(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
監視対象者の生体情報を取得可能な生体情報取得部と、電気通信回線を通じて通信可能な第1通信部と、前記生体情報が予め設定された正常範囲から外れた場合に異常信号を発信する異常信号発信部と、を有し、前記監視対象者に装着可能な生体情報取得装置と、
前記電気通信回線を通じて通信可能な第2通信部と、自律的に移動可能な移動機構部と、を有する移動ロボットと、
前記電気通信回線を通じて通信可能な第3通信部を有する監視装置と、
前記監視対象者の居室の引戸に取り付けられ、前記移動ロボットと通信可能に構成されて前記移動ロボットからの指示により前記引戸を自動で開閉可能な自動扉状態と手動で開閉可能な手動扉状態とに切替可能な引戸開閉装置と、を備え、
前記移動ロボットは、前記異常信号を受信した場合に前記異常信号が発信された前記生体情報取得装置を目指して移動し、その移動に伴い前記監視対象者の居室に入室する際に前記引戸開閉装置と通信して前記引戸開閉装置を前記自動扉状態に切り替えて前記引戸を開けて前記居室内に入室し、前記生体情報取得装置又は前記移動ロボット又は前記監視装置のいずれかに異常解除の操作が入力されると前記居室外へ退室し、
前記引戸開閉装置は、前記移動ロボットが前記居室外に退室すると前記引戸を手動状態にする、
監視システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に示す監視システム1は、多数の監視対象者の状態を少数の監視者によって監視することができるシステムであり、例えば介護施設や病院、更には一般住宅に適用することができる。なお、監視対象者は、人間に限られず、犬や猫等のペット動物であっても良い。また、監視対象者は、複数である場合に限られず、一人であっても当然良い。
【0010】
図1に示すように、監視システム1は、複数の生体情報取得装置10と、移動ロボット20と、監視装置30と、引戸開閉装置40と、を備えている。各生体情報取得装置10と、移動ロボット20と、監視装置30とは、例えばインターネットや電話回線、LAN回線等を含んで構成された電気通信回線2を介して相互に通信可能に接続されている。なお、電気通信回線2は、有線又は無線のいずれでも良い。以下では、構成要素毎にその詳細について説明する。
【0011】
[生体情報取得装置]
生体情報取得装置10は、監視対象者の生体情報を取得可能な装置である。生体情報取得装置10の形態は、例えば腕時計型やペンダント型、ベルト型、眼鏡型、チョーカー型、ヘルメット型等であり、監視対象者の身体に装着可能に構成されている。
図1に示すように、生体情報取得装置10は、第1制御部11、第1通信部12、位置情報取得部13、生体情報取得部14、及び異常信号発信部15を有している。第1制御部11は、生体情報取得装置10全体の制御を司っている。第1制御部11は、例えば図示しないCPUや、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶領域を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。第1通信部12、位置情報取得部13、及び生体情報取得部14は、それぞれ第1制御部11に電気的に接続されている。生体情報取得装置10の動作に必要な電力は、生体情報取得装置10に内蔵されている図示しないバッテリから供給される。
【0012】
第1通信部12は、例えば携帯電話回線や無線LANを用いた無線通信機能によって、電気通信回線2に接続可能に構成されている。生体情報取得装置10は、第1通信部12によって電気通信回線2に接続することにより、監視装置30及び移動ロボット20と相互に通信可能に構成されている。位置情報取得部13は、例えばGPS(全地球測位システム)や近距離無線システム等を用いて、生体情報取得装置10の現在位置を取得する機能を有している。
【0013】
生体情報取得部14は、生体情報取得装置10を装着した監視対象者の生体情報を取得する機能を有している。本実施形態において、生体情報とは、監視対象者の生命に関わる情報であり、脈拍数、心拍数、脳波、心電位、又は体温の少なくともいずれか1つを含んでいる。
【0014】
本実施形態の場合、生体情報取得装置10は、例えば腕時計型であって、監視対象者の脈拍数を取得することができる。すなわち、本実施形態において、生体情報取得部14は、腕時計型の生体情報取得装置10に内蔵された脈拍センサである。この場合、生体情報取得部14は、例えば腕の皮膚表面から動脈に向けて光を照射する発光素子と、動脈で反射しその動脈を流れる血液の脈動によって変化する光を受光する受光素子とで構成されている。そして、生体情報取得部14は、受光した光の変化を検出することで、脈動数すなわち心拍数を測定することができる。
【0015】
異常信号発信部15は、生体情報取得部14で取得した生体情報が予め設定された正常範囲から外れた場合に、第1通信部12を介して、例えば監視装置30等の外部装置へ向けて異常信号を発信する機能を有している。生体情報の正常範囲は、生体情報取得装置10を装着する監視対象者毎に個別に設定される。そして、各生体情報取得装置10は、第1制御部11の図示しない記憶領域に、当該生体情報取得装置10を装着する監視対象者の生体情報の正常範囲を記憶している。本実施形態の場合、生体情報取得装置10は、生体情報の正常範囲として監視対象者の脈拍の上限及び下限を記憶している。
