(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、白色光源の開発は難易度が高く、また特殊光源においても同様である。なぜなら、白色光源でも特殊光源でも、ランバード配光を射出するLED(Light Emitting Diode)を使用して従来の光源に匹敵する明るさを得ることが難しいからである。さらに、二つの異なる光を1本のライトガイドに効率よく導光させることが難しい等の問題もある。また、近年、光線力学的診断および蛍光造影法などの癌を可視化し、ナビゲーションする術式が先端治療において幅広く普及しつつあり、これらの問題の克服が求められている。
【0007】
そのような状況下、本発明者らは鋭意努力の結果、医療用、工業用の光源装置として十分有用で、かつシンプルな構造の光源の開発を成功するに至った。
【0008】
すなわち、本技術は、
放射光を射出する光源と、
一対のフ
レネルレンズを有しそれらの凹凸面が対面するように配置された、前記放射光を集光する集光部と、
前記集光を導光するライトガイドと、
を含む光源装置を提供する。
前記一対のフ
レネルレンズの凹凸面は接していてもよい。
前記ライトガイドの先端は、前記集光の略焦点の位置に配置されていてもよい。
また、前記光源はLEDであってもよい。
【0009】
また、本技術は、
第一の放射光を射出する第一の光源と、
第一の一対のフ
レネルレンズを有しそれらの凹凸面が対面するように配置された、前記第一の放射光を集光する第一の集光部と、
前記第一の放射光と波長の異なる第二の放射光を射出する第二の光源と、
第二の一対のフ
レネルレンズを有しそれらの凹凸面が対面するように配置された、前記第二の放射光を集光する第二の集光部と、
前記第一の集光部からの
第一の集光と前記第二の集光部からの
第二の集光を分割するビームスプリッターと、
前記分割された光を導光するライトガイドと、
を含み、
前記第一の集光と前記第二の集光が、前記ビームスプリッターに反射及び/又は透過して同一方向となった光の略焦点にライトガイドの先端が位置する、
光源装置システムを提供する。
また、前記第一
の光源は白色光光源であり、前記第二
の光源は波長375nmから810nmの励起光光源であることが、本技術の一例として挙げられる。
【0010】
さらに本技術は、
第一の放射光を射出する第一の光源と、
第一の一対のフ
レネルレンズを有しそれらの凹凸面が対面するように配置された、前記第一の放射光を集光する第一の集光部と、
前記第一の放射光と異なる波長の第二の放射光を射出する第二の光源と、
第二の一対のフ
レネルレンズを有しそれらの凹凸面が対面するように配置された、前記第二の放射光を集光する第二の集光部と、
前記第一および第二の放射光と異なる
波長の第三の放射光を射出する第三の光源と、
第三の一対のフ
レネルレンズを有しそれらの凹凸面が対面するように配置された、前記第三の放射光を集光する第三の集光部と、
前記第一の集光部からの
第一の集光と前記第二の集光部からの
第二の集光と前記第三の集光部からの
第三の集光を分割するビームスプリッターと、
前記分割された光を導光するライトガイドと、
を含み、
前記第一の集光と前記第二の集光と前記第三の集光のうち、少なくとも2つの集光が、前記ビームスプリッターに反射及び/又は透過して同一方向となった光の略焦点にライトガイドの先端が位置する、
光源装置システムを提供する。
また、前記第一の光源は白色光光源であり、前記第二の光源は波長375nmから445nmの励起光光源であり、前記第三の光源は波長750nmから810nmの励起光光源であることが、本技術の一例として挙げられる。
【0011】
また、本技術は、ビデオスコープと、カラーモニターと、前記光源装置システムとを含む、医療用カメラを提供する。
【0012】
さらに、前記医療用カメラに含まれる第二の光源から、波長375nmから445nmの波長の励起光を被検体に蓄積されたプロトポルフィリンに照射し、前記被検体の観察時に波長450nm未満の光を照射しないことを含む、前記被検体におけるプロトポルフィリン蓄積部の画像鮮明化方法も提供できる。
【0013】
さらに、前記医療用カメラに含まれる第三の光源から、波長750nmから810nmの励起光を被検体に蓄積されたインドシアニングリーンに照射して得られた
第一の画像と、
前記医療用カメラの第一の光源から白色光を照射して得られた
第二の画像を重畳することを含む、前記被検体におけるインドシアニングリーン蓄積部の画像鮮明化方法も提供できる。
