特許第6867861号(P6867861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6867861
(24)【登録日】2021年4月13日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】空気調和機の室外機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/46 20110101AFI20210426BHJP
【FI】
   F24F1/46
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-87155(P2017-87155)
(22)【出願日】2017年4月26日
(65)【公開番号】特開2018-185101(P2018-185101A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀人
(72)【発明者】
【氏名】山内 裕文
(72)【発明者】
【氏名】二見 一平
【審査官】 奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−008321(JP,A)
【文献】 特開2008−292062(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0074559(US,A1)
【文献】 特開2012−036754(JP,A)
【文献】 特開平08−136008(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/161276(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103127784(CN,A)
【文献】 特開2013−029236(JP,A)
【文献】 特開2005−076923(JP,A)
【文献】 特開2011−084122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00−13/32
F25B 1/00−49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクルの一部を構成するタンクと、
前記タンクを支持する支持部材と、
を備え、
前記支持部材は、複数の支持部材パーツをそれぞれ異なる方向に向けた状態で組み合わせた構成であり、
複数の前記支持部材パーツは、それぞれ前記タンクが載置される平面部を有する空気調和機の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和機の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室外機において、冷凍サイクルの一部を構成するタンクである例えばアキュームレータは、室外機本体の内部において支持部材により固定されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−168270号公報
【特許文献2】特開2010−175138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の支持部材は、絞り加工が施されることにより強度を確保しており、従って、支持部材の形状が複雑であり、また、支持部材を製造する際に当該支持部材に絞り加工を施すための型が必要であるため製造コストが高くなってしまう。
【0005】
そこで、冷凍サイクルの一部を構成するタンクを支持する支持部材について、その形状が複雑化することを回避することができ、また、支持部材の製造コストを抑えることができる空気調和機の室外機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る空気調和機の室外機は、冷凍サイクルの一部を構成するタンクと、前記タンクを支持する支持部材と、を備える。前記支持部材は、複数の支持部材パーツをそれぞれ異なる方向に向けた状態で組み合わせた構成であり、複数の前記支持部材パーツは、それぞれ前記タンクが載置される平面部を有する
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る空気調和機の室外機の構成例を概略的に示す外観斜視図
図2】空気調和機の室外機の内部の構成例を概略的に示す斜視図
図3】支持部材の構成例を概略的に示す平面図
図4】支持部材パーツの構成例を概略的に示す斜視図
図5】機械室の底部の構成例を概略的に示す斜視図
