【文献】
海野 暁央 等,シート型剪断力センサおよび測定システムの開発,電気学会研究会資料,ケミカルセンサ研究会,2014年11月11日,CHS-14-1,15-18
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
弾性体リングと、該弾性体リングを介して対向して配置された2枚のシートと、前記2枚のシートの対向する面の前記弾性体リングに囲まれた領域に配置され、複数の電極対を形成する複数の電極と、前記弾性体リングと前記2枚のシートとから構成される閉空間に充填され、前記複数の電極に接触している導電性流体とを備えるセンサの前記複数の電極対に接続され、各前記電極対を構成する電極の間に電圧を印加し、各前記電極対を流れる電流を測定する電流測定手段と、
前記複数の電極対を流れる電流の値により、各前記電極対を流れる電流の値を正規化し、正規化後の各電流値に基づいて、前記センサに加わる剪断力を求める演算手段と、
を備える測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る測定装置を説明する。
【0010】
本発明の実施の形態1にかかる測定装置は、液体電解質型センサでの測定を前提とする。そこで、まず、
図1と
図2を参照して、実施の形態1で使用する液体電解質型センサ10について説明する。
【0011】
[実施の形態1]
図1に示されるように、液体電解質型センサ10は、検出部100と配線部200とから構成される。
なお、理解を容易にするため、配線部200の延在方向をY軸方向、その直交方向をX軸方向、液体電解質型センサ10の厚み方向をZ軸方向とするXYZ座標を設定し、さらに、図示するように、上下左右を設定し、これらを適宜参照する。
【0012】
検出部100は、液体電解質型センサ10に加えられた剪断力を検出する部分である。
配線部200は、検出部100の検出信号を後述する測定装置1に伝達する伝送路であり、複数の配線を備える。
【0013】
図2に分解して示すように、検出部100は、ゴムリング11と、ゴムリング11の両面に配置され、密閉空間14を形成する上部絶縁シート12と下部絶縁シート13とを備える。
【0014】
ゴムリング11は、硬度50°程度のゴムから構成され、例えば、外径が9mm、厚さ0.5mm程度のリング状に形成されている。
【0015】
上部絶縁シート12は、ポリイミドシート等から形成され、ゴムリング11の一面に接着剤等により固着されている。上部絶縁シート12の下部絶縁シート13と対向する面には、中心電極(第1の電極)ECが形成されている。中心電極ECは、例えば、円形に形成され、貫通孔を介して上部絶縁シート12の外面に引き出され、上部絶縁シート12上に形成された配線121を介して、上部ジョイント122に引き出されている。
【0016】
下部絶縁シート13は、ポリイミドシート等から形成され、ゴムリング11の他面に接着剤等により固着されている。下部絶縁シート13の上部絶縁シート12と対向する面には、4つの電極EU、ED、EL、ERが配置されている。4つの電極EU、ED、EL、ERは、中心電極ECから等距離で、90°回転対称の位置に配置されている。理解を容易にするため、電極EU〜ERをX軸とY軸上に配置し、それぞれ、上電極EU、下電極ED、左電極EL、右電極ERと呼ぶこととする。
【0017】
上電極EU、下電極ED、左電極EL、右電極ERは、それぞれ、貫通孔を介して下部絶縁シート13の外面に引き出され、下部絶縁シート13上に形成された配線WU、WD、WL、WRに接続されている。
【0018】
ゴムリング11と上部絶縁シート12と下部絶縁シート13とで形成された密閉空間14には、液体電解質、例えば、LiClを含むエチレングリコールが充填されている。従って、中心電極ECと、上電極EU、下電極ED、左電極EL、右電極ERとは、それぞれ、液体電解質を介して、電気的に接続される。なお、中心電極EC、上電極EU、下電極ED、左電極ELおよび右電極ERは、例えば、100nm厚のAgにより形成される。また、配線WU、WD、WL、WRは、例えば、Au/Ag/Niの積層膜により形成され、液体電解質に接触しないように絶縁されている。
【0019】
配線部200は、下部絶縁シート13と一体に形成された絶縁シート15と、絶縁シート15上に形成され、上電極EU、下電極ED、左電極EL、右電極ERに接続された配線WU、WD、WL、WRを備えている。
また、配線部200には、上部ジョイント122に接続される下部ジョイント151が形成されている。下部ジョイント151には、配線WCが形成されている。
