【実施例】
【0020】
以下に、本発明を実施例で詳細に説明する。なお、各種評価や評価のためのセルの組み立て等は以下の方法により行った。
[活物質および電極の物性評価]
活物質のケイ酸含有率は、示差熱天秤(株式会社リガク、Thermo plus EVO TG8120)を用いて、約10mgの活物質を空気中で燃焼させることで求めた。100℃で3時間以上乾燥させた活物質を空気流動雰囲気中(500mL/分)で、室温から850℃まで速度10℃/分で昇温した。すべての活物質は600〜850℃の温度域では、ほぼ一定の質量を示していたこと、全炭素分の放出と活物質の灰化を確認した。140℃における活物質の質量を100%として、850℃における活物質の質量残存率から、ケイ酸含有率を算出した。
活物質の細孔特性は、ガス吸着量測定装置(Quantachrome Instruments社、Autosorb−3B)を用いて、窒素ガス吸着法により評価した。77Kにおける吸着平衡圧と飽和蒸気圧の比である相対圧と窒素ガス吸着量の関係を示す窒素吸脱着等温線を求め、BET(Brunauer・Emmett・Teller)比表面積を相対圧0.1から0.3の範囲から、全細孔容積を相対圧0.98において算出した。同時にt−plot法を用いて、マイクロ孔比表面積と容積およびメソ・マクロ孔比表面積を算出した。メソ・マクロ孔容積は全細孔容積からマイクロ孔容積を減じることで算出した。
X線回折装置(スペクトリス株式会社、X’pert Pro、CuK
α)を使用して、活物質の結晶性を評価した。X線の出力は45kVおよび40mAとした。
【0021】
[活物質の電極化]
導電助剤として用いるアセチレンブラック(電気化学工業株式会社)と活物質と空気中120℃で5時間以上乾燥させた。活物質:アセチレンブラック:ポリフッ化ビニリデン(株式会社クレハ、KFポリマーW#9100)=8:1:1(質量比)で混合し、N−メチルピロリドン(東京化成工業株式会社)を適量加えて、自転・公転ミキサー(株式会社シンキー、あわとり錬太郎AR−100)を用いて10分間撹拌し、スラリーを調製した。なお、ポリフッ化ビニリデンは結着剤(バインダ)として機能する。このスラリーを厚さ20μmの銅箔にアプケータを用いて塗工し、空気中100℃で5時間以上乾燥させた後、直径15mmで打ち抜いた。そして、それを電極とした。直径15mmで打ち抜かれた電極に対して、140℃の脱気雰囲気下において、5時間以上乾燥処理を行った。その後、室温まで冷却した後、空気中において、電極の厚さをマイクロメータで、質量を電子天秤により測定した。直径15mmの電極の厚さおよび質量から銅箔自体の厚さおよび質量をそれぞれ減算することで、塗工厚および活物質質量を算出した。
製造した電極の表面部は、走査型電子顕微鏡(株式会社キーエンス、VE−8800)を用いて観察した。同時に電子顕微鏡に設置されたエネルギー分散型X線分析装置(Oxford社、INCA Energy250)を用いて、電極表面の組成分析を行った。電子顕微鏡倍率を500倍、焦点距離を30mmと一定の条件で、組成分析を行った。
【0022】
〔セル組み立て〕
活物質のリチウムイオン吸蔵放出特性は、活物質を含む電極とリチウム金属から構成される半電池セル、または、正極に活性炭を含む電極、負極に活物質を含む電極、参照極にリチウム金属を用いた3極式のリチウムイオンキャパシタセルにより評価した。
半電池セルによる評価においては、活物質を含む電極が正極となり、リチウム金属が負極となる。リチウム金属には、本城金属株式会社製の直径が15mm、厚さが0.2mmのディスク状のものを用いた。2極式ステンレス製セル(宝泉株式会社、フラットセル)の底部にリチウム金属を設置し、次に、セパレータ、さらに再度140℃で5時間以上脱気処理を施した活物質を含む電極を配置した。なお、セパレータには直径23mmに切り抜いたポリプロピレン製多孔性セパレータ(Celgard社、#2500)を用いた。電解液として1:1の容積比で混合したエチレンカーボネートとジエチルカーボネートを溶媒に、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF
6)を1mol/Lで添加した溶液(キシダ化学株式会社)を1mL注いだ後、セルを封口した。なお、セル組み立ては、純アルゴンガスが封入されたグローブボックス(グローブボックスジャパン株式会社、GBJF080R)内で行った。なお、すべての構成部材は十分に乾燥させたものを使用した。なお、セル組み立て後の半電池のセル電圧は3Vをやや超える程度であった。その後、正極と負極を24時間短絡し、活物質に対する十分なリチウムイオンのプレドープ処理を行った。
【0023】
