(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、既知である前記検査対象物の軸方向の実際の長さと、前記フレーム部が前記検査対象物の一端付近から他端付近まで移動したときに前記移動距離表示部に表示される前記移動距離と、の比に基づいて、前記劣化箇所の位置を示す前記移動距離を補正すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の検査装置。
前記制御部は、前記劣化箇所を撮影した前記撮影部の識別情報、前記劣化箇所の位置を示す前記移動距離、及び前記劣化箇所の画像データの保存先を示す情報が少なくとも対応付けられたリストを前記表示部に表示すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の検査装置。
前記制御部は、前記劣化箇所が複数存在する場合において、前記表示部に表示された前記劣化箇所の画素数の多さを順位付けし、前記移動距離を示す目盛と、それぞれの前記劣化箇所の順位と、を対応付けて前記表示部に表示すること
を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の検査装置。
外形が柱状の検査対象物が挿通される通路を有するフレーム部と、前記検査対象物に接触する複数の車輪を有し、前記フレーム部を前記検査対象物の軸方向に移動させる移動部と、前記移動部による移動距離を表示する移動距離表示部と、前記検査対象物が挿通される前記通路を取り囲むように周方向に複数設置され、前記検査対象物を撮影する撮影部と、を備える移動式の撮影装置を含むとともに、表示部及び制御部を備える制御装置を含み、複数の前記撮影部のうち一つは、前記検査対象物を撮影するとともに前記移動距離表示部を撮影する検査装置が実行する検査方法であって、
前記制御部は、
前記撮影部が撮影した前記検査対象物の撮影結果に基づいて前記検査対象物の劣化箇所を検出するとともに、前記撮影部が撮影した前記移動距離表示部の撮影結果に基づいて前記移動距離を画像認識し、さらに、当該移動距離によって前記劣化箇所の位置を特定し、少なくとも前記劣化箇所の位置を前記表示部に表示させ、
複数の前記撮影部のうち、前記移動距離表示部が撮影範囲に含まれている撮影部の撮影結果である動画を、他の撮影部に優先させて再生し、前記移動距離表示部に表示される各時刻での前記移動距離を画像認識するとともに、前記劣化箇所の検出を行い、
複数の前記撮影部のうち、前記移動距離表示部が撮影範囲に含まれていない他の撮影部の撮影結果である動画を再生し、前記劣化箇所を検出した場合、当該劣化箇所が撮影された時刻に対応付けられる前記移動距離を当該劣化箇所の位置として、当該劣化箇所の画像とともに前記表示部に表示させること
を特徴とする検査方法。
外形が柱状の検査対象物が挿通される通路を有するフレーム部と、前記検査対象物に接触する複数の車輪を有し、前記フレーム部を前記検査対象物の軸方向に移動させる移動部と、前記移動部による移動距離を表示する移動距離表示部と、前記検査対象物が挿通される前記通路を取り囲むように周方向に複数設置され、前記検査対象物を撮影する撮影部と、を備える移動式の撮影装置を含むとともに、表示部及び制御部を備える制御装置を含み、複数の前記撮影部のうち一つは、前記検査対象物を撮影するとともに前記移動距離表示部を撮影する検査装置が実行する検査方法であって、
前記制御部は、
前記撮影部が撮影した前記検査対象物の撮影結果に基づいて前記検査対象物の劣化箇所を検出するとともに、前記撮影部が撮影した前記移動距離表示部の撮影結果に基づいて前記移動距離を画像認識し、さらに、当該移動距離によって前記劣化箇所の位置を特定し、少なくとも前記劣化箇所の位置を前記表示部に表示させ、
複数の前記撮影部のうち、前記移動距離表示部が撮影範囲に含まれている撮影部の撮影結果に基づく前記劣化箇所の検出及び前記移動距離の画像認識を、前記移動距離表示部が撮影範囲に含まれていない他の撮影部の撮影結果に基づく前記劣化箇所の検出よりも優先させて行い、
複数の前記撮影部のうち、前記移動距離表示部が撮影範囲に含まれていない他の撮影部の撮影結果に基づいて前記劣化箇所を検出した場合、当該劣化箇所が撮影された時刻に対応付けられる前記移動距離を当該劣化箇所の位置として、当該劣化箇所の画像とともに前記表示部に表示させ、
前記撮影部の撮影範囲において、前記検査対象物が撮影されると予め想定されている領域の外側を、所定のマスク画像によって前記劣化箇所の検出範囲から除外した後、前記劣化箇所の検出を行い、
前記撮影部の撮影範囲において、前記移動距離表示部は、前記領域の外側に位置し、
前記マスク画像によって、前記移動距離表示部の撮影結果も前記劣化箇所の検査範囲から除外されること
を特徴とする検査方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪実施形態≫
<検査装置の構成>
図1Aは、実施形態に係る検査装置100が備える検査ロボット10の側面図である。
検査装置100は、外形が柱状である「検査対象物」の劣化状態を検査する装置である。本実施形態では一例として、「検査対象物」がケーブルGである場合について説明する。
