(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、
図1から
図32を用いて説明する。ただし、実施形態において、同一機能を有する構成には、同一符号を付し、重複する説明を省略したり簡略化したりする。
【0010】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態の紙製の蓋1および容器20の断面図である。
図1(a)は紙製の蓋1を容器20から外した状態を示す断面図であり、
図1(b)は紙製の蓋1を容器20に嵌合させた状態を示す断面図である。
図2は第1実施形態の紙製の蓋1を上から見た概要図である。
図2(a)はシール部8が飲み口5をシールしている状態を示しており、
図2(b)はシール部8が飲み口5から外れた様子を示す図である。また、
図2(c)、
図2(d)は、飲み口5を紙製の蓋1の中心に向けて折り曲げて形成するものであり、実線が切り込みとなっている。
【0011】
(紙製の蓋)
紙製の蓋1は、天蓋部2、この天蓋部2に形成されたテーパ部3、底蓋部4、飲み口5、溝部6、空気孔部7、シール部8を有している。
紙製の蓋1は、容器20の内側に挿入されるものであり、紙材料を用いている。紙材料としては、少なくともセルロース成分を含んでいればよく、その含有量は特に限定されない。また、抄造により形成された紙材料を用いてもよい。
【0012】
また、紙材料として、表面にコート層を設けたコート紙等の各種耐水紙を用いてもよく、少なくとも紙材料の容器側の面にコート層を設けてもよい。コート層としては、フィルムや塗工剤を用いることができる。フィルムや塗工剤としては、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、シアノアクリレート、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、ナイロン、ポリカーボネート;ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ乳酸、エステル化デンプン等のデンプン系樹脂、酢酸セルロース、ポリエチレンサクシネート、ポリビニルアルコール、ポリグリコール酸、キトサン/セルロース/デンプン、ポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)、ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)、ポリ(テトラメチレンアジペート/テレフタレート)等の生分解性樹脂や生分解性樹脂混合物;生分解性バイオマス樹脂;フッ素樹脂、シリコーン樹脂、紫外線硬化樹脂や、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブタジエン共重合体、アクリル−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体等、上記樹脂を構成するモノマーの共重合体、天然樹脂、パラフィン、ゼラチン、セロハン、ポリメチルペンテン等を用いることができる。生分解性樹これらの樹脂のフィルムや、エマルジョン、溶液や、さらにはフッ素系コーティング剤、シリコン系コーティング剤、ニス等の塗工剤を塗布、噴霧する等してコート層を形成することができる。
フィルムとしては、単層フィルムでも複層フィルムでもよく、塗工剤も一種類を塗工するのみならず、2種類以上の塗工剤を重ね塗工しても良い。フィルムや塗工剤は、ポリ乳酸等の生分解性や生分解性樹脂混合物のフィルムを用いることが望ましく、環境負荷を少なくすることができる。尚、ポリ(テトラメチレンアジペート/テレフタレート)等のテレフタレートを含むものでも、40%程度であれば生分解性を有する。
【0013】
また、塗工剤を用いる場合には、植物性の澱粉など人体に影響のないものを用いればよい。なお、本実施形態において、紙コップの底部分を利用して紙製の蓋1として使用することも可能である。
【0014】
天蓋部2は、下側(容器20側)に向けて深さ3mm〜12mm程度の段(窪み部)が形成されており、側面にテーパ部3が形成されている。テーパ部3は、後述の容器20の外形のテーパ部21とは逆向きのテーパ(逆テーパ)であり、容器20に向けて広がっているテーパ形状となっている。テーパ部3の高さ方向(
図1のZ方向)の寸法は、後述の容器20のカール部22の高さ方向の寸法よりも大きくなっている。これにより、紙製の蓋1が容器20の内側に挿入された場合に、容器20を倒してしまった場合でも、容器20の内容物がこぼれる虞を低減することができる。
【0015】
テーパ部3と、テーパ部21とが逆テーパの場合は、嵌合する力が面ではなく点接触(線接触)となるため、嵌合するときの力が面接触の場合に比べて嵌合部に集中して作用する。このため、テーパ部3と、テーパ部21との嵌合性が向上するので、紙製の蓋1の密閉性が向上する。また、テーパ部3と、テーパ部21とは紙材料のため、テーパ部3およびテーパ部21が嵌合により変形して若干の平面部が形成される。この平面部が、テーパ部3と、テーパ部21との嵌合性を向上させている。また、テーパ部3は、テーパを有さない直線状としても、上述の効果を得ることができる。すなわち、テーパ部3の傾きが、テーパ部21の傾きに対して異なっていればよい。
なお、紙製の蓋1の密閉性を向上するために、テーパ部3に凹凸部を設けたり、段部を設けたりしてもよい。
【0016】
底蓋部4は、天蓋部2と係合する形状である。底蓋部4と天蓋部2との係合には、プレス加工、超音波接合、ヒートシールおよび接着剤(例えば、澱粉のり)などの各種方法を用いることができる。
【0017】
飲み口5は、天蓋部2及び底蓋部4に設けられた開口であり、飲み口としてもしくはストローを挿入する穴として、その大きさや形状は適宜設定することができる。また、ハーフカットの切り込み線を入れて、ユーザがハーフカットを取り外すようにしてもよい。
また、飲み口5は、
図2(c)、
図2(d)に示すように、実線の切り込みと、切り込みが形成されていない部分とを有し、切り込みが形成されていない部分がヒンジとして機能している。実線の切り込みを紙製の蓋1の中心に向けて折り曲げることにより、飲み口5が開口する。この場合、天蓋部2に切り込みを入れて、底蓋部4はこの切り込みに対応した開口部とすることにより、飲み口5を容易に折り曲げることができる。また、切り込み線は、天蓋部2側から底蓋部4に向けて切り込むことにより、V字(逆三角形状)とすれば、飲み口5を閉めた状態では容器20からの内容物が天蓋部2側に漏れ込みにくくなる。なお、飲み口5の形状は、直線的な形状、曲線的な形状、直線的な形状に曲線的な形状を加えた形状でもよく、
図2(d)に示すように、摘み部を形成するような形状としてもよい。
また、飲み口5に対応して
図2(c)に示すようにカール部9を外側に広げたり、
図2(d)に示すようにカール部9の外輪を内側に潰したりすれば、飲み口5からの内容物を飲みやすくなる。なお、
図2(d)のカール部9の外輪に代えて内輪を外側に向けて潰すようにしてもよい。また、
図2(d)の部分拡大図に示すように、飲み口5の実線の切込み部の一部に切込みが形成されていないつなぎ部5aを設けてもよい。つなぎ部5aが存在していれば飲み口5が開封されていないことを認識することができる。これとは反対に、つなぎ部5aが存在していなければ飲み口5が開封されたことを認識することができる。これに関連してつなぎ部5aは、飲み口5が悪戯されたかどうかを認識することができる。なお、つなぎ部5aを形成する位置や数は任意に設定することができる。なお、
図2(a)〜
図2(c)の飲み口5にもつなぎ部5aを形成することができる。
【0018】
図2(a)、
図2(b)に示すように、溝部6は、例えばプレス加工により天蓋部2に設けられた筋であり、天蓋部2を貫通しないものである。本実施形態において、溝部6は、複数本設けられ、飲み口5へと繋がっている。容器20の内容物が飲み口5から天蓋部2の窪み部(段部)に溜まってしまった場合に、溝部6は天蓋部2の窪み部に溜まった内容物を飲み口5に導き、そして容器20に内容物を戻すものである。
また、プレス加工により溝部6を設けることにより、天蓋部2ひいては紙製の蓋1の強度を向上することができる。
図2(c)、
図2(d)に示すように、飲み口5からカール部9に向けて溝部6を設けるようにしてもよい。また、溝部6は、縁部まで到達するように形成してもよく、縁部の手前までとして形成してもよい。
図2(c)、
図2(d)に示す溝部6は、飲み口5からの内容物をユーザの口に導くとともに、ユーザが飲み口5から口を離した際には、飲み口5付近に残った内容物を飲み口5に戻すことができる。なお、
図2(c)、
図2(d)では、3つの溝部6を示したが、その数はいくつでもよく、省略することも可能である。溝部6に代えて、もしくは溝部6と併用して、天蓋部2の飲み口5側に前述のコート層を設けることにより、飲み口5から内容物を摂取した後に、内容物が天蓋部2に拡がるのを抑制することができる。更に、飲み口5の形状を
図2(d)に示すように、一部が天蓋部2の周縁に向けて突出したような形状にすることにより、内容物が天蓋部2に拡がるのを抑制することができる。
天蓋部2に内容物を示すステッカーを貼ったり、印刷してもよく、人や動物の顔のステッカーを貼ったり、印刷してもよい。この場合、飲み口5を人の口や動物の口に対応するようにすれば、内容物を摂取するときにキスをしているような遊び心を楽しむことができる。また、テーパ部3に顔の半分を印刷し、容器20のテーパ部21に顔の残りの部分を印刷し、紙製の蓋1が正しく取りついた場合に、印刷された顔が視認できるようにしてもよい。
【0019】
図25(a)は紙製の蓋1の表示部40を示す概要図、部分拡大図およびA−A断面図である。なお、部分拡大図は、理解を容易にするため、紙製の蓋1の周壁の内側と外側とを展開したような状態で図示している。
表示部40は、文字、記号、模様、図形などを印刷することにより容器20の内容物が識別するものである。前述のように紙製の蓋1は、紙材料を利用しているので、容易に印刷を行うことができる。また、表示部40は、背景色の印刷により内容物がホットかコールドかを識別させることもできる。例えば、ホット飲料は背景色を赤系の色として識別させたり、コールド飲料は背景色を水色系の色として識別させたりしてもよい。また、背景色により内容物を連想させることもできる。例えば、ブラックコーヒーであれば背景色を黒系の色とし、オレンジジュースであれば、橙系の色とし、ミルクであれば背景色を白系とすればよい。なお、背景色が黒系の色の場合には、文字、記号、模様、図形などは白抜きとすればよい。
【0020】
表示部40は、部分拡大図に示してあるように、紙製の蓋1の周壁の外側に対応して印刷される外側表示部40aと、カール部9に対応して印刷されるカール表示部40bと、紙製の蓋1の周壁の内側に対応して印刷される内側表示部40cと、を備えている。なお、周壁は、天蓋部2の外周に形成されており、カール部9まで伸びており、カール部9に接続されている。
外側表示部40aは、主に内容物を提供する側が内容物を認識できるように、紙製の蓋1の周壁の外側に内容物の候補が文字として複数印刷されている。一例を挙げると、モカコーヒー、ブラックコーヒーなどである。なお、紙製の蓋1の周壁のスペース都合で文字数などに制限がある場合は、略称を印刷すればよく、cappuccinoであればCAPPなどと印刷すればよい。
【0021】
カール表示部40bは、外側表示部40aと内側表示部40cとの少なくとも一方と紐づけられて表示されるものである。例えば、内容物を提供する側は、複数の内容物の候補の中から容器20の内容物を確認し、容器20の内容物の外側表示部40aに紐づけられたカール表示部40bを変形させることにより他の者(例えばユーザや自分以外の店員)に内容物を識別させることができる。カール部9は、指で押したり曲げたりすることで容易に変形するので、筆記具などを用いなくても他の者に内容物を識別させることができる。
このため、カール表示部40bは、直線や、曲線などが好ましい。例えば、カール表示部40bを複数の曲線とし、上から押圧することにより曲線の形状が変形して、押圧されていない曲線とは異なる。このため、他の者は、カール部9の変形や、印刷の変形により内容物を識別することができる。なお、カール表示部40bを文字とすれば、上からの押圧によりカール部9が平面状に変形するので、印刷した文字が大きく見え、押圧されていない文字との大きさの違いから内容物を識別することができる。なお、カール部9の変形は、上からの押圧に限定されるものではなく、カール部9を内側に曲げたり、外側に曲げたりしてもよい。この場合、カール部9や紙製の蓋1の周壁に切込みを設けておけばよい。
また、孔開け工具などにより、カール部9または周壁に孔を開けるような変形を行ってもよい。また、カール部9を変形させて内容物を識別するというルールが決まっているような場合には、カール表示部40bの印刷は省略してもよい。
このように、カール部9を物理的に変形することにより、内容物を認識することができる。
【0022】
内側表示部40cは、主にユーザが内容物を認識できるように、紙製の蓋1の周壁の内側に内容物の候補が文字として複数印刷されている。このため、内側表示部40cは、カール表示部40bとともに、飲み口5からユーザが視認できる位置に設けることが好ましい。具体的には、飲み口5を下側とした場合に、紙製の蓋1の右上(第1象限)や左上(第2象限)に内側表示部40cを設けることが好ましい。
なお、外側表示部40aと、カール表示部40bと、内側表示部40cとは、互いに紐づけられて設けることが好ましいが、外側表示部40aは、内容物を提供する側が内容物を認識できればよいので、内側表示部40cとは独立して設けてもよく、紙製の蓋1の周壁の外側の任意の位置に設けることができる。なお、カール表示部40bを含む表示部40の印刷は、カール部9の形成前に行うことが、印刷を容易にする観点から好ましい。
なお、表示部40は、印刷に代えてステッカーにより形成してもよい。また、外側表示部40aもしくは内側表示部40cの表示に関連させて天蓋部2にマークを設けてもよい。この場合、筆記具により天蓋部2にマークを描いてもよい。
また、
図25(a)においては、表示部40を2箇所に設けたが3箇所以上に設けてもよい。また、
