(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6867488
(24)【登録日】2021年4月12日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B22D 11/06 20060101AFI20210419BHJP
【FI】
B22D11/06 350
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-528675(P2019-528675)
(86)(22)【出願日】2017年11月24日
(65)【公表番号】特表2019-535529(P2019-535529A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(86)【国際出願番号】EP2017080378
(87)【国際公開番号】WO2018099823
(87)【国際公開日】20180607
【審査請求日】2019年7月19日
(31)【優先権主張番号】102016223717.9
(32)【優先日】2016年11月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ベッキング・ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】フィック・グイード
【審査官】
酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】
特表平09−511185(JP,A)
【文献】
特表2016−516586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無限軌道鋳造機(14)において冷却ブロック(12)を搬送するための搬送装置(10)であり、当該搬送装置(10)は、
・無限軌道鋳造機(14)のための無端の循環軌道(U)を形成するガイドレール(16)と、
・複数のローラ(20)を備える支持要素(18)と、を含み、当該複数のローラを用いて支持要素(18)はガイドレール(16)にガイドされているとともにガイドレール上を転動し、支持要素(18)に無限軌道鋳造機(14)の冷却ブロック(12)を取り付けることができる搬送装置において、
ガイドレール(16)は第一の走行面(16.1)と第二の走行面(16.2)を有し、これらの走行面(16.1,16.2)はガイドレール(16)の両側に設けられており、
支持要素(18)は、少なくとも三つのローラ(20.1,20.2,20.3)を有し、当該ローラのうち二つのローラ(20.1,20.2)はガイドレール(16)の第一の走行面(16.1)に回転接触しており、少なくとも一つの別のローラ(20.3)はガイドレール(16)の第二の走行面(16.2)に回転接触しており、
少なくとも一つのローラ(20.1;20.2;20.3)はガイドレール(16)に向かってプレストレスをかけられていること、を特徴とする搬送装置(10)。
【請求項2】
ガイドレール(16)の第一の走行面(16.1)に回転接触している二つのローラ(20.1,20.2)は、互いに距離(A)をおいて設けられており、ガイドレール(16)の第二の走行面(16.2)に回転接触しているローラ(20.3)は、ガイドレール(16)の第一の走行面(16.1)に回転接触している両方のローラ(20.1,20.2)の間の中央に設けられていること、を特徴とする請求項1に記載の搬送装置(10)。
【請求項3】
ガイドレール(16)の第二の走行面(16.2)に回転接触しているローラ(20.3)は,ガイドレール(16)に向かってプレストレスをかけられていること、を特徴とする請求項1または2に記載の搬送装置(10)。
【請求項4】
ガイドレール(16)の第一の走行面(16.1)に回転接触している二つのローラ(20.1,20.2)は、支持要素(18)において当該支持要素の上端部(19)に関して、側方向に互いにずらして設けられていること、を特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送装置(10)。
【請求項5】
