(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
【0026】
〜構成〜
図1は、本発明の一実施の形態による電動式油圧作業機械の油圧駆動装置を示す図である。
【0027】
本実施の形態の油圧駆動装置は、電動機1と、電動機1によって駆動される可変容量型のメインポンプ2(油圧ポンプ)及び固定容量型のパイロットポンプ30と、可変容量型のメインポンプ2から吐出された圧油によって駆動される複数のアクチュエータである、ブームシリンダ3a、アームシリンダ3b、旋回モータ3c、バケットシリンダ3d(
図2参照)、スイングシリンダ
(図示せず)、走行モータ3f,3g(同)、ブレードシリンダ3h(同)と、可変容量型のメインポンプ2から吐出された圧油を複数のアクチュエータ3a,3b,3c,3
d,3f,3g,3hへ導くための圧油供給路5と、圧油供給路5の下流に接続され、可変容量型のメインポンプ2から吐出された圧油が導かれる制御弁ブロック4(制御弁装置)とを備えている。以下、「アクチュエータ3a,3b,3c,3d,3f,3g,3h」は「アクチュエータ3a,3b,3c・・・」と簡略して標記する。
【0028】
制御弁ブロック4は、メインポンプ2(油圧ポンプ)から吐出された圧油を複数のアクチュエータ3a,3b,3c・・・に分配供給する制御弁装置を構成しており、制御弁ブロック4内には、複数のアクチュエータ3a,3b,3c・・・を制御するための複数の方向切換弁6a,6b,6c・・・と、複数の方向切換弁6a,6b,6c・・・の各メータイン開口の下流側にそれぞれ位置する複数の圧力補償弁7a,7b,7c・・・とが配置されている。圧力補償弁7a,7b,7c・・・には、圧力補償弁7a,7b,7c・・・のスプールを閉じ方向に付勢するバネが設けられ、かつ圧力補償弁7a,7b,7c・・・のスプールを開き方向に付勢する側に複数の方向切換弁6a,6b,6c・・・のメータイン開口の下流側の圧力が導かれ、圧力補償弁7a,7b,7c・・・のスプールを閉じ方向に付勢する側に後述する複数のアクチュエータ3a,3b,3c・・・の最高負荷圧Plmaxが導かれる。
【0029】
複数の方向切換弁6a,6b,6c・・・と複数の圧力補償弁7a,7b,7c・・・は、メインポンプ2から吐出された圧油を複数のアクチュエータ3a,3b,3c・・・に分配して供給する制御弁装置を構成している。
【0030】
また、制御弁ブロック4内において、圧油供給路5の下流には、圧油供給路5の圧力(メインポンプ2の吐出圧)を予め決められた設定圧力以上になると圧油供給路5の圧油をタンクに排出するリリーフ弁14と、圧油供給路5の圧力(メインポンプ2の吐出圧)と最高負荷圧Plmaxとの差圧がある設定圧以上になると圧油供給路5の圧油をタンクに排出するアンロード弁15とが設けられている。
【0031】
更に、制御弁ブロック4内には、複数の方向切換弁6a,6b,6c・・・の負荷圧検出ポートに接続されたシャトル弁9a,9b、9c・・・が配置されている。シャトル弁9a,9b、9c・・・はそれぞれトーナメント形式に接続され、最上位のシャトル弁9cに最高負荷圧が検出され、油路8に出力される。シャトル弁9a,9b、9c・・・は複数のアクチュエータ3a,3b,3c・・・の最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出装置を構成する。
【0032】
アンロード弁15は、アンロード弁15を閉じる方向に複数のアクチュエータ3a,3b,3c・・・の最高負荷圧が導かれる受圧部15aと、アンロード弁15を閉じる方向に設けられたバネ15bと、アンロード弁15を開く方向に圧油供給路5の圧力(メインポンプ2の吐出圧)が導かれる受圧部15cとを備えている。
【0033】
可変容量型のメインポンプ2には、その容量(傾転角)を調整するレギュレータピストン17と、レギュレータピストン17に対向する向きに配置されたバネ18とが備えられ、圧油供給路5の圧力をレギュレータピストン17に導き、圧油供給路5の圧力が高くなると、その傾転を小さくして可容量型のメインポンプ2の吸収動力を低減する馬力制御を行うように構成されている。