図25(a)においては、2つの表示部40の間に間隔を設けているが、その間隔の長さは任意であり、間隔無しで複数の表示部40を設けてもよい。
図25(b)は間隔無しで3つの表示部40を設けた例を示す図であり、紙製の蓋1の表示部40を示す概要図及び紙製の蓋1の正面図である。
図25(b)には、飲み口5に対応するようにカール部9に段差部9bが形成されている。また、表示部40と段差部9bとを除いたカール部9が着色されている。段差部9bとカール部9の着色については後述の第5実施形態にて説明する。
【0023】
カール部9および紙製の蓋1の周壁の一部を物理的に変形させる場合、上述のようにカール部9や紙製の蓋1の周壁に切込みを設けてもよい。
図26は、天蓋部2を除いた紙製の蓋1の展開図であり、表示部40の周辺に切込み部41を形成する例を示している。
図25(a)に示すように複数の表示部40の間に切込み部41を形成すると、1つの表示部40に対して2つの切込み部41が必要となり、3つの表示部40を設ける場合には6つの切込み部41を形成することになる。これに対して、
図25(b)に示すように間隔無しで3つの表示部40を設ける場合には、中央の表示部40の切込み部41を左右の表示部40の切込み部41として兼用することができる。このため、3つの表示部40を設ける場合には4つの切込み部41を形成することになる。
図26に示すように天蓋部2を除いた紙製の蓋1は扇型形状であり、左右の両端を接合するとともに、上端部のカール部形成領域9aをカールしてカール部9を形成していく。そして、別部材の天蓋部2と接合することにより、紙製の蓋1となる。また、左右の両端の接合部分が継ぎ目となり、容器20からの内容物がこの継ぎ目から漏れやすくなる。なお、この継ぎ目からの漏れ対策の詳細については後述する。
【0024】
カール部形成領域9aの先端は、カール部9内に巻き込まれるため、カール表示部40b用の印刷をしても視認することができない。このため、カール部形成領域9aの先端は、カール表示部40b用の印刷を行わなくてもよい。また、カール部形成領域9aは、カール形成のために剛性が必要であり、カール部9の形成前にカール部形成領域9aに切込み部41を形成するのには相応しくない。このため、切込み部41は、カール部形成領域9aを避けた、表示部40の両端の外側に設けることが好ましい。カール部9を形成した後に、表示部40を含む領域を内側や外側に向けて折り曲げられるようにカール部9に切込みを設けてもよい。
なお、表示部40の印刷の後に、切込み部41を形成することが製造を容易にする観点から好ましいが、これに限定されるものではない。更に、切込み部41は、カール部9を形成した後に形成しても構わない。また、切込み部41は、ハーフカットとして形成してもよく、不連続に形成してもよく、表示部40の片側にのみ設けるようにしてもよい。
【0025】
表示部40を内側に折り曲げた場合には外側表示部40aの印刷が視認でき、表示部40を外側に折り曲げた場合には内側表示部40cの印刷が視認できる。このように、折り曲げて表示部40の表示を確認する場合には、
図25(a)の部分拡大図の表示のように外側表示部40aと内側表示部40cとの印刷は反転させる必要はなく、同じ向きに印刷すればよい。
これにより、容器20の内容物に対応する表示部40を折り曲げることにより、ユーザは容器20の内容物を視認することができる。
なお、切込み部41は、天蓋部2まで到達しないように形成することが好ましい。これは、容器20からの内容物が切込み部41から漏れるのを防ぐためである。また、切込み部41を折り曲げるのではなく、切込み部41が形成されたカール部9を押圧により変形させて、表示部40の表示を紐付けて内容物を視認するようにしてもよい。また、前述したように上からの押圧によりカール部9が平面状に変形するので、カール表示部40bに印刷した文字、マーク、図形などの視認性が向上する。
飲み口5の大きさは、飲みやすさの観点から一例を挙げると、幅W1が10mmから25mm、好ましくは15mmから22mmであり、長さL1が10mmから25mm、好ましくは14mmから21mmである。また、飲み口5は、天蓋部2の外周端(周壁部分)にあると飲みにくいため、外周端(周壁部分)から飲み口5までの長さL2が1mm〜15mm、好ましくは4mm〜12mmである。容器20の内容物がホット飲料の場合、長さL2を4mm以上とすれば、内容物の温度が天蓋部2を伝わる間に下がるので、外周端(周壁部分)を介して内容物を摂取すれば火傷の虞を低減することができる。なお、L2を3mmから5mmと短くすれば、飲み口5から内容物を摂取した後に、内容物が天蓋部2に拡がるのを抑制することができる。
また、
図22を用いて後述するように、周壁の高さH2の設定次第で、内容物が周壁を伝わる間に内容物の温度を下げることができる。
飲みやすさと、火傷の虞を低減することとを勘案すると、飲み口5の長さL1と、飲み口5までの長さL2との比は、1.1から10、好ましくは1.1から5.3にすればよい。なお、飲み口5の形状は、図示の形状に限定されるものではなく、どのような形状でも構わない。また、飲み口5に
図2に示したつなぎ部5aや、溝部6を設けても構わない。
【0026】
図3はプラスチック製の蓋を示す参考図である。現在、利用されているプラスチック製の蓋は、容器の外側に嵌め込むものであり、飲み口5の下方に嵌め込み部があるため、下方溝部50が存在する。内容物を摂取するときに飲み口5から内容物が下方溝部50にこぼれてしまう場合があり、使い勝手か悪い。特に、高齢者が、内容物を下方溝部50にこぼしやすい。
これに対して、本実施形態では、上述の溝部6があるので、紙製の蓋1の使い勝手を向上させている。
【0027】
図2に戻って、空気孔部7は、紙製の蓋1を容器20に被せる際に、紙製の蓋1と容器20が密嵌合して液洩れが生じることを防止するためのものである。本実施形態では、溝部6に重ねて空気孔部7を設けている。これにより、天蓋部2の窪み部に溜った内容物を空気孔部7から容器20内に戻すこともできる。なお、空気孔部7を溝部6を避けて設けるようにしてもよい。空気孔部7は、液漏れ防止のためだけに限らず、容器が圧迫された際の容器内空気の逃げ部となり、容器に嵌合された紙製の蓋1が容器から外れるのを防止する作用も有する。
【0028】
シール部8は、一端が飲み口5を塞ぐシール部8aであり、他端8bが後述する機能を有しており、再剥離性のシールとなっている。シール部8は、パラフィン紙などの防水紙を用いることができ、紙にパラフィンコートや、シリコン、テフロン(登録商標)などの防水剤を塗布してもよい。
他端8bは、シール部8を剥がすときの摘み部として利用することができる。これに代えて、他端8bは、シール部8aを摘んでシール部8を剥がすときに、天蓋部2に接合されたままとしてもよい。
図2(b)に示してあるように、摘んだシール部8aの接着面を容器20のテーパ部21やカール部22に貼り付けることにより、紙製の蓋1と容器20とがシール部8により接合されるので、紙製の蓋1が容器20に落ちてしまったり、容器20から分離してしまったりすることを防止でき、紙製の蓋1の使い勝手を向上することができる。
また、容器20のカール部22の上側の一部をつぶして平面部を設け、この平面部と、テーパ部3の底面もしくは底蓋部4の底面を接合するようにしてもよい。この場合の接合方法としては、超音波シール、ヒートシール、接着などを用いることができる。
なお、他端8bを摘んで利用する場合は、他端8bに接着剤を塗布しなくてもよい。これに対して、シール部8aの接着面を容器20のテーパ部21やカール部22に貼り付ける場合には、他端8bをシール部8aよりも強く接着すればよい。いずれの場合でもシール部8aの接着力と他端8bの接着力とは異なっている。
【0029】
容器20は、上側に開口を有した紙製の容器であり、テーパ部21、カール部22および底部23を有している。本実施形態では、容器20のテーパ部21と、紙製の蓋1のテーパ部3とのテーパが逆向きであるため、紙製の蓋1を容器20に押し込むと紙製の蓋1と容器20との密閉性が向上し、容器20を倒してしまった場合でも、容器20の内容物がこぼれる虞を低減することができる。また、紙製の蓋1には、各種印刷を施すことができる。詳細は、後述の第3実施形態にて説明するが、テーパ部21(側面)に紙製の蓋1を容器20に押し込むための目印(線、マーク、メッセージ)を印刷することができる。また、天蓋部2の窪み部に印刷を施せば、ユーザが視認しやすく、製品の説明や注意事項の説明を印刷により行うことができる。また、容器20側に紙製の蓋1を押し込むための目印(線、マーク、メッセージ)を設けておき、天蓋部2の窪み部やテーパ部3に容器20側の目印まで、もしくは目印が見えなくなるまで紙製の蓋1を押し込んで下さいといったような注意書きを印刷するようにしてもよい。更に、紙製の蓋1の目印やメッセージと、容器20の目印やメッセージとを合わせることにより、新たな目印となったり、新たなメッセージとなったりするようにしてもよい。なお、本発明の紙製の蓋1は、紙製の容器に用いる場合に限らず、プラスチック製容器、発泡プラスチック製容器等、各種容器の蓋として使用することができる。
【0030】
(第2実施形態)
以下、
図4を用いて第2実施形態の説明を行う。
図4は第2実施形態の紙製の蓋1および容器20の断面図である。
図4(a)は紙製の蓋1を容器20から外した状態を示す断面図であり、
図4(b)は紙製の蓋1を容器20に嵌合させた状態を示す断面図である。
本実施形態では、紙製の蓋1にもカール部9を設けている。カール部9は、紙製の蓋1に一体として設けてもよく、別体のカール部9を紙製の蓋1に接合するようにしてもよい。なお、カール部9は、折り返しが形成されていればよく、その形状はどのような形状でもよい。
本実施形態において、カール部9とカール部22とは大きさが異なっており、カール部9を大きくした場合には、カール部9とカール部22とを嵌合させた際の紙製の蓋1と容器20との密閉性を向上することができる。この場合、容器20を倒してしまったとしても、容器20の内容物がこぼれる虞を低減することができる。
なお、カール部9の下端の一部をつぶして平面部を1つ設けるとともに、カール部22の上端の一部をつぶして平面部を1つ設けて、この平面部同士を接合してヒンジ部を構成してもよい。この場合、カール部9の大きさをカール部22の大きさより小さくしてもよい。
【0031】
(第3実施形態)
以下、
図5を用いて第3実施形態の説明を行う。
図5は第3実施形態のホルダ30付き紙製の蓋1の概要図である。
図5(a)は、紙製の蓋1を容器20に装着する前の状態を示す図であり、
図5(b)および
図5(c)は、紙製の蓋1を容器20に装着した後の状態を示す図である。
ホルダ30は、紙材料から形成されており、容器20のテーパ部21と同じテーパを有したテーパ環状部材である。なお、ホルダ30のテーパ環状部材の一部を切り欠いてもよい。
また、容器20を誤って落とすことがないように、ホルダ30の表面にプレス加工やエンボス加工などにより凹凸を設けたり、滑り止め剤を塗布したりしてもよい。
【0032】
ヒンジ31は、ホルダ30と紙製の蓋1とを接続する接続部材である。ヒンジ31は、紙材料から形成されており、一端がホルダ30のテーパに接合され、他端が紙製の蓋1に接合されている。この場合、ヒンジ31の他端を天蓋部2の窪み部に接合することが望ましい。なお、ヒンジ31をZ状となるように何段が折り曲げてバネ性を持たせるようにしてもよい。なお、ヒンジ31を糸や布から形成してもよい。
また、紙製の蓋1の側面には、紙製の蓋1を容器20に押し込むための目印となるマーク10が印刷されている。
なお、ヒンジ31の接合方法としては、超音波接合、ヒートシール、接着など各種接合方法を適用することができる。
【0033】
容器20は、各種大きさ(Sサイズ、Mサイズ、Lサイズなど)があり、カール部22の径や、テーパ部21の径がサイズに応じて異なる。そこで、本実施形態では、紙製の蓋1のサイズとホルダ30のサイズとを一致させている。例えば、紙製の蓋1のサイズがLサイズであれば、ホルダ30もLサイズとしている。
これにより、容器20にホルダ30が係止する位置が一定となるので、ユーザが違和感を覚えることがない。
【0034】
図5(b)は、ホルダ30が容器20の高さ方向の中央部となるようにした例である。また、ヒンジ31がその両端部を除いて紙製の蓋1と容器20とに接しない例を示している。
【0035】
図5(c)は、ホルダ30が容器20の高さ方向の上部となるようにした例である。また、ヒンジ31は、紙製の蓋1とホルダ30とに接するように取り付けた例を示している。この場合、ヒンジ31が天蓋部2の側面および窪み部に接するようにすれば、ヒンジ31にて天蓋部2を容器20に押し付けることができる。したがって、紙製の蓋1が容器20に落ちてしまったり、容器20から分離してしまったりすることを防止でき、紙製の蓋1の使い勝手を向上することができる。この場合も、シール部8により紙製の蓋1と容器20とを接合しておくことが望ましい。
なお、
図5(b)においても、ヒンジ31が紙製の蓋1と容器20とに接するようにしてもよい。
なお、本実施形態において、紙製の蓋1のテーパ部3は、容器20のテーパ部21と同じテーパ(順テーパ)としてもよい。
【0036】
(第4実施形態)
以下、
図6を用いて第4実施形態の説明を行う。
図6は第4実施形態のホルダ30付き紙製の蓋1の概要図である。
図6(a)は、紙製の蓋1を容器20に装着する前の状態を示す図であり、
図6(b)および
図6(c)は、紙製の蓋1を容器20に装着した後の状態を示す図である。
本実施形態において、ホルダ30は、容器20のテーパ部21とは逆のテーパを有したテーパ環状部材としている。なお、ホルダ30のテーパ環状部材の一部を切り欠いてもよい。
本実施形態において、紙製の蓋1のテーパ部3は、容器20のテーパ部21と同じテーパ(順テーパ)としてもよい。
第3実施形態および第4実施形態においては、紙製の蓋1とホルダとがヒンジ31を介して一体となっているので、容器20の内容物が熱い場合でも容器20が熱くて持てないということがなく、容器20の内容物が冷めてしまうこともない。
【0037】
図7は、第3実施形態および第4実施形態のホルダ30付きの紙製の蓋1の変形例であり、紙製の蓋1に把手およびホルダを設けた例を示している。