3極式のリチウムイオンキャパシタセルの組み立ては、(i)リチウムイオンキャパシタの正極の製造、(ii)もみ殻由来活物質を含む負極へのリチウムイオンのプレドープ処理、(iii)正極、負極およびリチウム金属を参照極とするセルの組み立ての順で行われた。
(i)リチウムイオンキャパシタの正極の製造
約2500m
2/gのBET比表面積を有する活性炭(クラレケミカルズ株式会社、RP25)の他、導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学工業株式会社)、バインダとしてスチレン・ブタジエンゴム(JSR株式会社、TPD2001)、分散剤としてカルボキシメチルセルロースナトリム(セロゲン7A、第一工業製薬株式会社)を用いた。活性炭とアセチレンブラックを空気中120℃で5時間以上乾燥させた。活性炭:アセチレンブラック:スチレン・ブタジエンゴム:カルボキシメチルセルロースナトリウム=8:1:0.5:0.5(質量比)の割合で混合し、蒸留水を適量加えて、上述の自転・公転ミキサーを用いて10分間撹拌し、スラリーを調製した。アプリケータを用いて、このスラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗工し、空気中100℃で5時間以上乾燥させた。その後、直径15mmで打ち抜き、140℃の脱気雰囲気下において、5時間以上乾燥処理を行った。その後、室温まで冷却した後、空気中において、電極の厚さをマイクロメータで、質量を電子天秤により測定した。直径15mmの電極の厚さおよび質量からアルミニウム箔自体の厚さおよび質量をそれぞれ減算することで、塗工厚および活性炭質量を算出した。
リチウムイオンキャパシタの正極では、電解液中イオンの吸脱着という非ファラデー反応により電荷の授受が行われる。従って、活性炭を含む正極自体の容量評価の必要がある。上述の半電池セルの組み立てと同じ方法で2極式セルを組み立て、活性炭を含む正極自体のイオン吸脱着特性を評価した。なお、正極にはプレドープ処理は行わない。
【0024】
(ii)活物質を含む負極へのリチウムイオンのプレドープ処理
上述の半電池セルの組み立ての方法とほぼ同じであるが、セル底部にもみ殻由来活物質を含む負極、次に直径23mmのポリプロピレン製多孔性セパレータ、そして、直径が15mm、厚さが0.2mmのディスク状リチウム金属と、配置の順を変えた。使用したセルは同じく、2極式のステンレス製のものである。その後、正極と負極を24時間短絡し、活物質に対する十分なリチウムイオンのプレドープ処理を行った。
【0025】
(iii)正極、負極およびリチウム金属を参照極とするリチウムイオンキャパシタセルの組み立て
短絡した正極と負極間を開放状態にした後、半電池セルを開口した。電解液中に浸漬されているリチウム金属のみを取り出し、セパレータおよびリチウムイオンがプレドープされた負極は、電解液中に絶えず浸漬させた。活性炭を含む正極を再度140℃で5時間以上脱気し、リチウム金属が配置された場所に配置した。また、上述のディスク状リチウム金属を半分に切断し、折り畳んだものを参照極として配置した。3極式ステンレス製セル(宝泉株式会社、3極式セル)のセルふた部を使用して、セルを封口した。なお、すべての構成部材は十分に乾燥させ、セル組み立ては純アルゴンガスが封入されたグローブボックス内で行った。
【0026】
〔半電池セルおよびリチウムイオンキャパシタセルの充放電試験〕
(ア)活物質を含む電極の半電池セルでの充放電試験
半電池セルの24時間のプレドープ処理の後、一定の電流密度0.1mA/cm
2(実電流:0.1767mA、電極断面積:1.767cm
2)において、リチウム金属に対する電極の電位を0.002から3Vvs.Li/Li
+まで変化させ、すなわちセル電圧を0.002から3Vに変化させ、プレドープ後のリチウムイオンの放出容量を求めた。さらに、同じ電流密度において、電極の電位を3から0.002Vvs.Li/Li
+に変化させ、リチウムイオンの吸蔵容量を、続いて、0.002から3Vvs.Li/Li
+に変化させ、リチウムイオンの放出容量を求めた。
その後、電極の電位範囲を0、002から1Vvs.Li/Li
+の範囲に定めて、一定の電流密度0.1mA/cm
2で5サイクル、リチウムイオンの吸蔵放出を行った。続いて0.2mA/cm
2で5サイクル、さらに0.5mA/cm
2で10サイクル、1mA/cm
2で10サイクル、2mA/cm
2で25サイクル、5mA/cm
2で50サイクル、10mA/cm
2で100サイクル、20mA/cm
2で100サイクル行い、電極のリチウムイオン吸蔵放出容量の電流密度依存性を評価した。
【0027】
さらに、電流密度を一定の1mA/cm
