(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の開口領域および前記第2の開口領域を介して取り込まれる情報コードまたは文字情報からの反射光の受光に応じて前記受光手段から出力される信号に基づいて当該情報コードまたは文字情報を読み取る状態と、前記第1の開口領域を介して取り込まれる一次元コードまたは文字情報からの反射光の受光に応じて前記受光手段から出力される信号に基づいて一次元コードまたは文字情報を読み取る状態と、を切り替える切替手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
前記情報コードまたは文字情報に対して前記第1の開口領域を介して照明光を照射する照明手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の光学的情報読取装置。
前記読取口は、前記第1の開口領域が前記文字情報の表示領域よりもわずかに大きくなるように形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、使用者は、受光手段としてエリアセンサおよびラインセンサのいずれが採用されているかを意識することなく読み取り操作を行うことが通常である。このため、使用者は、エリアセンサを用いた光学的情報読取装置を用いて一次元コードを読み取る場合であっても、従来の使い慣れているラインセンサを用いた光学的情報読取装置での操作方法を適用させてしまう。そうすると、上記特許文献1に開示される光学的情報読取装置等のように、読取口が向けられた読み取り可能な範囲のうちその中央が情報コードの読み取りに適するようにエリアセンサが配置等されていると、読取口を構成する開口領域のうち一次元コードの読み取りに関して適さない開口領域部分が一次元コードに向けられた状態で読み取り操作を行ってしまう可能性がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、一次元コードおよび二次元コードの双方を読取可能であって特に一次元コードに関する読取性能を高め得る光学的情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、一次元コード(C1)および二次元コード(C2)を含めた情報コード(C)または文字情報(102)を光学的に読み取る光学的情報読取装置(10)であって、一端側が首曲がり形状に形成されるハウジングと、前記一端側に形成されて、前記情報コードまたは文字情報からの反射光(Lr)を取り込む読取口(13,13a,13b)と、前記読取口を前記情報コードまたは文字情報に接触させた状態で当該読取口を介して取り込んだ前記反射光を受光する受光手段(28)と、前記受光手段に対して前記情報コードまたは文字情報からの反射光を結像させる結像レンズ(27)と、前記反射光の受光に応じて前記受光手段から出力される信号に基づいて前記情報コードまたは文字情報を読み取る読取手段(40)と、を備え、前記読取口の開口領域(S)は、当該読取口を構成する周縁のうちの第1の縁(14)を一辺とする
長方形状の第1の開口領域(S1)と、前記第1の縁に対向する第2の縁(15)を一辺とする第2の開口領域(S2)とからなり、前記結像レンズは、前記受光手段とともに一組設けられて、前記開口領域の中心に結像中心が位置する状態から前記第1の開口領域の中心(P1)に結像中心が位置するように、前記受光手段とともに前記第1の開口領域を含む平面に対して水平であって前記第1の開口領域に近づく方向に相対移動させて配置され、前記第1の縁は、前記読取口の周縁のうち当該光学的情報読取装置を把持した使用者から見て下側に位置していることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、情報コードまたは文字情報からの反射光を取り込む読取口は、その開口領域が、当該読取口を構成する周縁のうちの第1の縁を一辺とする第1の開口領域と、第1の縁に対向する第2の縁を一辺とする第2の開口領域とからなり、受光手段に対して情報コードまたは文字情報からの反射光を結像させる結像レンズは、
受光手段とともに一組設けられて、開口領域の中心に結像中心が位置する状態から第1の開口領域の中心に結像中心が位置するように
、受光手段とともに第1の開口領域を含む平面に対して水平であって第1の開口領域に近づく方向に相対移動させて配置されている。
【0010】
これにより、一次元コードを読み取る場合には、第1の縁から一次元コードを覆うように読取口を向けることで、情報コードの読み取りに適した第1の開口領域が一次元コードに向くので、受光手段に対して一次元コードからの反射光を好適に結像させることができる。一方、二次元コードを読み取る場合には、開口領域全体を二次元コードに向ければよい。したがって、一次元コードおよび二次元コードの双方を読取可能であって特に一次元コードに関する読取性能を高めることができる。また、例えば機械読み取り式のパスポートに表示される文字情報であっても、第1の開口領域を利用することでその文字情報に関する読取性能を高めることができる。