【0014】
また、本技術は、疾患組織に集積させた光増感物質に励起光を照射し、光増感物質から生じる蛍光を検出する光線力学的診断用装置であって、
前記光線力学的診断用装置は、
放射光を射出する光源と、
一対のフ
レネルレンズを有しそれらの凹凸面が対面するように配置された、前記放射光を集光する集光部と、
前記集光を導光するライトガイドと、
を含む、光線力学的診断用装置を提供する。
【0015】
さらに、本技術は、疾患組織に集積させた光増感物質に励起光を照射し、前記疾患を治療する光線力学的治療用装置であって、
前記光線力学的治療用装置は、
放射光を射出する光源と、
一対のフ
レネルレンズを有しそれらの凹凸面が対面するように配置された、前記放射光を集光する集光部と、
前記集光を導光するライトガイドと、
を含む、光線力学的治療用装置をも提供する。
【発明の効果】
【0016】
本技術によれば、1つまたは複数の放射光を1本のライトガイドに導光できる。特に、指向特性を持ったLED光のライトガイドへの導光に有用である。本技術は、医療用光源装置、工業用光源装置などに応用でき、例えば内視鏡の光源装置として適用したときに鮮明な画像を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態を示したものであり、本技術の範囲がこれらの実施形態に限定されることはない。
【0019】
<1.光源装置>
以下、
図1及び
図2を用いて、本技術の一実施形態に係る光源装置を説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る光源装置1は、放射光を射出する光源11と、当該光源11から射出された光が入射する集光部12と、前記集光部12から射出された集光が導光されるライトガイド13と、を含む。なお、
図1に図示される矢点線は光路を示すものである。
【0020】
(光源)
前記光源11は、特に限定されず、従来のキセノンランプ等でもよいが、本技術では様々なスペクトル分布特性を有する光源が揃えられるLEDが好ましい。LED11には、種々の形状や指向特性を有するものがあるが、本技術に含まれるLEDは特に限定されない。しかし、LED光をライトガイドに導光し、医療用等の電源として使用する目的があるため、例えば、LEDはテーパーロッド型で、30度から90度の指向特性を持ち、放射部分のサイズが直径5mmのものを使用することが好ましく、例えば、色温度4000度ケルビンから7000度ケルビンの白色LEDや、ピーク波長約406nm付近の青色LEDを用いることができる。
【0021】
ここで、従来の光源装置において光源としてLEDを用いる場合、通常、LED光はランバード配光であるため、その光を集光するには複数枚のレンズを設計する。このとき、それぞれのLEDのチップサイズに合わせてレンズを専用設計することが必要になり、硝子材質の凹レンズと凸レンズ、又は非球面レンズを組み合わせるなどの設計が行われていた。しかし、このような方法はコストが高くなる。
【0022】
(集光部)
前記集光部12は、一対のフ
レネルレンズ12a,12bを有する。各フ
レネルレンズ12a,12bは断面鋸波型に形成され、少なくとも二つの傾斜の異なる面からなるプリズムが複数個、階段状に形成されている。換言すれば、各フ
レネルレンズ12a,12bは、各プリズムが形成された凹凸面を有し、一対の傾斜面からなる溝は同心円状に配される。前記光源11から射出された指向特性をもった光が各プリズムの傾斜面に入射すると、平行光に変換される。
図2に示すように、本技術に係る集光部12では、各フ
レネルレンズ12a,12bの凹凸面同士が対面するように、一対のフ
レネルレンズ12a,12bが配置されている。
【0023】
各フ
レネルレンズ12a,12bのサイズは、特に限定されないが、LEDから射出される放射光の角度及び焦点距離に合わせて決定する。すなわち、放射光をカバーできるサイズのフ
レネルレンズを準備すればよい。また、各フ
レネルレンズ12a,12bの素材は、樹脂素材、硝子素材などが挙げられ、特に限定されない。樹脂素材、硝子素材いずれも光の特性に合わせた素材を選定することが好ましい。この選定は、当業者に周知の技術であり、それに従って容易にできる。
【0024】
上記のように構成された本技術に係る光源装置では、
図2に示すように、前記光源としてのLED(直径5mm)からフ
レネルレンズ12aに放射光を射出されると、いったん当該フ