2として、電極電位を0.002Vvs.Li/Li
+まで低下させ、電極にリチウムイオンを十分に吸蔵させた後、130μAhの容量分のリチウムイオンの放出を行った。130μAhの容量は、後述するリチウムイオンキャパシタ正極の電流密度1mA/cm
2における容量である。その後、130μAhの容量分のリチウムイオンを吸蔵させ、さらに、同じ容量分のリチウムイオンの放出を49サイクル繰り返した。再度、0.002Vvs.Li/Li
+まで電極電位を低下させ、電極にリチウムイオンを十分に吸蔵させた後、130μAh分のリチウムイオンの放出を行った。そして、130μAh分のリチウムイオンの吸蔵放出を949サイクル行った。再度、電極電位が0.002Vvs.Li/Li
+に低下するまでリチウムイオンの吸蔵させた後、130μAh分のリチウムイオンの放出を行い、999サイクルの吸蔵放出を行った。130μAhの容量を消費せずに電極電位が0.002Vvs.Li/Li
+まで低下した場合、0.002Vvs.Li/Li
+を維持するように電流密度を低下させ、130μAhを消費した。容量を一定にした際のセル電圧の変化から、活物質のリチウムイオンの吸蔵放出特性を評価した。
(イ)リチウムイオンキャパシタ正極の半電池セルでの充放電試験
リチウムイオンキャパシタ正極とリチウム金属の半電池セルにおいて、正極の電位(リチウム金属に対する正極の電位)を2から4Vvs.Li/Li
+の範囲に定めて、すなわちセル電圧を2から4Vの範囲に定めて、一定の電流密度0.1mA/cm
2で5サイクル、続いて0.2mA/cm
2で5サイクル、さらに0.5mA/cm
2で10サイクル、1mA/cm
2で10サイクル、2mA/cm
2で25サイクル、5mA/cm
2で50サイクル、10mA/cm
2で100サイクル、20mA/cm
2で100サイクルの充放電を行った。外部からの電界印加がない状態では、正極電位は約3Vvs.Li/Li
+であるので、概ね、3から4Vvs.Li/Li
+においてPF
6−の吸着が、4から3Vvs.Li/Li
+においてPF
6−の脱着が、3から2Vvs.Li/Li
+においてLi
+の吸着が、2から3Vvs.Li/Li
+においてLi
+の脱着が生じる。
【0028】
(ウ)リチウムイオンキャパシタセルの充放電試験
リチウムイオンキャパシタセルを組み立て後、1時間程度放置し、セル電圧(正負極間の電位差)、正極電位および負極電位を計測した。そして、セル電圧を2から4Vの範囲で、掃引速度100、10、1mV/sでそれぞれ3サイクルずつ充放電を行った。そして、同じセル電圧範囲において、一定の電流密度0.1mA/cm
2で5サイクル、続いて0.2mA/cm
2で5サイクル、さらに0.5mA/cm
2で10サイクル、1mA/cm
2で10サイクル、2mA/cm
2で25サイクル、5mA/cm
2で50サイクル、10mA/cm
2で100サイクル、20mA/cm
2で100サイクルの充放電を行った。正極自体はすべて共通のものを使用しているため、リチウムイオンキャパシタの負極のレート特性が評価できる。その後、同じセル電圧範囲において、電流密度を一定の1mA/cm
2として、20000サイクルの充放電試験を行った。このサイクル試験は、特定の期間においては、セル電圧、正極−参照極間電圧、負極−参照極間電圧の波形計測を行いつつ、実施した。その波形計測期間の前後は、一度充放電を停止させた。
【0029】
実施例1
[活物質の製造]
秋田県仙北市内で収穫されたあきたこまち米のもみ殻を原料とした。取得したもみ殻に対して洗浄などの特別な処理を行わずに、1L/分の窒素ガス流動雰囲気中において、600℃で1時間熱処理を行い、一次炭化を行った。なお、室温から600℃までの昇温は1時間かけて行い、1時間の熱処理後は室温まで自然冷却した。一次炭化により得たもみ殻炭に対して、蒸留水での洗浄または水酸化ナトリウム水溶液によるケイ酸溶脱処理を行った。
蒸留水での洗浄では、プラスチック製漏斗に工業用紙ウェス(日本製紙クレシア株式会社、キムタオル)を取り付け、600℃の一次炭化で得たもみ殻炭に対して、蒸留水をかけ流した。そして、洗浄中、適宜かけ流された蒸留水を50mL程度収集し、そのpHが約9になるまで洗浄処理を行った。洗浄処理の後、空気中120℃において十分に乾燥させたもみ殻炭をRHW600とした。
【0030】
