特許第6867536号(P6867536)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6867536半導体発光装置および半導体発光装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6867536
(24)【登録日】2021年4月12日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】半導体発光装置および半導体発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/38 20100101AFI20210419BHJP
   H01L 33/10 20100101ALI20210419BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20210419BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   H01L33/38
   H01L33/10
   H01L29/44 P
   H01L21/28 301B
【請求項の数】7
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2020-116985(P2020-116985)
(22)【出願日】2020年7月7日
【審査請求日】2020年7月10日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】稲津 哲彦
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 紀隆
【審査官】 吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2020−064955(JP,A)
【文献】 特開2019−106406(JP,A)
【文献】 特開2006−351575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
n型AlGaN系半導体材料から構成されるn型半導体層と、
前記n型半導体層上に設けられ、AlGaN系半導体材料から構成され、前記n型半導体層の外縁に沿って第1方向に延在するバスバー部と、前記バスバー部から前記第1方向と交差する第2方向に延在する複数のフィンガー部とを有し、櫛歯形状となる活性層と、
前記活性層の上面全体に設けられ、櫛歯形状となるp型半導体層と、
前記n型半導体層上に設けられ、前記n型半導体層の外縁に沿って前記第1方向に延在するn側バスバー電極と、前記n側バスバー電極から前記第2方向に延在する複数のn側フィンガー電極とを有し、前記複数のフィンガー部および前記複数のn側フィンガー電極が前記第1方向に交互に配置され、前記活性層および前記p型半導体層の櫛歯形状と間挿する櫛歯形状となるn側コンタクト電極と、
前記p型半導体層上に設けられ、前記バスバー部上において前記第1方向に延在するp側バスバー電極と、前記複数のフィンガー部上において前記p側バスバー電極から前記第2方向に延在する複数のp側フィンガー電極とを有し、櫛歯形状となるp側コンタクト電極と、
前記p側コンタクト電極上に設けられ、前記p側バスバー電極上において前記第1方向に延在するp側バスバー開口と、前記複数のp側フィンガー電極上において前記p側バスバー開口から前記第2方向に延在する複数のp側フィンガー開口とを有し、櫛歯形状となるp側パッド開口と、前記n側コンタクト電極上に設けられ、前記n側バスバー電極上において前記第1方向に延在するn側バスバー開口と、前記複数のn側フィンガー電極上において前記n側バスバー開口から前記第2方向に延在する複数のn側フィンガー開口とを有し、櫛歯形状となるn側パッド開口とを含み、前記p側パッド開口とは異なる箇所において前記p側コンタクト電極を被覆し、前記n側パッド開口とは異なる箇所において前記n側コンタクト電極を被覆し、誘電体材料から構成される保護層と、
前記保護層上に設けられ、前記p側パッド開口において前記p側コンタクト電極と接続するp側パッド電極と、
前記保護層上に設けられ、前記n側パッド開口において前記n側コンタクト電極と接続するn側パッド電極と、を備えることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項2】
前記複数のフィンガー部は、前記複数のn側フィンガー電極の間に挿入され、前記第2方向に延在する内側フィンガー部と、前記n型半導体層の外縁に沿って前記第2方向に延在する外側フィンガー部とを有し、
前記複数のp側フィンガー電極は、前記内側フィンガー部上に設けられるp側内側フィンガー電極と、前記外側フィンガー部上に設けられるp側外側フィンガー電極とを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記外側フィンガー部の前記第1方向の幅は、前記内側フィンガー部の前記第1方向の幅よりも小さく、前記p側外側フィンガー電極の前記第1方向の幅は、前記p側内側フィンガー電極の前記第1方向の幅よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記n側コンタクト電極は、前記n型半導体層と接触するn側コンタクト層と、前記n側コンタクト層上に設けられる第1電流拡散層と、前記第1電流拡散層上に設けられる第2電流拡散層とを含み、
前記p側コンタクト電極は、前記p型半導体層と接触するp側コンタクト層と、
前記p側コンタクト層上に設けられるp側電流拡散層とを含み、
前記p側コンタクト層の上面の高さ位置と前記第1電流拡散層の上面の高さ位置の差が100nm以下であり、
前記p側電流拡散層の上面の高さ位置と前記第2電流拡散層の上面の高さ位置の差が100nm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記p側パッド電極上の前記複数のp側フィンガー電極と重なる位置に設けられるp側バンプと、
前記n側パッド電極上の前記複数のp側フィンガー電極と重なる位置に設けられるn側バンプと、
前記p側バンプおよび前記n側バンプと接合される実装基板と、をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項6】
n型AlGaN系半導体材料から構成されるn型半導体層上にAlGaN系半導体材料から構成される活性層を形成する工程と、
前記活性層上にp型半導体層を形成する工程と、
前記n型半導体層上の第1櫛歯領域とは異なる領域の前記p型半導体層および前記活性層を除去し、前記n型半導体層の外縁に沿って第1方向に延在するバスバー部と、前記バスバー部から前記第1方向と交差する第2方向に延在する複数のフィンガー部とを有し、前記第1櫛歯領域に対応した櫛歯形状となる前記p型半導体層および前記活性層を形成し、前記n型半導体層の上面を露出させる工程と、
前記n型半導体層上の前記第1櫛歯領域と間挿する第2櫛歯領域において、前記n型半導体層の外縁に沿って前記第1方向に延在するn側バスバー電極と、前記n側バスバー電極から前記第2方向に延在する複数のn側フィンガー電極とを有し、前記複数のフィンガー部と前記複数のn側フィンガー電極とが前記第1方向に交互に配置され、前記活性層および前記p型半導体層の櫛歯形状と間挿する櫛歯形状となるn側コンタクト電極を形成する工程と、
前記p型半導体層上に設けられ、前記バスバー部上において前記第1方向に延在するp側バスバー電極と、前記複数のフィンガー部上において前記p側バスバー電極から前記第2方向に延在する複数のp側フィンガー電極とを有し、櫛歯形状となるp側コンタクト電極を形成する工程と、
前記p側コンタクト電極および前記n側コンタクト電極を被覆する誘電体材料から構成される保護層を形成する工程と、
前記p側バスバー電極上において前記保護層を貫通し、前記第1方向に延在するp側バスバー開口と、前記複数のp側フィンガー電極上において前記保護層を貫通し、前記p側バスバー開口から前記第2方向に延在する複数のp側フィンガー開口とを有し、櫛歯形状となるp側パッド開口を形成する工程と、
前記n側バスバー電極上において前記保護層を貫通し、前記第1方向に延在するn側バスバー開口と、前記複数のn側フィンガー電極上において前記保護層を貫通し、前記n側バスバー開口から前記第2方向に延在する複数のn側フィンガー開口とを有し、櫛歯形状となるn側パッド開口を形成する工程と、
前記保護層上に設けられ、前記p側パッド開口において前記p側コンタクト電極と接続するp側パッド電極を形成する工程と、
前記保護層上に設けられ、前記n側パッド開口において前記n側コンタクト電極と接続するn側パッド電極を形成する工程と、を備えることを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
【請求項7】
実装基板上にp側バンプおよびn側バンプを形成する工程と、
前記p側パッド電極上の前記複数のp側フィンガー電極と重なる位置に前記p側バンプを接合し、前記n側パッド電極上の前記複数のp側フィンガー電極と重なる位置に前記n側バンプを接合する工程と、をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の半導体発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光装置および半導体発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光素子は、基板上に積層されるn型半導体層、活性層およびp型半導体層を有し、p型半導体層上にp側電極が設けられ、n型半導体層上にn側電極が設けられる。発光ムラを抑制するために、p側電極およびn側電極を櫛歯状にする構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/014094号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電極形状を櫛歯状とした場合、ボンディング接合やフリップチップ接合のための矩形または円形の比較的大きな領域を電極上に確保しにくい。その結果、半導体発光素子を実装基板などに接合する工程が難しくなる。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、半導体発光素子の発光分布を改善しつつ、実装工程を簡便化する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の半導体発光装置は、n型AlGaN系半導体材料から構成されるn型半導体層と、n型半導体層上の第1櫛歯領域に設けられ、AlGaN系半導体材料から構成される活性層と、活性層上に設けられるp型半導体層と、n型半導体層上の第1櫛歯領域と間挿する第2櫛歯領域に設けられるn側コンタクト電極と、p型半導体層上の第3櫛歯領域に設けられるp側コンタクト電極と、p側コンタクト電極上の第4櫛歯領域に設けられるp側パッド開口と、n側コンタクト電極上の第5櫛歯領域に設けられるn側パッド開口とを有し、p側パッド開口とは異なる箇所においてp側コンタクト電極を被覆し、n側パッド開口とは異なる箇所においてn側コンタクト電極を被覆し、誘電体材料から構成される保護層と、保護層上に設けられ、p側パッド開口においてp側コンタクト電極と接続するp側パッド電極と、保護層上に設けられ、n側パッド開口においてn側コンタクト電極と接続するn側パッド電極と、を備える。