【0014】
請求項
2の発明では、第1の開口領域および第2の開口領域を介して取り込まれる情報コードまたは文字情報からの反射光の受光に応じて受光手段から出力される信号に基づいて情報コードまたは文字情報を読み取る状態と、第1の開口領域を介して取り込まれる一次元コードからの反射光の受光に応じて受光手段から出力される信号に基づいて一次元コードまたは文字情報を読み取る状態(以下、一次元コード読取モードともいう)と、を切り替える切替手段が設けられている。
【0015】
このため、情報コードの読取対象が一次元コードのみである場合には、切替手段により上記一次元コード読取モードに切り替えた状態で、第1の開口領域を一次元コードに向ければよい。これにより、受光手段に対して一次元コードからの反射光を好適に結像させることができるだけでなく、読取対象が明確になることから読取処理の負荷軽減および時間短縮を図ることができる。
【0016】
請求項
3の発明では、第1の開口領域を介して照明光を照射する照明手段を備えているため、第1の開口領域を向けた一次元コードまたは文字情報からの反射光を受光しやすくなるので、第1の開口領域が向けられた一次元コードまたは文字情報に関する読取性能をさらに向上させることができる。
【0017】
請求項
4の発明では、照明手段により帯状の光が照明光として照射されるので、読取対象の一次元コードまたは文字情報に対して照明光を照射しやすくなるだけでなく、照明光がガイド光として機能することで、読取口を第1の開口領域にて一次元コードまたは文字情報に向けやすくなる。これにより、第1の開口領域を向けた一次元コードまたは文字情報からの反射光をより一層受光しやすくなるので、第1の開口領域が向けられた一次元コードまたは文字情報に関する読取性能をより一層向上させることができる。
【0018】
請求項
5の発明では、照明手段は、照明光の照射方向が結像レンズの光軸に交わるように配置されているため、受光手段や結像レンズに対する照明手段の位置に関して自由度が増すので、省スペース化、すなわち、光学的情報読取装置の小型化を図りやすくすることができる。特に、情報コードまたは文字情報が表示される紙面等の表示媒体からの反射光が直接結像光軸に返ってこない場所に照明光の照射方向が配置される場合には、上記表示媒体上での鏡面反射が抑えられるので、読み取り認識の精度を上げることができる。
【0019】
請求項
6の発明では、読取口は、第1の縁が第2の縁よりも長くなるように形成されているため、一方向に長い第1の開口領域とこの一方向に関して第1の開口領域よりも短い第2の開口領域とから読取口の開口領域が形成される。一次元コードはセルの配列方向(読取方向)に長くなるため、一方向に長く形成される第1の開口領域を一次元コードに対して直感的に向けやすくなる。また、二次元コードを読み取る場合には、第1の開口領域の一部と第2の開口領域とにより形成される二次元コード用の開口領域を二次元コードに向ければよい。したがって、一次元コードおよび二次元コードの双方を読取可能であって、一次元コードに向けるため一方向に長い開口領域があることにより、一次元コードを読取る位置に対して読取口を容易に向けることができることから従来通りの読み取りやすさを実現でき、かつ、一次元コードに関する読取性能をさらに向上させることができる。また、例えば機械読み取り式のパスポートに表示される文字情報のように一方向に長い文字情報であっても、第1の開口領域を利用することでその文字情報を読取る位置に対して読取口を容易に向けることができる。
【0020】
請求項
7の発明では、受光手段は、その受光領域が方形状となるように構成されており、読取手段は、第1の開口領域および第2の開口領域を介して取り込んだ反射光の受光に
応じて受光手段から出力される信号に基づいて、情報コードまたは文字情報を読み取る。
【0021】
上記第1の縁を一辺とし第1の開口領域および第2の開口領域を含める方形状の領域を方形状領域とするとき、この方形状領域には、第1の開口領域および第2の開口領域と異なる非開口領域が含まれることとなる。通常採用されるエリアセンサ等の受光手段は受光領域が方形状となっているため、その受光領域が上記方形状領域に一致するように受光手段および読取口が配置されると、上記非開口領域に相当する受光領域にて情報コードまたは文字情報からの反射光が受光されることはない。
【0022】
そこで、受光領域のうち第1の開口領域および第2の開口領域に相当する領域での反射光の受光に応じて受光手段から出力される信号に基づいて情報コードまたは文字情報を読み取ることで、上記非開口領域に相当する画像領域での処理等をなくすことができる。これにより、光学的な読み取りに関する処理負荷を軽減できるだけでなく、処理時間を短縮することができる。
【0023】
請求項
