特許第6867835号(P6867835)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6867835
(24)【登録日】2021年4月13日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】ユニットケーブル
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/30 20060101AFI20210426BHJP
【FI】
   H02G3/30
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-47183(P2017-47183)
(22)【出願日】2017年3月13日
(65)【公開番号】特開2018-152982(P2018-152982A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2020年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】當眞 裕
(72)【発明者】
【氏名】内田 桂
【審査官】 鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3039340(JP,U)
【文献】 特開2016−123225(JP,A)
【文献】 実開昭50−148598(JP,U)
【文献】 特開2010−007800(JP,A)
【文献】 特開2007−215353(JP,A)
【文献】 特開平10−318436(JP,A)
【文献】 特開2007−032656(JP,A)
【文献】 特開2007−295651(JP,A)
【文献】 実公昭58−003987(JP,Y2)
【文献】 特開2014−011837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導線を内部に有する複数のケーブルと、
前記複数のケーブルの一部を内部に有し、かつ絶縁性を有するケーブル保護部材と、を備え、
前記ケーブル保護部材は、
対向方向において対向する2つの突出部を有し、
2つの前記突出部は、
前記対向方向において対向する内周面と、
外周面と、
前記内周面と前記外周面とに連結し、かつ互いに対向する端面と、
をそれぞれ有し、
2つの前記内周面は、前記ケーブル保護部材が支持される棒状部材の外周面と少なくともいずれか一方が接触することで、前記棒状部材に対して前記ケーブル保護部材を支持する支持空間部を形成し、
2つの前記端面は、前記端面間の隙間が前記棒状部材の径よりも小さく形成され、
2つの前記突出部は、少なくとも2つの前記端面を離間する方向に弾性変形可能であり、
2つの前記端面は、前記対向方向において対向して形成され、
前記隙間は、前記支持空間部の空間部延在方向における両端部において外部と連通し、
2つの前記端面は、前記隙間が2つの前記突出部が対向する方向に湾曲して形成される、
ことを特徴とするユニットケーブル。
【請求項2】
複数の導線を内部に有する複数のケーブルと、
前記複数のケーブルの一部を内部に有し、かつ絶縁性を有するケーブル保護部材と、を備え、
前記ケーブル保護部材は、
対向方向において対向する2つの突出部を有し、
2つの前記突出部は、
前記対向方向において対向する内周面と、
外周面と、
前記内周面と前記外周面とに連結し、かつ互いに対向する端面と、
をそれぞれ有し、
2つの前記内周面は、前記ケーブル保護部材が支持される棒状部材の外周面と少なくともいずれか一方が接触することで、前記棒状部材に対して前記ケーブル保護部材を支持する支持空間部を形成し、
2つの前記端面は、前記端面間の隙間が前記棒状部材の径よりも小さく形成され、
2つの前記突出部は、少なくとも2つの前記端面を離間する方向に弾性変形可能であり、
2つの前記突出部は、前記対向方向および前記支持空間部の空間部延在方向と直交する方向から見た場合に、前記空間部延在方向において異なる位置に形成され、
2つの前記端面は、
前記空間部延在方向において対向して形成され、
前記隙間は、前記対向方向における両端部において外部と連通する、
ことを特徴とするユニットケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニットケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主に屋内配線工事の省力化を目的として、予め工場において必要な電気配線回路を結線し、接続部をモールドして、ケーブルの分岐接続処理を予めプレアセンブリ化して形成した電気配線システム、所謂ユニットケーブルが知られている。例えば特許文献1には、2芯または3芯の平型ケーブルを複数本束ねて単一のジョイントボックス(接続部)に集約する構成のユニットケーブルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−118764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のユニットケーブルは、例えば吊ボルトなど、上方側の一端部が建物側のコンクリートスラブなどに固定され下方側に吊り下げられる構成の棒状部材に固定される場合がある。この場合、まず、ユニットケーブルの接続部に設けられた取付孔に棒状部材を挿通し、次に、取付孔に挿通された棒状部材にナットなどを取り付け、ユニットケーブルを棒状部材に対して固定する。