【0007】
この態様によると、活性層、n側コンタクト電極およびp側コンタクト電極を櫛歯形状とすることで半導体発光素子の発光分布を改善できる。n側コンタクト電極上にn側パッド電極を形成し、p側コンタクト電極上にp側パッド電極を形成することで、発光素子の実装工程を簡便化できる。さらに、n側パッド開口およびp側パッド開口を櫛歯形状とすることで、櫛歯形状のn側コンタクト電極およびp側コンタクト電極を流れる電流の面内均一性を高めることができる。これにより、発光素子の発光分布をさらに改善できる。
【0008】
n側コンタクト電極は、第1方向に間隔をあけて設けられ、第1方向と交差する第2方向に延在する複数のn側フィンガー電極と、複数のn側フィンガー電極の端部を接続し、n型半導体層の外縁に沿って第1方向に延在するn側バスバー電極とを有してもよい。活性層およびp型半導体層のそれぞれは、複数のn側フィンガー電極の間に挿入され、第2方向に延在する内側フィンガー部と、n型半導体層の外縁に沿って第2方向に延在する外側フィンガー部と、内側フィンガー部および外側フィンガー部の端部を接続し、n型半導体層の外縁に沿って第1方向に延在するバスバー部とを有してもよい。p側コンタクト電極は、内側フィンガー部上に設けられるp側内側フィンガー電極と、外側フィンガー部上に設けられるp側外側フィンガー電極と、バスバー部上に設けられ、p側内側フィンガー電極およびp側外側フィンガー電極の端部を接続するp側バスバー電極とを有してもよい。
【0009】
外側フィンガー部の第1方向の幅は、内側フィンガー部の第1方向の幅よりも小さくてもよい。p側外側フィンガー電極の第1方向の幅は、p側内側フィンガー電極の第1方向の幅よりも小さくてもよい。
【0010】
n側コンタクト電極は、n型半導体層と接触するn側コンタクト層と、n側コンタクト層上に設けられる第1電流拡散層と、第1電流拡散層上に設けられる第2電流拡散層とを含んでもよい。p側コンタクト電極は、p型半導体層と接触するp側コンタクト層と、n側コンタクト層上に設けられるp側電流拡散層とを含んでもよい。p側コンタクト層の上面の高さ位置と第1電流拡散層の上面の高さ位置の差が100nm以下であり、p側電流拡散層の上面の高さ位置と第2電流拡散層の上面の高さ位置の差が100nm以下であってもよい。
【0011】
p側パッド電極上の第3櫛歯領域と重なる位置に設けられるp側バンプと、n側パッド電極上の第3櫛歯領域と重なる位置に設けられるn側バンプと、p側バンプおよびn側バンプと接合される実装基板と、をさらに備えてもよい。
【0012】
本発明の別の態様は、半導体発光装置の製造方法である。この方法は、n型AlGaN系半導体材料から構成されるn型半導体層上にAlGaN系半導体材料から構成される活性層を形成する工程と、活性層上にp型半導体層を形成する工程と、n型半導体層上の第1櫛歯領域とは異なる領域のp型半導体層および活性層を除去し、n型半導体層の上面を露出させる工程と、n型半導体層上の第1櫛歯領域と間挿する第2櫛歯領域にn側コンタクト電極を形成する工程と、p型半導体層上の第3櫛歯領域にp側コンタクト電極を形成する工程と、p側コンタクト電極およびn側コンタクト電極を被覆する誘電体材料から構成される保護層を形成する工程と、p側コンタクト電極上の第4櫛歯領域に保護層を貫通するp側パッド開口を形成する工程と、n側コンタクト電極上の第5櫛歯領域に保護層を貫通するn側パッド開口を形成する工程と、保護層上に設けられ、p側パッド開口においてp側コンタクト電極と接続するp側パッド電極を形成する工程と、保護層上に設けられ、n側パッド開口においてn側コンタクト電極と接続するn側パッド電極を形成する工程と、を備える。
【0013】
この態様によると、活性層、n側コンタクト電極およびp側コンタクト電極を櫛歯形状とすることで半導体発光素子の発光分布を改善できる。n側コンタクト電極上にn側パッド電極を形成し、p側コンタクト電極上にp側パッド電極を形成することで、発光素子の実装工程を簡便化できる。さらに、n側パッド開口およびp側パッド開口を櫛歯形状とすることで、櫛歯形状のn側コンタクト電極およびp側コンタクト電極を流れる電流の面内均一性を高めることができる。これにより、発光素子の発光分布をさらに改善できる。
【0014】
実装基板上にp側バンプおよびn側バンプを形成する工程と、p側パッド電極上の第3櫛歯領域と重なる位置にp側バンプを接合し、n側パッド電極上の第3櫛歯領域と重なる位置にn側バンプを接合する工程と、をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、半導体発光素子の発光分布および実装性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施の形態に係る半導体発光装置の構成を概略的に示す断面図である。
図2】半導体発光素子の構成を概略的に示す上面図である。
図3】n型半導体層、活性層およびn側コンタクト電極の配置を概略的に示す上面図である。
図4】p側コンタクト電極の配置を概略的に示す上面図である。
図5】p側パッド開口およびn側パッド開口の配置を概略的に示す上面図である。
図6】p側パッド開口とp側パッド電極の配置およびn側パッド開口とn側パッド電極の配置を概略的に示す上面図である。
図7】p側バンプおよびn側バンプの配置を概略的に示す上面図である。
図8】半導体発光素子の構成を概略的に示す断面図である。
図9】半導体発光素子の構成を概略的に示す断面図である。
図10】半導体発光素子の構成を概略的に示す断面図である。
図11】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図12】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図13】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図14】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図15】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図16】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図17】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図18】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図19】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図20】第2の実施の形態に係る半導体発光装置の構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、説明の理解を助けるため、各図面における各構成要素の寸法比は、必ずしも実際の発光素子の寸法比と一致しない。
【0018】
本実施の形態に係る半導体発光装置は、中心波長λが約360nm以下となる「深紫外光」を発するように構成される、いわゆるDUV−LED(Deep UltraViolet-Light Emitting Diode)チップである。このような波長の深紫外光を出力するため、バンドギャップが約3.4eV以上となる窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系半導体材料が用いられる。本実施の形態では、特に、中心波長λが約240nm〜320nmの深紫外光を発する場合について示す。
【0019】
本明細書において、「AlGaN系半導体材料」とは、少なくとも窒化アルミニウム(AlN)および窒化ガリウム(GaN)を含有する半導体材料のことをいい、窒化インジウム(InN)などの他の材料を含有する半導体材料を含むものとする。したがって、本明細書にいう「AlGaN系半導体材料」は、例えば、In1−x−yAlGaN(0<x+y≦1、0<x<1、0<y<1)の組成で表すことができ、AlGaNまたはInAlGaNを含む。本明細書の「AlGaN系半導体材料」は、例えば、AlNおよびGaNのそれぞれのモル分率が1%以上であり、好ましくは5%以上、10%以上または20%以上である。
【0020】
また、AlNを含有しない材料を区別するために「GaN系半導体材料」ということがある。「GaN系半導体材料」には、GaNやInGaNが含まれる。同様に、GaNを含有しない材料を区別するために「AlN系半導体材料」ということがある。「AlN系半導体材料」には、AlNやInAlNが含まれる。
【0021】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る半導体発光装置10の構成を概略的に示す断面図である。半導体発光装置10は、半導体発光素子12と、実装基板14と、p側外側バンプ16aおよびp側内側バンプ16b(総称してp側バンプ16ともいう)と、n側外側バンプ18aおよびn側内側バンプ18b(総称してn側バンプ18ともいう)とを備える。半導体発光素子12は、p側バンプ16およびn側バンプ18を介して、実装基板14に接合ないし実装される。
【0022】
半導体発光素子12は、基板20と、ベース層22と、n型半導体層24と、活性層26と、p型半導体層28と、p側コンタクト電極30と、n側コンタクト電極32と、保護層34と、p側パッド電極36と、n側パッド電極38とを備える。p側コンタクト電極30は、p側コンタクト層40と、p側電流拡散層42とを含む。n側コンタクト電極32は、n側コンタクト層44と、第1電流拡散層46と、第2電流拡散層48とを含む。
【0023】
図1において、半導体発光素子12から実装基板14に向かう方向をz方向とし、p側パッド電極36からn側パッド電極38に向かう方向をy方向とし、y方向およびz方向に直交する方向をx方向としている。本実施の形態において、z方向を「上下方向」または「厚み方向」ということがある。基板20から見て、基板20から離れる方向を上側、基板20に向かう方向を下側ということがある。
【0024】