8の発明では、読取口は、第1の開口領域が文字情報の表示領域よりもわずかに大きくなるように形成されるため、一方向に長い文字情報であってもその文字情報を読取る位置に対して読取口を容易に向けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る光学的情報読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係る光学的情報読取装置10の構成概要を示す断面図である。
図2は、
図1のX方向から見た読取口13の開口領域を示す平面図である。
本実施形態に係る光学的情報読取装置10は、一次元コードや二次元コード等の情報コードを光学的に読み取る情報コードリーダとして構成されている。ここで、一次元コードとしては、例えば、JANコード、EAN、UPC、ITFコード、CODE39、CODE128、NW−7等からなるいわゆるバーコードが想定される。また、二次元コードとしては、例えば、QRコード、データマトリックスコード、マキシコード、Aztecコード等の方形状の情報コードが想定される。
【0026】
図1に示すように、光学的情報読取装置10は、上ケース11および下ケース12が組み付けられて構成されるハウジングによって外郭が形成され、このハウジング内に各種電気部品等からなる回路部20aが回路基板20等に実装されて収容されている。上ケース11および下ケース12は、ABS樹脂等の合成樹脂からなる成形部材で、これら上ケース11および下ケース12の一端側には読取口13が形成され、また他端側にはケーブル取付部が形成されている。この読取口13が形成される一端側は、裏面側に大きく前傾する首曲がり形状に形成されている。これにより、使用者が光学的情報読取装置10を当該上ケース11側から把持した状態で、読取対象物に貼付された情報コードに読取口13を当て易くしている。
【0027】
図2に示すように、読取口13は、長方形状の開口領域Sを有するように形成されている。このように形成される読取口13は、上ケース11側から把持した状態で、把持した使用者から見て上側(奥側)に位置している縁(以下、上縁14ともいう)の内側を読取対象の情報コードの上縁に合わせるように接触させるか向けることで、情報コードからの反射光を取り込み可能な状態となる。なお、読取口13を構成する周縁のうちの上縁14を一辺とする長方形状の第1の開口領域(
図2のハッチングで囲まれた領域S1参照)と、上縁14に対向する下縁15を一辺とする長方形状の第2の開口領域(
図2のクロスハッチングで囲まれた領域S2参照)とから、上述した長方形状の開口領域Sが構成されるものとして、以下説明する。
【0028】
次に、光学的情報読取装置10の電気的構成について、図面を参照して説明する。なお、
図3は、
図1の光学的情報読取装置10の要部を概略的に例示するブロック図である。
図4は、照明光源21と表示媒体Rによる仮想視野範囲αとの位置関係を説明する断面図である。
図1および
図3に示すように、上記ハウジングに収容される回路部20aは、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系とを備えている。
【0029】
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明手段として機能するもので、例えば、赤色のLED21aとこのLED21aの出射側に設けられるレンズ21bとから構成されている。照明光源21は、
図1に示す照明光軸L1からわかるように、結像光軸L2に対して傾斜するように照明光Lfを照射するように配置されている。特に、照明光源21は、
図4に示すように、情報コードが表示される紙面等のように鏡面反射するような表示媒体Rによる仮想視野範囲αに対して、表示媒体R上での鏡面反射を抑えるため、この仮想視野範囲α内に位置しないように配置されている。
【0030】
受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を二次元に配列したエリアセンサとして構成されるものであり、方形状の受光領域28aとして受光面を有するように構成されている。この受光センサ28は、読取口13、保護プレート26および結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能に回路基板20に実装されている。なお、受光センサ28は、「受光手段」の一例に相当し得る。
【0031】
結像レンズ27は、外部から読取口13を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面に像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが情報コードや光学的情報等にて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面にコード像等を結像させている。
【0032】
ここで、結像レンズ27の配置について、
図5および
図6を参照して説明する。なお、
図5(A)は、第1の開口領域S1の中心P1に結像中心が位置する配置を示す説明図であり、