図7に示すようにホルダ30を横方向に延長させるとともに、この延長した部分に開口部32を設けることにより把手を設けている。このように、蓋とホルダと把手とを一体的に形成することにより、容器20を持ち運びしやすくすることができる。
【0038】
第1実施形態および第2実施形態の紙製の蓋1は、重ねて保管したり運送したりすることができるので、物流コストを低減することができる。
第3実施形態および第4実施形態のホルダ30付きの紙製の蓋1においても、重ねて保管したり運送したりすることができるので、物流コストを低減することができる。
また、
図3の参考図に示す蓋では、容器から蓋を外す場合に、飲み口5側をテーブルなどに置いた場合には、飲み口5がテーブルに接してしまい衛生的ではない。これとは逆に、飲み口5を逆さまにしてテーブルに置いた場合には、容器の内容物が蓋の底側についているのでテーブルに内容物が付着してしまい、テーブルを清掃する必要が生じる。
【0039】
これに対して、第3実施形態および第4実施形態のホルダ30付きの紙製の蓋1は、紙製の蓋1を外した場合でもホルダ30に紙製の蓋1が保持されている。したがって、飲み口5がテーブルに接することもなく、テーパ部3により底蓋部4に付着した内容物がテーブルに落ちることもないので、紙製の蓋1の使い勝手を向上することができる。
【0040】
(第5実施形態)
上述の実施形態においては、テーパ部3を容器20の内側に嵌合させて、紙製の蓋1を容器20の内側に嵌める例を説明してきたが、以下、紙製の蓋1を容器20の外側に嵌める例につき、説明を続ける。
図8は、第5実施形態の紙製の蓋1の概要図である。
図8(a)〜
図8(e)まで紙製の蓋1の5つの例を開示している。以下、
図8(a)〜
図8(e)の各例について順次説明を行う。なお、図面を簡単にするため、飲み口5などの図示を省略している。
【0041】
図8(a)の紙製の蓋1には、カール部22の外側と嵌合するための第2テーパ部11を設けている。また、紙製の蓋1は容器20の外側に嵌めるため、容器20の
内側に嵌める場合に比べてその寸法が大きくなっている。
図8(a)のように、第2テーパ部11によりカール部22を嵌合すれば、紙製の蓋1の原価を低減することができる。このような紙製の蓋1は、コールド用の容器20の蓋に適している。
なお、
図8では、紙製の蓋1の大きさを誇張して図示しており、その寸法は図示のものに限定されない。
【0042】
図8(b)の紙製の蓋1は、第2テーパ部11に加えて、カール部22の内側と係合可能な係合部12を設けている。係合部12は紙材料を用いており、その形状は、円形、楕円形、矩形などどのような形状でもよいが、本実施形態では円形としている。係合部12は、本実施形態では紙製の蓋1とは別体で形成し、接着や超音波接合など各種接合方法を用いて接合している。紙製の蓋1と、係合部12との接合部分にそれぞれフィルムがコートされていればヒートシールにより紙製の蓋1と、係合部12とを接合することができる。
【0043】
第2テーパ部11と係合部12との間にカール部22を位置させることにより、紙製の蓋1が容器20から外れてしまう虞を低減することができる。このため、係合部12は常にカール部22に接触していなくてもよい。例えば、紙製の蓋1が容器20に嵌められており、第2テーパ部11がカール部22と嵌合していれば、係合部12とカール部22との間に0.1mmから1.5mm程度のクリアランスがあってもよい。なお、係合部12は、カール部22の全周と係合可能な形状でもよく、カール部22と数か所で係合可能な形状でもよい。
【0044】
図8(c)の紙製の蓋1は、係合部12をベース部12aと、係合部分12bとから形成している。ベース部12aと、係合部分12bとは、一体的に形成してもよく、別体で形成した後に接合してもよい。係合部分12bは、
図8(c)に示すように、カール部22と2箇所で係合可能なようにしてもよく、これに代えてカール部22の全周と係合可能な形状としてもよい。
このように、係合部12をベース部12aと、係合部分12bとから形成することにより、係合部12の紙材料の使用量を少なくすることができる。
図8(a)〜
図8(c)では、第2テーパ部11を順テーパとして図示したが、逆テーパにしてもよく、テーパではなく直線状としてもよい。また、紙製の蓋1を容器20の外側に嵌める場合は、テーパ部3を直線状としてもよい。
また、カール部9を高さ方向(Z方向)に潰した場合は、カール部9の高さが高くなり、窪み部に形成された飲み口5からの距離が離れ、より飲みやすい紙製の蓋1を実現することができる。カール部9は、幅方向に0.5mmから1mm程度が好ましい。また、プレス加工によりカール部9を潰す場合には、プレス加工機の一部(例えば、紙製の蓋1を保持する下型)を50℃〜90℃に加熱することにより、カール部9のプレス加工性を向上することができる。また、カール部9を潰した場合には、紙製の蓋1の外形を小さくできるので、紙製の蓋1を搬送する際の数量を増やすことができ、紙製の蓋1の単位当たりの運送料を低減することができる。
【0045】
なお、
図8(b)では、カール部22の内側から係合部12とカール部22とを係合させたが、
図8(d)に示すように、カール部22の上側から係合部12とカール部22とを係合させてもよい。この場合、カール部22のカール中心よりも内側で係合部12とカール部22とを係合させることが望ましい。
同様に、
図8(c)では、カール部22の内側から係合部分12bとカール部22とを係合させたが、
図8(e)に示すように、カール部22の上側から係合部分12bとカール部22とを係合させてもよい。この場合、カール部22のカール中心よりも内側で係合部12とカール部22とを係合させることが望ましい。
【0046】
図8(a)〜
図8(e)のように、カール部9が紙製の蓋1の上側に形成されている場合であって、第2テーパ部11とテーパ部21とが順テーパの場合は、第2テーパ部11の先端(底蓋部4側)の内径の寸法は、カール部22の外径と同じか、若干小さくしておくことが好ましい。これにより、容器20に紙製の蓋を嵌め込むときにカール部22がつぶれて(変形して)、紙製の蓋1と容器20とが嵌合するので、紙製の蓋1と容器20との密閉性を向上することができる。
なお、第2テーパ部11とテーパ部21とが順テーパの場合においても、第2テーパ部11のテーパ角度を3〜5度とし、テーパ部21のテーパ角度を6〜7度として、テーパ角度を異ならせてもよい。
また、第2テーパ部11の内周面の少なくとも一部(カール部22と係合する部分)は、コート層を設けなくてもよい。これにより、第2テーパ部11の内周面の紙材料と、コート層が設けられたカール部22とが係合するので、紙材料の摩擦により第2テーパ部11とカール部22とが滑りにくくなって、紙製の蓋1と容器20との密閉性を向上することができる。また、第2テーパ部11の内周面の紙材料から容器20の内容物が浸み込んで第2テーパ部11が膨潤するので、紙製の蓋1と容器20との密閉性を向上することができる。
【0047】
図3に示す参考例では、下方溝部50と同じ位置か、より下方に容器20との嵌合部があり、この嵌合部付近からプラスチック製の蓋を外すことにより、内容物がユーザの手にかかって、火傷をする虞があった。
これに対して、本実施形態では、上述したようにカール部9が、紙製の蓋1と容器20とが嵌合する位置よりも上方にあるので、カール部9やその周辺の周壁を手で持つことにより、紙製の蓋1を容器20から取り外すのが簡単であり、ユーザの手に内容物がかかる虞がない。
また、
図3に示す参考例では飲み口5の下方からプラスチック製の蓋を外すため、飲み口5から内容物が飛び出し、ユーザの手にかかる虞があった。
これに対して、本実施形態では、飲み口5の上方にある紙製の蓋1の上側に形成されたカール部9やその周辺の周壁を手で持って紙製の蓋1を外すため、飲み口5から内容物が飛び出してユーザの手にかかる虞がない。なお、カール部9やその周辺の周壁を手で持って紙製の蓋1を取り付け、取り外す場合に衛生上の観点から、飲み口5付近のカール部9を手で触らないことが望ましい。そこで、
図25(b)に示したように、表示部40と段差部9bとを除いたカール部9を着色すればユーザに注意を喚起することができる。これに加えて、例えば天蓋部2に着色部分を持って紙製の蓋を取付け、取り外す旨の注意書きを印刷することが望ましい。
天蓋部2の着色に代え、もしくは天蓋部2の着色と併用して段差部9bを設けることにより、飲み口5付近のカール部9を手で触ることを抑制することができる。
なお、紙製の蓋1が紙製の蓋1を外して容器20の内容物を飲むタイプであれば、飲み口5を省略することもできる。
【0048】
図8(a)〜
図8(e)のように、カール部9が紙製の蓋1の上側に形成されていると、カール部9に口をつけて天蓋部2に形成された飲み口5から内容物を飲むことになる。これは、紙製の容器20から内容物を飲むときにカール部22に口をつけて飲むときと同じ口あたりとなる。このため、ユーザは、プラスチック製の蓋の飲み口から内容物を飲むときに感じる違和感を覚えることがない。また、テーパ部3とテーパ部21とが順テーパとなるので、紙製の容器20から内容物を飲むときと同じ角度で、カール部9に口をつけて飲み口5から内容物を飲むことができる。これにより、紙製の容器20から内容物を飲むときと同じ口あたりで、紙製の蓋1から内容物を飲むことができる。
【0049】
(第6実施形態)
図9は、第6実施形態の紙製の蓋1の概要図であり、第5実施形態と同様に紙製の蓋1は容器20の外側に嵌める例を示している。
図9(a)〜
図9(d)には、紙製の蓋1の4つの例を開示している。以下、
図9(a)〜
図9(c)の各例について順次説明を行う。なお、図面を簡単にするため、飲み口5などの図示を省略している。
本実施形態では、係合部12をテーパとして、テーパ部12cを形成している。テーパ部12cは、第2テーパ部11と同じテーパ(順テーパ)としているが、テーパの向きが異なる逆テーパとしてもよく、テーパの角度を異ならせるようにしてもよい。
図9(a)の紙製の蓋1においては、第2テーパ部11がカール部22と係合し始めてから、テーパ部12cがカール部22と係合するように、第2テーパ部11の先端がテーパ部12cの先端よりも容器20に向けて突出している。言い換えれば、係合部12は、第2テーパ部11の内側に形成される空間内に位置している。このため、第2テーパ部11がカール部22と係合することにより、カール部22およびテーパ部21の上部は内側に向けた力を受ける。この状態でテーパ部12cがカール部22と係合することにより、カール部22およびテーパ部21の上部に外側に向けた力を受けるので、紙製の蓋1を容器20にしっかりと嵌め込むことができる。このように、テーパ部12cのテーパ長を第2テーパ部11のテーパ長よりも短くすることにより、紙製の蓋1を容器20から容易に外すことが可能となる。このような場合においても、テーパ部12cのテーパ長をカール部22の直径よりも長くすることにより、紙製の蓋1を容器20に確実に嵌め込むことができ、容器20の内容物の温度が高い場合でも火傷による事故を低減することができる。
なお、係合部12の上面にカール部を形成して、このカール部により係合部12と底蓋部4とを接合するようにしてもよい。
【0050】
図9(b)の紙製の蓋1においては、第2テーパ部11とテーパ部12cとがカール部22とほぼ同時に係合するように、第2テーパ部11の先端とテーパ部12cの先端とを一致させている。本実施形態では、ベース部12aにより第2テーパ部11の先端とテーパ部12cとの先端とを一致させているが、第2テーパ部11とテーパ部12cとの少なくとも一方の大きさを調節して、第2テーパ部11の先端とテーパ部12cとの先端とを一致させてもよい。このように、第2テーパ部11の先端とテーパ部12cの先端とを一致させることにより、紙製の蓋1をバランスよく容器20に嵌め込むことができる。
【0051】
図9(c)の紙製の蓋1においては、テーパ部12cがカール部22と係合し始めてから、第2テーパ部11がカール部22と係合するように、テーパ部12cの先端が第2テーパ部11の先端よりも容器20に向けて突出している。本実施形態では、ベース部12aによりテーパ部12cの先端を第2テーパ部11の先端よりも容器20に向けて突出させているが、第2テーパ部11とテーパ部12cとの少なくとも一方の大きさを調節して、テーパ部12cの先端を第2テーパ部11の先端よりも容器20に向けて突出させてもよい。このように、テーパ部12cの先端を第2テーパ部11の先端よりも容器20に向けて突出させることにより、テーパ部12cとカール部22との係合を案内として、第2テーパ部11をカール部22に嵌合させることができる。これにより、紙製の蓋1を容易に容器20に嵌め込むことができる。
【0052】
図9(d)は、係合部12の上面に開口部33を設けた例である。開口部33により、天蓋部2と係合部12との接合は、係合部12の外周だけとなるが、係合部12の重量を減らすことができる。また、天蓋部2にも開口部を形成して天蓋部2の重量を減らすようにしてもよい。
【0053】
図10、
図11は、第6実施形態の紙製の蓋1の製造方法を示す図である。以下、
図10、
図11を用いて第6実施形態の紙製の蓋1の製造方法を説明する。なお、第6実施形態の紙製の蓋1は、サイズの異なる容器20の底部23を用いて紙製の蓋1を製造するものとするが、これに限定されるものではなく、紙材料をプレス加工や抄造などすることにより紙製の蓋1を製造することもできる。この場合、プレス加工機の少なくとも一部(例えば、紙製の蓋1を保持する下型)を50℃〜90℃に加熱することにより、紙製の蓋1のプレス加工性を向上することができる。なお、
図9(a)に図示した紙製の蓋1を例に説明を続ける。
図10(a)は、サイズの異なる容器20の底部23a、23bを2つ示している。底部23aは、カール部22の外側(外径)の大きさに応じて形成される。底部23bは、カール部22の内側(内径)の大きさに応じて形成される。
図10(a)からも明らかなように、底部23aの一部分(天蓋部2および底蓋部4)は、底部23bと相似形状となっている。このため、テーパ部3を第1係合部とし、テーパ部12cを第2テーパ部とし、紙製の蓋1が容器に嵌め込まれると、容器20を倒してしまった場合でも、容器20の内容物がこぼれる虞を低減することができる。また、底部23aと底部23bとの目付量は同じでもよいが、容器20の外側に嵌合する底部23aには強度が要求されるため、底部23aの目付量を底部23bの目付量よりも大きくすることが望ましい。一例を挙げると、底部23aの目付量が200g/m