【0020】
図3(a)に示すように、検出部100に剪断力が加わっていない場合、中心電極ECと、上電極EU、下電極ED、左電極ELおよび右電極ERとの距離は、互いに等しい。このため、中心電極ECと上電極EUの対、中心電極ECと下電極EDの対、中心電極ECと左電極ELの対、中心電極ECと右電極ERの対、の各電極対を構成する電極の間の電解液の抵抗値は互いに等しい。このため、各電極対を構成する電極の間に共通の基準電圧Vを印加したとき、各電極対の間には互いに等しい大きさの電流が流れる。
【0021】
一方、
図3(b)に示すように、検出部100に剪断力が加わると、ゴムリング11が変形し、電極対を形成する電極の間の距離も変化する。
【0022】
例えば、
図3(b)に示すように、上部絶縁シート12に−Y軸方向の剪断力が加わったと仮定すると、中心電極ECと下電極EDの距離が短くなる。このため、中心電極ECと下電極EDの間の電解液の抵抗値は減少し、基準電圧を印加したときに流れる電流は、剪断力を加える前より増加する。反対に、中心電極ECと上電極EUの距離は長くなる。このため、中心電極ECと上電極EUの間の電解液の抵抗値は増加し、基準電圧を印加したときに流れる電流は、剪断力を加える前より減少する。ゴムリング11の変形の程度は、加えられる力が大きくなるに従って増加し、力が小さくなるに従って減少する。
【0023】
従って、4つの電極対に基準電圧を印加したときに、上電極EU、下電極ED、右電極ER、左電極ELそれぞれに流れる電流の値(以下、電流値と呼ぶ場合もある)iU、iD、iR、iLを測定し、それを剪断力が加わっていない状態での電流値と比較すれば、Y軸方向とX軸方向にそれぞれどの程度の剪断力が加わっているかを判定することができる。
【0024】
例えば、基準電圧Vを印加したときに、中心電極ECと上電極EUの間に流れる電流の値iUが増加し、中心電極ECと下電極EDとの電極対に流れる電流の値iDが減少したときには、中心電極ECと上電極EUとの間の距離が短くなり、中心電極ECと下電極EDとの間の距離が長くなったことになる。従って、このときには、下部絶縁シート13を固定して考えると、+Y軸方向の剪断力が、上部絶縁シート12に加わっていることになる。なお、−Y軸方向の剪断力が、下部絶縁シート13に加わっていると解してもよい。
【0025】
反対に、中心電極ECと上電極EUとの間に流れる電流の値iUが減少し、中心電極ECと下電極EDとの間に流れる電流の値iDが増加したときには、中心電極ECと上電極EUとの間の距離が長くなり、中心電極ECと下電極EDとの間の距離が短くなったことになる。従って、このときには、下部絶縁シート13を固定して考えると、−Y軸方向の剪断力が、上部絶縁シート12に加わっていることになる。なお、+Y軸方向の剪断力が、下部絶縁シート13に加わっていると解してもよい。
【0026】
中心電極ECと左電極ELとの間に流れる電流の値iL、中心電極ECと右電極ERの間に流れる電流の値iRについても、X軸方向の剪断力に関して、同様の関係が成立する。
【0027】
従って、液体電解質型センサ10が、温度の影響を受けないときには、上電極EUを流れる電流の値iUと下電極EDを流れる電流の値iDとの差(iU−iD)を求めることにより、Y軸方向の剪断力の大きさを求めることができ、右電極ERを流れる電流の値iRと左電極ELを流れる電流の値iLとの差(iR−iL)を求めることにより、X軸方向の剪断力の大きさを求めることができる。
【0028】
しかし、液体電解質の電気伝導度は、環境温度の影響を受けて変化してしまう。従って、電流の差(iR−iL)および(iU−iD)は、単純には、剪断力の大きさを示さないものとなってしまう。
【0029】
一方、上述のように、検出部100の外径は9mmと比較的小さいので、検出部100全体に、均等に温度の影響が生じるとみなすことができる。従って、電流値iU、iD、iR、iLそれぞれを、その合計(=iU+iD+iR+iL)で除算して正規化することにより、電流値iU、iD、iR、iLそれぞれから、液体電解質型センサ10に対する温度変化の影響を排除することができる。
【0030】
また、液体電解質型センサ10を製造すると、液体電解質型センサ10それぞれの間に特定のばらつきが生じてしまう。特定のばらつきを補正するためには、電流値iU、iD、iR、iLそれぞれを測定し、測定結果に基づいて、補正値を予め求めておけばよい。つまり、測定値および測定値間の差分の少なくとも一方に、予め求められた補正値を乗算したり、加算したりすることにより、液体電解質型センサ10の特性のばらつきを排除するための補正を行うことができる。