無限軌道鋳造機(14)において冷却ブロック(12)を搬送するための搬送装置(10)であり、当該搬送装置(10)は、
・無端の循環軌道(U)を形成するガイドレール装置(17)と、
・複数のローラ(20)を備える支持要素(18)と、を含み、当該複数のローラを用いて支持要素(18)はガイドレール装置(17)にガイドされているとともにガイドレール装置上を転動し、支持要素(18)に冷却ブロック(12)を取り付けることができる搬送装置において、
ガイドレール装置(17)は、第一のガイドレール(17.1)と、これに対向するとともに平行に設けられた第二のガイドレール(17.2)の型式で形成されている走行面(L)を有し、ガイドレール(17.1,17.2)は当該ガイドレールの間に無端の循環軌道(U)を形成し、
支持要素(18)は、少なくとも三つのローラ(20.1,20.2,20.3)を有し、当該ローラのうちの2つのローラ(20.1,20.2)は第一のガイドレール(17.1)の走行面(L1)に回転接触しており、少なくとも一つの別のローラ(20.3)は、第二のガイドレール(17.2)の走行面(L2)に回転接触しており、
少なくとも一つのローラ(20.1,20.2,20.3)はガイドレール(17.1,17.2)に向かってプレストレスをかけられていることを特徴とする搬送装置(10)。
【請求項6】
第一のガイドレール(17.1)の走行面(L1)に回転接触している二つのローラ(20.1,20.2)は、互いに距離(A)をおいて設けられており、第二のガイドレール(17.2)の走行面(L2)に回転接触しているローラ(20.3)は、第一のガイドレール(17.1)の走行面(L1)に回転接触している両方のローラ(20.1,20.2)の間の中央に設けられていること、を特徴とする請求項5に記載の搬送装置(10)。
【請求項7】
第二のガイドレール(17.2)の走行面(L2)に回転接触しているローラ(20.3)は、第二のガイドレール(17.2)から離れるようにプレストレスをかけられていること、を特徴とする請求項6に記載の搬送装置(10)。
【請求項8】
少なくとも一つのローラ(20.1;20.2;20.3)のプレストレスは、ばね要素(DF;ZF)を介して形成されること、を特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の搬送装置(10)。
【請求項9】
少なくとも三つのローラ(20.1,20.2,20.3)は支持要素(18)において、ガイドレール(16)もしくはガイドレール装置(17)に沿った支持要素の搬送方向(T)において見た場合、それぞれ支持要素の向き合う二つの側方領域(22,23)に設けられており、これらの少なくともそれぞれ三つのローラ(20.1,20.2,20.3)は、ガイドレール(16)の走行面(16.1,16.2)もしくはガイドレール装置(17)の走行面(L)に回転接触していること、を特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の搬送装置(10)。
【請求項10】
ガイドレール(16)もしくはガイドレール装置(17)に沿って複数の支持要素(18)が設けられており、当該支持要素は駆動装置(24)を用いて無限軌道状にガイドレール(16;17.1,17.2)を循環しながら移動可能であること、を特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の搬送装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の上位概念に記載の、特に
無限軌道鋳造機において冷却ブロックを搬送するための搬送装置と、請求項5の上位概念に記載のこのような搬送装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、特にアルミニウム合金を製造するために、循環する
無限軌道鋳造機の型式に応じて機能する水平式ブロック鋳造機が知られている。このような鋳造機は例えば欧州特許第1704005号明細書から知られている。当該鋳造機では鋳造機の冷却要素が、互いに向き合うように設けられた鋳造
無限軌道の直線部分もしくは軌道部分上で移動式鋳型の壁部を形成する。鋳造
無限軌道はそれぞれ、互いに無端式に結合された多数の冷却ブロックからなり、当該冷却ブロックは