【0005】
一方、ケーブル配線のレイアウト変更や、ケーブルの追加などのためにユニットケーブルを棒状部材から取り外す場合には、ナットなどを棒状部材から取り外し、ユニットケーブルを棒状部材の下方側先端面から引き抜くこととなる。このため、ユニットケーブルを棒状部材から取り外す作業時間を要するため、棒状部材に対するユニットケーブルの着脱容易性の向上について改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、棒状部材に対する着脱容易性を向上することができるユニットケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する為、本発明に係るユニットケーブルは、複数の導線を内部に有する複数のケーブルと、前記複数のケーブルの一部を内部に有し、かつ絶縁性を有するケーブル保護部材と、を備え、前記ケーブル保護部材は、対向方向において対向する2つの突出部を有し、2つの前記突出部は、前記対向方向において対向する内周面と、外周面と、前記内周面と前記外周面とに連結し、かつ互いに対向する端面と、をそれぞれ有し、2つの前記内周面は、前記ケーブル保護部材が支持される棒状部材の外周面と少なくともいずれか一方が接触することで、前記棒状部材に対して前記ケーブル保護部材を支持する支持空間部を形成し、2つの前記端面は、前記端面間の隙間が前記棒状部材の径よりも小さく形成され、2つの前記突出部は、少なくとも2つの前記端面を離間する方向に弾性変形可能であり、2つの前記端面は、前記対向方向において対向して形成され、前記隙間は、前記支持空間部の空間部延在方向における両端部において外部と連通し、2つの前記端面は、前記隙間が2つの前記突出部が対向する方向に湾曲して形成される、ことを特徴とする。
また、上記目的を達成する為、本発明に係るユニットケーブルは、複数の導線を内部に有する複数のケーブルと、前記複数のケーブルの一部を内部に有し、かつ絶縁性を有するケーブル保護部材と、を備え、前記ケーブル保護部材は、対向方向において対向する2つの突出部を有し、2つの前記突出部は、前記対向方向において対向する内周面と、外周面と、前記内周面と前記外周面とに連結し、かつ互いに対向する端面と、をそれぞれ有し、2つの前記内周面は、前記ケーブル保護部材が支持される棒状部材の外周面と少なくともいずれか一方が接触することで、前記棒状部材に対して前記ケーブル保護部材を支持する支持空間部を形成し、2つの前記端面は、前記端面間の隙間が前記棒状部材の径よりも小さく形成され、2つの前記突出部は、少なくとも2つの前記端面を離間する方向に弾性変形可能であり、2つの前記突出部は、前記対向方向および前記支持空間部の空間部延在方向と直交する方向から見た場合に、前記空間部延在方向において異なる位置に形成され、2つの前記端面は、前記空間部延在方向において対向して形成され、前記隙間は、前記対向方向における両端部において外部と連通する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るユニットケーブルは、ケーブル保護部材に形成され対向方向に対向する2つの突出部において、内周面が棒状部材を支持する支持空間部を形成し、端面が端面間の隙間が棒状部材の径より小さく形成され、かつ2つの突出部が端面を離間する方向に弾性変形可能であるので、棒状部材を支持空間部から外部に引き抜く際に、2つの突出部が端面を離間する方向に弾性変形することで、端面間の隙間を介して棒状部材を支持空間部から引き抜くことができるので、棒状部材に対する着脱容易性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態1に係るユニットケーブルの斜視図である。
図2図2は、実施形態1に係るユニットケーブルの正面図である。
図3図3は、実施形態1に係るユニットケーブルの動作説明図である。
図4図4は、実施形態1の変形例に係るユニットケーブルの斜視図である。
図5図5は、実施形態2に係るユニットケーブルの斜視図である。
図6図6は、実施形態2に係るユニットケーブルの正面図である。
図7図7は、実施形態2に係るユニットケーブルの部分断面図である。
図8図8は、実施形態2に係るユニットケーブルの動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係るユニットケーブルの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、下記の実施形態における構成要素は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0014】
[実施形態1]