図5(B)は、開口領域Sの中心Pに結像中心が位置する配置を示す説明図である。
図6は、結像光軸L2が第1の開口領域S1を含む平面に対して傾いている配置を示す説明図である。
【0033】
結像レンズ27は、
図5(A)に示すように、第1の開口領域S1の中心P1に結像中心が位置するように配置されている。より詳細には、
図5(B)に示すように、開口領域Sの中心Pに結像中心が位置するように配置される結像レンズ27を、受光センサ28とともに、第1の開口領域S1を含む平面に対して水平であって第1の開口領域S1に近づく方向に相対移動させることで(
図5(A)の矢印参照)、結像レンズ27の結像中心を第1の開口領域S1の中心P1に近づけている。
【0034】
特に、結像レンズ27は、
図5(A)からわかるように、当該結像レンズ27の光軸(結像光軸L2)が第1の開口領域S1を含む平面(
図5(A)の二点鎖線で示すF1参照)に対して直交するように配置されている。
【0035】
例えば、
図6に示すように、結像光軸L2が第1の開口領域S1を含む平面F1に対して直交せずに傾くように結像レンズ27が配置されている場合を想定する。この場合には、第1の開口領域S1の中心P1に対して上縁14に向かう一側に位置する開口領域部分(
図6のSa参照)と下縁15に向かう他側に位置する開口領域部分(
図6のSb参照)とでベストフォーカスとなる距離が変わってしまう。なお、
図6では、ベストフォーカスとなる距離が等しくなる平面を二点鎖線F2にて示している。このような配置構成では、例えば、情報コードの上側部分はベストフォーカスよりも遠距離での撮像状態となる一方で情報コードの下側部分はベストフォーカスよりも近距離での撮像状態となる場合がある。このような撮像状態であると、情報コードのデコードに失敗してしまう可能性がある。
【0036】
これに対して、本実施形態では、
図5(A)に示すように、結像光軸L2が第1の開口領域S1を含む平面に対して直交するように結像レンズ27が配置されているので、ベストフォーカスとなる距離が開口領域部分の位置にかかわらず一定となり、ベストフォーカスとなる距離の変化に起因する読取性能の低下が防止される。
【0037】
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、トリガースイッチ42、ブザー44、バイブレータ45、発光部46、通信インタフェース48等から構成されている。このマイコン系は、その名の通り、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御回路40およびメモリ35を中心に構成されるもので、上述した光学系によって撮像された情報コードの画像信号をハードウェア的およびソフトウェア的に信号処理し得るものである。また制御回路40は、当該光学的情報読取装置10の全体システムに関する制御も行っている。
【0038】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力されると、画像データ蓄積領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0039】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、上述した画像データ蓄積領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されている。また、ROMには、照明光源21、受光センサ28等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0040】
制御回路40は、光学的情報読取装置10全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御回路40は、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)と接続可能に構成されており、本実施形態の場合、トリガースイッチ42、ブザー44、バイブレータ45、発光部46、通信インタフェース48等が接続されている。これにより、例えば、トリガースイッチ42の監視や管理、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、当該光学的情報読取装置10の使用者に伝達し得る振動を発生可能なバイブレータ45の駆動制御、発光部46の点灯、非点灯や外部装置との通信を可能にする通信インタフェース48の通信制御等が制御回路40によって行われることとなる。
【0041】
次に、上述のように構成される光学的情報読取装置10を用いて情報コードCを読み取る場合について、
図7および
図8を参照して説明する。なお、
図7(A)は、バーコードC1の下側に上縁14が位置するように読取口13を向けた状態を示す説明図であり、
図7(B)は、バーコードC1に読取口13の第1の開口領域S1を向けた状態を示す説明図である。
