(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6867637
(24)【登録日】2021年4月13日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】サセプタ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/365 20060101AFI20210419BHJP
C23C 14/50 20060101ALI20210419BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20210419BHJP
H01L 21/368 20060101ALI20210419BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
H01L21/365
C23C14/50 D
C23C16/458
H01L21/368 Z
H01L21/68 N
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-128499(P2015-128499)
(22)【出願日】2015年6月26日
(65)【公開番号】特開2016-27636(P2016-27636A)
(43)【公開日】2016年2月18日
【審査請求日】2018年6月26日
【審判番号】不服2019-14445(P2019-14445/J1)
【審判請求日】2019年10月30日
(31)【優先権主張番号】特願2014-132216(P2014-132216)
(32)【優先日】2014年6月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】511187214
【氏名又は名称】株式会社FLOSFIA
(72)【発明者】
【氏名】織田 真也
(72)【発明者】
【氏名】人羅 俊実
【合議体】
【審判長】
辻本 泰隆
【審判官】
加藤 浩一
【審判官】
小田 浩
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−070342(JP,A)
【文献】
特開平9−167763(JP,A)
【文献】
実開昭60−016535(JP,U)
【文献】
特開平6−204175(JP,A)
【文献】
特許第5397794(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/205
H01L21/365
H01L21/368
H01L21/683
C23C14/50
C23C16/458
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持するために成膜装置に用いられるサセプタであって、
該基板を保持する基板保持部と、該基板保持部を支持する支持部とが、一体にまたは別体で備えられており、基板側表面の外周形状が略半円状であり、前記成膜装置が、ミストを用いており、さらに、前記成膜装置が、管状炉を備えており、前記サセプタが該管状炉内の前記基板を保持するために用いられるものであり、且つ、前記支持部が前記基板を傾斜姿勢で支持し、前記サセプタが、前記ミストを前記基板まで加速上昇させることができるように構成されていることを特徴とするサセプタ。
【請求項2】
前記サセプタの略半円が、上端に弦を有し、円弧の下端の少なくとも一部が前記管状炉に接している請求項1記載のサセプタ。
【請求項3】
前記基板保持部が、基板に嵌合する凹部である請求項1または2に記載のサセプタ。
【請求項4】
前記サセプタが占めるサセプタ領域と前記基板領域との総面積が、ミストを排出する排出領域の面積よりも大きい請求項1〜3のいずれかに記載のサセプタ。
【請求項5】
前記基板の傾斜角が5°〜60°である請求項1〜4のいずれかに記載のサセプタ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のサセプタの成膜装置への使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置に用いられるサセプタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パルスレーザー堆積法(Pulsed laser deposition: PLD)、分子線エピタキシー法(Molecular beam epitaxy: MBE)、スパッタリング法等の非平衡状態を実現できる高真空製膜装置が検討されており、これまでの融液法等では作製不可能であった酸化物半導体の作製が可能となってきている。中でも、霧化された原料溶液(ミスト)を用いて、基板上に結晶成長させるミスト化学気相成長法(Mist Chemical Vapor Deposition: Mist CVD。以下、ミストCVD法ともいう。)が検討されており、コランダム構造を有する酸化ガリウム(α−Ga
