特許第6867897号(P6867897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6867897
(24)【登録日】2021年4月13日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】封止構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/264 20060101AFI20210426BHJP
   F42B 3/12 20060101ALI20210426BHJP
   B01J 7/00 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   B60R21/264
   F42B3/12
   B01J7/00 A
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-126913(P2017-126913)
(22)【出願日】2017年6月29日
(65)【公開番号】特開2019-10895(P2019-10895A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2020年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】花野 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】庄内 周一
【審査官】 田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−112003(JP,A)
【文献】 特開2006−347374(JP,A)
【文献】 特開2006−240279(JP,A)
【文献】 特表昭62−501441(JP,A)
【文献】 特開平03−260493(JP,A)
【文献】 特開平3−174210(JP,A)
【文献】 特開平8−048205(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3018669(JP,U)
【文献】 特開平11−325798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/264
B01J 7/00
F42B 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の筒状容器の開口部が金属製の閉塞部材で閉塞された封止容器の封止構造であって、
前記金属製の筒状容器の開口部側の内壁面と前記内壁面に半径方向に対向する前記金属製の閉塞部材の外表面との隙間が、溶融固化されたシール材で封止されているものであ
前記溶融固化されたシール材が、前記金属製の筒状容器の開口部側の内壁面にめっきされていた金属であるか、または前記金属製の閉塞部材の外表面にめっきされていた金属である、封止構造。
【請求項2】
前記金属製の筒状容器の開口部側の内壁面と前記金属製の閉塞部材の外表面の一方または両方が粗面である、請求項1記載の封止構造。
【請求項3】
前記めっきされていた金属の融点が、前記金属製の筒状容器を構成する金属の融点と金属製の閉塞部材を構成する金属の融点の内、低い融点から少なくとも100℃低い融点である、請求項1または2記載の封止構造。
【請求項4】
金属製容器の筒状開口部が金属製の閉塞部材で閉塞された封止容器の封止構造であって、
前記金属製の筒状開口部側の内壁面と前記内壁面に半径方向に対向する前記金属製の閉塞部材の外表面との隙間が、溶融固化されたシール材で封止されているものであ
前記溶融固化されたシール材が、前記金属製の筒状開口部側の内壁面にめっきされていた金属であるか、または前記金属製の閉塞部材の外表面にめっきされていた金属である、封止構造。
【請求項5】
前記金属製容器の筒状開口部の開口部側の内壁面と前記金属製の閉塞部材の外表面の一方または両方が粗面である、請求項記載の封止構造。
【請求項6】
前記めっきされていた金属の融点が、前記金属製容器を構成する金属の融点と金属製の閉塞部材を構成する金属の融点の内、低い融点から少なくとも100℃低い融点である、請求項4または5記載の封止構造。
【請求項7】
ガス排出口を有するハウジング内にガス源が充填され、着火電流によって作動する点火器を含む部品が前記ハウジングの開口部に収容されたガス発生器であり、
少なくとも点火器カラーを備えた点火器が固定された前記開口部において、請求項1または2記載の封止容器の封止構造が使用されているものである、ガス発生器。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか1項記載の封止容器の封止構造の形成方法であって、
前記筒状容器の開口部内に前記シール材となるめっきされていた金属を介在させた状態で前記閉塞部材を挿入する工程、
前記筒状容器の開口部側の周壁部をかしめて前記閉塞部材を固定する工程、
前記筒状容器の外側から加熱して前記シール材となるめっきされていた金属を溶融させることで、前記金属製の筒状容器の開口部側の内壁面と前記金属製の閉塞部材の外表面の両方に対して前記シール材となるめっきされていた金属を融着させた後に固化させる工程を有している、封止容器の封止構造の形成方法。
【請求項9】
請求項4〜6のいずれか1項記載の封止容器の封止構造の形成方法であって、
前記金属製容器の筒状開口部内に前記シール材となるめっきされていた金属を介在させた状態で前記閉塞部材を挿入する工程、
前記金属製容器の筒状開口部側の周壁部をかしめて前記閉塞部材を固定する工程、
前記金属製容器の筒状開口部の外側から加熱して前記シール材となるめっきされていた金属を溶融させることで、前記金属製容器の筒状開口部側の内壁面と前記金属製の閉塞部材の外表面の両方に対して前記シール材となるめっきされていた金属を融着させた後に固化させる工程を有している、封止容器の封止構造の形成方法。
【請求項10】
請求項1〜3のいずれか1項記載の封止容器の封止構造を含むガス発生器の製造方法であって、
予めガス排出口が形成された筒状容器にガス源および必要に応じて他の部品を収容配置する工程、
前記筒状容器の第1端開口部から、シール材となるめっきされていた金属を介在させた状態で閉塞部材となる部分を有する金属製の点火器カラーを備えた点火器を挿入する工程、