図8は、QRコードC2に読取口13の開口領域Sを向けた状態を示す説明図である。なお、
図7および
図8では、読取口13の内縁を一点鎖線にて示している。また、
図7では、第1の開口領域S1を破線にて示している。
【0042】
一次元コードや二次元コード等の情報コードを読み取る場合には、制御回路40により以下のように読取処理が行われる。
【0043】
まず、トリガースイッチ42の操作に応じて照明光源21から照明光Lfが読取口13を介して照射されて、情報コードCにて反射された反射光Lrが読取口13を介して受光センサ28にて受光されると、受光センサ28から出力される信号に基づいて、当該情報コードCを含む画像データが生成される。そして、この画像データのうち情報コードCに相当するコード画像に対して公知のデコード処理(読取処理)が実施される。この処理により、情報コードCとしてコード化された文字データ等がデコードされる。なお、上記デコード処理(読取処理)を実行する制御回路40は、「読取手段」の一例に相当し得る。
【0044】
このデコードが成功すると、このデコード成功を報知するための報知手段の処理として、ブザー44の鳴動、バイブレータ45の振動および発光部46の発光等の少なくともいずれか1つがなされる。なお、受光センサ28から出力される一部の信号に基づいて生成された画像データに基づいてデコードが成功した場合には、残りの信号は不要となる。この場合には残りの信号に基づく画像データの生成以降の処理を中断することで、デコード(光学的な読み取り)に関する処理負荷を軽減できるだけでなく、処理時間を短縮することができる。
【0045】
特に、一方向に長いバーコードC1を読み取る場合には、
図7(A)に示すように、使用者から見てバーコードC1の下側に上縁14が位置するように読取口13を向けた後に、バーコードC1を見ながら読取口13をバーコードC1に向けて上側(
図7(A)の矢印参照)に移動させる。そして、
図7(B)に示すように、上縁14の内側をバーコードC1の上縁に合わせるようにして、第1の開口領域S1をバーコードC1に向けるか接触させた状態でバーコードC1からの反射光を受光する。これにより、バーコードC1の読み取り時には、情報コードの読み取りに適した第1の開口領域S1を当該バーコードC1に向けることができる。
【0046】
また、二次元コードとしてQRコードC2を読み取る場合には、
図8に示すように、上縁14の内側をQRコードC2の上縁に合わせるようにして、開口領域S全体をQRコードC2に向けるか接触させた状態でQRコードC2からの反射光を受光する。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、情報コードCからの反射光を取り込む読取口13は、その開口領域Sが、当該読取口13を構成する周縁のうちの上縁(第1の縁)14を一辺とする第1の開口領域S1と、上縁14に対向する下縁(第2の縁)15を一辺とする第2の開口領域S2とからなり、受光センサ28に対して情報コードCからの反射光Lrを結像させる結像レンズ27は、第1の開口領域S1の中心P1に結像中心が位置するように配置されている。
【0048】
これにより、一次元コード(バーコードC1等)を読み取る場合には、上縁14から一次元コードを覆うように読取口13を向けることで、情報コードの読み取りに適した第1の開口領域S1が一次元コードに向くので、受光センサ28に対して一次元コードからの反射光Lrを好適に結像させることができる。一方、二次元コード(QRコードC2等)を読み取る場合には、開口領域S全体を二次元コードに向ければよい。したがって、一次元コードおよび二次元コードの双方を読取可能であって特に一次元コードに関する読取性能を高めることができる。
【0049】
特に、上縁14は、読取口13の周縁のうち当該光学的情報読取装置10を把持した使用者から見て上側に位置している。これにより、一次元コードの下側に上縁14が位置するように読取口13を向けた後に読取口13を一次元コードに向けて上側に移動させることで(
図7参照)、第1の開口領域S1を一次元コードに向けることができる。すなわち、第1の開口領域S1を一次元コードに向けるまではこの一次元コードが光学的情報読取装置10によって使用者から見えなくなることもないので、一次元コードに対して第1の開口領域S1を向けやすくすることができる。
【0050】
さらにまた、結像レンズ27は、当該結像レンズ27の結像光軸L2が第1の開口領域S1を含む平面F1に対して直交するように配置されているため(
図5(A)参照)、ベストフォーカスとなる距離が開口領域部分の位置にかかわらず一定となるので、ベストフォーカスとなる距離の変化に起因する読取性能の低下を防止することができる。
【0051】
また、照明光源21は、照明光Lfの照射方向(照明光軸L1)が結像レンズ27の結像光軸L2に交わるように配置されているため、受光センサ28や結像レンズ27に対する照明光源21の位置に関して自由度が増すので、省スペース化、すなわち、光学的情報読取装置10の小型化を図りやすくすることができる。特に、照明光源21は、上記仮想視野範囲α内に配置されていないため(
