(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本願における記載形式・基本的用語・用法の説明)
本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクション等に分けて記載するが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、記載の前後を問わず、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しの説明を省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0011】
同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、A以外の要素を含むものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe(シリコン・ゲルマニウム)合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。また、金メッキ、Cu層、ニッケル・メッキ等といっても、そうでない旨、特に明示した場合を除き、純粋なものだけでなく、それぞれ金、Cu、ニッケル等を主要な成分とする部材を含むものとする。
【0012】
さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0013】
また、実施の形態の各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0014】
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するため、あるいは領域の境界を明示するために、ハッチングやドットパターンを付すことがある。
【0015】
<半導体装置>
まず、本実施の形態の半導体装置PKG1の概要構成について、
図1〜
図4を用いて説明する。
図1は本実施の形態の半導体装置の斜視図、
図2は、
図1に示す半導体装置の下面図である。また、
図3は、
図1に示す半導体装置の上面図である。また、
図4は
図1のA−A線に沿った断面図である。なお、
図1〜
図4では、見易さのため、端子数を少なくして示している。また、
図4では、見易さのため、
図2に示す例よりも外部端子30の数を少なくして示している。図示は省略するが、端子(端子2PD、ランド2LD、外部端子30)の数は、
図1〜
図4に示す態様以外にも種々の変形例が適用できる。
【0016】
図1に示すように、本実施の形態の半導体装置PKG1は、半導体チップ10と、半導体チップ10が搭載される上面(面、主面、チップ搭載面)20tを有する配線基板20と、を有する。
【0017】
図4に示すように、半導体チップ10は、表面(主面、上面)10t、表面10tとは反対側の裏面(主面、下面)10b、および、表面10tと裏面10bとの間に位置する側面10sを有している。また、半導体チップ10は、
図3に示すように平面視において配線基板20よりも平面積が小さい四角形の外形形状を成す。
図3に示す例では、半導体チップ10は、四つの側面10sのそれぞれが、配線基板20の四つの側面20sのそれぞれに沿って延びるように配線基板20の上面20tの中央部に搭載されている。
【0018】
また、
図4に示すように、半導体チップ10の表面10tには、複数の電極(チップ電極、電極パッド、電極部)1PDが配列されている。本実施の形態では、半導体チップ10の表面10tには、複数の電極1PDが行列状(マトリクス状、アレイ状)に配置されている。半導体チップ10の外部入出力端子である複数の電極1PDを行列状に配置することで、半導体チップ10が備える電極数が増大しても平面積の増大を抑制出来る。また、平面視において、半導体チップ10の中央部分に電力供給用の電極1PDが配置されている場合、半導体チップ10の中央部分に形成されるコア回路に対する電力供給経路を短くできる。
【0019】
半導体チップ10の表面10tは、配線基板20の上面20tと対向する。このように、半導体チップ10の電極形成面である表面10tが配線基板20のチップ搭載面である上面20tと対向するように半導体チップ10が配線基板20に搭載される方式は、フェイスダウン実装方式、あるいはフリップチップ接続方式と呼ばれる。
【0020】
フリップチップ接続方式の場合、半導体チップ10の表面10tに配列される電極1PDと配線基板20の上面20tに配列される端子2PDとは、突起電極SBを介して接続される。
図4に示すように、複数の電極1PDのそれぞれに突起電極SBが接続され、半導体チップ10の複数の電極1PDと、配線基板20の複数の端子2PDとは、複数の突起電極SBを介して、それぞれ電気的に接続されている。
【0021】
突起電極SBは、半導体チップ10の表面10t上に突出するように形成された金属部材である。突起電極SBは、本実施の形態では、電極1PD上に、下地金属膜(アンダーバンプメタル)を介して半田材が積層された、所謂、半田バンプである。下地金属膜は、例えば、電極1PDとの接続面側からチタン(Ti)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)が積層された積層膜(ニッケル膜上にさらに金(Au)膜を形成する場合もある)を例示することができる。また、半田バンプを構成する半田材は、例えば、鉛(Pb)入りのSn−Pb半田材や、Pbを実質的に含まない、所謂、鉛フリー半田からなる。鉛フリー半田の例としては、例えば錫(Sn)のみ、錫−ビスマス(Sn−Bi)、または錫−銅−銀(Sn−Cu−Ag)、錫−銅(Sn−Cu)などが挙げられる。ここで、鉛フリー半田とは、鉛(Pb)の含有量が0.1wt%以下のものを意味し、この含有量は、RoHS(Restriction of Hazardous Substances)指令の基準として定められている。
【0022】
半導体チップ10を配線基板20に搭載する際には、複数の電極1PDおよび複数の端子2PDの双方に、予め半田バンプを形成しておき、半田バンプ同士を接触させた状態で加熱処理(リフロー処理)を施すことで、半田バンプ同士が一体化して、突起電極SBが形成される。また、本実施の形態に対する変形例としては、銅(Cu)やニッケル(Ni)からなる導体柱の先端面に半田膜を形成したピラーバンプが突起電極SBとして用いられても良い。
【0023】
図示は省略するが、本実施の形態に対する変形例として、半導体チップ10の裏面10bが配線基板20のチップ搭載面(上面20t)と対向する場合(フェイスアップ実装方式と呼ばれる)もある。この場合、半導体チップ10の電極1PDは表面10tの周縁部に配列される。また、半導体チップ10の電極1PDと配線基板20の端子2PDとは、図示しないワイヤを介して電気的に接続される。本実施の形態のように、フェイスダウン方式で半導体チップ10が配線基板20上に搭載される場合、単位面積当たりの電極1PDの配置密度を向上させることができる。また、本実施の形態のように、半導体チップ10の電極1PDと配線基板20の端子2PDとが、突起電極SBを介して電気的に接続される方式の場合、ワイヤによる接続方式と比較して、電極1PDと端子2PDとの間の伝送経路のインピーダンスを低減できる。
【0024】
また、図示は省略するが、半導体チップ10の主面(詳しくは、半導体チップ10の基材である半導体基板の素子形成面に設けられた半導体素子形成領域)には、複数の半導体素子(回路素子)が形成されている。複数の電極1PDは、半導体チップ10の内部(詳しくは、表面10tと図示しない半導体素子形成領域の間)に配置される配線層に形成された配線(図示は省略)を介して、この複数の半導体素子と、それぞれ電気的に接続されている。
【0025】
半導体チップ10(詳しくは、半導体チップ10の基材)は、例えばシリコン(Si)から成る。また、表面10tには、半導体チップ10の基材および配線を覆う絶縁膜が形成されており、複数の電極1PDのそれぞれの表面は、この絶縁膜に形成された開口部において、絶縁膜から露出している。また、複数の電極1PDは、それぞれ金属からなり、本実施の形態では、例えばアルミニウム(Al)または銅(Cu)からなる。
【0026】
また、半導体チップ10が搭載される配線基板20は、
図4に示すように、半導体チップ10が搭載された上面20t、上面20tとは反対側の下面(面、主面、実装面)20b、および上面20tと下面20bの間に配置された複数の側面20s(
図1〜
図3参照)を有する。また、
図2に示すように、配線基板20は、平面視において四角形の外形形状を成す。