前記筒状容器の第1端開口部側の周壁部をかしめて前記点火器カラーを固定する工程、
前記金属製の筒状容器の第1端開口側を外側から加熱して前記シール材となるめっきされていた金属を溶融させることで、前記金属製容器の第1端開口部側の内壁面と前記点火器カラーの外表面の両方に対して前記シール材となるめっきされていた金属を融着させた後に固化させる工程を有している、ガス発生器の製造方法。
【請求項11】
請求項4〜6のいずれか1項記載の封止容器の封止構造を含むガス発生器の製造方法であって、
予めガス排出口が形成された金属製容器内にガス源、点火器および必要に応じて他の部品を収容配置する工程、
シール材となるめっきされていた金属を介在させた状態で前記閉塞部材を前記金属製容器の筒状開口部内に挿入する工程、
前記金属製容器の筒状開口部側の周壁部をかしめて前記閉塞部材を固定する工程、
前記金属製容器の筒状開口部を外側から加熱して前記シール材となるめっきされていた金属を溶融させることで、前記金属製容器の筒状開口部側の内壁面と前記金属製の閉塞部材の外表面の両方に対して前記シール材となるめっきされていた金属を融着させた後に固化させる工程を有している、ガス発生器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止容器の封止構造、前記封止構造を使用したガス発生器、前記封止容器の封止構造の形成方法、前記封止構造を使用したガス発生器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種技術分野においては、外側からの防湿のための気密性が求められる容器が必要になる場合がある。例えば、車両に搭載されるエアバッグ装置で使用するガス発生器の場合は、容器(ハウジング)の開口部から必要な部品を入れた後、閉塞部材や点火器カラーを備えた点火器およびOリングなどを使用して前記開口部を閉塞することで、外部からの湿気の侵入を防止して、正常に作動できるようにされている。
【0003】
特許文献1の考案では、点火器カラーの内側と、点火器カラーの環状突起部と、環状突起部の一部である筒状突起部が樹脂で覆われた構造にすることで防湿性が高められている点火器組立体が示されている。
【0004】
特許文献2の図1には、筒状ハウジング10を有するガス発生器1が示されている。筒状ハウジング10の一端部側には点火器16が配置され、点火器16は金属製の点火器カラー17と樹脂18により固定されている。
さらに図1に示されているとおり、筒状ハウジング10の一端部側は、金属製の点火器カラー17と筒状ハウジング10が互いに密接されるように半径方向内側にかしめられていると共に、Oリングも配置されることで気密性が高められている。
【0005】
特許文献3の図1には、筒状ハウジング12を有するインフレータ14が示されている。筒状ハウジング12の一端部側には点火器32が配置されており、点火器カラーを有する点火器32と筒状ハウジング12の間には、端部24側が閉塞され、反対側端部が開口された厚さの小さな筒状部材が配置されている。
筒状ハウジング12と点火器32は、筒状ハウジング12の点火器12の点火器カラーと半径方向に対向する部分を内側方向にかしめ、筒状ハウジング12と厚さの小さな筒状部材の両方を点火器カラーに当接させることで気密性が高められているものと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3134281号公報
【特許文献2】特開2010−184559号公報
【特許文献3】US 8,702,125 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、防湿性が優れている特定の封止構造を有する封止容器、前記封止容器を使用したガス発生器、前記封止容器の封止構造の形成方法、前記封止容器を使用したガス発生器の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明(第1実施形態)は、金属製の筒状容器の開口部が金属製の閉塞部材で閉塞された封止容器の封止構造であって、
前記金属製の筒状容器の開口部側の内壁面と前記内壁面に半径方向に対向する前記金属製の閉塞部材の外表面との隙間が、溶融固化されたシール材で封止されているものである、封止構造を提供する。
【0009】
第1実施形態は、金属製の筒状容器の開口部が金属製の閉塞部材で閉塞された封止構造を有しているものである。
封止構造は、前記金属製の筒状容器の開口部側の内壁面と前記内壁面に半径方向に対向する前記金属製の閉塞部材の外表面との隙間が、溶融固化されたシール材で閉塞されて封止されているものである。
前記隙間が溶融固化されたシール材で閉塞されて封止されているとは、金属製の筒状容器の開口部側の内壁面と内壁面に半径方向に対向する金属製の閉塞部材の外表面の両方に溶融状態のシール材が融着されることで隙間が封止された後、固化された状態を示している。
【0010】
金属製の筒状容器の幅方向の断面形状は特に制限されるものではなく、円形、楕円形、多角形などにすることができる。
金属製の筒状容器と金属製の閉塞部材のそれぞれの金属は、同じものであってもよいし、異なるものであってもよいが、同じものであることが好ましい。
【0011】
金属製の閉塞部材は、第1面と、第1面とは厚さ方向反対側の第2面、および第1面と第2面の間の周面部を有しており、前記開口部と同じ形状で、かつ前記開口部内に挿入できる大きさのものであればよい。
例えば、封止対象となる開口部の状態に応じて、板状のもの、板状のものよりも厚さの大きな塊状のもの、塊状または厚い板状のものの一部から軸方向外側に突き出された部分を有しているものを使用することができる。また、塊状または厚い板状のものの一部から半径方向外側に突き出された板状部分(環状突出部分)を有しているものを使用することもできる。
【0012】
シール材は、溶融した後で固化可能なものであればよく、金属、熱可塑性樹脂から選ばれるものを使用することができる。
シール材を構成する部材が金属の場合は、低融点であるものが好ましく、金属製の筒状容器を構成する金属および金属製の閉塞部材を構成する金属よりも融点の低いものを使用する。
シール材を構成する部材が熱可塑性樹脂の場合は、吸湿性の小さいものが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂などが好ましい。
このように特許文献3のような、金属を単に挟持する場合と異なり、第1実施態様の封止構造では、溶融したシール材が隙間の隅に拡散し、さらに気密性を向上させる。
【0013】
第1実施形態の封止構造の好ましい実施形態は、前記金属製の筒状容器の開口部側の内壁面と前記金属製の閉塞部材の外表面の一方または両方が粗面であるものである。
前記のように粗面、即ち凹凸を有している面であると、溶融したシール材が付着し易くなり、封止性能も高くなるので好ましい。
粗面化方法は特に制限されず、やすりなどで擦る方法、切削加工で削る方法、サンドブラスト処理、レーザー光の照射などの方法を適用することができる。
【0014】
第1実施形態の封止構造の好ましい実施形態は、前記シール材が金属または樹脂であり、前記シール材が金属であるときの融点が、前記金属製の筒状容器を構成する金属の融点と金属製の閉塞部材を構成する金属の融点の内、低い融点から少なくとも100℃低い融点であるものである。好ましくはシール材を構成する金属の融点が、筒状容器を構成する金属、或は閉塞部材を構成する金属の融点よりも、200℃から300℃低いものである。
前記融点の温度条件を満たしていると、金属製の筒状容器と金属製の閉塞部材に熱的影響を及ぼすことが無くなるので好ましい。
【0015】
本発明(第2実施形態)は、金属製容器の筒状開口部が金属製の閉塞部材で閉塞された封止容器の封止構造であって、
前記金属製の筒状開口部側の内壁面と前記内壁面に半径方向に対向する前記金属製の閉塞部材の外表面との隙間が、溶融固化されたシール材で封止されているものである、封止構造を提供する。
【0016】
第2実施形態の封止構造は、第1実施形態の封止構造とは容器の形状および構造が異なるだけであり、封止構造自体および効果は同じものである。
第2実施形態の封止構造は、金属製容器の筒状開口部に形成されている。筒状開口部は、用途に応じて1または複数有しているものでもよい。
筒状開口部は、容器本体から外側に突き出された形状のもののほか、容器本体から外側に突き出されることなく、容器内側に形成された凹部内に形成された形状のものでもよい。
また筒状開口部は、容器本体と直接に接続されているもののほか、他部材を介して容器本体と接続されたものでもよい。
【0017】
第2実施形態の封止構造の好ましい実施形態は、前記金属製容器の筒状開口部側の内壁面と前記金属製の閉塞部材の外表面の一方または両方が粗面であるものである。
前記のように粗面、即ち凹凸を有している面であると、溶融したシール材が付着し易くなり、封止性能も高くなるので好ましい。
【0018】
第2実施形態の封止構造の好ましい実施形態は、前記シール材が金属または樹脂であり、前記シール材が金属であるときの融点が、前記金属製容器を構成する金属の融点と金属製の閉塞部材を構成する金属の融点の内、低い融点から少なくとも100℃低い融点であるものである。好ましくはシール材を構成する金属の融点が、筒状容器を構成する金属、或は閉塞部材を構成する金属の融点よりも、200℃から300℃低いものである。
前記融点の温度条件を満たしていると、金属製容器と金属製の閉塞部材に熱的影響を及ぼすことが無くなるので好ましい。
【0019】
本発明は、ガス排出口を有するハウジング内にガス発生源となるガス発生剤と、前記ガス発生剤を着火燃焼させるための点火器を含む部品が収容されたガス発生器であり、
前記ハウジングの少なくとも点火器カラーを備えた点火器が固定された開口部において、第1実施形態または第2実施形態の封止容器の封止構造が使用されているものである、ガス発生器を提供する。
【0020】
本発明のガス発生器は、ガス発生剤のみをガス発生源とするパイロ式ガス発生器、ガス発生剤とアルゴン、ヘリウムなどをガス発生源とするハイブリッドインフレータなどに適用することができる。
ガス発生器の形態に応じて、ハウジングは筒状のものやディスク状のものなどがある。ディスク状のハウジングは、筒状ハウジングよりも長さ(L)が短く、直径(D)が大きなもの(即ち、筒状ハウジングよりもL/Dが小さいもの)である。
【0021】
ガス発生器が筒状ハウジングを使用している場合には、筒状ハウジングとして、ガス排出口が形成された第1実施形態の封止構造を使用することができる。この形態では、一端側または両端側において第1実施形態の封止構造を使用することができる。
例えば、一端側開口部が金属製カラー(閉塞部材)を備えた点火器が固定されることで閉塞され、他端側開口部が板状の閉塞部材で閉塞され、周壁部に複数のガス排出口を有している形態のガス発生器を挙げることができる。
前記一端開口部側では、金属製カラーの外表面と筒状ハウジングの内壁面の隙間が融着後に固化されたシール材で封止されている。
前記他端開口部側では、板状の閉塞部材の周面と筒状ハウジングの内壁面の隙間が溶融固化されたシール材で封止されることで、第1実施形態の封止構造が形成されている。
【0022】
ガス発生器がディスク状ハウジングを使用している場合には、ディスク状ハウジングとして、ガス排出口が形成された第2実施形態の封止構造を使用することができる。
例えば、天板、天板と軸方向反対側の底板、天板と底板の間のガス排出口を有する周壁部からなるハウジングにおいて、底板の筒状開口部が金属製カラー(閉塞部材)を備えた点火器で閉塞された形態のガス発生器を挙げることができる。
前記筒状開口部では、金属製カラーの外表面と筒状開口部の内壁面の隙間が溶融固化されたシール材で封止されることで、第2実施形態の封止構造が形成されている。
【0023】
本発明は、第1実施形態の封止容器の封止構造の形成方法であって、
前記筒状容器の開口部内に前記シール材を介在させた状態で前記閉塞部材を挿入する工程(第1工程)、
前記筒状容器の開口部側の周壁部をかしめて前記閉塞部材を固定する工程(第2工程)、
前記筒状容器の外側から加熱して前記シール材を溶融させることで、前記金属製の筒状容器の開口部側の内壁面と前記金属製の閉塞部材の外表面の両方に対して前記シール材を融着させる工程および固化させる(第3工程)を有している、封止容器の封止構造の形成方法を提供する。
【0024】
第1工程における閉塞部材の挿入位置は、第2工程におけるかしめ部分の長さを考慮して、開口部から少し内側の位置になるように挿入する。筒状容器の内壁面に、閉塞部材の挿入位置を特定する突起や段差などを形成してもよい。またかしめ方法によっては閉塞部材を筒状容器の開口部に圧入することでも、挿入位置を特定する手段となる。
第2工程におけるかしめ方法は、ローリングかしめ方法などを適用することができる。