無限軌道の循環軌道に沿って搬送される。この目的のために、フレームにばね式に固定されているブロック要素から成るブロックは、チェーンに載置されている。このときブロックを備えるフレームは、定置式磁石を用いて
無限軌道のチェーンに保持されるが、そうしなければ重力のために落下するものと想定される。チェーンリンクはその結合箇所にローラを備えており、当該ローラはガイド経路上を転動する。欧州特許第1704005号明細書に記載の鋳造機には、特に
無限軌道駆動部ゆえに負荷を受けるチェーン結合部が、著しい摩擦損失を生じさせるという不利点がある。
【0003】
互いに向き合うように設けられた循環する
無限軌道同士の間に移動式鋳型が形成される別のブロック鋳造機が、国際公開第95/26842号パンフレットから知られている。ここでブロック鋳造機のチル鋳型もしくは冷却ブロックはそれぞれ支持要素に固定されており、それは互いに隣接するとともに、ガイドレールに沿ってローラを用いてガイドされている二つの支持要素について、
図11の側面図において明らかにされている。これについては、チル鋳型が取り付けられている単独の支持要素が
図12の側面図において再度示されている。国際公開第95/26842号パンフレットによるこのような支持要素の不利点は、傾きやすいことである。これは
図12において矢印Kにより象徴的に示されている。したがって国際公開第95/26842号パンフレットに記載のブロック鋳造機では、一の列において倒れる直前の状態にあるドミノピースの原理に応じて、互いに隣接する冷却ブロックの上面に、縁部を備える傾斜平面が形成され、当該縁部において高低差が形成され得る。このような高低差は結果として不利なことに、鋳物の表面に刻印を生じさせ、それによって品質が損なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1704005号明細書
【特許文献2】国際公開第95/26842号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の解決すべき課題は、特に
無限軌道鋳造機において冷却ブロックを搬送するための搬送装置の構成を発展させ、それにより循環軌道に沿った冷却ブロックのガイドが安定し、それにより鋳物の表面品質が向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は請求項1に記載された特徴を備える搬送装置によって、またさらに請求項5に記載された特徴を備える搬送装置によって解決される。本発明の有利な発展的構成は従属請求項に定義されている。
【0007】
本発明に係る搬送装置は特に、
無限軌道鋳造機もしくはブロック鋳造機において冷却ブロックを搬送するのに役立ち、
無限軌道鋳造機のための無端の循環軌道を形成するガイドレールと、複数のローラを備える支持要素とを含み、当該複数のローラを用いて支持要素はガイドレールにガイドされているとともにガイドレール上を転動する。支持要素に、
無限軌道鋳造機の冷却ブロックを取り付けることができる。ガイドレールは第一の走行面と第二の走行面を有し、これらの走行面はガイドレールの両側に設けられている。上記のように冷却ブロックを取り付けることができる支持要素は、少なくとも三つのローラを有し、当該ローラのうち二つのローラはガイドレールの第一の走行面に回転接触しており、少なくとも一つの別のローラはガイドレールの第二の走行面に回転接触している。少なくとも一つのローラはガイドレールに向かってプレストレスをかけられており、それにより好ましくは三つの全てのローラとガイドレールの走行面との恒常的な回転接触が保証されている。
【0008】
本発明の有利な発展的構成において、ガイドレールの第一の走行面に回転接触している二つのローラは、互いに距離をおいて設けられており、ガイドレールの第二の走行面に回転接触しているローラは特に、ガイドレールの第一の走行面に回転接触している前記の両方のローラの間の中央に設けられている。このとき適切なことに、第二の走行面に回転接触しており、したがって他の両方のローラに対してガイドレールの反対側に設けられているローラは、ガイドレールに向かってプレストレスをかけられている。これはすでに述べたように、これら三つの全てのローラがガイドレールの走行面に向かって引っ張られるという有利な効果を生じさせ、それはこれらのローラとガイドレールとの恒常的な回転接触を保証するとともに、ガイドレールと、当該ガイドレールに接しながらガイドレールに沿ってガイドされる支持要素との間に生じる可能性があるあそびを防止する。