2から360g/m
2であり、底部23bの目付量が150g/m
2から199g/m
2である。この場合、第2テーパ部11の目付量を200g/m
2から360g/m
2とし、テーパ部12cの目付量を150g/m
2から199g/m
2とすると、テーパ部12cの抵抗(剛性)が小さくなるので、紙製の蓋1を取り外しやすくなる。
また、底部23aと底部23bとは、同じ紙材料を用いてもよく、異なる紙材料を用いてもよい。
【0054】
図10(b)は、底部23aの上方にカール部9を形成している。
図11はカール成形金型70の部分拡大図である。カール成形金型70は、上型71、上型溝部72、下型73、下型溝部74を有している。上型71は、底部23aの上方が進入可能な先端部を有している。また、上型71は、曲面形状を有した上型溝部72を有している。下型73は底部23aを保持する保持部と、上型溝部72と対向する下型溝部74とを有している。
【0055】
底部23aを保持した下型73が上型71に向かって移動すると、底部23aの先端が上型溝部72に当接し、上型溝部72の曲面に沿って上型溝部72表面を滑り、外側に開くように押し広げられ徐々に丸まっていき、下型溝部74に当接する。これにより、底部23aの上方はカールする。
【0056】
図10(c)は、底部23aの天蓋部2の下側に底部23bの天蓋部2aを接合した様子を示している。この天蓋部2と天蓋部2aとの接合は、接着、超音波接合などの各種接合方法を適用することができる。例えば、天蓋部2と天蓋部2aとの接合部分にそれぞれフィルムがコートされていれば、天蓋部2の窪み部と、天蓋部2aの窪み部とは、それぞれフラットな面として形成されているので、ヒートシールにより天蓋部2と天蓋部2aとを接合することができる。なお、天蓋部2と天蓋部2aとを接合は、天蓋部2と天蓋部2aとの中心を合わせることが望ましいが、これに限定されるものではない。例えば、飲み口5およびその近傍では、第2テーパ部11とテーパ部12cとによるカール部22の嵌合がきつくなるように、天蓋部2と天蓋部2aとの中心を偏芯させてもよい。
天蓋部2と天蓋部2aとを接合した後に、飲み口5や空気孔部7などの加工を行うことにより、紙製の蓋1を製造することができる。
【0057】
図12は別の紙製の蓋1の製造方法を示す図である。本実施形態においても容器20の底部23を用いて紙製の蓋1を製造するものとするが、これに限定されるものではなく、紙材料をプレス加工することにより紙製の蓋1を製造することもできる。
図12(a)は、容器20の底部23を所定の大きさに切り取ったものであり、矢印に示してあるように下端部を内側に折り曲げる。
図12(b)は、下端部を内側に折り曲げた後の図である。下端部を内側に折り曲げることにより、
図12(b)に示してあるように、紙材料が2重になる部分と1重の部分(矢印で示す部分)が存在する。紙製の蓋1を容器20に嵌め込むと、容器20のカール部22がこの1重の部分に引っかかって保持される。更に、紙製の蓋1のテーパ部3と容器20のテーパ部21とが嵌合するので、紙製の蓋1を容器20にしっかりと嵌め込むことができる。
【0058】
本実施形態では、紙製の蓋1のテーパ部3と容器20のテーパ部21とを逆テーパとしたが、紙製の蓋1のテーパ部3と容器20のテーパ部21とを順テーパにしてもよく、テーパ部3を直線状としてもよい。なお、下端部を内側に折り曲げるとともに、内面に凸部を設けたり、内面を波状としたりすれば、紙製の蓋1を容器20によりしっかりと嵌め込むことができる。
【0059】
なお、
図4に示してあるようにカール部同士を嵌合させることや、
図9および
図10に示してあるようにカール部とテーパ部とを嵌合させることなどは、本願出願人が2018年7月12日に米国仮出願した62/696895を基礎出願とした2018年7月23日出願の特願2018−138005号の日本出願に開示されており、その開示内容は本願に援用されるものであるが、その記載を以下に記す。なお、符号が重複する部分のみ符号を変更している。
【0060】
図13(特願2018−138005号の
図38)は、カール部材52(56)を用いた嵌合部材の別の例を示す図である。
図13(a)は、取付部104にテーパ環状の凹溝部55を設けた例を示す図である。テーパ環状の凹溝部55は、取付部104の上面から下面に向かって、テーパが狭まっている。このため、取付部104の上面の嵌合用の幅W5は、カール部材52の嵌合幅W3よりも大きく(広く)なっている。
図13(b)は、取付部104にカール部材56を設け、蓋部105にテーパ環状の凹溝部57を設けた例を示す図である。カール部材56の構成はカール部材52と同じである。テーパ環状の凹溝部57の取付部104と対向する対向面側の幅W6は、カール部材56の嵌合幅W7よりも大きく(広く)なっている。
【0061】
図13(c)は、蓋部105に周縁がテーパ環状に形成された凹部15を設けるとともに、テーパ環状の凹部15にカール部材52を接合する例を示している。凹部15のテーパ面に沿ってカール部材52を接合するので、カール部材52の位置決めを容易にすることができる。また、カール部材52は、一部が凹部15から取付部104に向けてはみ出している。
また、
図13(c)は、取付部104に周縁がテーパ形状に形成された凹部58を設け、凹部58内にカール部材56を収容するように、カール部材56を凹部58に接合する例を示している。凹部58のテーパ面に沿ってカール部材56を接合するので、カール部材56の位置決めを容易にすることができる。
カール部材52の長径d5は、カール部材56の内径d6よりも大きく、蓋部105の閉蓋時にカール部材52とカール部材56との少なくとも一方が弾性変形することにより、カール部材52がカール部材56に内嵌合している。
【0062】
図13(d)は、取付部104に周辺がテーパ形状を有する凸部17を設けている。カール部材52の長径d5は、凸部17の外径d7よりも大きく、蓋部105の閉蓋時にカール部材52が弾性変形することにより、カール部材52が凸部17に外嵌合している。
なお、
図13(a)〜
図13(d)において、閉蓋時に取付部104の上面104aと、蓋部105の上面105aとが接触するように、カール部材52、56、および凹溝部55、57、凹部58の形状・大きさを設定することが好ましい。また、発泡剤を含有する発泡性インキ、発泡性ホットメルトをカール部材52、56、凹溝部55、57、および凹部15、58の少なくとも一部に塗布、発泡させてもよい。なお、凹溝部55、57、凹部15、58および凸部17はプレス加工により形成することができる。
【0063】
上述の記載からも明らかなように、カール部同士を嵌合させることや、カール部とテーパ部とを嵌合させることなどは、特願2018−138005号の日本出願に開示されている。
上述の第6実施形態の紙製の蓋1の嵌合は、他の形態を採用することも可能である。
図19は、第6実施形態の紙製の蓋の変形例であり、
図19(a)〜
図19(f)まで6つの例を開示しており、順次説明を行う。ここで、
図19(a)〜
図19(c)は、係合部12のテーパ部12cと容器20のテーパ部21とが順テーパの例を示し、
図19(d)〜
図19(f)は、係合部12のテーパ部12cと容器20のテーパ部21とが逆テーパの例を示している。なお、図面を簡単にするため、飲み口5などの図示を省略している。
【0064】
図19(a)は、係合部12の上面にカール部29を形成して、このカール部29により係合部12と天蓋部2とを接合させている。このカール部29と容器20のカール部22とを嵌合もしくは係合させ、第2テーパ部11とカール部22とを嵌合もしくは係合させ、係合部12のテーパ部12cと容器20のテーパ部21の内面とを嵌合させることにより、容器20を倒したり、過度に傾けてしまったりした場合でも前述の3カ所にて嵌合もしくは係合およびその両方を利用しているので、紙製の蓋1と容器20との密閉性が向上し、容器20の内容物がこぼれる虞を低減することができる。
【0065】
図19(b)は、カール部29を同図のZ軸に沿って潰してX軸方向に伸ばした例を示している。このように、カール部29を平べったく横長にすることにより、カール部29と天蓋部2との接合面積を増やすことができるので、係合部12を確実に天蓋部2に接合することができる。また、カール部29とカール部22との接触面積を増やすことができるので、容器20の内容物がこぼれる虞を低減することができる。なお、プレス加工によりカール部29をZ軸に沿って潰してX軸方向に伸ばすことができる。
【0066】
図19(c)は、カール部29を同図のX軸に沿って潰してZ軸方向に伸ばした例を示している。このように、カール部29を縦長にすることにより、天蓋部2の下面と底蓋部4の上面との間に空間が形成され、この空間が断熱部として機能するため、容器20内の内容物の保温性を向上することができる。また、カール部29とカール部22との接触面積を増やすことができるので、容器20の内容物がこぼれる虞を低減することができる。なお、プレス加工によりカール部29をZ軸に沿って潰してX軸方向に伸ばすことができる。カール部29は、パッキンのような機能を果たしており、これにより、容器20の内容物がこぼれる虞を低減することができる。
【0067】
図19(d)は、
図19(a)に図示した係合部12を上下反転して天蓋部2に接合した例を示している。これにより、係合部12のテーパ部12cと容器20のテーパ部21とが逆テーパとなる。
テーパ部12cと、テーパ部21とが逆テーパの場合は、嵌合するときに面接触ではなく点接触(線接触)となるため、嵌合するときの力が面接触の場合に比べて嵌合部に集中して作用する。このため、テーパ部12cとテーパ部21との嵌合性が向上するので、紙製の蓋1の密閉性が向上する。また、テーパ部12cと、テーパ部21とは紙材料のため、テーパ部12cおよびテーパ部21が嵌合により変形して若干の平面部が形成される。この平面部が、テーパ部12cと、テーパ部21との嵌合性を向上させている。また、紙製の蓋1を容器20から取り外すときも、テーパ部12cと、テーパ部21とが点接触(線接触)のため順テーパの場合に比べて嵌合長が短いので、紙製の蓋1を簡単に外すことができる。
【0068】
図19(e)は、カール部29を同図のZ軸に沿って潰してX軸方向に伸ばした例を示している。このように、カール部29を平べったく横長にすることにより、テーパ部12cと、テーパ部21との嵌合箇所を
図19(d)の例に比べてより小さくすることができる。
【0069】
図19(f)は、カール部29を同図のX軸に沿って潰してZ軸方向に伸ばした例を示している。このように、カール部29を縦長にすることにより、テーパ部12cと、テーパ部21との嵌合箇所を
図19(d)の例に比べて大きくすることができる。テーパ部12cと、テーパ部21とを逆テーパとするとともに、カール部29とテーパ部21との嵌合部分の大きさを適宜設定することにより、使い勝手のよい紙製の蓋1を実現することができる。
【0070】
なお、第4実施形態および第5実施形態の紙製の蓋1をホルダ30付きとしてもよい。
また、各種の変形なども可能である。以下、
図14、
図15を用いて、
図2のシール部8の変形例について説明する。
図14(a)は、シール部8がC字状に折り曲げられており、シール部8の下面側に塗布された接着剤13により天蓋部2の窪み部に接合されている。また、シール部8の上面側に接着剤14が塗布されている。なお、接着剤14は再剥離性の接着剤とすることが望ましい。
図14(b)は、シール部8の上面の一端を引っ張って、シール部8の上面の一端と容器20のテーパ部21とを接着剤14により接合した様子を示している。このように、シール部8を用いて紙製の蓋1と容器20とを接合することにより、紙製の蓋1が容器20内に脱落してしまうことを防止できる。なお、
図14では、接着剤14をシール部8の上面の端部まで塗布しているが、手に接着剤14が付かないように、接着剤14は上面の端部からずらして塗布することが望ましい。本実施形態では、接着剤13の接着力が接着剤14の接着力よりも大きくしている。これに代え、もしくはこれと併用して、接着剤13の塗布量を接着剤14の塗布量よりも多くすることが好ましい。なお、接着剤13に代えてヒートシールにより、シール部8の下面と、天蓋部2の窪み部とを接合してもよい。
【0071】
図15は、
図14の紙製の蓋1の接着剤14を省略した例を示しており、接着剤14に代えて、シール部8の上面の端部をカール部22に係合させることにより、紙製の蓋1が容器20内に脱落してしまうことを防止している。シール部8の上面の端部は、カール部22と係合するようにV字状となっている。このV字状の形状を保つために、V字状の谷部を接着、ヒートシール、超音波接合、高周波接合などの各種接合方法により接合しておくことが望ましい。
なお、
図14、
図15のシール部8は、飲み口5を覆うシールでもよく、飲み口5を覆うシールとは別のシールでもよい。シール部8により飲み口5を覆う場合には、飲み口5と対向する部分およびその周辺には接着剤13を設けないことが望ましい。
【0072】
(第7実施形態)
図16は、第7実施形態の紙製の蓋1の概要図である。なお、図面を簡単にするため、
図2に図示したシール部8の図示を省略している。本実施形態においては、容器20の内容物が視認できる窓部18を設けるとともに、この窓部18に切り込み部24を設けている。なお、この窓部18は、天蓋部2の窪み部などに形成することができる。
図16(a)は、円形状の窓部18を示しているが、その形状や大きさは容器20の内容物が視認できれば何でもよい。また、窓部18は、
図16(b)に示すように、飲み口5と干渉しないような形状としてもよい。
本実施形態において、窓部18は、透明部材であり、ポリプロピレンやポリエチレンなどの各種フィルム(生分解性フィルムを含む)を用いることができる。また、透明部材としてセルロースナノファイバーを用いてもよく、紙製の蓋1をセルロースナノファイバーとしてもよい。
【0073】