2O
3)の作製が可能となってきている(非特許文献1)。α−Ga
2O
3は、バンドギャップの大きな半導体として、高耐圧、低損失および高耐熱を実現できる次世代のスイッチング素子への応用が期待されている。
【0003】
ミスト化学気相成長装置(以下、ミストCVD装置ともいう。)については、特許文献1には、管状炉型のミストCVD装置が記載されている。特許文献2には、ファインチャネル型のミストCVD装置が記載されている。特許文献3には、リニアソース型のミストCVD装置が記載されている。特許文献4には、管状炉のミストCVD装置が記載されており、特許文献1記載のミストCVD装置とは、ミスト発生器内にキャリアガスを導入する点で異なっている。また、特許文献5には、ミスト発生器の上方に基板を設置し、さらにサセプタがホットプレート上に備え付けられた回転ステージであるミストCVD装置が記載されている。
【0004】
しかしながら、ミストCVD法は、他の方法とは異なり、高温にする必要もなく、α−酸化ガリウムのコランダム構造のような準安定相の結晶構造も作製可能である一方、ライデンフロスト効果により、ミスト揮発層で基板表面を覆うことで、ミストの液滴が直接膜に接触することなく結晶成長させる必要があるため、その制御が容易ではなく、均質な結晶膜を得ることが困難であった。また、ミストCVD法では、ミストの粒子にバラつきがあったり、基板に至るまでに、供給管内でミストが沈んでしまったりする問題もあった。
【0005】
これら従来の問題に対し、本発明者らは、特許文献6記載の気相化学装置のような構成のミストCVD装置への適用を試みたが、沈んだり凝集したりするミストが液だれし、ミストの加速が阻害され、異常成長を誘発する等の問題があり、供給管を傾けたり、原料供給に個別の細い供給管を設けたりするなど、従来技術の適用では均質な膜を得ることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平1−257337号公報
【特許文献2】特開2005−307238号公報
【特許文献3】特開2012−46772号公報
【特許文献4】特許第5397794号
【特許文献5】特開2014−63973号公報
【特許文献6】特開平2−291113号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】金子健太郎、「コランダム構造酸化ガリウム系混晶薄膜の成長と物性」、京都大学博士論文、平成25年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、成膜装置に適用すると成膜に有用であり、均質な膜を得ることができるサセプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、基板側表面の外周形状が略半円状であるサセプタを用いて成膜すると、均質な膜が得られることを知見し、このようなサセプタが上記した従来の課題を一挙に解決できるものであることを見出した。
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ね、本発明を完成させるに至った。
【発明の効果】
【0010】
本発明のサセプタによれば、均質な膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係るサセプタの一例を示す模式図である。
【
図3】供給内に配置されているサセプタの一態様を示す模式図である。(a)は、ミストの上流から下流方向に向けて、基板に至るまでの供給管内の断面を見た模式図である。(b)は、ミストの上流を左に、下流を右にしたときの、供給管、基板およびサセプタの断面を見た模式図である。
【
図4】
図3に示されるサセプタのサセプタと基板との総面積と、排出領域の面積との関係を説明する図である。
【
図5】成膜時における管状炉の内部を模式的に示す図である。
【
図6】本発明に係るサセプタの一例を示す模式図である。
【
図8】本発明に係るサセプタが熱電対を備える場合の好適な例を示す模式図である。
【
図9】本発明に係るサセプタの一例を示す模式図である。
【
図10】本発明に係るサセプタの一例を示す模式図である。
【
図11】実施例で用いたミストCVD装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のサセプタについて、図面を用いて説明するが、本発明は、これら図面に限定されるものではない。
【0013】