【0009】
本発明の上記の実施の形態の有利な発展的構成において、ガイドレールの第一の走行面に回転接触している二つのローラは、支持要素において当該支持要素の上端部に関して、側方向に互いにずらして設けられていることが規定されていてよい。これにより、支持要素に設けられたローラに対する支持要素の重心の距離が小さくなるという有利点が得られ、この点も支持要素の傾きやすさを緩和することに寄与する。
【0010】
一の別の実施の形態であって、独自の意味が付与される実施の形態によれば、本発明は搬送装置を規定し、当該搬送装置は特に
無限軌道鋳造機において冷却ブロックを搬送するために設けられており、当該搬送装置は、
無限軌道鋳造機のための無端の循環軌道を形成するガイドレール装置と、複数のローラを備える支持要素とを含み、複数のローラを用いて支持要素はガイドレール装置にガイドされるとともに、ガイドレール装置上を転動する。支持要素に冷却ブロックを取り付けることができる。ガイドレール装置は、第一のガイドレールと、これに対向するとともに平行に設けられた第二のガイドレールの型式で形成されている走行面を有し、ガイドレールは当該ガイドレールの間に無端の循環軌道を形成している。
無限軌道鋳造機の冷却ブロックを取り付けることができる支持要素は、少なくとも三つのローラを有し、当該ローラのうちの2つのローラは第一のガイドレールの走行面に回転接触しており、少なくとも一つの別のローラは、第二のガイドレールの走行面に回転接触している。少なくとも一つのローラはガイドレールから離れるようにプレストレスをかけられており、それにより少なくとも三つのローラと、ガイドレール装置もしくはガイドレール装置のガイドレールとの恒常的な接触が保証されている。
【0011】
本発明の最後に挙げた実施の形態の有利な発展的構成において、第一のガイドレールの走行面に回転接触している二つのローラは、互いに距離をおいて設けられており、第二のガイドレールの走行面に回転接触しているローラは特に、第一のガイドレールの走行面に回転接触している前記の両方のローラの間の中央に設けられている。本発明の最初に挙げた実施の形態に関してすでに述べたように、第二のガイドレールの走行面に回転接触しているローラをこのように他の両方のローラの間の中央に配置することは、支持要素に対して傾動モーメントを低減するという有利点を生じさせ、それにより支持要素に沿うとともにガイドレール装置に沿った、静かな走行を行わせる。このとき、第二のガイドレールの走行面に回転接触しており、したがって他の両方のローラの間の中央に設けられているローラが、第二のガイドレールから離れるようにプレストレスをかけられていることは適切である。これによりその場合、三つの全てのローラがガイドレール装置の対応するガイドレールの走行面に押し付けられ、それは恒常的な回転接触を保証するとともに、ガイドレールと、当該ガイドレールに沿ってガイドレールにガイドされる支持要素との間に生じる可能性があるあそびを防止する。
【0012】
本発明は、支持要素に設けられている上記の少なくとも三つのローラを介して、当該支持要素について、ガイドレールに沿った当該支持要素のガイドもしくは移動に関して傾動モーメントが低減されることが保証されており、ローラの少なくとも一つに対してかけられているプレストレスにより、当該部材からあそびが除去されるという本質的な認識に基づいている。これにより本発明に関して有利に達成される点は、ガイドレールもしくはガイドレール装置の循環軌道に沿って、それぞれガイドレールもしくはガイドレール装置にガイドされた支持要素に取り付けられているとともに、その際、移動式鋳型を形成する、互いに隣接する冷却ブロックの縁部における高低差が、冒頭で述べた従来技術に比べて少なくとも低減されているか、最良の場合には完全に除去されることである。これにより、