【0031】
次に、温度変化による影響を補償する機能を有する測定装置1を説明する。
図4に示すように、測定装置1は、装置制御部160、センサ制御部162、電流測定部164、補正演算部166、測定値演算部168、入出力・記憶制御部170、入出力部172および記憶部174を備える。
【0032】
装置制御部160は、液体電解質型センサ10の出力信号(電流値iU、iD、iR、iL)を補正、即ち、正規化し、正規化した測定値から、加わった剪断力の値などを演算により推定するように、測定装置1の各構成要素を制御する。
【0033】
センサ制御部162は、液体電解質型センサ10の検出部100が備える4つの電極対(中心電極ECと上電極EU、中心電極ECと下電極ED、中心電極ECと左電極EL、中心電極ECと右電極ER)の間に基準電圧を印加する。より具体的には、センサ制御部162は、
図5に示すように、正極性と負極性の基準電圧を出力する交流電源51を備え、中心電極ECには配線WCを介して接地電位を印加し、上電極EUと下電極EDと左電極ELと右電極ERには、配線WU、WD、WL、WRを介して、正極性と負極性の基準電圧を印加する。
【0034】
図4に示す電流測定部164は、各電極対を流れる電流を測定する。具体的には、電流測定部164は、
図5に示すように、配線WU、WD、WL、WRにそれぞれ介挿された微小抵抗Rにより各配線WU、WD、WL、WRを流れる電流を電圧に変換し、A/D(Analog to Digital)変換器52によりデジタル値に変換して出力する。微小抵抗Rでの電圧降下を増幅してA/D変換器52に供給してもよい。
【0035】
センサ制御部162と電流測定部164及びこれらを制御する装置制御部160は、液体電解質型センサ10の複数対の電極間に電圧を印加し、各電極対を流れる電流を測定する電流測定手段として機能する。
【0036】
図4に示す補正演算部166は、電流測定部164が測定した電流値iU、iD、iR、iLをこれらの値の和で除算することにより、正規化し、補正されたiU、iD、iR、iLを求める。以下、補正後、即ち、正規化後の電流値をiU’、iD’、iR’、iL’と表記する。
従って、式(1)が成立する。
iU' = iU / (iU + iD + iR + iL)
iD' = iD / (iU + iD + iR + iL)
iR' = iR / (iU + iD + iR + iL)
iL' = iL / (iU + iD + iR + iL) ・・・(1)
【0037】
測定値演算部168は、正規化された電流値iU’、iD’、iR’、iL’を用いて、検出部100に加わった剪断力の値およびその方向を演算により求める。具体的には、測定値演算部168は、式(2)により、X軸方向及びY軸方向に加わる剪断力Fx、Fyを求める。
Fx = kx1・(iR' - iL') + kx2
Fy = ky1・(iU' - iD') + ky2 ・・・(2)
なお、kx1[N/A]、kx2[N]、ky1[N/A]、ky2[N]は係数であり、液体電解質型センサ10毎にわずかに異なる値を取る。
【0038】
これらの係数は、例えば、液体電解質型センサ10の製造段階、較正段階等に、既知の剪断力を検出部100に加えた状態で、正規化電流を求め、これらの値を式(2)に代入することにより求められる。
測定値演算部168は、これらの係数の値を内部の不揮発性メモリ等に記憶しておき、実際の測定時に利用する。
【0039】
補正演算部166と測定値演算部168及びこれらを制御する装置制御部160は、電極対を流れる電流の値により、各電極対を流れる電流を正規化し、正規化後の各電流値に基づいて、液体電解質型センサ10に加わる剪断力を求める演算手段として機能する。
【0040】
入出力・記憶制御部170は、測定値演算部168が推定した剪断力などの値の入出力部172のディスプレイへの表示、記憶部174への記憶、および、入出力部172のキーボードなどに対するユーザの操作を受け入れなどを行う。
【0041】
入出力部172は、ディスプレイ装置等の出力装置、キーボード、マウス等の入力装置、タッチパネル等の入出力装置等を備える。
記憶部174は、ハードディスク装置、フラッシュメモリ装置等を備える。
【0042】
図4に示した測定装置1は、ハードウエア的には、例えば、
図6に例示するような演算処理装置18により実現可能である。
【0043】
