(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6867901
(24)【登録日】2021年4月13日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】操作ノブの取付構造
(51)【国際特許分類】
G05G 1/10 20060101AFI20210426BHJP
G05G 1/06 20060101ALI20210426BHJP
H01H 3/10 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
G05G1/10 B
G05G1/06
H01H3/10
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-132572(P2017-132572)
(22)【出願日】2017年7月6日
(65)【公開番号】特開2019-16136(P2019-16136A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2020年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 智
【審査官】
鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−157614(JP,A)
【文献】
特開2007−324035(JP,A)
【文献】
特開2011−054466(JP,A)
【文献】
実開昭57−093884(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 1/10
G05G 1/06
H01H 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付片を有する操作ノブと、前記操作ノブを支持部材に支持するノブ固定部材とを備え、
前記ノブ固定部材は、前記操作ノブの内部を嵌入させる筒部と、前記筒部に形成された係止片とを有し、
前記係止片の自由端部に外方に向けて湾曲させて下傾斜させた係止爪片が、前記取付片に形成した取付孔に係合されることを特徴とする操作ノブの取付構造。
【請求項2】
前記ノブ固定部材は、前記係止爪片と前記取付孔とを受け入れる貫通孔が形成された突出部を前記筒部に有する請求項1に記載の操作ノブの取付構造。
【請求項3】
前記支持部材は、レバースイッチの操作レバーであり、
前記ノブ固定部材は、前記操作レバーのレバー本体に回転可能に取り付けられる請求項1又は2に記載の操作ノブの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作ノブの取付構造に係り、特に、操作ノブの抜け止め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
レバースイッチの一例としては、自動車用のコンビネーションレバースイッチがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載されたコンビネーションレバースイッチは、操作レバーの軸方向先端部に回動可能に設けられた筒状のレバー/ノブ連結材に有底円筒状のライトスイッチノブを備えている。
【0004】
レバー/ノブ連結材の筒部は、軸方向に延びる2本のスリットに挟まれた部分を係止片としている。係止片には、自由端部の先端から外方に突出する爪が形成されている。ライトスイッチノブの筒部内周面には、係止凹部が形成されている。
【0005】
レバー/ノブ連結材にライトスイッチノブを固定する取付構造は、ライトスイッチノブをレバー/ノブ連結材に押し込んで、レバー/ノブ連結材の係止片の爪にライトスイッチノブの係止凹部を嵌め込み係止させることにより、ライトスイッチノブとレバー/ノブ連結材とを一体に回動するように取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−210598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載のコンビネーションレバースイッチにおけるライトスイッチノブの取付構造は、ライトスイッチノブの筒部内周面に係止凹部を設ける一方、レバー/ノブ連結材に係止片の爪を設けることで、係止片の爪に係止凹部を嵌め込み係止させる構造である。その構造上、レバー/ノブ連結材の係止片は内方に撓むように可撓性を有している。
【0008】
このような取付構造は、ライトスイッチノブに引き抜き方向の力が作用すると、レバー/ノブ連結材の係止片が内方に撓んで係止状態を保てなくなり、係止片の爪がライトスイッチノブの係止凹部から抜け出てしまう場合がある。その結果、ライトスイッチノブが操作レバーから外れるという問題があった。
【0009】
従って、本発明の目的は、操作ノブを抜け止めするための操作ノブの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、取付片を有する操作ノブと、前記操作ノブを支持部材に支持するノブ固定部材とを備え、前記ノブ固定部材は、前記操作ノブの内部を嵌入させる筒部と、前記筒部に形成された係止片とを有し、前記係止片の自由端部に外方に向けて下傾斜させた係止爪片が、前記取付片に形成した取付孔に係合されることを特徴とする操作ノブの取付構造を主要な構成としている。
