特許第6867892号(P6867892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6867892
(24)【登録日】2021年4月13日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】遊技用装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20210426BHJP
【FI】
   A63F5/04 691E
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-119539(P2017-119539)
(22)【出願日】2017年6月19日
(65)【公開番号】特開2019-521(P2019-521A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2020年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野坂 利之
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 安隆
【審査官】 生駒 勇人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−158547(JP,A)
【文献】 特開2016−112086(JP,A)
【文献】 特開2004−016252(JP,A)
【文献】 特開2016−010596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計数者が遊技媒体を投入する投入部と、
前記投入部に投入された遊技媒体を貯留する貯留部と、
遊技媒体を計数する計数部と、
前記投入部に遊技媒体が投入された際に、所定の誘導抑制状態が発生していなければ、前記貯留部の遊技媒体を前記計数部に誘導する誘導動作を実行する一方、前記誘導抑制状態が発生していれば、当該誘導抑制状態が終了するまで前記誘導動作の実行を待機する誘導手段と、を備え
前記誘導手段は、前記誘導抑制状態が終了した場合、当該誘導抑制状態中に前記投入部に遊技媒体が投入されたか否かに関わらず、前記誘導動作を実行することを特徴とする遊技用装置。
【請求項2】
計数者が遊技媒体を投入する投入部と、
前記投入部に投入された遊技媒体を貯留する貯留部と、
遊技媒体を計数する計数部と、
前記投入部に遊技媒体が投入された際に、所定の誘導抑制状態が発生していなければ、前記貯留部の遊技媒体を前記計数部に誘導する誘導動作を実行する一方、前記誘導抑制状態が発生していれば、当該誘導抑制状態が終了するまで前記誘導動作の実行を待機する誘導手段と、
遊技者が発行操作を行った場合に、前記計数部の計数結果を特定可能な情報を記録した記録媒体を発行する発行手段と、を備え
前記誘導手段は、前記記録媒体を発行している場合に前記誘導抑制状態が発生していると判断すると共に、当該記録媒体の発行が終了した場合に前記誘導抑制状態が終了したものとして、前記誘導動作を実行し、
前記発行手段は、前記記録媒体の発行中に前記投入部に遊技媒体が投入された場合、その記録媒体の発行を中止することが可能なタイミングであれば、その記録媒体の発行を中止することを特徴とする遊技用装置。
【請求項3】
計数者が遊技媒体を投入する投入部と、
前記投入部に投入された遊技媒体を貯留する貯留部と、
遊技媒体を計数する計数部と、
前記投入部に遊技媒体が投入された際に、所定の誘導抑制状態が発生していなければ、前記貯留部の遊技媒体を前記計数部に誘導する誘導動作を実行する一方、前記誘導抑制状態が発生していれば、当該誘導抑制状態が終了するまで前記誘導動作の実行を待機する誘導手段と、
遊技者が発行操作を行った場合に、前記計数部の計数結果を特定可能な情報を記録した記録媒体を発行する発行手段と、を備え
前記誘導手段は、遊技者が前記発行操作を行った場合、前記発行手段が前記記録媒体を発行する前に、前記誘導動作を実行し、
前記発行手段は、前記記録媒体の発行中に前記投入部に遊技媒体が投入された場合、その記録媒体の発行を中止することが可能なタイミングであれば、その記録媒体の発行を中止することを特徴とする遊技用装置。
【請求項4】
遊技者が払出操作を行った場合に、前記遊技媒体を遊技者に払い出す払出手段を備え、
