(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6867526
(24)【登録日】2021年4月12日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】飲料カップ自動振り装置
(51)【国際特許分類】
A47J 43/042 20060101AFI20210419BHJP
A47J 31/44 20060101ALI20210419BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
A47J43/042
A47J31/44 100
B25J13/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-38570(P2020-38570)
(22)【出願日】2020年3月6日
(65)【公開番号】特開2020-146460(P2020-146460A)
(43)【公開日】2020年9月17日
【審査請求日】2020年3月9日
(31)【優先権主張番号】108108300
(32)【優先日】2019年3月12日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】520079289
【氏名又は名称】兆強科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】潘佳憶
【審査官】
西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2007/080733(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/042184(WO,A1)
【文献】
米国特許第02082593(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0106422(US,A1)
【文献】
特開2008−030056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 42/00−44/02
A47J 31/00−31/60
B25J 1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアーム及びカバーを備えた、飲料カップ自動振り装置であって、
前記ロボットアームは、複数の可動アームと、前記可動アームを互いに枢着する複数の関節と、を有し、前記可動アームの終端部には、対称に設けられた1対のクランプ部材と、クランプコントローラと、が設けられ、前記クランプコントローラは、前記クランプ部材の挟持及びリリースの動作を制御し、前記クランプ部材は、上方の第1のクランプ部と下方の第2のクランプ部とを有し、前記可動アーム、前記関節及び前記クランプコントローラは、ホストコンピュータとそれぞれ電気的に接続され、
前記カバーは、外側に形成された錐面と、底面に形成された内孔と、を有し、前記内孔の底面には、破裂防止孔が形成され、
前記内孔は、カップのカップ縁に外嵌され、前記カップ縁のシール上を密封し、
前記クランプ部材は、前記カバー及び前記カップを一緒に挟持し、
前記第1のクランプ部は、前記錐面上を挟持し、
前記第2のクランプ部は、前記ロボットアームが前記カップを振る動作をし易いように、前記カップ縁の下方内側を挟持し、
前記カップを振る動作を行う際、前記内孔の底面により前記カップ縁及び前記シールを押圧し、前記破裂防止孔の空間により圧力を低減させ、前記カップを振る過程で、前記カップ縁と前記シールとの接合位置の圧力が大きすぎて前記カップが破裂することを防ぐことを特徴とする、
飲料カップ自動振り装置。
【請求項2】
前記錐面は、上から下方向へ広く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の飲料カップ自動振り装置。
【請求項3】
前記カバーの外側には、環状溝が形成され、前記環状溝は、前記錐面の下方に位置することを特徴とする請求項1に記載の飲料カップ自動振り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料カップ自動振り装置に関し、特に、自動化された機械設備により飲料カップを自動的に振る飲料カップ自動振り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
お茶を飲む習慣はアジア各国で長い歴史を有し、お茶はアジア各国の生活の中で必要不可欠な飲み物となっている。時代の変化及び科学技術の進歩に伴い、現代人の生活はペースが早く忙しくなっており、多くの人にとって時間をかけてゆっくりとお茶を作って飲む余裕は無くなってきている。これに伴いタピオカティーなどの片手ドリンクを販売する早くて便利なドリンクスタンドが現れている。
【0003】
ドリンクスタンドは、早くて便利で選択が豊富な長所を有するため、市場のニーズが大きく、それに伴って人手も必要であった。そのため、大部分のお茶はコストが安かったが、ドリンクスタンドの運営費の計算は、スタッフの雇用に関して注意深く行わなければならなかった。また、従来、ドリンクを振る作業はスタッフが手作業で行っていたため、品質が不安定となる虞もあった。
【0004】
そのため、手作業で行う代わりにロボットアームを用い、自動化された機械設備により飲料カップを自動的に振ることにより、人が手作業で行う必要性を無くして運営費を減らすことができる、飲料カップ自動振り装置が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、自動化された機械設備により飲料カップを自動的に振る飲料カップ自動振り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、ロボットアーム及びカバーを備えた、飲料カップ自動振り装置であって、前記ロボットアームは、複数の可動アームと、前記可動アームを互いに枢着する複数の関節と、を有し、前記可動アームの終端部には、対称に設けられた1対のクランプ部材と、クランプコントローラと、が設けられ、前記クランプコントローラは、前記クランプ部材の挟持及びリリースの動作を制御し、前記クランプ部材は、上方の第1のクランプ部と下方の第2のクランプ部とを有し、前記可動アーム、前記関節及び前記クランプコントローラは、ホストコンピュータとそれぞれ電気的に接続され、前記カバーは、外側に形成された錐面と、底面に形成された内孔と、を有し、前記内孔の底面には、破裂防止孔が形成され、前記内孔は、カップのカップ縁に外嵌され、前記カップ縁のシール上を密封し、前記クランプ部材は、前記カバー及び前記カップを一緒に挟持し、前記第1のクランプ部は、前記錐面上を挟持し、前記第2のクランプ部は、前記ロボットアームが前記カップを振る動作をし易いように、前記カップ縁の下方内側を挟持し、前記カップを振る動作を行う際、前記内孔の底面により前記カップ縁及び前記シールを押圧し、前記破裂防止孔の空間により圧力を低減させ、前記カップを振る過程で、前記カップ縁と前記シールとの接合位置の圧力が大きすぎて前記カップが破裂することを防ぐことを特徴とする、飲料カップ自動振り装置が提供される。