【0027】
配線基板20は、チップ搭載面である上面20tの端子2PDと実装面である下面20bのランド2LDとを電気的に接続する複数の配線層を有する。
図4に示す例では、配線層は、上面20t側から順に、配線層WL1、WL2、WL3、WL4、WL5およびWL6の6層の配線層を有している。各配線層は、絶縁膜2eにより覆われる。各配線層を覆う絶縁膜2eには、複数の開口部が設けられ、この複数の開口部のそれぞれには、ビア配線(ビア、層間導電路)2vが埋め込まれている。配線層WL1、WL2、WL3のそれぞれ、および配線層WL4、WL5、WL6のそれぞれは、複数のビア配線を介して電気的に接続される。
【0028】
配線基板20の複数の配線層は、例えば、ガラス繊維に樹脂を含浸させたプリプレグ材からなる絶縁層(コア層、コア材、コア絶縁層)2CRの上面2Caおよび下面2Cbに、それぞれ複数の配線層をビルドアップ工法により積層することで、形成されている。また、絶縁層2CRの上面2Caにある配線層WL3と下面2Cbにある配線層WL4とは、上面2Caと下面2Cbのうちの一方から他方までを貫通するように設けられた複数の貫通孔(スルーホール)に埋め込まれた、複数のスルーホール配線(層間導電路)2TWを介して電気的に接続されている。
【0029】
なお、
図4では、配線基板の一例としてコア層である絶縁層2CRを有する配線基板20を示しているが、
図4に対する変形例として、コア層を有しない、所謂、コアレス基板を用いることもできる。この場合、変形例の配線基板には、スルーホール配線2TWは形成されない。また、この変形例の配線基板において、積層された複数の配線層同士は、各配線層の間に設けられた複数のビア配線2vを介して電気的に接続される。
【0030】
配線基板20の上面20tには、半導体チップ10と電気的に接続される複数の端子(端子部、パッド、半導体チップ接続用端子)2PDが形成されている。複数の端子2PDのそれぞれは、半導体チップ10と配線基板20とを電気的に接続するための内部インタフェース端子である。また、配線基板20の下面20bには、半導体装置PKG1の外部入出力端子である複数のランド(端子、外部端子、電極、外部電極)2LDが形成されている。ランド2LDは、配線基板20と外部装置(例えば図示しない実装基板)とを電気的に接続するための外部インタフェース端子である。
【0031】
複数の端子2PDと複数のランド2LDは、配線基板20に形成された複数の配線2w、および層間導電路である複数のビア配線2vおよび配線層WL3と配線層WL4とを電気的に接続するスルーホール配線2TWを介して電気的に接続される。
図4に示す例では、配線基板20の配線層WL3と配線層WL4との間にコア層である絶縁層2CRがある。コア層は、他の絶縁膜2eと比較して厚さが厚く、硬さが硬い。このため、絶縁層2CRには、絶縁層2CRの上面2Caおよび下面2Cbのうち、一方から他方まで貫通するように形成された複数のスルーホールが設けられている。この複数のスルーホールのそれぞれには、導体(例えば銅などの金属)が埋め込まれ、層間導電路として機能するスルーホール配線2TWを構成する。配線基板20が有する各配線層の詳細な構成は、後述する。
【0032】
また、
図4に示す例では、複数のランド2LDのそれぞれには、外部端子(半田ボール、半田材、端子、電極、外部電極)30が接続されている。外部端子30は、半導体装置PKG1を図示しない実装基板に実装する際に、実装基板側の複数の端子(図示は省略)と複数のランド2LDを電気的に接続する、導電性部材である。外部端子30は、上記した突起電極SBと同様に、例えば、鉛フリー半田からなる。
【0033】
また、
図2に示すように複数の外部端子30は、行列状(アレイ状、マトリクス状)に配置されている。また、
図2では図示を省略するが、複数の外部端子30が接合される複数のランド2LD(
図4参照)も行列状(マトリクス状)に配置されている。このように、配線基板20の実装面側に、複数の外部端子(外部端子30、ランド2LD)を行列状に配置する半導体装置を、エリアアレイ型の半導体装置と呼ぶ。エリアアレイ型の半導体装置は、配線基板20の実装面(下面20b)側を、外部端子の配置スペースとして有効活用することができるので、外部端子数が増大しても半導体装置の実装面積の増大を抑制することが出来る点で好ましい。つまり、高機能化、高集積化に伴って、外部端子数が増大する半導体装置を省スペースで実装することができる。
【0034】
なお、
図1、
図2および
図4に示す例では、外部端子30として、ボール形状の半田材である半田ボールを用いた、所謂、BGA(Ball Grid Array)型の半導体パッケージを例示的に示しているが、外部端子の配列および構造には、種々の変形例がある。例えば、
図4に示す下面20bにおいて、複数のランド2LDを露出させた構造、あるいは、下面20bにおいて露出する複数のランド2LDに、薄い半田材を接合した構造などの変形例がある。これらの変形例の半導体パッケージは、LGA(Land Grid Array)型と呼ばれる。
【0035】
また、
図4に示すように半導体チップ10と配線基板20の間には、アンダフィル樹脂(絶縁性樹脂)40が配置される。アンダフィル樹脂40は、半導体チップ10の表面10tと配線基板20の上面20tの間の隙間を塞ぐように配置される。また、アンダフィル樹脂40は、絶縁性(非導電性)の材料(例えば樹脂材料)から成り、半導体チップ10と配線基板20の電気的接続部分(複数の突起電極SBの接合部)を封止するように配置される。このように、複数の突起電極SBの接続部を封止するようにアンダフィル樹脂40を配置することで、半導体チップ10と配線基板20の電気的接続部分に生じる応力を緩和させることができる。
【0036】
<回路構成例>
次に、
図4に示す半導体チップが備える回路構成例について説明する。
図5は、
図4に示す半導体チップが有する回路構成例を模式的に示す説明図である。また、
図6は、
図1に示す半導体チップの表面(電極配置面)の平面図である。
図6は平面図であるが、複数の電極1PDv、複数の電極1PDg、および複数の電極1PDsのそれぞれを識別するため、ドットパターンやハッチングを付している。
図6において、円形で示される複数の電極1PDのうち、電極1PDsは、白抜きで示され、電極1PDvは、ドットパターンで示され、電極1PDgはハッチングで示される。
【0037】
図5に示すように半導体チップ10は、半導体チップ10の外部との間で電気信号SIGの入力あるいは出力を行う入出力回路11と、入出力回路11に接続され、信号データに対して処理(例えば演算処理など)を行うコア回路12と、を有する。また、半導体チップ10の複数の電極1PDは、複数の電極1PDs、複数の電極1PDv、および複数の電極1PDgが含まれる。複数の電極1PDsのそれぞれは、入出力回路11に接続され、電気信号を伝送する信号端子である。複数の電極1PDvのそれぞれは、コア回路12に接続され、コア回路12を駆動する電源電位VDを供給する電源端子である。複数の電極1PDv同士は互いに接続されている。また、複数の電極1PDgのそれぞれは、コア回路12に接続され、コア回路12に基準電位VGを供給する基準電位端子である。複数の電極1PDg同士は互いに接続されている。
【0038】
なお、
図5に示す例では、複数の電極1PDvおよび複数の電極1PDgのそれぞれは、入出力回路11にも電気的に接続されている。入出力回路11には、電極1PDvより電源電位VDが、電極1PDgより基準電位VGが供給される。この電源電位VDと基準電位VGとの電位差により、入出力回路11を駆動することができる。また、
図5に示す例のように、複数の電極1PDvが互いに電気的に接続されている場合、例えばコア回路12において、瞬間的に電力需要が大きくなった場合に、電源電位が複数の経路から供給される。このため、複数の電極1PDvのそれぞれに安定的に電源電位を供給できれば、瞬間的な電力需要増大に伴う電圧降下などの現象を発生し難くできる。
【0039】
また、
図5に示す例の変形例として、入出力回路11の駆動電圧とコア回路12との駆動電圧が異なる場合、入出力回路11に電源電位VDとは異なる電源電位が供給されても良い。また、複数のコア回路12があり、かつ複数のコア回路12が互いに異なる駆動電圧で動作する場合、複数のコア回路12に互いに異なる電源電位が供給されても良い。この場合、複数の電極1PDvが複数個ずつのグループ(電極群)に分かれていても良い。この場合、上記グループのそれぞれが電気的に分離されていれば、グループ毎に異なる電源電位を供給することができる。ただし、上記したように瞬間的な電力需要の増加に伴う電圧降下を抑制するためには、各電源電位を供給する経路がそれぞれ複数個ずつあることが好ましい。