窓部18は、紙材料に開口部を形成して、この開口部を覆うようにコート層としてのフィルムをヒートシールや接着剤などの各種接合方法により接合することにより形成することができる。この場合、フィルムは、紙材料の片面側(例えば上面側)に接合してもよく、フィルムロールを2つ設けて両面(上面側および下面側)に接合するようにしてもよい。また、溶かした樹脂をスリットから押出して薄膜を形成するT−ダイ成形によるフィルムを紙材料に接合することができる。この場合、溶かした樹脂を用いるため、紙材料とフィルムとを一対の押圧ロールにより押圧すると、フィルム側の押圧ロールに樹脂が付着してしまうことがある。このため、フィルム側の押圧ロールはテフロン(登録商標)やシリコン製のものを用いることが好ましい。また、紙材料とフィルムとの接合性を向上するために一対の押圧ロールを加熱することが考えられる。この場合も、フィルム側の押圧ロールに樹脂が付着するのを避けるため、紙材料側の押圧ロールを加熱することが好ましい。空気孔部7は、
図16(a)に示すように窓部18とは異なる位置に形成してもよく、
図16(b)に示すように窓部18に形成してもよい。なお、紙製の蓋1がコールド用であれば、空気孔部7を省略してもよい。また、紙製の蓋1がコールド用であれば、天蓋部2を紙材料ではなく、容器20の内容物が視認できるフィルムとし、このフィルムにストローを差し込む切込みを形成してもよい。
【0074】
切り込み部24は、ストローを差し込むためのものであり、本実施形態では、実線で示す切り込みと、この切り込みの両端に形成され点線で示すハーフカットと、を有しているが、切り込みだけでもよく、ハーフカットだけでもよい。なお、紙製の蓋1がホット用であれば、切り込み部24を省略してもよい。切り込み部24の幅は0.3mmから1mm程度とすることができる。窓部18のフィルムを張設した状態で刃物をフィルムに入れて容器20側と連通可能な切り込みを設ければ、刃物を抜いた際にフィルムの弾性により切り込みの幅がより狭くなり、容器20側に向かうに連れて、より切り込み幅が狭くなる。このため、ストローが差し込まれる前の状態であれば、容器20に紙製の蓋1を嵌め込み、容器20を逆さまにしても切り込み部24から内容物が漏れることはほとんどなく、誤って容器20を倒したとしても紙製の蓋1から内容物が漏れることはない。なお、切り込み部24は、十字線、放射状線、曲線(例えばS字状)などでもよい。
【0075】
切り込み部24は、上述のように切り込みが形成されているので、容易にストローを差し込むことができる。更に、本実施形態では、切り込みの両端にハーフカットが形成されているので、径が大きなストローが差し込まれた場合には、ハーフカットされた部分が破壊される。このため、本実施形態の切り込み部24は、径の小さなストローから径の大きな径のストローまで容易に差し込むことができる。
【0076】
図16(c)は、窓部18を2箇所(複数箇所)設けた例を示しており、切り込み部24も2箇所(複数箇所)設けている。しかしながら、切り込み部24は1箇所でもよい。2つの窓部18を左右対称に設けることにより、その視認性を向上させることができる、また、2つの窓部18を天蓋部2の中心からずれた位置に設けることにより、その視認性を向上させることができる。
図16(a)〜
図16(c)の例において、窓部18は、天蓋部2の面積の5%〜50%程度にすることが望ましい。窓部18の大きさが天蓋部2の面積の5%未満になるとその視認性が悪くなる。窓部18の大きさが天蓋部2の面積の50%を超えるとフィルムの使用量が多くなり、環境の点において好ましくない。なお、生分解性フィルムを使用する場合には、窓部18の大きさが天蓋部2の面積の50%を超えてもよい。
また、切り込み部24が形成されていない窓部18の周辺にプレス加工を施し、窓部18の強度を向上させるようにしてもよい。
なお、窓部18の形成と併せて、前述の表示部40や切込み部41を設ければ、容器20の内容物をより視認しやすくすることができる。
【0077】
図17は、第7実施形態の紙製の蓋1の断面図であり、
図17(a)は第5実施形態の紙製の蓋1(
図8(a))に窓部18を設けた場合であり、
図17(b)は第6実施形態の紙製の蓋1(
図9(a))に窓部18を設けた場合である。なお、図面を簡単にするために、飲み口5や切り込み部24などの図示を省略している。
図17(a)に示してあるように、天蓋部2に窓部18が形成されている。これに加えて、符号4が付してある部分(底蓋部4の下部)にもフィルムを張設して窓部18としてもよい。このように、窓部18を2つとすることにより、2つのフィルムで形成される空間が断熱部として機能するため、容器20内の内容物の保温性を向上することができる。
【0078】
図17(b)は、天蓋部2ではなく、係合部12に窓部18を設けた例を示している。
図17(b)では、天蓋部2に開口部19を設けることにより、係合部12に窓部18を設けることを実現している。なお、天蓋部2にも開口部19に代えて窓部18を設けてもよい。
また、符号12が付してある部分(係合部12の下部)にもフィルムを張設して窓部18としてもよく、符号4が付してある部分(底蓋部4の下部)にもフィルムを張設して窓部18としてもよい。このように、窓部18を2つ以上とすることにより、2つのフィルムで形成される空間が断熱部として機能するため、容器20内の内容物の保温性を向上することができる。
なお、係合部12の上面にカール部を形成して、このカール部により係合部12と底蓋部4とを接合するようにしてもよい。
【0079】
図20は、第7実施形態の窓部18を拡大した断面図であり、図面を簡単にするため切り込み部24は省略している。窓部18に切り込み部24を形成すると切り込み部24近傍が他の部分に比べて弱くなってしまう。このため、
図20(a)では、切り込み部24近傍の補強として補強部27を形成している。補強部27として接着剤(例えば、ホットメルト)を塗布している。接着剤が乾くことにより硬化して、切り込み部24近傍を補強することができる。
【0080】
図20(b)では補強部27として、窓部18のフィルムを圧縮して密度を上げている。具体的には、窓部18のフィルムをヒートシール、超音波接合、高周波接合、圧着などによりフィルムを圧縮している。これにより、切り込み部24近傍を補強することができる。
【0081】
図21は、第7実施形態の紙製の蓋1の窓部18の変形例である。
図21(a)においては、紙製の蓋1に開口部19を形成し、切り込み部24を形成せずに、切り込み部24を別部材として形成している。この別部材は、第2シール部28であり、
図21(a)の右側に3つの例を図示している。以下、3つの例について上から順番に説明を続ける。
なお、どの第2シール部28についても、フィルム、紙材料、アルミニウム、不織布、ゴム、布などを用いることができる。また、サブ第2シール部28aについてもこれらの材質を用いることができる。
【0082】
一番上の第2シール部28は、中央に切り込み部24が形成されている。
図21(a)において第2シール部28は、円形状としているが、開口部19の大きさよりも大きければ、どのような形状であっても構わない。第2シール部28の開口部19との対向面に再剥離性の接着剤を塗布することで、第2シール部28を開口部19の周りに接合するようにすればよい。これに代えて、ヒートシール、超音波接合、高周波接合により第2シール部28を開口部19の周りに接合するようにしてもよい。
これにより、切り込み部24からストローを挿入することができる。
【0083】
真ん中の第2シール部28は、ドーナツ状となっており、第2シール部28の上に第2シール部28よりも小さなサブ第2シール部28aが形成されている。第2シール部28は、上述のように切り込み部24が形成され、開口部19の周りに接合される。サブ第2シール部28aは、再剥離性の接着剤が塗布され、第2シール部28に接合されている。なお、サブ第2シール部28aに切り込み部24を形成しなければ、第2シール部28の切り込み部24が露出しないので衛生的である。そして、サブ第2シール部28aを第2シール部28から剥がすことにより切り込み部24からストローを挿入することができる。なお、サブ第2シール部28aにも切り込み部24を形成してもよい。
このように、サブ第2シール部28aを設けることにより、第2シール部28に形成された切り込み部24を前述の補強部27のように補強することができる。
【0084】
一番下の第2シール部28は、ドーナツ状となっており、第2シール部28の上に第2シール部28よりも小さなサブ第2シール部28aが形成されている。サブ第2シール部28aの外周の一部はカットされておらず、第2シール部28と一体となっている。このため、サブ第2シール部28aを第2シール部28からめくることにより切り込み部24からストローを挿入することができる。
なお、第2シール部28とサブ第2シール部28aとの少なくとも一方に印刷を施すことで、ストローの挿入口と分かるような目印を設けることとしてもよい。
また、切り込み部24は、紙製のストローや、先端が鋭利ではないストローにも対応できるような、形状、大きさにすることが望ましい。
【0085】
図21(b)は、紙製の蓋1に窓部18および切り込み部24を形成して、第2シール部28により、切り込み部24を覆う例を示している。第2シール部28の大きさは、窓部18の大きさよりも大きくしているが、これに限定されるものではない。
一番上の第2シール部28は、再剥離性の接着剤により窓部18から剥がせるようにしてもよい。また、第2シール部28の外周の半分程度を窓部18にヒートシールなどにより溶着して、第2シール部28をめくれるようにしてもよい。
【0086】
真ん中の第2シール部28は、ドーナツ状となっており、サブ第2シール部28aは、再剥離性の接着剤により第2シール部28から剥がせるようにしてもよい。また、サブ第2シール部28aの外周の半分程度をヒートシールなどにより第2シール部28に溶着して、サブ第2シール部28aをめくれるようにしてもよい。第2シール部28は、窓部18の切り込み部24に対応して切り込み部24を形成してもよく、開口部を形成してもよい。
【0087】
一番下の第2シール部28は、ドーナツ状となっており、第2シール部28の上に第2シール部28よりも小さなサブ第2シール部28aが形成されている。サブ第2シール部28aの外周の一部はカットされておらず、第2シール部28と一体となっている。また、第2シール部28は、窓部18の切り込み部24に対応して切り込み部24もしくは開口部が形成されている。
このため、サブ第2シール部28aを第2シール部28からめくることにより切り込み部24からストローを挿入することができる。なお、
図21(a)、
図21(b)の第2シール部28は、2枚のシール部(例えば、半円状、矩形状)から形成してもよく、その一部分が数ミリ程度重なるようにしてもよい。また、第2シール部28の一端を上部に向けて折り曲げて、指で摘めるようにしてもよい。
【0088】
(第8実施形態)
図22(a)は、第8実施形態の紙製の蓋1の断面図であり、部分拡大図とともに図示している。本実施形態では、天蓋部2の窪み部に凹部35を形成している。また、天蓋部2にカール部22と係合する係合部36を接合している。また、第2テーパ部11の一部を除いて押圧することにより、結果として円周状の凸部37を形成している。なお、図面では凸部37の厚さ(左右方向)を小さく図示しているが、凸部37は、天蓋部2や第2テーパ部11の紙材料の厚さよりも厚くすることにより、紙製の蓋1と容器20との密閉性をより良くすることができる。
なお、図面は簡略化しているものの、カール部9およびカール部22は外向カールである。また、図面を簡単にするために飲み口5は図示していない。
【0089】
紙製の蓋1の寸法の一例を挙げると、直径が70mm〜140mm程度であり、紙製の蓋1の全体の高さH1が12mm〜20mmであり、カール部9から天蓋部2までの周壁の高さH2が3.5mm〜12mmである。なお、紙製の蓋1の容量にもよるが周壁の高さH2は、飲みやすさの観点から6mm〜9mmが好ましく、全体の高さH1の36%〜53%程度の高さとすることでバランスのよい紙製の蓋1とすることができる。なお、複数の紙製の蓋1を積み重ねて運送する場合、カール部9とカール部9とがピッタリくっつくように積み重ねると紙製の蓋1を取出しにくい。このため、全体の高さH1から周壁の高さH2を引いた高さが、周壁の高さH2よりも大きいことが望ましい。このため、周壁の高さH2は、全体の高さH1の36%〜48%程度とすることがより好ましく、積み重ねた複数の紙製の蓋1を取り出す際の取り出しが容易であるとともに、積み重ねの嵩高さを小さくすることができる。
また、カール部9の直径は2mm〜3mm程度であり、周壁の高さH2からカール部9の直径を引いた高さが、カール部の直径(高さ)よりも大きいことが望ましい。これにより、ホット飲料をカール部9に口をつけて飲み口5からすするときにでも、周壁の高さH2に応じて内容物の温度が下がるので火傷の虞を低減することができる。
図25(a)を用いて説明したように、外周端(周壁部分)から飲み口5までの長さL2が1mm〜15mm、好ましくは4mm〜12mmであるので、飲み口5までの長さL2と周壁の高さH2とを合わせて4.5mm〜27mm、好ましくは15mmから25mmとし、周壁を介して内容物を摂取するようにすれば、より火傷の虞を低減することができる。なお、図面上は異なって見えるが、上述の紙製の蓋1の寸法は、第4実施形態から第7実施形態においても適用することができる。また、本実施形態の紙製の蓋1の目付量は、150g/m
2〜300g/m
2未満がよく、好ましくは、200g/m
2〜250g/m
2程度がよい。このように目付量を少な目にすることにより、紙製の蓋1を容器20に取り付けたときに、容器20のカール部22を変形させたり損傷させたりすることがない。なお、天蓋部2と第2テーパ部11との目付量とは同じでも異ならせてもよいが、同じ目付量とした場合でも、天蓋部2の厚さを厚くすることにより密度を小さくして柔らかくすることが望ましい。容器20に熱い飲みものを入れて紙製の蓋1を嵌め込むと、蒸気により天蓋部2が凸状に変形する。天蓋部2の変形に応じて、カール部9が内側に変形するので、紙製の蓋1と容器20との密閉性が向上する。
【0090】
天蓋部2の凹部35は、例えばプレス加工により形成することができ、その深さは0.8mm〜2.0mm程度とすることが望ましい。また、天蓋部2の両端にカール部22の少なくとも上部が収納可能なように凹部35の幅を設定するのが好ましく、カール部22の幅よりもやや小さめの幅として、天蓋部2の両端の弾性変形によりカール部22の少なくとも上部を収納するようにしてもよい。このように、天蓋部2の両端によりカール部22の少なくとも上部を収納すれば、紙製の蓋1と容器20との密閉性が向上する。