前記サセプタは、基板を保持するために成膜装置に用いられるサセプタであって、該基板を保持する基板保持部と、該基板保持部を支持する支持部とが、一体にまたは別体で備えられており、基板側表面の外周形状が略半円状であれば、特に限定されない。
【0014】
本明細書において、「略半円状」とは、半円状のみならず、半楕円状や、その他放物局面などの半円状に近い各種の曲面を総称するものをいう。
【0015】
前記サセプタが用いられる成膜装置は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されないが、管状炉を備え、管状炉内の基板を保持するために前記サセプタが用いられる成膜装置であるのが好ましい。また、本発明においては、前記成膜装置が、ミストを用いる成膜装置、すなわち、原料からなるミストをキャリアガスによって基板上に搬送して成膜する成膜装置であるのが好ましい。このような好ましい成膜装置としては、例えば、ミストCVD装置やミスト・エピタキシー装置等が挙げられる。このような好ましい成膜装置に前記サセプタを用いる場合には、ミストが基板まで加速して、均質な膜を形成することができる。なお、ミスト・エピタキシー装置は、ミストの形で原料を供給し、下地基板の情報を用いて結晶薄膜を成長させる装置であれば特に限定されず、反応を促進させる方法も、特に限定されず、例えば、熱エネルギー、レーザー、プラズマ、ビーム等のいずれの手段で促進されてもよい。
【0016】
前記サセプタの材料などは、特に限定されないが、本発明においては、石英からなるサセプタであるのが好ましい。
【0017】
前記基板保持部は、前記基板を保持できれば特に限定されないが、本発明においては、前記基板保持部が、基板に嵌合する凹部であるのが好ましい。
【0018】
また、前記支持部は、少なくとも前記基板保持部を支持できれば特に限定されないが、本発明においては、前記支持部が、基板を傾斜姿勢で支持するのが好ましい。前記基板の傾斜姿勢は、原料流路の中心軸線に対して傾斜していれば特に限定されないが、前記基板の傾斜角が、5°〜60°であるのが好ましく、30°〜50°であるのがより好ましく、35°〜47°であるのが最も好ましい。このような好ましいサセプタを用いることにより、より均質な膜を得ることができる。なお、例えば前記サセプタが管状炉に用いられる場合には、該管状炉の管の中心軸線に対しての基板の傾きを前記傾斜角として用いてもよい。また、前記原料流路における原料の形状も、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、ガス状であっても、ミスト状であっても、微粒子状であっても、液状であっても、その他形状を有していてもよい。
【0019】
以下、前記サセプタの好ましい態様について、図面を用いて説明するが、本発明はこれら態様に限定されるものではない。
【0020】
図1は、本発明の好ましいサセプタの一例を示している。
図1のサセプタ101は、基板側表面の外周形状が略半円状である略半円状部102と、支持部104とを備えており、略半円状部102内に、基板保持部103が設けられている。なお、
図1では、基板保持部103と、支持部104とが、別体で設けられているが、本発明においては、一体で設けられていてもよい。
【0021】
略半円状部102に設けられている基板保持部103は、基板を埋め込んで保持できるように、基板に嵌合する凹部となっている。支持部104は、基板を傾斜姿勢で支持するように構成されている。このように構成することで、例えば、ミストを用いる管状炉を備えた成膜装置に前記サセプタを用いる場合には、沈降しているミストを加速上昇させることができるように構成することができる。
【0022】
以下、ミストを用いる管状炉を備えた成膜装置に前記サセプタを用いる場合を例にして、本発明のサセプタをより具体的に説明するが、本発明は、これら例に限定されるものではない。
【0023】
図2は、前記サセプタを、ミストを用いる管状炉を備えた成膜装置に適用した場合の一例を示す。成膜装置10は、サセプタ1、超音波振動子2、ミスト発生器3、キャリアガス供給手段4、供給管5および管状炉6を備えている。
【0024】
図2に示される成膜装置10は、水槽に超音波振動子2を備えており、超音波振動子2により、ミスト発生器3内の原料溶液が霧化し、ミストが発生するように構成されている。ミスト発生器3で発生したミストは、キャリアガス供給手段4から供給されるキャリアガスによって供給管5内に搬送される。供給管5は管状炉6に挿入されており、供給管5内に、基板とサセプタ1が設置されている。供給管5内に搬送されたミストは、基板上で熱反応して、結晶膜を形成する。
【0025】
図3は、管状炉内に配置されているサセプタの一態様を示している。
図3に示されるサセプタ101は、略半円状部102および支持部104を備えており、さらに、略半円状部102には、基板保持部103が設けられている。