前記誘導手段は、前記払出手段が遊技媒体を払い出している場合に前記誘導抑制状態が発生していると判断すると共に、その遊技媒体の払出が終了した場合に前記誘導抑制状態が終了したものとして、前記誘導動作を実行することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載した遊技用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機が設置された遊技場では、遊技機と1対1で対応付けて遊技者が獲得した遊技媒体を計数する機能を有した貸出装置(遊技用装置)を設けている。例えば特許文献1には、メダルを貸し出す機能と、遊技者が獲得したメダルを計数する機能とを備えた貸出装置について記載されている。この貸出装置では、メダルの投入を検出した場合に計数を開始すると共に、所定時間新たなメダルの投入を検出しなかった場合に計数を終了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−10596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、遊技媒体の投入タイミングは遊技者によってまちまちである。このため、例えばICカードの発行中等に遊技媒体が投入されると、ICカード発行用の駆動部とメダル計数用の駆動部とが同時に動くことで電力負荷や処理負荷が大きくなり、計数できない遊技媒体が発生する等、遊技媒体の計数が正常に行えなくなることが考えられる。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、その目的は、遊技媒体の計数を良好に行う遊技用装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
遊技用装置は、誘導抑制状態が発生している場合には誘導動作の実行を待機するので、誘導抑制状態において誘導動作が発生することを抑制できる。これにより、処理負荷や電力負荷が大きくなることを抑制し、遊技媒体の計数を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態を示す全体構成図
図2】貸出装置の機能ブロック図
図3】貸出装置の一部を破断して示す側面図
図4】計数ユニットを示す斜視図
図5】誘導抑制状態設定処理のフローチャート
図6】計数処理のフローチャート
図7】カード発行処理のフローチャート
図8】発行中止処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、遊技用システムの全体構成を概略的に示している。遊技場内には、多数の遊技機(例えばスロットマシン)1が設置されており、各遊技機1に対応して貸出装置2及びデータ表示機3が夫々付設されている。遊技機1、貸出装置2及びデータ表示機3は、2台ずつ中継装置4に接続されている。データ表示機3は、対応する遊技機1の上方に設置されており、中継装置4で受信する信号に基づき各種の遊技データを表示する。中継装置4は、LAN5を介して管理装置6に接続されている。
【0009】
管理装置6は、遊技場内の例えば事務所等に設置されており、モニタ6m、キーボード6k等が接続されている。管理装置6は、遊技機1、貸出装置2、データ表示機3等から出力される遊技信号を入力することで、それら遊技機1側の機器の稼働状況を管理する。尚、図1では図示を省略したが、同図のスロットマシンの他、所謂パチンコ遊技機も含めて例えば数百台の遊技機1が管理装置6の管理対象となっており、遊技場内に形成された遊技機島に、それら遊技機1側の機器が設置されている。また、遊技機1がスロットマシンの場合、その遊技媒体はメダルであり、遊技機がパチンコ遊技機であれば、遊技媒体はパチンコ玉である。
【0010】
遊技機1は、表示窓11、リール12、スタートレバー13、ストップボタン14、液晶表示部15、メダル投入口16、BETボタン17、受皿18等を備えている。遊技者は、表示窓11を通じて内部に設けられたリール12に描かれた図柄を視認可能となっている。遊技者がメダル(遊技価値)をメダル投入口16に投入する、又はBETボタン17を操作することで、クレジットメダル(遊技価値)が所定枚数ベットされ、その状態でスタートレバー13の操作つまりゲームの開始操作が行われると、内部抽選を実行すると共に図柄の変動を開始させ、ストップボタン14が操作されると、所謂引込制御(予め規定された引込範囲である例えば4図柄まで図柄を有効ライン上に引込んで停止表示させる制御)によりリール12の変動を停止する。
【0011】