まず、実施形態に係るユニットケーブルについて説明する。図1は、実施形態1に係るユニットケーブルの斜視図である。図2は、実施形態1に係るユニットケーブルの正面図である。図3は、実施形態1に係るユニットケーブルの動作説明図である。ここで、図3は、ユニットケーブルを棒状部材から取り外す際の動作の説明図である。各図におけるX方向は、ユニットケーブルにおける2つの突出部の対向方向である。各図におけるY方向は、ケーブル内部における導線の配列方向であり、対向方向と直交する方向である。Y1方向は引き抜き方向であり、Y2は挿入方向である。各図におけるZ方向は、ユニットケーブルにおける空間部延在方向であり、対向方向および配列方向と直交する方向である。また、本実施形態においては、Z方向は鉛直方向と一致する方向である。Z1方向は上方向であり、Z2方向は下方向である。
【0015】
本実施形態のユニットケーブル1Aは、建物における屋内配線工事の省力化を目的として、例えば屋内天井部のケーブルの配線に使用され、屋内天井部に取り付けられた棒状部材100と固定されることで、屋内天井部、すなわち建物側に固定される。図1に示すように、ユニットケーブル1Aは、複数のケーブル2A〜2Cと、ケーブル保護部材3と、を備え、複数のケーブル2A〜2Cに分岐配線処理を施し、これらのケーブル2A〜2Cにおける不図示の接続部をケーブル保護部材3に集約してプレアセンブリ化(仮組み立て)して形成される。すなわち、ユニットケーブル1Aは、屋内配線工事の際、配線作業員が屋内天井部などのケーブル配線の施工現場において複数のケーブル2A〜2Cの分岐配線作業を行わずに、分岐配線を含む複数のケーブル2A〜2Cの配線作業を行うことを可能とするものである。
【0016】
本実施形態における棒状部材100は、例えば吊ボルトである。吊ボルト100は、ユニットケーブル1Aにおけるケーブル保護部材3を支持するものである。吊ボルト100は、一般に、配管やダクト、空調機などの機器の吊り下げや、軽量鉄骨天井下地(LGS)などを吊るすために用いられる。図3に示すように、吊ボルト100は、長尺状の棒材であり、天井裏などの階層境界部にあるコンクリートスラブなどの支持体に上方の一端部が固定されて、上記支持体から下方に吊り下げられる構成のボルト部材である。吊ボルト100の外周面上には雄ねじ加工が施されたネジ溝(凹凸部)が設けられている。吊ボルト100の下方側の端部は、例えば自由端とすることができる。本実施形態では、吊ボルト100は、支持体から鉛直下方に吊り下げられている。つまり、吊ボルト100は、軸心が鉛直方向に沿って延在するよう設置されている。
【0017】
ケーブル2A〜2Cは、図1および図2に示すように、複数の芯線を内部に有する平型ケーブルである。本実施形態におけるケーブル2A〜2Cは、3芯を有する「ビニル絶縁ビニルシースケーブル平型(VVFケーブル)」であり、上記の芯線を一方向に配列することで、平型に形成される。なお、ケーブル2A〜2Cの芯線の数は3芯に限らない。本実施形態におけるユニットケーブル1Aでは、同一に形成された3本のケーブル2A〜2Cが用いられる。各ケーブル2A〜2Cは、複数の導線21,22,23と、絶縁体24と、外装部材25とを有する。
【0018】
複数の導線21〜23は、ケーブル2A〜2Cにおける芯線である。導線21〜23は、導電性および可撓性を備える金属線(例えば、銅線など)であり、断面円形状に形成される。導線21〜23は、同一に形成された第1導線21と、第2導線22と、第3導線23とである。導線21〜23は、ケーブル2A〜2Cにおいて、各導線21〜23の延在方向が一致するように並べられる。本実施形態における導線21〜23は、ケーブル2A〜2Cの内部において、配列方向に配置される。
【0019】
絶縁体24は、導線21〜23の外周面をそれぞれ被覆するものである。絶縁体24は、導線21〜23の外周面側に合成樹脂(例えば、塩化ビニルなど)を射出成形することにより形成される。絶縁体24は、絶縁性および可撓性を有する。つまり、絶縁体24は、配線作業において導線21〜23が曲がった場合に、導線21〜23に追従して曲がることができるものである。絶縁体24は導線21〜23に対応して、例えば黒、白、赤などの異なる色に着色される。これにより、導線21〜23を視覚的に区別することができ、配線作業時における配線や結線間違い等を防ぐことができる。
【0020】
外装部材25は、ケーブル2A〜2Cの最外殻に設けられるものであり、いわゆるシースである。外装部材25は、配列方向に配列した各導線21〜23の半径方向外側を被覆するものであり、配列方向に並べた導線21〜23の半径方向外側、すなわち外周面側に合成樹脂(例えば、塩化ビニルなど)を射出成形することにより形成される。外装部材25は、断面長円形状に形成される。外装部材25は、絶縁性および可撓性を有する。つまり、外装部材25は、可撓性を有する導線21〜23および絶縁体24が曲がった場合に、追従して曲がることができるものである。
【0021】
ここで、ケーブル2A〜2Cは、一部がケーブル保護部材3の内部に埋設される。埋設される部分は、導線21〜23を結線するための不図示の露出部および接続部である。露出部は、ケーブル2A〜2Cの延在方向の途中において、各外装部材25および絶縁体24がケーブル2A〜2Cの延在方向に沿って切り欠かれ、導線21〜23がケーブル2A〜2Cの外部にそれぞれ露出する部分である。接続部は、各ケーブル2A〜2Cの露出部における導線21〜23がケーブル2A〜2Cの相互間において電気的に接続されるものである。各導線21〜23の電気的な接続方法としては、抵抗溶接法が用いられる。