【0016】
そして、第1制御部11の図示しない記憶領域は、生体情報取得装置10を監視システム1に適用させるためのプログラムを記憶している。そして、第1制御部11は、図示しないCPUにおいて上記プログラムを実行することにより、異常信号発信部15をソフトウェアによって仮想的に実現する。なお、異常信号発信部15は、例えば第1制御部11と一体の集積回路としてハードウェア的に実現してもよい。
【0017】
[移動ロボット]
移動ロボット20は、監視対象とする施設や住居内を巡回して見回る等、自律して動作可能なロボットである。また、移動ロボット20は、必要に応じて監視装置30等からの遠隔操作によって動作可能なロボットである。移動ロボット20は、第2制御部21、第2通信部22、移動機構部23、カメラ24、スピーカ25、マイク26、及びロボット側送受信部27を有している。第2制御部21は、移動ロボット20全体の制御を司っている。第2制御部21は、例えば図示しないCPUや、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶領域を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。第2制御部21の図示しない記憶領域は、移動ロボット20を監視システム1に適用させるためのプログラムを記憶している。
【0018】
第2通信部22、移動機構部23、カメラ24、スピーカ25、マイク26、及びロボット側送受信部27は、それぞれ第2制御部21に電気的に接続されている。第2通信部22は、例えば電話回線や無線LANを用いた無線通信機能等によって、電気通信回線2に接続可能に構成されている。移動機構部23は、特定の領域内、例えば監視対象とする施設内や住居内において、移動ロボット20を自律的に移動させる機能を有している。この場合、移動ロボット20は、例えば次のようにして、監視対象となる領域内を自律的に移動することができる。
【0019】
すなわち、例えば監視対象となる特定の領域内に、予め電気的又は磁気的なレールを設ける。そして、第2制御部21は、そのレールに沿って移動するように移動機構部23を動作させる。また、移動ロボット20を次のように構成しても良い。すなわち、例えば天井や壁、床等にレールに代わるマークを設ける。そして、第2制御部21は、カメラ24で取得した画像を基にそのマークを認識することで、そのマークに沿って移動するように移動機構部23を動作させる。更に、移動ロボット20を次のように構成しても良い。すなわち、例えば第2制御部21の記憶領域に、監視対象となる特定の領域について、その地図情報すなわち施設や居住内のフロアマップを記憶させる。そして、第2制御部21は、その地図情報に基づいて移動するように移動機構部23を動作させる。なお、移動機構部23は、車輪等を有して走行するものに限られず、例えば自律飛行可能な飛行体であっても良い。
【0020】
カメラ24は、移動機構部23の周囲すなわち移動ロボット20の周囲を撮影する機能を有している。この場合、カメラ24で撮影可能な画像は、静止画又は動画のいずれでも良い。スピーカ25は、移動ロボット20の周囲に対して音声を発する機能を有している。スピーカ25は、移動ロボット20の内部で生成した音声や、電気通信回線2を介して外部の装置例えば監視装置30から受信した音声データに基づく音声を発することができる。マイク26は、移動機構部23の周囲すなわち移動ロボット20の周囲の音を集音することができる。マイク26で集音された音声は、音声データに変換されて電気通信回線2を介して外部の装置例えば監視装置30へ送信される。
【0021】
ロボット側送受信部27は、電気通信回線2を介さずに、外部の装置例えば引戸開閉装置40と直接的に無線通信可能な機能を有している。本実施形態において、ロボット側送受信部27は、例えば赤外線信号を送受信することによって無線通信が可能ないわゆる赤外線通信機能を有している。なお、移動ロボット20は、上述した機能の他、移動ロボット20の周囲の温度や湿度、照度、更には移動ロボット20に加えられた衝撃を計測することができる加速度センサや、周囲の人間の存在を検出することができる人感センサ等を有していても良い。また、移動ロボット20は、移動ロボット20の動作に必要な電力を供給するためのバッテリを内蔵している。
【0022】
[監視装置]
監視装置30は、生体情報取得装置10や移動ロボット20によって取得した各種情報を監視者に提示すると共に、生体情報取得装置10から異常信号を受信した場合に、移動ロボット20に対して、異常信号が発信された生体情報取得装置10を目指して移動するように指示する機能を有している。通常、監視装置30は、監視対象者の居室から離れた位置すなわち監視対象者の存する領域から離れた場所に設置されている。この場合、監視装置30は、監視対象者の居室を有する建物と同一の建物内に設置されていても良いし、異なる建物内に設置されていても良い。
【0023】