この遊技機1には、周知のようにボーナス役、小役、リプレイ役等の役が設定されており、上記した内部抽選時に何れの役に内部当選した状態で遊技者によりストップボタン14が操作され、予め設定されている有効ライン上にその内部当選役に対応する図柄が停止表示されると(図柄が揃うと)、入賞が発生する。そして、入賞が発生した場合には、対応する枚数のメダルの払出(遊技価値の付与)または大当たり状態(ボーナス状態)等への移行が行われる。
【0012】
遊技機1は、遊技の実行に応じて各種の遊技信号を出力する。具体的には、遊技機1は、遊技機1に対して投入された遊技媒体の数を示す投入信号、入賞の発生により払出された遊技媒体の数を示す払出信号、ゲームが開始されたことを示すスタート信号、大当たり状態が発生したことを示す大当たり信号(ボーナス信号)等を出力する。データ表示機3や管理装置6は、これらの遊技信号を遊技機1から中継装置4を経由して入力することに基づき、遊技情報の集計及び管理、大当たり状態の特定等を行う。
【0013】
貸出装置2は、動作状態を示すLEDからなる動作ランプ21、貨幣が投入される貨幣投入口22、各種表示を行う液晶表示部23、液晶表示部23上に配設されたタッチパネル23a、図示しないICカード(記録媒体)が挿入されるカード挿入口24、操作ボタン群25、操作ボタン群25に含まれる払出操作用の払出ボタン25a(或いは貸出ボタン25b)の押下に応じてメダルを遊技機1の受皿18に払出す払出ノズル27等を備えている。
【0014】
貸出装置2は、貨幣投入口22から貨幣を受け付けると、表示部23にて入金額が残高に加算して表示され、残高がある状態で遊技者が貸出ボタン25bを押下(貸出操作、付与操作)すると払出単位(例えば1000円)分の貸出メダル(対価付与価値)を払出ノズル27から払い出し(対価付与処理)、その対価分を残高から減算する。尚、貨幣は複数回分の対価付与処理の対応分を受付可能である(例えば1万円まで)。
【0015】
本実施形態の貸出装置2は、所謂各台計数機能を有する遊技用装置であり、例えば遊技者が言わば計数者としてメダルを投入する投入部30(計数受入れ部)を備える。貸出装置2は、その投入されたメダルを後述する計数部(計数センサ32a)で計数して持玉として管理し、その持玉を対価とした払戻処理を行った場合はその対価分(払い戻したメダルと同数)を持玉から減算する。そして、貸出装置2は、残高や持玉が残存する状態で遊技者が予め定められた発行操作を行った場合に、残高や持玉(計数センサ32aでの計数結果)を特定可能な情報を記録したICカードを発行する。一方、カード挿入口24にてICカードを受け付けた場合は、そのICカードにより特定される残高や持玉を引継ぐ。
【0016】
前記発行操作は、例えば液晶表示部23のメニュー画面(図示略)に表示される発行ボタンを、遊技者がタッチパネル23aでタッチ(以下「タッチ操作」と略す)することにより行うものとする。また、本実施形態では、以降の説明を含め遊技媒体がメダルとなるスロットマシンを例示しているが、説明の都合上、持「玉」等、遊技媒体をメダルではなく玉と表現する場合がある。
【0017】
図2は、貸出装置2の電気的構成を示す機能ブロック図である。貸出装置2は、CPU20a、ROM20b、RAM20c、I/O20dを有するマイクロコンピュータにより構成される制御部20により動作する。制御部20には、動作ランプ21、貨幣投入口22に投入された貨幣(紙幣)を処理する貨幣処理部22a、液晶表示部23、タッチパネル23a、ICカードに記録されている各種情報を読取ったり書込んだりするカードRW(リーダライタ)24a、中継装置4との間で各種信号を入出力する入出力部29、払出ボタン25aや貸出ボタン25bといった操作ボタン群25が接続されている。
【0018】
また、図2に示すように、制御部20には、自装置2が搭載するアクチュエータとして後述するカード搬送用の駆動モータ24b、払出用のホッパ(払出ホッパ31、図3参照)の駆動モータ31b、計数用のホッパ(計数ホッパ32)の駆動モータ32bが接続されると共に、それらホッパ31,32に配設された各種センサ31a,32a、32sが接続されている。
【0019】
さて、貸出装置2において、メダルを投入部30に投入するタイミングは遊技者によってまちまちである。従って仮に、メダルの投入部30への投入に際して、ICカードの発行が行われると、そのカード搬送用の駆動モータ24bと計数ホッパ32の駆動モータ32bとが同時に動作することで電力負荷や処理負荷が大きくなり、計数できないメダルが生じる等して、正常な計数を行えなくなる事態も想定される。それ故、カード搬送用の駆動モータ24b等が動作している状態は、計数ホッパ32の動作(誘導動作)を抑制すべき、誘導抑制状態にあるものといえる。