【0022】
ケーブル保護部材3は、ケーブル2A〜2Cにおける上記接続部を集約し、ユニットケーブル1Aを吊ボルト100に取り付ける際に、吊ボルト100に支持されるものである。また、ケーブル保護部材3は、上記露出部においてケーブル2A〜2Cの外部に露出した導線21〜23を外部からの負荷に対し保護するものである。ケーブル保護部材3は、ケーブル2A〜2Cを空間部延在方向に配列した状態で、少なくともケーブル2の外部に露出した導線21〜23を含むケーブル2A〜2Cの一部を内部に有する。ケーブル保護部材3は、絶縁性を有する合成樹脂であり、露出部および接続部を含む一部をインサート成形によりケーブル保護部材3を構成する合成樹脂に埋設して、ケーブル2A〜2Cと一体化して形成される。ケーブル保護部材3は、空間部延在方向から見た場合に、外形がケーブル2A〜2Cの延在方向を長手方向とする略長方形状に形成される。ケーブル保護部材3は、長手方向の両端部3aから、ケーブル2A〜2Cが突出する。ケーブル保護部材3は、配列方向に対向する側壁のうち一方の側壁31から外部に突出する、2つの突出部32,33を備える。
【0023】
突出部32,33は、吊ボルト100に接触して支持されるものである。突出部32,33は、対向方向に対向し、配列方向に対して線対称に形成される。突出部32、33は、空間部延在方向から見て、挿入方向に突出して延在し、先端面が離間した状態で、互いに対向方向において接近して形成される。突出部32,33は、空間部延在方向から見た場合に、互いに対向する半円弧状に形成される。突出部32,33は、側壁31側の端部がケーブル保護部材3と一体化された固定端となり、上記先端面が自由端となり、後述の端面34,35を離間する方向に弾性変形可能に形成されている。突出部32,33の空間部延在方向における長さは、側壁31の空間部延在方向における長さと同一に形成される。突出部32は、内周面32aと、外周面32bと、端面34とを有する。突出部33は、内周面33aと、外周面33bと、端面35とを有する。
【0024】
内周面32aおよび内周面33aは、少なくとも一方が吊ボルト100の外周面100aと接触する面である。内周面32aおよび内周面33aは、突出部32,33において対向方向において対向する。内周面32a,33aは、空間部延在方向から見た場合に、配列方向において線対称であり、半円弧状に形成される。本実施形態における内周面32a,33aは、空間部延在方向から見た場合に、側壁31側の端部が連結して形成されている。つまり、内周面32a,33aは、空間部延在方向から見て、突出部32,33の先端面において切り欠かれた1つの連続した円筒状に形成される。内周面32a,33aによって、支持空間部3bが形成される。
【0025】
支持空間部3bは、吊ボルト100が挿入され、吊ボルト100の外周面100aと少なくとも一方の内周面32a,33aが接触することにより、吊ボルト100に対してケーブル保護部材3を支持する空間部である。支持空間部3bは、空間部延在方向に延在して形成され、空間部延在方向の両端部において外部と連通する。支持空間部3bの径d1は、吊ボルト100の径d2と同じか、若干小さく形成される。
【0026】
外周面32b,33bは、内周面32a,33aに対して空間部延在方向を中心とした場合に径方向外側に形成され、内周面32a,33aとそれぞれ対向して形成される面である。外周面32b,33bは、内周面32a,33aと同様に、空間部延在方向から見た場合に、配列方向に線対称であり、半円弧状に形成される。外周面32b,33bは、側壁31側の端部が側壁31とそれぞれ連結する。
【0027】
端面34,35は、突出部32,33において、それぞれ内周面32aと外周面32b、内周面33aと外周面33bとを連結する面である。端面34,35は、互いに対向方向に対向し、かつ離間して形成される。端面34,35は、対向方向から見て、矩形形状にそれぞれ形成される。端面34,35は、配列方向から見て、空間部延在方向に沿って直線状に形成される。端面34,35は、空間部延在方向から見た場合に、内周面32a,33aから外周面32b,33bに向かって互いに対向方向に離間するように傾斜して形成される。端面34と端面35との間には、隙間3cが形成される。
【0028】
隙間3cは、支持空間部3bと、外部とを配列方向において連通する空間部である。隙間3cは、突出部32,33に外力が作用していない状態における対向方向における長さl1が、吊ボルト100の径d2よりも小さく形成される。隙間3cは、配列方向において支持空間部3bと外部とに連通し、かつ空間部延在方向における両端部において外部と連通する。
【0029】