図6】機械室の底部の構成例を概略的に示す縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、空気調和機の室外機に係る一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に例示する空気調和機の室外機10は、その外郭を構成する室外機本体11の前面に複数、この場合、2つの空気吹出口12を備えている。図2に例示するように、室外機本体11の内部には、送風機13、熱交換器14、圧縮機15、アキュームレータ16、電気部品箱17などが備えられている。室外機本体11の内部は、熱交換室11Aと機械室11Bとに仕切られている。そして、送風機13、熱交換器14は、熱交換室11A内に設けられている。一方、圧縮機15、アキュームレータ16、電気部品箱17は、機械室11B内に設けられている。
【0009】
図1に例示するように、室外機本体11の右側の下部、つまり、機械室11B側の下部には、パネル18が着脱可能に取り付けられている。例えば作業者は、このパネル18を取り外すことにより、機械室11Bの下部に手や工具などを入れて作業をすることができるようになっている。
【0010】
図2に例示するように、送風機13は、室外機本体11前面の空気吹出口12に対応して複数、この場合、2つ設けられている。これら送風機13が駆動することにより、室外機本体11の外部の空気が室外機本体11の内部に吸い込まれ、熱交換器14と熱交換する。そして、熱交換器14と熱交換した空気は、送風機13による送風作用により空気吹出口12から室外機本体11の外部に吹き出される。熱交換器14、圧縮機15、アキュームレータ16は、周知の冷凍サイクル19を構成している。電気部品箱17は、室外機の動作全般を制御する図示しない制御装置などを格納している。
【0011】
冷凍サイクル19の一部を構成するアキュームレータ16は、タンクの一例であり、室外機本体11の上下方向に沿って延びる長尺なほぼ円柱形状をなしている。そして、アキュームレータ16は、機械室11B内において、支持部材20により下方から支持された状態で取り付けられている。
【0012】
本実施形態では、この支持部材20に創意工夫を施している。次に、この支持部材20の構成例について詳細に説明する。図3および図4に例示するように、支持部材20は、1つの部材として構成されているのではなく、複数、この場合、2つの支持部材パーツ21,22を組み合わせた構成となっている。支持部材パーツ21,22は、何れも、金属製の板材を折り曲げることにより構成されており、その全部または一部に対し絞り加工が施されていない構成となっている。
【0013】
支持部材パーツ21は、全体として、前後方向の寸法が左右方向の寸法よりも長い長尺な形状をなしている。支持部材パーツ21は、垂直方向に延びる垂直平面部211、この垂直平面部211の上端部から右側に向かって折り曲げられた水平方向に延びる上部平面部212、垂直平面部211の下端部から右側に向かって折り曲げられた水平方向に延びる下部平面部213、垂直平面部211の前端部から右側に向かって折り曲げられた垂直方向に延びる前部平面部214、垂直平面部211の後端部から右側に向かって折り曲げられた垂直方向に延びる後部平面部215を有している。
【0014】
垂直平面部211は、支持部材パーツ21の主体となる平面部である。垂直平面部211は、絞り加工が施されていない平坦な面部となっており、その前後方向のほぼ中央部に複数、この場合、3つのねじ孔211aを有している。なお、図4では、2つのねじ孔211aのみを示している。上部平面部212は、アキュームレータ16が載置される平面部である。上部平面部212は、絞り加工が施されていない平坦な面部となっており、その前後方向の両端部にねじ孔212aを有している。
【0015】
下部平面部213は、支持部材パーツ21の脚部となる平面部である。下部平面部213は、絞り加工が施されていない平坦な面部となっており、その前後方向のほぼ中央部に複数、この場合、2つの水抜き孔213aを有している。また、下部平面部213は、その右端部に複数、この場合、2つのねじ孔213bと1つのねじ孔213cを有している。ねじ孔213cを挟んで前後にねじ孔213bが設けられている。ねじ孔213cの開口径は、水抜き孔213aおよびねじ孔213bの開口径よりも小さくなっている。
【0016】
前部平面部214は、絞り加工が施されていない平坦な面部となっており、その上部が右側に向かって延出されている。前部平面部214の延出部分の上部は水平方向に折り曲げられており、上部平面部212の前端部の下方に位置している。前部平面部214の延出部分には、図示しないねじ孔が設けられており、このねじ孔は、上部平面部212の前端側のねじ孔212aに重なっている。これにより、アキュームレータ固定用ねじ孔部217が構成されている。
【0017】