【0020】
そこで、貸出装置2の制御部20は、投入部30にメダルが投入された際に、予め定められた誘導抑制状態が発生していなければ、その投入されたメダルを貯留する計数ホッパ32内のメダルを計数センサ32aに誘導する誘導動作を実行する一方、誘導抑制状態が発生していれば、当該誘導抑制状態が終了するまで誘導動作の実行を待機する。係る貸出装置2の具体的構成について、図3図4も参照しながら詳述する。
【0021】
図3は、貸出装置2について下部を破断して示す右側面図であり、貸出装置2の上部には、駆動モータ24bを備えるカード搬送機構(図示略)が配設されている。カード搬送機構は、貸出装置2に内蔵されたカード搬送用の複数のローラとその駆動モータ24bとを含み、ICカードを、駆動モータ24bの駆動により上記カードRW24a側(或いは図示しないカードストック部側)や、カード挿入口24側へとそれら所定位置に搬送するように構成されている。従って、ICカードを発行する発行手段としては、カードRW24aやカード搬送機構の他、駆動モータ24bを制御する制御部20が含まれる。
【0022】
図3に示すように、貸出装置2には、上下方向における略中間部に位置して払出ホッパ31が内蔵されている。払出ホッパ31は、上面側が開放されたホッパ形状の貯留部31cと、その基台部31dとを備えている。貯留部31cには、貸出装置2の背面側に設けられた補給路33等を介して、補給されるメダルを貯留する。また、詳しい図示は省略するが、払出ホッパ31の基台部31dの前面側には払出口31eが設けられ、貯留部31cの底部には、駆動モータ31bにより回転する回転盤31fが設けられている。
【0023】
払出ホッパ31は、駆動モータ31bの駆動により回転盤31fを回転させて、貯留部31c内のメダルを払出口31eから払出す。このとき、払出口31eから払出したメダルは、図3に示す払出ノズル27へ連なる払出経路Aを介して、遊技機1の受皿18へと流下する。また、制御部20は、遊技者が予め定められた払出操作(前記貸出操作による貸出処理或いは前記持玉を対価とした再プレイ処理等)を行った場合に、上記した駆動モータ31bを駆動させて、貯留部31c内のメダルを、払出通路Aを介して払出ノズル27から払出すようになっており、その払出ホッパ31と共に払出手段を構成する。
【0024】
尚、貯留部31cの下側に配設された払出検知センサ31aは、払出しに係るメダル(或いは貯留部31c内のメダル)を検知するものとする。また、回転盤31fの構成については、以下に説明する計数ホッパ32の回転盤32fと同様の構成を採用することができ、その詳細な説明を省略する。
【0025】
計数ホッパ32は、払出ホッパ31の下方に位置して貸出装置2に内蔵されている。計数ホッパ32は、図4の外観斜視図で示すように、上面側が開放されたホッパ形状の貯留部32cと、その基台部32dを備えており、貸出装置2前面側の投入部30に投入されたメダルを、計数経路B1(図3の破線矢印参照)を介して貯留部32c内に貯留する。ここで、投入部30は、図3に示すように蓋30aを開いた状態で、貸出装置2の前面側にて上方からメダルを受入れるように開口している。投入部30の底壁30bは、上方から投入されるメダルが後方の貯留部32cへと滑り落ちるような斜面とすることで、投入経路B1を形成している。
【0026】
計数ホッパ32において、貯留部32cの底部には、駆動モータ32bにより回転する回転盤32fが設けられ、基台部32dの上部側には、貯留部32cの後側底部から後方へ延びる計数経路B2(図3の破線矢印参照)が設けられている。計数経路B2には、計数センサ32aが設けられている。計数センサ32aは、例えばフォトセンサ及び近接センサの2種類のセンサ(図3に示す2つのセンサ32a,32a)で構成されるものとする。これにより、貸出装置2の制御部20は、フォトセンサ32aでメダルの通過を確認した後、近接センサ32aが反応した場合にカウント値をインクリメントする計数処理を実行する。以下では便宜上、フォトセンサ32a及び近接センサ32aについて夫々の出力を、単に「計数センサ32aからのセンサ出力」と称する。尚、計数センサ32aについて、メダルの計数が可能な1つのセンサで構成してよいことは勿論である。
【0027】
