(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像情報作成部は、前記特定地点の指定を受けると将来時を含んだ前記水位の経時的な水位変化を表示した画像情報を作成する状況変化表示処理部を備えた請求項3または4に記載の下水道監視システム。
前記状況変化表示処理部は、前記降雨量情報に基づく前記特定地点の降雨量の経時的な変化を前記水位変化に重ねて表示させた画像情報を作成する請求項6に記載の下水道監視システム。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるゲリラ豪雨と呼ばれる局地的な大雨等が頻発し、全国各地で浸水被害が多発しており、特に都市部では、都市化の進展に伴い、土地がアスファルト等で覆われるようになると、地中へ浸透する雨の量が減少し、雨水の流出量が増加する。そして、これにより、局地的な大雨の発生頻度の増加や、都市化の進展に伴う雨水の流出量の増加などにより、都市型の浸水被害(内水氾濫)のリスクが高まっている。
【0003】
浸水被害を最小化するため、地方公共団体と関係住民等とが一体となって、効率的なハード対策の着実な整備に加え、ソフト対策、自助の取り組みを組み合わせた総合的な浸水対策を推進が必要とされている。
【0004】
特に、ソフト対策としては、自助の促進に関連する自主避難などのための情報提供が求められており、この情報提供する側にある地方公共団体は、信頼性のある情報をリアルタイムに収集し、浸水の危険性を視覚的かつ、迅速な判断材料として利用できる下水道監視システムが必要となる。
【0005】
下水道監視システムとしては、例えば特許文献1〜3の監視システムが提案されている。
【0006】
特許文献1の監視システムは、下水管の水位等を多点計測し、この各計測地点から無線伝送された計測データに基づき排水設備の自動制御や運転支援を行っている。また、本システムでは、ネットワーク経由で取得した地図データ上に計測データや浸水危険度を重ね合わせて警告表示している。
【0007】
特許文献2,3の監視システムは、対象地域の地形および降雨データをリアルタイムに認識して演算処理することにより浸水状況と浸水被害状況等の災害情報を予測または強制排水等の排水管理を行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の下水道監視システムは、各計測地点で収集した情報を災害発生時の排水管理等の支援の利用に限定されており、排水管理等に直接携わっていない地方公共団体関係者や住民はその地域の下水道における管渠内の状況を直感的に把握することができない。
【0010】
本発明は、以上の事情に鑑み、下水道の管渠内の状況をリアルタイム及び直感的に把握できる下水道監視システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明の下水道監視システムは、特定地域の下水道の管渠内状況を表示させた画像情報を提示する下水道監視システムであって、指定された特定地域の地図情報と下水管路情報と管渠内情報とを統合して当該特定地域の下水道の管渠内状況を視覚的に表示させた画像情報を作成する画像情報作成部を有する。
【0012】
前記画像情報作成部の一態様は、前記特定地域の管渠における特定地点をこの特定地点の管渠内状況に応じた色で表示させる画像情報を作成する色表示処理部を備える。
【0013】
前記特定地点の管渠内状況の一態様は、当該特定地点の組み立てマンホール内の水位である。
【0014】
前記画像情報作成部の一態様は、前記水位の変化速度に応じた点滅速度で前記色を点滅表示させる画像情報を作成する点滅表示処理部を備える。
【0015】
前記画像情報作成部の一態様は、前記特定地点の指定を受けると将来時を含んだ前記水位の経時的な水位変化を表示した画像情報を作成する状況変化表示処理部を備える。
【0016】
前記状況変化表示処理部の一態様は、前記特定地点の降雨量情報に基づき予測し、この予測された水位に基づき前記水位変化の画像情報を作成する。
【0017】
前記状況変化表示処理部の一態様は、前記降雨量情報に基づく前記特定地点の降雨量の経時的な変化を前記水位変化に重ねて表示させた画像情報を作成する。
【0018】
前記画像情報作成部の一態様は、前記特定地点の指定を受けると当該特定地点の組み立てマンホールの水位を示す当該組立マンホールの縦断面を表示させた画像情報を作成する状況表示処理部をさらに備える。
【0019】
前記状況表示処理部の一態様は、前記特定地点の指定を受けると当該特定地点とこの特定地点の上流側または下流側の直近の組立マンホールの縦断面を表示させた画像情報を作成する。
