間内に光源ユニットが収容固定されてなる照明器具において、筐体フレームの前板部に設けられて光源ユニットのカバーレンズの一部が露出する窓孔の周縁部を内側に曲げて折曲部を形成した。
これにより、照明器具の内部に侵入した雨水は折曲部で堰き止められて窓孔の折曲部の先端と窓孔から露出するカバーレンズの一部との間隙からは雨水が排出されるおそれはない。
【0015】
その結果、カバーレンズの一部(レンズ部)に雨水による汚れが付着することがなく、レンズ部の光の透過率の低下を招くことがない。したがって、雨水の影響によって照明器具からの出射光量が減少するといった問題の発生は防止される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の照明器具に係る実施形態の平面図である。
【
図11】筐体フレームに光源ユニットを取り付けた状態の背面斜視図である。
【
図12】本発明の照明器具に係る実施形態の背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の好適な実施形態を
図1〜
図13を参照しながら、詳細に説明する(同一部分については同じ符号を付す)。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限られるものではない。
【0018】
図1は本発明の照明器具に係る実施形態の平面図、
図2は
図1のA−A断面図、
図3は
図1のB−B断面図である。
【0019】
照明器具1は、複数(本実施形態においては8個)の光源ユニット10、光源ユニット10を取り付ける筐体フレーム40及び筐体フレーム40の蓋となる筐体カバー(図示せず)を備えている。
【0020】
光源ユニット10は、
図4(平面図)、
図5(
図4のC−C断面図)、
図6(
図4のD−D断面図)に示すように、光源11が実装された基板12、ハウジング20及びカバーレンズ30を備えている。
【0021】
そのうち、ハウジング20は、アルミニウム等の熱伝導性に優れた金属材料で形成され、平面視で長手方向の両端部を絞り形状とする全体長尺形状を有し、裏面21側には裏面21のほぼ全面に亘って、裏面21から立ち上がって所定の幅、長さ及び高さで後方に延びる複数の放熱フィン22が所定の間隔で平行に並設されている。
【0022】
ハウジング20の表面23側には、表面23の、長手方向の両端部領域を除く周縁部に、該表面23から周縁部に沿って環状に立ち上がって所定の幅及び高さで前方に延びる一対の立壁部24が所定の間隔で互いに平行に対向配置されている。内側立壁部24aと外側立壁部24bとからなる一対の立壁部24で囲まれた内側の溝部25は、後述するカバーレンズ30の脚部32が挿入されてシール固定される脚部シール溝の機能を有している。
【0023】
ハウジング20の両端近傍には、光源ユニット取付け用の一対の貫通孔26が形成されている。
【0024】
ハウジング20の表面23の、内側立壁部24aで囲まれた領域23aは平坦面で構成され、表面の平坦面領域23aには、複数の光源(例えば、LED等の半導体発光素子)11が所定の間隔で実装された基板12が面接触した状態で取り付けられている。
【0025】
光源実装基板12の前方には、光源11を上方から覆うようにカバーレンズ30が配設されている。
【0026】
カバーレンズ30は、正面視で長尺形状を有し、長手方向に延びるドーム状のレンズ部31と、レンズ部31の周縁部から該周縁部に沿ってレンズ部31と反対方向に環状に延びる脚部32と、レンズ部31の周縁部から該周縁部に沿って側方に環状に延びるフランジ部33を有している。
【0027】
そして、カバーレンズ30に形成された上記脚部32がハウジング20に形成された環状の溝部25内に挿入されてシール剤(図示せず)によって固定することにより、ハウジング20とカバーレンズ30とが一体化されて内部13が密閉状態に保持されている。
【0028】
筐体フレーム40は、
図7(正面図)、
図8(背面斜視図)、
図9(
図7のE−E断面図)及び
図10(
図7のF−F断面図)に示すように、軽量で放熱性が良好な金属板(例えば、アルミニウム板)に板金加工を施して形成され、有底開口で矩形浅底の箱状を呈しており、底部に対応する前板部41及び前板部41の四辺の夫々から立ち上がる側板部46で構成されている。
【0029】
前板部41には、内面41aに、光源ユニット10を取り付けるための適宜な高さの複数のボス42が立設されている。ボス42は、全てが同一の高さに設定され、内側に雌ねじ42aが切られている。
【0030】
また、前板部41には、光源ユニット10を取り付けたときに光源ユニット10のカバーレンズ30のレンズ部31が露出するように該レンズ部31に対応する形状(長尺状)寸法の、前板部41を貫通する複数(本実施形態においては8つ)の窓孔43が形成されている。
【0031】
夫々の窓孔43の周縁部は、該周縁部に沿って内側に折り曲げられて立ち上がる環状の折曲部44を有している。
【0032】
なお、前板部41には、窓孔43の他に、筐体フレーム40内に侵入した水(具体的には雨水)を外に逃がす水抜き用の貫通孔(水抜き穴)45が目立たないように四隅に設けられている。なお、水抜き穴45は必ずしも前板部41の四隅に設ける必要はなく、前板部41内の適宜な位置に適宜な数だけ設けることも可能である。また、四隅と共に前板部41内に設けることも可能である。
【0033】