図4に示すように、前記回転盤32fは、駆動モータ32bの駆動軸により回転される回転軸35Aと、その回転軸35Aの周りに等間隔に形成された複数(例えば5つ)の円形凹部35B(同図4に当該凹部35Bの一部を示す)とを備える回転体35である。円形凹部35Bは、メダルが1枚ずつ収まる大きさに形成されている。そして、貯留部32c内に積み重なるようにして貯留されたメダルは、駆動モータ31bの駆動による回転盤32fの回転に応じて、円形凹部35Bに1枚ずつ収まり、その凹部35Bのメダルが後方の回転位置へ至ると、1枚ずつ当該後方の計数経路B2つまり計数センサ32a側へ送り出されるようにして誘導される。このような誘導動作は、制御部20、回転盤32f及び駆動モータ32bを含む誘導手段によって実現され、制御部20は、貯留部32cのメダルを計数センサ32a側に誘導する誘導動作を実行するように、駆動モータ31b(回転盤32fの回転)を制御する。
【0028】
尚、図3に示すように、貯留部32cの下側に配設されるオートスタートセンサ32sは、貯留部32cに貯留されたメダル(投入部30から投入されたメダル)を検知する例えば近接センサからなる。また、計数経路B2の下流側には、計数センサ32aで計数されたメダルを、貸出装置2の背面側で回収して循環させるための循環路37が設けられている。
【0029】
続いて、上記した誘導動作の実行を含む処理に関して、図5図8のフローチャートも参照しながら説明する。尚、図5図8のフローチャートで示す各処理は、貸出装置2の制御部20(適宜「貸出装置2」と略す)により実行されるものとする。また、遊技機1での遊技により遊技者が獲得したメダルは、対応する貸出装置2で図6の計数処理が実行されるものとする。
【0030】
ここで図5は、制御部20が備える割込機能(例えば2msec周期で割込み、1回の計数処理の実行に対して少なくとも1回割込んで実行する)により、図6の計数処理に割り込んで実行する誘導抑制状態設定処理を示している。貸出装置2は、誘導抑制状態設定処理を開始すると、自装置2においてICカードの発行中若しくは受付中、又はメダルの貸出中の何れかの状態にあるか否かを判定する(図5のS1)。
【0031】
即ち、これらの何れかの状態にあれば、カード搬送用の駆動モータ24b又は払出ホッパ31の駆動モータ31bの駆動を伴うことから、ICカードの発行中若しくは受付中と判定し(S1:YES)、前記貸出処理の実行中等であれば(若しくは駆動モータ31bが駆動していれば)メダルの貸出中の状態と判定する(S1:YES)。このとき、貸出装置2は、誘導抑制状態にあるか否かを示す状態フラグFを「1」に設定(誘導抑制状態を設定)する(S2)。つまり、状態フラグFは、自装置2においてICカードの発行中や受付中、メダルの貸出中等の状態にあって、その駆動モータ24b,31bと計数ホッパ32の駆動モータ32bとが同時に駆動するのを抑制し、或いは計数ホッパ32での正常な計数を担保するための、誘導抑制状態を規定する。
【0032】
これに対し、貸出装置2は、何れの駆動モータ24b,31bも駆動しておらず、自装置2においてICカードの発行中若しくは受付中、又はメダルの貸出中の何れの状態にもないと判定したとき(S1:NO)、状態フラグFを「0」に設定(誘導抑制状態を解除)する(S3)。このように、誘導抑制状態設定処理では、状態フラグFを「0」と「1」の何れかに設定した上で、当該処理を終了する(リターンする)。
【0033】
そして、遊技者はメダルを計数する場合、対応する貸出装置2における投入部30の蓋30aを開けた状態で(図3参照)、その投入部30の開口へメダルを投入し、計数経路B1を通じて当該メダルを貯留部32c内に貯留する。
【0034】
ここで、貸出装置2は、所定周期(例えば100msec周期)で実行する図6の計数処理を開始すると、オートスタートセンサ32sによって、投入部30へのメダルの投入があったか否かを検知する(図6のS11)。貸出装置2は、投入部30へのメダルの投入がないと検知すると(S11:NO)、この処理を終了する(リターンする)。
【0035】
貸出装置2は、上記した遊技者による投入部30へのメダルの投入を、オートスタートセンサ32sによって検知すると(S11:YES)、状態フラグFに基づき誘導抑制状態が発生しているか否かを判定する(S12)。
【0036】
具体的には、貸出装置2は、状態フラグFが「1」のとき誘導抑制状態が発生していると判定し(S12:YES)、状態フラグFが「0」になり当該誘導抑制状態が終了したと判定する(S12:NO)まで計数ホッパ32での誘導動作の実行を待機する。そして、貸出装置2は、誘導抑制状態が発生していないと判定すると(S12:NO)、計数ホッパ32を駆動(駆動モータ32bを駆動)することで、計数ホッパ32での誘導動作を実行する(S13)。