監視装置30は、第3制御部31、第3通信部32、モニタ33、スピーカ34、及びマイク35を有している。監視装置30は、監視システム1専用のコンピュータであっても良いし、例えば汎用的なパーソナルコンピュータや、いわゆるスマートフォン又はタブレット端末等の高機能携帯端末であっても良い。第3制御部31は、監視装置30全体の制御を司っている。第3制御部31は、例えば図示しないCPUや、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶領域を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。第3制御部31の図示しない記憶領域は、監視装置30を監視システム1に適用させるためのプログラムを記憶している。
【0024】
第3通信部32、モニタ33、スピーカ34、及びマイク35は、それぞれ第3制御部31に電気的に接続されている。第3通信部32は、例えば電話回線や有線又は無線LANを用いた通信機能等によって、電気通信回線2に接続可能に構成されている。モニタ33は、例えば一般的な液晶モニタ等であって、電気通信回線2を介して生体情報取得装置10から取得した生体情報や、移動ロボット20のカメラ24で撮影された画像又は映像を表示する機能を有している。
【0025】
スピーカ34は、監視装置30の周囲に対して音声を発する機能を有している。スピーカ34は、監視装置30の内部で生成した音声や、電気通信回線2を介して外部の装置例えば移動ロボット20から受信した音声データに基づく音声を発することができる。マイク35は、監視装置30の周囲の音を集音することができる。マイク35で集音された音声は、音声データに変換されて電気通信回線2を介して外部の装置例えば移動ロボット20へ送信される。すなわち、移動ロボット20のカメラ24の前方に監視対象者が存在している場合、監視装置30を扱う監視者は、モニタ33に映る監視対象者を見ながら、スピーカ25、34、及びマイク26、35を通してその監視対象者と会話を行うことができる。
【0026】
[引戸開閉装置]
引戸開閉装置40は、
図2に示すように、居室等の出入口に設けられた引戸91に取り付けられている。なお、
図2では、紙面に対して垂直方向が、引戸91の開閉方向である。引戸開閉装置40は、移動ロボット20又は監視装置30からの指示により、居室の引戸91を、自動で開閉可能な自動扉状態と、手動で開閉可能な手動扉状態と、に切替可能にする。本実施形態の場合、引戸開閉装置40は、移動ロボット20と直接的に通信することにより、移動ロボット20からの指示によって引戸91を自動扉状態と手動扉状態とに切り替える。
【0027】
本実施形態において、自動扉状態とは、人が引戸91に触れることなくつまり人の力を引戸91に作用させることなく、引戸開閉装置40の作用によって引戸91を自動で開閉させることができる状態をいう。また、手動扉状態とは、人が引戸91に触れて人の力を作用させて引戸91を手動で開閉させることができる状態をいう。この場合、自動扉状態の概念としては、人が引戸91に大きな力を作用させて強制的に開閉することが可能な状態を含んでいても良い。すなわち、人が手動で引戸91を開閉させた場合、手動扉状態となっている引戸91の開閉に要する力は、自動扉状態になっている引戸91の開閉に要する力よりも小さい。つまり、引戸91が手動扉状態となっている場合、人は、引戸91が自動扉状態となっている場合に比べて小さな力で引戸91を開閉することができる。
【0028】
本実施形態において、引戸開閉装置40は、引戸91に対して事後的に取り付けられることにより、引戸91の外部から視認可能な位置に設けられている。すなわち、本実施形態の引戸開閉装置40は、引戸91に対して予め組み込まれているものではなく、既に手動扉状態として構成されている引戸91に対して事後的に取付可能となっている。なお、引戸開閉装置40は、引戸91に対して事後的に取り付けるものではなく、引戸91に対して予め組み込まれているものであっても良い。
【0029】
また、引戸開閉装置40を取り付ける引戸91は、
図2に示すように、吊り下げ式の引戸であることが好ましい。本実施形態の場合、引戸91は、天井92又は上部の壁93に設けられたレール94に吊り下げられており、そのレール94に沿って開閉する。これは、吊り下げ式の引戸91は、吊り下げ式でない引戸つまり床面95に設置されたレールに沿って開閉する引戸に比べて、開閉に要する力が小さくて済むからである。これにより、引戸開閉装置40の出力を小さくすることができ、その結果、引戸開閉装置40のサイズや消費電力を抑えることができる。しかしながら、引戸開閉装置40が取付られる引戸91は、必ずしも吊り下げ式である必要はない。
【0030】
引戸開閉装置40は、
図1及び
図2に示すように、第4制御部41、引戸側送受信部42、モータ43、開閉検出部44、及び切替機構部45を有している。また、引戸開閉装置40は、
図2に示すように、ラックギア46及びピニオンギア47を有している。ラックギア46とピニオンギア47とは相互に嵌合可能に構成されている。ラックギア46は、
図2及び
図9等に示すように、ラックギア46の長手方向が引戸91の開閉方向を向くように、引戸91の開閉方向に沿って引戸91に設けられている。
【0031】