レネルレンズ12aで平行光に変換される。そして、フ
レネルレンズ12aを通過した平行光はフ
レネルレンズ12bに入射され、当該フ
レネルレンズ12bを透過すると、その光が、前記LEDからの放射光と同じ(直径5mm)またはそれ以下のサイズに集光できる。なお、
図2では、光路を理解しやすくするため、LED11から射出され、各フ
レネルレンズ12a,12bを通過する光を直線で示している。
【0025】
また、
図2では、フ
レネルレンズ12aとフレネルレンズ12bが離れた状態で図示されているが、2枚のフ
レネルレンズ12a,12b間の距離は特に限定されない。近くすれば、光源の筐体を小さくでき、あるいは筐体中のスペースを広くできるので好ましい。最も好ましくは、
図1に示されるように、一対のフ
レネルレンズの凹凸面(一連の同心円状の溝がある面)が接着している態様である。
【0026】
一方、フ
レネルレンズ12aとLED11との距離は、フ
レネルレンズのf値、つまり焦点距離を変えたフ
レネルレンズを設計することにより、その距離を決めればよい。この距離は、LEDの放射光を射出する1枚目のフ
レネルレンズ12a側が決まれば、いったん平行光にした光を集光する2枚目のフ
レネルレンズ12b側の焦点も同じ距離になる。なお、f値を変えたフ
レネルレンズは、当業者に周知の技術により設計することができる。
【0027】
(ライトガイド)
本技術に係る光源装置1は、前記集光部12から射出された集光が導光されるライトガイド13を含む。前記ライトガイド13としては、特に限定されないが、例えば、複数の光ファイバ(コア)が結束されたバンドルファイバや、コアが液体である液体ライトガイドなどを用いることができるが、複数の光ファイバが結束されたバンドルファイバを用いることが好ましい。
本技術に係る光源装置1において、
図1に示すように、ライトガイド13の先端は、前記集光部12にて集光された光の焦点と略合致した位置に配置されている。このため、前記集光部12を通過した光は、前記ライトガイド13へと導光される。本技術に係る光源装置1において、前記ライトガイドの先端が焦点ちょうどに配置されていることが好ましい。
【0028】
本技術に係る光源装置1は、前記光源11の冷却を行うヒートシンク(図示せず)を備えていてもよい。このヒートシンクとしては特に限定されず、適切なものを用いてよい。また、前記ヒートシンクを備える場合には、当該ヒートシンクに風を送出する冷却ファンを備えていてもよい。当該冷却ファンとしては特に限定されず、適切なものを用いてよい。前記冷却ファンを用いる場合、例えば、当該冷却ファンからの風の流れを利用して、冷却風を排気口からより効率的に引き出すための設計等も可能である。
【0029】
<2.二つの異なる光がライトガイドに導光される光源装置システム>
以下、
図3〜
図5を用いて、本技術に係る光源装置システムについて説明する。
前記光源装置システムは、二つの異なる光がライトガイドに導光される点が第一実施形態に係る光源装置1と異なる。以下、第一実施形態に係る光源装置1との相違点についてのみ説明する。
【0030】
図3に示すように、本技術に係る光源装置システム101は、二つの光源110a,110bと、二つの集光部120a,120bと、各集光部120a,120bを通過した光を分割するビームスプリッター140と、各光源110a,110bから射出された光が導光するライトガイド130と、を備える。
【0031】
(光源)
光源装置システム101において、光源110aは白色LEDであって、例えば色温度4000度ケルビンから7000度ケルビンのものを使用できるが、特に限定されない。一方、前記光源110bは青色LEDであって、例えば、ピーク波長約406nm付近のものを使用できるが、特に限定されない。これらのLEDは、使用目的に応じて適宜変更すればよい。
本実施形態に係る光源装置システム101において、前記光源110bには、市販で入手可能な、指向特性74度、ピーク波長405nmのテーパーロッド型LED(Innovations in Optics社)を用いることができる。
白色光源110a及び青色光源110bから射出された光は、各集光部120a,120bで集光される。ここで、各集光部120a,120bの構成は、第一実施形態に係る光源装置1の集光部12と同一の構成であるため、その説明を省略する。
【0032】
(ビームスプリッター)