後部平面部215は、絞り加工が施されていない平坦な面部となっており、その上部が右側に向かって延出されている。後部平面部215の延出部分の上部は水平方向に折り曲げられており、上部平面部212の後端部の下方に位置している。後部平面部215の延出部分には、図示しないねじ孔が設けられており、このねじ孔は、上部平面部212の後端側のねじ孔212aに重なっている。これにより、アキュームレータ固定用ねじ孔部218が構成されている。
【0018】
支持部材パーツ21は、前部平面部214と後部平面部215とにより、上部平面部212の前後の端部が下方から支持されている。これにより、支持部材パーツ21の強度、特に上部平面部212の強度が向上する。
【0019】
一方、支持部材パーツ22は、全体として、左右方向の寸法が前後方向の寸法よりも長い長尺な形状をなしている。支持部材パーツ22は、垂直方向に延びる垂直平面部221、この垂直平面部221の上端部から前側に向かって折り曲げられた水平方向に延びる上部平面部222、垂直平面部221の下端部から後側に向かって折り曲げられた水平方向に延びる下部平面部223、上部平面部222の前端部から下側に向かって折り曲げられた垂直方向に延びる前部平面部224、垂直平面部221の右端部から後側に向かって折り曲げられた垂直方向に延びる右部平面部225、前部平面部224の右端部から前側に向かって折り曲げられた垂直方向に延びる右部平面部226を有している。
【0020】
垂直平面部221は、支持部材パーツ22の主体となる平面部である。垂直平面部221は、絞り加工が施されていない平坦な面部となっており、また、ねじ孔などが形成されていない平坦な面部となっている。
【0021】
上部平面部222は、アキュームレータ16が載置される平面部である。上部平面部222は、絞り加工が施されていない平坦な面部となっており、その左端部に引っ掛け部227を有している。引っ掛け部227は、上部平面部222の左端部から上側に向かって折り曲げられた垂直方向に延びる本体部227aの下部に、前後方向に延びるスリット227bを有する構成となっている。なお、この引っ掛け部227も、絞り加工が施されていない平坦な面部となっている。
【0022】
下部平面部223は、支持部材パーツ22の脚部となる平面部である。下部平面部223は、絞り加工が施されていない平坦な面部となっており、その左右方向のほぼ中央部に、この場合、1つのねじ孔223aを有している。前部平面部224は、絞り加工が施されていない平坦な面部となっており、また、ねじ孔などが形成されていない平坦な面部となっている。右部平面部225は、絞り加工が施されていない平坦な面部となっており、その上下方向の両端部にねじ孔225aを有している。右部平面部226は、絞り加工が施されていない平坦な面部となっており、その下端部にねじ孔226aを有している。
【0023】
支持部材20は、2つの支持部材パーツ21,22をそれぞれ異なる方向に向けた状態で組み合わせた構成となっている。即ち、支持部材20は、支持部材パーツ21を、その長手方向を前後方向に向けた状態で、且つ、支持部材パーツ22を、その長手方向を左右方向に向けた状態で、これら支持部材パーツ21,22を相互にねじ止めすることにより構成される。
【0024】
具体的には、支持部材パーツ21の垂直平面部211の左面に支持部材パーツ22の右部平面部225および右部平面部226を対向させる。そして、垂直平面部211の3つのねじ孔211aと、右部平面部225の2つのねじ孔225aおよび右部平面部226の1つのねじ孔226aとを対向させ、これらのねじ孔をねじ30によりねじ止めする。これにより、2つの支持部材パーツ21,22からなる支持部材20が構成される。このように構成される支持部材20は、図3に例示するように、当該支持部材20を上方から見ると、支持部材パーツ21の左右方向のほぼ中央部から支持部材パーツ22が左方に向かって突出した形状、いわゆるT字形状をなしている。
【0025】
図5に例示するように、このように構成される支持部材20は、機械室11Bの底部に取り付けられる。このとき、支持部材20は、支持部材パーツ21の下部平面部213のねじ孔213bがねじ31によりねじ止めされ、且つ、支持部材パーツ22の下部平面部223のねじ孔223aがねじ32によりねじ止めされることにより、機械室11Bの底部に強固に固定される。
【0026】
そして、アキュームレータ16は、このように機械室11Bの底部に固定された支持部材20の上部に載置される。ここで、アキュームレータ16は、その下部に複数、この場合、3つの脚部16aを備えている。なお、図5では、2つの脚部16aのみを示している。このうち、アキュームレータ16の右側に設けられている2つの脚部16aは、支持部材パーツ21の上部に設けられているアキュームレータ固定用ねじ孔部217,218にねじ33によりねじ止めされる。一方、アキュームレータ16の左側に設けられている1つの脚部16aは、支持部材パーツ22の上部に設けられている引っ掛け部227に引っ掛けられる。
【0027】