本実施の形態において、厚み方向に直交する方向として、第1方向および第2方向を用いることがある。第1方向は、例えばx方向であり、第2方向は、例えばy方向である。本実施の形態では、第1方向と第2方向が互いに直交する場合について説明するが、第1方向と第2方向は必ずしも直交せず、第2方向は、第1方向に対して斜めに交差してもよい。
【0025】
基板20は、第1主面20aと、第1主面20aとは反対側の第2主面20bとを有する。第1主面20aは、ベース層22からp型半導体層28までの各層を成長させるための結晶成長面である。基板20は、半導体発光装置10が発する深紫外光に対して透光性を有する材料から構成され、例えば、サファイア(Al)から構成される。第1主面20aには、深さおよびピッチがサブミクロン(1μm以下)である微細な凹凸パターン(不図示)が形成されてもよい。このような基板20は、パターン化サファイア基板(PSS;Patterned Sapphire Substrate)とも呼ばれる。第2主面20bは、活性層26が発する深紫外光を外部に取り出すための光取り出し面である。基板20は、AlNから構成されてもよいし、AlGaNから構成されてもよい。基板20の第1主面20aは、パターン化されていない平坦面で構成されてもよい。
【0026】
ベース層22は、基板20の第1主面20aの上に設けられる。ベース層22は、n型半導体層24を形成するための下地層(テンプレート層)である。ベース層22は、例えば、アンドープのAlNから構成され、具体的には高温成長させたAlN(HT−AlN;High Temperature-AlN)から構成される。ベース層22は、AlN層と、AlN層上に形成されるアンドープのAlGaN層とを含んでもよい。基板20がAlN基板またはAlGaN基板である場合、ベース層22は、アンドープのAlGaN層のみで構成されてもよい。ベース層22は、アンドープのAlN層およびAlGaN層の少なくとも一方を含む。ベース層22の上面22aは、半導体発光素子12の外周において露出している。
【0027】
n型半導体層24は、ベース層22の上に設けられる。n型半導体層24は、n型のAlGaN系半導体材料から構成され、例えば、n型の不純物としてSiがドープされる。n型半導体層24は、活性層26が発する深紫外光を透過するように組成比が選択され、例えば、AlNのモル分率が25%以上、好ましくは、40%以上または50%以上となるように構成される。n型半導体層24は、活性層26が発する深紫外光の波長よりも大きいバンドギャップを有し、例えば、バンドギャップが4.3eV以上となるように構成される。n型半導体層24は、AlNのモル分率が80%以下、つまり、バンドギャップが5.5eV以下となるように構成されることが好ましく、AlNのモル分率が70%以下(つまり、バンドギャップが5.2eV以下)となるように構成されることがより望ましい。n型半導体層24は、1μm〜3μm程度の厚さを有し、例えば、2μm程度の厚さを有する。
【0028】
n型半導体層24は、不純物であるSiの濃度が1×1018/cm以上5×1019/cm以下となるように構成される。n型半導体層24は、Si濃度が5×1018/cm以上3×1019/cm以下となるように構成されることが好ましく、7×1018/cm以上2×1019/cm以下となるように構成されることがより好ましい。ある実施例において、n型半導体層24のSi濃度は、1×1019/cm前後であり、具体的には8×1018/cm以上1.5×1019/cm以下の範囲である。
【0029】
n型半導体層24は、第1上面24aと、第2上面24bとを有する。第1上面24aは、活性層26が形成される部分である。第2上面24bは、活性層26が形成されずにn側コンタクト電極32が形成される部分である。第1上面24aおよび第2上面24bは、互いに高さが異なり、基板20から第1上面24aまでの高さは、基板20から第2上面24bまでの高さよりも大きい。
【0030】
活性層26は、n型半導体層24の第1上面24aの上に設けられる。活性層26は、AlGaN系半導体材料から構成され、n型半導体層24とp型半導体層28の間に挟まれてダブルへテロ接合構造を形成する。活性層26は、波長355nm以下の深紫外光を出力するためにバンドギャップが3.4eV以上となるように構成され、例えば、波長320nm以下の深紫外光を出力できるようにAlN組成比が選択される。
【0031】
活性層26は、例えば、単層または多層の量子井戸構造を有し、アンドープのAlGaN系半導体材料から構成される障壁層と、アンドープのAlGaN系半導体材料から構成される井戸層との積層体で構成される。活性層26は、例えば、n型半導体層24と直接接触する第1障壁層と、第1障壁層の上に設けられる第1井戸層とを含む。第1障壁層と第1井戸層の間に、井戸層および障壁層の一以上のペアが追加的に設けられてもよい。障壁層および井戸層のそれぞれは、1nm〜20nm程度の厚さを有し、例えば、2nm〜10nm程度の厚さを有する。
【0032】
活性層26は、p型半導体層28と直接接触する電子ブロック層をさらに含んでもよい。電子ブロック層は、アンドープのAlGaN系半導体材料から構成され、例えば、AlNのモル分率が40%以上、好ましくは、50%以上となるように構成される。電子ブロック層は、AlNのモル分率が80%以上となるように構成されてもよく、GaNを含有しないAlN系半導体材料から構成されてもよい。電子ブロック層は、1nm〜10nm程度の厚さを有し、例えば、2nm〜5nm程度の厚さを有する。
【0033】
p型半導体層28は、活性層26の上に設けられる。p型半導体層28は、p型のAlGaN系半導体材料またはp型のGaN系半導体材料から構成され、例えば、p型の不純物としてマグネシウム(Mg)がドープされるAlGaNまたはGaNから構成される。p型半導体層28は、例えば、300nm〜1400nm程度の厚さを有する。例えば、n型半導体層24の第2上面24bからp型半導体層28の上面28aまでの高さは、400nm以上1500nm以下となるよう構成される。
【0034】
p型半導体層28は、複数層で構成されてもよい。p型半導体層28は、例えば、p型クラッド層とp型コンタクト層を有してもよい。p型クラッド層は、p型コンタクト層と比較してAlN比率の高いp型AlGaN層であり、活性層26と直接接触するように設けられる。p型コンタクト層は、p型クラッド層と比較してAlN比率の低いp型AlGaN層またはp型GaN層である。p型コンタクト層は、p型クラッド層の上に設けられ、p側コンタクト電極30と直接接触するように設けられる。
【0035】
p型クラッド層は、活性層26が発する深紫外光を透過するように組成比が選択される。p型クラッド層は、例えば、AlNのモル分率が25%以上、好ましくは、40%以上または50%以上となるように構成される。p型クラッド層のAlN比率は、例えば、n型半導体層24のAlN比率と同程度、または、n型半導体層24のAlN比率よりも大きい。p型クラッド層のAlN比率は、70%以上または80%以上であってもよい。p型クラッド層は、10nm〜100nm程度の厚さを有し、例えば、15nm〜70nm程度の厚さを有する。
【0036】
p型コンタクト層は、p側コンタクト電極30と良好なオーミック接触を得るためにAlN比率が20%以下となるよう構成され、好ましくは、AlN比率が10%以下、5%以下または0%となるように構成される。つまり、p型コンタクト層は、AlNを含有しないp型GaN系半導体材料から構成されてもよい。p型コンタクト層は、300nm〜1500m程度の厚さを有し、例えば、500nm〜1000nm程度の厚さを有する。
【0037】
p側コンタクト電極30は、p型半導体層28の上に設けられる。p側コンタクト電極30は、p型半導体層28の上面と接触するp側コンタクト層40と、p側コンタクト層40の上面と接触するp側電流拡散層42とを含む。
【0038】
p側コンタクト層40は、p型半導体層28とオーミック接触可能な材料から構成され、例えば、酸化錫(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電性酸化物(TCO)から構成される。p側コンタクト層40の厚さは20nm〜500nm程度であり、50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましい。
【0039】
p側電流拡散層42は、p側パッド開口56においてp側パッド電極36と接続される。p側電流拡散層42は、p側パッド電極36から注入される電流を横方向(水平方向)に拡散させるためにある程度の厚さを有することが好ましい。p側電流拡散層42の厚みは、300nm以上1500nm以下であり、例えば500nm〜1000nm程度である。
【0040】
p側電流拡散層42は、第1TiN層、金属層および第2TiN層を順に積層させた積層構造を有する。第1TiN層は、p側コンタクト層40と接触する。第2TiN層は、p側パッド電極36と接触する。金属層は、第1TiN層と第2TiN層の間に設けられる。第1TiN層および第2TiN層は、導電性を有する窒化チタン(TiN)から構成される。導電性を有するTiNの導電率は、1×10−5Ω・m以下であり、例えば4×10−7Ω・m程度である。第1TiN層および第2TiN層のそれぞれの厚みは、10nm以上であり、例えば50nm〜200nm程度である。
【0041】
p側電流拡散層42の金属層は、単一の金属膜または複数の金属膜から構成される。p側電流拡散層42の金属層は、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)またはロジウム(Rh)などの金属材料から構成される。p側電流拡散層42の金属層は、材料の異なる複数の金属膜を積層させた構造を有してもよい。p側電流拡散層42の金属層は、第1金属材料から構成される第1金属膜と、第2金属材料から構成される第2金属膜とを積層させた構造を有してもよいし、複数の第1金属膜と複数の第2金属膜を交互に積層させた構造を有してもよい。p側電流拡散層42の金属層は、第3金属材料から構成される第3金属膜をさらに有してもよい。p側電流拡散層42の金属層の厚みは、第1TiN層および第2TiN層のそれぞれの厚みよりも大きい。p側電流拡散層42の金属層の厚みは、100nm以上であり、例えば300nm〜800nm程度である。
【0042】
n側コンタクト電極32は、n型半導体層24の第2上面24bと接触するn側コンタクト層44と、n側コンタクト層44の上面および側面を被覆する第1電流拡散層46と、第1電流拡散層46の上面および側面を被覆する第2電流拡散層48とを含む。
【0043】