【0020】
また、本発明の一態様は、コンピュータを上記の下水道監視システムの画像情報作成部として機能させる下水道監視プログラムである。
【発明の効果】
【0021】
以上の本発明によれば、下水道の管渠内の状況をリアルタイム及び直感的に把握できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0024】
[概要]
図1に例示された下水道監視システム1は、予め取得している地図情報及び下水管路情報とリアルタイムで取得した管渠内情報を利用して特定地域における下水道の管渠内状況を視覚的に表示させた画像情報をユーザに対して提示する。
【0025】
特に、管渠内の水位情報を地図情報と下水管路情報と対応づけて過去と未来の水位情報及び降雨情報と共に出力表示できるようになっている。また、水位情報のレイヤー表示においては、前記水位情報の表示を前記管渠内状況に応じて識別できるように表示される。前記識別は、色、形や音などを利用できるが、本態様においては、情報を地図などの図面上に表示するため色による識別が可能となっている。
【0026】
尚、以下の本実施形態の説明で述べられる「実測水位」は、管渠内水位実測装置21〜2Nにより測定された水位を意味する。「%換算表示」は、下水管路径に対する管渠内水位実測装置による水位計測値の相対値を意味する。
【0027】
[システムの態様例]
本実施形態の下水道監視システム1は、管渠内水位実測部2、管渠内水位記録部3、下水道監視部4、配信部5及び画像表示部6を有する。
【0028】
管渠内水位実測部2は、下水管路の水位情報をリアルタイムに計測すると共に外部に無線伝送する管渠内水位実測装置21〜2Nを備える。管渠内水位実測装置21〜2Nは下水管路に配置された組立マンホールに個々に具備されている。管渠内水位実測装置21〜2Nとしては、例えば、特許文献4に開示された計測機能と無線通信機能とを有するマンホール蓋が適用される。
【0029】
管渠内水位記録部3は、管渠内水位実測装置21〜2Nから各々送信された管渠内水位の実測値31〜3Nを収集して保存する。
【0030】
下水道監視部4は、地図情報と下水管路情報と管渠内情報とに基づき特定地域における下水道の管渠内状況を視覚的に表示させた画像情報を出力する。
【0031】
配信部5は、管渠内状況の表示対象として特定地域の指定を受け付ける一方で下水道監視部4にて作成された画像情報を配信する。配信部5は、例えば、自治体や民間会社が運用する情報提供サービスの拠点に配置されるサーバの態様を成す。そして、例えば、ユーザが画像表示部6から前記情報提供サービスのホームページにアクセスすれば配信部5を介して前記画像情報をリアルタイムに閲覧できるようになっている。
【0032】
画像表示部6は、配信部5から配信された画像情報を表示する。画像表示部6としては、配信部5と通信可能なユーザ側のPC、スマートフォン、タブレット端末が例示される。
【0033】
[下水道監視部4の態様例]
下水道監視部4は、CPU等の中央演算部、RAM等の揮発性の記憶部、画像処理部及びHDD等の不揮発性の図示省略の補助記憶部等のコンピュータのハードウェア資源を備える。そして、これらのハードウェア資源がOS,アプリケーション等のコンピュータのソフトウェア資源と協働することにより、下水道監視部4は、降雨情報記録部41、地図情報記録部42、管路図面情報記録部43、水位情報演算記録部44及び画像情報作成部45を実装する。
【0034】
降雨情報記録部41は、外部から降雨情報を収集して保存する。降雨情報としては、降雨の実測値と予測値の情報である。降雨情報は、例えば、気象庁若しくは東京都の気象情報提供サービス、国土交通省で整備をすすめている局所的な雨量をほぼリアルタイムに観測可能な気象情報提供サービス等から配信されるデータにより取得可能である。
【0035】
地図情報記録部42は、水位・降雨情報を表示する対象地域の地図情報を保存する。
【0036】
管路図面情報記録部43は、下水道管理情報(下水道管路の径・長さ・土被りやマンホール位置、マンホールアンテナ設置場所等)を保存する。
【0037】
水位情報演算記録部44は、管渠内水位記録部3,地図情報記録部42,管路図面情報記録部43から各々供された管渠水位実測値,地図情報,下水道管理情報に基づき将来時を含んだ管渠内水位の経時的な水位変化等の予測情報を含んだ水位情報を算出する。
【0038】
