特許第6868023号(P6868023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6868023連続的に湾曲するすくい隆起部と螺旋溝設計とを備えた超硬合金コーナーラジアスエンドミル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6868023
(24)【登録日】2021年4月13日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】連続的に湾曲するすくい隆起部と螺旋溝設計とを備えた超硬合金コーナーラジアスエンドミル
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/10 20060101AFI20210426BHJP
【FI】
   B23C5/10 Z
【請求項の数】21
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-526179(P2018-526179)
(86)(22)【出願日】2016年10月26日
(65)【公表番号】特表2018-534164(P2018-534164A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(86)【国際出願番号】IL2016051152
(87)【国際公開番号】WO2017090021
(87)【国際公開日】20170601
【審査請求日】2019年10月4日
(31)【優先権主張番号】14/948,712
(32)【優先日】2015年11月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シュピーゲルマン,レオニード
【審査官】 久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−221397(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/125474(WO,A1)
【文献】 特開平07−246508(JP,A)
【文献】 特開2015−166119(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0154272(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方向(D)および後方向(D)を定める回転軸(12)を有する超硬合金コーナーラジアスエンドミル(10)であって、
前端(14)および後端(16)、およびそれらの間に延びる周囲面(18)と;
前記前端(14)から後方に延びる切削部分(20)と;
前記切削部分(20)の後方に位置するシャンク部分(22)と;を含み、
前記切削部分(20)は、前記前端(14)の切削部分直径(D)と有効切削長さLとを有し、および、
前記前端(14)から前記周囲面(18)まで延びる一体形成された刃(24)と;
隣接する刃(24)の各対の間に位置付けられ、25°≦H≦60°の条件を満たす螺旋角Hを有する螺旋溝(26)とを含み;
割出し角Sが、隣接する刃(24)の各対の間に定められ;
各刃(24)は、
逃げ面(28)と;
すくい面(30)と;
前記逃げ面(28)および前記すくい面(30)の交差部に形成された切れ刃(32)と;
円の中心点(C)、円の半径(R)、軸方向接線(L)、半径方向接線(L)、および二等分線(L)を有する円(I)の一部(36)を画定する円弧輪郭を含むコーナー(34)とを含み、
前記逃げ面(28)は、
前記前端(14)の軸方向逃げ面(28A)と;
前記周囲面(18)の半径方向逃げ面(28B)と;
前記軸方向逃げ面(28A)および前記半径方向逃げ面(28B)を接続するコーナー逃げ面(28C)とを含み、
前記すくい面(30)は、
前記切れ刃(32)に隣接して延びる切削部分すくい面(30A)と;
窪み部分すくい面(30B)と;前記切削部分すくい面(30A)および前記窪み部分すくい面(30B)の交差部に形成されたすくい隆起部(30C)とを含み、
前記切れ刃(32)は、
軸方向接線(L)まで延びる前記前端(14)の軸方向部分切れ刃(32A)と;
前記軸方向接線(L)から前記半径方向接線(L)まで延びるコーナー部分切れ刃(32B)と;
前記半径方向接線(L)から後方に延びる半径方向部分切れ刃(32C)とを含み;
前記すくい隆起部(30C)と前記切れ刃(32)との間で、
半径方向部分切削面の幅(W)が前記半径方向接線(L)に沿って測定可能であり;