ここで、演算処理装置18は、演算処理部180、端子部182、センサインターフェース(IF)184、メモリ186、記憶装置188および入出力装置190などを備える。演算処理部180は、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路などを含み、メモリ186にロードされたソフトウェアを実行する。
【0044】
端子部182には、液体電解質型センサ10の配線WU〜WR、WCが接続される。センサIF184は、
図5に示す交流電源51、微小抵抗R、A/D変換器52等を備え、液体電解質型センサ10に基準電圧を印加し、また、液体電解質型センサ10の出力電流の値iU、iD、iR、iLをデジタル値に変換する。また、演算処理装置18による液体電解質型センサ10に対する制御を実現する。メモリ186は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Randum Access Memory)およびフラッシュメモリなどを含み、演算処理装置18において用いられるデータを、揮発的または不揮発的に記憶する。記憶装置188は、HD(Hard Disk)およびDVD(Digital Versertile Disk)などの不揮発性の記憶媒体との間でデータの記録および再生を行う。入出力装置190は、ユーザからの操作を受け入れるキーボード、および、データをユーザに対して表示するディスプレイなどを含む。つまり、演算処理装置18は、一般的なPCまたは組み込み用コンピュータと同様な構成要素を含む。
【0045】
[測定装置1の動作]
以下、
図4に示した測定装置1の全体的な動作を説明する。
図7は、
図4に示した測定装置1の動作を示すフローチャートである。
【0046】
図7に示されるように、装置制御部160は、センサ制御部162を制御して、中心電極ECをグランド電圧に接地し、上電極EU、下電極ED、左電極ELおよび右電極ERに基準電圧を印加させる(ステップS101)。
【0047】
一方、装置制御部160は、電流測定部164を制御して、中心電極ECと上電極EUとの対に流れる電流の値iU、中心電極ECと下電極EDとの対に流れる電流の値iD、中心電極ECと右電極ERとの対に流れる電流の値iR、中心電極ECと左電極ELとの対に流れる電流の値iLを測定させる(ステップS101)。電流測定部164は、測定した電流値iU、iD、iR、iLを、補正演算部166に出力する。
【0048】
続いて、装置制御部160は、補正演算部166を制御して、電流値iU、iD、iR、iLそれぞれから温度の影響を排除する。つまり、装置制御部160は、補正演算部166を制御して、式(1)により、電流値iU、iD、iR、iLそれぞれを、これらの電流値の総和(iU+iD+iR+iL)で除算させることにより、正規化した電流値iU’、iD’、iR’、iL’を求めさせる(ステップS102)。
【0049】
装置制御部160は、補正演算部166を制御して、式(2)により、X軸方向とY軸方向の剪断力Fx、Fyを求めさせ、測定値演算部168に出力させる(ステップS103)。
【0050】
装置制御部160は、測定値演算部168を制御し、求めた剪断力およびその方向を、入出力・記憶制御部170に出力させる。装置制御部160は、入出力・記憶制御部170を制御して、入出力部172のディスプレイに、求めた剪断力およびその方向を表示し、さらに、記憶部174に記憶する(ステップS104)。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態によれば、液体電解質型センサ10の出力電流自体を用いて、各電流への温度の影響を除去し、温度変化の影響を抑えた正確な剪断力の測定値を得ることができる。
【0052】
[実施の形態2]
実施の形態1においては、剪断力を測定する例を示したが、剪断力と共に圧力を測定できるようにすることも可能であり、以下、実施形態2として説明する。
【0053】
実施形態2に係る液体電解質型センサ20は、
図8及び
図9(a)、(b)に示すように、下部中心電極(第2の電極)EUCを備える。また、下部中心電極EUCと測定装置1とを接続する配線WUCを備える。測定装置1は、中心電極ECと下部中心電極EUCとの間に流れる電流の値iCを、電流値iU、iD、iR、iLに加えて測定する。
【0054】