【0034】
パイロットポンプ30の圧油供給路31には、圧油供給路31の圧力を一定に保ち、圧油供給路31にパイロット油圧源を形成するパイロットリリーフ弁32と、圧油供給路31の圧力を、複数の方向切換弁6a,6b,6c・・・の作動をするための複数のパイロットバルブ(図示せず)に供給するか否かを切り換える切換弁100とが設けられている。複数のパイロットバルブ(図示せず)は、ブームシリンダ3a、アームシリンダ3b、バケットシリンダ3d、旋回モータ3c用の操作レバー装置124A,124B(
図2参照)を含む複数の操作レバー装置にそれぞれ内蔵され、操作レバー装置の操作レバーを操作することにより作動し、圧油供給路31から導かれた圧油をパイロット一次圧として複数の方向切換弁6a,6b,6c・・・の作動するための操作パイロット圧を生成する。切換弁100は、油圧ショベル等建設機械の運転室108(
図2参照)内に設けられたゲートロックレバー24を操作することにより、複数のパイロットバルブ(図示せず)へ圧油供給路31の圧力
がパイロット一次圧として供給されるか、パイロットバルブに供給されたパイロット一次圧をタンクに排出するかが切り換えられる。
【0035】
また、本実施の形態の油圧駆動装置は、コントローラ50と、基準回転数を指示する基準回転数指示ダイヤル51と、電動機1の回転数を制御するためのインバータ60と、インバータ60に直流電力供給路65を介して接続され、インバータ60に直流電力を供給するバッテリ70と、電動機1が消費可能な最大許容動力を設定する入力装置81を内蔵したモニタ80と、インバータ60に直流電力供給路65を介して接続されたAC/DC変換器90と、AC/DC変換器90に接続されたコネクタ91とを備え、AC/DC変換器90は商用電源92から供給される交流電力を直流電力に変換してインバータ60に供給する。
【0036】
また、本実施の形態の油圧駆動装置は、圧油供給路5に接続され、メインポンプ2の吐出圧であるポンプ圧Ppsを検出する圧力センサ40と、最高負荷圧が導かれる油路8に接続され、最高負荷圧Pplmaxを検出する圧力センサ41とを備え、圧力センサ40,41からの圧力信号は、基準回転数指示ダイヤル51からの基準回転数信号及び入力装置81からの最大許容動力の信号とともにコントローラ50に入力される。
【0037】
図2に、本実施の形態の油圧駆動装置が搭載される電動式油圧作業機械の一例である油圧ショベルの外観を示す。
【0038】
油圧ショベルは、上部旋回体102と、下部走行体101と、スイング式のフロント作業機104を備え、フロント作業機104は、ブーム111、アーム112、バケット113から構成されている。上部旋回体102と下部走行体101は旋回輪215によって回転自在に接続され、上部旋回体102は下部走行体101に対し旋回モータ3cの回転によって旋回可能である。上部旋回体
102の前部にはスイングポスト103が取付けられ、このスイングポスト103にフロント作業機104が上下動可能に取付けられている。スイングポスト103はスイングシリンダ
(図示せず)の伸縮により上部旋回体102に対して水平方向に回動可能であり、フロント作業機104のブーム111、アーム112、バケット113はブームシリンダ3a、アームシリンダ3b、バケットシリンダ3dの伸縮により上下方向に回動可能である。下部走行体101の中央フレーム105には、アイドラ211と、ブレードシリンダ3hの伸縮により上下動作を行うブレード106が取付けられている。下部走行体101は、走行モータ3f,3g
を回転させ、駆動輪210を介して左右の履帯212を駆動することによって走行を行う。
【0039】
上部旋回体102は、旋回フレーム107の上にバッテリ70を搭載するバッテリ搭載部109と、運転室108が設置され、運転室108内には、運転席122と、ブームシリンダ3a、アームシリンダ3b、バケットシリンダ3d、旋回モータ3c用の操作レバー装置124A,124Bと、モニタ80と、ゲートロックレバー24(