n側コンタクト層44は、金属層およびTiN層の積層構造を有する。n側コンタクト層44の金属層は、n型半導体層24とオーミック接触が可能であり、かつ、活性層26が発する深紫外光に対する反射率が高い材料で構成される。n側コンタクト層44の金属層は、例えば、n型半導体層24に直接接触するTi層と、Ti層に直接接触するアルミニウム(Al)層とを含む。Ti層の厚さは1nm〜10nm程度であり、5nm以下であることが好ましく、1nm〜2nmであることがより好ましい。Ti層の厚さを小さくすることで、n型半導体層24から見たときのn側コンタクト層44の紫外光反射率を高めることができる。Al層の厚さは、200nm以上であることが好ましく、例えば300nm〜1000nm程度である。Al層の厚さを大きくすることで、n側コンタクト層44の紫外光反射率を高めることができる。n側コンタクト層44の金属層は、Al層の上に設けられるTi層をさらに有してもよい。
【0044】
n側コンタクト層44のTiN層は、n側コンタクト層44の金属層の上に設けられ、導電性のTiNから構成される。導電性を有するTiNの導電率は、1×10−5Ω・m以下であり、例えば4×10−7Ω・m程度である。n側コンタクト層44TiN層の厚みは、10nm以上であり、例えば50nm〜200nm程度である。
【0045】
第1電流拡散層46は、n側コンタクト層44の上に設けられる。第1電流拡散層46は、n側コンタクト層44の上面および側面の全体を被覆し、n側コンタクト層44の上面または側面が露出するのを防ぐ。第1電流拡散層46の厚みは、100nm以上1000nm以下であり、例えば200nm〜800nm程度である。
【0046】
第1電流拡散層46は、第1TiN層、金属層および第2TiN層を順に積層させた積層構造を有する。第1電流拡散層46は、p側電流拡散層42と同様の積層構造を有してもよい。第1電流拡散層46の第1TiN層および第2TiN層のそれぞれの厚みは、10nm以上であり、例えば50nm〜200nm程度である。第1電流拡散層46の金属層の厚みは、100nm以上であり、例えば200nm〜800nm程度である。
【0047】
第1電流拡散層46は、p側コンタクト層40と高さが揃うように形成される。つまり、第1電流拡散層46の上面の高さ位置は、p側コンタクト層40の上面の高さ位置に実質的に一致する。具体的には、第1電流拡散層46の上面の高さ位置とp側コンタクト層40の上面の高さ位置の差が100nm以下、好ましくは50nm以下となるように構成される。第1電流拡散層46の上面の高さ位置は、p側コンタクト層40の上面の高さ位置よりも高くてもよいし、低くてもよいし、完全に一致してもよい。
【0048】
第2電流拡散層48は、第1電流拡散層46の上に設けられる。第2電流拡散層48は、第1電流拡散層46の上面および側面の全体を被覆し、第1電流拡散層46の上面または側面が露出するのを防ぐ。第2電流拡散層48の厚みは、300nm以上1500nm以下であり、例えば500nm〜1000nm程度である。
【0049】
第2電流拡散層48は、第1TiN層、金属層および第2TiN層を順に積層させた積層構造を有する。第2電流拡散層48は、p側電流拡散層42と同様に構成され、第2電流拡散層48の厚みとp側電流拡散層42の厚みが同じとなるように構成される。その結果、第2電流拡散層48の上面の高さ位置は、p側電流拡散層42の上面の高さ位置に実質的に一致する。具体的には、第2電流拡散層48の上面の高さ位置とp側電流拡散層42の上面の高さ位置の差が100nm以下、好ましくは50nm以下となるように構成される。第2電流拡散層48の上面の高さ位置は、p側電流拡散層42の上面の高さ位置よりも高くてもよいし、低くてもよいし、完全に一致してもよい。
【0050】
保護層34は、ベース層22と、p側パッド電極36およびn側パッド電極38との間の積層構造の全体を被覆するように設けられる。保護層34は、酸化シリコン(SiO)、酸窒化シリコン(SiON)、窒化シリコン(SiN)、窒化アルミニウム(AlN)または酸窒化アルミニウム(AlON)などの誘電体材料から構成される。保護層34の厚みは、100nm以上であり、例えば500nm〜2000nm程度である。
【0051】
保護層34は、n型半導体層24、活性層26およびp型半導体層28の側面(メサ面)を被覆するように設けられる。保護層34は、p側コンタクト電極30の上のp側パッド開口56とは異なる箇所においてp側コンタクト電極30を被覆する。保護層34は、n側コンタクト電極32の上のn側パッド開口58とは異なる箇所においてn側コンタクト電極32を被覆する。
【0052】
n型半導体層24、活性層26およびp型半導体層28の側面(第1メサ面ともいう)は、基板20の第2主面20bに対して傾斜するように構成されている。活性層26およびp型半導体層28の側面(第1メサ面)が傾斜する第1角度θは、15度以上50度以下であり、例えば20度以上40度以下である。第1角度θは、活性層26の屈折率nを用いて、θ<{π/2+sin-1(1/n)}/2となることが好ましい。第1角度θをこのような値に設定することで、基板20の第2主面20bにて紫外光が全反射し、基板20の外部に紫外光が出射されなくなることを防止できる。n型半導体層24の側面(第2メサ面ともいう)が傾斜する第2角度θは、55度以上70度未満であり、例えば60度〜65度程度である。第2角度θは、第1角度θよりも大きい。
【0053】
p側パッド電極36は、保護層34の上に設けられ、p側パッド開口56においてp側コンタクト電極30と電気的に接続する。p側パッド電極36は、p側パッド開口56においてp側電流拡散層42の上面と接触し、p側パッド開口56を塞ぐように設けられる。n側パッド電極38は、保護層34の上に設けられ、n側パッド開口58においてn側コンタクト電極32と電気的に接続する。n側パッド電極38は、n側パッド開口58pにおいて第2電流拡散層48の上面と接触し、n側パッド開口58を塞ぐように設けられる。p側パッド電極36およびn側パッド電極38は、耐腐食性の観点からAuを含有するように構成され、例えば、Ni/Au、Ti/AuまたはTi/Pt/Auの積層構造で構成される。
【0054】
p側バンプ16は、p側パッド電極36とp側実装電極14pの間に設けられる。n側バンプ18は、n側パッド電極38とn側実装電極14nの間に設けられる。p側バンプ16は、p側パッド電極36およびp側実装電極14pと接合して両者を電気的に接続する。n側バンプ18は、n側パッド電極38およびn側実装電極14nと接合して両者を電気的に接続する。p側バンプ16は、例えばAuスタッドバンプであり、p側パッド電極36のAu層およびp側実装電極14pのAu層と接合する。同様に、n側バンプ18は、例えばAuスタッドバンプであり、n側パッド電極38のAu層およびn側実装電極14nのAu層と接合する。
【0055】
図2は、半導体発光素子12の構成を概略的に示す上面図である。図1は、図2のA−A線断面に相当する。図2の平面視において、半導体発光素子12の外形は、長方形または正方形である。半導体発光素子12の外周は、四つの側面12a〜12dによって規定される。第1側面12aおよび第2側面12bは、第1方向(x方向)に延びる。第3側面12cおよび第4側面12dは、第2方向(y方向)に延びる。
【0056】
保護層34は、半導体発光素子12の外周からわずかに離れて設けられる。半導体発光素子12の外周と保護層34の外縁34aの間には、保護層34が設けられずにベース層22の上面22aが露出する外周領域が設けられる。保護層34の外縁34aは、半導体発光素子12の外周に対応する矩形状であり、好ましくは、四隅を曲線で面取りした長方形または正方形である。
【0057】
p側パッド電極36は、保護層34の上の左側(第1側面12a側)の約半分を占めるように設けられる。n側パッド電極38は、保護層34の上の右側(第2側面12b側)の約半分の領域を占めるように設けられる。p側パッド電極36およびn側パッド電極38の外縁は、矩形状であり、好ましくは、四隅を曲線で面取りした長方形である。p側パッド電極36とn側パッド電極38の間には、保護層34が露出する分離部50が設けられる。
【0058】
p側パッド電極36の第2方向(y方向)の幅wは、n側パッド電極38の第2方向(y方向)の幅wと同じか、幅wよりも大きい。n側パッド電極38の第2方向(y方向)の幅wは、分離部50のx方向の幅wよりも大きい。つまり、w≧w>wである。p側パッド電極36の幅wは、300μm以上であり、例えば500μm以上である。n側パッド電極38の幅wは、200μm以上であり、例えば300μm以上である。分離部50の幅wは、100μm以上であり、例えば150μm〜300μm程度である。p側パッド電極36およびn側パッド電極38の第1方向(x方向)の長さは共通である。
【0059】
p側パッド電極36の上には、複数のp側外側バンプ16aと、複数のp側内側バンプ16bとが設けられる。複数のp側外側バンプ16aは、第1側面12aに沿って第1方向(x方向)に間隔をあけて並んでいる。複数のp側内側バンプ16bは、分離部50に沿って第1方向(x方向)に間隔をあけて並んでいる。同様に、n側パッド電極38の上には、複数のn側外側バンプ18aと、複数のn側内側バンプ18bとが設けられる。複数のn側外側バンプ18aは、第2側面12bに沿って第1方向(x方向)に間隔をあけて並んでいる。複数のn側内側バンプ18bは、分離部50に沿って第1方向(x方向)に間隔をあけて並んでいる。p側バンプ16およびn側バンプ18の直径は、例えば80μm程度である。
【0060】
図3は、n型半導体層24、活性層26およびn側コンタクト電極32の配置を概略的に示す上面図である。図3では、保護層34の外縁34aの位置を破線で示している。n型半導体層24は、保護層34の外縁34aよりも内側に設けられる。n型半導体層24の外縁24cは、保護層34の外縁34aに対応する矩形状であり、好ましくは、四隅を曲線で面取りした長方形または正方形である。
【0061】
活性層26は、n型半導体層24の上の第1櫛歯領域S1に設けられる。活性層26は、櫛歯状に形成される。本実施の形態において、櫛歯形状とは、複数の歯に相当する枝(ブランチ)と、複数の歯を接続する幹(ステム)とを含む形状のことをいい、特に、複数の歯が片側のみに設けられる片歯の櫛形状のことをいう。本実施の形態において、櫛歯形状の複数の枝を「フィンガー」ともいい、櫛歯形状の幹を「バスバー」ともいう。
【0062】
活性層26は、第1方向(x方向)に延びるバスバー部26aと、第2方向(y方向)に延びる内側フィンガー部26bと、第2方向(y方向)に延びる外側フィンガー部26cとを有する。バスバー部26aは、第1側面12aに沿って設けられ、内側フィンガー部26bおよび外側フィンガー部26cの端部を接続する。外側フィンガー部26cは、第3側面12cまたは第4側面12dに沿って設けられる。活性層26は、第1側面12a、第3側面12cおよび第4側面12dの三つの側面に沿って設けられる。