二等分線部分切削面の幅(W)が二等分線(L)に沿って測定可能であり;および、
軸方向部分切削面の幅(W)が前記軸方向接線(L)に沿って測定可能であり;前記刃(34)の1つまたは複数の前記すくい隆起部(30C)は、前記二等分線(L)から、前記コーナー逃げ面(28C)の後方の少なくともある軸方向位置まで連続的に湾曲している
超硬合金コーナーラジアスエンドミル(10)。
【請求項2】
前記半径方向逃げ面(28B)および前記コーナー逃げ面(28C)の交差部において、前記半径方向およびコーナー部分切れ刃(32B、32C)が、170°≦θ≦180°の条件を満たす外側逃げ角θを形成する、請求項1に記載のエンドミル(10)。
【請求項3】
前記外側逃げ角θが178°≦θ≦180°の条件を満たす、請求項2に記載のエンドミル(10)。
【請求項4】
前記半径方向部分切削面の幅Wおよび二等分線部分切削面の幅Wが0.9W≦W≦1.1Wの条件を満たす、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエンドミル。
【請求項5】
前記すくい隆起部と切れ刃との間で測定可能であり半径方向接線と二等分線との間で測定される各部分切削面の幅Wが、0.9W≦W≦1.1Wの条件を満たす、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエンドミル(10)。
【請求項6】
前記半径方向部分切削面の幅Wおよび前記軸方向部分切削面の幅Wが、0.9W≦W≦1.1Wの条件を満たす、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエンドミル(10)。
【請求項7】
前記すくい隆起部と前記切れ刃との間で測定可能であり前記半径方向接線と前記軸方向接線との間で測定される各部分切削面の幅Wが、0.9W≦W≦1.1Wの条件を満たす、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエンドミル(10)。
【請求項8】
前記すくい隆起部と前記切れ刃との間で測定可能であり前記軸方向接線と前記二等分線との間で測定される少なくとも1つの部分切削面の幅Wが、0.008D≦W≦0.02Dの条件を満たす、請求項1〜7のいずれか一項に記載のエンドミル(10)。
【請求項9】
前記軸方向接線と前記二等分線との間で測定される各部分切削面の幅Wが、0.008D≦W≦0.02Dの条件を満たす、請求項8に記載のエンドミル(10)。
【請求項10】
前記軸方向接線と前記半径方向接線との間で測定可能な各部分切削面の幅Wが、0.008D≦W≦0.02Dの条件を満たす、請求項9に記載のエンドミル。
【請求項11】
各切削部分すくい面(30A)が平面形状である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のエンドミル(10)。
【請求項12】
前記円の半径Rが、R≦0.08Dの条件を満たす、請求項1〜11のいずれか一項に記載のエンドミル(10)。
【請求項13】
前記切削部分(20)がちょうど7個の刃(24)または9個の刃(24)を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載のエンドミル(10)。
【請求項14】
前記刃(24)の1つまたは複数が、−12°≦β≦7°の条件を満たす前記半径方向接線(L)に沿って測定可能なすくい角βを有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載のエンドミル(10)。
【請求項15】
各刃(24)が、−5°≦β≦5°の条件を満たす前記半径方向接線(L)に沿って測定可能な半径方向すくい角βを有する、請求項14に記載のエンドミル(10)。
【請求項16】
前記刃(24)の1つまたは複数が、β>0°の条件を満たす前記半径方向接線(L)に沿って測定可能な半径方向すくい角βを有する、請求項1〜15のいずれか一項に記載のエンドミル(10)。
【請求項17】
前記刃(24)の1つまたは複数が、β<0°の条件を満たす前記半径方向接線(L)に沿って測定可能な半径方向すくい角βを有する、請求項16に記載のエンドミル(10)。
【請求項18】
前記前端(14)において、前記割出し角Sの大多数が異なる値を有する、請求項1〜17のいずれか一項に記載のエンドミル(10)。
【請求項19】
各割出し角Sが、有効長さの中間(L)において、前記前端(14)における同じ割出し角Sの値よりも、360で割った刃(24)の総数に等しい値により近い値を有する、請求項18に記載のエンドミル(10)。