この場合、引戸開閉装置40の構成要素のうちラックギア46は、引戸91の上部に設けられている。一方、引戸開閉装置40の構成要素のうちラックギア46を除く構成要素、つまり第4制御部41、引戸側送受信部42、モータ43、開閉検出部44、及び切替機構部45は、引戸91の上部側の天井92又は壁93の壁面に設けられている。この場合、引戸開閉装置40は居室内のコンセントに接続されており、引戸開閉装置40の動作に必要な電力は、例えば居室内のコンセントから供給される。
【0032】
そして、ピニオンギア47は、モータ43の回転軸に設けられている。ラックギア46とピニオンギア47とが相互に嵌合した状態でモータ43を動作させると、モータ43の回転がピニオンギア47を介してラックギア46に伝達される。これにより、モータ43の回転方向に応じて、引戸91が自動で開閉される。
【0033】
第4制御部41は、引戸開閉装置40全体の制御を司っている。第4制御部41は、例えば図示しないCPUや、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶領域を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。引戸側送受信部42、モータ43、開閉検出部44、及び切替機構部45は、それぞれ第4制御部41に電気的に接続されている。
【0034】
引戸側送受信部42は、電気通信回線2を介さずに、外部の装置例えば移動ロボット20と直接的に通信可能な機能を有している。本実施形態の場合、引戸側送受信部42は、例えば赤外線信号を送受信することによって無線通信が可能ないわゆる赤外線通信機能を有している。引戸側送受信部42は、居室の外側つまり廊下側に設けられている。そして、引戸側送受信部42は、壁93内に通された電気配線によって、居室側に設けられた第4制御部41に接続されている。この場合、ロボット側送受信部27と引戸側送受信部42とは、壁93を隔てた状態での通信は不可能であるため、移動ロボット20が廊下側に存在している場合に限って相互間の通信が可能になる。
【0035】
なお、ロボット側送受信部27及び引戸側送受信部42は、赤外線通信機能に限られず、例えば電波や磁場を用いた近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)等の機能を有するものであってもよい。この場合も、ロボット側送受信部27と引戸側送受信部42とは、壁93を隔てた状態での通信は不可能であるため、移動ロボット20が廊下側に存在している場合に限って、相互間の通信が可能となる。
【0036】
また、ロボット側送受信部27及び引戸側送受信部42は、上述したものに限られず、例えば無線LANによって通信するものでも良い。この場合、ロボット側送受信部27と引戸側送受信部42とは、壁93を隔てた状態での通信が可能となるため、移動ロボット20が廊下側に存在している場合に限らず居室側に存在している場合においても、相互間の通信が可能となる。したがって、この場合、引戸側送受信部42は、居室内側に設けられていても良い。更に、引戸開閉装置40は、引戸側送受信部42に換えて又は引戸側送受信部42に加えて、電気通信回線2を介して外部の装置例えば移動ロボット20や監視装置30等と通信可能な通信部を有していても良い。
【0037】
開閉検出部44は、引戸91の開状態及び閉状態を検出する機能を有している。開閉検出部44は、例えばモータ43の回転数を計測することで、引戸91の開閉状態を仮想的に検出するものである。また、開閉検出部44は、例えば引戸91又はラックギア46に設けられた近接センサや機械的スイッチで構成され、引戸91の開閉状態を直接的に検出するものであっても良い。
【0038】
切替機構部45は、例えば電動シリンダやソレノイドアクチュエータ等の駆動機構である。モータ43は、切替機構部45に設けられている。これにより、切替機構部45は、モータ43と共にピニオンギア47を移動させることができる。切替機構部45は、例えばモータ43を水平方向すなわち
図2の左右方向へ移動させることで、ラックギア46とピニオンギア47とが嵌合した嵌合状態と、ラックギア46とピニオンギア47との嵌合が解除された非嵌合状態と、を切り替えることができる。
【0039】
ラックギア46とピニオンギア47とが嵌合した嵌合状態では、モータ43の回転がピニオンギア47を介してラックギア46に伝達可能となる。したがって、この嵌合状態では、引戸91は、引戸開閉装置40の作用つまりモータ43の作用によって自動で開閉される自動扉状態になっている。一方、ラックギア46とピニオンギア47との嵌合が解除された非嵌合状態では、モータ43の回転は、ラックギア46に伝達されない。この場合、モータ43の回転軸を外力によって回転させる際に生じる回転抵抗力も、ラックギア46に伝達されない。したがって、この非嵌合状態では、引戸91は、自動扉状態に比べてより小さい力で開閉可能な手動扉状態になっている。
【0040】
[各装置の制御及び動作内容]
次に、
図3〜
図15も参照して、各装置10、20、30、40の制御及び動作内容について説明する。各装置10、20、30、40は、各制御部11、21、31、41のCPUが各制御部11、21、31、41の記憶領域に記憶されているプログラムを実行することにより動作する。以下の説明では、制御を行う主体を各制御部11、21、31、41として説明する。
【0041】
[生体情報取得装置の制御及び動作内容]
まず、生体情報取得装置10で行われる制御及び動作内容の一例について、