無限軌道鋳造機の互いに隣接する冷却ブロック同士の間に形成されてきた縁部の刻印という従来知られている問題に対して、有効に対処することができる。言い換えればこれにより鋳物の表面における縁部の刻印は低減され、最良の場合は回避され、それは鋳造ストリップの品質が著しく向上することを意味する。
【0013】
本発明の有利な発展的構成において、少なくとも一つのローラの上記のプレストレスが、ばね要素を介して形成されることが規定されていてよい。これは、プレストレスが受動素子によって形成される、すなわち、(ガイドレールの第二の走行面に回転接触しているローラが、当該ガイドレールに向かってプレストレスをかけられている実施の形態における)引張ばねによって、あるいは(ガイドレール装置の第二のガイドレールの走行面に回転接触しているローラが、当該ガイドレールから離れるようにプレストレスをかけられている実施の形態における)圧縮ばねの型式で形成されるという有利点を生じさせる。ばねの型式におけるこのような受動素子を用いると、ローラと、単独もしくは複数のガイドレールとの恒常的な回転接触を保証するために、上記のプレストレスを確保するための別個のエネルギーを供給する必要はない。
【0014】
本発明の有利な発展的構成において、上記の少なくとも三つのローラは支持要素において、ガイドレールもしくはガイドレール装置に沿った支持要素の搬送方向において見た場合、それぞれ支持要素の向き合う二つの側方領域に設けられていることが規定されていてよい。これはその場合、支持要素ごとに全体で少なくとも6個のローラが設けられていることを意味し、当該ローラを用いて支持要素はガイドレールもしくはガイドレール装置の走行面に回転接触しているとともに、当該ガイドレールもしくはガイドレール装置に沿ってガイドされる。支持要素の両方の向き合う側方領域にそれぞれ少なくとも三つのローラを設けることは、ガイドレールに沿って支持要素を安定的にガイドし、支持要素に取り付けられた冷却ブロックをその幅にわたって見た場合に安定的にガイドすることを保証する。これは特に、それぞれの支持要素に取り付けられている冷却ブロックもしくはチル鋳型の幅が2mまでの幅に達するか、あるいはこの数値を上回りさえする場合に有利である。
【0015】
本発明による搬送装置は、
無限軌道鋳造機もしくはブロック鋳造機に対して用いるために設けられており、広範な製品範囲を有する多数の合金を鋳造することを可能にする。このとき例えば2メートルより大きい大型鋳造ストリップ幅を、鋳造品質を損なうことなく実現することもできる。
【0016】
以下において本発明の好適な実施の形態を、概略的に簡略化された図面に基づいて、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る搬送装置の支持要素を、支持要素に取り付けられた冷却ブロックに結合された状態で斜視的に見た図
【
図2】
図1の搬送装置のガイドレールと、ガイドレールによって形成される無端の循環軌道を側面から見た図
【
図3】
図2に示す二つのガイドレールであって、当該ガイドレールを用いて
無限軌道鋳造機のための対向式に設けられた二つの無端の循環軌道が形成される二つのガイドレールを側面から見た図
【
図5】
図1の搬送装置が用いられる
無限軌道鋳造機を側面から見た図
【
図7】一の別の実施の形態による本発明に係る搬送装置の支持要素を斜視的に見た図
【
図8】
図7の搬送装置のガイドレール装置を側面から見た図
【
図9】共に
図4に示す
無限軌道鋳造機に対して設けられていてよい
図8に示す二つのガイドレール装置を側面から見た図
【
図11】従来技術によるブロック鋳造機の二つの支持要素の側面図
【
図12】従来技術によるブロック鋳造機の一つの支持要素の側面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下において
図1から
図10を参照しながら、特に
無限軌道鋳造機14における冷却ブロック12の搬送のために役立つ、本発明に係る搬送装置10の好適な実施の形態が説明されている。図面において同一の特徴には、それぞれ同一の参照番号が付されている。図面は簡略化されているだけであって、特に縮尺を有さずに表示されている点をここで特に指摘する。
【0019】
図1から
図4において、本発明に係る搬送装置10の第一の実施の形態が表示され、かつ説明されている。
【0020】