【0040】
また、
図6に示すように、半導体チップ10の表面10tにおいて、複数の電極1PDs、複数の電極1PDv、および複数の電極1PDgのそれぞれは、規則的に配列されている。複数の電極1PDvおよび複数の電極1PDgは、表面10tの中央部に最も多く配列されている。一方、複数の電極1PDsは、表面10tの外周側、言い換えれば、表面10tの外縁と上記中央部にある周辺部に最も多く配列されている。
【0041】
図6に示す例では、複数の電極1PDsのそれぞれは、複数の電極1PDの配列のうち、最外周、および最外周の一つ内側の周に配列されている。電気信号SIG(
図5参照)を伝送する配線経路は、後述する
図10において、配線2wsとして示すように、配線基板20の外周側に引き出される。このため、半導体チップ10の表面10tにおいて、電気信号SIGを伝送する複数の電極1PDsのそれぞれを外周側に配列することにより、信号伝送経路の経路距離を短縮できる。
【0042】
また、複数の電極1PDvおよび複数の電極1PDgのそれぞれは、表面10tにおいて、複数の電極1PDsの内側に配列されている。言い換えれば、複数の電極1PDsは、複数の電極1PDvおよび複数の電極1PDgと、表面10tの外縁との間に配列される。上記したコア回路12(
図5参照)は、平面視において表面10tの中央部(複数の電極1PDvおよび複数の電極1PDgが配列される部分)と重畳(オーバーラップ)するように形成される。上記した入出力回路11(
図5参照)は、平面視において表面10tの中央部と外縁との間に形成される。複数の電極1PDvおよび複数の電極1PDgがコア回路12と重畳するように形成されることにより、コア回路12に対する電源供給経路を短くできる。この結果、コア回路12に電力を供給する際のロスやノイズを低減できる。
【0043】
また、
図6に示す例では、表面10tの複数の電極1PDの配列のうち、最外周、および最外周の一つ内側の周には、電極1PDvおよび電極1PDgは配置されていない。また、表面10tの複数の電極1PDの配列のうち、最外周の二つ以上内側の周(最外周、および最外周の一つ内側の周を除く周)には電極1PDsが配置されていない。ただし、
図6では、半導体チップ10の表面10tにおいて、信号伝送用の電極1PDsを外周側に配列し、駆動電圧供給用の電極1PDv、電極1PDgを中央部に配列する理想的な構成を示している。したがって、電極1PDの配列には種々の変形例がある。
【0044】
例えば、複数の電極1PDsのうちの一部が表面10tの複数の電極1PDの配列のうち、最外周の二つ以上内側の周に配列される場合もある。あるいは、最外周、および最外周の一つ内側の周に電極1PDvや電極1PDgが配列される場合もある。例えば、信号伝送において、信号伝送経路とリファレンス経路とを並走させる場合がある。このリファレンス経路として、基準電位の伝送経路を利用する場合、電極1PDsの近傍に基準電位用の電極1PDgが配列されることが好ましい。この場合、複数の電極1PDgのうちの一部が、複数の電極1PDの配列のうち、最外周や最外周の一つ内側の周に配列されていることが好ましい。
【0045】
また、
図6に示すように、表面10tの中央部において、複数の電極1PDvと複数の電極1PDgとは、以下のように配置される。すなわち、複数の電極1PDvおよび複数の電極1PDgのそれぞれは、X方向に沿って列を成すように配置される。また、X方向と交差(
図6では直交)するY方向において、電極1PDvの列と電極1PDgの列とが交互に配置される。複数の電極1PDのそれぞれは千鳥状に配列される。
【0046】
上記した「千鳥状に配列」とは、以下のように表現することができる。すなわち、Y方向における第1列目にある複数の電極1PDのそれぞれは、Y方向における第2列目にある複数の電極1PDのうち隣り合う電極1PDの間に配置され、第2列目にある複数の電極1PDのそれぞれは、第1列目にある複数の電極1PDのうち隣り合う電極1PDの間に配置される。また、Y方向における第3列目にある複数の電極1PDのそれぞれは、Y方向における第2列目にある複数の電極1PDのうち隣り合う電極1PDの間に配置され、第2列目にある複数の電極1PDのそれぞれは、第3列目にある複数の電極1PDのうち隣り合う電極1PDの間に配置される。また、X方向における第1列目にある複数の電極1PDのそれぞれは、X方向における第2列目にある複数の電極1PDのうち隣り合う電極1PDの間に配置され、第2列目にある複数の電極1PDのそれぞれは、第1列目にある複数の電極1PDのうち隣り合う電極1PDの間に配置される。また、X方向における第3列目にある複数の電極1PDのそれぞれは、X方向における第2列目にある複数の電極1PDのうち隣り合う電極1PDの間に配置され、第2列目にある複数の電極1PDのそれぞれは、第3列目にある複数の電極1PDのうち隣り合う電極1PDの間に配置される。
【0047】
コア回路12を安定的に動作させるためには、コア回路12の動作時に、コア回路12用の駆動電圧を安定的に供給する必要がある。半導体装置の性能向上に伴い、コア回路12の動作速度(周波数)は高速化する。また、
図5では、例示的に1個のコア回路12を示しているが、半導体チップ10の性能向上のため、一つの半導体チップ10は複数の(多数の)コア回路12を有し、そのコア回路12のそれぞれが、高速で動作する。この場合、複数のコア回路12の動作に応じて急激に変動する電力需要に対応して必要かつ十分な電力をタイミングよく供給する必要がある。また、消費電力低減の要請により、駆動電圧は低下傾向である。このため、供給される電圧のばらつきに対する許容マージンは小さくなり、低速動作時には問題にならなかったような小さなノイズが、コア回路12の動作に影響を与える場合がある。
【0048】
特に、
図6における半導体チップ10の表面10tにおける電極1PDの配置密度が高い場合、隣り合う電極1PD間のピッチが狭くなる。この場合、電極1PDまで電力を供給する導電経路の経路断面積が、電極1PDの近傍で狭くなるので、経路断面積が狭くなった部分での配線抵抗が増大する。半導体チップ10の内部の配線により、複数の電極1PDvが互いに接続されている場合、複数の電力供給経路が互いに補強され、回路上では経路断面積を太くすることができる。しかし、半導体チップ10の内部配線は、配線基板20の配線より細く、かつ薄い。このため、配線基板20(
図5参照)において配線抵抗が大きければ、半導体チップ10に到達する前にノイズが生じ、そのノイズ対策を半導体チップ10の内部配線のみで行うことは難しい。
【0049】
図6に示す複数の電極1PDvおよび複数の電極1PDgの配列パターンは、
図4に示す配線基板の配線レイアウトを工夫することによりコア回路12(
図5参照)に対する電力供給を安定化させることを可能にするレイアウトである。
【0050】
コア回路12(
図5参照)に対する電力供給を安定化させる観点において、配線基板20における対策を行う場合、以下の点が特に効果的である。
【0051】
すなわち、配線基板20において、半導体チップ10の複数の電極1PDv(および複数の電極1PDg)のそれぞれに接続される導電経路を複数化する。言い換えれば配線基板20の各配線層(特に最上層の配線層)において、横方向(配線層の延在方向)における電荷の移動をしやすくする。これにより、特定の電極1PDvで電力需要が瞬間的に大きくなった場合に、複数の導電経路を介して該当する電極1PDvに必要な電位をタイミング良く供給することが可能になる。また、一つの電極1PDvに接続される導電経路が複数化されることで、各導電経路の回路上の経路断面積を大きくできるので、配線抵抗を低減できる。
【0052】
また、半導体チップ10の複数の電極1PDv(および複数の電極1PDg)に接続される複数の導電経路のそれぞれの経路距離を短くする。
図5に示す電源電位VDおよび基準電位VGは、
図4に示す配線基板20の配線層WL6側から供給される。したがって、各配線層間を電気的に接続する複数のビア配線2vおよび複数のスルーホール配線2TWのうち、電源電位VDまたは基準電位VGを供給するものは、
図6に示す複数の電極1PDvおよび複数の電極1PDgと重畳する位置に配置する。特に、
図4に示す配線層WL1、WL2およびWL3のそれぞれでは、半導体チップ10と重畳する領域に多数の配線が接続される。このため電源電位VDまたは基準電位VGを供給する複数のスルーホール配線2TWのそれぞれは、
図6に示す複数の電極1PDvおよび複数の電極1PDgと重畳する位置に配置することが好ましい。また、