図6に例示するように、室外機本体11の一部を構成するパネル18には、空気取り入れ口18aが設けられている。空気取り入れ口18aは、いわゆるガラリ構造により通気可能に構成されている。そして、機械室11B内には、ルーバダクト40が設けられている。ルーバダクト40は、空気取り入れ口18aから流入する空気に含まれる埃類を機械室11B内に進入しにくくするための構成要素である。この場合、ルーバダクト40も、いわゆるガラリ構造により通気可能に構成されている。
【0028】
そして、このルーバダクト40は、支持部材20に固定されている。具体的には、ルーバダクト40は、その下端部が、支持部材パーツ21の下部平面部213のねじ孔213cにねじ34によりねじ止めされている。
【0029】
そして、支持部材20に固定されたルーバダクト40は、パネル18が取り外された状態では、室外機本体11の外側、この場合、右側に向かって若干押し出された状態となるように設計されている。そして、パネル18が取り付けられると、そのパネル18によりルーバダクト40が室外機本体11の内側、この場合、左側に押し戻される状態となるように設計されている。これにより、パネル18が取り付けられた状態では、ルーバダクト40がパネル18の内面つまり空気取り入れ口18aの内面に押し付けられるような状態となり、これにより、空気取り入れ口18aとルーバダクト40との間に隙間が生じにくい構成となっている。
【0030】
本実施形態に係る空気調和機の室外機10によれば、冷凍サイクル19の一部を構成するアキュームレータ16を支持する支持部材20は、2つの支持部材パーツ21,22をそれぞれ異なる方向に向けた状態で組み合わせた構成となっている。即ち、本実施形態によれば、支持部材20を、1つの部材ではなく、複数の支持部材パーツ21,22を組み合わせることにより構成する。従って、支持部材パーツ21,22を、それぞれ、絞り加工を施すことなく単に折り曲げた単純な形状とすることができ、支持部材20の形状が複雑化することを回避することができる。また、絞り加工用の型が不要であることから、支持部材20の製造コストを抑えることができる。
【0031】
また、本実施形態によれば、2つの支持部材パーツ21,22をそれぞれ異なる方向に向けた状態で組み合わせることにより、いわゆるT字形状をなす支持部材20を構成している。このようにT字形状をなす支持部材20は、その強度が向上することから、アキュームレータ16が大型であったとしても、安定して支持することができる。特に、本実施形態で例示した室外機10は、複数の室内機が接続され、複数の送風機13を備える大型の室外機であることから、アキュームレータ16も大型化する傾向がある。従って、本実施形態に係る支持部材20は、このような大型の室外機10におけるタンクを支持する支持部材として好適である。
【0032】
また、本実施形態に係る支持部材20によれば、その一部を構成する支持部材パーツ21において上部平面部212と下部平面部213との間に空間を確保することができる。そのため、この空間を配線や配管を収めるための空間として利用することができ、スペースが限られる室外機本体11内の空間を有効に活用することができる。
【0033】
また、本実施形態に係る室外機10によれば、空気取り入れ口18aとルーバダクト40との間に隙間が生じにくい構成となっている。そのため、空気取り入れ口18aから流入する空気に含まれる埃類の進入をルーバダクト40により一層抑制することができる。
【0034】
なお、本実施形態は、上述した実施形態に限られるものではなく、例えば、次のように変形または拡張することができる。例えば、支持部材20は、3つ以上の複数の支持部材パーツにより構成してもよい。また、支持部材20は、複数の支持部材パーツを接触させた構成としてもよいし、離間させた構成としてもよい。また、支持部材パーツは、絞り加工を施さないものであれば、種々の形状、大きさで設計することができる。
【0035】
また、支持部材パーツは、その大半の部分に絞り加工が施されていない構成としてもよく、その一部、例えば、ねじ止め部や引っ掛け部などに絞り加工を施す構成としてもよい。また、支持部材20の形状は、複数の支持部材パーツを組み合わせることにより、例えば、矩形状、矩形枠状、いわゆるH字形状、三角形状、多角形状、環状など種々の形状で構成することができる。また、本実施形態は、アキュームレータ16を支持する支持部材20に限られず、その他の構成要素を支持する支持部材にも適用することができる。
【0036】
本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
図面中、10は空気調和機の室外機、16はアキュームレータ(タンク)、19は冷凍サイクル、20は支持部材、21,22は支持部材パーツを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6