図1参照)が設けられている。
【0040】
図3は、本実施の形態におけるコントローラ50のCPUが行う処理内容を示す機能ブロック図である。
【0041】
図3において、圧力センサ41,40からの信号Vplmax,Vpsは、それぞれテーブル50a,50bを介して最高負荷圧Pplmax、ポンプ圧Ppsに変換され、差分器50dに導かれ、LS差圧Pls(Pls=Pps-Pplmax)が算出される。
【0042】
一方、基準回転数指示ダイヤル51からの信号Vecは、テーブル50cを介して基準回転数Nbに変換され、テーブル50fを介して目標LS差圧Pgrを算出する。LS差圧Plsと目標LS差圧Pgrは差分器50eに導かれ、両者の差圧偏差ΔP(ΔP=Pgr-Pls)が算出される。この差圧偏差ΔPは、メインポンプ2に要求される吐出流量の過不足を表すパラメータ
である。差圧偏差ΔPはテーブル50hに入力され、差圧偏差ΔP(吐出流量の過不足)に応じた必要仮想容量変化量(増減量)Δqが算出される。
【0043】
仮想容量変化量Δqは、レート制限部50jにて、後述する許容レート算出部50nによって算出された最大仮想容量変化量Δqlimitによって制限され、制限後仮想容量変化量Δq’が出力される。
【0044】
図4に、本実施の形態におけるレート制限部50jの機能ブロック図を示す。
【0045】
レート制限部50jは最小値選択器50jaを有し、テーブル50hで算出された仮想容量変化量Δqと、許容レート算出部50nで算出された最大仮想容量変化量Δqlimitとが最小値選択器50jaに入力され、それらの小さい方が制限後仮想容量変化量Δq’として出力される。
【0046】
制限後仮想容量変化量Δq’は、遅れ要素50m及び加算器50lにより、1制御サイクル前の、後述する制限後仮想容量q’に加算され、新たな仮想容量qが算出される。仮想容量qは、制限器50oによって最小値/最大値が制限され、制限後仮想容量q’が算出される。前記制限後仮想容量q’は、ゲイン50pを乗じた上で、前述の基準回転数Nbとともに乗算器50qに導かれ、目標流量Qd(Qd=q’×Nb/1000)が算出される。
【0047】
目標流量Qdにゲイン50rを乗じ、その値を除算器50uにて後述する容量制限値qlimitで割ることで、電動機1の目標回転数Nd(Nd=Qd×1000/qlimit)が算出される。目標回転数Ndは、テーブル50sで指令値Vinvに変換され、Vinvがインバータ60へ出力される。
【0048】
一方、テーブル50bにて変換された圧油供給路5の圧力、すなわちポンプ圧Ppsは、テーブル50gに導かれ、容量制限値qlimitが算出される。テーブル50gには、可変容量型メインポンプ2のレギュレータピストン17とバネ18による馬力制御特性を模擬した特性が設定されている。
【0049】
図5は、テーブル50gに設定された馬力制御特性を示す図である。
【0050】
図5において、圧油供給路5の圧力Pps<Ppq1の場合、容量制限値qlimitは、メインポンプ2の物理的な最大容量qmaxと等しい(qlimit=qmax)。Ppq1≦Pps<Ppq2の場合は、ポンプ圧Ppsが大きくなるにつれて、その値が小さくなっていき、Pps=Ppq2の場合に最小値qminに到達する。
【0051】
テーブル50gで算出された容量制限値qlimitはゲイン50tを乗じた上で、前述の基準回転数Nbと乗算器50iによって乗算され、最大制限流量Qlimitが算出される。最大制限流量Qlimitは、前述の目標流量Qdと最小値選択器50kに入力され、それらの小さい方が制限後流量Q’として選択され、出力される。
【0052】
制限後流量Q’は、電動機1によって駆動され、レギュレータピストン17とバネ18とによって馬力制御されるメインポンプ2が吐出する流量の推定値であり、テーブル50g、ゲイン50t、乗算器50i及び最小値選択器50kは、メインポンプ2が実際に吐出している流量を推定するポンプ流量推定部
50yとして機能する。
【0053】