凹部35の形成を容易にするために、紙材料(もしくは紙製の蓋1)を紙材料のコート剤に影響がない温度(例えば、50℃〜100℃)まで赤外線や熱風により加熱することが望ましい。また、プレス加工機の紙材料(もしくは紙製の蓋1)を保持する下型を60℃〜130℃、好ましくは70℃〜100℃まで加熱することが好ましい。なお、紙材料(もしくは紙製の蓋1)の加熱と、プレス加工機の加熱はいずれか一方だけ行ってもよく、両方とも行ってもよい。このように凹部35を形成することにより、部分拡大図に示すように、第2テーパ部11と、凹部35との空間が小さくなり、紙製の蓋1を容器20に取り付けた際の密閉性が向上する。なお、凹部35の端部がカール部22と接触するように、凹部35を形成するようにしてもよい。なお、凹部35は、凹部35に相当する部分をプレス加工して形成してもよく、紙製の蓋1を裏返して、天蓋部2の両端をプレス加工して形成してもよい。
【0091】
係合部36は、フィルムなどのコート層が設けられた紙材料から形成されたリング状(ドーナツ状)の部材であり、天蓋部2の内側に例えば、ヒートシールや超音波接合などにより接合されている。また、係合部36の両端は、天蓋部2に接合されていない自由端となっている。なお、係合部36の両端をテーパ形状としてもよく、テーパ部21と同じテーパ方向の順テーパとしてもよく、テーパ部21とはテーパ方向が異なる逆テーパとしてもよい。
係合部36は、カール部22と係合可能な寸法になっており、図示は省略するものの、カール部22の係合により係合部36の自由端が上方に折り曲げられるようになっている。係合部36がパッキンとして機能することにより、紙製の蓋1を容器20に取り付けた際の密閉性を向上することができる。係合部36の目付量は、紙製の蓋1の目付量に対して同等以下とすることが好ましく、150g/m
2〜250g/m
2程度がよい。
係合部36は、リング状であるのでその内側に空間が形成され、この空間が断熱部として機能するため、容器20内の内容物の保温性を向上することができる。また、容器20を傾けた際に、カール部22と、天蓋部2と、係合部36とで形成される空間部S1が容器20からの内容物を保持することができるので、飲み口5を除いて紙製の蓋1から内容物が漏れることを低減することができる。なお、係合部36は、リング状ではなく中実形状としてもよく、紙材料としてフルートを有した各種の段ボールを用いてもよく、紙材料に代えてフィルム(例えば、ポリエチレンフィルム)を用いてもよい。
【0092】
第2テーパ部11の内周面は、一部が凹んだ駒部材を押圧させることにより、圧縮させている。駒部材の凹んだ部分により押圧されなかった部分が凸部37として残っている。カール部22は、この凸部37を乗り越えて、第2テーパ部11と、凹部35とで形成される空間に入り込む。凸部37は、第2テーパ部11と、凹部35とで形成される空間に入り込んだカール部22の抜け防止として機能している。なお、第2テーパ部の内周面に凸部37を複数設けるようにしてもよい。例えば、上下方向に離間して凸部37を2つ形成し、この2つの凸部37の間にカール部22を嵌め込むようにしてもよい。この場合、カール部22の直径よりも2つの凸部37の間隔を狭くすることで、カール部22がつぶれて(変形して)紙製の蓋1と容器20とが嵌合するようになるので、紙製の蓋1と容器20との密閉性を向上することができる。なお、凸部37は、第2テーパ部11の内周に連続的ではなく、断続的に設けるようにしてもよい。また、凸部37の形状は、矩形状でも半円形状でも楕円形状でもどのような形状でもよいが、密閉性の観点から凸部37の一部の形状がカール部22の形状と同じであることが好ましい。例えば、凸部37がカール部22と係合する部分の形状は、カール部22の円周形状と同じ円周形状であることが好ましい。
【0093】
図22(b)〜
図22(d)は、係合部36としてフィルムを用いたときの拡大図であり、以下、順番に説明を行う。
図22(b)は、紙製の蓋1を容器20に取り付けた場合に、カール部22が係合部36の自由端を乗り越えた場合を示している。この場合もカール部22と、天蓋部2と、係合部36とで形成される空間部S1が容器20からの内容物を保持することができるので、飲み口5を除いて紙製の蓋1から内容物が漏れることを低減することができる。なお、
図22(b)において、係合部36としてフィルムなどのコート層が設けられた前述の紙材料を用いてもよく、この場合、係合部36の両端の形状を直角に折り曲げてもよく、鋭角に折り曲げてもよく、鈍角に折り曲げてもよい。これにより、第2テーパ部11と係合部36の端部との隙間をより小さくすることができる。特に、係合部36の両端の形状が
図22(b)に示すような鈍角の場合、紙製の蓋1と容器20との密閉性をより向上することができる。
【0094】
図22(c)は、係合部36の端部を自由端とせずに第2テーパ部11の側面に接合した場合を示している。係合部36は、中央およびその周辺が天蓋部2に接合されており、天蓋部2に接合された部分と、第2テーパ部11の側面に接合された部分との間がどこにも接合されていない部分となっている。紙製の蓋1を容器20に取り付けた場合に、カール部22がこのどこにも接合されていない部分と当接し、係合部36を形成するフィルムが紙製の蓋1に向けて弾性変形することにより、紙製の蓋1と容器20とが嵌り合う。このため、容器20を傾けた場合でも係合部36を形成するフィルムが容器20からの内容物が漏れないように作用するので、飲み口5を除いて紙製の蓋1から内容物が漏れることがない。
また、天蓋部2と、第2テーパ部11と、係合部36と、カール部22とにより空間部S1が形成されている。例えば、紙製の容器20を手で強く握りしめて容器20が変形した場合でも、空間部S1がこの変形に追従したり、クッションとして機能したりするので紙製の蓋1が容器20から外れにくくなっている。
【0095】
図22(d)は、係合部36を天蓋部2ではなく、係合部36の両端を第2テーパ部11の側面に接合した場合を示している。この場合も紙製の蓋1を容器20に取り付けた場合に、係合部36を形成するフィルムが紙製の蓋1に向けて弾性変形することにより、紙製の蓋1と容器20とが嵌り合う。このため、容器20を傾けたとしても、係合部36を形成するフィルムが容器20からの内容物を漏らさないように作用するので、飲み口5を除いて紙製の蓋1から内容物が漏れることがない。係合部36としてフィルムなどのコート層が設けられた前述の紙材料を用いてもよく、この場合、係合部36を中実形状とし、係合部36を天蓋部2に接合することが好ましい。天蓋部2はその製造工程により、平面度が劣化することがあり、天蓋部2とカール部22とから天蓋部2の平面度の劣化に起因した内容物の漏れが生じる虞がある。このため、平面度が保たれた係合部36にカール部22を係合させることにより、前述の漏れが生じる虞を低減することができる。なお、係合部36の形状をリング状としてもよい。
また、係合部36の接合は、前述した各種接合方法を適用することができる。また、フィルムとしてポリエチレンフィルム以外のフィルムを用いることもできる。なお、フィルムの弾性変形が可能な範囲で、フィルムに紙材料や、粉砕パルプを積層したエアレイドなどの他の材料を接合しても構わない。
また、
図22(b)〜
図22(d)において、凹部35および凸部37は形成してもよいし、省略してもよい。凹部35を形成する場合には、係合部36の一部を凹部35に接合してもよい。
また、
図22(a)〜
図22(d)において、容器20の内容物がホットコーヒーなどのように熱い飲み物の場合には、紙製の蓋1と容器20とで密閉される空間の圧力が高くなるため、係合部36を形成するフィルムの密着性が向上する。これにより、紙製の蓋1と容器20との密閉性を向上することができる。
【0096】
図22(e)〜
図22(g)は、係合部36としてフィルムなどのコート層が設けられた紙材料を用いた場合の変形例であり、以下、順番に説明を行う。
図22(e)は、カール部22の外側を実質的に覆うような形状に係合部36の端部をプレス加工により形成している。凹部35と係合部36との接触面は接合されている。係合部36の端部は、自由端としてもよく、第2テーパ部11と接合させてもよい。係合部36の端部を自由端とした場合には、カール部22との係合により係合部36の自由端が上方に折り曲げられるように係合部36の端部の寸法を設定すればよい。
紙製の蓋1として紙コップの底部分を利用した場合には、紙製の蓋1の周壁の内側に紙材料と紙材料との継ぎ目が形成されてしまい、この継ぎ目から容器20の内容物が漏れる虞がある。しかしながら、係合部36の端部により紙製の蓋1の周壁の内側の継ぎ目の一部を押さえて密閉することができる。このため、この継ぎ目に沿って内容物が紙製の蓋1から漏れることを防止することができる。これにより、容器20を傾けた場合でも係合部36がカール部22の外側を覆うので、飲み口5を除いて紙製の蓋1から内容物が漏れることがない。また、天蓋部2と、第2テーパ部11と、係合部36と、カール部22とにより形成された空間部S1により、紙製の容器20を手で強く握りしめて容器20が変形した場合でも、空間部S1が空間部S1の弾性によりこの変形に追従したり、クッションとして機能したりするので紙製の蓋1が容器20から外れにくくなっている。
なお、紙製の蓋1の周壁の内側の継ぎ目のある部分に飲み口5を形成すると、この継ぎ目から内容物が漏れてしまう。このため、飲み口5は、紙製の蓋1の周壁の内側の継ぎ目とは異なる位置(干渉しない位置)に設けることが望ましい。
なお、
図22(e)の係合部36をフィルムから構成し、このフィルムの弾性を利用して、係合部36とカール部22と係合すれば、係合部36とカール部22との密着性がより向上する。
【0097】
図22(f)は、カール部22の外側および内側を実質的に覆うような形状に係合部36の凸部36aおよび凹部36bを含む端部をプレス加工により形成している。前述のように、係合部36の端部により紙製の蓋1の周壁の内側の継ぎ目の一部を押さえて密閉すれば、この継ぎ目に沿って内容物が紙製の蓋1から漏れることを防止することができる。更に、係合部36の凹部36bにより、容器20の周壁の内側に形成された継ぎ目の一部を押さえて密閉することが可能である。このため、容器20の周壁の内側の継ぎ目に沿って内容物が紙製の蓋1から漏れることを防止することができる。
これにより、容器20を傾けた場合でも係合部36がカール部22の外側および内側を覆うので、飲み口5を除いて紙製の蓋1から内容物が漏れることがない。なお、飲み口5は、凹部35と係合部36とが接触している部分に設ければよい。
【0098】
図24は、
図22(f)の係合部36の一例を示す概要図および断面図である。
図24に示すように、係合部36は円形状であり、第1部分である凸部36aと、第2部分である凹部36bと、開口部36cとが形成されている。係合部36の外径は、底蓋部4の外径よりも大きくしてある。このため、係合部36を天蓋部2に嵌め込んだ場合に、係合部36の端部が容器20側に折れ曲がる場合がある。これにより、紙製の蓋1と容器20との密閉性が向上する。このように、係合部36の外径を底蓋部4の外径よりも大きくして、係合部36を天蓋部2に嵌め込む場合は、天蓋部2と係合部36とのヒートシールなどによる接合を省略してもよい。
なお、係合部36の厚さは、凸部36aおよび凹部36bを除き、0.7mmから2.0mm程度である。係合部36の厚さをこのように設定することにより、天蓋部2や凹部35の強度が向上し、天蓋部2や凹部35の平面度が向上する。また、凸部36aにバネ性(弾性)を付与することができ、凸部36aがカール部22の変形に追従することができる。なお、凸部36aは、カール部22と係合するように半円状としたが、逆U字状や逆V字状としてもよい。また、凸部36aをカール部22と係合させる場合に、凸部36aの大きさ(半円状などの大きさ)をカール部22の大きさ(直径)よりも小さくしておき、カール部22を変形させてカール部22を凸部36aと係合させるようにしてもよい。また、凹部36bは直線状としてもよい。
【0099】
凸部36aと凹部36bとは、前述のようにプレス加工により形成される。凸部36aはカール部22の外側を覆うような形状であり、凹部36bはカール部22の外側を覆うような形状である。すなわち、凸部36aと凹部36bとによりカール部22を覆う形状となっている。なお、凸部36aと凹部36bとによりカール部22すべてを覆わなくてもよい。
前述のように、係合部36は、フィルムなどのコート層が設けられた紙材料である。凸部36aと凹部36bとを形成するプレス加工は、フィルムが接合された状態で行われてもよく、プレス加工後にフィルムを張設してもよい。凸部36aが形成された後に凸部36aのカール部22との対向面にフィルムを張設すれば、フィルムの弾性を用いて凸部36aとカール部22の外側とを係合させることができる。
【0100】
開口部36cは、係合部36を凹部35に接合するための位置合わせ用の開口であり、その大きさは適宜設定することができる。なお、開口部36cを省略して、係合部36の外周を利用して凹部35に接合するための位置合わせを行ってもよく、係合部36にノッチを形成して凹部35に接合するための位置合わせを行ってもよい。
【0101】
図22(g)は、
図22(a)から凸部37を省略した例であり、係合部36の紙材料として弾性(クッション性)のある紙材料を用いている。なお、弾性のある紙材料の少なくとも片面(容器20との対向面)には、フィルムなどのコート層が設けられている。弾性のある紙材料として各種の段ボールを用いることができる。段ボールは、フルートによるクッション性と、剛性とに優れているが、その端部は剛性が弱く弾性変形しやすい。段ボールを係合部36として用いた場合に、その端部がカール部22と係合して弾性変形するので、紙製の蓋1と容器20との密閉性を向上することができる。
【0102】
弾性のある紙材料として、紙材料と発泡ポリエチレンとをラミネートしてもよく、エンボス加工が施された柔軟性のある紙材料やエアレイドをラミネートしてもよい。この場合も、紙材料の少なくとも片面(容器20との対向面)には、フィルムなどのコート層を設けたり、防水剤を塗布したりすることが好ましい。また、紙材料と紙材料との間に弾性のある紙材料をラミネートしてもよい。また、弾性のある紙材料に代えて、各種不織布を用いてもよい。