図3を参照しながら説明する。本実施形態の場合、生体情報取得装置10は、監視対象者に異常が無い場合つまり生体情報取得部14で取得した生体情報が正常範囲内である場合には、所定時間毎、例えば1分間隔で生体情報を取得する。一方、監視対象者に異常が発生した場合つまり取得した生体情報が正常範囲を外れている場合には、監視装置30に対して異常信号を送信すると共に、生体情報を常時取得するようにする。これによれば、異常が発生していない通常時においては、生体情報取得部14の動作時間を低減することができるため、消費電力を抑えることができる。なお、生体情報取得装置10は、異常発生の有無に関わらず常に生体情報を取得する構成であっても良い。
【0042】
具体的には、生体情報取得装置10の第1制御部11は、
図3に示すように、制御を開始すると(スタート)、ステップS11において生体情報取得部14を動作させて監視対象者の生体情報を取得する。次に、第1制御部11は、ステップS12において、異常信号が発信中であるか否かを判断する。異常信号が発信中である場合(ステップS12でYES)、第1制御部11は、ステップS16へ処理を移行させる。
【0043】
一方、異常信号が発信中でない場合(ステップS12でNO)、第1制御部11は、ステップS13において、ステップS11で取得した生体情報の値が正常範囲内であるか否かを判断する。そして、生体情報の値が正常範囲内であれば(ステップS13でYES)、第1制御部11は、ステップS14において所定期間例えば1分間経過するまで待機し(ステップS14でNO)、所定期間経過した後に(ステップS14でYES)、ステップS11へ戻ってステップS11以降の処理を繰り返す。
【0044】
生体情報の値が正常範囲から外れている場合(ステップS13でNO)、第1制御部11は、監視対象者に異常が発生したと判断する。そして、第1制御部11は、ステップS15へ処理を移行させ、異常信号発信部15を動作させて異常信号を発信する。その後、第1制御部11は、ステップS16において位置情報取得部13を動作させて、生体情報取得装置10の位置つまり監視対象者の位置を取得する。そして、第1制御部11は、ステップS17において、第1通信部12を動作させて、異常信号及び位置情報や生体情報等の各種情報を、監視装置30へ送信する。なお、異常信号及び各種情報を、監視装置30に加えて移動ロボット20に送信しても良い。
【0045】
次に、第1制御部11は、ステップS18において解除信号を受信したか否かを判断する。解除信号は、ステップS15で発信した異常信号を停止させるための信号であり、本実施形態の場合、監視装置30から送信される。解除信号を受信している場合(ステップS18でYES)、第1制御部11は、ステップS19へ処理を移行させ、ステップS15で発信した異常信号を停止させる。一方、解除信号を受信していない場合(ステップS18でNO)、第1制御部11は、異常信号の発信を継続する。その後、第1制御部11は、ステップS11へ処理を移行させ、ステップS11以降の処理を繰り返す。
【0046】
[監視装置の制御及び動作内容]
次に、監視装置30で行われる制御及び動作内容の一例について、
図4を参照しながら説明する。本実施形態の場合、監視装置30のモニタ33には、移動ロボット20のカメラ24で撮影された映像が表示されている。そして、生体情報取得装置10からの異常信号を受信すると、スピーカ25からその旨が報知されると共に、異常信号を発信した生体情報取得装置10から受信した生体情報や位置情報がモニタ33に表示される。
【0047】
具体的には、監視装置30の第3制御部31は、
図4に示すように、制御を開始すると(スタート)、ステップS21においてモニタ33を動作させて、移動ロボット20のカメラ24で撮影した映像を表示する。次に、第3制御部31は、ステップS22において、生体情報取得装置10から異常信号を受信しているか否かを判断する。異常信号を受信していない場合(ステップS22でNO)、第3制御部31は、ステップS21へ処理を移行させ、ステップS21、S22を繰り返す。一方、異常信号を受信した場合(ステップS22でYES)、第3制御部31は、ステップS23へ処理を移行させる。
【0048】
第3制御部31は、ステップS23においてスピーカ25を動作させて異常信号を受信した旨つまり監視対象者に異常が発生している旨を報知する。更に、第3制御部31は、ステップS24において、異常信号を発信した生体情報取得装置10から受信した生体情報や位置情報等の各種情報をモニタ33に表示させる。この場合、各種情報は、カメラ24で撮影した映像と共に、モニタ33に表示される。
【0049】
次に、第3制御部31は、ステップS25において、移動ロボット20に対して移動指令を送信済みであるか否かを判断する。移動指令とは、生体情報取得装置10から取得した位置情報に基づいて生成されるものであり、移動ロボット20を、異常信号を発信した生体情報取得装置10に向かって移動させるための指令信号である。この移動指令は、生体情報取得装置10の位置情報つまり移動ロボット20の目的地情報を含んでいる。
【0050】