【0011】
また、本発明に係る操作ノブの取付構造において、前記ノブ固定部材は、前記係止爪片と前記取付片とを受け入れる貫通孔が形成された突出部を前記筒部に有することが好ましい。
【0012】
更に、本発明に係る操作ノブの取付構造において、前記支持部材は、レバースイッチの操作レバーであり、前記ノブ固定部材は、前記操作レバーのレバー本体に回転可能に取り付けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、操作ノブに引き抜き方向の力が加わっても、ノブ固定部材の筒部の外方に向けて下傾斜した係止爪片が操作ノブの取付片の取付孔から抜け出る方向の動きを規制するため、支持部材に対して操作ノブを抜け止めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る操作ノブの取付構造を備えたレバースイッチの一例を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すレバースイッチの内部構造を説明するための要部断面図である。
【
図3】
図2の点線で囲んだ領域の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の操作ノブの取付構造に係る実施の形態について、以下に添付図面を参照して説明する。
【0016】
(レバースイッチの構成)
図1において、本実施の形態に係る典型的なレバースイッチ1は、例えば、自動車等の車両のステアリングコラムから側方に突出するコンビネーションレバースイッチの操作レバー2を備えている。操作レバー2は、2つの分割ケースを組み合わせて筒状に形成されたレバーケース3を備えている。
【0017】
レバースイッチ1には、ステアリングコラム内に支持固定されるスイッチケース4が備えられている。スイッチケース4には、操作レバー2の基端部が回転軸線L
1を回転中心として前後方向に揺動可能に設けられるとともに、回転軸線L
2を回転中心として上下方向に揺動可能に設けられている。
【0018】
スイッチケース4の内部には、操作レバー2の前後上下方向の揺動操作によりウインカ、パッシングやディマー等に切り替えるための図示しない接点機構や節度機構等が内蔵されている。なお、これらの機構については公知のものと同等であるため、その説明は省略する。
【0019】
操作レバー2の先端部には、筒状の操作ノブ5が備えられている。操作ノブ5は、回転軸線L
3を回転中心としてテールライト及びヘッドライトを消灯するオフ位置、テールライトを点灯するテール位置、並びにヘッドライトを点灯するヘッド位置に回転可能とされている。
【0020】
操作レバー2のレバーケース3の内部には、操作ノブ5の回転軸線L
3を回転中心とする回転操作により固定接点と可動接点との接離を切り替えるための図示しない内機部品が内蔵されている。なお、これらの内機部品については公知であり、その説明は省略する。
【0021】
図2に示すように、操作ノブ5は、外装となる外筒51と、この外筒51内に並べて一体形成された内筒52とからなる内外二重筒構造を有している。内筒52の基端側開放端には、互いに相対して対をなす一対の取付片53,53が形成されている。
【0022】
操作ノブ5の内筒52の先端側開放端には、スイッチを作動する筒状の押圧ノブあるいは装飾キャップ等のカバー6が取り付けられている。カバー6と操作ノブ5との間には、リング状のスペーサ7が介在されている。なお、操作ノブ5の押圧ノブを押圧操作により固定接点と可動接点との接離を切り替えるための内機部品については公知であり、その説明は省略する。
【0023】
操作レバー2には、筒状のレバー軸を有するレバー本体21が設けられている。レバー本体21の内部には、スイッチケース4側の接点と操作ノブ5側の接点とを電気的に接続する図示しないフレキシブル配線基板等の内機部品が内蔵されている。なお、この内機部品についても公知であり、その説明は省略する。
【0024】
レバー本体21には、操作ノブ5を連結する筒状のレバー連結部材22と、操作ノブ5を支持固定する筒状のノブ固定部材23とが設けられている。
【0025】
レバー連結部材22は、レバー本体21の外周面に係止する爪部22aと、レバーケース3の内周面に係止するリング状のフランジ部22bとを有している。レバー連結部材22の内周面は、ノブ固定部材23の外周面と同心上に並んで配置されており、ノブ固定部材23を回転可能に保持するとともに、操作ノブ5の操作位置を保持している。
【0026】
(操作ノブ抜け抑制部の構成)
ノブ固定部材23は、操作ノブ5を抜け止めするための両側一対の操作ノブ抜け抑制部を有している。なお、両側一対の操作ノブ抜け抑制部の構造は、実質的に同一構造を有しているので、以下の説明では、ノブ固定部材23の片側の構造及び部材を説明する。
【0027】
図2及び
図3に示すように、ノブ固定部材23は、レバー本体21の外周面に回転可能に装着される筒部24を有している。筒部24の基端両側には、平行なスリット25を形成して、相対する一対の係止片26,26が形成されている。係止片26の板厚は、筒部24の先端側から基端に向けて徐々に小さくなるようにテーパ状に形成されている。
【0028】