600℃で得たもみ殻炭に対するケイ酸溶脱処理は、ポリエチレン容器中でもみ殻炭を1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬することで行った。もみ殻炭中のケイ酸溶脱程度は、もみ殻炭と水酸化ナトリウム水溶液の固液比(g/L)、浸漬時間、浸漬温度(25または80℃)により制御した。はじめに、もみ殻炭と水酸化ナトリウム水溶液の固液比を50g/Lとして、25℃で10時間浸漬した。浸漬後、上述の方法と同じ方法で、蒸留水により洗浄し、乾燥させた。このもみ殻炭をRH600Aとした。一方で、25℃で19時間の水酸化ナトリウム水溶液への浸漬後、同様に洗浄、乾燥処理を行うことで得たもみ殻炭をRH600Bとした。また、600℃で得たもみ殻炭に対して、固液比を25g/L、浸漬温度を25℃、浸漬時間を30時間として、ケイ酸の溶脱を行った。上記と同様に洗浄と乾燥を行い、それにより得たもみ殻炭をRH600Cとした。さらに、600℃で得たもみ殻炭に対して、固液比を25g/L、浸漬温度を80℃、浸漬時間を16時間として、ケイ酸の溶脱を行った。洗浄および乾燥を行い、それにより得たもみ殻炭をRH600Dとした。
その後、RHW600、RHW600A、RHW600B、RHW600C、RHW600Dを1L/分の窒素ガス流動雰囲気中において、1000℃で1時間熱処理を行い、二次炭化を行った。なお、室温から1000℃までの昇温は1時間かけて行い、1時間の熱処理後は室温まで自然冷却した。二次炭化を経たもみ殻炭をそれぞれRHW1000、RHW1000A、RHW1000B、RHW1000C、RHW1000Dとした。さらに、RHW600を1L/分の窒素ガス流動雰囲気中において、1400℃で1時間の熱処理を行ったもみ殻炭も製造した。それをRHW1400とする。その際、室温から1000℃までの昇温は1時間かけて行い、さらに1400℃まで1時間かけて昇温した。また、1時間の熱処理後は室温まで自然冷却した。
【0031】
RHW600、RHW600A、RHW1000、RHW1000A、RHW1000B、RHW1000C、RHW1000D、RHW1400のもみ殻炭を、遊星型ボールミル(フリッチュ・ジャパン株式会社、P6)を用いて、粉末化した。すべてのもみ殻炭に対してSUS304製のステンレスボールと容器を用いて、400rpmの回転速度で、5分間の粉砕を行った。粒子径分布測定装置(株式会社島津製作所、SALD−200V)を用いて、粉末化されたもみ殻炭の粒径を計測したところ、すべてメディアン径および平均粒径とも2〜5μmであった。以下、粉末化した上記もみ殻炭を活物質として扱う。なお、製造活物質の比較対象として、市販のフェノール樹脂由来のハードカーボン(AT−エレクトロード株式会社、LN−0100)を選択し、製造活物質と同様の分析および試験を行った。
【0032】
実施例2
〔活物質と電極化およびそれらの分析〕
実施例1で製造した粉末状活物質及び市販ハードカーボン(AT−エレクトロード株式会社、LN−0100)のケイ酸含有率を前記方法により測定した。結果を表1に示す。RHW600、RHW1000、RHW1400を比較すると、熱処理温度が増加するに従い、もみ殻由来活物質のケイ酸含有率が上昇したことが分かる。RHW600とRHW600A、さらに、RHW1000、RHW1000A、RHW1000B、RHW1000C、RHW1000Dを比較すると、水酸化ナトリウム水溶液浸漬の時間および温度を増加することで、活物質中のケイ酸含有率が減少したことが分かる。
【0033】
【表1】
【0034】
粉末状活物質のX線回折パターンを
図1に示す。RHW1400を除いて、炭素およびケイ酸に関係する結晶構造に起因する明確なピークは確認されなかった。2θが43〜45°において二つの微弱なピークが確認されたが、それらは活物質粉砕の際に使用されたSUS304製のステンレスボールと容器の摩耗粉の混入による。RHW1400のX線回折パターンにおいて、クリストバライトSiO
2、石英SiO
2、α―Si
3N
4、Si
2N
2Oに起因する弱いピークが検出され、1400℃からの活物質の結晶化が確認できる。それ以外のもみ殻由来活物質において、クリストバライトSiO
2への結晶化前の非晶質ケイ酸に起因するX線回折パターンの膨らみが22°付近で見られた。また、市販ハードカーボンのX線回折パターンとの比較から分かるように、非晶質炭素に起因する膨らみも23°付近で見られた。RHW1000CおよびRHW1000Dのように、活物質中のケイ酸含有率が低くなり、非晶質炭素含有率が高くなると、非晶質ケイ酸に起因する22°付近の膨らみは弱まり、非晶質炭素に起因する23°付近の膨らみが強くなった。
【0035】