移動指令が未だ送信されていない場合(ステップS25でNO)、第3制御部31は、ステップS26へ処理を移行させ、移動指令を生成して移動ロボット20に対してその移動指令を送信する。その後、第3制御部31は、ステップS27へ処理を移行させる。また、移動指令が既に送信されていた場合(ステップS25でYES)、第3制御部31は、ステップS26を実行することなく、ステップS27へ処理を移行させる。
【0051】
その後、第3制御部31は、ステップS27において異常解除の入力の有無を判断する。異常解除の入力とは、例えば監視者によって図示しない操作部に対して行われる入力操作である。異常解除の入力操作は、例えば監視者が監視対象者の状態を確認した場合等に行われる。この場合、異常解除の入力操作に用いられる図示しない操作部は、生体情報取得装置10、移動ロボット20、又は監視装置30のいずれに設けられていても良い。なお、異常解除の入力操作に用いられる操作部を生体情報取得装置10に設けることで、監視者は、異常解除の入力操作を行う際に、その生体情報取得装置10を装着している監視対象者に直接触れることになり、その結果、監視の信頼性の向上が図られる。
【0052】
異常解除の入力があった場合(ステップS27でYES)、第3制御部31は、ステップS28において、異常信号を発信した生体情報取得装置10及び移動ロボット20に対して解除信号を送信する。その後、第3制御部31は、ステップS21へ戻り、ステップS21以降の処理を繰り返す。一方、異常解除の入力が無い場合(ステップS27でYES)、第3制御部31は、ステップS28を実行することなく、ステップS21へ戻ってステップS21以降の処理を繰り返す。
【0053】
[移動ロボットの制御及び動作内容]
次に、移動ロボット20で行われる制御及び動作内容の一例について、
図5及び
図6等を参照しながら説明する。本実施形態の場合、移動ロボット20は、監視対象者に異常が無い場合つまり生体情報取得装置10又は監視装置30から異常信号の受信が無い場合には、予め設定されたルートを巡回して、監視対象となる領域内を満遍なく監視する。一方、移動ロボット20は、監視対象者に異常が発生した場合つまり生体情報取得装置10又は監視装置30から異常信号の受信を受けた場合には、その異常信号を発した生体情報取得装置10の現在位置を目的地として移動する。これにより、移動ロボット20は、その生体情報取得装置10の装着者つまり異常が発生した監視対象者を重点的に監視する。
【0054】
具体的には、移動ロボット20の第2制御部21は、
図5に示すように、制御を開始すると(スタート)、ステップS31で移動機構部23を動作させて巡回動作を実行すると共に、ステップS32でカメラ24を動作させて周囲の映像を撮影する。次に、第2制御部21は、ステップS33において、生体情報取得装置10又は監視装置30から異常信号を受信したか否かを判断する。異常信号を受信していない場合(ステップS33でNO)、第2制御部21は、監視対象者に異常が発生していないと判断し、ステップS31、S32の処理を繰り返す。一方、異常信号を受信した場合(ステップS33でYES)、第2制御部21は、監視対象者に異常が発生したと判断し、ステップS34へ処理を移行させる。
【0055】
ステップS34において、第2制御部21は、監視装置30から移動指令を受信したか否かを判断し、移動指令を受信していない場合は(ステップS34でNO)、移動指令を受信するまで待機する。そして、第2制御部21は、監視装置30から移動指令を受信すると(ステップS34でYES)、ステップS35へ処理を移行させ、移動機構部23を動作させて移動を開始する。
【0056】
移動ロボット20は、監視対象者の居室内に入室する際、
図9に示すように、引戸91に対して所定距離L手前の位置で一旦停止する。そして、第2制御部21は、
図5のステップS36における入室処理を実行する。入室処理が実行されると、第2制御部21は、
図6のステップS361でロボット側送受信部27を動作させ、引戸開閉装置40の引戸側送受信部42に向けて入室要請信号を発信する。入室要請信号とは、移動ロボット20が入室を要請する際に発信する信号であり、引戸開閉装置40が引戸91を自動で開くためのトリガーとなる信号である。引戸開閉装置40によって引戸91が開かれて移動ロボット20が居室内に入室可能な状態になると、引戸開閉装置40から、入室許可信号が発信される。
【0057】
第2制御部21は、ステップS362において、引戸開閉装置40からの入室許可信号を受信したか否かを判断する。入室許可信号の受信が無い場合(ステップS362でNO)、第2制御部21は、ステップS363において所定時間が経過するまでステップS362、363を繰り返し、入室許可信号の受信を待つ。そして、入室許可信号を受信することなく所定時間が経過した場合(ステップS363でYES)、第2制御部21は、ステップS364において、第2通信部22を動作させて監視装置30に対して入室失敗信号を送信した後、監視者等による復帰操作を待つ。一方、第2制御部21は、入室許可信号を受信すると(ステップS362でYES)、ステップS365へ処理を移行させ、移動機構部23を動作させて、
図12に示すように居室内に入室する。その後、第2制御部21は、
図5のステップS37へ処理を移行させる(リターン)。
【0058】