検査装置100は、
図1Aに示す検査ロボット10(撮影装置)と、コントローラ30(制御装置:
図2参照)と、を備えている。検査ロボット10は、ケーブルGの外周面を撮影しつつ、このケーブルGの軸方向に(つまり、ケーブルGを伝って)移動する移動式のロボットである。
【0010】
図1Aに示すように、検査ロボット10は、フレーム部11と、固定部121,122と、駆動輪13(車輪)と、モータ14と、従動輪15(車輪)と、を備えている。また、検査ロボット10は、前記した構成の他に、ロータリエンコーダ16と、移動距離表示器17(移動距離表示部)と、4台のビデオカメラ18a〜18d(撮影部)と、を備えている。
【0011】
フレーム部11は、移動距離表示器17やビデオカメラ18a〜18d等の各機器が設置される部材であり、ケーブルGが挿通される通路Q(
図1B参照)を有している。
【0012】
図1Bは、
図1AのII‐II線矢視断面図である。
フレーム部11は、四角枠状を呈する2つの枠体111,111と、これらの枠体111,111を接続する4本の角管112(
図1A参照)と、を備えている。
【0013】
図1Bに示すように、枠体111は、一直線上に配置される2本の角管k1,k2と、一直線上に配置される2本の角管k3,k4と、これらとは別の角管k5と、角管k6と、がジョイントjやヒンジhを介して四角枠状に接続された構成になっている。
【0014】
そして、作業員が、角管k2,k3を含む下側部分をヒンジhを介して回動させることによって検査ロボット10がケーブルGに取り付けられ、さらに、角管k1,k2の接続箇所が不図示の部材によって係合されるようになっている。
【0015】
4本の角管112は、2つの枠体111,111を接続するものであり、
図1Aに示すように、ケーブルGの軸方向に延びている。それぞれの角管112は、一端がジョイントjを介して一方の枠体111の角部に接続され、他端がジョイントjを介して他方の枠体111の角部に接続されている。
【0016】
なお、フレーム部11において、ケーブルGの周りに位置する矩形状の4つの開口(枠体111,111及び角管112,112によって形成される開口)をそれぞれ遮光板(図示せず)で塞いでもよい。つまり、前記した遮光板及びフレーム部11によって筒状の筐体(図示せず)を構成してもよい。
さらに、ケーブルGが挿通される孔を有する別の遮光板(図示せず)を枠体111,111の開口にそれぞれ設置してもよい。これによって、ビデオカメラ18a〜18dの撮影箇所に自然光が入射することを防止し、この撮影箇所を光源(LED等:図示せず)によって適度な照度で照らすことができる。
【0017】
図1Bに示す固定部121は、駆動輪13の支持脚であり、フレーム部11と駆動輪13との相対位置を固定する機能を有している。固定部121は、枠体111が備える上側の角管k5,k6にひとつずつ設置され、枠体111の中心に向かって延びている。なお、ケーブルGの径に合うように、固定部121を伸縮可能に構成してもよい。
また、別の固定部122は、従動輪15の支持脚であり、フレーム部11と従動輪15との相対位置を固定する機能を有している。固定部122は、フレーム部11の下部に設置されている。
【0018】
モータ14は、駆動輪13を回転させる電動機であり、駆動輪13に設置されている。
駆動輪13は、モータ14の駆動によって回転する車輪であり、ケーブルGの外周面に接触している。
図1A、
図1Bに示す例では、ケーブルGの軸方向においてフレーム部11の両端にそれぞれ一対の(つまり、合計で4つの)駆動輪13が設けられている。そして、モータ14の駆動によって駆動輪13が回転すると、ケーブルGと駆動輪13との間の転がり摩擦によって、検査ロボット10がケーブルGの軸方向に移動するようになっている。
【0019】
従動輪15は、駆動輪13の回転に伴い、自身とケーブルGとの間の転がり摩擦によって回転する車輪であり、ケーブルGの外周面に接触している。
図1Aに示す例では、ケーブルGの軸方向において、フレーム部11の両端付近に従動輪15がひとつずつ設けられている。
なお、「フレーム部11を検査対象物の軸方向に移動させる移動部」は、駆動輪13と、モータ14と、従動輪15と、を含んで構成される。
【0020】
ロータリエンコーダ16は、モータ14が回転した回数を計数する機器であり、モータ14に設置されている。このロータリエンコーダ16から出力される計数値に基づいて、検査ロボット10の移動距離が算出される。
【0021】
移動距離表示器17は、検査ロボット10の移動距離(前記した「移動部」による移動距離)を表示する機器であり、フレーム部11に設置されている。このような移動距離表示器17として、例えば、複数桁の7セグメントディスプレイを用いることができる。
【0022】
移動距離表示器17は、ケーブルGを上側から撮影するビデオカメラ18aの視野に収まるように配置されている。より詳しく説明すると、移動距離表示器17は、自身とケーブルGとが重なることなく、ビデオカメラ18aによって撮影されるように配置されている。
【0023】
ビデオカメラ18a〜18dは、ケーブルGの外周面を撮影する機器である。