粉末状活物質の細孔特性を表2に示す。RHW600、RHW1000、RHW1400を比較すると、最も低い温度で製造したRHW600において、BET比表面積および全細孔容積が最も大きく、細孔が最も発達していた。一方、1000℃で製造したRHW1000では、細孔が発達せず、最も小さいBET比表面積および全細孔容積を示した。RHW600とRHW600Aを比較すると、ケイ酸が溶脱されたRHW600Aにおいて、より大きなBET比表面積および全細孔容積が計測され、それはマイクロ孔よりメソ・マクロ孔の発達に起因していた。また、RHW1000に発達した細孔は、ほぼメソ・マクロ孔から構成され、マイクロ孔はほとんど発達しなかった。RHW1000A、RHW1000B、RHW1000C、RHW1000Dの順でケイ酸含有率が低下するに従い、BET比表面積と全細孔容積は徐々に増加した。ケイ酸溶脱程度の小さいRHW1000Aでは、マイクロ孔およびメソ・マクロ孔の両方が発達した。しかし、それ以上にケイ酸溶脱程度が大きくなっても、マイクロ孔の発達は弱く、メソ・マクロ孔が主として発達した。
【0036】
【表2】
【0037】
集電体の銅箔に各活物質を導電助剤のアセチレンブラックおよびバインダのポリフッ化ビニリデンとともに塗工し、電極化した。直径15mmの円状に打ち抜き、それを電極として使用した。各活物質を含む電極を再度十分に乾燥させた後、電子顕微鏡を用いて、その表面部を観察した。すべての電極において、導電助剤およびバインダが活物質粒に十分に分散し、活物質が均一に銅箔上に接着されていることを確認した。また、エネルギー分散型X線分析装置を用いて求めた電極表面の組成を表3に示す。主としてC、O、F、Siが検出され、活物質中の非晶質ケイ酸、非晶質炭素、ポリフッ化ビニリデンに由来するものであった。市販ハードカーボン電極を除くすべての電極において、微量のFeが検出されたが、それは粉砕過程で混入したステンレスボールおよび容器の摩耗粉による。また、RHW1000A、RHW1000B、RHW1000C、RHW1000Dの電極でNaが検出され、ケイ酸溶脱程度が大きくなるに従い、Na含有量は増加した。ケイ酸溶脱量の増加に従い、水酸化ナトリウム水溶液への浸漬時間および温度が増加したため、Naが除去されにくくなったことに起因する。
【0038】
【表3】
【0039】
ケイ酸含有率の評価、X線回折による結晶性の分析、細孔特性の評価、電極表面の微視的観察および組成分析の結果は、非晶質ケイ酸と非晶質炭素の混合系であり、非晶質ケイ酸と非晶質炭素の比率および細孔特性の異なる活物質を、もみ殻を原料に製造し、リチウムイオンの吸蔵放出特性の評価が可能な電極に加工できたことを証明している。
【0040】
実施例3
[活物質を含む電極の半電池セルでの充放電試験]
活物質が塗工された電極を直径15mmで打ち抜き、それとリチウム金属から構成される半電池セルを組み立てた。電極における活物質質量および塗工厚を表4に示す。活物質の質量はRHW1400を除いて3.96mg±5%であった。RHW1400の質量のみが2.84mgと小さかったため、そのリチウムイオンの吸蔵放出特性は別途考慮する。すべての活物質の塗工厚は30〜50μmであった。
【0041】
【表4】
【0042】
活物質を含む半電池セルに対して24時間の短絡を行い、リチウムイオンのプレドープ処理を実施した。プレドープ後の活物質のリチウムイオン吸蔵放出容量を表5に示す。プレドープ後の各活物質のリチウムイオンの放出容量は、RHW600Aが大きく、続いてRHW1000が大きかった。そして、RHW1000A、RHW1000B、RHW1000C、RHW1000Dの順に放出容量は低下し、それはケイ酸含有量の減少とほぼ一致した。また、もみ殻から製造した活物質すべてが、プレドープ後のリチウムイオンの放出において、市販ハードカーボンより大きな容量を示した。一方で、RHW1400のリチウムイオンの放出容量は90mAh/gと非常に小さかった。再度、リチウムイオンを電極電位が0.002Vvs.Li/Li
+まで低下するまで活物質に吸蔵させ、その後、電極電位が3Vvs.Li/Li
+に上昇するまでリチウムイオンを放出させると、RHW600Aが最大吸蔵放出容量を示した。RHW1400を除くもみ殻由来活物質すべてが、市販ハードカーボンを上回る吸蔵放出容量を示した。特に、RHW600、RHW600A、RHW1000、RHW1000A、RHW1000Bの放出容量は450mAh/gを超えており、大きな吸蔵放出容量を有していた。
【0043】
【表5】
【0044】
続いて、電極電位が0.002〜1Vvs.Li/Li
+という活物質内にリチウムイオンが十分に吸蔵されている状態において、各活物質に対して異なる電流密度でのリチウムイオンの吸蔵放出を行った。各活物質の吸蔵放出容量を表6に示す。電流密度が0.1mA/cm
2とリチウムイオンの吸蔵脱離が緩やかな場合、RHW600とRHW1400を除くもみ殻由来活物質に240mAh/gを超える吸蔵放出容量が計測された。これは市販ハードカーボンの200mAh/gの吸蔵放出容量を超えるものである。電流密度が1mA/cm