【0007】
前記錐面は、上から下方向へ広く形成されていることが好ましい。
【0008】
前記カバーの外側には、環状溝が形成され、前記環状溝は、前記錐面の下方に位置することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る飲料カップ自動振り装置の全体構造を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る飲料カップ自動振り装置のクランプ部材を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る飲料カップ自動振り装置がカバーを閉じる状態を示す正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る飲料カップ自動振り装置のカップのカバーを閉じる状態の断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る飲料カップ自動振り装置が挟持固定するときの状態の全体構造を示す斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る飲料カップ自動振り装置が挟持固定するときの状態の断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る飲料カップ自動振り装置が自動的に振る動作を行うときの状態の正面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る飲料カップ自動振り装置のもう一つのクランプ部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の他の技術内容、特徴及び効果について、以下、図面を参照しながら好適な実施形態の詳細な説明で明らかにする。
【0011】
本発明の一実施形態に係る飲料カップ自動振り装置は、以下(1)〜(4)の工程を行う。
(1)シール工程:飲料カップの中で飲み物を作り、シーラーでシールする。
(2)カバーを閉じる工程:錐面が上部に設けられたカバーでカップのシール上を覆う。
(3)挟持固定工程:ロボットアームは、カバーの錐面上及びカップのカップ縁下をクランプにより挟持し、クランプによりカバー及びカップを一緒に挟み込む。
(4)自動振り工程:ロボットアームによりカバー及びカップを振るか回転させてカップの中で作った飲み物を均一に混ぜ、まるで人の手で行うように振り動作又は回転動作をロボットアームにより行う。
【0012】
図1及び
図2を参照する。
図1及び
図2に示すように、本発明の一実施形態に係る飲料カップ自動振り装置は、少なくともロボットアーム1及びカバー2から構成されてなる。
【0013】
ロボットアーム1は、複数の可動アーム11と、各可動アーム11を互いに枢着する複数の関節12と、を有する。可動アーム11の終端部には、対称に設けられた1対のクランプ部材13と、クランプコントローラ14と、が設けられる。
クランプコントローラ14は、クランプ部材13の挟持及びリリースの動作を制御する。クランプ部材13は、上方の第1のクランプ部131と下方の第2のクランプ部132とを有し、各可動アーム11、各関節12及びクランプコントローラ14は、ホストコンピュータ15とそれぞれ電気的に接続される。ホストコンピュータ15は、各可動アーム11ならびに各関節12の方向及び角度と、クランプコントローラ14の駆動を制御する。
【0014】
カバー2の外側には、上から下方向へ広くなった錐面21と、環状溝22とが形成され、錐面21は環状溝22の上方に位置し、カバー2の底面には内孔23が形成される。内孔23の底面には、破裂防止孔24が形成される。
【0015】
内孔23は、カップ3のカップ縁31に外嵌され、カップ縁31のシール32上を密封する。各クランプ部材13は、カバー2及びカップ3を一緒に挟持する。第1のクランプ部131は、錐面21上を挟持する。第2のクランプ部132は、ロボットアーム1がカップ3を振る動作をし易いように、カップ縁31の下方内側を挟持する。
カップ3を振る動作を行う際、内孔23の底面によりカップ縁31及びシール32を押圧することで、破裂防止孔24の空間により圧力が低減し、カップを振る過程で、カップ縁31とシール32との接合位置の圧力が大きすぎてカップ3が破裂してしまうことを防ぐ。
【0016】
本発明の一実施形態に係る飲料カップ自動振り装置は、飲料カップに対してまるで手で振るような動作を自動的に行う。その各動作について以下説明する。
図1に示すように、まず、カップ3の中で飲み物を作った後、ロボットアーム1又は手作業によりシーラー4へ搬送してシール工程を行う。
図3及び
図4に示すように、続いて、ロボットアーム1又は手作業によりカップ3のシール上をカバー2で覆い、カップ縁31を内孔23中に挿入する。本実施形態では、ロボットアーム1が各クランプ部材13により環状溝22を掴み、カバー2を掴み取る動作を行う。
図5及び
図6に示すように、その後、ロボットアーム1は、各クランプ部材13の第1のクランプ部131及び第2のクランプ部132が錐面21上を内方に挟持し、カップ縁31の下方を挟持する。各クランプ部材13は、カバー2及びカップ3を一緒にクランプし、
図7に示すように、ロボットアーム1により各クランプ部材13を揺動させるか回転させ、自動的に振る動作を行う。
【0017】
本発明の一実施形態に係る飲料カップ自動振り装置は、クランプ部材13の第1のクランプ部131と第2のクランプ部132とが、
図2に示すように、互いに分離した2つの独立した部材でもよいし、
図8に示すように、一体成形された部材でもよい。
【0018】
本発明の飲料カップ自動振り装置は、従来技術と比べて以下(1)〜(3)の長所を有する。
(1)カップを自動的に振る前に、予めカバーで覆い、カバー底部の凹孔によりカップ縁を完全に覆うことができるため、クランプ部材により固定し、ロボットアームでカップを振る際、カップのシールが完全に密着されずに漏れ出ることを防ぎ、操作性能を高めることができる。
(2)カバー上に錐面が形成されているため、クランプ部材がカバーを落としてしまうことを防ぎ、カバー及びカップの両側に移動して挟持固定することが容易である。さらに、クランプ部材が内方に挟持する動作を行う際、上から下方向へ広く形成されている錐面により、カップのカップ縁にカバーが下向きに密着されるため、カップにカバーを密着させることができる。
(3)カバー上に形成された凹孔により、カップ縁を覆うことにより、漏れ出てしまうことを防ぐことができる上、カバー及びカップの両側に移動する際、触れるか当たってカバーの位置がずれてしまうことを防ぐこともできる。
【0019】
当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0020】
1 ロボットアーム
2 カバー
3 カップ
4 シーラー
11 可動アーム
12 関節
13 クランプ部材
14 クランプコントローラ
15 ホストコンピュータ
21 錐面
22 環状溝
23 内孔
24 破裂防止孔
31 カップ縁
32 シール
131 第1のクランプ部
132 第2のクランプ部