図1Bに示すように、ケーブルGが挿通される通路Qを取り囲むように、周方向で等間隔に(つまり、90°間隔で)4台のビデオカメラ18a〜18dが設置されている。これらのビデオカメラ18a〜18dによって、ケーブルGが上側・下側・左側・右側からそれぞれ撮影される。前記したように、ビデオカメラ18aは、ケーブルGを撮影するとともに、移動距離表示器17を撮影する機能を有している。
【0024】
なお、
図1A、
図1Bでは図示を省略しているが、検査ロボット10は、ケーブルGに光を照射するLED(Light Emitting Diode)や、モータ14等の電源であるバッテリを備えている。その他に、ケーブルGの周方向における検査ロボット10の回転を抑制するための錘(図示せず)が設置されている。この錘は、フレーム部11の下部に設置されていてもよいし、また、紐(図示せず)を介してフレーム部11に吊り下げられていてもよい。
【0025】
図2は、検査装置100の機能ブロック図である。
検査ロボット10は、前記した構成の他に、モータ駆動回路19と、ビデオエンコーダ20と、制御回路21と、LAN−HUB22と、無線モジュール23と、アンテナ24と、を備えている。
モータ駆動回路19は、制御回路21からの指令に従って、所定の回転速度でモータ14を駆動する回路である。
ビデオエンコーダ20は、ビデオカメラ18a〜18dから入力される画像データをSDカードやメモリに一時的に記憶するものである。
【0026】
制御回路21は、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成されている。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。
【0027】
制御回路21は、コントローラ30からの指令に従って、モータ駆動回路19に所定の信号を出力する機能を有している。また、制御回路21は、ロータリエンコーダ16の計数値に基づいて、ケーブルGにおける検査ロボット10の移動距離を算出し、その移動距離を移動距離表示器17に出力する機能を有している。
なお、本実施形態のようにロータリエンコーダ16が複数台設けられている場合には(
図1B参照)、各ロータリエンコーダ16の計数値の平均に基づいて、検査ロボット10の移動距離が算出される。その他、制御回路21は、検査ロボット10とコントローラ30との間の通信制御を行う機能も有している。
【0028】
LAN−HUB22は、次に説明する無線モジュール23を介したデータのやり取りを行うための機器である。
無線モジュール23は、LAN−HUB22を介して入力されるデータを無線信号に変調し、この無線信号をアンテナ24に出力する機器である。また、無線モジュール23は、コントローラ30から受信した無線信号を復調する機能も有している。復調後のデータはLAN−HUB22を介して制御回路21に出力される。
アンテナ24は、コントローラ30との間で無線通信を行うための機器である。
【0029】
コントローラ30は、ビデオカメラ18a〜18dの撮影結果に基づいて、ケーブルGの検査や解析を行う装置である。また、コントローラ30は、ユーザの操作に応じて、検査ロボット10の各機器を制御する機能も有している。
図2に示すように、コントローラ30は、アンテナ31と、無線ユニット32と、制御ユニット33と、を備えている。
アンテナ31は、検査ロボット10が備えるアンテナ24との間で無線信号の送受信を行う機器である。
無線ユニット32は、アンテナ31を介して入力される無線信号を復調し、復調後のデータを制御ユニット33に出力する機能を有している。また、無線ユニット32は、制御ユニット33から入力されるデータを無線信号に変調し、この無線信号をアンテナ31に出力する機能も有している。
【0030】
制御ユニット33は、例えば、パーソナルコンピュータであり、図示はしないが、CPU、ROM、RAM、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成されている。制御ユニット33は、検査ロボット10への制御信号を生成したり、ビデオカメラ18a〜18dの撮影結果に基づいて、ケーブルGの傷(劣化箇所)を検出したりする機能を有している。
【0031】
図3は、検査装置100が備える制御ユニット33の機能ブロック図である。
図3に示すように、制御ユニット33は、記憶部331と、インタフェース332と、入力部333と、制御部334と、表示部335と、を備えている。
記憶部331には、ケーブルGの外周面の傷を検出するための傷検出アプリケーション331aが予め格納されている。
また、記憶部331には、ビデオカメラ18aの撮影結果である画像ファイルF1が格納される。この画像ファイルF1は、アンテナ24,31等(
図2参照)を介して検査ロボット10からコントローラ30に送信されたものである。同様に、記憶部331には、ビデオカメラ18b〜18dの撮影結果である画像ファイルF2〜F4が格納される。
【0032】
その他、記憶部331には、ビデオカメラ18a〜18dの撮影結果に基づいて作成される移動距離テーブル331b、静止画テーブル331c、該当フレームリスト331d、及び帳票データ331eが格納される。これらの各データについては後記する。