ポンプ流量推定値である制限後流量Q’と、前述の目標流量Qd、前述のポンプ圧Pps、前述の基準回転数Nbと、モニタ80内に設けられた入力装置81によって入力された最大許容動力Pwmaxは、ともに許容レート算出部50nに導かれ、許容レート算出部50nによって算出された最大仮想容量変化量Δqlimitが前述のレート制限部50jに導かれる。
【0054】
図6に、本実施の形態における許容レート算出部50nの機能ブロック図を示す。
【0055】
許容レート算出部50nは最大角加速度演算部50naと最大レート算出部50nbとを備えている。
【0056】
最大角加速度演算部50naには、入力装置81によって入力された最大許容動力Pwmaxと、制限後流量Q’、ポンプ圧Pps、目標流量Qdが導かれ、電動機1の最大角加速度dωlimitが演算される。
【0057】
最大角加速度演算部50naは、油圧動力算出部50ncと、変換パラメータ算出部50ndと、減算器50ne及び乗算器50nfと、最大許容動力設定部50ngとから構成されている。
【0058】
入力装置81によって入力された最大許容動力Pwmaxは最大許容動力設定部50ngに導かれ、その最大許容動力Pwmaxがメモリ(図示せず)に記憶され、最大許容動力Pwmaxが設定される。モニタ80は、電動機1の電源がバッテリ70か商用電源92であるかに応じて複数の最大許容電力Pwlimitを表示し、入力装置81の操作によって所望の最大許容電力Pwlimitが選択できるように構成されている。
【0059】
制限後流量Q’及びポンプ圧Ppsは油圧動力算出部50ncに導かれ、油圧動力算出部50ncは、制限後流量Q’とポンプ圧PpsからPps×Q’/60の演算を行って、メインポンプ2が消費している油圧動力Pwhを算出する。減算器50neでは、最大許容動力Pwmaxから油圧動力Pwhを減じ、電動機1の加速に消費可能な加速動力Pwaを算出する。
【0060】
図7に、電動機1を加速させるために使える動力の算出方法の考え方を示す。
【0061】
例えば可変容量型のメインポンプ2の吐出圧力やその吐出流量が小さく、油圧動力が小さい場合は、
図7の左側の棒グラフに示すように、最大許容動力Pwmaxの内、その多くを電動機1の加速に使えるということになる。
【0062】
逆に、メインポンプ2の吐出圧力および吐出流量が大きく、油圧動力が大きい場合は、
図7の右側の棒グラフに示すように、最大許容動力Pwmaxの内、電動機1の加速に使える動力は僅か、ということになる。
【0063】
このような考え方に基づき、油圧動力算出部50ncでメインポンプ2の油圧動力Pwhを算出し、減算器50neにおいて、最大許容動力Pwmaxから油圧動力Pwhを減じることで、電動機1の加速に消費可能な加速動力Pwaを算出する。
【0064】
目標流量Qdは変換パラメータ算出部50ndに導かれ
、変換パラメータ算出部50ndは、目標流量Qdを用いて1/Im×1/(2π×Qd×1000)の変換パラメータを演算する。ここで、Imは電動機1のロータが持つ慣性モーメントである。この変換パラメータの値は、乗算器50nfにて、電動機1の加速に消費可能な加速動力Pwaと乗算され、最大角加速度dωlimitが算出される。すなわち、1/(2π×Qd×1000)を電動機1の加速に消費可能な加速動力Pwaに乗ずることで加速動力Pwaをトルクに変換し、更に、それに1/Imを乗ずることで、電動機1に許容される最大の角加速度dωlimitが算出される。
【0065】
最大レート算出部50nbでは、最大角加速度演算部50naの演算結果である最大角加速度dωlimitから、可変容量型メインポンプ2の最大容量qmax、1制御サイクル時間Δt、基準回転数Nbを用い、許容される最大仮想容量変化量Δqlimitを算出する。
【0066】
ここで、qmaxは前述のように、可変容量型メインポンプ2の物理的な最大容量であり、Δtは、コントローラ50の1制御サイクル時間である。
【0067】