図1に示されるサセプタとは、支持部104の形状等が異なっている。支持部104は棒状であり、途中で角度を変えて、支持部104の供給管105との接触角を約90°にするように構成されている。ただし、支持部を棒状にすることで、サセプタ作製時の加工性に優れているが、必ずしも棒状にする必要は無く、熱設計等に応じて適宜変更できる。棒状以外の形状としては、例えば、半円状、半円くりぬき状、タケノコ状、半円柱状、半球状などが挙げられる。なお、支持部を別体で設けることにより、管状炉内のような不安定なところでも、サセプタ101の安定性をより簡便に向上させることができる。
【0026】
図3(a)は、ミストの上流から下流方向に向けて、基板に至るまでの供給管内の断面を示しており、供給管の外周形状の一部が、略半円状である。
図3(b)は、ミストの上流を左に、下流を右にしたときの、供給管、基板およびサセプタの断面を示している。サセプタ101では、略半円状部102が傾斜して設けられており、沈降したミストを加速上昇させて基板103に搬送できるように構成されている。
なお、
図3では、基板保持部103と、支持部104とが、別体で設けられているが、本発明においては、一体で設けられていてもよく、また、前記サセプタの一部が、供給管と一体になっていてもよい。
【0027】
図4は、供給管105内において、
図3に示されるサセプタおよび基板の領域を基板・サセプタ領域111として、未反応のミストを排出する領域を、排出領域112として示しており、サセプタと基板との総面積と、排出領域の面積との関係が分かるようになっている。本発明では、
図4に示されるように、前記サセプタが占めるサセプタ領域と、前記基板領域と、未反応のミストを排出する排出領域とに分けられる前記供給管または前記成長室内の断面において、前記サセプタ領域と前記基板との総面積が、前記排出領域の面積よりも大きくなるように、サセプタを構成するのが好ましい。このような好ましいサセプタを用いることにより、より良好にミストを加速させることができ、より均質な結晶膜を得ることができる。
【0028】
図5は、成膜時における管状炉の内部を示す。
図5では、
図3に示されるサセプタを用いている。
図5に示されるように、供給管内に搬送されたミスト108aは、沈降して、不均一で厚いミスト層となっているが、本発明によれば、サセプタの略半円状部102によって、ミスト108bが加速し、均質な結晶膜を得ることができる。また、液だれ108cによって、ミストの加速が阻害されることもない。
【0029】
本発明に用いられるサセプタは、本発明の目的を阻害しない限り、種々の形状や形態をとり得るが、
図6および
図7に示すように、さらに、上部板等を備えていてもよい。上部板126は、基板側表面の左右の2か所に設けられた上部支持部127によって支えられている。この上部板126によって、原料、特にミストの供給量や加速度等を制御することができる。
【0030】
図8は、本発明に係るサセプタが熱電対を備える場合の好適な例を示す。
図8のサセプタは、支持部134に熱電対135が装入されている。このようなサセプタを用いることにより、基板表面の温度をモニターできるので、温度制御にも優れたものとなる。
【0031】
なお、前記基板保持部の位置や大きさ等も、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、例えば、
図9に示すように、基板を完全に埋め込める形態の基板保持部103であってもよいし、
図10に示すように、サイズの大きい基板を保持できる基板保持部103であってもよく、基板保持部の形状や大きさについては、基板の形状や大きさに合わせて、適宜、設定することができる。
【0032】
また、本発明のサセプタは、上記の好ましいサセプタの例に限らず、例えば、前記支持部を吊り掛けるための吊掛部や係止するための係止部などを有していてもよく、本発明の目的を阻害しない限り、種々の形態をとりうる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0034】
(実施例1)
図11を用いて、本実施例で用いたミストCVD装置19を説明する。ミストCVD装置19は、基板20を載置するサセプタ21と、キャリアガスを供給するキャリアガス供給手段22と、キャリアガス供給手段22から送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁23と、原料溶液24aが収容されるミスト発生源24と、水25aが入れられる容器25と、容器25の底面に取り付けられた超音波振動子26と、内径40mmの石英管からなる供給管27と、供給管27の周辺部に設置されたヒーター28を備えている。サセプタ21は、石英からなり、被成膜試料20を載置する面が水平面から傾斜している。供給管27とサセプタ21をどちらも石英で作製することにより、基板20上に形成される膜内に装置由来の不純物が混入することを抑制している。