2に、さらに10mA/cm
2に増加すると、RHW600Aは大きな吸蔵放出容量を維持できなくなった。1000℃での二次炭化を実施したRHW1000およびRHW1000A〜Dは、電流密度が増加しても、吸蔵放出容量が維持され、市販ハードカーボンより十分に大きな吸蔵放出容量を示した。
【0045】
【表6】
【0046】
さらに続いて、リチウムイオンの吸蔵および放出容量を130μAhに固定し、電流密度を1mA/cm
2の一定に保って、リチウムイオンの吸蔵放出を繰り返した。第1サイクル、第51サイクル、第1001サイクルにおいて、活物質にリチウムイオンは電極電位が0.002Vvs.Li/Li
+になるまで吸蔵させた。一度リチウムイオンが活物質に吸蔵された後、一定の電気量でのリチウムイオンの吸蔵放出が繰り返し行われた場合、繰り返し吸蔵後の電極電位は一定に維持されることが望まれる。一般に繰り返しの吸蔵放出後にリチウムイオン電池およびリチウムイオンキャパシタの負極電位が上昇すると、同じ電池およびキャパシタの起電力を得るには、正極電位も上昇する必要がある。正極電位が高まると、正極近傍での電解液の分解および正極自体の構造変化が誘導されやすく、電池およびキャパシタの容量低下および構造劣化が起こりうる。同様に、リチウムイオン放出後の電極電位は、負極でのリチウム金属のプレーティングが生じない程度に低く維持されることが望まれる。さらに、繰り返しのリチウムイオンの吸蔵放出により活物質の容量低下が進行すると、吸蔵時の電極電位と放出時の電極電位の差は増大する。従って、その電位差も小さいことが望まれる。
【0047】
130μAhのリチウムイオン吸蔵時および放出時における活物質の電極電位を表7に示す。第50サイクル目におけるリチウムイオン吸蔵後の電極電位は、RHW1400が低く、また、RHW600は高かった。RHW1400の場合、電極電位が連続的に、緩やかに低下したものでなく、不連続に急激に低下することで、0.002Vvs.Li/Li
+という低い電極電位が計測された。これは、リチウム金属のプレーティングに起因するものと予測される。また、リチウムイオンの放出後のRHW600とRHW1400の電極電位は0.5Vvs.Li/Li
+を超過しており、他の活物質と比較して大きかった。RHW1400においては、リチウムイオンの吸蔵放出がさらに繰り返されると、電極電位の不連続かつ急激な変化が多発し、さらに、電極電位自体も他の活物質と比較して高く推移した。1000サイクルを超えたところで、活物質質量が他の活物質と比較して小さいことを勘案しても、RHW1400は活物質として十分な性能を有していないと判断し、試験を中断した。また、RHW600のリチウムイオン放出後の電極電位は、第50サイクル時以上には高くならなかったが、他の活物質と比べて、高い値であった。リチウムイオン吸蔵後の電極電位に着目すると、ケイ酸含有率の最も低いRHW1000Dの値が吸蔵放出サイクル数に従い増加し、第2000サイクル後には最も高い0.157Vvs.Li/Li
+となった。吸蔵後の高い電極電位は、電池およびキャパシタの充電時に高い正極電位を必要とし、容量低下および構造劣化の原因となるため、非常に好ましくない。RHW1000Dはケイ酸含有率が最も低く、その大部分は非晶質炭素から構成されている上、メソ・マクロ孔も発達している。リチウムイオン吸蔵後の電極電位の上昇は、最初に0.002Vvs.Li/Li
+まで吸蔵させたリチウムイオンが、繰り返し吸蔵脱離により、活物質内において電極電位の低下に寄与しない不動化の状態に徐々に移行することを意味する。すなわち、炭素領域に過度に発達したメソ・マクロ孔は、リチウムイオンをトラップすることで、その不動化を促進すると予測される。さらに、RHW600A、RHW1000A、RHW1000Bは、リチウムイオンの吸蔵放出が繰り返し行われても、吸蔵および放出後の電極電位は低く維持されていた。すなわち、リチウムイオンが十分に吸蔵されている状態における吸蔵放出においても、電極電位が低く維持された上、容量減少も小さく抑えられていた。
【0048】
【表7】
【0049】
活物質を含む電極の半電池セルでの充放電試験におけるプレドープ後の容量、電極電位範囲を0.002〜1Vvs.Li/Li
+に限定した場合の容量の電流密度依存特性、さらに、リチウムイオンの吸蔵および放出容量を130μAhに固定した場合の電極電位の安定性の評価から、RHW1000、RHW1000A、RHW1000B、RHW1000Cが、特には、RHW1000AとRHW1000Bが、リチウムイオン電池の負極活物質として市販ハードカーボンより優れた性能を示し、さらに要求条件(A)〜(D)を十分に満たす材料と判断できる。従って、RHW1000、RHW1000A、RHW1000B、RHW1000Cに対して、リチウムイオンキャパシタの負極活物質としての性能評価を行った。