図1に示す側面図によれば、搬送装置10はガイドレール16を含み、ガイドレールは第一の走行面16.1と第二の走行面16.2とを有する。これらの走行面16.1,16.2はガイドレール16の両側に設けられている。搬送装置10はさらに支持要素18を含み、支持要素の上端部19に
無限軌道鋳造機14の冷却ブロック12を例えば急速固定部13を用いて取り付けることができ、急速固定部は
図1において象徴的に暗示されているのみである。
【0021】
支持要素18には、少なくとも三つのローラ20.1,20.2および20.3が回転可能に支承された状態で取り付けられている。これらのローラのうちの二つ、すなわちローラ20.1および20.2は、ガイドレール16の第一の走行面16.1に回転接触している。このときローラ20.1および20.2は距離Aの分だけ、互いに離間して設けられている。別のローラ20.3は、ローラ20.1および20.2の間の中央において、支持要素18に取り付けられており、すなわち当該ローラ20.3がガイドレール16の第二の走行面16.2に回転接触しているように取り付けられている。
【0022】
ローラ20.1,20.2および20.3の回転接触を介して、支持要素18はガイドレール16に沿ってガイドされており、
無限軌道鋳造機14の作動時(
図5参照)に、搬送方向Tにおいてガイドレール16に沿って搬送される。
【0023】
上記において説明されたように、ガイドレール16の第二の走行面16.2に回転接触しているローラ20.3は、ばね要素を介して、本実施の形態では引張ばねZFを介してガイドレール16に向かってプレストレスをかけられる。これによりローラ20.3は、引張ばねZFを介してガイドレール16に向かって引っ張られる。これにより同じやり方でローラ20.1および20.2もそれぞれ、ガイドレール16に向かって引っ張られる。結果としてローラ20.1−20.3とガイドレール16の走行面16.1,16.2との恒常的な回転接触が保証されている。
【0024】
1の表示とは異なって、ばねによるプレストレスをローラ20.1および/またはローラ20.2に対して、あるいはローラ20.1−20.3の全てに対して行うことも可能である。
【0025】
図2はガイドレール16の側面図を示している。明らかなように当該ガイドレール16により、無端の循環軌道Uが形成される。ガイドレール16には複数の支持要素18が、循環軌道Uの直線部分の領域内で、互いに隣接する冷却ブロック12により、閉鎖された面が形成されるようにガイドされている。
図2では表示を簡単にする目的で、二つの支持要素18のみが当該支持要素に取り付けられた冷却ブロック12と共に示されている。
【0026】
図3は、
図2に示す二つのガイドレール16の側面図を示し、当該ガイドレールを用いて、
無限軌道鋳造機14のための対向式に設けられた二つの無端の循環軌道U(
図5参照)が形成される。この点については当然のように、それぞれのガイドレール16に沿って複数の支持要素18が当該支持要素に取り付けられた冷却ブロック12と共に、支持要素18の連続的なチェーンが形成されるようにガイドされており、支持要素は搬送方向Tにおいてガイドレール16に沿って運搬もしくは搬送される。本発明の作用の仕方を明らかにするために、
図3では両方のガイドレール16にそれぞれ二つの支持要素18のみが、当該支持要素に取り付けられた冷却ブロック12と共に示されている。
【0027】
図3は、ガイドレール16の循環軌道Uの直線部分において対面するに至る冷却ブロック12同士の間に、鋳型15が形成されることを明らかにしている。ガイドレール16に沿った支持要素18の搬送方向Tを考慮すると、当該鋳型15は、移動式鋳型である。
【0028】
図4は、
図1の支持要素18の正面図を示す。本図から三つのローラ20.1,20.2および20.3が、それぞれ支持要素18の左の側方領域22および右の側方領域23に回転可能に支承された状態で取り付けられていることが分かる。これらのローラの回転軸線は、それぞれ点線「21」により象徴的に表されている。
【0029】
図4の正面図は、
図1を参照すると左から見たものであることが分かる。
図4ではこれに対応してガイドレール16の上方において、すなわち当該ガイドレールの第一走行面16.1に回転接触した状態で、ローラ20.1のみが認められ、ローラ20.2はその背後に設けられていて