次に、ユニットケーブル1Aの吊ボルト100に対する着脱動作について、図1図3を用いて説明する。まず、吊ボルト100に対しユニットケーブル1Aを取り外す動作について説明する。すでに吊ボルト100の下方側端部にナットなどが取り付けられ、ケーブル保護部材3を吊ボルト100の下方側端部から引き抜けない状態において、吊ボルト100に取り付けたユニットケーブル1Aを交換する場合や、他の吊ボルト100に取り付ける場合は、吊ボルト100からユニットケーブル1Aを引き抜くことで取り外す。まず、作業員は、ケーブル保護部材3に引き抜き方向の外力R1を加え、吊ボルト100に対して、ケーブル保護部材3を引き抜き方向に移動させる。このとき、端面34,35の隙間3cの長さl1が吊ボルト100の径d2よりも小さいので、端面34,35に当接した支持空間部3bに位置する吊ボルト100が隙間3cを押し広げるように、すなわち端面34、35を離間する方向に突出部32,33を弾性変形させることで、吊ボルト100が支持空間部3bから隙間3cに進入する。さらに、作業員がケーブル保護部材3に対して引き抜き方向の外力R1を加え続ける。このとき、図3に示すように、吊ボルト100が隙間3cを通過して支持空間部3bから端面34,35を介してケーブル保護部材3の外部に引き抜かれる。これにより、吊ボルト100によるケーブル保護部材3の支持が解除されることとなり、吊ボルト100に対するユニットケーブル1Aの取り外しが完了する。
【0030】
次に、吊ボルト100に対してユニットケーブル1Aを取り付ける動作について説明する。ユニットケーブル1Aが取り外された吊ボルト100に新しいユニットケーブル1Aを取り付ける場合や、取り外したユニットケーブル1Aを他の吊ボルト100に取り付ける場合は、ユニットケーブル1Aに対して吊ボルト100を挿入することで、取り付ける。まず、作業員は、ケーブル保護部材3の隙間3cの空間部延在方向と吊ボルト100の軸方向とが一致し、かつ隙間3cと吊ボルト100とが配列方向において対向するように、吊ボルト100に対してユニットケーブル1Aを位置させる。次に、作業員は、ケーブル保護部材3に挿入方向の外力R2を加え、吊ボルト100に対して、ケーブル保護部材3を挿入方向に移動させる。このとき、端面34、35の隙間3cの長さl1が吊ボルト100の径d2よりも小さいので、端面34,35に当接したケーブル保護部材3の外部に位置する吊ボルト100が隙間3cを押し広げるように、すなわち端面34、35を離間する方向に突出部32,33を弾性変形させることで、吊ボルト100がケーブル保護部材3の外部から隙間3cに進入する。さらに、作業員がケーブル保護部材3に対して挿入方向の外力R2を加え続ける。このとき、図1に示すように、吊ボルト100が隙間3cを通過してケーブル保護部材3の外部から端面34,35を介して支持空間部3bに挿入される。突出部32,33は、吊ボルト100が支持空間部3bに挿入されると弾性復帰し、突出部32の内周面32aおよび突出部33の内周面33aに少なくとも一方が、吊ボルト100の外周面100aと接触することで、ケーブル保護部材3が吊ボルト100によって支持されることとなる。また、突出部32,33が弾性復帰することで、端面34、35の隙間3cの長さl1が吊ボルト100の径d2よりも小さくなるので、ユニットケーブル1Aが吊ボルト100から取り外されることはない。これにより、吊ボルト100によるケーブル保護部材3の支持が行われ、吊ボルト100に対するユニットケーブル1Aの取り付けが完了する。
【0031】
実施形態1におけるユニットケーブル1Aは、ケーブル保護部材3が対向方向に対向する2つの突出部32、33を有し、内周面32a、33aによって吊ボルト100が挿入される支持空間部3bを形成する。突出部32、33は、互いに対向する端面34、35を備え、突出部32、33に外力が作用していない状態における端面34、35の隙間3cの長さl1は、吊ボルト100の径d2よりも小さく形成される。また、突出部32、33は、端面34、35を対向方向に離間する方向に弾性変形可能である。したがって、ユニットケーブル1Aは、ユニットケーブル1Aを吊ボルト100から取り外す際に、2つの突出部32,33が端面34,35を離間する方向に弾性変形させることで、端面34,35間の隙間3cを介して吊ボルト100を支持空間部3bから引き抜くことができる。ケーブル保護部材3を吊ボルト100の下方側端部からのみ引き抜くことができる場合と比較して、ケーブル保護部材3を吊ボルト100に支持されている位置において引き抜き方向に移動させることで取り外すことができるので、ユニットケーブル1Aを吊ボルト100に対して容易に取り外すことができる。また、同様に、ケーブル保護部材3を吊ボルト100の下方側端部からのみ挿入することができる場合と比較して、ケーブル保護部材3を吊ボルト100に支持したい位置において挿入方向に移動させることで吊ボルト100をケーブル保護部材3に挿入することができるので、ユニットケーブル1Aを吊ボルト100に対して容易に取り付けることができる。これらにより、ユニットケーブル1Aは、吊ボルト100に対する着脱容易性を向上することができる。
【0032】
また、例えば、吊ボルト100が、建物の階層の間に設けられるコンクリートスラブなどに上方側の一端が固定され、下方側に天井パネルを嵌め込んだ天井フレームが固定される構造において、ユニットケーブル1Aに対するケーブルの追加や、建物に対するケーブルの配索レイアウト変更などによりユニットケーブル1Aを吊ボルト100から取り外したい場合がある。この場合、ケーブル保護部材3を吊ボルト100の下方側先端面から引き抜くために、吊ボルト100の下方側の端部に固定された天井フレームを取り外さなければならない場合において、ユニットケーブル1Aを取り外す作業は、大きな作業負荷となる。これに対し、ユニットケーブル1Aは、吊ボルト100の下方側端部に天井フレームなどが固定されている場合においても、作業員は、ケーブル保護部材3を引き抜き方向に引っ張るだけで吊ボルト100に対して取り外すことができるので、作業時間を削減し、作業負荷を削減することができるので、作業性および施工性を向上することができる。