前記予測情報は、周知の下水道水位計算法に基づくモデル式に降雨情報記録部の降雨予測や管渠水位などの必要パラメータを入力することにより算出できる。この算出された予測情報は、管渠内水位実測装置21〜2Nで逐次収集される最新の実測水位データを「現在水位」とすると共に順次記録される水位データを「過去水位」とする水位情報と共に、水位情報演算記録部44の記憶領域に保存される。
【0039】
画像情報作成部45は、降雨情報記録部41,地図情報記録部42,管路図面情報記録部43及び水位情報演算記録部44から降雨情報,地図情報、下水管路情報及び管渠内情報をレイヤー情報として引き出する。そして、これらのレイヤー情報を統合して特定地域の下水道の管渠内状況を視覚的に表示させた画像情報を作成する。前記特定地域としては、ユーザから指定された特定地域、ユーザの画像表示部6の位置情報(GPS情報)に基づく特定地域が例示される。
【0040】
画像情報作成部45は、
図2に示すように、色表示処理部46、点滅表示処理部47、状況変化表示処理部48、状況表示処理部49をさらに有する。この各機能部はユーザが任意に選択できる。
【0041】
色表示処理部46は、前記特定地域の管渠における特定地点をこの特定地点の現在または将来時の管渠内状況に応じた色で表示させた画像情報を作成する(例えば実施例1)。
【0042】
点滅表示処理部47は、前記画像情報前記水位の変化速度に応じた点滅速度で前記色を点滅表示させる画像情報を作成する(例えば実施例1)。
【0043】
状況変化表示処理部48は、前記特定地点の指定を受けると将来時を含んだ前記水位の経時的な水位変化を表示した画像情報を作成する(例えば実施例2)。また、前記特定地点の降雨量情報に基づき予測しこの予測された前記水位に基づき前記水位変化の画像情報を作成する(同実施例)。さらに、前記降雨量情報に基づく前記特定地点の将来時を含んだ降雨量の経時的な変化を前記水位変化に重ねて表示させた画像情報を作成する(同実施例)。
【0044】
状況表示処理部49は、前記特定地点の指定を受けると当該特定地点の組み立てマンホールの水位を示す当該組立マンホールの縦断面を表示させた画像情報を作成する(例えば実施例3)。また、前記特定地点の指定を受けると当該特定地点とこの特定地点の上流側または下流側の直近の組立マンホールの縦断面を表示させた画像情報を作成する(同実施例)。
【0045】
以上の下水道監視システム1において各情報の収集と配信は、有線・無線にても可能であるが、クラウドコンピューティングで構築されることが好ましく、情報はWeb配信することで配信先の事務所以外にもスマートフォンやタブレットなどのハンディ端末にて場所を問わず迅速に配信情報を入手が可能となる。
【0046】
また、管渠内水位記録部3、下水道監視部4は個々にクラウド上に構築、または単一のクラウド上に構築することもできる。さらに、管渠内水位記録部3と下水道監視部4は単一の装置に組み込まれてもよい。そして、配信部5は、単独で具備されることに限定されることなく、管渠内水位記録部3及び下水道監視部4と統合させた態様としてもよい。
【0047】
[実施例]
以下に下水道監視システム1の実施例について説明するが、本発明の下水道監視システムはこの実施例に限定されるものではない。
【0048】
(実施例1)特定地域における観測地点の状況表示
先ず、特定地域における下水道の管渠内の状況を知りたいユーザの画像表示部6からのアクセスにより配信部5を運用するホームページを介して当該特定地域が指定されると、配信部5は前記指定された特定地域を下水道監視部4に送信する。
【0049】
下水道監視部4が前記特定地域の指定を受けると、画像情報作成部45は、降雨情報記録部41,地図情報記録部42,管路図面情報記録部43,水位情報演算記録部44から特定地域の降雨情報,地図情報,下水管路情報,管渠内水位情報をレイヤー情報として各々引き出す。そして、
図3に示したように、降雨情報11,地図情報12,下水管路情報13,水位情報14を統合、すなわち、重ね合わせて前記特定地域の下水道の現在時または将来時の管渠内状況を視覚的に表示させた画像情報15を作成する。そして、この画像情報15は配信部5を介して前記ユーザの画像表示部6に出力表示される。
【0050】
画像情報15の一例を
図4に示す。画像情報作成部45において、ユーザにより色表示処理部46の機能が選択されると、色表示処理部46は前記特定地域の市街地図において下水道の管渠に配置された組立マンホールの地点を「丸印」の表示記号で示した画像情報15を作成する。
【0051】
前記表示記号は、前記組立マンホールに具備された実測水位の値に応じて色分けされる。例えば、「安全水位」は水色、「注意水位」は黄色、「警戒水位」は赤色に表示される。
【0052】