上記からわかるように、夫々の窓孔43に対して、該窓孔43の長手方向の両側方に一対のボス42が立設されており、その間隔は光源ユニット10のハウジング20に設けられた一対の貫通孔26と同一間隔に設定されている。
【0034】
照明器具1の組み立てに際しては、
図3及び
図11(背面斜視図)に示すように、筐体フレーム40の前板部41に設けられた複数の窓孔43の夫々の長手方向の両側方に立設された一対のボス42の上端に、光源ユニット10のハウジング20の両端近傍の表面23側を当接させ、一対のボス42の夫々のねじ孔と光源ユニット10のハウジング20の両端近傍に形成された一対の貫通孔26の夫々との位置を合わせてねじ止めする。
【0035】
これにより、複数の光源ユニット10の夫々が一対のボス42を介して筐体フレーム40の前板部41に内側から固定される。
【0036】
その後、
図12(背面斜視図)に示すように、内部に複数の光源ユニット10が支持固定された筐体フレーム40の開口を塞ぐように、同様に軽量で放熱性が良好な金属板(例えば、アルミニウム板)に板金加工を施して形成された筐体カバー50が組み付けられ、筐体フレーム40と筐体カバー50とが一体化されて照明器器具1の組み立てが完了する。
【0037】
なお、組み立てが完了した照明器具1は、街路灯などの屋外用として用いられるため、筐体フレーム40の前板部41を下方に向けた状態、換言すると、光源ユニット10のカバーレンズ30のレンズ部31が下方を向くように設置される。
【0038】
なお、筐体カバー50には、夫々の光源ユニット10に対応する位置に該光源ユニット10に設けられた放熱フィン22の配設領域に対応する寸法形状の放熱用の貫通孔51が設けられている。したがって、この放熱用貫通孔51を介して雨水が直接光源ユニット10(具体的には、光源ユニット10の裏面側の特に放熱フィン22)にかかることになるが、光源ユニット10は完全防水構造を有しているため光源ユニット10内に雨水が侵入するおそれはない。それよりも、放熱フィン22に雨水がかかることによってかえって放熱効果が高められる利点を有している。
【0039】
また、筐体カバー50の放熱用貫通孔51を介して照明器具1内に侵入した雨水は、筐体フレーム40に設けられた水抜き孔45から排出されるために照明器具1の内部に溜まることはない。
【0040】
光源ユニット10が筐体フレーム40の前板部41に取り付けられた状態において、光源ユニット10のカバーレンズ30の周縁部と筐体フレーム40の前板部41の窓孔43の周縁部との位置関係を見ると(
図3参照)、
図13(
図3のG部拡大詳細図)に示すように、筐体フレーム40の前板部41に形成された窓孔43の折曲部44の前端44aがカバーレンズ30のフランジ部33の前面33a側に回り込んだ状態となっている。
【0041】
そして、カバーレンズ30のフランジ部33の前面33aと筐体フレーム40の窓孔43の折曲部44の前端44aとの間には間隙Hを有している。この間隙Hは、筐体フレーム40の板金加工時に生じる窓孔43の折曲部44の形状寸法に対する加工ばらつきを考慮して設けられたものであり、筐体フレーム40の前板部41に設けられたボス42の高さを適宜設定することにより間隔Hが確保される。
【0042】
ところで、上述のように、照明器具1の内部に侵入した雨水は、筐体フレーム40の前板部41四隅に設けられた水抜き孔45から排出されるが、窓孔43の周縁部が平坦な場合(以下、図示せず説明のみとする)は、窓孔43の周縁部の先端とカバーレンズ30のフランジ部33の前面33aとの間隙からも雨水が排出される。
【0043】
排出された雨水は、カバーレンズ30のフランジ部33からレンズ部31の側面を伝って流れ落ちて正面側まで達し、乾燥した後にレンズ部31の表面に雨水の汚れが付着して残る。その結果、カバーレンズ30のレンズ部31での光の透過率が低下し、時間と共に照射光量が減少する。
【0044】
それに対し、本実施形態においては、
図13に戻って、筐体フレーム40の前板部41に形成された窓孔43の周縁部を、該周縁部に沿って内側に折り曲げて立ち上げることにより環状の折曲部44とした。これにより、照明器具1の内部に侵入した雨水は折曲部44で堰き止められて窓孔43の折曲部44の先端44aとカバーレンズ30のフランジ部33の前面33aとの間隙Hからは雨水が排出されるおそれはない。
【0045】
そのため、カバーレンズ30のレンズ部31に雨水による汚れが付着することがなく、レンズ部31の光の透過率の低下を招くことがない。したがって、雨水の影響によって照明器具1からの出射光量が減少するといった問題の発生は防止される。
【0046】
なお、折曲部44は上述したように雨水の堰き止めを目的に設けられている。そのため、堰き止めの目的を達するためには平面状、多角面状あるいは湾曲面状などの種々の形状が可能である。また、前板部41からの立ち上がり角度は、加工形成方法も考慮して90°以上の適度な角度に設定される。
【符号の説明】
【0047】
1… 照明器具
10… 光源ユニット
11… 光源
12… 基板
13… 内部
20… ハウジング
21… 裏面
22… 放熱フィン
23… 表面
23a… 領域
24… 立壁部
24a… 内側立壁部
24b… 外側立壁部
25… 溝部
26… 貫通孔
30… カバーレンズ
31… レンズ部
32… 脚部
33… フランジ部
33a… 前面
40… 筐体フレーム
41… 前板部
41a… 内面
42… ボス
42a… 雌ねじ
43… 窓孔
44… 折曲部
44a… 先端
45… 水抜き孔
46… 側板部
50… 筐体カバー
51… 放熱用貫通孔