特許第6867687号(P6867687)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6867687杭芯測位装置並びに場所打ち杭用ケーシングの埋設方法及び場所打ち杭の形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6867687
(24)【登録日】2021年4月13日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】杭芯測位装置並びに場所打ち杭用ケーシングの埋設方法及び場所打ち杭の形成方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 13/06 20060101AFI20210426BHJP
   E02D 7/00 20060101ALI20210426BHJP
   E02D 5/66 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   E02D13/06
   E02D7/00 Z
   E02D5/66
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-228912(P2017-228912)
(22)【出願日】2017年11月29日
(65)【公開番号】特開2019-100006(P2019-100006A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2019年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】593103906
【氏名又は名称】創伸建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】後藤 信一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 雄太朗
【審査官】 田島 拳士郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭48−095411(JP,U)
【文献】 特開平09−304075(JP,A)
【文献】 特開平07−127061(JP,A)
【文献】 特開昭48−002816(JP,A)
【文献】 特開2014−111866(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/204308(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 13/06
E02D 5/38−5/70
E02D 7/00−7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に埋設される場所打ち杭用ケーシングの杭芯を測位するための杭芯測位装置であって、GNSS移動局が設けられた基体と、この基体の下部に放射状に設けられる複数の脚体とを有し、この脚体の下端部には前記場所打ち杭用ケーシングの上端開口部に係止する係止部が設けられ、この係止部には前記場所打ち杭用ケーシングの上端開口縁部に当接するローラー部が設けられており、前記係止部を前記場所打ち杭用ケーシングの上端開口部に係止した場合、前記GNSS移動局が前記上端開口部の上方中心位置に配置されるように構成されていることを特徴とする杭芯測位装置。
【請求項2】
請求項1記載の杭芯測位装置において、前記脚体は、前記基体に枢着され上下方向に擺動自在に設けられていることを特徴とする杭芯測位装置。
【請求項3】
互いに継合連結される複数の管材から成る場所打ち杭用ケーシングの埋設方法であって、最下段となる管材を地盤に埋設し、続いて、この最下段となる管材に下記の杭芯測位装置を設けて該管材の杭芯を測位し、続いて、最下段となる管材に任意の数の管材を連結して埋設し、その後、最上段となる管材に前記杭芯測位装置を設けて該管材の杭芯を測位し、前記場所打ち杭用ケーシングの埋設を完了させることを特徴とする場所打ち杭用ケーシングの埋設方法。

GNSS移動局が設けられた基体と、この基体の下部に放射状に設けられる複数の脚体とを有し、この脚体の下端部には前記場所打ち杭用ケーシングの上端開口部に係止する係止部が設けられ、この係止部を前記場所打ち杭用ケーシングの上端開口部に係止した場合、前記GNSS移動局が前記上端開口部の上方中心位置に配置されるように構成された杭芯測位装置。
【請求項4】
請求項記載の場所打ち杭用ケーシングの埋設方法において、前記最下段となる管材と前記最上段となる管材との間に配される途中段の管材に前記杭芯測位装置を設けて該途中段の管材の杭芯を測位することを特徴とする場所打ち杭用ケーシングの埋設方法。
【請求項5】