なお、好適には、下部中心電極EUCは相対的に小さく、中心電極ECは相対的に大きく形成される。このように下部中心電極EUCを小さく、中心電極ECを大きく形成することにより、ゴムリング11が変形しても、下部中心電極EUCは、中心電極ECに対向し続けることができる。このため、上電極EU、下電極ED、左電極ELおよび右電極ERとの間の4つの電極対の電極間の抵抗値が、液体電解質型センサ20の変形に応じて比例的に変化するのに対して、中心電極ECと下部中心電極EUCとの間の抵抗値は、これらの電極間の距離の平方根に従って変化する。このような各電極対を構成する電極間の抵抗値、つまり、電流の値の変化の相違により、液体電解質型センサ20の温度補正をしつつ、圧力の測定が可能となる。
【0055】
以下、液体電解質型センサ20を接続したときの測定装置1の動作を説明する。
図10は、液体電解質型センサ20が接続されたときの測定装置1の動作を示すフローチャートである。
【0056】
図10に示すように、装置制御部160は、センサ制御部162を制御して、各電極対に基準電圧を印加させる(ステップS121)。また、装置制御部160は、電流測定部164を制御して、電流値iU、iD、iR、iL、さらに、中心電極ECと下部中心電極EUCとの間に流れる電流の値iUCを測定させる(ステップS121)。電流測定部164は、測定した電流値iU、iD、iR、iL、iUCを、補正演算部166に出力する。
【0057】
次に、装置制御部160は、補正演算部166を制御して、測定された電流値iU、iD、iR、iL、iUCの値を、下記式(3)に示すように、電流値の合計値(iU+iD+iR+iL+iUC)で除算することにより、正規化させ、測定値演算部168に出力させる(ステップS122)。
【0058】
iU' = iU / (iU + iD + iR + iL + iUC)
iD' = iD / (iU + iD + iR + iL + iUC)
iR' = iR / (iU + iD + iR + iL + iUC)
iL' = iL / (iU + iD + iR + iL + iUC)
iUC' = iUC / (iU + iD + iR + iL + iUC) ・・・(3)
【0059】
測定値演算部168は、正規化された電流値を用いて、検出部100のX軸方向とY軸方向に加わった剪断力Fx、Fy、と圧力(Z方向の力)Fzとを、下記式(4)により求める(ステップS123)。
Fx = kx1・(iR' - iL') + kx2
Fy = ky1・(iU' - iD') + ky2
Fz = kz1・(iUC' - iUC0') + kz2 ・・・(4)
なお、上式(4)において、kz1[N/A]
、 kz2[N]は、液体電解質型センサ20の個体ごとの特性を補正するための実測結果から予め求められた係数である。また、iUC0’は、液体電解質型センサ20に圧力及び剪断力が加えられていない状態における正規化されたiUCである。
【0060】
測定値演算部168は、求められた剪断力およびその方向と、圧力とを、入出力・記憶制御部170に出力する。装置制御部160は、入出力・記憶制御部170を制御して、入出力部172のディスプレイに、求めた剪断力およびその方向と、圧力とを表示し、さらに、記憶部174に記憶する(ステップS124)。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態によれば、剪断力に加えて圧力も温度変化の影響を抑えて測定することができる。
【0062】
[実施の形態3]
実施の形態2においては、剪断力と圧力を測定可能としたが、トルクを測定することも可能である。以下、トルクを測定可能とした液体電解質型センサと測定装置にかかる実施の形態を説明する。
【0063】
以下、実施の形態3を説明する。
図11に示すように、実施の形態3にかかる液体電解質型センサ30は、電極の配置が実施形態1及び2とは異なる。具体的には、上部絶縁シート12には、上電極EUと下電極EDとが、Y軸上に配置され、下部絶縁シート13には、右電極ERと左電極ELとがX軸上に配置されている。電極EU、ED、EL、ERが90°回転対称の位置にあることは実施形態1と同一である。
【0064】
液体電解質型センサ30においては、上電極EUと左電極EL、上電極EUと右電極ER、下電極EDと左電極EL、下電極EDと右電極ERとがそれぞれ電極対を形成する。液体電解質型センサ30は、測定装置1の制御に従って、これら合計4つの電極対を流れる電流を、出力信号として測定装置1に出力する。
【0065】
次に、液体電解質型センサ30を接続したときの測定装置1の動作を説明する。
図12は、実施の形態3における測定装置1の動作のフローチャートである。
【0066】