図4に示す配線層WL1と配線層WL3との間にある複数のビア配線2vのうち、電源電位VDまたは基準電位VGを供給する複数のビア配線2vのそれぞれは、
図6に示す複数の電極1PDvおよび複数の電極1PDgと重畳する位置に配置することが好ましい。これにより、配線基板20の厚さ方向(
図4に示すZ方向)に沿って電荷が直線的に移動することが可能になる。この結果、複数の導電経路のそれぞれの経路距離を短縮させることができる。導電経路の経路距離が短くなれば、これに伴って導電経路のインピーダンスを低減することができる。
【0053】
また、
図5に示すコア回路12の駆動電圧は、電源電位VDと基準電位VGとの電位差により規定される。このため、各コア回路12の近傍に複数の電極1PDvおよび複数の電極1PDgが配置されていることが好ましい。このため、複数の電極1PDvの群および複数の電極1PDgの群が、それぞれ局所的に集まって配置されているより、複数の電極1PDvおよび複数の電極1PDgがバランスよく分散して(例えば交互に)配列されていることが好ましい。
【0054】
例えば
図6に示す例では、半導体チップ10が備える複数の電極1PDは以下のように配列されている。すなわち、半導体チップ10は、平面視において、X方向に複数の電極1PDvが配列される電源電位用電極群と、X方向に複数の電極1PDgが配列される基準電位用電極群と、を有する。この電源電位用電極群と基準電位用電極群とはそれぞれ複数列ずつ有り、平面視において、Y方向に沿って交互に配列されている。この配列方法の場合、電極1PDvは、1個以上の電極1PDgと隣り合うように配列される。また、電極1PDgは、1個以上の電極1PDvと隣り合うように配列される。言い換えれば、半導体チップ10は、互いに隣り合う電極1PDvと電極1PDgとの対を複数対有する。また、上記複数対において、隣り合う電極1PDvと電極1PDgとの離間距離は等距離である。
図6に示すような電極1PDの配列は、複数の電極1PDvおよび複数の電極1PDgがバランスよく分散していると言える。
【0055】
半導体チップ10と配線基板20とは、フリップチップ接続方式により接続される。フリップチップ接続方式の場合、
図4に示す配線基板20の最上層の配線層WL1に配置される複数の端子2PDの配列は、半導体チップ10の電極1PDの配列と同じになる。したがって、配線層WL1において、複数の端子2PDv(
図5参照)と複数の端子2PDgのそれぞれは、バランスよく分散して(例えば交互に)配列されていることが好ましい。このように、異なる種類の端子2PDを分散して配置する場合、少なくとも最上層の配線層WL1に設けられる配線の配線幅は、他の配線層に設けられる配線などの導体パターンと比較して、狭くせざるを得ない。
【0056】
上記の検討結果より、配線基板20において、電源電位VD(
図5参照)または基準電位VG(
図5参照)を供給する配線の構造は、配線基板20の各配線層に沿った方向に電荷が移動し易く、かつ、各配線層を経由する複数の電力供給経路のそれぞれの経路距離は短いことが好ましい。ただし、少なくとも最上層の配線層WL1に形成される端子2PD周辺の配線は、上記の通り配線幅が狭くなるので、配線基板20では、電源電位VDまたは基準電位VGを供給する配線経路のそれぞれが、立体的なメッシュ構造を構成することにより、配線層WL1における配線抵抗の増大を抑制する必要がある。
【0057】
<配線レイアウトの詳細>
以下、
図4に示す配線基板20が有する各配線層における配線レイアウトについて図面を用いて詳細に説明する。
図7は、
図3に示す配線基板の上面において、半導体チップおよびアンダフィル樹脂を取り除いた状態を示す平面図である。
図8は、
図7に示す配線基板において、最上層の絶縁膜を取り除き、第1層目の配線層のレイアウトの例を示す平面図である。
図7および
図8では、
図7に示すチップ搭載領域と重畳する領域を拡大して示している。
図9は、
図8の中央部分を拡大した拡大平面図である。
図9では、
図8の拡大図の一部分をさらに拡大している。
図10は、
図7に示す配線基板において、第2層目の配線層のレイアウトの例を示す平面図である。
図11は、
図10に示す配線層のうち、
図9に示す平面と重畳する中央部分を拡大した拡大平面図である。
図7〜
図11のそれぞれは平面図であるが、信号伝送経路と、電源電位の供給経路と、基準電位の供給経路と、をそれぞれ識別するため、
図6と同様の模様を付している。すなわち、
図7〜
図11において、信号伝送経路は白抜きで示され、電源電位の供給経路は、ドットパターンで示され、基準電位の供給経路はハッチングで示される。また、
図9および
図11において、配線基板20が有する端子2PDの位置(言い換えれば、
図6に示す半導体チップ10の電極1PDと重畳する位置)は、点線で示している。また、
図9および
図11において、配線2wvの直下にビア配線2vvがある位置は、周辺よりも濃いドットパターンで示している。また、
図9および
図11において、配線2wgの直下にビア配線2vgがある位置は、周辺とは反対向きのハッチングで示している。また、
図11では、
図9に示す配線2wvおよび配線2wgの輪郭を点線で示している。
【0058】
また、
図12は
図11のA−A線の拡大断面図、
図13は
図11のB−B線の拡大断面図、
図14は
図11のC−C線の拡大断面図である。
図12〜
図14では、半導体チップの表面10t側の一部分、および配線基板のうち、コア絶縁層より上層の配線層を示している。また、
図12〜
図14では、配線層WL1からスルーホール配線までの接続関係を見やすくするため、各断面と異なる位置にあるビア配線やスルーホール配線を点線で示している。
【0059】
図7と
図8を比較して判るように、配線基板20の最上層の配線層WL1は、大部分が絶縁膜2e1に覆われている。絶縁膜2e1は、配線基板20の上面20t側を保護するソルダレジスト膜である。絶縁膜2e1には、複数の開口部が設けられ、複数の開口部のそれぞれにおいて、絶縁膜2e1の下層にある導体パターンの一部分が露出している。この複数の開口部において絶縁膜2e1から露出する部分が、配線基板20の端子2PDである。
【0060】
図7に示す複数の端子2PDは、
図6に示す半導体チップ10の複数の電極1PDのそれぞれと対向する位置に配置されている。言い換えれば、配線基板20の上面20tにおいて、複数の開口部は、半導体チップ10(
図1参照)と重畳する領域であるチップ搭載領域10rに形成されている。更に言い換えれば、配線基板20の上面20tにおいて、複数の端子2PDは、チップ搭載領域10rに配置されている。このため、
図5および
図6を用いて説明した、複数の電極1PDのレイアウトに係る説明は、
図7に示す複数の端子2PDのレイアウトに係る説明に置き換えることができる。すなわち、配線基板20の複数の端子2PDは、複数の端子2PDs、複数の端子2PDv、および複数の端子2PDgが含まれる。
【0061】
配線基板20の上面20tにおいて、複数の端子2PDs、複数の端子2PDv、および複数の端子2PDgのそれぞれは、規則的に配列されている。複数の端子2PDvおよび複数の端子2PDgは、上面20tの中央部に最も多く配列されている。一方、複数の端子2PDsは、上面20tの外周側、言い換えれば、上面20tの外縁と上記中央部にある周辺部に最も多く配列されている。
【0062】
詳しくは、複数の端子2PDsのそれぞれは、複数の端子2PDの配列のうち、最外周、および最外周の一つ内側の周に配列されている。配線基板20の上面20tにおいて、電気信号SIG(
図5参照)を伝送する複数の端子2PDsのそれぞれを外周側に配列することにより、信号伝送経路の経路距離を短縮できる。
【0063】
複数の端子2PDsのそれぞれは、
図10に示す配線層WL2に設けられた複数の配線2wsを介して配線基板20の外周側に配置された複数のビア配線(ビア)2vsと電気的に接続される。配線層WL2において、配線2wsおよびビア配線2vsの周囲には、導体プレーン2PLが配置されている。また、配線2wsおよびビア配線2vsは、
図8に示す配線層WL1に形成された導体プレーン2PLに覆われている。また、複数のビア配線2vsは、
図4に示す信号伝送用のスルーホール配線2TWsと電気的に接続されている。複数のスルーホール配線2TWsのそれぞれは、半導体チップ10と重畳しない位置(配線基板20の周辺領域)に配置されている。
【0064】
また、複数の端子2PDvおよび複数の端子2PDgのそれぞれは、上面20tにおいて、複数の端子2PDsの内側に配列されている。言い換えれば、複数の端子2PDsは、複数の端子2PDvおよび複数の端子2PDgと、上面20tの外縁との間に配列される。