【請求項20】
各刃(24)が、前記二等分線(L)から、前記コーナー逃げ面(28C)の後方の少なくともある軸方向位置まで連続的に湾曲するすくい隆起部(30C)を有する、請求項1〜19のいずれか一項に記載のエンドミル(10)。
【請求項21】
各刃(24)が、前記二等分線(L)から、前記コーナー逃げ面(28C)の後方のある軸方向位置まで、連続的に湾曲されている前記すくい隆起部(30C)を有する、請求項1〜20のいずれか一項に記載のエンドミル(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本出願の主題は、特に機械加工がとりわけ難しいインコネルなどの材料向けの、窪み部分すくい面および切削部分すくい面の交差部のすくい隆起部と、螺旋溝設計とを有する一体刃コーナーラジアスエンドミルに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
エンドミルの種類は、3つの主要なエンドミルのカテゴリー、すなわち、ボール、スクエアおよびコーナーラジアスに入ると考えることができる。本出願の主題は専ら最後のカテゴリー、すなわちコーナーラジアスエンドミルに関する。
【0003】
コーナーラジアスエンドミルのコーナーは、円弧の輪郭を含む。円弧の輪郭は、エンドミルを回転軸に対して垂直な方向から見た場合に、回転軸を中心にこのようなエンドミルが回転する間に存在する。明細書および特許請求の範囲において、これを「輪郭図」と呼ぶ。
【0004】
円弧の輪郭は仮想円の一部を画定する。円は、円の中心点と、軸方向および半径方向の接線と、軸方向および半径方向の接線点と、二等分線とを含む基準位置を定義する。軸方向接線は円の中心点からエンドミルの回転軸に平行な方向に前方に伸びている。半径方向接線は円の中心点から回転軸に対して垂直な方向に半径方向外側に伸びている。二等分線は円の中心点から外側に伸び、軸方向および半径方向の接線点から等しく円周方向に離された二等分点で円と交差する。別の言い方をすれば、二等分線によって軸方向接線に対して定められる第1の角度と、二等分線によって半径方向接線に対して定められる第2の角度は等しい。上で言及した円および関連する線、平面および接線点などの基準パラメータは想像上のものであり、したがってエンドミル上の目に見える特徴ではなく、むしろ上で説明したようなその構成を介して導き出すことができることが理解されよう。
【0005】
競争の激しい世界的な市場のために、エンドミルを急速に劣化させる、インコネルなどの機械加工が難しい材料から作られた加工物を機械加工する場合でさえ、より良好な仕上げとより長い工具寿命を提供するエンドミルを用いた機械加工に対する需要がますます増加している。このような劣化は、理論的には、加工物を機械加工するエンドミルへの、形成される加工物の熱伝達に少なくとも部分的に起因すると考えられている。
【0006】
窪み部分すくい面と切削部分すくい面との交差部にすくい隆起部を設けることによってエンドミルへの熱伝達が低減され得ると考えられている。本出願人に譲渡された米国特許出願公開第2014/0227050号は、例えば図1Bにおいて、そのようなすくい隆起部を有するそのような部分すくい面の例を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願の目的は、新規かつ改良された超硬合金コーナーラジアスエンドミルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
本出願の主題の第1の態様によれば、刃を有するコーナーラジアスエンドミルであって、刃は、二等分線から少なくともある軸方向位置まで刃のコーナーすくい面の後方に向かって連続的に湾曲しているすくい隆起部を含む、コーナーラジアスエンドミルが提供される。
【0009】
検討中の種類の知られているエンドミルは、コーナーすくい面と一致する軸方向位置ですくい隆起部に沿った不連続部を含む。本出願は、不連続部が除去されるか重要ではない形状を提供することによって、インコネルなどの材料を機械加工する困難な条件の下で加工物の仕上げおよび工具の寿命を改善することができる。
【0010】
特に、本出願の主題は、従来技術の図面に示されている不連続部が典型的には存在しない材料から作製されたコーナーラジアスエンドミルには関係しない。より正確には、本出願は、(名称の広い意味における)超硬合金から作製されるエンドミルに関し、セラミックから作製されたエンドミルにも、高価な超硬材料(例えば、CBN、ダイヤモンド)でコーティングされたエンドミルにも関係しない。