第3工程における加熱方法は、レーザービーム溶接による加熱、電子ビーム溶接による加熱などを適用することができるほか、ガスバーナーなどで加熱する方法、加熱装置内に入れる方法などを適用することができる。
好ましくはシール材が配置されている部分を局所的に加熱するもので、レーザービーム溶接や電子ビーム溶接を使用する場合は、筒状容器の外からビームを照射してもシール材が溶融する程度の電子ビーム強度であればよく、閉塞部材まで溶接深さを深める(溶接ビームを到達させる)必要はない。このため溶接による入熱量が制限され、閉塞部材への熱的影響が少なく、例えば閉塞部材近傍に樹脂が存在する場合は、その熱変形を抑制できる。
【0025】
本発明は、第2実施形態の封止容器の封止構造の形成方法であって、
前記金属製容器の筒状開口部内に前記シール材を介在させた状態で前記閉塞部材を挿入する工程、
前記金属製容器の筒状開口部側の周壁部をかしめて前記閉塞部材を固定する工程、
前記金属製容器の筒状開口部の外側から加熱して前記シール材を溶融させることで、前記金属製容器の筒状開口部側の内壁面と前記金属製の閉塞部材の外表面の両方に対して前記シール材を融着および固化させる工程を有している、封止容器の封止構造の形成方法を提供する。
【0026】
第2実施形態の封止容器の封止構造の形成方法は、第1実施形態の封止容器の封止構造の形成方法とは、容器形状が異なるため閉塞部材の取り付け位置が異なるが、同じ工程にて実施することができる。
【0027】
本発明の封止構造の形成方法の好ましい実施形態は、前記閉塞部材として外表面がシール材で被覆されているものを使用することである。
閉塞部材として外表面がシール材で被覆されているものは、例えば、閉塞部材の外表面が銅などによって金属めっきされているもの、閉塞部材の外表面が熱可塑性樹脂で被覆されているものである。
このような閉塞部材を使用すると、前記シール材を介在させることが容易になるので好ましい。
【0028】
本発明は、第1実施形態の封止容器の封止構造を含むガス発生器の製造方法であって、
予めガス排出口が形成された金属製の筒状容器の第2端開口部の内側にシール材を介在させた状態で前記板状の閉塞部材を挿入する工程(第1工程)、
前記筒状容器の第2端開口部側の周壁部をかしめて前記板状の閉塞部材を固定する工程(第2工程)、
前記筒状容器の第1端開口部からガス発生剤および必要に応じて他の部品を収容配置する工程(第3工程)、
前記筒状容器の第1端開口部から、シール材を介在させた状態で閉塞部材となる部分を有する金属製の点火器カラーを備えた点火器を挿入する工程(第4工程)、
前記筒状容器の第1端開口部側の周壁部をかしめて前記点火器カラーを固定する工程(第5工程)、
前記金属製の筒状容器の第1端開口側と第2端開口部側を外側から加熱して前記シール材を溶融させることで、前記金属製容器の第1端開口部側の内壁面と前記点火器カラーの外表面の両方に対して前記シール材を融着させ、および前記金属製容器の第2端開口部側の内壁面と前記金属製の閉塞部材の外表面の両方に対して前記シール材を融着させた後に固化させる工程(第6工程)を有している、ガス発生器の製造方法を提供する。
【0029】
第1工程における閉塞部材の挿入位置は、第2工程における変形部分の長さを考慮して、開口部から少し内側の位置になるように挿入する。
第2工程におけるかしめ方法は、ローリングかしめ方法などを適用することができる。
第3工程における必要に応じて配置される他の部品は、フィルタ、リテーナなどである。
第4工程における閉塞部材となる部分を有する金属製の点火器カラーを備えた点火器の挿入位置は、第5工程におけるかしめ部分の長さを考慮して、開口部から少し内側の位置になるように挿入する。
第1工程および第4工程においては、筒状容器の内壁面に、点火器の挿入位置を特定する突起や段差などを形成してもよい。かしめ方法によっては閉塞部材を筒状容器の開口部に圧入することでも、挿入位置を特定する手段となる。
【0030】
第5工程におけるかしめ方法は、第3工程と同様に実施する。
第6工程における加熱は、筒状ハウジング、閉塞部材および点火器カラーに損傷を与えることなく、シール材を加熱して溶融できる方法であればよい。
加熱方法は、レーザービーム溶接による加熱、電子ビーム溶接による加熱などを適用することができるほか、ガスバーナーなどで加熱する方法、加熱装置内に入れる方法などを適用することができる。
好ましくはシール材が配置されている部分を局所的に加熱させるもので、レーザービーム溶接や電子ビーム溶接を使用する場合は、筒状容器の外からビームを照射してもシール材が溶融する程度のビーム強度であればよく、閉塞部材まで溶接深さを深める(溶接ビームを到達させる)必要はない。このため溶接による入熱量が制限され、閉塞部材への熱的影響が少なく、例えば閉塞部材近傍に樹脂が存在する場合は、その熱変形を抑制できる。
なお、第1工程にて使用する筒状容器は、予め周壁部にガス排出口が形成されたものを使用することができるほか、筒状容器のいずれか一端開口部にガス排出口を有する部品(カップ形状のディフューザ部)が溶接などの方法で固定されたものや、一端開口部が閉塞されたものでもよい。カップ形状のディフューザ部は、金属製のカップの周壁部および底面部の一方または両方にガス排出口が形成されているものである。
第1工程にてカップ形状のディフューザ部を第2端開口部に固定したものを使用するときは、第1工程と第2工程は省略する。
【0031】
本発明は、第2実施形態の封止容器の封止構造を含むガス発生器の製造方法であって、
予めガス排出口が形成された金属製容器内にガス発生剤、点火器および必要に応じて他の部品を収容配置する工程、
シール材を介在させた状態で前記閉塞部材を前記金属製容器の筒状開口部内に挿入する工程、
前記金属製容器の筒状開口部側の周壁部をかしめて前記閉塞部材を固定する工程、
前記金属製容器の筒状開口部の外側から加熱して前記シール材を溶融させることで、前記金属製容器の筒状開口部側の内壁面と前記金属製の閉塞部材の外表面の両方に対して前記シール材を融着させた後に固化させる工程を有している、ガス発生器の製造方法を提供する。
【0032】
第2実施形態の封止構造を含むガス発生器の製造方法は、第1実施形態の封止構造を含むガス発生器の製造方法とは、容器形状が異なるため閉塞部材の取り付け位置が異なるが、同じ工程にて実施することができる。
【0033】