フローチャートに示す処理を開始すると、測定装置1の装置制御部160は、4つ全ての電極対の電極間に流れる電流の値iUR、iUL、iDR、iDLの値の測定が済んだか否かを判断する(ステップS141)。装置制御部160は、全ての電極対を流れる電流の測定が済んでいると判断すると(ステップS141;Yes)、処理をステップS144に進め、これ以外のときにはステップS142に進める。ステップS142において、装置制御部160は、センサ制御部162を制御して、電極間の電流の測定が済んでいない電極対を選択し、他の電極をフローティング状態とする(ステップS142)。
【0067】
次に、装置制御部160は、センサ制御部162を制御して、選択した電極対を構成する電極の間に基準電圧を印加させ、そのときに流れる電流を測定する(ステップS143)。
【0068】
装置制御部160は、この動作を繰り返すことにより、電流値iUR、iUL、iDR、iDLを順次測定する。
測定値が4つ揃うと、ステップS141でYesと判別され、装置制御部160は、補正演算部166を制御して、S141〜S143の処理により測定された電流値iUR、iUL、iDR、iDLの値を、下記式(5)により正規化させる(ステップS144)。
続いて、装置制御部160は、測定値演算部168を制御し、式(6)により、検出部100に加わるトルクθを求める(ステップS145)。
続いて、トルクθを記憶及び出力する(ステップS146)。
【0069】
iUR' = iUR / (iUR + iUL + iDR + iDL)
iUL' = iUL / (iUR + iUL + iDR + iDL)
iDR' = iDR / (iUR + iUL + iDR + iDL)
iDL' = iDL / (iUR + iUL + iDR + iDL) ・・・(5)
【0070】
θ = kθ1・
(iUR' - iUL' - iDR' + iDL') + kθ2 ・・・(6)
【0071】
上式(6)において、kθ1、 kθ2は、測定装置1に接続された液体電解質型センサ30の個体ごとの特性のばらつきを補正するために実測結果から予め求められた補正値である。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態によれば、温度変動の影響を除去してトルクを測定することが可能となる。
【0073】
[変形例]
液体電解質型センサは、実施形態1〜3全ての構成を備えても良い。例えば、上部絶縁シートと下部絶縁シートに、電極EC、EU、ED、ER、ELをそれぞれ配置し、電極の対を切り替えながら電流を流し、所望の電流値を測定することにより、剪断力、圧力、トルクの全てを1つのセンサで取得できるようにしてもよい。この場合に、電流の回り込みなどの不具合が発生するおそれがある場合には、測定装置1が他の電極をフローティング状態に設定すればよい。
【0074】
なお、上述した液体電解質型センサの検出部、上部絶縁シート、下部絶縁シート、ゴムリングの直径、厚みおよび材料は例示であって、液体電解質型センサの用途および構成によって適宜、変更することができる。ゴムリングは任意の弾性体リングでよい。
【0075】
また、電解液として、LiClを含むエチレングリコール以外の有機、無機電解液も用いられ得る。また、液体電解質以外にも、イオン液体および液体金属等の導電性を有する液体も用いられ得る。さらには、これらの導電性液体を含浸させたゲル状物質、或いは、スポンジ状物質、或いはこれらの導電性液体にラテックス粒子等の微粒子を分散させた材料なども用いられ得る。即ち、この発明は、導電性流体(ゾル・ゲルを含む)を使用するセンサに広く適用可能である。
【0076】
また、電極および配線の材料は、Au/Ag/Ni多層膜に限定されず、導電性があれば他の金属薄膜、カーボン薄膜、有機導電体、あるいはこれらによる多層膜などが利用可能である。また、薄膜である必要もなく、スクリーン印刷法により形成された金属膜、リード線なども利用可能である。
【0077】
上部電極シート、下部電極シート、ゴムリングの形状は、円に限らず、楕円であったり、四角形であったりしてもよい。つまり、これらの形状は、センサの用途および構成に応じて、適宜、変更可能である。従って、電極の取り付け位置は、上部電極シートおよび下部電極シートの形状に応じて、適宜、変更されうる。
【0078】
センサ制御部162の一例として交流電源51、電流測定部164の一例として、微小抵抗RとA/D変換器52を例示したが、これらは適宜変更可能である。例えば、交流電源として5kHZ程度の正弦波交流電源を使用することも可能である。また、センサ10、20,30の各電極対を構成する電極間に一定の基準電圧が正確に印加されるように、微小抵抗Rでの電圧降下分を補償(加算)した電圧を印加するようにしてもよい。