【0011】
本出願の主題の別の態様によれば、前方向および後方向を定める回転軸を有するコーナーラジアスエンドミルであって、前端および後端、およびそれらの間に延びる周囲面と;前端から後方に延びる切削部分と;切削部分の後方に位置するシャンク部分と;を含み、切削部分は、前端の切削部分直径と有効切削長さとを有し、および前端から周囲面まで延びる一体形成された刃と;隣接する刃の各対の間に位置付けられ、25°≦H≦60°の条件を満たす螺旋角Hを有する螺旋溝とを含み;割出し角Sが、隣接する刃の各対の間に定められ;各刃は、逃げ面と;すくい面と;逃げ面およびすくい面の交差部に形成された切れ刃と;円の中心点、円の半径、軸方向接線、半径方向接線、および二等分線を有する円を画定する円弧輪郭を含むコーナーとを含み;逃げ面は、前端の軸方向逃げ面と;周囲面の半径方向逃げ面と;軸方向逃げ面および半径方向逃げ面を接続するコーナー逃げ面とを含み、すくい面は、切れ刃に隣接して延びる切削部分すくい面と;窪み部分すくい面と;切削部分すくい面および窪み部分すくい面の交差部に形成されたすくい隆起部とを含み、切れ刃は、軸方向接線まで延びる前端の軸方向部分切れ刃と;軸方向接線から半径方向接線まで延びるコーナー部分切れ刃と;半径方向接線から後方に延びる半径方向部分切れ刃とを含み;すくい隆起部と切れ刃との間で、半径方向部分切削面の幅が半径方向接線に沿って測定可能であり;二等分線部分切削面の幅が二等分線に沿って測定可能であり;軸方向部分切削面の幅が軸方向接線に沿って測定可能であり;刃の1つまたは複数のすくい隆起部は、二等分線から、コーナー逃げ面の後方の少なくともある軸方向位置まで連続的に湾曲しているコーナーラジアスエンドミルが提供される。
【0012】
上に述べたことは要約であり、上記態様のいずれも以下に記載される特徴のいずれかをさらに含んでもよいことが理解されるであろう。具体的には、以下の特徴は、単独でまたは組み合わせて、上記態様のいずれにも適用可能である。
A.エンドミルは、前後方向を定める回転軸を有することができる。
B.エンドミルは、前端および後端と、それらの間に延びる周囲面とを含むことができる。
C.エンドミルは、その前端から後方に延びる切削部分を含むことができる。
D.エンドミルは、その切削部分の後方に配置することができるシャンク部分を含むことができる。
E.切削部分は、その前端に切削部分直径を有することができる。
F.切削部分は、有効切削長さを有することができる。
G.切削部分は、エンドミルの前端から周囲面まで延びる一体形成の刃を含むことができる。好ましくは、複数の刃は奇数個の刃である。最も好ましくは、複数の刃はちょうど7個または9個の刃である。理論に拘束されるものではないが、奇数の刃、特に7個または9個の刃は、振動および熱を減少し、その一方で刃の排気のために十分な溝空間をなお提供するので、インコネルなどの機械加工が難しい材料の機械加工により効果的であると考えられる。
H.エンドミルの各刃は、逃げ面、すくい面、すくい面と逃げ面との交差部に形成された切れ刃、およびコーナーを含むことができる。
I.逃げ面は、前端の軸方向逃げ面と、周囲面の半径方向逃げ面と、軸方向逃げ面および半径方向逃げ面を接続するコーナー逃げ面とを含むことができる。
J.すくい面は、切れ刃に隣接して延びる切削部分すくい面と、窪み部分すくい面と、切削部分すくい面および窪み部分すくい面の交差部に形成されたすくい隆起部とを含むことができる。
K.切れ刃は、軸方向接線まで延びる前端の軸方向部分切れ刃と、軸方向接線から半径方向接線まで延びるコーナー部分切れ刃と、半径方向接線から後方に延びる半径方向部分切れ刃とを含むことができる。
L.各軸方向部分切れ刃は、軸方向すくい角Φを有することができる。
M.少なくとも1つの、好ましくは各軸方向部分切れ刃は、正の軸方向すくい角Φ(すなわち、Φ>0)を有することができる。より好ましくは、少なくとも1つの、またはさらにより好ましくは各刃は、1°≦Φ≦10°の条件を満たす軸方向すくい角Φを有する。理論に拘束されるものではないが、このような軸方向すくい角の値は、インコネルなどの機械加工が難しい材料を機械加工するのにより効果的であると考えられる。
N.各コーナー部分切れ刃はコーナーすくい角εを有することができる。
O.各半径方向部分切れ刃は、半径方向すくい角βを有することができる。