引戸開閉装置40は、移動ロボット20が居室内に入室している間は、引戸91を開放状態に維持する。第2制御部21は、ステップS37において、生体情報取得装置10又は監視装置30から解除信号を受信したか否かを判断し、解除信号を受信するまでその場で待機する(ステップS37でNO)。そして、解除信号を受信すると(ステップS37でYES)、第2制御部21は、ステップS38へ処理を移行させ、退室処理を実行する。
【0059】
退室処理が実行されると、第2制御部21は、
図7のステップS381で移動機構部23を動作させて、
図13に示すように移動ロボット20を居室外へ退室させる。第2制御部21は、ステップS382において移動機構部23を制御し、
図13に示すように、移動ロボット20を引戸91に対して所定距離L手前の位置で一旦停止させる。その後、第2制御部21は、
図7のステップS383においてロボット側送受信部27を動作させ、引戸開閉装置40の引戸側送受信部42に向けて退室完了信号を発信する。退室完了信号とは、移動ロボット20が退室を完了した際に発信する信号であり、引戸開閉装置40が引戸91を自動で閉じるためのトリガーとなる信号である。引戸開閉装置40によって引戸91が閉じられると、引戸開閉装置40の引戸側送受信部42から、引戸91の閉鎖が完了した旨を示す閉鎖完了信号が発信される。
【0060】
その後、第2制御部21は、ステップS384において、引戸開閉装置40から閉鎖完了信号を受信したか否かを判断する。閉鎖完了信号を受信すると(ステップS384でYES)、第2制御部21は、
図5のステップS31へ移行し、巡回動作を再開する。一方、閉鎖完了信号の受信が無い場合(
図7のステップS384でNO)、第2制御部21は、所定時間が経過するまでステップS384、385を繰り返し、閉鎖完了信号の受信を待つ。そして、閉鎖完了信号を受信することなく所定期間が経過した場合(ステップS385でYES)、第2制御部21は、ステップ386において、第2通信部22を動作させて、監視装置30に対して、引戸91の閉鎖が失敗された旨を示す閉鎖失敗信号を送信する。そして、第2制御部21は、
図5のステップS31へ移行し、巡回動作を再開する。
【0061】
[引戸開閉装置の制御及び動作内容]
次に、引戸開閉装置40で行われる制御及び動作内容の一例について、
図8〜
図15を参照しながら説明する。なお、
図10〜
図15における白抜き矢印は、各要素の移動又は駆動方向を示している。また、
図9〜
図15における「前方」及び「後方」は、移動ロボット20の「前方」及び「後方」を示している。また、以下の説明では、引戸91を開く際のモータ43の回転方向を正回転とし、引戸91を閉じる際のモータ43の回転方向を逆回転とする。
【0062】
本実施形態の場合、引戸開閉装置40は、移動ロボット20から入室要請信号を受信するまでは、引戸91を手動扉状態に維持する。そして、引戸開閉装置40は、移動ロボット20から入室要請信号を受信すると、引戸91の閉鎖が完了して閉鎖完了信号を送信するまで、引戸91を自動扉状態に維持する。
【0063】
具体的には、引戸開閉装置40の第4制御部41は、
図8に示すように、制御を開始すると(スタート)、ステップS41において引戸側送受信部42を動作させて、移動ロボット20から入室要請信号を受信したか否かを判断する。入室要請信号の受信が無い場合(ステップS41でNO)、第4制御部41は、引戸91を手動扉状態にしたまま待機する。一方、第4制御部41は、
図9に示すように、入室要請信号を受信すると(ステップS41でYES)、ステップS42において切替機構部45を動作させて切替動作を実行する。この場合、切替機構部45は、
図10に示すように、モータ43をラックギア46側へ移動させることでピニオンギア47とラックギア46と嵌合させ、これにより引戸91を手動扉状態から自動扉状態に切り替える。
【0064】
その後、第4制御部41は、
図8のステップS43においてモータ43を正回転させる。これにより、
図11に示すように、引戸91が自動で開かれる。第4制御部41は、開閉検出部44によって引戸91が開いたことを検出するまでは、モータ43の駆動を継続させる(
図8のステップS44でNO)。そして、第4制御部41は、開閉検出部44によって引戸91が開いたことを検出すると(ステップS44でYES)、ステップS45においてモータ43を停止させる。その後、第4制御部41は、
図11に示すように、引戸側送受信部42を動作させて移動ロボット20に向けて入室許可信号を発信する。そして、入室許可信号を受信した移動ロボット20は、
図12に示すように、居室内に入室する。
【0065】
その後、第4制御部41は、
図8のステップS47において、移動ロボット20から退室完了信号を受信したか否かを判断する。第4制御部41は、退室完了信号を受信するまで待機する(ステップS47でNO)。そして、第4制御部41は、
図13に示すように移動ロボット20から退室完了信号を受信すると(
図8のステップS47でYES)、ステップS48においてモータ43を逆回転させて引戸91を閉じる。第4制御部41は、開閉検出部44によって引戸91が閉鎖されたことを検出するまでは、モータ43の駆動を継続させる(ステップS49でNO)。
【0066】
そして、第4制御部41は、開閉検出部44によって引戸91が閉じたことを検出すると(ステップS49でYES)、ステップS50においてモータ43を停止させる。その後、第4制御部41は、ステップS51において切替機構部45を動作させて切替動作を実行する。この場合、切替機構部45は、