図4参照)、表示媒体R上での鏡面反射が抑制されるので、読み取り認識の精度を上げることができる。
【0052】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る光学的情報読取装置について、以下に説明する。
本第2実施形態では、読取対象に応じて受光センサ28から取り込んでデコード処理(読取処理)に用いる信号を選別する点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0053】
本実施形態では、制御回路40にて実施される読取処理において、開口領域Sを介して取り込まれる情報コードからの反射光の受光に応じて受光センサ28から出力される信号に基づいて当該情報コードをデコードする(読み取る)状態(情報コード読取モード)と、第1の開口領域S1を介して取り込まれる一次元コードからの反射光の受光に応じて受光センサ28から出力される信号に基づいて当該一次元コードをデコードする(読み取る)状態(一次元コード読取モード)と、が用意されている。
【0054】
初期設定では情報コード読取モードに設定されており、制御回路40にて実施される読取処理では、一次元コードおよび二次元コードの双方を含めた情報コードを読み取ることができる。
【0055】
そして、読取対象が一次元コードのみである場合には、所定の操作またはモード切替用の情報コードの読み取り等に応じて、制御回路40にて実施される読取処理において、上記一次元コード読取モードに切り替えられる。なお、制御回路40は、「切替手段」の一例に相当し得る。
【0056】
このように一次元コード読取モードに切り替えた状態で読取口13を第1の開口領域S1にて一次元コードに向けるか接触させることで、受光センサ28に対して一次元コードからの反射光を好適に結像させることができるだけでなく、読取対象が明確になることからデコード処理(読取処理)の負荷軽減および時間短縮を図ることができる。
【0057】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る光学的情報読取装置について、
図9を用いて説明する。なお、
図9は、第3実施形態において読取口13の第1の開口領域S1と照明光Lfとの関係を示す説明図である。
本第3実施形態では、第1の開口領域S1に対してより強い照明光が照射される点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0058】
本実施形態では、一次元コードの読み取りを二次元コードの読み取りよりも重視することから、
図9に示すように、照明光源21からの照明光Lfが第1の開口領域S1を介して照射されるように構成されている。特に、照明光源21は、帯状の光(略ライン状の光)を照明光Lfとして照射するように構成されている。
【0059】
これにより、第1の開口領域S1を向けるか接触させた一次元コードからの反射光Lrを受光センサ28にて受光しやすくなるので、一次元コードの読取精度を向上させることができる。
【0060】
特に、照明光源21により帯状の光が照明光Lfとして照射されるので、読取対象の一次元コードに対して照明光Lfを照射しやすくなるだけでなく、照明光Lfがガイド光として機能することで、読取口13を第1の開口領域S1にて一次元コードに向けやすくなる。これにより、第1の開口領域S1を向けた一次元コードからの反射光Lrをより一層受光しやすくなるので、一次元コードの読取精度をさらに向上させることができる。
【0061】
なお、照明光Lfは、帯状の光として照明光源21から照射されることに限らず、第1の開口領域S1の全体を均等に明るくするように照射されてもよい。
【0062】
また、照明光源21は、所定の入力操作に応じてその発光状態が制御されてもよい。例えば、帯状の照明光Lfが第1の開口領域S1を介して照射されている状態において、二次元コードを読み取る場合に、照明光Lfを消灯してもよいし、断面方形状の照明光Lfを開口領域Sを介して照射してもよい。
【0063】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る光学的情報読取装置について、
図10を用いて説明する。なお、
図10は、第4実施形態における読取口13aの開口領域を示す平面図である。
本第4実施形態では、上縁14が下縁15よりも長くなるように読取口13aが形成される点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0064】
本実施形態では、第1の開口領域S1を一次元コードに対して向けやすくするため、
図10に示す読取口13aのように、上縁14が下縁15よりも長くなるように第1の開口領域S1および第2の開口領域S2が形成されている。このため、一方向(