各集光部120a,120bにて集光された光は、ビームスプリッター140で分光される。ビームスプリッター140として、例えばハーフミラー、プリズム型ビームスプリッターが挙げられるが、特に限定されない。通常のハーフミラーは、ハーフミラーに入射する光を直線的に通過させる光と90度反射させる光に分離する機能を有するため、光のパワーが減少する。
【0033】
この光のパワーの減少により、ライトガイド130に導光する光源として弱いときは、必要に応じて所望の波長の光の通過特性が90%以上の効率のビームスプリッターを調製することができる。例えば、可視光線カット剤(VIS吸収剤)、紫外線カット剤(UV吸収剤)、赤外線カット剤(IRカット剤)が市販されているので、成形済みのビームスプリッターにこれらカット剤をコーティングしたり、樹脂にカット剤を練りこんでカスタムビームスプリッターを成形したりすることができる。レンズの波長光の通過特性は公知の方法で調製する。
【0034】
本態様では、
図4の波長特性を持つUVカットハーフミラーと、
図5の波長特性を示すVISカットハーフミラーを誘導体多層膜蒸着、インコーネル蒸着や真空蒸着等の当事者に広く理解された公知のコーティング技術により、作製した。
【0035】
前記UVカットハーフミラーを用いた場合、白色光源110aおよび青色光源110bからの約410nm以下の光はほぼカットされる。よって、白色光源110aおよび青色光源110bからの約410nm
以上の光がライトガイド130に導光される。
すなわち、本実施形態に係る光源装置システム101では、白色光源110aからの白色光、及び青色光源110bからの青色光を単一のライトガイド130に導光させることができる。ここで、前記ライトガイド130の構成は、第一実施形態に係る光源装置1のライトガイド13と同一の構成であるため、その説明を省略する。
【0036】
また、本実施形態に係る光源装置システム101において、前記ビームスプリッター140は可動にすることができる構成であってもよい。すなわち、当該ビームスプリッター140を使用しないときは放射光に当たらない位置に移動させ、白色光源110aの放射光のみ、あるいは青色光源110bの放射光のみ分割したい場合はそのような位置に移動させることができる。
【0037】
さらに、本実施形態に係る光源装置システム101において、光軸調整等が必要なため、各光源の位置、フ
レネルレンズの位置、ビームスプリッターの位置、ライトガイドの位置のそれぞれが単体で調整可能な構造に設計してもよい。
【0038】
<3.光源装置システムの利用(光線力学的診断用装置及び光線力学的治療用装置)>
以上に述べた本技術に係る光源装置及び光源装置システムは、例えば、5−アミノレブリン酸(5−ALA)、インドシアニングリーン(ICG)、タラポルフィンナトリウム(レザフィリン(登録商標))などの光増感物質を用いた光線力学診断・治療(PDD/PDT)、光学造影法に利用され得る。
すなわち、本技術に係る光源装置及び光源装置システムは、疾患組織に集積させた光増感物質に励起光を照射し、光増感物質から生じる蛍光を検出する光線力学的診断用装置や、疾患組織に集積させた光増感物質に励起光を照射し、前記疾患を治療する光線力学的治療用装置として利用できる。
これらの光線力学的診断用装置及び光線力学的治療用装置に用いられる光増感物質はそれぞれ以下の特徴をもっている。
【0039】
5−ALAは、5−アミノレブリン酸もしくはそのメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステルから選ばれるエステル類、またはそれらの薬剤学的に許容される塩が挙げられる。これらを溶解液として被検体に内服投与すると、体内の正常な細胞ではヘムに代謝されるが、癌細胞ではヘムに代謝されずにその中間物質であるプロトポルフィリン(PpIX)として過剰に蓄積する。PpIXは光活性を有し、375nmから445nm、ピーク波長約406nmの青色光で励起すると赤色蛍光(600nmから740nm)を発する。そのため、癌細胞と正常細胞の判別が容易になり、より正確に癌を切除できる。5−ALAは粘膜の表面層のみに存在する癌に対して有効であると言われている。例えば、膀胱癌、前立腺癌、脳腫瘍が挙げられる。また、5−ALAはその代謝が24時間と早いことから、光線過敏症などの副作用が極めて少ないので、PDDやPDTに適している。
【0040】