可変容量型メインポンプ2の最大容量qmax、1制御サイクル時間Δt、基準回転数Nbは、オペレータが基準回転数指示ダイヤルを操作しない限り、ともに1制御サイクル毎に更新される値ではなく、一定の値であるので、許容される最大角加速度dωlimitの大きさに比例し、最大仮想容量変化量Δqlimitも変動することになる。
【0068】
〜請求項との対応〜
テーブル50a,50b,50c,50f,50h,50s、差分器50d,50e、遅れ要素50m、加算器50l、制限器50o、ゲイン50p,50r、乗算器50q及び除算器50uは電動機回転数制御部50Aを構成し、コントローラ50は、この電動機回転数制御部50Aにおいて、メインポンプ2(油圧ポンプ)の吐出流量の過不足に応じたメインポンプ2の必要仮想容量変化量Δqを演算する。
【0069】
テーブル50g、ゲイン50t、乗算器50i及び最小値選択器50kによって構成されるポンプ流量推定部と、許容レート算出部50nと、レート制限部50jは最大角加速度制限部50Bを構成し、コントローラ50は、この最大角加速度制限部50Bにおいて、メインポンプ2(油圧ポンプ)が消費している油圧動力Pwhを算出し、この油圧動力の大きさと予め設定した電動機1が消費可能な最大許容動力Pwmaxとに基づいて電動機1に許容される最大角加速度dωlimitを算出し、この最大角加速度dωlimitを超えないように電動機1の角加速度を制限させて、前記電動機の回転数を制御する。
【0070】
また、本実施の形態においては、コントローラ50は、前記最大角加速度制限部50Bにおいて、最大許容動力Pwmaxからメインポンプ2が消費している油圧動力Pwhを減ずることで、電動機1が加速に消費可能な許容加速動力Pwaを算出し、この許容加速動力Pwaに基づいて最大角加速度dωlimitを算出する。
【0071】
更に、コントローラ50は、上記最大角加速度制限部50Bにおいて、電動機1に許容される最大角加速度dωlimitからメインポンプ2に許容される最大仮想容量変化量Δqlimitを算出し、最大仮想容量変化量Δqlimitを超えないようにメインポンプ2の必要仮想容量変化量Δqを制限することによって、最大角加速度dωlimitを超えないように電動機1の角加速度を制限させて、前記電動機の回転数を制御する。
【0072】
また、本実施の形態においては、コントローラ50は、上記電動機回転数制御部50Aにおいて、メインポンプ2の吐出圧(ポンプ圧Pps)と複数のアクチュエータ3a,3b,3c・・・の最高負荷圧Pplmaxとの差圧(LS差圧Pls)と、ロードセンシング制御の目標差圧(目標LS差圧Pgr)との差圧偏差ΔPを演算し、この差圧偏差ΔPに基づいてメインポンプ2の必要仮想容量変化量Δqを演算し、メインポンプ2の吐出圧が最高負荷圧よりも目標差圧だけ高くなるようにロードセンシング制御を行い、上記最大角加速度制限部50Bにおいて、差圧偏差ΔPに基づいて演算されたメインポンプ2の必要仮想容量変化量Δqが最大仮想容量変化量Δqlimitを超えないように制限する。
【0073】
〜作動〜
以上のように構成した本実施の形態の油圧駆動装置の作動を説明する。
【0074】
バッテリ70から供給される直流電力及び商用電源92からコネクタ91を介しAC/DC変換器90により交流電力から変換され供給される直流電力は、直流電力供給路65を介して、電動機1を駆動するインバータ60へ供給される。
【0075】
モニタ80内に内蔵された入力装置81から最大許容電力Pwlimitがコントローラ50に入力され、最大許容動力設定部50ngに最大許容電力Pwlimitが予め設定される。
【0076】
最大許容電力Pwlimitは、電動機1の電源がバッテリ70である場合は、バッテリ70の容量を考慮し、過電流による寿命低下を起こさないように設定する。また、電動機1の電源が商用電源92である場合は、商用電源92の許容電力を考慮し、ブレーカが遮断しないように設定する。
【0077】
基準回転数指示ダイヤル51からの入力は、コントローラ50のテーブル50cで基準回転数Nbに変換され、テーブル50fで目標LS差圧Pgrに変換される。
【0078】