互いに継合連結される複数の管材から成る場所打ち杭用ケーシングの埋設方法であって、最下段となる管材を地盤Eに埋設し、続いて、この最下段となる管材の上端部にGNSS移動局を設けて該管材の杭芯を測位し、続いて、最下段となる管材に途中段となる管材を連結して埋設し、続いて、この途中段となる管材の上端部にGNSS移動局を設けて該管材の杭芯を測位し、続いて、途中段となる管材に最上段となる管材を連結して埋設し、続いて、この最上段となる管材の上端部にGNSS移動局を設けて該管材の杭芯を測位し、前記場所打ち杭用ケーシングの埋設を完了させることを特徴とする場所打ち杭用ケーシングの埋設方法。
【請求項6】
請求項5記載の場所打ち杭用ケーシングの埋設方法において、前記GNSS移動局は、下部に複数の脚体が放射状に設けられた基体に設けられており、前記脚体の下端部には前記場所打ち杭用ケーシングの上端開口部に係止する係止部が設けられ、この係止部を前記場所打ち杭用ケーシングの上端開口部に係止した場合、前記GNSS移動局が前記上端開口部の上方中心位置に配置されるように構成されていることを特徴とする場所打ち杭用ケーシングの埋設方法。
【請求項7】
請求項3,6いずれか1項に記載の場所打ち杭用ケーシングの埋設方法において、前記脚体は、前記基体に枢着され上下方向に擺動自在に設けられていることを特徴とする場所打ち杭用ケーシングの埋設方法。
【請求項8】
請求項3,6いずれか1項に記載の場所打ち杭用ケーシングの埋設方法において、前記係止部には前記場所打ち杭用ケーシングの上端開口縁部に当接するローラー部が設けられていることを特徴とする場所打ち杭用ケーシングの埋設方法。
【請求項9】
請求項3〜8いずれか1項に記載の場所打ち杭用ケーシングの埋設方法により前記地盤に前記場所打ち杭用ケーシングを埋設完了し、続いて、前記場所打ち杭用ケーシング内の土を排出することで設けられる掘削孔に鉄筋を設け、続いて、前記場所打ち杭用ケーシングを引き抜くと共に前記掘削孔にコンクリートを打設して前記場所打ち杭を形成することを特徴とする場所打ち杭の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭芯測位装置並びに場所打ち杭用ケーシングの埋設方法及び場所打ち杭の形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地盤に設けられ橋脚などの構造物を支持する基礎構造となる場所打ち杭の形成方法として、例えば特開2008−156864号や特開2005−320811号に開示される場所打ち杭の形成方法(以下、従来法)が提案されている。
【0003】
この従来法は、互いに継合連結される複数の管材から成る場所打ち杭用ケーシングを地盤に埋設し、続いて、この場所打ち杭用ケーシング内の土を排出して形成される掘削孔に鉄筋(通称:鉄筋カゴ)を配設し、続いて、場所打ち杭用ケーシングを引き抜きながら掘削孔にコンクリートを打設することで場所打ち杭が形成される。その後、この場所打ち杭の上端部のコンクリート(余盛部位)を斫り、この場所打ち杭の上端部に連設状態で構造物が構築される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−156864号公報
【特許文献2】特開2005−320811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述した構造物の基礎となる場所打ち杭は、その杭芯が設計通りとなっていることが要求されるが、従来、この杭芯の位置出しは、測量により得た杭芯位置に孔部を備えた芯出しプレートを地盤表面に敷設し、この芯出しプレートの上面所定位置に設置されるケーシング埋設装置で場所打ち杭用ケーシングを把持することで杭芯の位置出しを行っており、この状態でケーシング埋設装置により場所打ち杭用ケーシングを回転降下させることで該場所打ち杭用ケーシングを埋設する。
【0006】
しかしながら、この場所打ち杭用ケーシングの埋設作業時に例えば回転降下する場所打ち杭用ケーシングが地盤中の岩盤に衝突した場合などはその衝撃でケーシング埋設装置の位置がずれ、よって、場所打ち杭の杭芯がずれてしまう場合がある。仮に杭芯がずれていることが場所打ち杭の形成後に判明した場合、この場所打ち杭を一部若しくは全部を再度形成しなければならない。
【0007】
本発明は、前述した問題点を解消する、従来にない画期的な杭芯測位装置並びに場所打ち杭用ケーシングの埋設方法及び場所打ち杭の形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
地盤Eに埋設される場所打ち杭用ケーシング21の杭芯を測位するための杭芯測位装置であって、GNSS移動局2が設けられた基体1と、この基体1の下部に放射状に設けられる複数の脚体3とを有し、この脚体3の下端部には前記場所打ち杭用ケーシング21の上端開口部に係止する係止部4が設けられ、この係止部4には前記場所打ち杭用ケーシング21の上端開口縁部21aに当接するローラー部5が設けられており、前記係止部4を前記場所打ち杭用ケーシング21の上端開口部に係止した場合、前記GNSS移動局2が前記上端開口部の上方中心位置に配置されるように構成されていることを特徴とする杭芯測位装置に係るものである。