【0063】
図示する例では、四つの内側フィンガー部26bと、二つの外側フィンガー部26cが設けられる。四つの内側フィンガー部26bおよび二つの外側フィンガー部26cは、第1方向(x方向)に間隔をあけて並んでいる。また、隣り合う二つの内側フィンガー部26bの間には、n側コンタクト電極32(32b)が挿入される。同様に、内側フィンガー部26bと外側フィンガー部26cの間には、n側コンタクト電極32(32b)が挿入される。活性層26の外周は、曲線で面取りされた形状であることが好ましい。
【0064】
活性層26のバスバー部26aの第2方向(y方向)の幅w1aは、内側フィンガー部26bの第1方向(x方向)の幅w1bと同じか、幅w1bよりも大きい。活性層26の内側フィンガー部26bの第1方向(x方向)の幅w1bは、外側フィンガー部26cの第1方向(x方向)の幅w1cよりも大きい。つまり、w1a≧w1b>w1cである。活性層26のバスバー部26aの幅w1aおよび内側フィンガー部26bの幅w1bは、p側バンプ16およびn側バンプ18の直径よりも大きいことが好ましく、例えば80μm〜120μm程度である。活性層26の外側フィンガー部26cの幅w1cは、例えば40μm〜80μm程度である。
【0065】
p型半導体層28(図3に図示せず)は、活性層26の全体と重なるように設けられ、活性層26と同様の櫛歯形状を有する。p型半導体層28は、第1方向(x方向)に延びるバスバー部と、第2方向(y方向)に延びる内側フィンガー部と、第2方向(y方向)に延びる外側フィンガー部とを有する。p型半導体層28のバスバー部は、活性層26のバスバー部26aと重なる。p型半導体層28の内側フィンガー部は、活性層26の内側フィンガー部26bと重なる。p型半導体層28の外側フィンガー部は、活性層26の外側フィンガー部26cと重なる。
【0066】
n側コンタクト電極32は、n型半導体層24の上の第1櫛歯領域S1と間挿する第2櫛歯領域S2に設けられる。第1櫛歯領域S1と第2櫛歯領域S2の間には、隙間δが設けられる。第2櫛歯領域S2は、第1櫛歯領域S1と第1方向(x方向)および第2方向(y方向)に隣り合うように設けられる。
【0067】
n側コンタクト電極32は、櫛歯状に形成されており、第1方向(x方向)に延びるn側バスバー電極32aと、第2方向(y方向)に延びる複数のn側フィンガー電極32bとを有する。n側バスバー電極32aは、第2側面12bに沿って設けられ、複数のn側フィンガー電極32bの端部を接続する。複数のn側フィンガー電極32bは、隣り合う二つの内側フィンガー部26bの間、または、内側フィンガー部26bと外側フィンガー部26cの間に設けられる。n側フィンガー電極32bは、半導体発光素子12の外周に沿って設けられていない。n側コンタクト電極32の外周は、曲線で面取りされた形状であることが好ましい。
【0068】
n側バスバー電極32aの第2方向(y方向)の幅w2aは、n側フィンガー電極32bの第1方向(x方向)の幅w2bよりも大きい。つまり、w2a>w2bである。n側バスバー電極32aの第2方向(y方向)の幅w2aは、p側バンプ16およびn側バンプ18の直径よりも大きいことが好ましく、例えば80μm〜120μm程度である。n側バスバー電極32aの幅w2aは、活性層26のバスバー部26aの幅w1aと同じか、幅w1aよりも小さい。n側フィンガー電極32bの幅w2bは、活性層26の内側フィンガー部26bの幅w1bよりも小さい。つまり、w1b>w2bである。n側フィンガー電極32bの幅w2bは、例えば40μm〜80μm程度である。
【0069】
第1櫛歯領域S1と第2櫛歯領域S2を合計した面積割合は、基板20の第1主面20aの面積の70〜90%程度である。例えば、第1櫛歯領域S1の面積割合は、45〜60%程度であり、第2櫛歯領域S2の面積割合は、20〜40%程度である。したがって、第1櫛歯領域S1の面積は、第2櫛歯領域S2の面積よりも大きい。第1櫛歯領域S1の面積は、第2櫛歯領域S2の面積の1.5倍〜3倍程度である。
【0070】
第1櫛歯領域S1は、第1側面12a、第3側面12cおよび第4側面12dの三つの側面に沿って設けられ、第2櫛歯領域S2は、第2側面12bに沿って設けられる。第1櫛歯領域S1のn型半導体層24の外縁24cと並行する部分の長さは、第2櫛歯領域S2のn型半導体層24の外縁24cと並行する部分の長さよりも大きい。第1櫛歯領域S1のn型半導体層24の外縁24cと並行する部分の長さは、第2櫛歯領域S2のn型半導体層24の外縁24cと並行する部分の長さの例えば2倍〜3倍程度である。
【0071】
図4は、p側コンタクト電極30の配置を概略的に示す上面図である。p側コンタクト電極30は、活性層26およびp型半導体層28の上の第3櫛歯領域S3に設けられる。第3櫛歯領域S3は、第1櫛歯領域S1に対応する櫛歯形状を有するが、第1櫛歯領域S1よりも狭い。第3櫛歯領域S3の面積割合は、例えば20〜50%程度である。第3櫛歯領域S3の面積は、第2櫛歯領域S2の面積よりも大きい。第3櫛歯領域S3は、第2櫛歯領域S2と間挿するように設けられ、第2櫛歯領域S2と第1方向(x方向)に隣り合うように設けられる。
【0072】
p側コンタクト電極30は、活性層26およびp型半導体層28と同様、櫛歯状に形成されている。p側コンタクト電極30は、第1方向(x方向)に延びるp側バスバー電極30aと、第2方向(y方向)に延びるp側内側フィンガー電極30bと、第2方向(y方向)に延びるp側外側フィンガー電極30cとを有する。p側バスバー電極30aは、第1側面12aに沿って設けられ、p側内側フィンガー電極30bおよびp側外側フィンガー電極30cの端部を接続する。p側バスバー電極30aは、活性層26およびp型半導体層28のバスバー部と重なる。p側内側フィンガー電極30bは、活性層26およびp型半導体層28の内側フィンガー部と重なる。p側外側フィンガー電極30cは、活性層26およびp型半導体層28の外側フィンガー部と重なる。p側コンタクト電極30は、第1側面12a、第3側面12cおよび第4側面12dの三つの側面に沿って設けられる。p側コンタクト電極30の外周は、曲線で面取りされた形状であることが好ましい。
【0073】
p側バスバー電極30aの第2方向(y方向)の幅w3aは、p側内側フィンガー電極30bの第1方向(x方向)の幅w3bと同じか、幅w3bよりも大きい。p側内側フィンガー電極30bの第1方向(x方向)の幅w3bは、p側外側フィンガー電極30cの第1方向(x方向)の幅w3cよりも大きい。つまり、w3a≧w3b>w3cである。p側バスバー電極30aの幅w3aおよびp側内側フィンガー電極30bの幅w3bは、p側バンプ16およびn側バンプ18の直径と同じか、直径よりも大きいことが好ましく、例えば80μm〜110μm程度である。p側外側フィンガー電極30cの幅w3cは、40μm〜70μm程度である。なお、p側コンタクト電極30の幅w3a,w3b,w3cは、対応する活性層26の幅w1a,w1b,w1cよりも僅かに小さく、例えば10μm〜30μm程度小さい。
【0074】
図5は、p側パッド開口56およびn側パッド開口58の配置を概略的に示す上面図である。図5では、第1櫛歯領域S1、第2櫛歯領域S2および第3櫛歯領域S3を破線で示している。p側パッド開口56は、第3櫛歯領域S3の内側の第4櫛歯領域S4に設けられ、櫛歯状に形成される。n側パッド開口58は、第2櫛歯領域S2の内側の第5櫛歯領域S5に設けられ、櫛歯状に形成される。第4櫛歯領域S4および第5櫛歯領域S5は、互いに間挿しないように設けられ、第1方向(x方向)に隣り合わないように設けられる。第4櫛歯領域S4および第5櫛歯領域S5の間には、分離部50が設けられる。p側パッド開口56は、分離部50よりも左側(第1側面12a側)にのみ設けられる。n側パッド開口58は、分離部50よりも右側(第2側面12b側)にのみ設けられる。
【0075】
p側パッド開口56は、第1方向(x方向)に延びるp側バスバー開口56aと、第2方向(y方向)に延びるp側内側フィンガー開口56bと、第2方向(y方向)に延びるp側外側フィンガー開口56cとを有する。p側バスバー開口56aは、第1側面12aに沿って設けられ、p側内側フィンガー開口56bおよびp側外側フィンガー開口56cの端部を接続する。p側外側フィンガー開口56cは、第3側面12cまたは第4側面12dに沿って設けられる。p側バスバー開口56aは、p側バスバー電極30aと重なる位置に設けられ、p側バスバー電極30aを露出させる。p側内側フィンガー開口56bは、p側内側フィンガー電極30bと重なる位置に設けられ、p側内側フィンガー電極30bを露出させる。p側内側フィンガー開口56bの第2方向(y方向)の長さは、p側内側フィンガー電極30bの第2方向(y方向)の長さよりも小さく、例えばp側内側フィンガー電極30bの長さの10〜70%程度であり、好ましくは20〜50%程度である。p側外側フィンガー開口56cは、p側外側フィンガー電極30cと重なる位置に設けられ、p側外側フィンガー電極30cを露出させる。p側外側フィンガー開口56cの第2方向(y方向)の長さは、p側外側フィンガー電極30cの第2方向(y方向)の長さよりも小さく、例えばp側外側フィンガー電極30cの長さの10〜70%程度であり、好ましくは20〜50%程度である。p側パッド開口56の外周は、曲線で面取りされた形状であることが好ましい。
【0076】
n側パッド開口58は、第1方向(x方向)に延びるn側バスバー開口58aと、第2方向(y方向)に延びる複数のn側フィンガー開口58bとを有する。n側バスバー開口58aは、第2側面12bに沿って設けられ、複数のn側フィンガー開口58bの端部を接続する。n側バスバー開口58aは、n側バスバー電極32aと重なる位置に設けられ、n側バスバー電極32aを露出させる。n側フィンガー開口58bは、n側フィンガー電極32bと重なる位置に設けられ、n側フィンガー電極32bを露出させる。n側フィンガー開口58bの第2方向(y方向)の長さは、n側フィンガー電極32bの第2方向(y方向)の長さよりも小さく、例えばn側フィンガー電極32bの長さの10〜70%程度であり、好ましくは20〜50%程度である。n側パッド開口58の外周は、曲線で面取りされた形状であることが好ましい。
【0077】
図6は、p側パッド開口56とp側パッド電極36の配置およびn側パッド開口58とn側パッド電極38の配置を概略的に示す上面図である。図6では、p側パッド開口56およびn側パッド開口58の位置を破線で示している。
【0078】
p側パッド電極36は、p側パッド開口56の全体と重なるように設けられる。p側パッド電極36は、隣り合う二つのp側内側フィンガー開口56bの間に位置する保護層34bの上に重なるように設けられる。p側パッド電極36は、p側内側フィンガー開口56bとp側外側フィンガー開口56cの間に位置する保護層34cの上に重なるように設けられる。