ICGは、例えばICG蛍光造影法に用いることができる。ICG蛍光造影法は、血中のa1リプロティンと結合することで発する近赤外線を、医療用内視鏡によってとらえ、血管や癌をはじめとする生体内素子区を観察する手法である。ICG蛍光造影法は副作用が極めて少なく、低侵襲で簡便であることから、近年さまざまな領域で応用され、その有効性が報告されている(島根大学医学部付属病院泌尿器科ホームページより)。例えば、本技術の光源装置システムにおいて、第一の光源は可視光(例えば400nmから800nm程度)にして観察し、第二の光源は750nmから810nm、ピーク波長805nmの励起光を照射できるようにすると、癌は835nmの光を発光する。ICGの場合、粘膜の表面層から20mm程度の深いところまで観察可能と言われる。そのため、例えば、乳癌、肝臓癌、血流評価に用いられる。
【0041】
レザフィリン(登録商標)は光線力学的療法用剤で、早期肺癌、原発性悪性脳腫瘍または局所遺残再発食道癌患者に静脈内注射し、一定時間後に波長664nm±2nmのレーザ光を患部に照射して治療する剤である。
【0042】
前述のような5−ALA、ICG、レザフィリン等の光増感物質の使用に適切な波長が選択された第一の光源と第二の光源を有し、適切なカスタムビームスプリッターを有する光源装置システムを医療カメラ、例えば内視鏡に用いれば、術者に見やすい画像データを得ることができる。
【0043】
なお、前記第一の光源が白色光光源であり、前記第二の光源または後述の第三の光源が波長375nmから810nmの励起光光源であれば、本技術は、現在市販されているPDD/PDT、光学造影法に用いる光増感物質にはおおよそ対応できると考えられる。
【0044】
<4.三つの異なる光がライトガイドに導光される光源装置システム>
図3に示す実施形態に係る光源装置システムの変形例として、
図3のライトガイド130とビームスプリッター140の筐体を中心にして、左側に第一の光源110aと集光部120bに相対するように右側に第三の光源と集光部を配置すればよい。すなわち、
図1及び
図2に示す本技術に係る光源装置の構造を一単位として、三つの構造を備えた光源装置システムを構築してもよい。第三の光源の波長やビームスプリッターは適切なものを用いればよい。ビームスプリッターは、第一、第二、第三の光源用のそれぞれに対して用意して可動にしてもよいし、プリズム型ビームスプリッターでもよい。第一、第二、第三の光源からの放射光がビームスプリッターを透過した光の略焦点、好ましくは焦点にライトガイドの先端が位置して導光される構成であってもよい。なお、本変形例は、
図1及び図
2に示す本技術に係る光源装置の構造を一単位として、三つの構造を備えた構成であるが、その数は限定されず、対象に照射する光の数に応じて増減してもよい。
【0045】
<5.医療用カメラ>
本技術の医療用カメラは、例えば、ビデオスコープと、カラーモニターと、前述の光源装置システムとを含む。ビデオスコープは、硬性鏡、軟性鏡の内視鏡のいずれでもよい。ビデオスコープには操作部があり、光源の切り替えやビームスプリッターの移動など、光源装置システムを操作できるようにしてもよい。また、ビデオスコープ、カラーモニターのほかに、画像記録装置や種々のプログラミングが組み込まれたコンピュータ等が組み合わされてもよい。
【0046】
<6.被検体におけるプロトポルフィリン蓄積部の画像鮮明化方法>
前述のごとく、本技術に係る光源装置システムは、光線力学的診断用装置または光線力学的治療用装置として適用可能である。前記光増感物質として前記5−ALAを用いる場合、第一の光源は、例えば白色光光源(例えば430nmから600nm)のLED、第二の光源は例えば406nmの波長のものにすることができる。
【0047】
通常の医療用の硬性鏡用カメラにはIRカットフィルターが実装されている。一方、PpIXの赤色の蛍光発光は波長約630nmと約700nmの2か所で生じ、癌細胞を可視化する。したがって、PpIXの蛍光と近い波長の光をカットするIRカットフィルターがあるとPpIXの赤色発光が一部カットされてしまい、見えづらくなる。そのため、IRカットフィルターをカメラから外すか、約750nm付近で近赤外線をカットするフィルターに変更する必要がある。
【0048】