本発明の第1実施形態の封止構造を含むガス発生器の製造方法と第2実施形態の封止構造を含むガス発生器の製造方法の好ましい実施形態は、前記閉塞部材として外表面がシール材で被覆されているものを使用することである。
【0034】
閉塞部材として外表面がシール材で被覆されているものは、例えば、閉塞部材の外表面が銅などによって金属めっきされているもの、閉塞部材の外表面が熱可塑性樹脂で被覆されているものである。
このような閉塞部材とシール材が一体になったものを使用すると、シール材を介在させた状態で閉塞部材を挿入する工程が容易になるので好ましい。
【発明の効果】
【0035】
本発明の封止容器の封止構造は、外部からの湿気の侵入が防止できるため、製品の信頼性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】(a)は本発明の封止構造を含む封止容器の軸X方向の部分断面図、(b)は(a)の部分拡大断面図、(c)は(a)とは別実施形態の部分拡大断面図、(d)はさらに(a)、(b)とは別実施形態の部分拡大断面図。
図2図1とは別実施形態の部分断面図。
図3図1図2とは別実施形態の断面図。
図4図1図3とは別実施形態の断面図。
図5】本発明の封止構造を含むガス発生器の実施形態を示す軸方向断面図。
図6】本発明の封止構造を含むガス発生器の別実施形態を示す軸方向断面図。
図7】本発明の封止構造を含むガス発生器のさらに別実施形態を示す軸方向の部分断面図。
図8】本発明の封止構造を含むガス発生器のさらに別実施形態を示す軸方向の部分断面図。
図9】本発明の封止構造を含むガス発生器のさらに別実施形態を示す軸方向断面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(1)図1図2に示す封止構造を含む封止容器
図1に示す封止容器(封止構造を含む筒状容器)10は、閉塞部材13、環状変形部15およびシール材17からなる封止構造を有している。
封止容器10は、第1端開口部11aと、軸X方向反対側の第2端開口部(図示せず)と、周壁部12を有している。
封止容器10は、幅方向の断面形状が円形であり、鉄からなるものである。
【0038】
板状の閉塞部材13は、第1面13aと、第1面13aとは厚さ方向反対側の第2面13b、および第1面13aと第2面13bの間の周面部(外表面)13cを有しているものである。
板状の閉塞部材13は鉄からなるものであり、組み立て前の段階で周面部13cに銅めっきがされているものであり、前記銅めっき部分がシール材17となるものである。めっきに代えて、金属箔を貼り付ける方法、金属からなる環状部材を嵌め込む方法などを使用することもできる。
また、板状の閉塞部材13は、周面部13cが熱可塑性樹脂で被覆されているものを使用することもできる。
板状の閉塞部材13の周面部13cを熱可塑性樹脂で被覆する方法は、熱可塑性樹脂を溶剤に溶かしたものを塗布した後で乾燥させる方法、熱可塑性樹脂を溶融させたものを塗布した後で固化させる方法、熱可塑性樹脂接着剤を塗布した後で乾燥させる方法、熱可塑性樹脂からなる環状部材を嵌め込む方法などを適用することができる。
板状の閉塞部材13の平面形状は、筒状容器10の第1端開口部11aと同じ円形で、かつ第1端開口部11a内に挿入できる大きさのものである。
板状の閉塞部材13は、第2面13bが封止容器10の内側を向き、第1面13aが外側を向き、周面部13cが封止容器10の内壁面12aと対向された状態で、環状変形部15を形成する前は、第1端開口部11aから板状の閉塞部材13の厚さ程度だけ内側に挿入配置されている。
【0039】
環状変形部(かしめ部)15は、封止容器10の第1端開口部11a側の周壁部12が内側にかしめられた部分であり、閉塞部材13の第1面13aに当接されるようにかしめられている。
板状の閉塞部材13の周面部13cと封止容器10の内壁面12aの隙間は、溶けて固まった銅(シール材17)により閉塞されて封止されている。
【0040】
図1に示す封止容器10では、板状の閉塞部材13と封止容器10の内壁面12aの隙間が封止されているため、外部から湿気が侵入することが防止される。なお、図1に示す実施形態では、Oリングが図示されていないが、Oリングは使用してもよいし、不要にすることもできる。
【0041】
次に図1に示す封止容器10の封止構造の形成方法を説明する。
第1工程にて、封止容器10の第1端開口部11aの内側に、第2面13bが内側で第1面13aが外側になるように閉塞部材13を挿入する。
シール材17となる銅めっき層を有する周面部13cと封止容器10の内壁面12aを半径方向に対向させる。
このとき、次工程における環状変形部15の形成長さ(かしめ加工による折り曲げ長さ)を考慮して、閉塞部材13の挿入位置を調整する。
なお、閉塞部材13の挿入を円滑にするため、閉塞部材13の外径は挿入部分の封止容器10の内径よりも僅かに小さくなるように調整されているため、周面部13cと封止容器10の内壁面12aの間には僅かな隙間が生じている。
【0042】
第2工程にて、封止容器10の第1端開口部11a側の周壁部12を閉塞部材13の第1面13aに当接するまでかしめて、環状変形部15を形成させる。
かしめ方法は、特開2017−39412号公報に記載のローリングかしめ具を使用したローリングかしめ方法のほか、特開2007−223485号公報の段落番号0037、0038、特開2008−241186号公報の段落番号0035も記載されたローリングかしめ方法を適用することができる。
【0043】
第3工程にて、銅めっき層を有する周面部13cと封止容器10の内壁面12aに対向する位置の外側から加熱して銅を溶融させる。加熱方法は、レーザー溶接による加熱、電子ビーム溶接による加熱などを適用することができる。レーザー溶接や電子ビーム溶接を筒状部材の外から照射する場合、ビームの強度はシール材が溶融する程度であればよく、必ずしも閉塞部材まで到達させる必要はない。
加熱によって、閉塞部材13の周面部13cと封止容器10の内壁面12aの隙間では溶融状体の銅が存在する状態になっており、周面部13cと封止容器10の内壁面12aの間の隙間全体に溶融銅が拡散する。その後、加熱を終了して放置することで前記溶融状態の銅が閉塞部材13の周面部13cと封止容器10の内壁面12aの両方に融着された状態で固化するため、前記隙間は閉塞されて封止される。
【0044】
図2に示す封止容器(封止構造を含む筒状容器)10Aは、閉塞部材25、環状変形部15およびシール材17からなる封止構造を有している。