【0050】
実施例4
[活物質を含む電極のリチウムイオンキャパシタセルでの充放電試験]
半電池セルでの充放電試験と同様に、活物質が塗工された電極を直径15mmで打ち抜き、それを3極式リチウムイオンキャパシタセルの負極に用いた。また、そのセルの正極には、BET比表面積が約2500m
2/gの活性炭をアルムニウム箔に塗工し、それを直径15mmで打ち抜いたものを用いた。負極活物質にRHW1000、RHW1000A、RHW1000B、RHW1000Cおよび市販ハードカーボンを用いた4種類のリチウムイオンキャパシタセルを組み立てた。なお、参照極はリチウム金属であり、負極活物質は24時間のリチウムイオンのプレドープ処理がなされた。一方で、それら活物質と比較して十分なリチウムイオンの吸蔵放出容量を有するリチウム金属を負極に用いたセルも組み立てた。この場合、3極式セルではなく、2極式の半電池セルとした。組み立てたリチウムイオンキャパシタセルとそれに使用された活物質の詳細を表8に示す。負極活物質の質量は4.00mg±4%であり、正極活性炭の質量も2.34mg±3%とほぼ一定にした。塗工厚は負極および正極とも40μm前後であった。負極として用いたリチウム金属の理論容量3861mAh/gであり、使用されたもみ殻由来負極活物質より十分に大きな容量を有した。
【0051】
【表8】
【0052】
セル電圧範囲を2〜4Vに設定して、異なる電流密度におけるリチウムイオンキャパシタセルの充放電容量を評価した。その結果を表9に示す。電流密度が0.1mA/cm
2と小さい時、いずれのセルも最も高い充放電容量を示した。負極がリチウム金属の場合、セルの放電容量は141μAhであり、LIC W1000、LIC W1000A、LIC W1000Bセルの放電容量とほぼ近い値になった。LIC W1000CとLIC HCの放電容量は若干低かった。電流密度が1mA/cm
2に、さらには10mA/cm
2に増加すると、すべてのセルの充放電容量は低下したものの、LIC W1000セルの容量低下は最も小さく、レート特性に優れていた。LIC W1000AとLIC W1000Bセルの10mA/cm
2における充放電容量は、LIC HCセルと比較して、やや低い値となったが、負極がリチウム金属の場合よりは高い値となった。LIC W1000Cセルは、すべての電流密度において、最小の充放電容量を示した。
【0053】
【表9】
【0054】
続いて、セル電圧範囲を同じく2〜4Vに設定し、電流密度を1mA/cm
2の一定値に保って、リチウムイオンキャパシタセルの充放電サイクル試験を実施した。充放電サイクル数とリチウムイオンキャパシタセルの充放電容量の関係を表10に示す。繰り返しのリチウムイオンの吸蔵放出により、表面にデンドライトを形成させうるリチウム金属を負極に使用したLIC LiMetalセルに対してサイクル試験は実施しなかった。第10サイクルと充放電サイクルが少ない場合、LIC W1000Cセルを除くリチウムイオンキャパシタセルは130μAh付近の充放電容量を示した。LIC W1000AとLIC W1000Bは、20000サイクルの充放電を経ても、その充放電容量を120μAh程度に維持し、優れたサイクル特性を示した。一方、LIC HCの容量は3000サイクルの充放電でほぼ失われていた。LIC W1000セルは、第3000サイクル付近から徐々に容量低下を許し、20000サイクル後には、100μAhを下回った。LIC W1000Cの充放電容量は、第1000サイクル付近で一度他のセルと同程度の容量を示したが、その後、容量低下を示した。20000サイクル後には55μAh程度まで低下した。
【0055】
【表10】
【0056】
リチウムイオンキャパシタセルのサイクル試験における負極電位を表11に示す。セル電圧4Vにおいて、負極活物質にはリチウムイオンが最も吸蔵され、セル電圧2Vにおいて、リチウムイオンが最も放出された状態になる。充放電サイクル初期においては、LIC HCの負極電位は非常に低く維持されていた。しかし、1000サイクルを超えると、リチウムイオンの放出時の負極電位は2Vvs.Li/Li
+付近まで増加していた。すなわち、市販ハードカーボンにリチウム金属との短絡によるリチウムイオンのプレドープ処理を行い、それをリチウムイオンキャパシタセルの負極活物質に使用しても、優れたサイクル特性は得られないことが確認された。LIC W1000とLIC W1000Cセルにおいて、セル電圧4Vにおけるリチウムイオン吸蔵時の負極電位は大きく増加しなかったが、10000サイクルを超えると、リチウムイオン放出時の負極電位は1.2Vvs.Li/Li