図4においては認められない。
【0030】
図5は、
図1の本発明に係る搬送装置10が用いられる
無限軌道鋳造機14の簡略化された側面図を示す。
無限軌道鋳造機14は上部
無限軌道14.1および下部
無限軌道14.2を有し、上部
無限軌道および下部
無限軌道は、それぞれ複数の支持要素18と、当該支持要素に固定された冷却ブロック12とから形成されており、冷却ブロックは、付属するガイドレール16に沿って搬送方向Tにおいて搬送される。液体金属を移動式鋳型15(
図3参照)に流し込むことにより、鋳物11(
図5参照)が製造される。
【0031】
図6は再度、
無限軌道鋳造機14を簡略化して斜視的に見たものを示している。本図では、上部
無限軌道および下部
無限軌道14.1,14.2の方向転換領域内に、駆動輪26を備える駆動装置24がそれぞれ備えられていることが表示されており、駆動装置を用いて支持要素18および当該支持要素に固定された冷却ブロック12の搬送方向Tにおける搬送が行われる。
【0032】
図7から
図10には本発明に係る搬送装置10の第二の実施の形態が示されるとともに説明されている。
【0033】
図7の側面図によれば、当該実施の形態による搬送装置10はガイドレール装置17を含み、当該ガイドレール装置は、第一のガイドレール17.1と第二のガイドレール17.2を有する。搬送装置10の支持要素18には全部で三つのローラ20.1,20.2および20.3が、支承された状態で取り付けられており、ローラはそれぞれ両方のガイドレール17.1,17.2の間に配置されている。個々には二つのローラ、すなわちローラ20.1および20.2がそれぞれ第一のガイドレール17.2の走行面L1に回転接触しており、第三のローラ、すなわちローラ20.3は第二のガイドレール17.2の走行面L2に回転接触している。適切なことにローラ20.3はばね要素を介して、本実施の形態では圧縮ばねDFを用いて、ガイドレール17.2に向かってプレストレスをかけられている。言い換えればローラ20.3は圧縮ばねDFを用いて、第二のガイドレール17.2に押しつけられる。これにより同じやり方でローラ20.1,20.2は第一のガイドレール17.1の走行面L1に押しつけられる。結果としてこれにより、ガイド要素18をガイドレール装置17に沿って搬送方向Tにおいてあそびを有さずにガイドすることが保証されている。
【0034】
図1の実施の形態の場合と同じように、
図7の実施の形態についても、支持要素18の上端部19に冷却ブロック12を、例えば急速固定部13を用いて取り付けることは可能である。
【0035】
図8はガイドレール装置17の側面図を示し、ガイドレール装置には多数の支持要素18および当該支持要素に取り付けられた冷却ブロック12が、ガイドレール装置17によって形成される循環軌道Uに沿ってガイドされている。
図8では表示を簡単にする目的で、二つのこのような支持要素18のみが当該支持要素に取り付けられた冷却ブロック12と共に示されている。すでに
図2について説明されたのと同じやり方で、ガイドレール装置17によって形成される循環軌道Uの直線部分において、互いに隣接する冷却ブロック12により、閉鎖された表面が形成される。
【0036】
図9は、
図8に示す二つのガイドレール装置17の側面図を示し、当該ガイドレール装置を用いて、
図5の
無限軌道鋳造機14のための対向式に設けられた二つの無端の循環軌道Uが形成される。
図9では簡略化して、両方のガイドレール装置17にそれぞれ二つの支持要素18のみが、当該支持要素に取り付けられた冷却ブロック12と共に示されている。循環軌道Uの直線部分において対面するに至る冷却ブロック12同士の間に、
図3において説明したのと同じやり方で、移動式の鋳型15が形成され、当該鋳型は鋳物11を製造するのに役立つ(
図5参照)。
【0037】
図10は、
図7の支持要素18を正面から見たものを示す。本図から、支持要素18の左の側方領域22および右の側方領域23に、それぞれ三つのローラ20.1,20.2および20.3が回転可能に支承された状態で取り付けられていることが分かる。ローラの回転軸線は、それぞれ点線「21」により象徴的に表されており、すなわち支持要素18の左の側方領域22内でローラ20.1に対して、支持要素18の右の側方領域23内でローラ20.2に対して表されている。