【0037】
換言すれば、例えばICカードを発行している場合にあっては、貸出装置2は、カード搬送用の駆動モータ24bの駆動を伴う誘導抑制状態が発生していると判断すると共に(前記S12:YES)、当該ICカードの発行が終了し駆動モータ24bが停止している場合に誘導抑制状態が終了したものとして(前記S12:NO)、計数ホッパ32での誘導動作を実行させる。つまり、誘導抑制状態が発生していると判定した場合、当該誘導抑制状態が終了するまで計数ホッパ32での誘導動作の実行を待機(遅延)している。
【0038】
一方、例えば払出ホッパ31がメダルを払い出している場合にあっては、貸出装置2は、払出ホッパ31の駆動モータ31bの駆動を伴う誘導抑制状態が発生していると判断すると共に(前記S12:YES)、そのメダルの払出が終了し駆動モータ31bが停止している場合に誘導抑制状態が終了したものとして(前記S12:NO)、計数ホッパ32での誘導動作を実行させる。
【0039】
この誘導動作において、貯留部32c内のメダルは、駆動モータ31bの駆動により回転盤32fが回転することに伴い、円形凹部35Bに1枚ずつ収まり、その凹部35Bのメダルが後方の回転位置へ至ると、1枚ずつ当該後方の計数経路B2側へ送り出されるようにして誘導される。この場合、貸出装置2は、計数センサ32aからのセンサ出力に基づき、計数経路B2でのメダルの通過を確認した後、メダルのカウント値をインクリメントすることにより、メダルを計数する。
【0040】
また、貸出装置2は、計数センサ32aからのセンサ出力に基づき、所定時間(例えば10秒)新たなメダルの計数がないか否かを判定する(S14)。つまり、貸出装置2は、上記した計数ホッパ32の駆動により、貯留部32c内のメダル全部が計数経路B2へ誘導され且つ計数されて、貯留部32c内のメダルが無くなったことを、計数センサ32aのセンサ出力を利用して判定する。これにより、貸出装置2は、所定時間新たなメダルの計数がないと判定すると(S14:YES)、駆動モータ31bの停止により計数ホッパ32での誘導動作を終了すると共に(S15)、この処理を終了する。
【0041】
図7は、貸出装置2において所定周期(例えば100msec周期)で実行されるカード発行処理の流れを示している。貸出装置2は、カード発行処理を開始すると、ICカードの発行操作があったか否かを判定する(S21)。貸出装置2は、ICカードの発行操作がないと判定すると(S21:NO)、この処理を終了する(リターンする)。
【0042】
貸出装置2は、液晶表示部23の発行ボタンに対して遊技者のタッチ操作がなされると、ICカードの発行操作があったと判定し(S21:YES)、駆動モータ32bの駆動により計数ホッパ32での誘導動作を実行させる(S22)。次いで、貸出装置2は、計数センサ32aからのセンサ出力に基づき、所定時間(例えば計数処理のS14のときよりも短い5秒)新たなメダルの計数がないか否かを判定する(S23)。貸出装置2は、所定時間新たなメダルの計数がないと判定すると(S23:YES)、駆動モータ31bの停止により計数ホッパ32での誘導動作を終了する(S24)。この後、貸出装置2は、計数した持玉や残高が残存する場合には、その持玉や残高を特定可能な情報をICカードに書込み、係る書込みを終えたICカードをモータ24bの駆動によりカード挿入口24側へ繰出すことにより、ICカードを発行して(S25)、この処理を終了する。
【0043】
このように、貸出装置2は、遊技者が発行操作を行った場合、ICカードを発行する前に、オートスタートセンサ32sによりメダルの投入を検知したか否かに関わらず、計数ホッパ32での誘導動作を実行する。これは、貯留部32c内にメダルが残っている状態(記録すべき持玉全てを計数していない状態)でICカードを発行してしまうことを抑制するための工夫である。
【0044】
図8は、上記した割込機能により図7のカード発行処理に割り込んで実行する発行中止処理を示している。貸出装置2は、発行中止処理を開始すると、ICカードの発行を中止するときの3つの条件を満たしているか否かを判定する(図8のS31〜S33)。
【0045】