図15に示すように、モータ43をラックギア46から離間する方向へ移動させることでピニオンギア47とラックギア46との嵌合を解除し、これにより引戸91を自動扉状態から手動扉状態に切り替える。そして、第4制御部41は、
図8のステップS52において引戸側送受信部42を動作させて、
図15に示すように移動ロボット20側へ向けて閉鎖完了信号を発信する。その後、第4制御部41は、
図8のステップS41へ処理を戻し、ステップS41以降の処理を繰り返す。
【0067】
以上説明した実施形態によれば、監視システム1は、生体情報取得装置10で取得した監視対象者の生体情報に基づいて異常を判断する。したがって、監視対象者の異常状態を直接的に検出することができる。そして、生体情報取得装置10を装着している監視対象者に異常が生じた場合、移動ロボット20が、その異常が生じた監視対象者を目指して移動する。これにより、監視者は、監視対象者から離れた遠隔地においても、監視装置30のモニタ33を見ることで監視対象者の異常状態をいち早く確認することができる。
【0068】
監視システム1は、複数の生体情報取得装置10を備えている。そして、複数の生体情報取得装置10は、それぞれ異なる監視対象者に装着される。すなわち、監視システム1は、1台の監視装置30で、複数の監視対象者を監視することができる。これによれば、例えば病院や介護施設等のように、多数の監視対象者を監視する必要がある場合であっても、少人数の監視者で対応することができ、その結果、監視に要する人員を削減することができる。
【0069】
ここで、移動ロボット20を居室に入退室させるためには、引戸91を開閉させる必要がある。この場合、例えば引戸91を一般的な自動ドアにしたり、移動ロボット20に引戸91の開閉用のアーム等を設けたりすることが考えられる。しかしながら、例えば引戸91を自動ドアにすると、引戸91の前を人が通るたびに引戸91が開閉してしまう。したがって、自動ドアにすることは、居室用の引戸91としては不向きである。また、移動ロボット20に引戸91の開閉用のアーム等を設けると、移動ロボット20の構成や制御が複雑になり、移動ロボット20のコストも上昇する。
【0070】
そこで、本実施形態において、監視システム1は、引戸開閉装置40を更に備える。引戸開閉装置40は、移動ロボット20又は監視装置30からの指示により、居室の引戸91を自動で開閉可能な自動扉状態と手動で開閉可能な手動扉状態と切り替える。これによれば、引戸91は、移動ロボット20が入退室する際に引戸91を自動扉状態にし、その他の場合には引戸91を手動扉状態にすることができる。したがって、監視システム1は、引戸91を一般的な自動ドアにしたり、移動ロボット20に引戸91の開閉用のアーム等を設けたりした場合に生じ得る上述した不都合を回避することができ、その結果、自動扉状態と手動扉状態の両方のメリットを得ることができる。
【0071】
移動ロボット20及び引戸開閉装置40は、それぞれ赤外線信号を送受信することによって相互に無線通信可能な送受信部27、42を有している。これによれば、移動ロボット20と引戸開閉装置40との通信に電波を使用するものに比べて、比較的安価に構成することができる。更に、電波を使用した無線通信の場合、移動ロボット20は、常に全ての引戸開閉装置40と通信状態を維持しなければならず、そのため、電波帯域を無駄に使用すると共に消費電力の無駄も大きくなる。しかし、本実施形態のように、赤外線通信によって1対1の通信を可能にすることで、電波帯域を無駄に使用することもなく、消費電力も低減することができる。これは、引戸開閉装置40の数が増大した場合すなわち監視対象者が増大した場合により有効である。
【0072】
引戸開閉装置40は、引戸91の外部から視認可能な位置に設けられている。すなわち、本実施形態の場合、引戸開閉装置40は、引戸91の内部に予め組み込まれたものではなく、引戸91の外部から取り付け可能となっている。すなわち、本実施形態の引戸開閉装置40は、当初は手動専用であった引戸91に対して事後的に取り付けることができる。これによれば、当初は監視システム1の適用を想定しておらず、手動専用の引戸91を有している施設に対しても、引戸91に引戸開閉装置40を取り付けることで、その引戸91を監視システム1に適用させることができる。また、これによれば、引戸開閉装置40を取り外すことも容易となるため、引戸開閉装置40のメンテナンスや引戸91を手動専用に戻すことが容易になる。
【0073】
そして、引戸開閉装置40は、引戸側送受信部42と、ラックギア46と、ピニオンギア47と、モータ43と、切替機構部45と、を有している。この場合、引戸側送受信部42は、例えば外部装置すなわち移動ロボット20からの信号を受信可能な受信部として機能する。そして、切替機構部45は、引戸側送受信部42で受信した信号に基づいてモータ43を移動させてラックギア46とピニオンギア47との嵌合状態を切り替えることで、引戸91を自動扉状態と手動扉状態とに切り替える。これによれば、引戸開閉装置40を比較的簡単な構成とすることができる。
【0074】
なお、本発明の実施形態は、上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。