図1に示すように半導体チップ10が配線基板20に搭載された状態において、上記したコア回路12(
図5参照)は、複数の端子2PDvおよび複数の端子2PDgが配列される部分と重畳する。
図4に示すように、半導体チップ10の電極1PDと配線基板20の端子2PDとは突起電極SBを介して接続される。このため、複数の端子2PDvおよび複数の端子2PDgがコア回路12と重畳することにより、コア回路12に対する電源供給経路を短くできる。この結果、コア回路12に電力を供給する際のロスやノイズを低減できる。
【0065】
また、
図7に示す例では、上面20tの複数の端子2PDの配列のうち、最外周、および最外周の一つ内側の周には、端子2PDvおよび端子2PDgは配置されていない。また、上面20tの複数の端子2PDの配列のうち、最外周の二つ以上内側の周には端子2PDsが配置されていない。ただし、
図6を用いて説明した変形例と同様に、
図7に示す端子2PDの配列には種々の変形例がある。
【0066】
また、
図7に示すように、上面20tの中央部において、複数の端子2PDvと複数の端子2PDgとは、以下のように配置される。すなわち、複数の端子2PDvおよび複数の端子2PDgのそれぞれは、X方向に沿って列を成すように配置される。また、X方向と交差(
図7では直交)するY方向において、端子2PDvの列と端子2PDgの列とが交互に配置される。複数の端子2PDのそれぞれは千鳥状に配列される。上記した「千鳥状に配列」とは、上記した説明において、電極1PDの部分を端子2PDに置き換えて適用することができるので、重複する説明は省略する。
【0067】
また、
図7に示す複数の端子2PDvのそれぞれは、
図8に示す第1層目の配線層WL1に配置される配線(導体パターン、配線パターン)2wvの一部分である。同様に、
図7に示す複数の端子2PDgのそれぞれは、
図8に示す第1層目の配線層WL1に配置される配線(導体パターン、配線パターン)2wgの一部分である。複数の配線2wvおよび複数の配線2wgのそれぞれは、
図1に示す半導体チップ10と重畳する位置に配置されている。また、複数の配線2wvおよび複数の配線2wgのそれぞれは、X方向に延び、Y方向に沿って交互に配置されている。また、配線層WL1では、半導体チップ10(
図1参照)と重畳する領域の周囲には、導体プレーン2PLが配置される。導体プレーン2PLは、配線2wやビア配線2v(
図9参照)と比較して、面積が大きい大面積の導体パターンである。導体プレーン2PLには、例えば接地電位が供給される。
図4に示すように半導体装置PKG1の配線基板20の場合、信号伝送用の配線2wsは配線層WL2に配置され、配線層WL1に設けられた導体プレーン2PLと重畳する。このように、信号伝送用の配線2wsが、固定電位が供給される大面積の導体パターンにより覆われている場合、電磁的なノイズをシールドすることができる。配線(信号配線)2wsは、半導体チップ10と重畳する領域の外側に引き出されるので、配線層WL1において、半導体チップ10と重畳しない領域に導体プレーン2PLを配置することにより、配線2wsの大部分は導体プレーン2PLに覆われる。
【0068】
また、
図8に示すように、配線層WL1において、半導体チップ10(
図4参照)と重畳する領域には、複数の端子2PDs、複数の配線2wgおよび複数の配線2wvが配置されている。複数の端子2PDsは、複数の配線2wgおよび複数の配線2wvが配置された領域の周囲に配置され、信号伝送用のビア配線(ビア)2vs(
図4参照)を介して配線層WL2と電気的に接続されている。
【0069】
複数の配線2wvのそれぞれは、
図9に示すように、X方向に延びる主配線部(第1主配線部)2wv1、およびX方向と交差するY方向に延び、かつ、主配線部2wv1と交差する複数の副配線部(第1副配線部)2wv2を有する。複数の配線2wvのそれぞれには、
図5に示す電源電位VDが供給される。
【0070】
また、複数の配線2wgのそれぞれは、
図9に示すように、X方向に延びる主配線部(第2主配線部)2wg1、およびX方向と交差するY方向に延び、かつ、主配線部2wg1と交差する複数の副配線部(第2副配線部)2wg2を有する。複数の配線2wgのそれぞれには、
図5に示す基準電位VGが供給される。
【0071】
配線2wvの複数の副配線部2wv2、および配線2wgの複数の副配線部2wg2のそれぞれは、端部(第1端部)2we1、およびY方向において、主配線部2wv1または主配線部2wg1を介して端部2we1の反対側にある端部(第2端部)2we2を有する。また、配線2wvの複数の副配線部2wv2、および配線2wgの複数の副配線部2wg2のそれぞれは、主配線部2wv1と主配線部2wg1との間において、X方向に沿って交互に配列される。
【0072】
また、
図11に示すように、配線層WL2は、配線2wgの主配線部2wg1、および配線2wvの複数の副配線部2wv2の端部2we1と重畳し、かつ、X方向に延びる導体パターン(第1導体パターン)2Pv1を有する。また、配線層WL2は、配線2wvの主配線部2wv1、および配線2wgの複数の副配線部2wg2の端部2we2と重畳する導体パターン2Pg1を有する。
図11に示す例では、配線層WL2は、X方向に配列される複数の導体パターン(第2導体パターン)2Pg1、を有する。複数の副配線部2wv2の端部2we1は、複数のビア配線(第1ビア)2vvを介して導体パターン2Pv1と電気的に接続される。複数の副配線部2wg2の端部2we2は、複数のビア配線(第2ビア)2vgを介して複数の導体パターン2Pg1と電気的に接続される。
【0073】
本実施の形態の半導体装置PKG1は、電源電位VD(
図5参照)を供給する配線経路と、基準電位VG(
図5参照)を供給する配線経路と、を上記の通りに構成することで、コア回路12(
図5参照)に対する電力供給を安定化させることができる。
【0074】
まず、
図9に示す配線2wvおよび配線2wgのそれぞれは、X方向に延びる一つの主配線部(2wv1または2wg1)と、Y方向に延びる複数の副配線部(2wv2または2wg2)と、を有している。複数の副配線部のそれぞれは、主配線部を跨ぐように配置されている。そして、副配線部の両端は、それぞれ、
図11に示す配線層WL2の導体パターン(2Pv1または2Pg1)に接続されている。これにより、例えば配線2wvの一部分において、瞬間的に電力需要が大きくなった場合には、配線2wvを構成する複数の副配線部2wv2の端部から電源電位VDが供給される。同様に、例えば配線2wgの一部分において、瞬間的に電力需要が大きくなった場合には、配線2wgを構成する複数の副配線部2wg2の端部から基準電位VGが供給される。このように、半導体装置PKG1の配線構造によれば、配線2wvおよび配線2wgのそれぞれに電位を供給する導電経路が複数化されている。このため、配線2wvおよび配線2wgのそれぞれは、配線層WL1に沿った方向に電荷が異動し易くなっている。この結果、配線2wvおよび配線2wgを構成する主配線部および副配線部のそれぞれの配線幅が狭い場合でも、配線抵抗の増大を抑制することができる。
【0075】
また、配線2wvの複数の副配線部2wv2、および配線2wgの複数の副配線部2wg2のそれぞれは、主配線部2wv1と主配線部2wg1との間において、X方向に沿って交互に配列される。この場合、配線2wvの複数の副配線部2wv2、および配線2wgの複数の副配線部2wg2のそれぞれの離間距離を小さくできる。したがって、配線2wvの複数箇所に端子2PDvが設けられ、配線2wgの複数箇所に端子2PDgが設けられている場合、複数の端子2PDvと複数の端子2PDgのそれぞれが、バランスよく分散して(例えば交互に)配列されることになる。
【0076】
例えば
図7に示す例では、配線基板20が備える複数の端子2PDは以下のように配列されている。すなわち、配線基板20は、平面視において、X方向に複数の端子2PDvが配列される電源電位用端子群と、X方向に複数の端子2PDgが配列される基準電位用端子群と、を有する。この電源電位用端子群と基準電位用端子群とはそれぞれ複数列ずつ有り、平面視において、Y方向に沿って交互に配列されている。この配列方法の場合、端子2PDvは、1個以上の端子2PDgと隣り合うように配列される。また、端子2PDgは、1個以上の端子2PDvと隣り合うように配列される。言い換えれば、配線基板20は、互いに隣り合う端子2PDvと端子2PDgとの対を複数対有する。また、上記複数対において、隣り合う端子2PDvと端子2PDgとの離間距離は等距離である。
図7に示すような端子2PDの配列は、複数の端子2PDvおよび複数の端子2PDgがバランスよく分散していると言える。