また、電流測定部164として、オペアンプを使用する等既知の任意のI−V変換回路を使用可能である。
【0079】
また、検出部100の下部絶縁シート13が固定される場合を説明したが、上部電極シート側が制御対象に固定されてもよい。測定装置1によるセンサに対する電極制御の態様は、上部電極シートおよび下部電極シート測定対象に応じて変更され得る。
【0080】
実施の形態2において、電流測定部164は、式(3)、(4)の代わりに、実施の形態1に示した式(1)、(2)を用いて測定値を補正してもよい。
【0081】
また、実施の形態1,2において、測定装置1は、
図7に示したステップS101、
図10に示したステップS121に代えて
図12に示したステップS141〜S143と同様の処理を液体電解質型センサに行ってもよい。
【0082】
さらに、実施の形態1において、電流測定部164は、式(1)、(2)の代わりに、以下に示す式(7)、(8)を用いて測定値を正規化し、剪断力を求めもよい。
さらに、実施の形態2において、電流測定部164は、式(3)、(4)の代わりに、以下に示す式(9)、(10)を用いて測定値を正規化し、剪断力を求めもよい。
【0083】
なお、(7)式は、Y軸上の電極EU,EDを流れる電流iU,iDを、中心電極ECを通る仮想直線であるY軸上の電極EU,EDを流れる電流の和(iU+iD)で除算して正規化し、X軸上の電極ER,ELを流れる電流iR,iLを、中心電極ECを通る仮想直線であるX軸上の電極ER,ELを流れる電流の和(iR+iL)で除算することにより正規化するものである。また、(8)式は、(7)式により正規化された電流値からX軸方向とY軸方向の剪断力を求める式である。
【0084】
また、(9)式は、下部中央電極EUCを流れる電流iUCを、4つの電極EU、ED、ER、ELを流れる電流の和(iU+iD+iR+iL)で除算して正規化するものである。また、(10)式は、(9)式により正規化された電流値から、X軸方向とY軸方向の剪断力及びZ軸方向の圧力を求める式である。
【0085】
iU' = iU / (iU + iD)
iR' = iR / (iR + iL)
iD' = iD / (iU + iD)
iL' = iL / (iR + iL) ・・・(7)
【0086】
Fx = kx1・(iR' - iL') + kx2
Fy = ky1・(iR' - iL') + ky2 ・・・(8)
【0087】
iU' = iU / (iU + iD)
iR' = iR / (iR + iL)
iD' = iD / (iD + iL)
iL' = iL / (iD + iL)
iUC' = iUC / (iU + iR + iD + iL) ・・・(9)
【0088】
Fx = kx1・(iR' - iL') + kx2
Fy = ky1・(iR' - iL') + ky2
Fz = kz1・iUC' + kz2 ・・・(10)
【0089】
なお、実施の形態1、2において、測定装置1は、正規化に用いられない電流値を、測定しなくてもよい。また、上述の式(1)〜(10)は、液体電解質型センサ10、20および測定装置1の動作と矛盾が生じない範囲で組み合わされ得る。
【0090】
上記実施の形態では、電極を90°回転対称の位置に実質的に4つ配置したが、任意の数の電極Nを配置してもよい。例えば、一方向の剪断力を測定できれば、N=2でもかまわない。また、N=4以上でもかまわない。
【0091】
以上説明した実施の形態にかかるセンサは極めて薄型及び小型である。また、測定装置1も小型軽量化が可能である。このため、温度変化が発生する様々な場面で利用可能である。
【0092】
例えば、ソケットと言われる切断肢体と義手・義足とをあわせる部分に、センサを配置し、圧迫や摩擦を測定することにより、ソケットの適合性を評価することが可能となる。
【0093】
また、車椅子の例えば、腰或いは臀部が位置する部分にセンサを配置し、測定装置1を車椅子のフレームにセットしておき、車椅子への着座や車椅子からの起立時に、患部に加わる力、車椅子の適合性や、着座の手法を評価することが可能となる。
【0094】
また、ベッドに液体電解質型センサを配置し、測定装置1をベッドの近傍に配置し、測定を継続的に行うことにより、寝返り時に患者に加わる力を評価し、じょくそう防止等に寄与することができる。