【0010】
また、請求項1記載の杭芯測位装置において、前記脚体3は、前記基体1に枢着され上下方向に擺動自在に設けられていることを特徴とする杭芯測位装置に係るものである。
【0011】
また、互いに継合連結される複数の管材21’から成る場所打ち杭用ケーシング21の埋設方法であって、最下段となる管材21’を地盤Eに埋設し、続いて、この最下段となる管材21’に下記の杭芯測位装置を設けて該管材21’の杭芯を測位し、続いて、最下段となる管材21’に任意の数の管材21’を連結して埋設し、その後、最上段となる管材21’に前記杭芯測位装置を設けて該管材21’の杭芯を測位し、前記場所打ち杭用ケーシング21の埋設を完了させることを特徴とする場所打ち杭用ケーシングの埋設方法に係るものである。

GNSS移動局2が設けられた基体1と、この基体1の下部に放射状に設けられる複数の脚体3とを有し、この脚体3の下端部には前記場所打ち杭用ケーシング21の上端開口部に係止する係止部4が設けられ、この係止部4を前記場所打ち杭用ケーシング21の上端開口部に係止した場合、前記GNSS移動局2が前記上端開口部の上方中心位置に配置されるように構成された杭芯測位装置。
【0012】
また、請求項記載の場所打ち杭用ケーシングの埋設方法において、前記最下段となる管材21’と前記最上段となる管材21’との間に配される途中段の管材21’に前記杭芯測位装置を設けて該途中段の管材21’の杭芯を測位することを特徴とする場所打ち杭用ケーシングの埋設方法に係るものである。
【0013】
また、互いに継合連結される複数の管材21’から成る場所打ち杭用ケーシング21の埋設方法であって、最下段となる管材21’を地盤Eに埋設し、続いて、この最下段となる管材21’の上端部にGNSS移動局2を設けて該管材21’の杭芯を測位し、続いて、最下段となる管材21’に途中段となる管材21’を連結して埋設し、続いて、この途中段となる管材21’の上端部にGNSS移動局2を設けて該管材21’の杭芯を測位し、続いて、途中段となる管材21’に最上段となる管材21’を連結して埋設し、続いて、この最上段となる管材21’の上端部にGNSS移動局2を設けて該管材21’の杭芯を測位し、前記場所打ち杭用ケーシング21の埋設を完了させることを特徴とする場所打ち杭用ケーシングの埋設方法に係るものである。
【0014】
また、請求項5記載の場所打ち杭用ケーシングの埋設方法において、前記GNSS移動局2は、下部に複数の脚体3が放射状に設けられた基体1に設けられており、前記脚体3の下端部には前記場所打ち杭用ケーシング21の上端開口部に係止する係止部4が設けられ、この係止部4を前記場所打ち杭用ケーシング21の上端開口部に係止した場合、前記GNSS移動局2が前記上端開口部の上方中心位置に配置されるように構成されていることを特徴とする場所打ち杭用ケーシングの埋設方法に係るものである。
【0015】
また、請求項3,6いずれか1項に記載の場所打ち杭用ケーシングの埋設方法において、前記脚体3は、前記基体1に枢着され上下方向に擺動自在に設けられていることを特徴とする場所打ち杭用ケーシングの埋設方法に係るものである。
【0016】
また、請求項3,6いずれか1項に記載の場所打ち杭用ケーシングの埋設方法において、前記係止部4には前記場所打ち杭用ケーシング21の上端開口縁部21aに当接するローラー部5が設けられていることを特徴とする場所打ち杭用ケーシングの埋設方法に係るものである。
【0017】
また、請求項3〜8いずれか1項に記載の場所打ち杭用ケーシングの埋設方法により前記地盤Eに前記場所打ち杭用ケーシング21を埋設完了し、続いて、前記場所打ち杭用ケーシング21内の土を排出することで設けられる掘削孔23に鉄筋24を設け、続いて、前記場所打ち杭用ケーシング21を引き抜くと共に前記掘削孔23にコンクリートを打設して前記場所打ち杭20を形成することを特徴とする場所打ち杭の形成方法に係るものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は上述のように構成したから、場所打ち杭用ケーシングにおける杭芯測位が簡易且つ精度良く行えるなど、従来にない画期的な杭芯測位装置並びに場所打ち杭用ケーシングの埋設方法及び場所打ち杭の形成方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施例に係る杭芯測位装置の説明図である。
図2】本実施例に係る杭芯測位装置の要部を示す斜視図である。
図3】本実施例に係る杭芯測位装置の要部の説明図である。
図4】本実施例に係る場所打ち杭用ケーシングの埋設方法の工程図である。