【0033】
図3に示すインタフェース332は、制御ユニット33と無線ユニット32(
図2参照)との間で通信を行うための接続部である。
入力部333は、例えば、マウスやキーボードであり、ユーザの操作を入力するものである。
【0034】
制御部334は、ビデオカメラ18a〜18dが撮影したケーブルGの撮影結果に基づいて、ケーブルGの傷(劣化箇所)を検出する機能を有している。また、制御部334は、デオカメラ18a〜18dが撮影した移動距離表示器17の撮影結果に基づいて、ケーブルGの傷の位置を、前記した移動距離によって特定し、少なくともケーブルGの傷の位置を表示部335に表示させる機能も有している。なお、制御部334が実行する処理の詳細については後記する。
表示部335は、例えば、ディスプレイであり、入力部333を介した操作に応じて、ケーブルGの傷が存在する箇所の画像等を表示する。
【0035】
図4Aは、ケーブルG、移動距離表示器17、及びビデオカメラ18a,18bの位置関係を示す模式的な側面図である。
なお、
図4Aに示すように、ケーブルGの軸方向をx軸とし、このx軸と直交するようにy,z軸を定める。また、
図4Aでは、説明を分かりやすくするために、ビデオカメラの台数を2台としている。
【0036】
図4Aに示すように、ケーブルGの上側・下側を撮影するビデオカメラ18a,18bのx軸方向の位置(光軸)は略同一である。また、検査ロボット10の移動距離を表示する移動距離表示器17が、一方のビデオカメラ18aによって撮影される。
【0037】
図4Bは、
図4Aの断面図である。
図4Bに示すように、移動距離表示器17は、ビデオカメラ18aの撮影範囲(視野)において、ケーブルGが占める領域以外の部分に自身が映るように配置されている。このような構成において、検査ロボット10(
図1A参照)をx軸方向に移動させつつ、ビデオカメラ18a,18bによってケーブルG等が撮影される。
【0038】
図4Cは、ビデオカメラ18a,18bの各時刻における撮影結果の模式図である。
図4Cに示す時刻t,t+1,t+2,…の各画像は、ビデオカメラ18a,18bによって撮影された動画の1コマ1コマを表している。
前記したように、ビデオカメラ18a,18bのx軸方向の位置は略同一である(
図4A参照)。したがって、ビデオカメラ18a,18bによって同時刻に撮影された画像において、被写体であるケーブルGのx軸方向の位置は略同一である。例えば、時刻tでは、x軸方向の移動距離が12.3[m]の位置において、ケーブルGの周方向の一方側(上側)がビデオカメラ18aによって撮影され、他方側(下側)がビデオカメラ18bによって撮影されている。本実施形態では、このような考え方に基づき、ビデオカメラ18a,18bの撮影結果を各時刻で紐付けるようにしている。
【0039】
図5は、検査ロボット10の移動距離と時刻との対応関係を示す移動距離テーブル331bの説明図である。なお、
図5では、ビデオカメラを「カメラ」と記載している。
移動距離テーブル331bは、ケーブルGが撮影された時刻と、その時刻におけるフレーム数と、その時刻における検査ロボット10の移動距離と、が対応付けられたデータテーブルである。
【0040】
なお、「フレーム」とは、動画を構成する1コマ1コマの静止画である。
また、「フレーム数」とは、ビデオカメラの撮影開始時のフレームを1枚目(1コマ目)とし、時系列順にフレームを数えた場合の枚数である。
「移動距離」は、ビデオカメラ18a(
図4A参照)の撮影結果に基づき、制御部334(
図3参照)によって認識される移動距離表示器17の数値である。
【0041】
例えば、ビデオカメラ18aの画像a1に基づいて移動距離Xが認識された場合、制御部334(
図3参照)は、この画像a1が得られた時刻t及びフレーム数Fを移動距離Xに対応付けて、移動距離テーブル331bとして記憶する(
図3参照)。
また、他方のビデオカメラ18bによって同じ時刻tに撮影された画像b1は、移動距離テーブル331bの時刻t(又はフレーム数F)に基づき、軸方向において移動距離Xの位置を撮影したものとして扱われる。このようにして、ビデオカメラ18a,18bにおける時々刻々の画像が、撮影時刻及び移動距離に対応付けられるようになっている。
【0042】
なお、
図4A、
図4B、
図4C、及び
図5では、ビデオカメラの台数が2台である場合について説明したが、ビデオカメラの台数が4台(
図1B参照)であっても同様のことがいえる。
【0043】
また、撮影結果の動画に含まれる時々刻々のフレームの全てについて、制御部334(
図3参照)が移動距離テーブル331bを作成するようにしてもよいし、また、所定時間ごとのフレームに基づいて移動距離テーブル331bを作成するようにしてもよい。
【0044】
図6は、制御ユニット33の制御部334が実行する処理のフローチャートである。
なお、
図6の「START」時には、検査ロボット10によるケーブルGの撮影が既に終了し(つまり、ケーブルGの一端から他端までの全域が撮影され)、その撮影結果が制御ユニット33(
図3参照)の記憶部331に格納されているものとする。
【0045】