PpIXの赤色発光をカメラで捉える場合には、第二の光源から照射する約406nm(375nmから445nm)の青色光をカットする必要がある。例えば、445nm以下又は450nm以下の波長の青色光をカットするUVカットフィルターの設置が考えられる。UVカットフィルターを設置しない場合、PpIXを赤色発光させるために約406nmの青色光をそのまま照射することになるが、人間の目は青色に関する感度が低いという性質を持っているため、青色光が人間の視認に影響を与えることがある。さらに、UVカットフィルターをカメラ側に実装すると、PpIXの赤色発光は視認できるが、その他の部分(癌細胞の周辺や周り)が見えにくいという現象が発生する。そのため、第二の光源から照射する406nmの光に第一の光源の白色光を若干ミックスすることにより、手術者がアプローチしやすい環境が提供できる。白色光のミックスなどは、術者が持っているビデオスコープの操作部のメモリなどで調節できるようにしておくとよい。
【0049】
LEDには、ハイパワー(20W〜100W)LEDを用いることが好ましく、低電圧(3〜4V)高電流(10A〜30A程度)のものを使用することができる。しかし、LEDがCW(DC電圧での連続動作)の場合には、駆動最低電流が200mA程度から点灯する。200mAで点灯させた場合には、青色の照射光に対して可視光の光が強く、青色が相殺されてPpIXの赤色発光が見えなくなる。
【0050】
この問題を解決する手段として、LED駆動をPWM(Plus width modulation(パルス幅変調))制御させる。LEDをパルス制御するメリットは、LEDの発熱を抑えるのが目的であるが、ある周波数においてデューティー50%(ON時間50%/OFF時間50%)で制御した場合には、光の強度はCW制御と比較すると50%の光の強度しか得られない。そこで本技術では、PWM制御において制御パルスの周波数を、例えば30Hz〜1MHzとし、光量調整はそれぞれの周波数に対してON時間のデューティーを1%〜99%の間で制御することにより、光量調整が可能となる。
【0051】
約406nmの光の照射に対して白色(可視光)をミックスする場合、前述した周波数で白色のLEDの光量調整が可能になる。術者の希望に合う青色に対して微弱な白色をミックスして、PpIXの赤色発光が損なわれない程度に白色を細かく調整し、それぞれの術者に合わせた白色をミックスすることが可能となる。
【0052】
このようなPWM制御により、PpIXの赤色発光を落とさず、癌細胞の周辺の視認性が高くなり、より安全に手術がすることが可能となる。
【0053】
<7.被検体におけるインドシアニングリーン蓄積部の画像鮮明化方法>
前述のごとく、本技術に係る光源装置システムは、光線力学的診断用装置または光線力学的治療用装置として適用可能である。前記光増感物質として前記インドシアニングリーン(ICG)を用いる場合、第一の光源は、例えば可視光のLED、第二の光源は例えば780nmの波長のLEDにすることができる。ICGが蓄積した癌部位は780nmの励起光を照射することにより、約820nmの光を発光する。
前述のように、通常の医療用の硬性鏡用カメラにはIRカットフィルターが実装されている。ICGの励起光(750nmから810nm)及び蛍光発光が835nmのため、IRカットフィルターは未実装でよい。
【0054】
ICG用カメラの場合には、近赤外線の蛍光発光をカメラで捉えるために、白黒のセンサが必要になる。例えば、現在、硬性鏡用4Kカメラシステムの場合、3つのCMOSセンサを使用するが、さらにIR専用のセンサを実装し、可視光とは別に約835nmで蛍光発光した光をIR用センサで捉えて映像信号として出力する。なお、近赤外線のため、発光色は白く発光する。
【0055】
可視光の映像とIR用センサで捉えた映像とを別々で表示してもよいし、可視光の映像信号にIR用センサで捉えた映像信号を重ねて表示してもよい。さらに、IR用センサで捉えた映像信号は白黒信号であるので、IR用センサで捉えた蛍光発光は白色で見えることから、これを画像処理で色を付けて、より見やすくすることもできる。
【実施例】
【0056】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0057】
[1.平凸レンズとフ
レネルレンズの性能比較試験]
平凸レンズとフ
レネルレンズの光の平行及び光の集光に関して、レンズ性能比較試験を実施した。
性能比較に使用したレンズは以下の通りである。
1)平凸レンズ 直径50mm 焦点距離60mm
2)フ
レネルレンズ 70mm角 焦点距離60mm
【0058】
(1)平凸レンズの平行光及びフ
レネルレンズ平行光の光強度比較
平凸レンズ及びフ
レネルレンズをバイスにセットし、平行光に変換した光の強度を測定した。