ノブ固定部材23の係止片26は、直立片の自由端部を外側に向けて湾曲させてスカート状に下傾斜した係止爪片29を有している。この下傾斜した係止爪片29は、操作ノブ5の取付片53の自由端部に形成された取付孔54に係合するようになっている。
【0029】
このような係止片26は、レバー本体21によって弾性的な縮径を阻害されることなく、操作ノブ5の取付片53の自由端部に形成された取付孔54の周縁部にスナップフィットして係止する。この構成により、操作ノブ5がレバー軸周りに回転すると、ノブ固定部材23もレバー軸周りに回転するようになっている。
【0030】
ノブ固定部材23には、平行なスリット25の周辺に対応する筒部24の基端側開口縁から略直角に外方に屈曲して、筒部24の両側に互いに相対して対をなす一対の突出部27,27が突設されている。この突出部27は、操作ノブ5の取付片53とノブ固定部材23の係止片26とを囲い込む凹枠状に形成されている。
【0031】
図3に拡大して示すように、ノブ固定部材23の突出部27には、平行なスリット25に連通する貫通孔28が貫通して形成されている。この貫通孔28は、操作ノブ5の取付片53及びノブ固定部材23の係止片26を受け入れるための受容部として構成されている。
【0032】
図示例にあっては、ノブ固定部材23の突出部27に形成された貫通孔28には、操作ノブ5の取付片53の自由端部に形成された取付孔54と、ノブ固定部材23の係止片26の自由端部に下傾斜して形成された係止爪片29とが貫通して配置されている。ノブ固定部材23の貫通孔28に操作ノブ5の取付片53を受け入れることにより、取付片53の自由端部は、係止片26から必要以上に力を受けて外側に撓まないように規制される。
【0033】
操作ノブ5に引き抜き方向の力が作用する過程においては、操作ノブ5の取付片53に形成された取付孔54の開口端が、ノブ固定部材23の係止片26の自由端部に下傾斜して形成された係止爪片29の内面に当接する。ノブ固定部材23の係止爪片29が操作ノブ5の取付孔54と接触して力F1を受けることになり、ノブ固定部材23の係止片26と操作ノブ5の取付片53とには外方向の力F2が加えられる。
【0034】
ノブ固定部材23の係止片26と操作ノブ5の取付片53とに外方向の力F2が作用することで、係止片26に下傾斜して形成された係止爪片29の内方の動きが規制される。係止片26と取付片53とは内側に撓まないため、係止片26と取付片53とが内側に変位しない。従って、取付孔54からの係止爪片29の抜けが抑制され、係止片26が取付片53から外れて抜け出るという不具合が生じることを抑制できる。
【0035】
更に、ノブ固定部材23の突出部27により、操作ノブ5の取付片53の外方への撓み変形を抑制することができる。そのため、操作ノブ5の取付片53をノブ固定部材23の突出部27に形成された貫通孔28に保持したままの状態に維持することができる。
【0036】
上記のように構成された操作ノブ抜け抑制部は、係止片26の自由端部に下傾斜して形成された係止爪片29と、突出部27に形成された貫通孔28とを有するノブ固定部材23により、操作ノブ5の取付片53に形成された取付孔54に対する係止爪片29の抜け方向の動きを規制して、操作ノブ5の抜けを抑制する。
【0037】
(実施の形態の効果)
以上のように構成された操作ノブ5の取付構造は、ノブ固定部材23の外方に向けて下傾斜した係止爪片29が操作ノブ5の取付孔54から抜け出る方向の動きを規制する操作ノブ抜け抑止部を備えた構成に特徴部を有しており、上記効果に加えて、次の効果が得られる。
【0038】
操作ノブ5を引き抜くという操作に対して、ノブ固定部材23の係止片26が内側に撓まないようにすることができる。そのため、操作ノブ5が操作レバー2から外れて抜けない構造とすることができる。
【0039】
なお、上記実施の形態及び図示例では、自動車のヘッドランプやフォグランプなどの点灯消灯状態の切り替えを行うライト系スイッチを備えたコンビネーションレバースイッチを例示したが、これに限定されるものではない。ワイパを操作するワイパ系スイッチなどの他の用途を備えたコンビネーションレバースイッチにも適用することができる。
【0040】
また、上記実施の形態及び図示例による操作ノブ5の取付構造は、支持部材となる操作レバー2に支持される操作ノブ5を例示したが、これに限定されるものではなく、操作レバー2以外の支持部材に支持される操作ノブ5を有する各種のスイッチに適用できることは勿論である。
【0041】
以上の説明からも明らかなように、本発明に係る代表的な実施の形態及び図示例を例示したが、上記実施の形態及び図示例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。従って、上記実施の形態及び図示例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0042】
1…レバースイッチ、2…操作レバー、3…レバーケース、4…スイッチケース、5…操作ノブ、6…カバー、7…スペーサ、21…レバー本体、22…レバー連結部材、22a…爪部、22b…フランジ部、23…ノブ固定部材、24…筒部、25…スリット、26…係止片、27…突出部、28…貫通孔、29…係止爪片、51…外筒、52…内筒、53…取付片、54…取付孔、F1,F2…力、L
1,L
2,L
3…回転軸線