ステップS101において制御部334は、ユーザの操作によって入力される入力データを取得する。この入力データには、地図上におけるケーブルGの場所を示す検査場所情報や、ケーブルGの識別情報の他、ケーブルGの傷の検出に用いられる所定の「閾値」が含まれている。この「閾値」については後記する。
【0046】
ステップS102において制御部334は、ビデオカメラ18a〜18d(
図1B参照)の撮影結果である動画データ等を読み込む。動画データは、例えば、圧縮性に優れた動画形式の一つであるMKV(Matroska Video)ファイルとして、所定のディレクトリに記憶されている。また、ステップS102では、前記した動画データの他、撮影時刻、ビデオカメラ18a〜18dの識別情報、動画ファイルの名称等も読み込まれる。
次に、ステップS103において制御部334は、動画の再生順序を決定する。
【0047】
図7は、動画の再生順序に関する説明図である。
図7に示すように、制御部334は、ケーブルGとともに移動距離表示器17も撮影するビデオカメラ18aの動画を最初に再生し、この動画の終了後に他のビデオカメラ18b〜18dの動画を順次に再生するように、再生順序を決定する。これは、ビデオカメラ18aの撮影結果に基づいて、各時刻における検査ロボット10の移動距離(つまり、撮影されているケーブルGの位置)を特定するためである。なお、ビデオカメラ18a〜18dの動画をパラレルに再生しても良い。このようにパラレルに再生することにより、傷検知処理に要する時間を短縮できるというメリットがある。
【0048】
次に、
図6のステップS104において制御部334は、傷検出範囲を指定する。
前記した「傷検出範囲」とは、ケーブルGの傷の検出対象となる範囲である。つまり、傷検出範囲は、ビデオカメラ18a〜18dの撮影結果において、ケーブルGが映っていると想定される範囲である。外形が円柱状であるケーブルGの径は、軸方向において略一定である。したがって、ケーブルGに沿って検査ロボット10が移動する過程において、ビデオカメラ18a〜18dに撮影されるケーブルGの範囲が変化することはほとんどない。
【0049】
図8Aは、ビデオカメラ18aに対応するマスク画像Maの例である。
本実施形態では、ビデオカメラ18a等の撮影範囲Paにおいて、ケーブルGが撮影されると予め想定されている領域(つまり、傷検出範囲Ga)の外側を、所定のマスク画像Ma等によって傷の検出範囲から除外した後、ケーブルGの傷の検出を行うようにしている。これによって、ケーブルG以外の箇所が「ケーブルGの傷」として誤検出されることを防止できる。このマスク画像Maは、ケーブルGの径やビデオカメラ18aの設置位置・角度に基づき、入力部333(
図3参照)を介したユーザの操作によって予め設定されている。
【0050】
ちなみに、
図8Aに示す黒色のマスク画像Maには、移動距離表示器17(
図1B参照)が映っている部分も含まれているが、移動距離の認識に支障が生じることはない。詳細については後記するが、移動距離表示器17の数値が認識された後、このマスク画像Maを用いた処理が行われるからである。
また、
図8Aに示すでは、傷検出範囲Gaとマスク画像Maとの境界線が曲線状になっている。ビデオカメラ18aによってケーブルGが若干斜め方向から撮影されている場合には、このように傷検出範囲Gaとマスク画像Maとの境界線が曲線状になる。
【0051】
図8Bはビデオカメラ18bに対応するマスク画像Mbであり、
図8Cはビデオカメラ18cに対応するマスク画像Mcであり、また、
図8Dはビデオカメラ18dに対応するマスク画像Mdである。
図8A〜
図8Dに示すように、マスク画像Ma〜Mdの形状に若干の相違があるのは、ビデオカメラ18a〜18dの設置位置・角度に起因するものである。これらのマスク画像Ma〜Mdが、それぞれのビデオカメラ18a〜18dに対応付けて、制御ユニット33(
図3参照)に記憶されている。
【0052】
再び、
図6に戻って説明を続ける。
ステップS105において制御部334は、動画の各フレームをチェックする。つまり、制御部334は、ステップS104で指定した傷検出範囲に基づき、ケーブルGの外周面の劣化状態を検査する。
ステップS106において制御部334は、帳票データ331e(
図3参照)を作成し、一連の処理を終了する(END)。なお、帳票データ331eについては後記する。
【0053】
図9は、
図6のステップS105における動画の各フレームのチェックに関するフローチャートである。
ステップS1051において制御部334は、動画の再生を開始する。動画の再生順序は、
図6のステップS103で既に決定されている。すなわち、制御部334は、ケーブルGとともに移動距離表示器17も撮影するビデオカメラ18aの動画を最初に(つまり、他のビデオカメラ18b〜18dに優先して)再生する。その後の一連の処理において制御部334は、再生中の動画に含まれる全フレーム又は所定時間毎のフレームを用いて、ケーブルGの劣化状態を検査する。
【0054】
ステップS1052において制御部334は、再生中の動画に移動距離表示器17の画像が含まれているか否かを判定する。つまり、制御部334は、ケーブルGとともに移動距離表示器17を撮影するビデオカメラ18aの動画が再生されているか否かを判定する。