具体的には、貸出装置2は、ICカードの発行中つまり図7のICカードの発行(S25)中であるか否かを判定する(S31)。また、貸出装置2は、ICカードの発行中であると判定すると(S31:YES)、オートスタートセンサ32sによって、投入部30へのメダルの投入があったか否かを検知する(S32)。更に、貸出装置2は、投入部30へのメダルの投入があったと判定すると(S32:YES)、ICカードの発行を中止可能なタイミングか否かを判定する(S33)。
【0046】
つまり、貸出装置2において、ICカードの発行中に投入部30にメダルが投入された場合(S31とS32とで何れもYES)、そのICカードの発行を中止することが可能なタイミングであれば(S33:YES)、そのICカードの発行を中止する(S34)。ICカードの発行を中止可能なタイミングであるか否かは、当該ICカードの発行中にメダルの投入を検知した時点で、駆動中のモータ24bの逆回転により当該ICカードを発行せずに回収できるタイミング(当該モータ24bの正回転開始から所定時間以内(例えば0.3秒以内)であるか否かにより判定する。
【0047】
このように、貸出装置2は、ステップS31〜S33で何れもYESと判定するとICカードの発行を中止する一方(S34)、ステップS31〜S33の何れかでNOと判定すると、ICカードの発行を中止することなく、発行中止処理を終了する(リターンする)。
【0048】
貸出装置2は、上記した発行中止処理においてICカードの発行を中止した場合(S34)、ICカードを発行するために設定していた誘導抑制状態を解除することになる(図5のS1:NO、S3)。そして、この誘導抑制状態の解除によって計数処理での誘導動作を実行させることにより(図6のS11:YES、S12:NO、S13)、投入されたメダルを、計数センサ32aからのセンサ出力に基づき計数する(計数結果を持玉として加算する)こととなる。つまり、貸出装置2は、割込機能を有すると共に並行して複数の処理の実行が可能に構成されていることから、図7のカード発行処理と並行して図6の計数処理を実行することで、ICカードの発行中(或いはメダルの貸出中)にメダルが投入された場合でも、そのメダルの計数を可能としている(図5図8参照)。
【0049】
尚、図8の発行中止処理においてICカードの発行を中止した場合(S34)、再度遊技者が発行操作を行わないとICカードを発行しない構成になっているが(図7のS21参照)、ICカードの発行中止に伴うメダルの計数が終了した後に(前記計数結果を持玉として加算した後に)、ステップS25を実行することで自動的にICカードを発行する構成にしてもよい。
【0050】
以上説明した実施形態によれば、次のような効果を奏する。
貸出装置2において、誘導抑制状態が発生している場合には計数ホッパ32での誘導動作の実行を待機するので、誘導抑制状態において計数ホッパ32での誘導動作が発生することを抑制できる。これにより、貸出装置2における処理負荷や電力負荷が大きくなることを抑制し、メダルの計数を良好に行うことができる。
【0051】
貸出装置2にて発行操作が行われた場合、ICカードを発行する前にメダルの計数を行うことができるため、貯留部32cにメダルが残ったままICカードを発行することを抑制できる。
【0052】
貸出装置2は、ICカードの発行中に投入部30にメダルが投入された場合にICカードの発行を中止するので、投入されたメダルの計数を行ってから改めてICカードの発行を行うことができる。これにより、貯留部32cにメダルが残ったままICカードを発行することを抑制できる効果を高くすることができる。
【0053】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張したり、各変形例を上記実施形態と組合せたり、各変形例を組合せるようにしてもよい。
計数センサ32aへの誘導対象(計数対象)をメダルとしたが、遊技機がパチンコ遊技機であれば、パチンコ玉を計数対象とする構成にしてもよい。つまり、遊技媒体として玉を投入する投入部を備えた遊技用装置に適用することも可能である。
【0054】
また、遊技用装置として、遊技機に1対1で対応する貸出装置2を例示したが、複数の遊技機に対応して設けられる一の遊技用装置であってもよい。例えば、複数の遊技機を設置した遊技機島に対し一の遊技用装置を設置した構成において、遊技者により獲得された遊技媒体を遊技場の従業員が一の遊技用装置まで運搬し、その従業員が計数者として当該一の遊技用装置の投入部に遊技媒体を投入する構成が考えられる。このように、計数者は、遊技者に限らず、従業員であってもよい。
【0055】