なお、エアレイドは、紙材料とラミネートすることなく、フィルムとヒートシールすることにより、エアレイドのヒートシール面を焼き止め処理して密にしてもよい。このように、コート層(防水層)と弾性層とから係合部36を構成してもよい。
また、弾性のある紙材料として、薄葉紙を複数枚積層し、積層した薄葉紙にコート層を設けて構成してもよい。
なお、
図22(g)の係合部36の自由端をテーパ形状としてもよく、テーパ部21と同じテーパ方向の順テーパとしてもよく、テーパ部21とはテーパ方向が異なる逆テーパとしてもよい。
また、カール部22との係合により係合部36の自由端が上方に折り曲げられるように(空間部S1に向かうように)係合部36の端部の寸法を設定してもよい。
また、第2テーパ部11と係合部36の端部との間隔をカール部22の大きさよりも小さくしておき、カール部22を変形させて、第2テーパ部11と係合部36の端部との間にカール部22が係合するようにしてもよい。
なお、
図22(e)〜
図22(g)において、第2テーパ部11に凸部37を設けるようにしてもよく、凹部35を省略するようにしても構わない。
図22(c)、
図22(e)、
図22(f)の例において、第2テーパ部11に凸部37を設ける場合には、係合部36の端部が凸部37を覆う形状とすることが望ましい。これにより、紙製の蓋1から容器20の内容物が漏れにくくなる。
また、
図22(a)〜
図22(g)において、第2テーパ部11のテーパ角度を容器20のテーパ部21のテーパ角度よりも鋭角にすれば、空間部S1の容積をより大きくすることができる。これにより、容器20が変形した場合でも紙製の蓋1が容器20から外れにくくなる。
【0103】
なお、係合部36に代えて、カール部22と係合するように天蓋部2のカール部22側や第2テーパ部11の内周面に弾性部材を設けてもよい。弾性部材としては、フィルム、ゴム、発泡ポリエチレン、ポリウレタン、シリコン、ホットメルトなどを用いることができる。
【0104】
図27も第8実施形態の紙製の蓋1の断面図の別例を示している。
図27(a)〜
図27(e)には、紙製の蓋1の5つの例が示されている。以下、
図27(a)〜
図27(e)の例について順次説明する。なお、この5つの例では、凹部35および係合部36を省略しているが、凹部35および係合部36を設けてもよい。
図27(a)は、第2テーパ部11の内周に設けられた円周状の凸部37でカール部22を嵌合する例を示している。この場合、カール部22が進入する凸部37の先端の内径を、カール部22の外径よりも小さくすることで、カール部22と凸部37との少なくとも一方を変形させてカール部22と凸部37とを嵌合させることができるので、紙製の蓋1と容器20との密閉性が向上する。
【0105】
図27(b)は、第2テーパ部11を複数の角度の異なるテーパ角度から形成した例を示している。強テーパ部11aは、一例としてテーパ角が5°であり、後述の弱テーパ部11bよりもテーパ角度が強く(大きく)なっている。弱テーパ部11bは、強テーパ部11aよりも容器20側(カール部22側)に設けられており、一例としてテーパ角が3°であり、強テーパ部11aよりもテーパ角度が弱く(小さく)なっている。このように、容器20側(カール部22側)のテーパ角度を弱く(小さく)することにより、カール部22が紙製の蓋1に進入しやすくなる。なお、弱テーパ部11bのテーパを強テーパ部11aとは逆のテーパ形状と(外側に拡がるテーパ形状と)すれば、カール部22が紙製の蓋1により進入しやすくなる。
なお、
図27(a)、
図27(b)において、凸部37のZ方向(高さ方向)の寸法は、カール部22の直径の半分以上、好ましくはカール部22の直径と同等以上とすることにより、紙製の蓋1と容器20との密閉性を向上することができる。
図27(c)は、凸部37を強テーパ部11aの下方に設けた例を示している。これにより、容器20に紙製の蓋を嵌合させる際に、カール部22が凸部37を乗り越えていくため、ユーザはノッチ感を感じることができ、紙製の蓋1が閉まったことを感覚的に感じることができる。
図27(d)は、凸部37を強テーパ部11aの下方に設けるとともに、弱テーパ部11bに代えて、直線部11cを設けた例を示している。この直線部11cによりカール部22が紙製の蓋1に進入しやすくなるので、ユーザは簡単に紙製の蓋1を容器20に装着することができる。なお、強テーパ部11aおよび弱テーパ部11bの継ぎ目、または、強テーパ部11aおよび直線部11cの継ぎ目は、直線的としてもよく曲線的としてもよい。
図27(e)は、凸部37の代わりに強テーパ部11aの先端を内側に折り曲げた例を示している。これにより空間部S1を他の例に比べて広くすることができるので、この空間部S1により内容物を保持することができる。また、カール部22が強テーパ部11aの先端を内側に折り曲げた部分を乗り越えるのでノッチ感を確保することができるとともに、紙製の蓋1と容器20との密閉性を確保することができる。なお、
図27(a)〜
図27(d)においても凸部37を省略して、第2テーパ部11の先端もしくは強テーパ部11aの先端を内側に折り曲げてもよい。
なお、凸部37は、別体の部材を取り付けて形成する場合に限らず、後述する駒部材を有する成型装置によりテーパ部の内側に一体的に形成しても良い。
【0106】
図23は、第8実施形態の紙製の蓋1のシール部8を示す断面図である。
図23(a)〜
図23(c)には、紙製の蓋1のシール部8の3つの例を示している。以下、
図23(a)〜
図23(c)の例について順次説明する。なお、紙製の蓋1として第8実施形態以外の紙製の蓋1を用いてもよい。
図23(a)は、天蓋部2の凹部35に形成された飲み口5をシールするシール部8を示している。飲み口5を上方から見た図を下方に示している。飲み口5は、
図2(c)に示してある形状と同じ形状であり、凹部35に切り込みを入れて、紙製の蓋1の矢印方向に向けて開くものである。シール部8は、飲み口5を覆うような大きさになっているが、飲み口5の一部を覆うような大きさでも構わない。なお、飲み口5が視認しにくいので、シール部8に飲み口5の場所を示すような文字や絵を印刷してもよい。
【0107】
シール部8は、逆C字状であり、飲み口5の上面に対応して設けられた接着剤13によりシール部8の下面と凹部35とを接合している。なお、シール部8の自由端の先端は上方に向けて伸びており、シール部8の摘み部となっている。
シール部8の接着剤13が塗布された下面と反対面に再剥離性の接着剤14が分散して塗布されている。なお、再剥離性の接着剤14は、点状に複数箇所に塗布してもよく、スパイラル状に塗布してもよく、連続的に塗布してもよい。
図23(a)の矢印で示す方向に摘み部を引っ張ると、飲み口5の切り込みが形成されていない部分がヒンジとして機能し、飲み口5が開口する。更にシール部8を矢印方向に引っ張ると、シール部8は、逆C字状から直線状となり、再剥離性の接着剤14が凹部35と対向するようになる。この状態で凹部35に再剥離性の接着剤14を押し付けることにより、飲み口5の開口状態を保持することができる。
【0108】
図23(b)は、再剥離性の接着剤14を塗布する位置が
図23(a)と異なっており、逆C字状の上部裏面に再剥離性の接着剤14が塗布された例を示している。
図23(b)の矢印で示す方向に摘み部を引っ張ると、飲み口5が開口し、シール部8は、逆C字状から直線状となり、再剥離性の接着剤14が凹部35と対向するようになる。この状態で凹部35に再剥離性の接着剤14を押し付けることにより、飲み口5の開口状態を保持することができる。
【0109】
図23(c)は、シール部8が直線状であり、凹部35との対向面であるシール部8の下面に接着剤13と再剥離性の接着剤14とが塗布された例を示している。なお、接着剤13は飲み口5の上面に対応している。この場合、再剥離性の接着剤14は、凹部35と接合するように塗布されていてもよく、凹部35とは接合しないように塗布されていてもよい。再剥離性の接着剤14を凹部35に接合する場合には、再剥離性の接着剤14と接合する凹部35に剥離紙を貼ったり、シリコンやテフロン(登録商標)などの剥離剤を凹部35に塗布したりすることが好ましい。なお、剥離紙は、接着剤13の少なくとも一部(飲み口5側)と干渉しないように設けることが好ましい。
図23(c)の拡大図に示してあるように、シール部8は飲み口5の一部分を覆うような形状であり、再剥離性の接着剤14が飲み口5を挟むように2箇所設けられている。このように、飲み口5と周壁との間にも再剥離性の接着剤14を設けることにより、飲み口5が開かれたものか、開かれていないものかを確認することができる。
図23(c)の矢印で示す方向に摘み部を引っ張って飲み口5を開口させた後、凹部35に中央よりの再剥離性の接着剤14を押し付けることにより、飲み口5の開口状態を保持することができる。
本実施形態では、接着剤13の接着力を接着剤14の接着力よりも大きくしている。これに代え、もしくはこれと併用して、接着剤13の塗布量を接着剤14の塗布量よりも多くすることが好ましい。また、シール部8の裏面全体に接着剤を塗布し、摘み部や接着力を弱くする部分にワックスなどを塗布してこの接着剤の接着力を相殺するようにしてもよい。この場合も、摘み部や接着力を弱くする部分には、接着剤の塗布量を少なくしたり、ワックスの塗布量を多くしたり適宜することができる。なお、接着剤13に代えてヒートシールにより、シール部8の下面と、凹部35とを接合してもよい。また、シール部8をZ折りとして形成してもよい。また、凹部35を形成せずにフラットな天蓋部2としてもよい。
なお、
図2および
図23に示す飲み口5において、飲み口5の大きさは、円形状であれば直径6mm〜14mm程度、矩形状であれば対角線の長さが9mm〜20mm程度とすることができる。これにより、大きな氷が飲み口5を通過することがなく、子供が誤って大きな氷を飲み込むことを防止できる。
【0110】
(
図27(a)の紙製の蓋1の製造方法)
図28は紙製の蓋1の製造方法の一例を示すフローチャートであり、
図29は紙製の蓋1の製造方法の概要図である。以下、紙製の蓋1の製造方法について説明を行う。なお、ここでは、
図27(a)に示した紙製の蓋1を例にその製造方法について説明する。
紙製の蓋1のテーパ部3を形成する材料(扇型形状のコート層を有した紙材料という)は、
図26に示すように扇型形状に型取りされ、この状態で表示部40の印刷が行われる(ステップS1)。なお、表示部40は、扇型形状に型取りされる前に印刷が行われてもよい。また、表示部40は、紙材料に印刷されてもよく、コート層であるフィルムに印刷されてもよい。また、表示部40の数は3つに限定されものではない。表示部40の印刷に続いて、切込み部41の切込みを形成するのが望ましい。
【0111】
扇型形状のコート層を有した紙材料は、第1加工ステーション61に搬送される。第1加工ステーション61において、扇型形状のコート層を有した紙材料は、扇型形状の両端を一部重複して例えば超音波接合により接合される。これによりテーパ部3が形成される(ステップS2)。この場合、テーパ部3を型取った金型を用いてテーパ部3が形成される。なお、この一部重複した部分が継ぎ目となる。
また、扇型形状のコート層を有した紙材料の下縁をプレス加工により内側に折り曲げることにより第2テーパ部11が形成される。なお、扇型形状のコート層を有した紙材料の上側は、カール部9や、天蓋部2を囲む周壁となるが、これらについては後述する。
【0112】
第1加工ステーション61での加工が終了した扇型形状のコート層を有した紙材料は、第4加工ステーション64に搬送される。第4加工ステーション64での加工の説明に先立って、天蓋部2の製造方法につき説明を行う。
原反60は、コート層を有した紙材料であり、天蓋部2の形成に用いられる。
図29に示してあるように原反60の上端および下端は波形状となっている。以下、この波形状につき説明を続ける。
【0113】
図30は、原反60aから天蓋部2を抜き取る方法を示す図である。ここで、原反60aからは天蓋部2を2列分抜き取るものとする。
図30(a)に示すように、天蓋部2の1列目と2列目との上下の位置を同じにして抜き取る場合、黒塗りで示した部分が天蓋部2の抜き取り後に廃棄されることになる。
これに対して、
図30(b)に示すように、天蓋部2の1列目と2列目との上下の位置をずらして天蓋部2を抜き取る場合、廃棄される黒塗りの部分が少なくなる。更に原反60aの幅wを使用していないので、幅wだけ原反60aの幅を詰めることができ、原反60aを効率的に使用することができ、紙製の蓋1の製造原価を低減することができる。なお、天蓋部2の1列目と2列目との上下のずらし量は、天蓋部2の半径程度とすることが好ましい。
図30では原反60aから2列分の天蓋部2を抜き取ったが、原反60aの幅に応じて天蓋部2を3列以上抜き取るようにしてもよい。
本実施形態では、
図30(b)の方法で、1枚の原反60aから3列以上を抜き取ることとしているため、1列分の原反(
図29に示す原反60)は、上端および下端が波形状となっている。しかしながら、上端及び下端の少なくとも一方が直線状のものでもよい。例えば、
図30(b)の方法で、1枚の原反60aから天蓋部2を2列抜き取る場合には、原反60は、上端又は下端が直線状のものになる。また、
図30(a)の原反60aを用いてもよく、この場合も上端と下端との一方が波形状となり、上端と下端との他方が直線状のものになる。なお、
図30(a)の原反60aを1列分の原反とした場合には、上端および下端とも直線状となり、このような原反を用いてもよい。
【0114】
図29に戻り、原反60は、第2加工ステーション62に搬送される。第2加工ステーション62では、
図23に示したようなシール部8が原反60に接合される。第2加工ステーション62において、2つ分のシール部8が接合されるように図示しているが、その数は1つでもよく、3つ以上でもよい。シール部8は、不図示のシール原反から搬送され、その搬送過程で保護用の剥離紙が取り除かれ、接着面が原反60に接合される。
図29の接着剤14が接着される部分には、保護用の剥離紙とは異なる剥離紙を設けて、接着剤14の接着力を接着剤13の接着力より弱くなるようにしてもよい。
【0115】