図10の左右方向)に長い第1の開口領域S1とこの一方向に関して第1の開口領域S1よりも短い第2の開口領域S2とから開口領域Sが形成される。換言すると、読取口13aは、一方向に長い情報コード、すなわち、一次元コードを読み取るための第1の開口領域S1と、第1の開口領域S1の中央の一部とにより方形状の情報コード、すなわち、二次元コードを読み取るための第2の開口領域S2と、を有するように構成される。
【0065】
特に、本実施形態では、第2の開口領域S2は、下縁15に対向する領域線分(
図10の一点鎖線にて示す符号17参照)が上縁14と同じ長さになるように台形状に形成されている。領域線分17は、第1の開口領域S1の下側の領域線分に一致する。
【0066】
一次元コードはセルの配列方向(読取方向:
図10の左右方向)に長くなるため、一方向に長く形成される第1の開口領域S1を一次元コードに対して直感的に向けやすくなる。また、二次元コードを読み取る場合には、第1の開口領域S1の一部と第2の開口領域S2とにより形成される二次元コード用の開口領域を二次元コードに向ければよい。したがって、一次元コードおよび二次元コードの双方を読取可能であって、一次元コードに向けるため一方向に長い開口領域(S1)があることにより、一次元コードを読取る位置に対して読取口13を容易に向けることができることから従来通りの読み取りやすさを実現でき、かつ、一次元コードに関する読取性能をさらに向上させることができる。
【0067】
図11は、第4実施形態の第1変形例における読取口13bの開口領域を示す平面図である。
第2の開口領域S2は、台形状に形成されることに限らず、例えば、
図11に例示するように方形状に形成されてもよい。この場合には、読取口13bの開口領域Sが略T字状となるので、細長い開口部分を設けたとしても、上縁14および他の縁16の内側を二次元コードの縁に合わせることで、方形状の二次元コードに対しても上記二次元コード用の開口領域を容易に向けやすくできる。
【0068】
図12は、第4実施形態の第2変形例おいて受光領域28aと非開口領域S4との関係を示す説明図である。
図11に示す読取口13bの開口形状では、
図12に示すように、読取口13bの上縁14を一辺とし第1の開口領域S1および第2の開口領域S2を含める方形状の領域を方形状領域Soとするとき、この方形状領域Soには、第1の開口領域S1および第2の開口領域S2と異なる非開口領域S4が含まれることとなる。本実施形態にて採用される受光センサ28を含めて通常採用されるエリアセンサ等の受光手段はその受光領域28aが方形状となっている。このため、その受光領域28aが上記方形状領域Soに一致するように受光手段および読取口13bが配置されると、上記非開口領域S4に相当する受光領域にて情報コードからの反射光が受光されることはない。
【0069】
そこで、制御回路40によるデコード処理では、非開口領域S4を除き第1の開口領域S1および第2の開口領域S2を介して取り込んだ反射光の受光に応じて受光センサ28から出力される信号に基づいて、情報コードをデコードする。このように、受光領域28aのうち第1の開口領域S1および第2の開口領域S2に相当する領域での反射光の受光に応じて受光センサ28から出力される信号に基づいてデコードすることで、上記非開口領域S4に相当する画像領域での処理等をなくすことができる。これにより、デコード(光学的な読み取り)に関する処理負荷を軽減できるだけでなく、処理時間を短縮することができる。
【0070】
特に、略T字状の開口領域Sでは、方形状の開口領域を確保しつつ非開口領域S4を大きくできるので、非開口領域S4に相当する画像領域での処理等をなくすことによる効果をより高めることができる。
【0071】
なお、第2の開口領域S2が台形状に形成される場合でも、非開口領域S4を除き第1の開口領域S1および第2の開口領域S2を介して取り込んだ反射光の受光に応じて受光センサ28から出力される信号に基づいて、情報コードをデコードすることで、デコード(光学的な読み取り)に関する処理負荷を軽減できるだけでなく、処理時間を短縮することができる。
【0072】
なお、本第4実施形態およびその変形例では、情報コードからの反射光を取り込む読取口は、略台形状の読取口13aや略T字状の読取口13bのように形成されることに限らず、例えば、逆T字状等のように、その開口領域Sが、第1の縁を長辺とする第1の開口領域と、第1の縁に対向する縁であって当該第1の縁よりも長さが短い第2の縁を一辺とする第2の開口領域と、からなるように形成されてもよい。このようにしても、一次元コードを読取る位置に対して読取口を容易に向けることができることから従来通りの読み取りやすさを実現でき、かつ、一次元コードを確実に読み取ることができる。
【0073】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る光学的情報読取装置について、
図13および
図14を用いて説明する。なお、
図13は、第5実施形態において読取口13の第1の開口領域S1と文字情報102との関係を示す説明図である。