なお、サセプタ21として、
図3に示されるサセプタを用いて、α−Ga
2O
3膜を成膜した。成膜条件は以下の通りである。なお、サセプタの傾斜角は45°とし、供給管内の基板・サセプタの総面積は、
図4の通り、サセプタ領域を大きく、排出領域を狭くした。
【0035】
<成膜条件>
臭化ガリウムと酸化ゲルマニウムをガリウムに対するゲルマニウムの原子比が1:0.05となるように水溶液を調整した。この際、48%臭化水素酸溶液を体積比で10%を含有させた。条件1では、酸化ゲルマニウムの濃度は、5.0×10
−3mol/Lとした。
この原料溶液24aをミスト発生源24内に収容した。
【0036】
次に、被成膜試料20として、20mm四方のc面サファイア基板を試料台21上に設置させ、ヒーター28を作動させて成膜室27内の温度を500℃にまで昇温させた。次に、流量調節弁23を開いてキャリアガス源22からキャリアガスを成膜室27内に供給し、成膜室27の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を5L/minに調節した。キャリアガスとしては、酸素ガスを用いた。
【0037】
次に、超音波振動子26を2.4MHzで振動させ、その振動を、水25aを通じて原料溶液24aに伝播させることによって、原料溶液24aを微粒子化させて、原料微粒子を生成した。
この原料微粒子が、キャリアガスによって成膜室27内に導入され、成膜室27内で反応して、被成膜試料20の成膜面でのCVD反応によって被成膜試料20上に膜を形成した。なお、ミストの加速度は1.51m/s
2であった。
【0038】
膜の相の同定をした。同定は、XRD回折装置を用いて、15度から95度の角度で2θ/ωスキャンを行うことによって行った。測定は、CuKα線を用いて行った。その結果、条件1の原料溶液を用いて形成した膜は、α−Ga
2O
3であった。
【0039】
次に各点の膜厚を測定し、中心点の膜厚342nmを0として、上下左右の分布を調べた。結果を表1に示す。バラつきの範囲は、43nmであった。標準偏差は、14.12であった。
【0040】
【表1】
【0041】
(比較例1)
非特許文献1記載の管状炉型ミストCVD装置のサセプタを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてα−Ga
2O
3膜を成膜した。なお、ミストの加速度は0であった。得られたα−Ga
2O
3膜につき、各点の膜厚を測定し、その分布を調べた。結果を表2に示す。バラつきの範囲は、192nmであった。標準偏差は、71.19であった。
【0042】
【表2】
【0043】
(比較例2)
α−Ga
2O
3の代わりに、IGZOを350℃の条件で成膜したこと以外は、比較例1と同様にして成膜した。なお、ミストの加速度は0であった。得られたIGZO膜につき、各点の膜厚を測定し、その分布を調べた。結果を表3に示す。バラつきの範囲は、110nmであった。標準偏差は、42.28であった。
【0044】
【表3】
【0045】
(比較例3)
α−Ga
2O
3の代わりに、ZnOを250℃の条件で成膜したこと以外は、比較例1と同様にして成膜した。なお、ミストの加速度は0であった。得られたZnO膜につき、各点の膜厚を測定し、その分布を調べた。結果を表4に示す。バラつきの範囲は、440nmであった。標準偏差は、129.45であった。
【0046】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のサセプタは、様々な成膜装置に用いることができるが、特に、管状炉を備えた、ミストを用いる成膜装置に有用である。
【符号の説明】
【0048】
1 サセプタ
2 超音波振動子
3 ミスト発生器
4 キャリアガス供給手段
5 供給管
6 管状炉
10 成膜装置
19 ミストCVD装置
20 基板
21 サセプタ
22 キャリアガス供給手段
23 流量調節弁
24 ミスト発生源
24a 原料溶液
25 容器
25a 水
26 超音波振動子
27 成膜室
28 ヒーター
101 サセプタ
102 略半円状部
103 基板保持部
104 支持部
105 供給管
107 ヒーター
108a ミスト(沈降)
108b ミスト(加速)
108c 液だれ
109 基板
111 基板・サセプタ領域
112 排出領域
121 サセプタ
122 略半円状部
123 基板保持部
124 支持部
125 供給管
126 上部板
127 上部支持部
134 支持部
135 熱電対