【0079】
n側パッド電極38は、n側パッド開口58の全体と重なるように設けられる。n側パッド電極38は、隣り合う二つのn側フィンガー開口58bの間に位置する保護層34dの上に重なるように設けられる。n側パッド電極38は、n側フィンガー開口58bと第3側面12cの間、または、n側フィンガー開口58bと第4側面12dの間に位置する保護層34eの上に重なるように設けられる。
【0080】
図7は、p側バンプ16およびn側バンプ18の配置を概略的に示す上面図である。図7では、p側コンタクト電極30が設けられる第3櫛歯領域S3およびn側コンタクト電極32が設けられる第2櫛歯領域S2を破線で示している。p側外側バンプ16aは、p側バスバー電極30aと重なる位置に設けられている。p側内側バンプ16bは、p側内側フィンガー電極30bと重なる位置に設けられている。n側外側バンプ18aは、n側バスバー電極32aと重なる位置に設けられている。n側内側バンプ18bは、p側内側フィンガー電極30bと重なる位置に設けられている。
【0081】
図7は、p側コンタクト電極30、n側コンタクト電極32、p側パッド電極36およびn側パッド電極38の配置を示す。p側パッド電極36は、p側バスバー電極30aと、p側内側フィンガー電極30bと、p側外側フィンガー電極30cと、n側フィンガー電極32bと重なるように設けられている。n側パッド電極38は、n側バスバー電極32aと、n側フィンガー電極32bと、p側内側フィンガー電極30bと重なるように設けられている。
【0082】
図8は、半導体発光素子12の構成を概略的に示す断面図であり、図2のB−B線断面に相当する。p側パッド電極36は、p側バスバー開口56aにおいてp側バスバー電極30aと接続されている。n側パッド電極38は、n側フィンガー開口58bにおいてn側フィンガー電極32bと接続されている。
【0083】
図9は、半導体発光素子12の構成を概略的に示す断面図であり、図2のC−C線断面に相当する。p側コンタクト電極30およびn側コンタクト電極32がx方向に交互に配置されている。p側パッド電極36は、p側内側フィンガー開口56bにおいてp側内側フィンガー電極30bと接続され、p側外側フィンガー開口56cにおいてp側外側フィンガー電極30cと接続されている。p側内側バンプ16bは、p側内側フィンガー電極30bと重なる位置に設けられている。保護層34は、n側フィンガー電極32bとp側パッド電極36の間を電気的に絶縁している。
【0084】
図10は、半導体発光素子12の構成を概略的に示す断面図であり、図2のD−D線断面に相当する。図9と同様、p側コンタクト電極30およびn側コンタクト電極32がx方向に交互に配置されている。n側パッド電極38は、n側フィンガー開口58bにおいてn側フィンガー電極32bと接続されている。n側内側バンプ18bは、p側内側フィンガー電極30bと重なる位置に設けられている。保護層34は、p側内側フィンガー電極30bおよびp側外側フィンガー電極30cとn側パッド電極38の間を電気的に絶縁している。
【0085】
つづいて、半導体発光装置10の製造方法について説明する。図11図19は、半導体発光素子12の製造工程を概略的に示す図であり、図1の断面(つまり、図2のA−A線断面)に対応する。図11において、基板20の第1主面20aの上にベース層22、n型半導体層24、活性層26、p型半導体層28を順に形成する。活性層26は、n型半導体層24の第1上面24aに形成される。ベース層22、n型半導体層24、活性層26およびp型半導体層28は、第1主面20aの全体にわたって形成される。
【0086】
基板20は、例えばパターン化サファイア基板である。ベース層22は、例えばHT−AlN層と、アンドープのAlGaN層とを含む。n型半導体層24、活性層26およびp型半導体層28は、AlGaN系半導体材料、AlN系半導体材料またはGaN系半導体材料から構成される半導体層であり、有機金属化学気相成長(MOVPE;Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)法や、分子線エピタキシ(MBE;Molecular Beam Epitaxy)法などの周知のエピタキシャル成長法を用いて形成できる。
【0087】
つづいて、p型半導体層28の上に第1マスク61を形成する。第1マスク61は、活性層26およびp型半導体層28の側面(第1メサ面)を形成するためのエッチングマスクである。第1マスク61は、公知のリソグラフィ技術を用いて形成できる。第1マスク61は、図3の第1櫛歯領域S1に設けられる。第1マスク61の側面は傾斜している。第1マスク61の側面の傾斜角は、後続するエッチング工程において第1角度θで傾斜する第1メサ面が形成されるように設定される。
【0088】
次に、図12に示すように、第1マスク61の上からp型半導体層28および活性層26をエッチングし、第1マスク61と重ならない領域のn型半導体層24を露出させる。この工程のエッチング深さdは、活性層26およびp型半導体層28の厚さの合計に相当し、例えば400nm以上1500nm以下である。このエッチング工程により、第1角度θで傾斜する第1メサ面が形成され、かつ、n型半導体層24の第2上面24bが形成される。
【0089】
図12のエッチング工程では、塩素系のエッチングガスを用いた反応性イオンエッチングを用いることができ、誘導結合型プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)エッチングを用いることができる。例えば、エッチングガスとして塩素(Cl)、三塩化ホウ素(BCl)、四塩化ケイ素(SiCl)などの塩素(Cl)を含む反応性ガスを用いることができる。なお、反応性ガスと不活性ガスを組み合わせてドライエッチングしてもよく、塩素系ガスにアルゴン(Ar)などの希ガスを混合させてもよい。第1メサ面および第2上面24bの形成後、第1マスク61が除去される。
【0090】
次に図13に示すように、n型半導体層24の第2上面24bの上にn側コンタクト層44が形成され、p型半導体層28の上面にp側コンタクト層40が形成される。p側コンタクト層40とn側コンタクト層44の形成順は特に問わないが、例えば、n側コンタクト層44の形成後にp側コンタクト層40を形成することができる。なお、p側コンタクト層40の形成後にn側コンタクト層44を形成してもよい。
【0091】
n側コンタクト層44は、図3の第2櫛歯領域S2に設けられる。例えば、公知のリソグラフィ技術を用いて、第2櫛歯領域S2を除く箇所にレジストマスクを設けることにより、第2櫛歯領域S2にn側コンタクト層44を選択的に形成できる。n側コンタクト層44は、例えばTi層、Al層、Ti層およびTiN層を順に積層することで形成される。n側コンタクト層44を構成する各層は、スパッタリング法やEB蒸着法で形成できる。
【0092】
n側コンタクト層44の構成する各層を形成した後、n側コンタクト層44にアニール処理が施される。n側コンタクト層44のアニール処理は、Alの融点(約660℃)未満の温度で実行され、例えば500℃以上650℃以下、好ましくは550℃以上625℃以下の温度で実行される。アニール処理によりn側コンタクト層44のコンタクト抵抗を1×10−2Ω・cm以下にできる。また、アニール温度をAlの融点未満とすることで、アニール後のn側コンタクト層44の平坦性を高め、紫外光反射率を80%以上または90%以上にできる。
【0093】
p側コンタクト層40は、図4の第3櫛歯領域S3に設けられる。例えば、公知のリソグラフィ技術を用いて、第3櫛歯領域S3を除く箇所にレジストマスクを設けることにより、第3櫛歯領域S3にp側コンタクト層40を選択的に形成できる。p側コンタクト層40は、例えばITOから構成され、スパッタリング法で形成できる。p側コンタクト層40を構成するITO層を形成した後、p側コンタクト層40にアニール処理が施される。アニール処理によりp側コンタクト層40のコンタクト抵抗を1×10−2Ω・cm以下にできる。
【0094】
次に図14に示すように、n側コンタクト層44を被覆するように第1電流拡散層46を形成する。第1電流拡散層46は、図3の第2櫛歯領域S2に設けられる。例えば、公知のリソグラフィ技術を用いて、第2櫛歯領域S2を除く箇所にレジストマスクを設けることにより、第2櫛歯領域S2に第1電流拡散層46を選択的に形成できる。第1電流拡散層46は、n側コンタクト層44の上面および側面を被覆できるように、n側コンタクト層44の形成領域よりもわずかに広い領域にわたって形成されることが好ましい。
【0095】
第1電流拡散層46は、アニール処理後のn側コンタクト層44の上に形成される。第1電流拡散層46は、例えばスパッタリング法やEB蒸着法を用いて、第1TiN層、金属層および第2TiN層を順に積層することで形成される。第1電流拡散層46は、p側コンタクト層40と高さが揃うように形成される。p側コンタクト層40の上面の高さ位置と第1電流拡散層46の上面の高さ位置の差は、100nm以下または50nm以下である。
【0096】
次に図15に示すように、第1電流拡散層46を被覆するように第2電流拡散層48が形成され、p側コンタクト層40の上にp側電流拡散層42が形成される。p側電流拡散層42および第2電流拡散層48は、同時に形成できる。p側電流拡散層42と第2電流拡散層48を同時に形成することで、p側電流拡散層42と第2電流拡散層48の厚みを同じにでき、p側電流拡散層42第2電流拡散層48の上面の高さ位置を揃えることができる。
【0097】
第2電流拡散層48は、図3の第2櫛歯領域S2に設けられる。p側電流拡散層42は、図4の第3櫛歯領域S3に設けられる。例えば、公知のリソグラフィ技術を用いて、第2櫛歯領域S2および第3櫛歯領域S3を除く箇所にレジストマスクを設けることにより、第2櫛歯領域S2に選択的に第2電流拡散層48を形成し、第3櫛歯領域S3に選択的にp側電流拡散層42を形成できる。第2電流拡散層48は、第1電流拡散層46の上面および側面を被覆できるように、第1電流拡散層46の形成領域よりもわずかに広い領域にわたって形成されることが好ましい。一方、p側電流拡散層42は、p側コンタクト層40の上面にのみ形成されるよう、p側コンタクト層40の形成領域よりもわずかに狭い領域にわたって形成されることが好ましい。n側コンタクト層44および第2電流拡散層48は、例えばスパッタリング法やEB蒸着法を用いて、第1TiN層、金属層および第2TiN層を順に積層することで形成される。
【0098】
なお、p側電流拡散層42および第2電流拡散層48は、同時ではなく、別々に形成されてもよい。例えば、p側電流拡散層42を形成するためのマスクを用いてp側電流拡散層42を形成した後、第2電流拡散層48を形成するためのマスクを用いて第2電流拡散層48を形成してもよい。p側電流拡散層42と第2電流拡散層48の形成順序は特に問わず、第2電流拡散層48を形成した後にp側電流拡散層42を形成してもよい。例えば、第1電流拡散層46と第2電流拡散層48を連続的に形成した後、p側電流拡散層42を形成してもよい。