+を超過し、その負極の容量低下がセルの容量低下の原因となった。一方で、LIC W1000AとLIC W1000Bセルは、20000サイクル後において、リチウムイオン放出時の負極電位は1Vvs.Li/Li
+程度までに抑えられていた。この結果は、RHW1000AとRHW1000Bが充放電サイクルに対する安定性に優れ、リチウムイオンキャパシタセルの負極活物質と特に好ましい性能を有することを示している。
【0057】
【表11】
【0058】
実施例2における準備された負極活物質の物性分析の結果、さらに、実施例3と4におけるそれら負極活物質がリチウムイオン電池およびリチウムイオンキャパシタに使用された場合の性能から、以下の発明に想到できる。
適切な物性を有する非晶質炭素と非晶質ケイ酸の混合系活物質(RHW1000AとRHW1000B)を使用することで、既存技術であるハードカーボン系活物質と比較して、最大吸蔵容量までリチウムイオンを吸蔵させるプレドープ処理に対する耐性が強く、リチウムイオンを十分に吸蔵した状態における吸蔵放出のレート特性およびサイクル特性に優れたリチウムイオン電池およびリチウムイオンキャパシタ用負極を実現できる。ケイ酸の溶脱により、上記活物質中の非晶質ケイ酸の含有率を減少させると、リチウムイオンにより還元されて得られるシリコンの大きな吸蔵放出容量が減少することで、活物質自体の容量は減少する。しかし同時に、ケイ酸が溶脱された空間に主としてメソ・マクロ孔が形成される。シリコンはリチウムイオンの吸蔵脱離に伴い大きな膨張収縮を許すため、メソ・マクロ孔の存在は、シリコンの膨張収縮による活物質粒子間および活物質と集電体との隔離を抑制することができる。一方で、ケイ酸溶脱が過多な場合、シリコンに起因する容量の減少により、活物質全体の容量が減少する。さらに、同時にシリコンの膨張収縮の緩衝に要する以上に炭素領域に発達したメソ・マクロ孔は、リチウムイオンをトラップすることで、その不動化を促進する。従って、リチウムイオンの吸蔵脱離が繰り返されると、活物質内において電極電位の低下に寄与しないリチウムが増加し、リチウムイオン吸蔵時の負極電位を押し上げる。これは、正極電位を押し上げることで、電解液の分解および正極の構造分解を誘導する可能性を高めるため、好ましくない。メソ・マクロ孔が過多に発達しても、活物質中のケイ酸含有率が高い場合(RHW600とRHW600A)、還元されたシリコンに起因して、リチウムの不動化は軽減され、負極電位の上昇は抑制される。しかしながら、過多なメソ・マクロ孔の存在によるリチウムイオンの輸送性低下に起因して、電流密度増加に伴う吸蔵放出容量の低下が大きく、優れたレート特性は得られない。また、活物質製造時の炭化温度は、ケイ酸および炭素領域の構造変化に影響を与える。ケイ酸溶脱により活物質中のメソ・マクロ孔は発達しやすいので、1000℃の炭化温度は、ケイ酸および炭素領域の細孔をふさぐ効果があり、細孔の発達を抑制できる。1400℃の炭化温度は、非晶質であったケイ酸を結晶化および窒化させ、ケイ酸の還元によるリチウムイオン吸収効果を弱める、すなわち、活物質のリチウム金属のプレーティングの抑制効果を縮小する。
【0059】
リチウムイオンの吸蔵放出を行うことで、繰り返し充放電を実現するリチウムイオン電池およびリチウムイオンキャパシタの負極活物質としてRHW1000AとRHW1000Bは優れた性能は示した。それら活物質の組成および物性を考慮すると、非晶質炭素の含有率が60〜80質量%、非晶質ケイ酸の含有率が40〜20質量%、BET比表面積が70〜120m
2/g、メソ・マクロ孔比表面積が50〜100m
2/g、メソ・マクロ孔容積が0.10〜0.18cm
3/gであることを特徴とする非晶質ケイ酸と非晶質炭素の混合系活物質は、(A)最大吸蔵容量までリチウムイオンを吸蔵させるプレドープ処理を行ったとしても、リチウム金属のプレーティング(析出)および特性変化を誘導しにくい、(B)上記プレドープ処理を行った後、リチウムイオンの吸蔵容量が大きい、(C)上記プレドープ処理を行った後、その最大吸蔵容量付近でのリチウムイオン吸蔵放出におけるレート特性に優れている、(D)同様に、最大吸蔵容量付近でのリチウムイオン吸蔵放出におけるサイクル特性に優れているという発明に帰結する。また、その活物質はもみ殻という国内賦存量が極めて多いバイオマス系廃棄物から製造でき、もみ殻を800℃以下で一次炭化し、その炭化物から非晶質ケイ酸の部分的除去を行い、その後、800〜1200℃において二次炭化することで製造することができる。