基準回転数Nbは、電動機1の目標回転数Ndの最大値を設定するものであり、基準回転数Nbの大きさによって、各アクチュエータの最大速度を調整することができる。すなわち、スピード重視の作業を行う場合には基準回転数Nbは大きく設定し、微操作性を重視する作業の場合には基準回転数Nbは小さく設定すればよい。
【0079】
目標LS差圧Pgrは、基準回転数指示ダイヤル51の入力により、基準回転数Nbが大きくなるにつれて目標LS差圧Pgrも大きくなるように設定されている。
【0080】
固定容量型のパイロットポンプ30から吐出された圧油は、パイロットポンプ30の圧油供給路31に供給され、パイロットリリーフ弁32により、圧油供給路31にはパイロット一次圧Ppi0が生成される。
【0081】
パイロット一次圧Ppi0は、ゲートロックレバー24によって切換作動される切換弁100を介して、操作レバー装置124A,124Bを含む全ての操作レバー装置のパイロットバルブにそれぞれ供給される。
【0082】
(a) 全ての操作レバーが中立の場合
全ての操作レバー装置の操作レバーが中立の場合には、これら操作レバー装置に内蔵されている全てのパイロットバルブが中立であり、方向切換弁6a,6b,6c・・・も全て中立に保たれている。
【0083】
全ての方向切換弁6a,6b,6c・・・が中立なので、アクチュエータ3a,3b,3c・・・の負荷圧として
、タンク圧がシャトル弁9a,9b,9c・・・を介し、最高負荷圧Pplmaxとしてアンロード弁15および圧力センサ41に導かれる。
【0084】
アンロード弁15は、圧油供給路5の圧力が、バネ15bと最高負荷圧Pplmaxによって決まる圧力以上になるとその開口を開き、圧油供給路5の圧油をタンクに排出するので、上記のように最高負荷圧Pplmaxがタンク圧の場合、その設定圧はバネ15bで予め決められた圧力となり、圧油供給路5の圧力は、バネ15bで定められた圧力に保たれる。
【0085】
ここで、バネ15bによって定められた圧力は、基準回転数Nbが最大であるときにテーブル50fで演算される目標LS差圧Pgrよりも若干高く設定されている。
【0086】
一方、圧油供給路5の圧力Ppsは、圧油供給路5に接続された圧力センサ40に導かれ、前述の最高負荷圧Pplmaxとともに、コントローラ50に導かれる。
【0087】
全ての操作レバーが中立の場合は、差分器50eによって演算されるLS差圧Pls(=Pps−Pplmax=Pps)と、前述の目標LS差圧Pgrの間には、Pls>Pgrの関係が成立しているので、差圧偏差ΔP(=Pgr−Pls)は負の値となる。
【0088】
差圧偏差ΔPが負の値なので、テーブル50hで算出される仮想容量変化量Δqも負の値となる。
【0089】
仮想容量変化量Δqが負の値の場合は、許容レート算出部50nの出力である最大仮想容量変化量Δqlmitよりも仮想容量変化量Δqの方が小さく、仮想容量変化量Δqは最大仮想容量変化量Δqlmitで制限されることなく、制限後仮想容量変化量Δq’として加算器50lに導かれる。加算器50lでは、1サイクル前の制限後仮想容量q’に上記制限後仮想容量変化量Δq’が加算されるが、制限器50oにより、その最小値に制限され、その最小値が新たな制限後仮想容量q’として演算される。
【0090】
前述のように、全ての操作レバーが中立の場合は、仮想容量変化量Δqが負の値なので、制限後仮想容量q’はその最小値に維持される。
【0091】
制限後仮想容量q’は、ゲイン50pを乗じた上で、乗算器50qによって基準回転数Nbと乗算され、更にゲイン50rを乗じ、除算器50uにて容量制限値qlimitで割ることて目標回転数Ndが算出されるが、前述のように全ての操作レバーが中立の場合は、制限後仮想容量q’が最小値に保たれるので、目標回転数Ndもその最小値(最小回転数)に保たれる。
【0092】
目標回転数Ndは、テーブル50sによってインバータ60への指令値Vinvに変換され、指令値Vinvがインバータ60に導かれる。
【0093】
インバータ60は、指令値Vinvに従い、電動機1の回転数が目標回転数Nd(最小回転数)になるように電動機1の回転数を制御する。