【0099】
次に図16に示すように、活性層26、p型半導体層28、p側コンタクト電極30およびn側コンタクト電極32pを被覆するように第2マスク62を形成する。第2マスク62の形成範囲は、図3のn型半導体層24の形成範囲、つまり、n型半導体層24の外縁24cより内側の領域に相当する。第2マスク62は、公知のリソグラフィ技術を用いて形成できる。つづいて、第2マスク62の上からn型半導体層24をエッチングし、第2マスク62と重ならない領域のベース層22の上面22aを露出させる。このエッチング工程により、第2角度θで傾斜するn型半導体層24の側面(第2メサ面)が形成される。n型半導体層24は、塩素系ガス、または、塩素系ガスと希ガスの混合ガスを用いてドライエッチングできる。第2メサ面の形成後、第2マスク62が除去される。
【0100】
次に図17に示すように、n型半導体層24の側面(第2メサ面)、活性層26およびp型半導体層28の側面(第1メサ面)、p側コンタクト電極30およびn側コンタクト電極32を被覆するように保護層34を形成する。保護層34は、ベース層22よりも上側の素子構造の全体を被覆するように形成される。保護層34は、例えばSiOまたはSiONから構成され、化学気相成長(CVD)法などの周知の技術を用いて形成できる。
【0101】
次に図18に示すように、保護層34の上に第3マスク63を形成し、第3マスク63が設けられていない箇所の保護層34を除去する。第3マスク63は、図6の第4櫛歯領域S4および第5櫛歯領域S5を除く箇所に設けられる。保護層34は、CF系のエッチングガスを用いてドライエッチングすることができ、例えば、六フッ化エタン(C)を用いることができる。このエッチング工程により、p側コンタクト電極30が露出するp側パッド開口56と、n側コンタクト電極32が露出するn側パッド開口58とが形成される。
【0102】
第3マスク63は、ベース層22の上面22aが露出する外周領域を除いて形成されてもよい。この場合、保護層34のエッチング工程により、外周領域においてベース層22の上面22aが露出してもよい。外周領域は、一枚の基板から複数の半導体発光素子12を形成する場合の素子分離領域に相当する。保護層34をエッチング工程の実行後、第3マスク63が除去される。
【0103】
図18に示すドライエッチング工程では、p側電流拡散層42および第2電流拡散層48がエッチングストップ層として機能する。より具体的には、p側電流拡散層42および第2電流拡散層48の第2TiN層がエッチングストップ層として機能する。TiNは、保護層34を除去するためのフッ素系のエッチングガスとの反応性が低く、エッチングによる副生成物が発生しにくい。そのため、保護層34のエッチング工程において、p側コンタクト電極30およびn側コンタクト電極32へのダメージを防止できる。その結果、p側パッド開口56におけるp側コンタクト電極30の露出面およびn側パッド開口58におけるn側コンタクト電極32の露出面を高品質に維持できる。
【0104】
次に図19に示すように、保護層34の上に第4マスク64を形成し、第4マスク64が設けられていない箇所にp側パッド電極36およびn側パッド電極38を形成する。p側パッド電極36は、p側パッド開口56の全体を塞ぐようにp側コンタクト電極30および保護層34の上に形成され、p側コンタクト電極30と接続される。n側パッド電極38は、n側パッド開口58の全体を塞ぐようにn側コンタクト電極32および保護層34の上に形成され、n側コンタクト電極32と接続される。p側パッド電極36およびn側パッド電極38は、例えばNi層またはTi層をp側電流拡散層42または第2電流拡散層48の上に堆積し、その上にAu層を堆積することで形成できる。p側パッド電極36およびn側パッド電極38の形成後に第4マスク64が除去される。
【0105】
p側パッド電極36およびn側パッド電極38は、同時に形成してもよいし、別々に形成されてもよい。例えば、p側パッド電極36を形成するためのマスクを用いてp側パッド電極36を形成した後、n側パッド電極38を形成するためのマスクを用いてn側パッド電極38を形成してもよい。p側パッド電極36とn側パッド電極38の形成順序は特に問わず、n側パッド電極38を形成した後にp側パッド電極36を形成してもよい。
【0106】
以上の工程により、図1の半導体発光素子12ができあがる。
【0107】
つづいて、半導体発光素子12を実装基板14に接合する工程に説明する。まず、実装基板14の上にp側バンプ16およびn側バンプ18を形成する。p側バンプ16は、p側実装電極14pの上に形成され、n側バンプ18は、n側実装電極14nの上に形成される。p側バンプ16およびn側バンプ18は、いわゆるAuスタッドバンプであり、Auワイヤの先端部を溶融させてボール状にしたものをp側実装電極14pまたはn側実装電極14nに押しつけることで形成できる。
【0108】
次に、p側バンプ16およびn側バンプ18の上に半導体発光素子12を配置する。半導体発光素子12は、p側パッド電極36がp側バンプ16と接触し、n側パッド電極38がn側バンプ18と接触するように位置合わせされる。半導体発光素子12は、p側外側バンプ16aがp側バスバー電極30aと重なり、n側外側バンプ18aがn側バスバー電極32aと重なり、かつ、p側内側バンプ16bおよびn側内側バンプ18bがp側内側フィンガー電極30bと重なるように位置合わせされることが好ましい。その後、例えば、半導体発光素子12および実装基板14に超音波振動を加えることで、p側バンプ16がp側実装電極14pと超音波接合し、n側バンプ18がn側実装電極14nと超音波接合する。なお、半導体発光素子12と実装基板14の間の接合方法は、超音波接合に限られず、任意の接合技術が用いられてもよい。これにより、図1の半導体発光装置10ができあがる。
【0109】
半導体発光素子12は、p側バンプ16およびn側バンプ18を使用せずに実装基板14に接合または実装されてもよい。半導体発光素子12と実装基板14の間は、例えば金錫(AuSn)などの半田材料を用いて接合されてもよい。例えば、半導体発光素子12のp側パッド電極36およびn側パッド電極38の表面にAuSn層を形成しておき、半導体発光素子12を実装基板14の上に配置した状態でAuSn層を溶融させて両者を接合してもよい。AuSn層は、実装基板14のn側実装電極14nおよびp側実装電極14pの表面に設けられてもよいし、半導体発光素子12と実装基板14の双方に設けられてもよい。また、半導体発光素子12と実装基板14の間にAuSnのプリフォームを配置して溶融させることで両者を接合してもよい。
【0110】
本実施の形態によれば、p側コンタクト電極30およびn側コンタクト電極32を櫛歯形状とし、p側コンタクト電極30およびn側コンタクト電極32が第1方向(x方向)に交互に配置される構成とすることで、活性層26の発光分布を均一化できる。本実施の形態のようなフリップチップ型の半導体発光素子12の場合、n側コンタクト電極32に隣接する活性層26の外周部における発光強度が大きくなり、n側コンタクト電極32から離れた活性層26の中央部における発光強度が小さくなる傾向にある。本実施の形態では、活性層26を櫛歯形状とし、活性層26の幅w1a,w1b,w1cを小さくすることで、n側コンタクト電極32から活性層26の中央部までの距離を小さくできる。その結果、活性層26の中央部における発光強度の低下を抑制でき、活性層26の発光分布を均一化できる。活性層26の発光強度を均一化することで、高電流時に発光効率が低下するドループ現象を抑制することができ、半導体発光素子12の発光効率を向上できる。
【0111】
本実施の形態によれば、半導体発光素子12の三つの側面12a,12c,12dに沿って活性層26を設けることで、活性層26が占める面積をより大きくすることができる。つまり、活性層26が外側フィンガー部26cを有することで、n側コンタクト電極32が第3側面12cおよび第4側面12dに沿って設けられる場合に比べて、活性層26の面積割合を大きくできる。これにより、半導体発光素子12の発光面積を増やすことができ、発光効率を向上できる。
【0112】
本実施の形態によれば、活性層26の外側フィンガー部26cの幅w1cを内側フィンガー部26bの幅w1bより小さくすることで、半導体発光素子12の単位面積あたりの発光量を増やすことができる。活性層26の外側フィンガー部26cは、n側フィンガー電極32bと隣接する箇所の発光強度が大きく、第3側面12cまたは第4側面12dと隣接する箇所の発光強度は小さくなる。活性層26の外側フィンガー部26cの幅w1cを小さくすることで、活性層26において発光強度が低下する箇所の面積割合を小さくできる。
【0113】
本実施の形態によれば、p側パッド開口56およびn側パッド開口58を櫛歯形状とすることで、櫛歯形状のp側コンタクト電極30およびn側コンタクト電極32に効率的に電流を供給できる。例えば、p側バスバー電極30aに対応する箇所のみにp側パッド開口が設けられる場合、p側バスバー電極30aから離れたp側内側フィンガー電極30bおよびp側外側フィンガー電極30cの先端部に供給される電流量が低下してしまう。同様に、n側バスバー電極32aに対応する箇所のみにn側パッド開口が設けられる場合、n側バスバー電極32aから離れたn側フィンガー電極32bの先端部に供給される電流量が低下してしまう。一方、本実施の形態によれば、p側内側フィンガー電極30bおよびp側外側フィンガー電極30cと重なる位置にもp側パッド開口56を設けることで、p側内側フィンガー電極30bおよびp側外側フィンガー電極30cの先端部に供給される電流量の低下を抑制できる。また、n側フィンガー電極32bと重なる位置にもn側パッド開口58を設けることで、n側フィンガー電極32bの先端部に供給される電流量の低下を抑制できる。これにより、半導体発光素子12の発光分布の均一性をより高めることができ、発光効率をさらに向上できる。
【0114】
本実施の形態によれば、p側内側バンプ16bを設けることで、p側内側フィンガー電極30bおよびp側外側フィンガー電極30cに効率的に電流を供給できる。同様に、n側内側バンプ18bを設けることで、n側フィンガー電極32bに効率的に電流を供給できる。これにより、半導体発光素子12の発光分布の均一性をより高めることができ、発光効率をさらに向上できる。
【0115】