【0038】
図10において表示されているように、
図7を参照すると左の側方領域22は、左から見たものに相当する。このとき画面前景には、第一のガイドレール17.1の走行面L1に回転接触しているローラ20.1が示されている。その背後に、第二のガイドレール20.3の走行面L2に回転接触しているローラ20.3の一部が(すなわちローラ201.の下に)認められる。
【0039】
図10の右の側方領域23におけるローラの表示は、中央のローラ20.2を左から見たものに相当する。その意味で
図10の表示は支持要素18の右の側方領域23において、前景にローラ20.2を示している。その背後に(かつ、
図10の画面においてローラ20.2の上に)、第一のガイドレール17.1の走行面L1に回転接触しているローラ20.3の一部が認められる。
【0040】
図7および
図10における表示と異なり、搬送装置10のこの実施の形態に対しては、中央のローラ20.2が第一のガイドレール17.1の走行面L1に回転接触しており、他の両方のローラ20.1および20.3がそれぞれ第二のガイドレール17.2の走行面L2に回転接触していることが規定されていてもよい。さらにばねによるプレストレスをローラ20.1に対して、および/またはローラ20.3に対して、あるいは三つのローラ20.1−20.3の全てに対して備えることも可能である。
【0041】
図1と
図7に示す搬送装置10の両方の実施の形態は、このときそれぞれの支持要素18に取り付けることができる冷却ブロック12が、一体で
図5の
無限軌道鋳造機の鋳造間隙15の幅B全体にわたって延在する点で共通している。相応に支持要素18はこの点について適合されており、支持要素にはこのような幅Bを備える冷却ブロック(
図4;
図10参照)を、例えば急速固定部13あるいはこのために好適な類似の手段を用いて取り付けることができる。
【0042】
上記において説明された搬送装置10の実施の形態の両方にとって重要なのは、ローラ20.1,20.2および20.3を、支持要素18の左の側方領域22および右の側方領域23にそれぞれ備えることにより、ガイドレール16もしくはガイドレール装置17に沿った支持要素18のガイドが、全体で少なくとも6個のローラを介して実現されることである。特に、冷却ブロック12が大きな幅B(
図4,
図7参照)を有すべき場合に対して、支持要素18の側方領域22,23にローラ20.1,20.2を取り付けることは、単独または複数のガイドレールに沿った静かな走行挙動に対してポジティブな作用を及ぼす。少なくともローラ20.3にかけられている上記のプレストレスもこの点に寄与し、それにより当該ローラはガイドレール16に向かって引っ張られるか(
図1参照)、もしくは第二のガイドレール17.2に押しつけられる(
図7参照)。
【0043】
冷却装置は図面に表示されていないが、冷却装置を用いて冷却ブロック12は
無限軌道鋳造機14の作動中に集中的に冷却することができる。
【符号の説明】
【0044】
10 搬送装置
11 鋳物
12 冷却ブロック
13 急速固定部
14
無限軌道鋳造機
14.1 上部
無限軌道
14.2 下部
無限軌道
15 鋳型
16 ガイドレール
16.1 (ガイドレール16の)第一の走行面
16.2 (ガイドレール16の)第二の走行面
17 ガイドレール装置
17.1 (ガイドレール装置17の)第一のガイドレール
17.2 (ガイドレール装置17の)第二のガイドレール
18 支持要素
19 (支持要素18の)上端部
20.1−20.3 ローラ
21 (ローラ20.1,20.2および20.3)の軸線
22,23 (支持要素18の)側方領域
24 駆動装置
26 (駆動装置24の)駆動輪
A ローラ20.1および20.2の距離
B (冷却ブロック12の)幅
DF 圧縮ばね
L (ガイドレール装置17の)走行面
L1 (第一のガイドレール17.1の)走行面
L2 (第二のガイドレール17.2の)走行面
T (ガイドレール16もしくはガイドレール装置17に沿った支持要素18の)搬送方向
U (ガイドレール16もしくはガイドレール装置17の)循環軌道
ZF 引張ばね