図5】本実施例に係る場所打ち杭用ケーシングの埋設方法の工程図である。
図6】本実施例に係る場所打ち杭用ケーシングの埋設方法の工程図である。
図7】本実施例に係る場所打ち杭用ケーシングの埋設方法の工程図である。
図8】本実施例に係る場所打ち杭の形成方法の工程図である。
図9】本実施例に係る場所打ち杭の形成方法の工程図である。
図10】本実施例により形成された場所打ち杭に構造物を設けた状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0021】
例えば、地盤Eに埋設された場所打ち杭用ケーシング21の上端開口部に脚体3の下端部に設けられた係止部4を係止すると、GNSS移動局2が場所打ち杭用ケーシング21の上端開口部の上方中心位置に配置される。この状態でGNSS移動局2により場所打ち杭用ケーシング21の杭芯を測位する。
【0022】
従って、例えば、場所打ち杭用ケーシング21の埋設初期時、埋設途中及び埋設完了時など、任意のタイミングで、本発明に係る杭芯測位装置を場所打ち杭用ケーシング21に設けるだけで該場所打ち杭用ケーシング21の杭芯測位が簡易且つ精度良く行える。
【実施例】
【0023】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0024】
本実施例は、地盤Eに埋設される場所打ち杭用ケーシング21の杭芯を測位するための杭芯測位装置Sである。
【0025】
具体的には、この杭芯測位装置Sは、GNSS(Global Navigation Satellite Systems:全地球航法衛星システム)移動局2が設けられた基体1と、この基体1の下部に放射状に設けられる複数の脚体3とを有している。
【0026】
このGNSS移動局2は、このGNSS移動局2に対してデータ通信可能なGNSS衛星10及びGNSS固定局11(基地局)との通信を利用して杭芯位置を測位するものである。
【0027】
また、本実施例では、GNSS移動局2及びGNSS固定局11で測位された測位情報は通信回線を利用して情報管理用端末12(PC)へ送られ、この情報管理端末12のモニター12aで測位情報が表示される。符号13はwifiルータ、14はデータ送受信機である。
【0028】
尚、本実施例では、実際に現場に設置されるGNSS固定局11(基地局)の補正情報等を利用してGNSS移動局2で測位する構成としたが、ネットワークを介して得られる電子基準点の補正情報等を利用してGNSS移動局2で測位する構成でも良いなど、本実施例の特性を発揮する構成であれば適宜採用し得るものである。
【0029】
基体1は、図2に図示したように適宜な金属製の部材で形成された板状体であり、上面部中心位置に前述したGNSS移動局2が設けられている。
【0030】
また、基体1の周面部には、周方向等間隔の三箇所に後述する脚体3を枢着する枢着連結部1aが設けられている。
【0031】
脚体3は、図2に図示したように適宜な金属製の部材で形成された長尺体であり、本実施例では伸縮させても同一長さに設定可能な脚体3を三本設けている。
【0032】
具体的には、基体1の枢着連結部1aに連結される角筒状形状の第一脚部材3aと、この第一脚部材3aにスライド自在に挿入連結する第二脚部材3bとで構成されている。
【0033】
従って、各脚体3は、伸縮して長さ調整自在であり、しかも、基体1に対して上下方向に擺動自在である。尚、脚体3の数は適宜変更し得るものであるが、三本であると水平据付がし易く安定的な設置状態が可能となり測位精度が向上する。
【0034】
また、脚体3の下端部には、場所打ち杭用ケーシング21の上端開口部に係止する係止部4が設けられている。
【0035】
この係止部4は、図2,3に図示したように脚体3の下端部に側面視V字状の二股形状体を設けて構成され、この各係止部4を場所打ち杭用ケーシング21の上端開口部に係止させた場合、基体1(GNSS移動局2)が上端開口部の上方中心位置に配置されるように構成されている。
【0036】
また、係止部4には場所打ち杭用ケーシング21の上端開口縁部21aに当接するローラー部5が設けられている。
【0037】
従って、係止部4を場所打ち杭用ケーシング21の上端開口部に係止させた際、ローラー部5が上端開口縁部21aに対して可及的に少ない接触面積で当接(点接触)することになり、場所打ち杭用ケーシング21の表面形状(微妙な凹凸)の影響を受けにくく、この点においても安定的な設置状態が可能となり測位精度が向上し、しかも、このローラー5が転動することで位置調整や水平角度調整が良好に行える。
【0038】
また、本実施例では、GNSS固定局11は、下部に複数(3本)の脚体3’が放射状に設けられた基体1’に設けられている。尚、脚体3’の下端部には棒状の接地部を設けているが、前述した係止部を設けても良い。
【0039】