封止容器10は鉄からなるものである。
閉塞部材25は鉄からなるものであり、組み立て前の段階でシール材17となる銅めっき層を有する円形の基板部26と、基板部26から垂設された円柱部27を有している。
基板部26は、第2面26bが封止容器10Aの内側を向き、第1面26aが外側を向き、周面部(外表面)26cが封止容器10Aの内壁面12aに当接された状態で、第1端開口部11aから基板部26の厚さ相当程度だけ内側に挿入配置されている。
基板部26の周面部26cと封止容器10の内壁面12aの隙間は、溶けて固まった銅により閉塞されることで封止されている。
【0045】
環状変形部(かしめ部)15は、封止容器10Aの第1端開口部11a側の周壁部12が内側にかしめられた部分であり、閉塞部材25の基板部26の第1面26aに当接されるようにかしめられている。
図2の封止容器10Aの封止構造は、図1の封止容器10と同様にして形成することができる。
【0046】
(2)図3図4に示す封止容器
図3に示す封止容器30では、閉塞部材40、環状変形部45およびシール材47からなる封止構造を有している。
図3に示す封止容器30は鉄からなるものであり、天板31、天板31の軸X方向反対側の底板32、天板31と底板32の間の周壁部33からなる容器本体と、底板32の中心部分に形成された筒状開口部35を有している。
図3に示す実施形態では、容器本体と筒状開口部35が一体に成形されているが、容器本体と筒状開口部35を別部材にして、底板32の穴から別部材の筒状開口部35が挿入配置された状態で、接触部分が溶接、圧入、リテーナなどを使用した固定などの方法で一体化された実施形態でもよい。
封止容器30は、内部に部品を配置するため、天板31側と底板32側に二分割できるようにすることもでき、その場合には、二つを合わせたあとで溶接して一体化して使用する。
筒状開口部35は、筒状壁部36と先端開口部37を有している。
封止容器30は、天板31側および底板32側の平面形状が円形であり、鉄、ステンレスなどの金属からなるものである。
【0047】
板状の閉塞部材40は、第1面40aと、第1面40aとは厚さ方向反対側の第2面40b、および第1面40aと第2面40bの間の周面部(外表面)40cを有しているものである。
板状の閉塞部材40は鉄からなるものであり、組み立て前の段階で周面部40cに銅めっきがされているものであり、前記銅めっき部分がシール材47となるものである。めっきに代えて、金属箔を貼り付ける方法、金属からなる環状部材を嵌め込む方法などを使用することもできる。
また、板状の閉塞部材40は、周面部40cが熱可塑性樹脂で被覆されているものを使用することもできる。
板状の閉塞部材40の周面部40cを熱可塑性樹脂で被覆する方法は、熱可塑性樹脂を溶剤に溶かしたものを塗布した後で乾燥させる方法、熱可塑性樹脂を溶融させたものを塗布した後で固化させる方法、熱可塑性樹脂接着剤を塗布した後で乾燥させる方法、熱可塑性樹脂からなる環状部材を嵌め込む方法などを適用することができる。
板状の閉塞部材40の平面形状は、筒状開口部35の先端開口部37と同じ円形で、かつ先端開口部37内に挿入できる大きさのものである。
【0048】
板状の閉塞部材40は、第2面40bが封止容器30の内側を向き、第1面40aが外側を向き、周面部40cが筒状壁部35の内壁面35aに当接された状態で、環状変形部45を形成する前は、先端開口部37から板状の閉塞部材40の厚さ相当程度だけ内側に挿入配置されている。
【0049】
環状変形部(かしめ部)45は、筒状開口部35の先端開口部37側の筒状壁部36が内側にかしめられた部分であり、閉塞部材40の第1面40aに当接されるようにかしめられている。
板状の閉塞部材40の周面部40cと封止容器30の内壁面35aの隙間は、溶けて固まった銅(シール材47)により閉塞されて封止されている。
【0050】
図3に示す封止容器30では、板状の閉塞部材40と筒状開口部35の内壁面35aの隙間が封止されているため、外部から湿気が侵入することが防止される。なお、図3に示す実施形態では、Oリングが図示されていないが、Oリングは使用してもよいし、不要にすることもできる。
【0051】
次に図3に示す封止容器30の封止構造の形成方法を説明する。
第1工程にて、封止容器30の底板32から突き出された環状開口部35の先端開口部37内側に、閉塞部材40を第2面40bが封止容器30の内側で第1面40aが外側になるように挿入する。閉塞部材40は、周面部40cが銅めっきされているものである。
このとき、次工程における環状変形部45の形成長さを考慮して、閉塞部材40の挿入位置を調整する。
【0052】
第2工程にて、筒状開口部35の先端開口部37側の筒状壁部36を閉塞部材40の第1面40aに当接するまでかしめて、環状変形部45を形成させる。
かしめ方法は、上記と同様のローリングかしめ方法を適用することができる。
【0053】
第3工程にて、筒状壁部36のうち閉塞部材40の周面部40cが筒状開口部35の内壁面35aに対向する部分を外側から加熱して、周面部40cの銅めっきを溶融させる。
加熱終了後に放置することで溶融された銅が固化されてシール材47が形成されるため、閉塞部材40の周面部40cと筒状開口部35の内壁面35aとの隙間がシール材47で閉塞されて封止される。
加熱方法は、図1で説明したレーザー溶接による加熱、電子ビーム溶接による加熱などを適用することができる。
【0054】
図4に示す封止容器30Aは、図3の封止容器30とは筒状開口部の形成位置が異なるほかは同じものである。
筒状開口部35は、底板32に形成された凹部39内に形成されているため、図3に示す封止容器30のように底板32から突き出された構造ではない。
ただし、図4の場合、筒状壁部36が底板32から突出していないため、シール材47の溶融のための溶接(溶接ビーム照射)が難しくなる。この場合、銅めっきは閉塞部材40の第1面40aにも行い、環状変形部45あるいは環状変形部45と筒状壁部36との境界部分に溶接ビームを当てることができる。
【0055】
(3)図5に示すガス発生器
図5に示すガス発生器100は、本発明の封止構造を有していることを除いて、特開2011−225069号公報の図1に示すガス発生器10と同じものである。
図5に示すガス発生器100は、筒状ハウジング101の両端開口部において本発明の封止構造が適用されている。
【0056】