【0077】
また、
図9に示す複数の副配線部2wv2および複数の副配線部2wg2のそれぞれが交互に配列されていることにより、配線2wvの複数の副配線部2wv2、および配線2wgの複数の副配線部2wg2のそれぞれに生じる寄生インダクタンスを低減できる。この結果、配線2wvおよび配線2wgに生じるノイズを低減できる。
【0078】
また、
図8および
図9に示すように、配線層WL1は、複数の配線2wvおよび複数の配線2wgを有する。平面視において、複数の配線2wvおよび複数の配線2wgのそれぞれは、X方向に延び(主配線部がX方向に延びている)、Y方向に沿って交互に配置されている。
【0079】
また、配線2wgに着目すれば以下のように表現できる。すなわち、
図9に示すように、配線層WL1は、基準電位VG(
図5参照)が供給される配線(第2配線)2wgAおよび配線(第3配線)2wgBを有している。配線2wgAおよび配線2wgBのそれぞれは、平面視において、X方向に延びる主配線部2wg1、およびY方向に延び、かつ、主配線部2wg1と交差する複数の副配線部2wg2を有する。配線2wvAは、Y方向において、配線2wgAと配線2wgBとの間に配置される。また、配線2wvAの複数の副配線部2wv2、および配線2wgBの複数の副配線部2wg2は、主配線部2wv1と主配線部2wg1との間において、X方向に沿って交互に配列される。また、
図11に示すように、配線層WL2は、配線2wgBの主配線部2wg1、および配線2wvAの複数の副配線部2wv2の端部2we2と重畳する導体パターン2PvBを有する。配線2wvAの複数の副配線部2wv2の端部2we2は、複数のビア配線2vvを介して導体パターン2PvBと電気的に接続され、配線2wvAの複数の副配線部2wg2の端部2we1は、複数のビア配線2vgを介して導体パターン2PvAと電気的に接続される。
【0080】
また、配線2wvに着目すれば以下のように表現できる。すなわち、
図9に示すように、配線層WL1は、電源電位VD(
図5参照)が供給される配線(第1配線)2wvAおよび配線(第4配線)2wvBを有している。配線2wvAおよび配線2wvBのそれぞれは、平面視において、X方向に延びる主配線部2wv1、およびY方向に延び、かつ、主配線部2wv1と交差する複数の副配線部2wv2を有する。配線2wgAは、Y方向において、配線2wvAと配線2wvBとの間に配置される。また、配線2wgAの複数の副配線部2wg2、および配線2wvBの複数の副配線部2wv2は、主配線部2wg1と主配線部2wv1との間において、X方向に沿って交互に配列される(
図9では配線2wvBの主配線部2wv1は図示を省略)。また、
図11に示すように、配線層WL2は、配線2wvBの主配線部2wv1(
図11では図示を省略)、および配線2wgAの複数の副配線部2wg2の端部2we1と重畳する導体パターン2PgBを有する。配線2wgAの複数の副配線部2wg2の端部2we1は、複数のビア配線2vgを介して導体パターン2PgBと電気的に接続され、配線2wgAの複数の副配線部2wg2の端部2we2は、複数のビア配線2vgを介して導体パターン2PgAと電気的に接続される。
【0081】
また、半導体装置PKG1の場合、半導体チップ10と配線基板20はフリップチップ接続方式により、電気的に接続されている。すなわち、
図12および
図13に示すように、半導体チップ10の表面10tは、配線基板20の上面20tと対向する。また、半導体チップ10の複数の電極1PD(
図4参照)は、配線基板20の配線2wv(
図9参照)に電気的に接続される複数の電極1PDvと、配線基板20の配線2wg(
図9参照)に電気的に接続される複数の電極1PDgと、を有する。また、配線基板20は、半導体チップ10の複数の電極1PDvと対向し、かつ電気的に接続される複数の端子2PDvと、半導体チップ10の複数の電極1PDgと対向し、かつ、電気的に接続される複数の端子2PDgと、を有する。このようにフリップチップ接続方式を適用することにより、半導体チップ10と配線基板20とを電気的に接続する導電経路が短くなる。これにより、導電経路のインピーダンスを低減することができる。
【0082】
また、半導体装置PKG1の場合、配線基板20の複数の端子2PDのそれぞれは、
図9に示す配線2wvおよび配線2wgが形成される配線層WL1と同層に形成される。言い換えれば、
図12に示すように、配線基板20は、配線層WL1を覆い、かつ複数の開口部2eHを備える絶縁膜2e1を有する。配線2wv(
図9参照)は、絶縁膜2e1が備える複数の開口部2eHにおいて絶縁膜2e1から露出する複数の端子2PDvを有する。また、配線2wg(
図9参照)は、絶縁膜2e1が備える複数の開口部2eHにおいて絶縁膜2e1から露出する複数の端子2PDgを有する。半導体チップ10の複数の電極1PDvと複数の端子2PDvとは、突起電極SBvを介してそれぞれ接続される。また、半導体チップ10の複数の電極1PDgと複数の端子2PDgとは、突起電極SBg(
図14参照)を介してそれぞれ接続される。このように、配線2wvの一部分を端子2PDvとすることで、電源電位の供給経路を短くできる。また、配線2wgの一部分を端子2PDgとすることで、基準電位の供給経路を短くできる。
【0083】
また、
図9に示すように配線2wvの一部を構成する複数の端子2PDvのうちの一部は、複数の副配線部2wv2のそれぞれの端部にある。また、配線2wgの一部を構成する複数の端子2PDgのうちの一部は、複数の副配線部2wg2のそれぞれの端部にある。言い換えれば、複数の端子2PDvは、複数の副配線部2wv2の端部(第1端部)2we1および端部(第2端部)2we2にある複数の端子2PDvを含む。また、複数の端子2PDgは、複数の副配線部2wg2の端部2we1および端部2we2にある複数の端子2PDgを含む。このように、主配線部2wv1、2wg1と交差する複数の副配線部2wv2、2wg2のそれぞれの端部を端子2PDv、2PDgとすることで、電源電位の供給経路と基準電位の供給経路とをバランス良く分布させることができる。
【0084】
また、
図13に示すように、端部2we1および端部2we2にある複数の端子2PDvのそれぞれは、複数のビア配線2vvのそれぞれと重畳する。また、
図14に示すように、端部2we1および端部2we2にある複数の端子2PDgのそれぞれは、複数のビア配線2vgのそれぞれと重畳する。このように、端子2PDvがビア配線2vvと重畳していることで、配線基板20の厚さ方向における電源電位の供給経路を短くできる。同様に、端子2PDgがビア配線2vgと重畳していることで、配線基板20の厚さ方向における基準電位の供給経路を短くできる。
【0085】
また、半導体装置PKG1の場合、
図9に示すように配線2wvの一部を構成する複数の端子2PDvのうちの一部は、主配線部2wv1にある。また、配線2wgの一部を構成する複数の端子2PDgのうちの一部は、主配線部2wg1にある。言い換えれば、複数の端子2PDvは、主配線部2wv1にある(複数の)端子2PDvを含む。また、複数の端子2PDgは、主配線部2wg1にある(複数の)端子2PDvを含む。このように、副配線部2wv2、2wg2の端部の他、主配線部2wv1、2wg1にも端子2PDv、2PDgを設けることで、電源電位の供給経路および基準電位の供給経路を複数化することができる。
【0086】
ただし、
図11に示すように配線2wv(
図13参照)の主配線部2wv1は、配線層WL2の導体パターン2Pg1と重畳する。また、配線2wg(
図14参照)の主配線部2wg1は、配線層WL2の導体パターン2Pv1と重畳する。このため、
図13に示すように、複数の端子2PDvのうち、主配線部2wv1(
図11参照)にある端子2PDvは、ビア配線2vvと重畳しない。同様に、
図14に示すように、複数の端子2PDgのうち、主配線部2wg1(
図11参照)にある端子2PDgは、ビア配線2vgと重畳しない。
【0087】
また、配線層WL2は、電源供給用の複数の導体パターンと基準電位供給用の複数の導体パターンと、を有している。
図15は、
図11に対する変形例を示す拡大平面図である。
図11に示すように、配線層WL2は、複数の副配線部2wv2の端部2we1と重畳し、かつ、X方向に延びる導体パターン(部分)2PvAと、複数の副配線部2wv2の端部2we2と重畳し、かつ、X方向に延びる導体パターン(部分)2PvBと、を有する。平面視において、導体パターン2PgA(複数の導体パターン2PgA)は、導体パターン2PvAと導体パターン2PvBとの間にある。また、複数の副配線部2wv2の端部2we2は、複数のビア配線2vvを介して導体パターン2PvBと電気的に接続される。言い換えれば、導体パターン2PvAと導体パターン2PvBとは、複数の副配線部2wv2を介して電気的に接続されている。