シール部8が接合された原反60は、第3加工ステーション63に搬送される。第3加工ステーション63では、飲み口5を形成するための加工が刃具を用いて行われる。また、第3加工ステーション63では、天蓋部2の抜き取りが刃具を用いて行われる。飲み口5は、原反60に接合されたシール部8を目印として行われる。
天蓋部2は、円形状の点線で示すように抜き取られる。また、天蓋部2は、断面U字状のテーパ部3と第2テーパ部11との間に接合されるように、天蓋部2の外周がプレス加工により折り曲げられる(ステップS3)。なお、飲み口5の加工と、天蓋部2の抜き取り加工とはどちらが先に行われてもよく、同時に行われてもよい。
【0116】
また、第2加工ステーション62と第3加工ステーション63とのレイアウトを入れ替えて、第2加工ステーション62の加工に先立って、第3加工ステーション63の加工を行ってもよい。この場合、シール部8は、飲み口5を目印として天蓋部2に接合される。
本実施形態においては、第3加工ステーション63での加工が終了した天蓋部2が第4加工ステーション64に搬送される。
【0117】
第4加工ステーション64では、断面U字状のテーパ部3と第2テーパ部11との間に、外周がプレス加工により折り曲げられた天蓋部2が嵌め込められる。天蓋部2が、テーパ部3と第2テーパ部11との間に嵌め込められた状態で、加熱処理が行われる(ステップS4)。この加熱処理により、天蓋部2と、テーパ部3と、第2テーパ部11とにコートされているフィルムが溶けて、天蓋部2と、テーパ部3と、第2テーパ部11とがヒートシール接合される。なお、天蓋部2と、テーパ部3と、第2テーパ部11とのヒートシール接合は、全面で行ってもよく、部分的に行うようにしてもよい。例えば、凸部37近傍では、テーパ部3と、第2テーパ部11とのヒートシール接合を行わないようにしてもよい。
また、天蓋部2を囲む周壁がテーパ部3により形成されている。なお、上記説明では、ステップS2において、扇型形状のコート層を有した紙材料の下縁をプレス加工して、第2テーパ部11を形成し、ステップS3において、天蓋部2の外周をプレス加工して折り曲げることとしたが、これに限られるものではない。例えば、ステップS4の加熱処理の直前、又は加熱処理を行いながら、これらプレス加工の少なくとも一方を行うこととしてもよい。
【0118】
天蓋部2と、テーパ部3と、第2テーパ部11とがヒートシール接合する場合に、飲み口5が、テーパ部3(天蓋部を囲む周壁ともいう)に形成された継ぎ目を避けていることが好ましい。このため、不図示の検出装置により、継ぎ目や継ぎ目の近傍に設けたマークを検出して、この検出結果に基づき、天蓋部2を回転させて飲み口5の位置を調節してから前述のヒートシールを行うことが望ましい。
なお、天蓋部2がテーパ部3および第2テーパ部11と接合された後に、飲み口5を形成するようにしてもよい。飲み口5の形成に続き、シール部8を形成してもよく、後工程でシール部8を形成してもよい。
【0119】
第2テーパ部11の内周面を一部が凹んだ駒部材で押圧することにより、駒部材の凹んだ部分により押圧されなかった部分が凸部37として形成される(ステップS5)。なお、凸部37は、第2テーパ部11の上端部に形成されているが、その高さ方向の位置は駒部材の形状により適宜調節することができる。また、駒部材を押圧する圧力を調節することにより、凸部37の高さを調節することができる。なお、第2テーパ部11の目付量により、凸部37の高さを調節してもよい。
第2テーパ部11の内周面を駒部材で押圧後に、第2テーパ部11の先端(底蓋部4側)の内径の寸法は、カール部22の外径と同じか、若干小さくなっていれば、容器20に紙製の蓋を嵌め込むときにカール部22がつぶれて(変形して)、紙製の蓋1と容器20とが嵌合するので、紙製の蓋1と容器20との密閉性を向上することができる。これに代えて、もしくは、これと併用して、カール部22が進入する凸部37の先端の内径を、カール部22の外径よりも小さくしてもよい。これにより、カール部22と凸部37との少なくとも一方を変形させてカール部22と凸部37とを嵌合させることができるので、紙製の蓋1と容器20との密閉性を向上することができる。
凸部37が形成された後、ヒートシール接合された天蓋部2と、テーパ部3と、第2テーパ部11とは、第5加工ステーション65に搬送される。
【0120】
ついで、第5加工ステーション65では、
図11に示すカール成形金型70により、カール部9が形成される(ステップS6)。これにより、
図27(a)の紙製の蓋1を製造することができる。なお、上述の製造方法は一例であり、一部の工程の順番を入れ替えるなどの変形をすることができる。
また、前述したように原反60はコート層を有した紙材料であるので、
図16、
図21に示したような窓部18を形成する場合は、紙材料にフィルムなどのコート層が接合される前に窓部18の開口を形成することが好ましい。紙材料とフィルムとを接合する場合は、ラミネートでもよく、T−ダイ成形でもよい。なお、紙材料とフィルムとを加熱して接合した場合は、常温または室温に戻る過程でフィルムの寸法が変化しやすい。このため、接合した紙材料とフィルムとを冷却する工程を設けてもよい。これに代えて、窓部18が形成されたものを原反60としてもよい。これにより、冷却工程を設けなくても第2加工ステーション62にて加工するまでに十分な時間を取ることができるので、フィルムの寸法変化を低減することができる。
【0121】
なお、ここで、駒部材を用いて
図22(a)の凸部37と、
図27(c)の凸部37と、
図27(d)の凸部37とを形成する例を説明する。
図31は、凸部37を形成する形成装置の断面図である。
図31(a)〜
図31(c)には、形成装置の3つの例を示しており、以下、順番に説明を行うが重複する説明については割愛する。なお、この形成装置は、第4加工ステーション64に設けることができる。
図31(a)は、
図22(a)の凸部37を形成する形成装置であり、断面U字状のテーパ部3を外側から固定する固定部材80と、金属製の駒部材81と、を有している。駒部材81は、全体的には円形状または楕円形状であり、第2テーパ部11と同じテーパ形状の上方テーパ部82と、凸部37を形成するためのにげ部83と、第2テーパ部11と同じテーパ形状の下方テーパ部84と、を有している。
ここで、断面U字状のテーパ部3には天蓋部2が既に接合されているものとする。固定部材80により断面U字状のテーパ部3が固定された状態で、駒部材81が不図示の駆動機構により偏芯して回転し、上方テーパ部82と下方テーパ部84とが第2テーパ部11の内周を押圧することにより、
図22(a)の凸部37を形成することができる。
【0122】
図31(b)は、
図22(c)の凸部37および弱テーパ部11bを形成する形成装置であり、下方テーパ部84のテーパ角度が第2テーパ部11のテーパ角度とは異なっている。第2テーパ部11のテーパ角度とは異なるテーパ角度の下方テーパ部84を第2テーパ部11の内周を押圧することにより、弱テーパ部11bを形成することができる。
【0123】
図31(c)は、
図22(d)の凸部37および直線部11cを形成する形成装置であり、下方テーパ部84に代えて直線部85が設けられている。この直線部85を第2テーパ部11の内周を押圧することにより、直線部11cを形成することができる。
【0124】
(保温性)
容器20内の内容物の保温性の向上については、紙製の蓋1により他にも効果を得ることができる。以下、第5実施形態の紙製の蓋1による保温性の向上について説明を行う。
図18は、
図9(a)の紙製の蓋1の天蓋部2と係合部12との接合例を示す図である。
図18(a)は、天蓋部2と、係合部12の天蓋部2a(
図10参照)との全面に接着剤25を塗布して接着した接合例であり、天蓋部2と天蓋部2aとの間には空間部26が存在しない。
図18(b)は、天蓋部2と、係合部12の天蓋部2a(
図10参照)との中央部に接着剤25を塗布して接着した接合例であり、空間部26が存在する。
図18(c)は、天蓋部2と、係合部12の天蓋部2a(
図10参照)との外周に接着剤25を塗布して接着した接合例であり、空間部26が存在する。
【0125】
5オンス用の容器20に75℃の水(内容物)を150cc入れ、紙製の蓋1を嵌め込んだ状態で水(内容物)の経過時間毎の温度を測定する保温性試験を実施した。また、飲み口5を閉めた状態と、飲み口5を開けた状態との2種類で試験を行った。
また、比較例として、現在使用されているプラスチック製の蓋でも測定を行った。このプラスチック製の蓋は、天蓋部2と、係合部12とを接合するタイプではないので接着部分は存在しない。
【0126】
【表1】
表1に示すように、紙製の蓋1の保温性は、現在使用されているプラスチック製の蓋と遜色ないばかりでなく、中央部に接着剤25を塗布した測定例と、外周に接着剤25を塗布した測定例とは、プラスチック製の蓋よりも1℃から2℃保温性が優れている。これは、空間部26の断熱効果が起因している。このように、環境に優しい紙製の蓋1において、その保温効果を確認することができた。なお、天蓋部2と、係合部12との接合は、接着に限定されるものではなく、空間部26が形成できればどのような接合方法を用いても構わない。
【0127】
(その他の変形例)
図32は、
図22で示した第8実施形態の紙製の蓋1の変形例である。
図32(a)では、凸部37の形状をカール部22の円周形状に合わせた形状としている。このように凸部37の形状を円周形状とする場合に、カール部22の上方が天蓋部2に接するような形状にすることが好ましい。
図32(b)では、凸部37の形状をカール部22の円周形状に合わせるとともに、カール部22の一部を下から保持している。
図32(a)、
図32(b)に示すように、カール部22の一部を下から保持するとともに、カール部22の上方が天蓋部2に接するような形状にすることが好ましい。凸部37と天蓋部2とでカール部22を挟み込む(抱え込み)ことにより、紙製の蓋1と容器20との密閉性をより向上することができる。また、凸部37の形状を凸部37と天蓋部2とでカール部22を挟み込む(抱え込み)ような形状とした場合、カール部22の変形量を小さくできる。これにより、紙製の蓋1を容器20に嵌めたり、外したりするのを繰り返した場合でも紙製の蓋1と容器20との密閉性が劣化するのを抑制することができる。
容器20の内容物がホット飲料の場合、湯気や熱により凸部37が変形したり、凸部37とカール部22とが滑ってしまい、紙製の蓋1と容器20との密閉性が劣化する虞がある。しかしながら、凸部37の形状がカール部22の下側を支える形状とした場合、凸部37が変形した場合の影響が少なく、また、凸部37とカール部22とが滑った場合の影響も少ない。なお、凸部37の形状は、カール部22を支えるような形状であれば、テーパ形状でもよく、複数の凸部37によりカール部22を支えるようにしてもよい。
また、断面U字状のテーパ部3と第2テーパ部11との間に、外周がプレス加工により折り曲げられた天蓋部2が嵌め込められるが、この折り曲げた部分の寸法を短くして、空間S2を形成した。このように、折り曲げた部分の寸法を短くすることにより、天蓋部2で使用する紙材料の量を少なくすることができる。また、空間部S2により、断面U字状のテーパ部3と第2テーパ部11との剛性を弱くすることができるので、カール部22が紙製の蓋1に進入しやすくなる。
なお、
図32の変形例においても、
図27に示したような弱テーパ部11bを設けてもよく、直線部11cを設けてもよい。
また、紙製の蓋1と容器20との密閉性が凸部37により確保できる場合には、テーパ部3および第2テーパ部11を直線状としてもよい。この場合も
図22に示したように、周壁の高さH2が全体の高さH1の36%〜48%程度とすることにより複数の紙製の蓋1を積み重ねやすくできる。
【0128】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、上述の各実施形態を適宜組み合わせてもよく、その構成の一部を省略してもよい。また、一部の構成を変形してもよく、例えば、カール部9に切り込みを入れてカール部9の剛性を弱めてもよい。この切り込みが設けられたカール部9を用いて容器20を外側から嵌め込むようにしてもよい。また、プレス加工の際にプレス加工機の一部を加熱することを開示したが、超音波接合を行う際にも超音波接合装置の一部(例えば、紙製の蓋1を保持する部分)を50℃から85℃程度に加熱してもよい。このように、紙製の蓋1を加熱して製造することにより、容器20の内容物が熱い飲み物(60℃〜100℃)の場合でも、紙製の蓋1がプレス加工前の形状に変形しにくくなるので、紙製の蓋1が容器20から外れる虞を低減することができる。
また、係合部12、ベース部12a、係合部分12b、カール部29、係合部36の少なくとも1つの部材は、粉砕パルプを積層したエアレイドとしてもよい。この場合、エアレイドの目付量は20g/m
2から100g/m
2、好ましくは40g/m
2から60g/m
2とすればよい。また、エアレイドの両面にフィルム(例えば、ポリエチレンフィルム)をラミネートし、超音波接合により接合することが望ましい。エアレイドを用いることにより、緩衝部材やパッキンとして機能させることができる。
なお、本実施形態の紙製の蓋1は、お菓子などの食品用の蓋として用いてもよく、ウエットティッシュを収容するウエットティッシュ包装体の蓋として用いてもよい。
このように、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【解決手段】紙製の蓋は、開口部とテーパとカール部とを有した容器に取り付けられるように、紙材料を有した蓋本体部と、蓋本体部に外周を囲まれた状態の天蓋部と、蓋本体部に設けられ、容器のテーパの向きと同じ向きのテーパ部を有し、容器のカール部の外側から容器のカール部に係合する係合部と、を備え、蓋本体部は、容器に取り付けられる側の端部と、容器に取り付けられる側の端部とは反対側の端部とを有し、天蓋部の外周は、容器に取り付けられる側の端部側に向けて折り曲げられ、折り曲げられた箇所が蓋本体部に接合され、天蓋部の外周以外の部分は、係合部と反対側の端部との間に設けられ、テーパ部の先端の内径の寸法は、容器のカール部外径よりも小さく形成され、容器の開口部を閉塞した状態では、容器のカール部が係合部のテーパ部内面側のテーパ状部に接触した状態である。