「安全水位」「注意水位」「警戒水位」の基準となる管渠内水位は、各マンホールアンテナの設置箇所の下水管路径に基づき、適宜、予め設定される。
【0053】
図4の表示例では、ユーザが指定した特定地域における下水道の単数または複数の組み立てマンホールの位置がその将来時の水位(例えば、現在時から1時間後の当該組立マンホール内の水位)に応じて色分け表示される。尚、現在または将来時の指定はユーザの端末から任意に設定できる。
【0054】
また、ユーザにより点滅表示処理部47の機能が選択されると、点滅表示処理部47は、管渠内水位実測装置21〜2Nの実測水位の変化速度に応じた点滅速度で前記表示記号の色を点滅表示させる画像情報を作成する。
【0055】
以上の実施例によれば、地図情報と下水管路情報と管渠内情報とに基づき特定地域における下水道の管渠内状況を視覚的に表示させた画像情報が出力される。したがって、ユーザが指定する特定地域の下水道の管渠内の状況をリアルタイム及び直感的に把握できる。
【0056】
また、本実施例においては、特定地域の下水管路情報が組み込まれることにより、当該特定地域の管渠に対する水位の割合(管渠の許容量)が算出されるので、管渠内の状況を把握し易くなる。これにより、浸水情報、非難情報等や防水対策のための迅速な情報提供が可能となる。
【0057】
さらに、特定地域の下水道の管渠内状況が管渠内水位に応じて色分け表示されるので、管渠内状況の度合いを直感的に把握できる。特に、本実施例では「安全」、「注意」、「警戒」の3段階に区分され、この区分に応じて、安全なのか注意すべきか感覚的、直観的に把握が可能なように色分けされている。
【0058】
ここで、水位情報演算記録部44において、各測定箇所に設置したマンホールの周辺の管渠の水位情報を流出解析すれば、実測水位測定箇所の周辺部も色分け可能となる。
【0059】
また、「注意」や「警戒」の区分では、実測水位レベルが漸次増加している場合には、該当する測定点(色付き)を点滅表示可能となっているので、実測水位レベルの危険度の把握と注意が容易となる。
【0060】
さらに、本実施例では、「注意」と「警戒」の区分で点滅表示を採用したが、この表示は管渠水位上昇の最終段階の「警戒」に限定した機能でもよい。そして、実測水位レベルが漸次増加するかの判断は、例えば、収集した実測データの移動平均の数値の時間的な増加の有無で判断してもよい。また、識別色の点滅間隔は、実測水位レベルの増加速度に応じて、変化させると感覚的に把握しやすい。本実施例では、3段階に区分したが、さらに細分化して区分してもよく、また、特定区分に対して細分化してもよい。
【0061】
尚、実施例においては、降雨情報を利用することにより、特定地域における管渠の地点の管渠内状況を点滅表示でき、降雨の影響による水位変化の変化に関する情報を複数表示することになり、水位情報をさらに効果的に視覚的に把握できる。
【0062】
(実施例2)管渠内水位実測装置の設置場所における管渠内水位表示
また、画像情報作成部45において、状況変化表示処理部48が選択され、さらに、
図4の画像情報15において表示された管渠内水位実測装置21〜2Nの地点から任意の地点がユーザによって選択されると、状況変化表示処理部48が起動する。
【0063】
状況変化表示処理部48は、前記選択された地点の将来時を含んだ管渠内水位の経時的な水位変化を表示した画像情報を作成する。より具体的には、前記選択地点の降雨量情報に基づき予測された前記水位に基づき前記水位変化の画像情報を作成する。そして、この画像情報は配信部5を介して前記ユーザの画像表示部6に出力表示される。
【0064】
前記画像情報の一例を
図5に示した。図示の通り、過去の実測水位、現在の実測水位、時間に応じた予測水位の変化が視覚的に把握できるトレンドグラフが作成される。このトレンドグラフは、例えば、画像情報15においてユーザによるタップ操作またはクリック操作により選択された管渠内水位実測装置21〜2Nの地点のいずれかの近傍にてポップアップ表示される。
【0065】
前記トレンドグラフにおいては、前記水位の変化と共に、管渠内水位の度合いを色分け表示させた表示バーが当該トレンドグラフの水位軸に沿って表示される。この表示バーは、管渠内水位が「安全水位」に近づくにつれて青色系統が濃くなる一方で「注意水位」に近づくにつれて黄色系統が濃くなると共に「警戒水位」に近づくにつれて赤色系統が濃くなる色合いで表示される。
【0066】