第1端開口部100aには、点火器カラー111を備えた点火器110が配置されている。
点火器カラー111は、第2面111bが内側に面し、第1面111aが外側に面しており、周面部(外表面)111cが筒状ハウジング101の内壁面101aに当接されている。点火器カラー111の周面部111cは、組み立て前の段階で銅めっきされているものである。
筒状ハウジング101の第1端開口部100a側が内側にかしめられることで第1環状変形部102が形成されている。
点火器カラー111の周面部111cと筒状ハウジング101の内壁面101aの隙間は、点火器カラー111の周面部111cの銅めっきが溶けて固まったシール材115により閉塞されて封止されている。
【0057】
第1端開口部100aと軸方向反対側の第2端開口部100b側には、板状の閉塞部材(閉塞部)120が配置されている。
閉塞部材120は、第2面120bが内側に面し、第1面120aが外側に面しており、周面部(外表面)120cが筒状ハウジング101の内壁面101aに当接されている。閉塞部材120の周面部120cは、組み立て前の段階で銅めっきされているものである。
筒状ハウジング101の第2端開口部100b側が内側にかしめられることで第2環状変形部103が形成されている。
閉塞部材120の周面部120cと筒状ハウジング101の内壁面101aの隙間は、閉塞部材120の周面部120cの銅めっき溶けて固まったシール材125により閉塞されて封止されている。
【0058】
次に図5に示すガス発生器100の製造方法を説明する。
第1工程にて、ガス排出口が形成された筒状ハウジング101の第2端開口部100bの内側に、第2面120bが内側になり、第1面120aが外側になり、周面部120cが筒状ハウジングの内壁面101aに当接されるように、金属製の板状閉塞部材120を挿入する。金属製の板状閉塞部材120の周面部120cは銅めっきされている。
【0059】
第2工程にて、筒状ハウジング101の第2端開口部100b側の周壁部101を閉塞部材120の第1面120aに当接するまでかしめて、第2環状変形部103を形成させる。
このとき、かしめ工程における第2環状変形部103の形成長さ(かしめ加工による折り曲げ長さ)を考慮して、閉塞部材120の挿入位置を調整する。
かしめ方法は、上記同様のローリングかしめ方法を適用することができる。
【0060】
第3工程にて、筒状ハウジング101内にガス発生剤、点火器、筒状フィルタ、リテーナを第1端開口部100aより収容配置する。
【0061】
第4程にて、筒状ハウジング101の第1端開口部100aの内側に、第2面111bが内側になり、第1面111aが外側になり、周面部111cが筒状ハウジングの内壁面101aに当接されるように金属製の点火器カラー111を備えた点火器110を挿入する。
このとき、かしめ工程における第1環状変形部102の形成長さを考慮して、点火器110(点火器カラー111)の挿入位置を調整する。金属製の点火器カラー111の周面部111cは銅めっきされている。
【0062】
第5工程にて、筒状ハウジング101の第1端開口部100a側の周壁部を点火器カラー111の第1面111aに当接するまでかしめて、環状変形部102を形成させる。
【0063】
第6工程にて、筒状ハウジング101のうち金属製の板状閉塞部材120の周面部120cが筒状ハウジングの内壁面101aに対向する部分を外側から加熱して、周面部111cの銅めっきを溶融させる。
並行して、金属製の点火器カラー111の周面部111cが筒状ハウジングの内壁面101aに対向する部分を外側から加熱して、周面部120cの銅めっきを溶融させる。
加熱終了後に放置することで溶融された銅が固化されてシール材115とシール材125が形成される。このため、金属製の板状閉塞部材120の周面部120cと筒状ハウジングの内壁面101aの隙間がシール材115で閉塞されて封止され、金属製の点火器カラー111の周面部111cと筒状ハウジングの内壁面101aの隙間がシール材125で閉塞されて封止される。
加熱方法は、図1で説明したレーザー溶接による加熱、電子ビーム溶接による加熱などを適用することができる。
なお、第1工程にて使用する筒状ハウジング101は、予め周壁部にガス排出口が形成されたものを使用することができるほか、筒状ハウジング101の第2端開口部100bにガス排出口を有する部品(カップ形状のディフューザ部)が溶接などの方法で固定されたものや、深絞り工法によって第2端開口部100bが筒状ハウジング101と一体に形成されたものでもよい。カップ形状のディフューザ部は、金属製のカップの周壁部および底面部の一方または両方にガス排出口が形成されているものである。
第1工程にてカップ形状のディフューザ部が第2端開口部100bに固定されたものを使用するときや、第2端開口部100bを筒状ハウジング101と一体に形成する場合は、第1工程と第2工程は省略する。
【0064】
(4)図6に示すガス発生器
図6に示すガス発生器150は、本発明の封止構造を有していることを除いて、特開2014−184427号公報の図1に示すガス発生器10と同じものである。
図6に示すガス発生器150は、第1筒状ハウジング151の一端側開口部において本発明の封止構造が適用されている。
【0065】
第1端部側の開口部には、点火器カラー160を備えた点火器が配置されている。
点火器カラー160は、半径方向外側に突き出された閉塞部となる突出環状部161を有している。突出環状部161は、第2面161bが第1筒状ハウジング151の内側に面し、第1面161aが外側に面しており、周面部(外表面)161cが第1筒状ハウジング151の内壁面151aに当接されている。点火器カラー160の周面部161cは、組み立て前の段階で銅めっきされている。
第1筒状ハウジング151の第1端開口部側が内側にかしめられることで環状変形部152が形成されている。
点火器カラー160の周面部161cと第1筒状ハウジング151の内壁面151aの隙間は、点火器カラー160の周面部161cの銅めっきが溶けて固まったシール材155により閉塞されて封止されている。
【0066】
(5)図7に示すガス発生器
図7に示すガス発生器200は、本発明の封止構造を有していることを除いて、特開2014−94614号公報の図1に示す、ガス発生源としてガス発生剤と加圧ガスを併用したガス発生器10と同じものである。
図7に示すガス発生器200は、第1筒状ハウジング201の一端側開口部において本発明の封止構造が適用されている。