【0033】
また、実施形態1におけるユニットケーブル1Aは、突出部32、33において端面34、35が対向方向において対向して形成され、隙間3cが、支持空間部3bの空間部延在方向における両端部において外部と連通して形成されるので、配列方向から見て、隙間3cは、空間部延在方向に沿って直線状に形成されることとなる。したがって、ユニットケーブル1Aを吊ボルト100に対して取り外す、取り付ける際に、作業員がケーブル保護部材3を吊ボルト100に対して配列方向に移動させることだけで、ケーブル保護部材3を吊ボルト100に対して引き抜くことができ、挿入することができる。これにより、ユニットケーブル1Aは、吊ボルト100に対する着脱容易性をさらに向上することができる。
【0034】
[変形例]
次に、実施形態1に係るユニットケーブル1の変形例について説明する。図4は、実施形態1の変形例に係るユニットケーブルの斜視図である。変形例に係るユニットケーブル1Aが実施形態1に係るユニットケーブル1Aと異なる点は、ケーブル保護部材3の後述の突出部32,33の端面34,35の形状、および隙間3cの形状である。なお、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する。
【0035】
変形例に係るユニットケーブル1Aにおけるケーブル保護部材3は、図4に示すように、実施形態1のケーブル保護部材3と同様に、対向方向に対向する端面34,35を有する。端面34,35は、配列方向から見て、対向方向に湾曲して形成される。端面34と端面35との対向方向における湾曲方向は、一致して形成される。つまり、隙間3cは、対向方向に湾曲して形成され、隙間3cの対向方向における長さが空間部延在方向に沿って同じ長さに形成される。本実施形態における端面34,35は、空間部延在方向における両端部を結ぶ直線に対して、隙間3cが対向方向において両方向に突出するように、配列方向から見て波状に形成されている。
【0036】
次に、ユニットケーブル1Aの吊ボルト100に対する着脱動作について、特に、吊ボルト100に対しユニットケーブル1Aを取り外す動作について説明する。まず、作業員は、ケーブル保護部材3に引き抜き方向の外力R1を加え、吊ボルト100に対して、ケーブル保護部材3を引き抜き方向に移動させる。このとき、端面34、35の隙間3cの長さl1が吊ボルト100の径d2よりも小さいので、端面34,35に連結する内周面32a,33aに配列方向において当接する。さらに、作業員がケーブル保護部材3に対して引き抜き方向の外力R1を加え続けると、支持空間部3bに位置する吊ボルト100が隙間3cを押し広げるように、すなわち端面34、35を離間する方向に突出部32,33を弾性変形させることで、端面34,35に当接した後、吊ボルト100が支持空間部3bから隙間3cに進入する。さらに、作業員がケーブル保護部材3に対して引き抜き方向の外力R1を加え続け、吊ボルト100がケーブル保護部材3の外部に引き抜かれ、吊ボルト100に対するユニットケーブル1Aの取り外しが完了する。なお、吊ボルト100の径d2が、隙間3cの対向方向において充分大きい場合など、吊ボルト100の外周面100aと突出部32の内周面32aおよび突出部33の内周面33aとの接触面積が大きい場合は、吊ボルト100に対して配列方向周りにケーブル保護部材3を回転させながら引き抜き方向に移動させてもよい。
【0037】
以上により、変形例に係るユニットケーブル1Aは、端面34、35、および隙間3cが対向方向に湾曲して形成されるので、ユニットケーブル1Aを吊ボルト100に取り付けた状態において、ユニットケーブル1Aに対して引き抜き方向の大きな外力が作用しても、吊ボルト100の外周面100aが端面34,35近傍の内周面32a,33aに接触し、突出部32,33に引き抜き方向において引っ掛かることとなるので、吊ボルト100からケーブル保護部材3が引き抜かれることを抑制することができ、吊ボルト100に対するユニットケーブル1Aの保持力を向上することができる。
【0038】
[実施形態2]
次に、実施形態2に係るユニットケーブル1Bについて説明する。図5は、実施形態2に係るユニットケーブルの斜視図である。図6は、実施形態2に係るユニットケーブルの正面図である。図7は、実施形態2に係るユニットケーブルの部分断面図である。図8は、実施形態2に係るユニットケーブルの動作説明図である。ここで、図7は、図6におけるS−S断面図である。実施形態2に係るユニットケーブル1Bが実施形態1に係るユニットケーブル1Aと異なる点は、ケーブル保護部材4の後述の突出部42、43の側壁41に対する形成位置である。なお、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する。
【0039】
ユニットケーブル1Bにおけるケーブル保護部材4は、ユニットケーブル1Aにおけるケーブル保護部材3と同様に、ケーブル2A〜2Cを内部に有し、長手方向における両端部4aからケーブル2A〜2Cが突出する。ケーブル保護部材4は、配列方向に対向する一方の側壁41から外部に突出する突出部42、43を有する。