誘導抑制状態として、ICカードの発行中若しくは受付中、又はメダルの貸出中を例示したが、誘導抑制状態を任意に変更してもよい。例えば、上記した貸出装置2と管理装置6との間では信号の送受信が行われるが、貸出装置2において、管理装置6から信号の受信を待機することがあるとき、その待機中(或いは信号の送受信中)の状態を、状態フラグFが「1」に設定される誘導抑制状態として規定してもよい。
【0056】
誘導動作として駆動モータ32bの駆動により計数センサ32aに向けてメダルを誘導する構成を例示したが、誘導動作乃至誘導手段はこれに限られるものではなく、貯留部32cの底部にシャッタ手段を設け、そのシャッタが閉鎖状態から開放状態に切り替わることにより、計数センサ32aに向けてメダルを落下させて誘導する誘導手段を構成してもよい。また、計数センサ32aについても、メダルの誘導動作の態様に応じて適宜検出方式を変更すればよく、例えば誘導した(計数経路B2を通過する)メダルを撮像する撮像手段を設け、その撮像手段が撮像した画像の解析によって、メダルを計数するようにしてもよい。このように、計数部は、撮像手段やその他の計数手段で構成してもよいことは勿論である。
【0057】
発行操作や払出操作は例示したものに限られるものではなく、例えばICカードの発行や、貸出処理(払出処理)の際に操作するボタンを遊技機1に設けるようにしてもよい。この他、遊技用装置に付属する別装置のボタンやタッチパネルを利用して発行操作や払出操作を行い、又、別装置の備える発行手段や払出手段で、ICカードの発行や貸出処理等を行う構成にしてもよい。
【0058】
持玉や残高を特定可能な情報をICカードに書込む構成にしたが、こうした計数結果に関する情報をICカードに直接書込むことなく、ICカードのカードIDに対応付けて管理装置6側で計数結果を管理してもよい。本構成においては、ICカードを使用する際に(ICカードの挿入口24への挿入に際して)貸出装置2が管理装置6と通信を行い、管理装置6で管理している計数結果を特定することができる。
【0059】
ICカードの発行中にメダルが投入部30に投入された場合におけるICカードの発行を中止できるタイミングとして、駆動モータ24bの駆動開始から所定時間以内としたが、その中止可能なタイミングを任意に変更してもよい。例えば、ICカードに計数結果に関する情報を書込んでからICカードを挿入口24側へ繰出して発行する一連の流れのうち、計数結果に関する情報の書込みの最中であれば中止可能なタイミングであると判定する一方、その書込みが終了して駆動モータ31bが駆動を開始していれば中止不能なタイミングであると判定する構成にしてもよい。本構成においては、ICカードに書き込みを開始したタイミングからICカードの発行中と判断することになる。また、ICカードの発行中にメダルが投入部30に投入されても、ICカードの発行を中止しない構成にすることも可能である。尚、上記した数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用してもよく、前記所定時間等について適宜の値に設定しうることは勿論である。
【0060】
誘導抑制状態の発生中に、メダルが投入部30に投入されたことを条件に、当該誘導抑制状態が終了した後に計数ホッパ32での誘導動作を実行する構成にしたが、誘導抑制状態が終了した場合、当該誘導抑制状態の発生中にメダル投入があったか否かに関わらず計数ホッパ32での誘導動作を実行する構成にしてもよい。
【0061】
具体的には、貸出装置2は、図6の計数処理においてステップS11を除くステップS12〜S15の処理を実行するものとし、誘導抑制状態が終了したと判定した場合(S12:NO)、当該誘導抑制状態中に投入部30にメダルが投入されたか否かに関わらず、駆動モータ32bの駆動により計数ホッパ32での誘導動作を実行する(S13)構成とする。係る構成によれば、貸出装置2は、誘導抑制状態が終了した場合、その誘導抑制状態中に投入部30へのメダルの投入があったか否かに関わらず計数ホッパ32での誘導動作を実行するため、計数できないメダルが発生することを抑制できる。
【符号の説明】
【0062】
図面中、1は遊技機、2は貸出装置(遊技用装置)、20は制御部(誘導手段、払出手段、発行手段)、24aはカードRW(発行手段)、24bは駆動モータ(発行手段)、30は投入部、31は払出ホッパ(払出手段)、32aは計数センサ(計数部)、32bは駆動モータ(誘導手段)、32cは貯留部、32fは回転盤(誘導手段)、である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8