【0094】
(b) 任意の操作レバーを操作した場合
複数のアクチュエータ3a,3b,3c,3
d,3f,3g,3hのうち、例えば操作レバー装置124Aの操作レバーをブーム上げ方向に操作した場合には、操作レバー装置124Aの対応するパイロットバルブが操作され、ブームシリンダ3aを駆動するための方向切換弁6aがブーム上げ方向に切り替わる。方向切換弁6aが切り替わると、ブームシリンダ3aの負荷圧がシャトル弁9a,9b,9c・・・を介して最高負荷圧Pplmaxとして検出され、最高負荷圧Pplmaxがアンロード弁15および圧力センサ41に導かれる。
【0095】
アンロード弁15は、バネ15bと最高負荷圧Pplmaxにより、その設定圧力が最高負荷圧Pplmax(ブームシリンダ3aの負荷圧)+バネ15bで決まる値となり、アンロード弁15は、圧油供給路5の圧力がその設定圧力以上に上昇するまで、圧油供給路5の圧油がタンクに排出される油路を遮断する。
【0096】
一方、操作レバー装置124Aのブーム上げ方向に対応するパイロットバルブを操作した直後は、圧油供給路5の圧力Ppsは、最高負荷圧Pplmax、すなわちブームシリンダ3aの負荷圧よりも低いので、コントローラ50において、差分器50dで演算されるLS差圧Pls(Pls=Pps-Pplmax)はPls<0となり、差分器50eで算出される差圧偏差ΔP(=Pgr−Pls)は正の値となる。差圧偏差ΔPが正なので、テーブル50hで算出される仮想容量変化量Δqも正の値となる。
【0097】
仮想容量変化量Δqは、レート制限部50jで最大仮想容量変化量Δqlimitに制限された上で、加算器50lで1制御サイクル前の制限後仮想容量q’に加えられ、更に制限器50oで最小値/最大値で制限され、新たな制限後仮想容量q’が算出される。
【0098】
制限後仮想容量q’は、ゲイン50p、乗算器50q、ゲイン50r、除算器50uによって目標回転数Ndに変換され、テーブル50sを経てインバータ60に指令値Vinvとして出力される。
【0099】
前述のように、仮想容量変化量Δqが正の値なので、電動機1の回転数は、LS差圧Plsが目標LS差圧Pgrと等しくなるまで増加し続け、Pls=Pgrに到達すると、その状態を維持するように電動機1の回転数を制御する。
【0100】
このように、コントローラ50は可変容量型メインポンプ2の回転数を制御することで、ポンプ圧Ppsが最高負荷圧Pplmaxよりも目標LS差圧Pgrだけ高くなるよう、可変容量型メインポンプ2から吐出される流量を制御し、いわゆるロードセンシング制御を行う。
【0101】
更に、メインポンプ2の馬力制御特性を模擬した特性を有するテーブル50gと、ゲイン50t、乗算器50iにより、ポンプ圧Ppsと基準回転数Nbからメインポンプ2が実際に吐出可能な最大許容流量Qlimitを算出し、最小値選択器50kによって最大許容流量Qlimitと乗算器50qで算出した目標流量Qdの小さい方を制限後流量Q’として選択することで、メインポンプ2が実際に吐出している流量を推定する。この流量Q’は、目標流量Qd、ポンプ圧Pps、基準回転数Nbとともに許容レート算出部50nに導かれ、最大仮想容量変化量Δqlimitが算出され、レート制限部50jで仮想容量変化量Δqを制限する。
【0102】
ここで、前述したように、許容レート算出部50nにおいては、入力装置81からの入力に基づいて予め設定された最大許容動力Pwmaxから可変容量型メインポンプ2が消費している油圧動力Pwhを減じ、電動機1が加速に消費可能な加速動力Pwaを算出し、この加速動力Pwaを用いて最大仮想容量変化量Δqlimitを算出する。
【0103】
これにより、可変容量型メインポンプ2が消費している油圧動力Pwhが小さい場合には、最大仮想容量変化量Δqlimitは十分に大きい値となり、レート制限部50jで仮想容量Δqが制限されることはない。このため、電動機1の回転数上昇は急峻なものになり、高い応答性でロードセンシング制御が行われる。
【0104】