【0040】
突出部42、43は、図5図7に示すように、実施形態1のユニットケーブル1Aにおける突出部32、33と同様に、対向方向に対向して形成される。突出部42,43は、空間部延在方向から見て、挿入方向に突出して延在して形成される。突出部42,43は、配列方向から見て、空間部延在方向において異なる位置に形成される。本実施形態における突出部42,43は、1つの側壁41に形成されており、空間部延在方向において突出部42が上方側に形成され、突出部43が下方側に形成される。突出部42,43は、空間部延在方向から見て、対向方向に互いに対向する円弧状に形成されており、空間部延在方向から見た場合に、一方の端部が側壁41と連結され、他方の端部の面、すなわち先端面44,45が外部に露出して形成されている。つまり、突出部42,43は、側壁41側の端部がケーブル保護部材4と一体化された固定端となり、先端面44,45側の端部が自由端となり、後述の端面46,47を離間する方向に弾性変形可能に形成されている。本実施形態における突出部42,43は、空間部延在方向において離間して形成されている。突出部42,43は、側壁41と連結する一方の端部および、先端面44,45とが対向方向において後述する支持空間部4bを挟んで異なる位置となるように形成されている。従って、空間部延在方向から見た場合に、突出部42の側壁41と連結する一方の端部と先端面45とが支持空間部4bを挟んで一方側に位置し、先端面44と、突出部43の側壁41と連結する一方の端部が支持空間部4bを挟んで他方側に位置する。突出部42,43は、空間部延在方向から見た場合に、先端面44,45を含む一部が空間部延在方向において対向、すなわち重なり合う。
【0041】
内周面42a,43aは、実施形態1のユニットケーブル1Aにおける突出部32,33における内周面32a,33aと同様に、突出部42,43において対向方向に対向する面である。内周面42a,43aは、空間部延在方向から見た場合に、配列方向において線対称であり、円弧状に形成される。内周面42a,43aは、空間部延在方向から見た場合に、一方の端部が側壁41とそれぞれ連結し、他方の端部が先端面44,45と連結する。内周面42a,43aは、空間部延在方向から見た場合に、突出部42,43が先端面44,45を含む一部において空間部延在方向に対向するので、1つの連続した円筒状に形成される。内周面42a,43aによって、支持空間部4bが形成される。
【0042】
支持空間部4bは、吊ボルト100が挿入され、吊ボルト100の外周面100aと少なくとも一方の内周面42a,43aが接触することにより、吊ボルト100に対してケーブル保護部材4を支持する空間部である。支持空間部4bは、空間部延在方向に延在して形成され、空間部延在方向の両端部において外部と連通する。支持空間部4bの径d3は、吊ボルト100の径d2と同じか、若干小さく形成される。
【0043】
外周面42b,43bは、内周面42a,43aに対して空間部延在方向を中心とした場合に径方向外側に形成され、内周面42a,43aとそれぞれ対向して形成される面である。外周面42b,43bは、内周面42a,43aと同様に、空間部延在方向から見た場合に、配列方向に線対称であり、円弧状に形成される。外周面42b,43bは、空間部延在方向から見た場合に、一方の端部が側壁41とそれぞれ連結し、他方の端部が先端面44,45と連結する。
【0044】
端面46,47は、突出部42,43において、それぞれ内周面42aと外周面42b、内周面43aと外周面43bとを連結する面である。端面46,47は、突出部42,43において互いに対向する面である。本実施形態における端面46,47は、突出部42,43において空間部延在方向に対向して形成される面である。端面46は、図5および図8に示すように、突出部42において、空間部延在方向に対向する面のうち、突出部43と対向する側の面である。端面47は、突出部43において、空間部延在方向に対向する面のうち、突出部42と対向する側の面である。端面46,47は、配列方向から見た場合に、一部が空間部延在方向において対向して形成される。端面46,47は、配列方向から見て、対向方向に沿って直線状に形成される。つまり、端面46,47は、配列方向から見て、支持空間部4bの延在方向と直交して形成される。
【0045】
隙間4cは、支持空間部4bと、外部とを配列方向において連通する空間部である。隙間4cは、突出部42,43に外力が作用していない状態における空間部延在方向における長さl2が、吊ボルト100の径d2よりも小さく形成される。隙間4cは、配列方向において支持空間部4bと外部とに連通し、かつ対向方向における両端部において外部と連通する。
【0046】