以上の構成から成る杭芯測位装置Sを用いた、場所打ち杭用ケーシング21の埋設方法及び場所打ち杭20の形成方法及び構造物の構築方法について説明する。尚、本実施例で使用される場所打ち杭用ケーシング21は、互いに継合連結される複数の管材21’で構成されており、最下段となる管材21’の下端部には掘削刃22が設けられている。
【0040】
先ず、測量により得た杭芯位置Pに孔部25aの中心が位置するように芯出しプレート25を地表面に配設し、この芯出しプレート25の孔部25aに脚体3の係止部4を係止させて杭芯測位装置S(GNSS移動局2)を該孔部25aの上方中心位置に設けて芯出しプレート25の位置を確認する。
【0041】
続いて、芯出しプレート25上にケーシング埋設装置26を配置して、このケーシング埋設装置26で最下段となる管材21’を把持した状態で回転降下させて埋設する。
【0042】
続いて、最下段となる管材21’の上端開口部に脚体3の係止部4を係止させて杭芯測位装置S(GNSS移動局2)を該上部開口部の上方中心位置に設けて該最下段となる管材21’の杭芯を測位する(図5参照)。尚、本実施例では、各管材21’を連結する毎に該各管材21’を回転降下させて埋設させている。
【0043】
続いて、最下段となる管材21’に任意の数の管材21’を連結して埋設し、最下段となる管材21’と後に最上段となる管材21’との間に配される途中段の管材21’の上端開口部に脚体3の係止部4を係止させて、杭芯測位装置S(GNSS移動局2)を該上部開口部の上方中心位置に設けて該途中段の管材21’の杭芯を測位する(図6参照)。
【0044】
続いて、杭芯の測位に使用された途中段の管材21’に任意の数の管材21’を連結して埋設し、最上段となる管材21’の上端開口部に脚体3の係止部4を係止させて杭芯測位装置S(GNSS移動局2)を該上部開口部の上方中心位置に設けて該最上段となる管材21’の杭芯を測位し、場所打ち杭用ケーシング21の埋設を完了させる(図7参照)。
【0045】
続いて、場所打ち杭用ケーシング21内の土を排出することで設けられる掘削孔23に鉄筋24(通称:鉄筋カゴ)を設け、続いて、掘削孔23にコンクリート打設装置27でコンクリートCを打設し、続いて、場所打ち杭用ケーシング21を引き抜いて場所打ち杭20を形成する(図8,9参照)。
【0046】
続いて、前述のように形成された場所打ち杭20の上端部のコンクリート(余盛部位)を斫り、この場所打ち杭20の上端部に連設状態で構造物Xを構築する(図10参照)。
【0047】
本実施例は上述のように構成したから、ケーシング21の埋設初期時,埋設途中及び埋設完了時など、任意のタイミングで、本実施例に係る杭芯測位装置Sを場所打ち杭用ケーシング21に設けるだけで該場所打ち杭用ケーシング21の杭芯測位が簡易且つ精度良く行えることになる。
【0048】
また、本実施例は、脚体3は、基体1に枢着され上下方向に擺動自在に設けられているから、種々のサイズの場所打ち杭用ケーシング21に対応して使用することができる。
【0049】
また、本実施例は、係止部4には場所打ち杭用ケーシング21の上端開口縁部21aに当接するローラー部5が設けられているから、簡易に良好な設置状態が得られることになる。
【0050】
また、本実施例は、場所打ち杭用ケーシング21を構成する最下段となる管材21’を地盤Eに埋設し、続いて、この最下段となる管材21’の上端部にGNSS移動局2を設けて該管材21’の杭芯を測位し、続いて、最下段となる管材21’に任意の数の管材21’を連結して埋設し、その後、最上段となる管材21’の上端部にGNSS移動局2を設けて該管材21’の杭芯を測位し、場所打ち杭用ケーシング21の埋設を完了させることになるから、極めて精度の高い杭芯測位が行われる。
【0051】
また、本実施例は、最下段となる管材21’と最上段となる管材21’との間に配される途中段の管材21’の上端部にGNSS移動局2を設けて該途中段の管材21’の杭芯を測位するから、より一層精度の高い杭芯測位が行われる。
【0052】
また、本実施例は、前述した場所打ち杭用ケーシングの埋設方法により地盤Eに場所打ち杭用ケーシング21を埋設し、続いて、場所打ち杭用ケーシング21内の土を排出することで設けられる掘削孔23に鉄筋24を設け、続いて、場所打ち杭用ケーシング21を引き抜くと共に掘削孔23にコンクリートを打設して場所打ち杭20を形成するから、杭芯位置のずれのない(杭芯位置のずれが可及的に少ない)良好な場所打ち杭20を形成することができる。
【0053】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0054】
E 地盤
1 基体
2 GNSS移動局
3 脚体
4 係止部
5 ローラー部
20 場所打ち杭
21 場所打ち杭用ケーシング
21’ 管材
21a 上端開口縁部
23 掘削孔
24 鉄筋
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10