試験条件:入射光 70度アングルの光
測定距離 800mmでの照度
試験結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
(2)平凸レンズ及びフ
レネルレンズ集光光の強度比較
1.平凸レンズ及びフ
レネルレンズの組み合わせでの集光光の強度を測定した。
2.フ
レネルレンズを2枚重ねた組み合わせでの集光光の強度を測定した。
試験条件:入射光 70度アングルの光
測定距離 60mmでの照度
試験結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
平凸レンズとフ
レネルレンズの平行光への変換効率及び集光光の変換効率を実際に試験した結果、平凸レンズとフ
レネルレンズの効率が試験結果から2倍以上の効率があることが確認できた。平行光光強度においての効率は、平凸レンズに対してフ
レネルレンズの効率が2.2倍の高効率であった。集光光の変換効率に関しても平凸レンズに対してフ
レネルレンズの効率が2.03倍であった。しかし、集光光の変換の場合平凸レンズは最初の平行光に変換するレンズにフ
レネルレンズを使用した。これらを考慮した場合、平凸レンズ+平凸レンズの組み合わせと、フ
レネルレンズ+フ
レネルレンズの組み合わせでの比較は、概ね4倍程度の光変換効率があることが推測できる。
結論として、一般的な平凸レンズの組み合わせに対して、フ
レネルレンズの光集光効率がいかに高いかが証明できた。
【0063】
[2.青色可視光の射出性能の確認]
5−ALAから生成されるポルトポルフィリン(PpIX)の赤色発光は、一般的にはピーク波長406nmだが、375nm〜445nm(青色可視光)の範囲での励起光で赤色発光することが確認されている。
このため、本技術に係る光源装置の試作機を作成し、当該光源装置が375nm〜445nmの範囲の波長の青色可視光を射出できることを確認した。その結果を
図6に示す。ここで、
図6は、青色可視光のスペクトル分布であり、横軸は波長を示し、縦軸は相対値を示す。
図6に示すように、本技術に係る光源装置によれば、375nm〜445nmの波長の青色可視光を、具体的には、404nmの波長特性を備えた青色可視光が射出できることが確認された。
【0064】
[3.集光部搭載装
置と集光部非搭載装置の視認性比較試験]
前述のごとく、本技術に係る光源装置において、青色可視光の射出が確認できたため、PpIXが発する赤色蛍光の視認性について比較試験を実施した。
具体的には、濃度別(10μg、1μg、0.2μg、0.1μgおよび0μg)の試薬PpIXを用いて赤色蛍光の視認性の比較試験を行い、比較対象としては、前記集光部を搭載していない光源装置(SBIファーマ株式会社製、Aladuck(登録商標)、以下、「比較装置」という)を用いた。その結果を
図7に示す。
ここで、
図7において、(a)は、本技術に係る光源装置から青色可視光を照射した際、試薬PpIXから発せられた赤色蛍光を示すものであり、(b)は、比較装置から青色可視光を照射した際、試薬PpIXから発せられた赤色蛍光を示すものである。また、(a)及び(b)において、試薬PpIXの濃度は左から、10μg、1μg、0.2μg、0.1μgおよび0μgである。
【0065】
図7に示すように、本技術に係る光源装置及び比較装置では、PDDに必要十分な赤色蛍光が10μgの試薬PpIXから発せられることが確認できた。
また、1μgの試薬PpIXから発せられた赤色蛍光を比較すると、比較装置に比べて本技術に係る光源装置のほうがより強い蛍光を発することが確認できた。
さらに、0.2μgの試薬PpIXから発せられた赤色蛍光を比較すると、比較装置に比べて本技術に係る光源装置のほうがより顕著に強い蛍光を発することが確認できた。
以上のことから、本技術に係る光源装置は、PDDに適した従来の光源装置と同じまたはそれ以上に、PpIXが発する赤色蛍光を視認できる性能を備えていること、および従来の装置に比べてより広範な濃度範囲(腫瘍部位に蓄積されたPpIXの蓄積濃度範囲)においてPpIXが発する赤色蛍光を視認できることが確認できた。
【解決手段】放射光を射出するLED光源と、一対のフレネルレンズを有しそれらの凹凸面が対面するように配置され、前記放射光を集光する集光部と、前記集光を導光するライトガイドと、を含む光源装置である。前記一対のフレネルレンズの凹凸面が接し、また、前記ライトガイドの先端が前記集光の略焦点の位置に配置されることができる。