次に、ユニットケーブル1Bの吊ボルト100に対する着脱動作について、特に、吊ボルト100に対しユニットケーブル1Aを取り外す動作について説明する。まず、作業員は、図5に示すように、ケーブル保護部材4に配列方向周りの外力Q1を加え、吊ボルト100の軸方向と隙間4cの延在方向(対向方向)とが一致するまで、吊ボルト100に対してケーブル保護部材4を回転させる。このとき、吊ボルト100は、支持空間部4bに位置する吊ボルト100の外周面100aが端面46,47と当接し、端面46,47の隙間4cの長さl2が吊ボルト100の径d2よりも小さいので、隙間4cを押し広げるように、すなわち端面46,47を離間する方向に突出部42,43を弾性変形させる。次に、作業員は、ケーブル保護部材4に引き抜き方向の外力Q2を加え、吊ボルト100に対して、ケーブル保護部材4を引き抜き方向に移動させる。このとき、隙間4cは、すでに押し広げられているので、吊ボルト100が支持空間部4bから隙間4cに容易に進入する。さらに、作業員がケーブル保護部材4に対して引き抜き方向の外力Q2を加え続ける。このとき、図8に示すように、吊ボルト100が隙間4cを通過して支持空間部4bから端面46,47を介してケーブル保護部材4の外部に引き抜かれる。これにより、吊ボルト100によるケーブル保護部材4の支持が解除されることとなり、吊ボルト100に対するユニットケーブル1Bの取り外しが完了する。
【0047】
次に、吊ボルト100に対してユニットケーブル1Bを取り付ける動作について説明する。まず、作業員は、ケーブル保護部材4の隙間4cの延在方向(対向方向)と吊ボルト100の軸方向とが一致し、かつ隙間4cと吊ボルト100とが配列方向において対向するように、吊ボルト100に対してユニットケーブル1Bを位置させる。次に、作業員は、ケーブル保護部材4に挿入方向の外力Q3を加え、吊ボルト100に対して、ケーブル保護部材4を挿入方向に移動させる。このとき、端面46,47の隙間4cの長さl2が吊ボルト100の径d2よりも小さいので、端面46,47に当接したケーブル保護部材4の外部に位置する吊ボルト100が隙間4cを押し広げるように、すなわち端面46,47を離間する方向に突出部42,43を弾性変形させることで、吊ボルト100がケーブル保護部材4の外部から隙間4cに進入する。さらに、作業員がケーブル保護部材4に対して挿入方向の外力Q3を加え続ける。このとき、吊ボルト100が隙間4cを通過してケーブル保護部材4の外部から端面46,47を介して支持空間部4bに挿入される。次に、作業員は、ケーブル保護部材4に配列方向周りの外力Q4を加え、図5に示すように、吊ボルト100の軸方向と支持空間部4bの空間部延在方向とが一致するまで、吊ボルト100に対してケーブル保護部材4を回転させる。突出部42,43は、吊ボルト100が支持空間部4bに挿入され、回転されると弾性復帰し、突出部42の内周面42aおよび突出部43の内周面43aに少なくとも一方が、吊ボルト100の外周面100aと接触することで、ケーブル保護部材4が吊ボルト100によって支持されることとなる。また、突出部42,43が弾性復帰することで、端面46,47の隙間4cの長さl2が吊ボルト100の径d2よりも小さくなるので、ユニットケーブル1Bが吊ボルト100から取り外されることはない。これにより、吊ボルト100によるケーブル保護部材4の支持が行われ、吊ボルト100に対するユニットケーブル1Bの取り付けが完了する。
【0048】
実施形態2におけるユニットケーブル1Bは、突出部42、43が、対向方向および配列方向から見て、空間部延在方向において異なる位置に形成され、かつ空間部延在方向から見て、先端面44、45が互いの突出部42、43に位置するように形成される。また、突出部42、43において互いに対向する面である端面46、47は、突出部42、43において空間部延在方向に対向して形成されるので、隙間4cは、対向方向における両端部において外部と連通する。従って、ユニットケーブル1Bを吊ボルト100に取り付けた状態において、ユニットケーブル1Bに対して引き抜き方向の大きな外力が作用しても、吊ボルト100の外周面100aが端面46,47近傍の内周面42a,43aに接触し、突出部42,43に引き抜き方向において引っ掛かることとなる。また、ユニットケーブル1Bに、吊ボルト100に対して単に引き抜き方向の外力が作用しても、隙間4cの延在方向が引き抜き方向と交差、本実施形態では直交しているので、隙間4cが押し広げられることが抑制される。これらにより、吊ボルト100からケーブル保護部材4が引き抜かれることを抑制することができ、吊ボルト100に対するユニットケーブル1Bの保持力を向上することができる。
【0049】
本実施形態および変形例における棒状部材100は、吊ボルトとしたが、これに限らない。例えば、外周面に溝が形成されていない棒状部材であってもよい。この場合は、ケーブル保護部材3,4の棒状部材100に対する取り付け位置を維持するために、支持空間部3b、4bの径d1、d3を棒状部材100の径d2より充分小さく形成することが好ましい。
【符号の説明】
【0050】
1A、1B ユニットケーブル
2A〜2C ケーブル
3 ケーブル保護部材
3a 両端部
3b 支持空間部
3c 隙間
31 側壁
32 突出部
32a 内周面
33 突出部
33a 内周面
34、35 端面
4 ケーブル保護部材
4a 両端部
4b 支持空間部
4c 隙間
41 側壁
42 突出部
42a 内周面
43 突出部
43a 内周面
44、45 先端面
46、47 端面
d1〜d3 径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8