図14は、パスポート100の表示状態を示す説明図である。
本第5実施形態では、一次元コードや二次元コード等の情報コードだけでなく文字情報が読取対象となる点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0074】
本実施形態では、光学的情報読取装置10は、上述したように撮像した情報コードを光学的に読み取る情報コードリーダとしての機能に加えて、受光センサ28等を利用して撮像(受光)した文字情報等を認識する公知の記号認識処理機能(OCR)を兼備するように構成されている。すなわち、本実施形態に係る光学的情報読取装置10は、一次元コードおよび二次元コードを含めた情報コードまたは文字情報を光学的に読み取る情報読取装置として構成される。
【0075】
光学的に読み取る文字情報としては、例えば、
図14に例示するような機械読み取り式のパスポート100に表示される文字情報102が想定される。この文字情報102は、パスポート100の表示面101に表示された国籍や氏名などの個人情報等に対応する情報であって、表示面101のうち顔写真や氏名等に対して下欄に表示されている。
【0076】
特に、本実施形態では、読取口13は、上縁14の両端部にそれぞれ連なる側縁18aと側縁18bとの外面間の距離W1(
図13参照)がパスポート100の側縁101aと側縁101bとの距離W2(
図14参照)にほぼ一致するように形成されている。このため、読取口13は、文字情報102が表示される領域(以下、文字表示領域103ともいう)よりも第1の開口領域S1がその長手方向においてわずかに大きくなるように形成される。
【0077】
このため、読取口13の両側縁18a,18bの両外面をパスポート100の側縁101a,101bに合わせるとともに上縁14の内側を文字情報102の文字表示領域103の上縁に合わせた状態(
図13参照)で、文字情報102からの反射光を第1の開口領域S1を介して受光することで、この文字情報102が上記OCR技術を用いて読み取られる。
【0078】
このように、パスポート100に表示される一方向に長い文字情報102であっても、第1の開口領域S1を利用することでその文字情報102に関する読取性能を高めることができる。特に、読取口13は、第1の開口領域S1がその長手方向において文字情報102の文字表示領域103よりもわずかに大きくなるように形成されるため、一方向に長い文字情報102であってもその文字情報102を読取る位置に対して読取口13を容易に向けることができる。
【0079】
なお、光学的に読み取る文字情報としては、パスポート100に表示される文字情報102に限らず、例えば、チケットやクーポンなど他の表示媒体に表示される文字情報であってもよい。また、文字情報は、第1の開口領域S1を介して受光(撮像)されることに限らず、第2の開口領域S2を介して受光(撮像)されてもよいし、第1の開口領域S1および第2の開口領域S2の双方を介して受光(撮像)されてもよい。
【0080】
また、OCR技術等を利用して情報コードだけでなく文字情報をも読取対象とする本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態にも適用することができる。例えば、
図15に例示するように、第2の開口領域S2が台形状に形成される読取口13a(第4実施形態)であっても、OCR技術等を利用して情報コードだけでなく文字情報をも読取対象とすることができる。また、例えば、
図16に例示するように、開口領域Sが略T字状に形成される読取口13b(第4実施形態の第1変形例)であっても、OCR技術等を利用して情報コードだけでなく文字情報をも読取対象とすることができる。
【0081】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記各実施形態および変形例に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)上記第1〜3実施形態等では、上縁14を一辺とする長方形状の第1の開口領域S1の中心P1に結像中心が位置するように結像レンズ27等が配置されることに限らず、下縁15など他の縁を一辺とする長方形状の開口領域の中心P1に結像中心が位置するように結像レンズ27等が配置されてもよい。この場合には、上記他の縁から一次元コード(文字情報)を覆うように読取口13を向けることで、情報コード(文字情報)の読み取りに適した開口領域が一次元コード(文字情報)に向くので、受光センサ28に対して一次元コード(文字情報)からの反射光Lrを好適に結像させることができる。この場合、上記他の縁は、「第1の縁」に相当し、この他の縁に対向する読取口13の縁が「第2の縁」に相当し得る。
【0082】
(2)本発明は、その読取口が形成される一端側が裏面側に大きく前傾する首曲がり形状のハウジングを有する光学的情報読取装置に採用されることに限らず、例えば、略箱状に形成されるハウジングを有する光学的情報読取装置に採用されてもよい。