ステップS1052において移動距離表示器17の画像が含まれている場合(S1052:Yes)、制御部334の処理はステップS1053に進む。一方、移動距離表示器17の画像が含まれていない場合(S1052:No)、制御部334の処理はステップS1055に進む。
【0055】
ステップS1053において制御部334は、移動距離表示器17に表示されている値を認識する。すなわち、制御部334は、ビデオカメラ18aの撮影範囲において、移動距離表示器17の各桁の位置に対応する所定の矩形領域内の数値が0〜9のいずれであるかを、テンプレートマッチングに基づいて特定する。これによって、そのフレームの撮影時刻における検査ロボット10の移動距離が特定される。
【0056】
ステップS1054において制御部334は、移動距離テーブル331b(
図5参照)を更新する。つまり、制御部334は、撮影時刻、フレーム数、及び移動距離のデータを紐付けることによって、移動距離テーブル331bを更新する。
ステップS1055において制御部334は、撮影結果に基づいて、ケーブルGの傷推定箇所を抽出する。この「傷推定箇所」とは、ケーブルGの外周面の傷であると推定される箇所である。なお、傷推定箇所の抽出方法については後記する。
【0057】
ステップS1056において制御部334は、ステップS1055で抽出した傷推定箇所がケーブルGの傷に該当するか否かを判定する。すなわち、制御部334は、傷推定箇所の面積(画素数)が所定閾値以上であるか否かに基づいて、ステップS1056の判定処理を行う。
ステップS1056において傷推定箇所がケーブルGの傷に該当する場合(S1056:Yes)、制御部334の処理はステップS1057に進む。一方、傷推定箇所がケーブルGの傷に該当しない場合(S1056:No)、制御部334の処理はステップS1059に進む。
【0058】
ステップS1057において制御部334は、静止画テーブル331c(
図3参照)を更新する。この「静止画テーブル331c」とは、ビデオカメラ18a等の識別情報や検査ロボット10の移動距離の他、ケーブルGの傷が写っている静止画(フレーム)の撮影時刻等が対応付けられたデータテーブルである。
【0059】
ステップS1058において制御部334は、ケーブルGの傷が撮影されている静止画データを作成し、この静止画データを記憶する。つまり、制御部334は、ビデオカメラ18a等によって得られた動画から、傷が撮影された静止画を抽出し、この静止画のデータを傷の画像データとして記憶部331(保存先)に保存する。
【0060】
ステップS1059において制御部334は、現時点で傷検出の対象としているフレームが、ビデオカメラ18a等の最終フレームであるか否かを判定する。
ステップS1059において、現時点で傷検出の対象としているフレームが最終フレームでない場合(S1059:No)、制御部334の処理はステップS1052に戻る。そして、制御部334は、次のフレームを用いてケーブルGの劣化状態を検査する。一方、ステップS1059において、現時点で傷検出の対象としているフレームが最終フレームである場合(S1059:Yes)、制御部334の処理はステップS1060に進む。
【0061】
ステップS1060において制御部334は、現時点で傷検出の対象としている動画が、最終動画であるか否かを判定する。つまり、制御部334は、ビデオカメラ18a〜18dの撮影結果が順次に再生されて、ビデオカメラ18dの動画の再生が終了したか否かを判定する。
ステップS1060において、現時点で傷検出の対象としている動画が最終動画でない場合(S1060:No)、制御部334の処理はステップS1051に戻る。そして、制御部334は、ステップS103(
図6参照)で決定した再生順序に基づいて、次のビデオカメラの動画を再生する。一方、ステップS1060において、現時点で傷検出の対象としている動画が最終動画である場合(S1060:Yes)、制御部334の処理はステップS1061に進む。
【0062】
ステップS1061において制御部334は、検査ロボット10の移動距離を補正する。つまり、制御部334は、ステップS1056において「傷に該当する」と判定されたフレームのひとつひとつについて、そのフレームに対応する移動距離(つまり、傷の位置)を補正する。例えば、検査ロボット10がケーブルGを走行しているとき、ケーブルGの外周面の凹凸や滑りやすさ等に起因して、検査ロボット10の実際の移動距離と、ロータリエンコーダ16(
図1B参照)の計数値に基づく移動距離との間に誤差が出ることがある。したがって、本実施形態では、この誤差を考慮して検査ロボット10の移動距離を補正するようにしている。
【0063】
ステップS1061の処理について具体的に説明すると、例えば、軸方向の長さが100[m]のケーブルGの一端から他端まで検査ロボット10が走行し終わったとき、ロータリエンコーダ16の計数値に基づく移動距離が98[m]であったとする。このような場合において、例えば、ロータリエンコーダ16の計数値に基づく移動距離が30[m]の箇所で傷が検出された場合、制御部334は、30×(100/98)≒30.61[m]を補正後の移動距離として算出する。