本実施の形態によれば、p側内側バンプ16bおよびn側内側バンプ18bをp側内側フィンガー電極30bと重なる位置、つまり、活性層26の内側フィンガー部26bに設けることで、半導体発光素子12と実装基板14の間の接合強度を高めることができる。活性層26は、基板20の上にエピタキシャル成長して形成されるため、機械的強度が相対的に高い。また、活性層26の内側フィンガー部26bの幅w1bは、外側フィンガー部26cの幅w1cやn側フィンガー電極32bの幅w2bよりも大きいため、機械的強度が相対的に高い。このような機械的強度の高い箇所にp側内側バンプ16bおよびn側内側バンプ18bを設けることで、半導体発光素子12と実装基板14の間の接合強度を高めることができ、半導体発光装置10の信頼性を向上できる。
【0116】
本実施の形態によれば、p側電流拡散層42を設けることにより、p側パッド電極36から注入される電流を横方向(水平方向)に拡散させることができ、活性層26の発光面積を広げることができる。これにより、半導体発光素子12の光出力を高めることができる。
【0117】
本実施の形態によれば、第1電流拡散層46および第2電流拡散層48によりn側コンタクト層44を被覆することで、n側コンタクト層44を封止する機能をより高めることができる。これにより、n側コンタクト層44に含まれるAl層が通電使用時に酸化等によって腐食することを防止できる。その結果、n側コンタクト層44の紫外光反射率の低下を抑制でき、反射電極としての機能を長期間にわたって維持でき、通電使用に伴う光出力の低下を抑制できる。つまり、長期間にわたって高い光出力を維持できる半導体発光素子12を実現できる。
【0118】
本実施の形態によれば、p側電流拡散層42、第1電流拡散層46および第2電流拡散層48として、TiN層、金属層およびTiN層を順に積層させた積層構造を用いることで、高い導電性を実現するとともに、金属のマイグレーションを防止できる。例えば、具体的には、TiN層を用いることで金属のマイグレーションを防止できるとともに、TiN層とTiN層の間に金属層を入れることで導電率を高めることができる。
【0119】
本実施の形態によれば、第1電流拡散層46を設けることで、p側コンタクト層40の上面の高さ位置と、第1電流拡散層46の上面の高さ位置とを揃えることができる。本実施の形態では、n型半導体層24の第2上面24bからp型半導体層28の上面28aまでの厚みが400nm〜1500nm程度と大きいため、高さ調整のための第1電流拡散層46を設けない場合、p側パッド電極36とn側パッド電極38の高さが大きくずれてしまう。p側パッド電極36とn側パッド電極38の高さのずれが大きい場合、p側バンプ16およびn側バンプ18を用いて実装基板14に接合する際に不均一な力が加わって半導体発光素子12にダメージが生じるおそれがある。特に、p側パッド電極36とn側パッド電極38の高さのずれが200nm以上または500nm以上となる場合、実装時の不良率が増加する傾向にある。本実施の形態によれば、p側コンタクト層40の上面の高さ位置と第1電流拡散層46の上面の高さ位置の差を100nm以下とすることで、p側パッド電極36とn側パッド電極38の高さのずれを100nm以下にでき、実装時の不良率を低減できる。
【0120】
本実施の形態によれば、p側電流拡散層42と第2電流拡散層48の構造や厚みを実質的に同一とすることで、半導体発光素子12の実装時にp側コンタクト層40と第1電流拡散層46に加わる力を均一化することができ、実装時の不良率を低減できる。
【0121】
本実施の形態によれば、p側電流拡散層42、第1電流拡散層46および第2電流拡散層48にTiN層を用いることで、誘電体材料から構成される保護層34との密着性を高めることができる。これにより、p側コンタクト電極30やn側コンタクト電極32から保護層34が剥離することによる封止機能の低下を防止できる。これにより、長期間にわたって光出力が低下しにくい半導体発光素子12を実現できる。
【0122】
本実施の形態によれば、n側コンタクト層44の金属層の上にTiN層を設けた状態でアニール処理をすることで、アニール処理時における金属層の酸化を防止できる。これにより、n側コンタクト層44の紫外光反射率の低下やn側コンタクト層44の上面の平坦性の低下を防止できる。
【0123】
本実施の形態によれば、n側コンタクト層44のアニール処理後に第1電流拡散層46および第2電流拡散層48を形成することで、アニール処理により第1電流拡散層46および第2電流拡散層48の劣化を防止できる。同様に、p側コンタクト層40のアニール処理後にp側電流拡散層42を形成することで、アニール処理によるp側電流拡散層42の劣化を防止できる。
【0124】
(第2の実施の形態)
図20は、第2の実施の形態に係る半導体発光素子112の構成を概略的に示す上面図であり、上述の図6に対応する。第2の実施の形態では、p側パッド電極136、n側パッド電極138、p側パッド開口156およびn側パッド開口158の形成範囲を第1の実施の形態から変更している。第2の実施の形態におけるその他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0125】
第2の実施の形態では、第1の実施の形態に比べて、p側パッド電極136の第2方向(y方向)の幅wを大きくし、n側パッド電極138の第2方向(y方向)の幅wを小さくしている。p側パッド電極136の幅wは、n側パッド電極138の幅wの1.5倍以上であり、例えば2倍〜4倍程度である。p側パッド開口156の形成範囲は、p側パッド電極136の形成範囲に対応して第2方向(y方向)に大きくしている。具体的には、p側内側フィンガー開口156bおよびp側外側フィンガー開口156cの第2方向(y方向)の長さを第1の実施の形態に比べて大きくしている。一方、n側パッド開口158の形成範囲は、p側パッド電極136の形成範囲に対応して第2方向(y方向)に小さくしている。具体的には、n側パッド開口158bの第2方向(y方向)の長さを第1の実施の形態に比べて大きくしている。
【0126】
第2の実施の形態においても、上述の第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。また、第2の実施の形態によれば、p側パッド電極136およびp側パッド開口156の形成範囲を広くすることで、活性層26の全体に対して電流をより均一に供給できる。特に、活性層26の内側フィンガー部26bや外側フィンガー部26cの先端部に対して電流を効率的に供給できる。これにより、活性層26の発光分布を改善できる。
【0127】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上述の実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【0128】
ある実施の形態において、第1電流拡散層46および第2電流拡散層48の少なくとも一方は、n側コンタクト層44の形成領域よりも広い領域にわたって設けられる。例えば、第1電流拡散層46がn側コンタクト層44よりも広い領域に設けられるのに対し、第2電流拡散層48がn側コンタクト層44と一致する領域またはn側コンタクト層44よりも狭い領域に設けられてもよい。なお、第1電流拡散層46がn側コンタクト層44に一致する領域またはn側コンタクト層44よりも狭い領域に設けられるのに対し、第2電流拡散層48がn側コンタクト層44よりも広い領域に設けられてもよい。また、第1電流拡散層46および第2電流拡散層48の双方がn側コンタクト層44よりも広い領域に設けられてもよい。この場合、第2電流拡散層48の形成領域は、第1電流拡散層46の形成領域と一致してもよいし、第1電流拡散層46の形成領域よりも広くてもよいし、第1電流拡散層46の形成領域よりも狭くてもよい。
【0129】
上述の実施の形態では、n側コンタクト層44の上に第1電流拡散層46および第2電流拡散層48を設ける場合を示した。別の実施の形態では、第1電流拡散層46および第2電流拡散層48を設ける代わりに、n側コンタクト層44の上に単一のn側電流拡散層を設けてもよい。n側電流拡散層は、第1TiN層、金属層および第2TiN層の積層構造を一つだけ備えてもよい。n側電流拡散層の上面の高さ位置とp側電流拡散層42の上面の高さ位置の差は、100nm以下であることが好ましい。n側電流拡散層は、第1TiN層、金属層および第2TiN層の積層構造を三以上備えてもよい。また、p側電流拡散層42は、第1TiN層、金属層および第2TiN層の積層構造を二以上備えてもよい。
【0130】
上述の実施の形態では、p側コンタクト層40としてITOなどの透明導電性酸化物を用いる場合について示した。別の実施の形態では、p側コンタクト層40としてロジウム(Rh)などの白金族金属層と、白金族金属層の上面および側面を被覆するTiN層とを積層させた構造を用いてもよい。
【0131】
上述の実施の形態では、p型半導体層28の厚さを400nm以上とする場合について示した。別の実施の形態では、p型半導体層28の厚さを100nm以下程度に薄くしてもよい。特に、p側コンタクト層40としてRhを用いる場合、p型半導体層28の厚さを100nm以下にしてもよい。この場合、n型半導体層24の第2上面24bからp型半導体層28の上面までの高さが小さくなるため、高さ調整のための第1電流拡散層46を設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0132】
10…半導体発光装置、12…半導体発光素子、14…実装基板、16a,16b…p側バンプ、18a,18b…n側バンプ、20…基板、24…n型半導体層、26…活性層、28…p型半導体層、30…p側コンタクト電極、32…n側コンタクト電極、34…保護層、36…p側パッド電極、38…n側パッド電極、40…p側コンタクト層、42…p側電流拡散層、44…n側コンタクト層、46…第1電流拡散層、48…第2電流拡散層、56…p側パッド開口、58…n側パッド開口、S1…第1櫛歯領域、S2…第2櫛歯領域、S3…第3櫛歯領域、S4…第4櫛歯領域、S5…第5櫛歯領域。
【要約】
【課題】半導体発光素子の発光分布および実装性を改善する。
【解決手段】n型半導体層24上の第1櫛歯領域に設けられる活性層26と、活性層26上に設けられるp型半導体層28と、n型半導体層24上の第2櫛歯領域に設けられるn側コンタクト電極32と、p型半導体層28上の第3櫛歯領域に設けられるp側コンタクト電極30と、p側コンタクト電極30上の第4櫛歯領域に設けられるp側パッド開口56と、n側コンタクト電極32上の第5櫛歯領域に設けられるn側パッド開口58とを有し、誘電体材料から構成される保護層34と、p側パッド開口56においてp側コンタクト電極30と接続するp側パッド電極36と、n側パッド開口58においてn側コンタクト電極と接続するn側パッド電極38と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16
図17
図18
図19
図20