【0088】
図15に示すように本実施の形態に対する変形例として、導体パターン2PvAと導体パターン2PvBとが互いに分離された導体パターンである場合がある。この場合、導体パターン2PvAと導体パターン2PvBとの間にある導体パターン2PgAは、X方向に延びるように形成される。このような変形例の場合、配線層WL2においては、複数の導体パターン2Pv1および複数の導体パターン2Pg1は、互いに分離されている。
図15に示す変形例の場合において、導体パターン2PvAと導体パターン2PvBとが、複数の副配線部2wv2を介して電気的に接続されることにより、電源電位を供給する経路の数を増大させることができる。
【0089】
また、
図15に示すように、配線層WL2は、複数の副配線部2wg2の端部2we2と重畳し、かつ、X方向に延びる導体パターン2PgAと、複数の副配線部2wg2の端部2we1と重畳し、かつ、X方向に延びる導体パターン2PgBと、を有する。導体パターン2PvAは、平面視において導体パターン2PgAと導体パターン2PgBとの間にある。複数の副配線部2wg2の端部2we1は、複数のビア配線2vgを介して導体パターン2PgBと電気的に接続され、かつ、端部2we2は、複数のビア配線2vgを介して導体パターン2PgAと電気的に接続される。言い換えれば、導体パターン2PgAと導体パターン2PgBとは、複数の副配線部2wg2を介して電気的に接続される。
図15に示す変形例の場合において、導体パターン2PgAと導体パターン2PgBとが、複数の副配線部2wg2を介して電気的に接続されることにより、基準電位を供給する経路の数を増大させることができる。
【0090】
また、
図11に示す例では、配線層WL2は、複数の副配線部2wg2の端部2we2と重畳し、かつ、X方向に配列される複数の導体パターン2PgAと、複数の副配線部2wg2の端部2we1と重畳し、かつ、X方向に配列される複数の導体パターン2PgBと、を有する。
図11に示すように、X方向に沿って互いに分離された複数の導体パターン2Pg1が配置されている場合、配線層WL1(
図9参照)に設けられた配線2wgを介して複数の導体パターン2Pg1が電気的に接続されることにより、基準電位を供給する経路の数を増大させることができる。
【0091】
また、
図16は、
図11に示す電源供給用の導体パターンと、基準電位供給用の導体パターンのみを示す拡大平面図である。
図16に示すように、配線層WL2は、Y方向において、導体パターン2PvAと導体パターン2PvBとの間に配置され、かつ、X方向に沿って一列で配列される複数の導体パターン2PgAを有する。導体パターン2PvAと導体パターン2PvBとは、複数の導体パターン2PgAの間にある連結部2Pvcを介して電気的に接続される。このように、
図11および
図16に示す例の場合、配線層WL2のX方向において、導体パターン2PgAが複数個に分割されている。これにより、隣り合う導体パターン2PgAに連結部2Pvcを配置することができる。また、
図16に示すように、導体パターン2PvAと導体パターン2PvBとは、複数の連結部2Pvcを介して接続されている。これにより、電源電位を供給する経路の数を更に増大させることができる。
【0092】
また、配線基板20は、
図17に示す配線層WL3を有する。
図17は、
図7に示す配線基板において、第3層目の配線層のレイアウトの例を示す平面図である。また、
図18は、
図17に示す配線層において、
図9に対応する位置の拡大平面図である。
【0093】
図4に示すように、配線層WL3は、配線層WL2と下面20bとの間にあり、かつ、上面20tに交差する方向の断面視において、配線層WL2の隣にある。また、
図18に示すように、配線層WL3は、導体パターン2Pv1(
図12参照)と重畳し、かつ、複数のビア配線(第3ビア)2vv2を介して導体パターン2Pv1と電気的に接続され、かつ、X方向に延びる導体パターン2Pv2を有している。また配線層WL3は、複数の導体パターン2Pg1(
図14参照)と重畳し、かつ、複数のビア配線(第4ビア)2vg2を介して導体パターン2Pg1と電気的に接続され、かつ、X方向に延びる導体パターン2Pg2を有する。
図17および
図18に示す例では、配線層WL3は複数の導体パターン2Pv2および複数の導体パターン2Pg2を有する。複数の導体パターン2Pv2および複数の導体パターン2Pg2は、Y方向に沿って交互に配列される。このように、絶縁層(コア層、コア材、コア絶縁層)2CR(
図4参照)より上層の配線層において、電源電位の供給経路を構成する導体パターン2Pv1と導体パターン2Pv2とを重畳させることにより、多数のビア配線2vv2を介して導体パターン2Pv1と導体パターン2Pv2とを電気的に接続できる。これにより、電源電位を供給する経路の数を増大させることができる。同様に、絶縁層(コア層、コア材、コア絶縁層)2CR(
図4参照)より上層の配線層において、基準電位の供給経路を構成する導体パターン2Pg1と導体パターン2Pg2とを重畳させることにより、多数のビア配線2vg2を介して導体パターン2Pg1と導体パターン2Pg2とを電気的に接続できる。これにより、基準電位を供給する経路の数を増大させることができる。
【0094】
また、複数の導体パターン2Pv2のそれぞれには、複数のスルーホール配線2TWvが接続される。また、複数の導体パターン2Pg2のそれぞれには、複数のスルーホール配線2TWgが接続される。言い換えれば、
図4に示すように、配線基板20は、配線層WL3と下面20bとの間にある配線層WL4を有する。また、配線基板20は、配線層WL3と配線層WL4とを電気的に接続する複数のスルーホール配線2TWを有する。複数のスルーホール配線2TWには、配線層WL3において導体パターン2Pv2に接続される複数のスルーホール配線2TWvと、配線層WL3において導体パターン2Pg2に接続される複数のスルーホール配線2TWgと、が含まれる。
【0095】
ところで、
図6に示す複数の電極1PDの配列間隔は狭小化が進められているが、電極1PDの配列間隔の狭小化と比較して、複数のスルーホール配線2TWの配列間隔は、狭小化が難しい。このため、
図6に示す半導体チップ10の複数の電極1PDの配列間隔は、
図17に示す配線基板20の複数のスルーホール配線2TWの配列間隔より小さい。詳しくは、
図17に示す配線層WL3のうち、
図4に示す半導体チップ10と重畳する領域に配置される複数のスルーホール配線2TW(言い換えればスルーホール配線2TWvおよびスルーホール配線2TWg)の配置間隔は、
図6に示す半導体チップ10の複数の電極1PDの配列間隔より大きい。このため、
図18に示す導体パターン2Pv2および導体パターン2Pg2の幅(延在方向であるX方向に対して交差する方向の長さ)は、
図9に示す配線2wvの主配線部2wv1の幅より大きい。また、
図18に示す導体パターン2Pv2および導体パターン2Pg2の幅は、配線2wgの主配線部2wg1の幅より大きい。
【0096】
また、
図19は、
図9に示す配線基板において、第4層目の配線層のレイアウトの例を示す拡大平面図である。
図4に示すように、配線層WL4は、配線層WL3と下面20bとの間にあり、かつ、上面20tに交差する方向の断面視において、配線層WL3の隣にある。
図19に示すように、配線層WL4は、導体パターン2Pv2(
図18参照)と重畳し、かつ、複数のスルーホール配線2TWvを介して導体パターン2Pv2と電気的に接続され、かつ、X方向に延びる導体パターン2Pv3を有している。また配線層WL4は、複数の導体パターン2Pg2(
図18参照)と重畳し、かつ、複数のスルーホール配線2TWgを介して導体パターン2Pg2と電気的に接続され、かつ、X方向に延びる導体パターン2Pg3を有する。
図19に示す例では、配線層WL4は複数の導体パターン2Pv3および複数の導体パターン2Pg3を有する。複数の導体パターン2Pv3および複数の導体パターン2Pg3は、Y方向に沿って交互に配列される。複数の導体パターン2Pv3のそれぞれには、配線層WL4と配線層WL5(
図4参照)とを電気的に接続する複数のビア配線2vv3が接続されている。また、複数の導体パターン2Pg3のそれぞれには、配線層WL4と配線層WL5とを電気的に接続する複数のビア配線2vg3が接続されている。
【0097】
また、
図20は、
図9に示す配線基板において、第5層目の配線層のレイアウトの例を示す拡大平面図である。