【0064】
すなわち、制御部334は、既知であるケーブルGの軸方向の実際の長さと、検査ロボット10(つまり、フレーム部11)がケーブルGの一端付近から他端付近まで移動したときに移動距離表示器17に表示された移動距離と、の比に基づいて、ケーブルGの傷の位置を示す移動距離を補正する。これによって、ケーブルGの軸方向における傷の位置を正確に特定できる。なお、ケーブルGの実際の長さは、このケーブルGの識別情報に対応付けて、予め記憶部331(
図3参照)に格納されている。
【0065】
次に、ステップS1062において制御部334は、該当フレームリスト331d(
図3参照)を作成する。この「該当フレームリスト331d」とは、ケーブルGの傷が写っているフレームの情報をリスト化したデータである。該当フレームリスト331dは、前記した移動距離テーブル331b(
図5参照)、静止画テーブル331c(S1057:
図9参照)、及び補正後の移動距離(S1061:
図9参照)に基づいて作成される。
【0066】
図10は、
図9のS1055における傷推定箇所の抽出に関するフローチャートである。
ステップS1055aにおいて制御部334は、モノクロ化を行う。つまり、制御部334は、カラーのフレームの画像をグレースケールに変換する。
【0067】
図11Aは、ステップS1055aにおいてモノクロ化されたフレームの画像である。
なお、
図11Aに示す例では、ビデオカメラ18a(
図1B参照)によって、ケーブルGとともに移動距離表示器17も撮影されている。
【0068】
次に、
図10のステップS1055bにおいて制御部334は、2値化を行う。つまり、制御部334は、濃淡のあるグレースケールの画像を白・黒の2階調に変換する。具体的に説明すると、制御部334は、輝度が所定閾値以上の画素を白色に変換し、輝度が所定閾値未満の画素を黒色の変換する。なお、フレーム画像の部分領域ごとに輝度の閾値を変化させる周知の動的閾値法を用いてもよい。
【0069】
図11Bは、ステップS1055bの2値化が行われたフレームの画像である。
図11Bに示すように、ケーブルGの外周面における傷や細かい凹凸・汚れ等の他、ケーブルGの輪郭が白色で表示されている。
【0070】
次に、
図10のステップS1055cにおいて制御部334は、ケーブル領域外を除外する。すなわち、制御部334は、ステップS1055bの処理後のフレームにおいて、前記したマスク画像Ma(
図8A参照)に相当する領域を黒色に変換する。これによって、ケーブル領域(ケーブルGが写っていると予め想定されている領域)の外側における傷の誤検出を防止できる。
【0071】
図11Cは、ステップS1055cにおいてケーブル領域外が除外されたフレームの画像である。
図11Cに示すように、フレームの画像において、ケーブルGが写っている部分の外側の各画素が黒色に変換されている。
【0072】
次に、
図10のステップS1055dにおいて制御部334は、傷推定箇所の輪郭を抽出する。つまり、制御部334は、ステップS1055cの処理後のフレームにおいて、ケーブルGの傷であると推定される線状の部分の輪郭を抽出する。
【0073】
図11Dは、ステップS1055dの傷推定箇所の輪郭の抽出が行われたフレームの画像である。
図11Dに示す例では、ケーブルGの傷であると推定される線状の部分が2箇所抽出されている。このような一連の処理によって、ステップS1055(
図9参照)における傷推定箇所の抽出が行われる。
【0074】
図12は、ステップS1062において作成される該当フレームリスト331dの説明図である。
入力部333(
図3参照)を介した操作に応じて、ビデオカメラ18a等の撮影結果に基づく傷検出の結果が、例えば、HTML形式(Hyper Text Markup Language)のリストとして表示部335(
図3参照)に表示される。
【0075】
図12に示す例では、ケーブルNo、カメラ番号、傷箇所ケーブル距離(ケーブルGの傷を撮影したときの検査ロボット10の移動距離)の他、補正ケーブル距離(S1061で補正された移動距離)等が、該当フレームリスト331dとして表示されている。さらに、前記した情報の他、傷サイズ(傷の画素数の合計値)、傷個数、傷静止画ファイル名称、傷静止画ファイルダPath(傷静止画のデータの保存先)、動画ファイル録画開始時刻、動画ファイル録画停止時刻、タイムスタンプ、フレーム番号などが、該当フレームリスト331dとして表示されている。なお、
図12では、前記した動画ファイル録画停止時刻、タイムスタンプ、及びフレーム番号の図示を省略している。
【0076】
このように制御部334は、ケーブルGの傷を撮影したビデオカメラ18a等の識別情報、傷の位置を示す検査ロボット10の移動距離、及び傷の画像データの保存先を示す情報が少なくとも対応付けられた該当フレームリスト331d(リスト)を表示部335(
図3参照)に表示する。
【0077】
図13は、
図6のステップS106において作成される帳票データ331eの説明図である。
図13の横軸は検査ロボット10の移動距離であり、縦軸はビデオカメラ18a〜18dの撮影に基づく検査結果である。