一方、可変容量型メインポンプ2が消費している油圧動力Pwhが大きい場合には、最大仮想容量変化量Δqlimitは小さい値となるので、レート制限部50jで仮想容量Δqが制限されることになる。このため、電動機1の回転数上昇は緩やかなものになり、低い応答性でロードセンシング制御が行われる。
【0105】
〜効果〜
以上のように本実施の形態によれば、電動機1の回転数を制御することで、可変容量型メインポンプ2をロードセンシング制御するので、必要流量が小さい場合には、一定の電動機回転数で可変容量型メインポンプ2の傾転を制御してロードセンシング制御を行う場合に比べ、可変容量型メインポンプ2を、撹拌抵抗や摩擦抵抗が小さく、効率の良いより低回転数の領域で使用することができ、バッテリ70、又は商用電源92の消費電力を低く抑えることができる。
【0106】
また、可変容量型メインポンプ2が消費する油圧動力が変動しても、それに応じて電動機1の角加速度が制限されるので、電動機1が消費する全動力は、予め定められた最大許容動力内に確実に制限される。
【0107】
更に、油圧動力が小さく電動機1の角加速度を制限する必要がない場合には、電動機1の回転数を速やかに増加させ、油圧ポンプのロードセンシング制御を良好な応答性で行うことができる。このため、常に電動機1の角加速度を一定の値に制限する場合に比べ、複数のアクチュエータを良好な応答性で駆動することができ、オペレータに与える違和感を小さく抑え、良好な操作性を得ることができる。
〜その他〜
以上説明した実施の形態は本発明の範囲内で種々の変形が可能である。
【0108】
例えば、上記実施の形態では、メインポンプ2の吐出流量の過不足に応じたメインポンプ2の必要仮想容量変化量Δqを演算し、最大仮想容量変化量Δqlimiを超えないようにメインポンプ2の必要仮想容量変化量を制限することによって、最大角加速度dωlimitを超えないように電動機1の角加速度を制限したが、電動機1の目標回転数Ndの変化量から電動機1の角加速度を計算し、直接、この角加速度が最大角加速度dωlimitを超えないよに制限してもよい。
【0109】
また、上記の実施の形態では、コントローラ50の電動機回転数制御にロードセンシング制御のアルゴリズムを適用し、メインポンプ2に要求される吐出流量の過不足を表すパラメータとしてロードセンシング制御の差圧偏差ΔPを算出し、この差圧偏差ΔPからメインポンプ2の必要仮想容量変化量Δqを演算したが、コントローラ50の電動機回転数制御に、操作レバー装置124A,124Bを含む全ての操作レバー装置の要求流量の総和を算出し、この要求流量の総和に応じてメインポンプ2の吐出流量を増加させるいわゆるポジコン制御のアルゴリズムを適用し、メインポンプ2に要求される吐出流量の過不足を表すパラメータとしてポジコン制御の要求流量の総和とメインポンプ2の実吐出流量との流量偏差を算出し、この流量偏差からメインポンプ2の必要仮想容量変化量Δqを演算してもよい。
【0110】
更に、上記実施の形態において、電動式作業車両は、電動機1の電源としてバッテリ70と商用電源92を選択的に使用可能であり、入力装置81を用いて最大許容動力Pwmaxを入力し、コントローラ50に設定する構成としたが、バッテリ70と商用電源92の一方を使用する電動式作業車両で最大許容動力Pwmaxを固定値として扱える場合は、最大許容動力Pwmaxを予めコントローラに記憶し設定しておいてもよい。
【0111】
また、上記実施の形態では、メインポンプ2は可変容量型とし、レギュレータピストン17とバネ18とを用いてメインポンプ2の容量を制御し、馬力制御を行う構成としたが、メインポンプ2を固定容量型とし、コントローラ50に馬力制御のアルゴリズムを組み込み、コントローラ50による電動機1の回転制御によって馬力制御を行ってもよい。
【0112】
更に、上記実施の形態は、電動式作業機械が下部走行体に履帯を有する油圧ショベルである場合について説明したが、それ以外の建設機械、例えばホイール式の油圧ショベル、油圧クレーン等であってもよく、その場合も同様の効果が得られる。