【0067】
第1端開口部200a側には、点火器カラー211を備えた点火器210が配置されている。
点火器カラー211は、第2面211bが第1筒状ハウジング201内側に面し、第1面211aが外側に面しており、周面部(外表面)211cが筒状ハウジング201の内壁面201aに当接されている。点火器カラー211の周面部211cは、組み立て前の段階で銅めっきされている。
筒状ハウジング201の第1端開口部200a側が内側にかしめられることで環状変形部202が形成されている。
点火器カラー211の周面部211cと筒状ハウジング201の内壁面201aの隙間は、点火器カラー211の周面部211cの銅めっきが溶けて固まったシール材215により閉塞されて封止されている。
【0068】
(6)図8に示すガス発生器
図8に示すガス発生器250は、本発明の封止構造を有していることを除いて、特開2015−74413号公報の図1に示すガス発生器10と同じものである。
図8に示すガス発生器250は、筒状ハウジング251の一端側開口部において本発明の封止構造が適用されている。
【0069】
第1端開口部250a側には、点火器カラー261を備えた点火器260が配置されている。
点火器カラー261は、点火器260側の大径部262と、大径部262と接している小径部263を有しており、大径部262と小径部263の外径差(大径部262の外径>小径部263の外径)による環状段差面264を有している。点火器カラー261の大径部262の外表面は、組み立て前の段階で銅めっきされている。
大径部262の外周面と内壁面251aとの当接面が第1当接面である。また小径部263の外周面と内壁面251aとの間には隙間が形成されている。筒状ハウジング251は、大径部262から小径部263にかけて縮径加工されており、第1当接面と縮径加工された部分の外径差から環状段差斜面部(環状変形部)266が形成されている。
点火器カラー261の小径部263の外表面と筒状ハウジング251の内壁面251aには隙間が形成されている。また大径部262と内壁面251aの間の隙間は点火器カラー261の大径部262の外表面の銅めっきが溶けて固まったシール材255により閉塞されて封止されている。なお、めっきは点火器カラー261の環状段差面264に達してもよく、このめっきを溶融させて環状変形部266との間のシールを行ってもよい。
【0070】
(7)図9に示すガス発生器
図9に示すガス発生器300は、本発明の封止構造を有していることを除いて、特開2012−140028号公報の図2図1の部分断面図)に示すガス発生器1と同じものである。
図9に示すガス発生器300は、ディフューザシェル311とクロージャシェル312からなるハウジング310の底板314側において本発明の封止構造が適用されている。
【0071】
底板314の中心部の穴には内筒部材315が配置されており、内筒部材315の内側には点火器カラー321を備えた点火器320が配置されている。
内筒部材315は第1端開口部側が天板313に固定されて閉塞されており、反対側の第2端開口部側が底板314から少し外側に突き出されている。本実施形態では、内筒部材315が図3図4に示す実施形態における筒状開口部35となるものである。
【0072】
点火器カラー321は、図6に示す点火器カラー160と同様に、半径方向外側に突き出された突出環状部322を有している。
突出環状部322は、筒状部材315の内側に面した第2面322b、外側に面した第1面322a、第1面322aと第2面322bの間の周面部(外表面)322cを有しており、周面部322cは内筒部材315に形成された環状段差面に嵌め込まれている。点火器カラー321の周面部322cは、組み立て前の段階で銅めっきされている。
【0073】
内筒部材315の外側に突き出された開口部側は内側にかしめられて環状変形部324が形成されており、環状変形部324は、突出環状部322の第1面322aに当接されている。
点火器カラー321の周面部322cと内筒部材315の内壁面315aの隙間は、点火器カラー321の周面部322cの銅めっきが溶けて固まったシール材325により閉塞されて封止されている。
【0074】
次に図9に示すガス発生器300の製造方法を説明する。
第1工程にて、内筒部材315が固定されたディフューザシェル311とクロージャシェル312が分離された状態のハウジング310内にガス発生剤、伝火薬、筒状フィルタ、内筒部材、リテーナを含む必要な部品などを収容配置する。
その後、ディフューザシェル311とクロージャシェル312を組み合わせてハウジング310を形成した後、接触部分を溶接する。
【0075】
第2工程にて、内筒部材315の第2端開口部から、伝火薬と、点火器カラー321を備えた点火器320を挿入する。このとき、点火器カラー321の突出環状部322の第2面322bが内側になり、かつ内筒部材315の段差面に当接されており、第1面322aが外側になり、周面部322cが内筒部材315の内壁面に当接されるように挿入する。
【0076】
第3工程にて、点火器カラー321の突出環状部322の第1面322aに当接するまで内筒部材315の第2端開口部の周壁部を内側にかしめて、環状変形部324を形成する。
かしめ方法は、上記同様のローリングかしめ方法を適用することができる。
【0077】
第4工程にて、内筒部材315のうち点火器カラー321の突出環状部322の周面部322cが内筒部材315の内壁面315aに対向する部分を外側から加熱して、周面部322cの銅めっきを溶融させる。
加熱終了後に放置することで溶融された銅が固化されてシール材325が形成されるため、点火器カラー321の突出環状部322の周面部322cと内筒部材315の内壁面315aの隙間がシール材325で閉塞されて封止される。
加熱方法は、レーザー溶接による加熱、電子ビーム溶接による加熱などを適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の封止構造は、各技術分野において防湿効果が必要な用途の封止容器として利用することができ、特に自動車に搭載されるエアバッグ装置のガス発生器においてハウジングを含む封止構造に利用できる。
【符号の説明】
【0079】
10、10A、30、30A 封止容器
100、150、200、250、300 ガス発生器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9