図13に示す例では、ケーブルGの傷の大きさ(画素数)が順位付けされ、上位20番目までは四角枠で囲われた順位が表示部335(
図3参照)に表示され、21番目以降は丸枠で囲われた順位が表示されている。このように、制御部334(
図3参照)は、ケーブルGの傷が複数存在する場合において、表示部335に表示された傷の画素数の多さを順位付けし、検査ロボット10の移動距離を示す目盛と、それぞれの傷の順位と、を対応付けて表示部335に表示する。
【0078】
図13に示す帳票データ331eを見ることによって、ユーザは、ケーブルGの軸方向において、外周面に傷がどのように分布しているのかを容易に把握できる。例えば、ユーザは、ケーブルGの一端付近(0〜5[m]付近)に比較的大きな傷が多数存在することをひと目で把握できる。
【0079】
また、制御部334(
図3参照)は、入力部333(同図参照)を介した操作によって、傷の大きさを示す所定の順位が選択された場合、選択された順位に対応する劣化箇所の画像を表示部335(同図参照)に表示する。これによってユーザは、ケーブルGの外周面のどの位置に、どのような傷があるのかを容易に確認できる。
【0080】
例えば、制御部334は、移動距離表示器17が撮影範囲に含まれているビデオカメラ18aの撮影時刻及び検査ロボット10の移動距離を対応付けて、ビデオカメラ18aの撮影結果に基づく傷(劣化箇所)の画像とともに表示部335に表示する。
【0081】
また、制御部334は、移動距離表示器17が撮影範囲に含まれていないビデオカメラ18b〜18dの撮影時刻と同時刻における検査ロボット10の移動距離を、ビデオカメラ18b〜18dの撮影結果に基づく傷(劣化箇所)の画像とともに表示部335に表示する。なお、前記した画像とともに、ビデオカメラ18a〜18dの識別情報やフレーム数、傷の画素数等を表示してもよい。
【0082】
<効果>
本実施形態によれば、検査ロボット10の移動距離と撮影時刻とを紐付けることによって、移動距離表示器17を撮影していないビデオカメラ18b〜18dに関しても、その撮影結果に基づいてケーブルGの傷の位置を特定できる。
また、ビデオカメラ18aによってケーブルG及び移動距離表示器17を撮影することで、移動距離表示器17に表示されている数値が検査結果として記憶部331(
図3参照)に格納される。これによって、移動距離表示器17の撮影結果を、ケーブルGの画像とともに検査結果の証拠として残すことができる。
【0083】
また、既知であるケーブルGの実際の長さに基づいて、検査ロボット10の移動距離が補正される(S1061:
図9参照)。これによって、ケーブルGの軸方向における傷の位置を正確に特定できる。
【0084】
また、画像処理に基づいて傷が検出された箇所に関するデータが、該当フレームリスト331d(
図12参照)として表示部335に表示される。したがって、ユーザは、傷が検出された箇所のみを順次に確認すればよいため、動画を再生してユーザが目視で確認していた従来技術に比べて、検査に要する労力・時間を大幅に軽減できる。
また、傷の大きさの順位を示す数値が、ケーブルGの位置に対応付けて、帳票データ331e(
図13参照)として表示部335に表示される。これによってユーザは、ケーブルGにおける傷の分布をひと目で把握できる。
【0085】
≪変形例≫
以上、本発明に係る検査装置100について実施形態により説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、実施形態では、4台のビデオカメラ18a〜18bのうち、一台のビデオカメラ18aによって移動距離表示器17を撮影する構成について説明したが、これに限らない。すなわち、複数台のビデオカメラのうち少なくとも一つがケーブルG及び移動距離表示器17を撮影するようにしてもよい。
【0086】
また、実施形態では、ビデオカメラ18a〜18dを用いてケーブルGを撮影する構成について説明したが、これに限らない。例えば、検査ロボット10の走行中、複数台のカメラが所定時間ごとに(又は、所定の移動距離ごとに)ケーブルGを静止画として撮影するようにしてもよい。
【0087】
また、
図13に示す帳票データ331eの例では、上位20番目までの順位を四角枠で囲って表示し、21番目以降の順位を丸枠で囲って表示する例を示したが、順位を色分けして表示してもよい。例えば、上位10番目までを赤色、11番目〜20番目を黄色、21番目以降を青色で表示してもよい。
【0088】
また、実施形態では、「検査対象物」がケーブルGである場合について説明したが、これに限らない。すなわち、水道管、排水管、ガス管の他、橋梁や建物を構成する部材を「検査対象物」としてもよい。また、実施形態では、「検査対象物」の外形が円柱状を呈する場合について説明したが、これに限らない。例えば、「検査対象物」の外形が三角柱、四角柱、多角柱等であってもよいし、また、筒状を呈していてもよい。
また、実施形態では、「検査対象物」であるケーブルGの傷を検出する例を示したが、これに限らない。例えば、「検査対象物」の変形・腐食・ひび割れ等を「劣化箇所」として検出するようにしてもよい。
【0089】
また、各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。