また、本実施例においては、降雨量情報が利用されることにより、計測点の地点降雨量に変換し(実測値+予測値)、ハイエトグラフとし、水位と降雨量を重ねて表示することも可能となる。すなわち、状況変化表示処理部48は、上述のように起動すると、前記降雨量情報に基づく前記特定地点の将来時を含んだ降雨量の経時的な変化を前記水位変化に重ねて表示させた画像情報を作成する。そして、この画像情報は配信部5を介して前記ユーザの画像表示部6に出力表示される。
【0067】
前記画像情報の一例を
図6に示した。このトレンドグラフも、画像情報15において選択された管渠内水位実測装置21〜2Nの地点のいずれかの近傍にてポップアップ表示される。このような表示機能を付加することで、収集した情報を、さらに迅速、的確に判断することをサポートが可能となる。そして、このことにより、ゲリラ豪雨と呼ばれる局地的な大雨等による雨水の流出量の増加が急な場合であっても、浸水被害を最小化するための迅速な情報発信が可能となる。
【0068】
(実施例3)管渠内水位実測装置の設置場所における管渠内水位の経時変化
さらに、画像情報作成部45において、状況表示処理部49が選択され、さらに、
図4の画像情報15において表示された管渠内水位実測装置21〜2Nの地点から任意の地点がユーザによって選択されると、状況表示処理部49が起動する。状況表示処理部49は、前記特定地点の指定を受けると当該特定地点の組み立てマンホールの水位を示す当該組立マンホールの縦断面を表示させた画像情報を作成する。そして、この画像情報は配信部5を介して前記ユーザの画像表示部6に出力表示される。
【0069】
前記画像情報の一例を
図7に示した。図示の通り、前記指定された特定地点の組み立てマンホールの水位を示す当該組立マンホールの縦断面が模式的に表示される。この縦断面図は、実施例2と同様に、画像情報15において、例えば、ユーザによるタップ操作またはクリック操作により選択された管渠内水位実測装置21〜2Nの地点のいずれかの近傍にてポップアップ表示される。
【0070】
図7の断面図においては、指定した地点と時刻の管路30における組立マンホールの断面図のイメージで水位(例えば、実測値31〜3N)を表示される。この断面図は管路図面情報から地盤高や周辺の管渠との関係を断面図として表示されたものである。また、この断面図においては、現在の実測水位だけでなく、時刻を指定すれば過去のデータや未来の水位データ(計算した管渠内予測水位)も表示可能となる。さらに、計測点の水位を%換算表示することも可能となる。そして、管路図面情報記録部43から供された管路図面情報と組み合わせることで、管渠に対する水位の割合(管渠の許容量)がわかるので、前記指定された特定地点の予測情報の提供が可能となり、状況をより把握しやくなる。これにより、浸水情報、避難情報などや防水対策のための迅速な予測情報の提供が可能となる。
【0071】
また、状況表示処理部49は、ユーザから特定地点の複数表示が予め選択されると、ユーザから指定された特定地点とこの特定地点の上流側または下流側の直近の組立マンホールの縦断面を表示させた画像情報を作成する。そして、この画像情報は配信部5を介して前記ユーザの画像表示部6に出力表示される。前記画像情報の一例を
図8に示した。図示の通り、前記指定された特定地点の管路30における組み立てマンホールの水位(例えば、実測値31〜3N)を示す当該組立マンホールの縦断面が模式的に表示される。この縦断面図も、
図7の断面図と同様に、画像情報15において、例えば、ユーザによるタップ操作またはクリック操作により選択された管渠内水位実測装置21〜2Nの地点のいずれかの近傍にてポップアップ表示される。
【0072】
以上のように、ユーザから指定された特定地点またはこの特定地点に基づく複数の特定地点の組立マンホールの縦断面が表示されることにより、局地的な大雨等による雨水の流出量の増加が急な場合等において浸水被害の最小化を図る迅速な情報発信が可能となる。
【0073】
[本発明の他の態様]
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく各請求項の範囲内で変形または応用して実施することができる。例えば、本発明の他の態様としては、コンピュータを下水道監視システム1の画像情報作成部45として機能させる下水道監視プログラムが挙げられる。このプログラムはインターネット等のネットワークを介して若しくはコンピュータが読取り可能な周知の記録媒体に格納されて提供される。
【0074】
尚、以上の実施形態の下水道監視システム1は管渠内水位を下水道管理のファクタとして利用しているが、本発明の下水道監視システムは、管渠内水位に限定することなく、例えば、管渠内の温度、臭気、水質等を下水道監視のファクタとして利用することもできる。