図4に示すように、配線層WL5は、配線層WL4と下面20bとの間にあり、かつ、上面20tに交差する方向の断面視において、配線層WL4の隣にある。
図20に示すように、配線層WL5は、導体パターン2Pv3(
図19参照)と重畳し、かつ、複数のビア配線2vv3を介して導体パターン2Pv3と電気的に接続される複数の導体パターン2Pv4を有している。また、配線層WL5は、導体パターン2Pg3(
図19参照)と重畳し、かつ、複数のビア配線2vg3を介して導体パターン2Pg3と電気的に接続される導体パターン2Pg4を有している。本実施の形態の場合、導体パターン2Pg4は、導体プレーン2PLと一体に形成される大面積の導体パターンである。一方、複数の導体パターン2Pv4のそれぞれは、ビア配線2vv3とビア配線2vv4とを電気的に接続する配線パターンである。複数の導体パターン2Pv4のそれぞれは、導体パターン2Pg4より面積が小さく、かつ、導体パターン2Pg4と離間している。複数の導体パターン2Pv4のそれぞれには、配線層WL5と配線層WL6(
図4参照)とを電気的に接続するビア配線2vv4が接続されている。また、導体パターン2Pg4には、配線層WL5と配線層WL6とを電気的に接続する複数のビア配線2vg4が接続されている。
【0098】
また、
図21は、
図9に示す配線基板において、第6層目の配線層のレイアウトの例を示す拡大平面図である。
図4に示すように、配線層WL6は、配線層WL5と下面20bとの間にあり、かつ、上面20tに交差する方向の断面視において、配線層WL5の隣にある。
図21に示すように、配線層WL6は、導体パターン2Pv4(
図20参照)と重畳し、かつ、複数のビア配線2vv4を介して導体パターン2Pv4と電気的に接続される導体パターン2Pv5を有している。また、配線層WL6は、導体パターン2Pg4(
図20参照)と重畳し、かつ、複数のビア配線2vg4を介して導体パターン2Pg4と電気的に接続される導体パターン2Pg5を有している。本実施の形態の場合、導体パターン2Pg5は、配線基板20の基準電位供給用の外部端子として機能するランド2LDである。また、本実施の形態の場合、導体パターン2Pv5は、導体パターン2Pg5よりも面積が大きい大面積パターンである。導体パターン2Pv5の一部分は、配線基板20の電源電位供給用の外部端子として機能するランド2LDを構成する。
【0099】
図20および
図21に示すように、本実施の形態の場合、配線層WL5に基準電位を伝送する大面積の導体パターンがあり、配線層WL6に電源電位を供給する大面積の導体パターンがある。このように、配線基板20内に、電源電位用および基準電位用の大面積の導体パターンを設けることにより、電源電位の供給経路および基準電位の供給経路の電位を安定化させることができる。
【0100】
なお、上記実施の形態中でもいくつかの変形例について説明したが、以下では、上記実施の形態で説明した変形例以外の代表的な変形例について説明する。
【0101】
<変形例1>
例えば、
図4に示す半導体装置PKG1では、配線基板の構造例として、6層の配線層を有する配線基板20を取り上げて説明した。しかし、配線層の数は、6層には限定されず、種々の変形例が適用可能である。
図22は、
図4に対する変形例である半導体装置の断面図である。また、
図23は、
図22に示す配線基板において、第1層目の配線層のレイアウトの例を示す拡大平面図である。また、
図24は、
図23に示す配線基板において、第2層目の配線層のレイアウトの例を示す拡大平面図である。
【0102】
図22に示す半導体装置PKG2が有する配線基板21は、4層の配線層を備えている点で、
図4に示す半導体装置PKG1と相違する。半導体装置PKG2の場合、コア絶縁層である絶縁層2CR上に配線層WL2が設けられる。このため、配線層WL1に設けられた配線2wvおよび配線2wvのパターンは、スルーホール配線2TWの配列に応じて形成する必要がある。例えば、スルーホール配線2TWの配列間隔と比較して複数の電極1PDの配列間隔が極めて小さい場合には、
図9に示す配線基板20の配線層WL1と同様のレイアウトを
図22に示す配線基板21に適用すると、複数の副配線部2wv2、2wg2の両端部と、配線層WL2の導体パターン2Pv2、2Pg2との位置関係を合わせられない可能性がある。そこで、
図23に示すように、複数の副配線部2wv2のY方向における長さ、および複数の副配線部2wg2のY方向における長さ、をそれぞれ
図9に示す例より長くしても良い。
【0103】
図23に示す例では、配線2wvにおいて、端子2PDvは、複数の副配線部2wv2それぞれの両端部、および主配線部2wv1に設けられ、かつ、主配線部2wv1と副配線部2wv2の端部との間にも設けられる。一方、複数のビア配線2vvは、複数の副配線部2wv2それぞれの両端部に接続され、他の部分には接続されていない。同様に、配線2wgにおいて、端子2PDgは、複数の副配線部2wg2のそれぞれの両端部、および主配線部2wg1に設けられ、かつ、主配線部2wg1と副配線部2wg2の端部との間にも設けられる。複数のビア配線2vgは、複数の副配線部2wg2それぞれの両端部に接続され、他の部分には接続されていない。
【0104】
図24に示す例では、電源電位および基準電位の供給経路のインピーダンスを低減するため、複数のスルーホール配線2TWvおよび複数のスルーホール配線2TWgのそれぞれが、Y方向において複数列(
図24では2列)で配列されている。このため、配線2wgの主配線部2wg1と重畳する導体パターン2Pv2、および配線2wvの主配線部2wv1と重畳する導体パターン2Pg2のそれぞれのY方向における幅(長さ)は、
図11に示す導体パターン2Pv1および導体パターン2Pg1の幅(長さ)よりも大きい。本変形例によれば、導体パターン2Pv2および導体パターン2Pg2の幅が大きい場合でも、電源電位の供給経路および基準電位の供給経路を複数化することができる。
【0105】
なお、複数の副配線部2wv2および複数の副配線部2wg2のそれぞれのY方向の長さを長くすると、電源電位の供給経路および基準電位の供給経路は
図9に示す例と比較して長くなる。導電経路の経路距離を短くする観点からは、
図9に示すように、端子2PDvは、複数の副配線部2wv2のそれぞれの両端部、および主配線部2wv1に設けられ、かつ、主配線部2wv1と副配線部2wv2の端部との間には設けられていないことが好ましい。また、端子2PDgは、複数の副配線部2wg2のそれぞれの両端部、および主配線部2wg1に設けられ、かつ、主配線部2wg1と副配線部2wg2の端部との間には設けられていないことが好ましい。
【0106】
また、
図4に示す半導体装置PKG1や
図22に示す半導体装置PKG2の場合、配線2wgおよび配線2wvが最上層の配線層WL1に配置され、配線2wgおよび配線2wvの一部分が配線基板20、21の端子2PDを構成する。しかし、変形例として、配線層WL1のさらに上層(上面20t側)に端子2PDを配置する配線層を設けても良い。この場合、配線2wgおよび配線2wvは、複数の端子2PDが形成される配線層の下層に形成され、図示しないビア配線を介して電気的に接続される。この変形例の場合、端子2PDの配置スペースに余裕ができるので、端子2PDの導体パターンの面積を大きくできる。一方、電源電位や基準電位の導電経路を短くする観点からは、
図4や
図22に示すように、配線2wgおよび配線2wvが最上層に配置されていることが好ましい。
【0107】
上記した相違点を除き、
図22〜24に示す配線基板21は
図4に示す配線基板20と同様である。したがって、重複する説明は省略する。
【0108】
<変形例2>
また例えば、
図4では、半導体チップ10と配線基板20とが突起電極SBを介して電気的に接続される実施態様について説明した。上記した技術は、半導体チップ10と配線基板20とがワイヤを介して電気的に接続されている配線装置に適用することを排除するものではない。ただし、配線基板20と半導体チップ10とを電気的に接続する導電経路のインピーダンスを低減する観点からは、上記したようにフリップチップ接続方式を適用することが特に好ましい。また、配線基板20内における電源電位の供給経路および基準電位の供給経路を短くする観点からも、フリップチップ接続方式を適用することが好ましい。
【0109】
<変形例3>
また、例えば、上記の通り種々の変形例について説明したが、上記で説明した各変形例同士を組み合わせて適用することができる。
【0110】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。