P.1つまたは複数の刃は、β≧−3°の条件を満たす半径方向接線に沿って測定可能な半径方向すくい角βを有することができる。好ましくは、刃の1つまたは複数は、β>0°、好ましくはβ≧2°の条件を満たす半径方向接線に沿って測定可能な半径方向すくい角βを有することができる。
Q.1つまたは複数の刃は、β>0°の条件を満たす半径方向接線に沿って測定可能な半径方向すくい角βを有することができ、少なくとも1つの他の刃は、β<0°の条件を満たす半径方向接線に沿って測定可能な半径方向すくい角βを有することができる。
R.1つまたは複数の刃、または好ましくは各刃は、−12°≦β≦7°、好ましくは−5°≦β≦5°、最も好ましくは−3°≦β≦3°の条件を満たす半径方向接線に沿って測定可能なすくい角βを有することができる。
S.半径方向逃げ面とコーナー逃げ面との交差部において、半径方向部分切れ刃およびコーナー部分切れ刃は、170°≦θ≦180°、好ましくは178°≦θ≦180°、最も好ましくは179.5°≦θ≦180°の条件を満たす外側逃げ角θを形成することができる。
T.コーナーは、円の中心点、円の半径、軸方向および半径方向接線、および二等分線を有する円の一部を画定する円弧輪郭を含むことができる。
U.溝、好ましくは各溝は、螺旋形状にすることができる。
V.螺旋溝は、隣接する刃の各対の間に配置することができ、25°≦H≦60°、好ましくは32°≦H≦45°の条件を満たす螺旋角Hを有することができる。明確にするために、各溝は、各軸方向位置での値が前記範囲外に広がらない限り、可変螺旋角または異なる螺旋角を有することができる。
W.すくい隆起部と切れ刃との間で:半径方向部分切削面の幅が半径方向接線に沿って測定可能であり、二等分線部分切削面の幅が二等分線に沿って測定可能であり、軸方向部分切削面の幅が軸方向接線に沿って測定可能である。実質的に均一な部分切削面の幅を提供することによって、刃のすくい角を刃の製造中により一貫して制御することができ、結果的に工具の寿命を改善できると考えられる。
X.半径方向部分切削面の幅Wおよび二等分線部分切削面の幅Wは、条件:0.9W≦W≦1.1W、好ましくは0.95W≦W≦1.05Wを満たすことができる。
Y.すくい隆起部から切れ刃までおよび半径方向線と二等分線との間で測定可能な各部分切削面の幅Wは、条件:0.9W≦W≦1.1W、好ましくは0.95W≦W≦1.05Wを満たすことができる。
Z.半径方向部分切削面の幅Wおよび軸方向部分切削面の幅Wは、条件:0.9W≦W≦1.1W、好ましくは0.95W≦W≦1.05Wを満たすことができる。
AA.すくい隆起部から切れ刃までおよび半径方向線と接線との間で測定可能な各部分切削面の幅Wは、条件:0.9W≦W≦1.1W、好ましくは0.95W≦W≦1.05Wを満たすことができる。
BB.すくい隆起部から切れ刃まで測定可能であり、軸方向接線と二等分線との間に位置付けられる少なくとも1つの、好ましくは各部分切削面の幅Wは、条件:0.008D≦W≦0.02Dを満たすことができる。好ましくは、軸方向線と半径方向線との間で測定可能な各部分切削面の幅Wは、条件:0.008D≦W≦0.02Dを満たす。
CC.1つまたは複数の、好ましくは各切削部分すくい面は、平面形状にすることができる。
DD.円の半径Rは、条件:R≦0.08Dを満たすことができる。注目すべきことに、本主題によるエンドミルは、非常に小さくまた著しい不連続部なしに製造することが困難な円の半径についても達成可能である。
EE.割出し角Sが、隣接する刃の各対の間に定められることができる。エンドミルの前端における割出し角Sのいくつか、または好ましくは大多数は、異なる値を有することができる。
FF.有効長さの中間の各割出し角Sは、ミルの前端における同じ割出し角Sの値よりも、360で割った刃の総数に等しい値により近い値を有することができる。
GG.エンドミルは、前端から後方向に沿って増大するテーパコアを含むことができる。
HH.すくい隆起部は、二等分線から半径方向接線(L)の後方の軸方向位置まで連続的に湾曲することができる。
II.エンドミルの各刃は、二等分線から、コーナーすくい面の後方の少なくともある軸方向位置まで連続的に湾曲するすくい隆起部を有することができる。連続的な湾曲は、半径方向接線の後方に延びることができる。複数の刃の各刃は、上に挙げた特徴のいずれかを含むことができる。
JJ.エンドミル、または少なくともその切削部分は、超硬合金から作製することができる。
KK.コーナーの切削部分すくい面は、3つの異なる下位部分(検査時に明らかな各下位部分の異なる製造工程からもたらされる)を含むことができる。すなわち、エンドミルの周囲面に隣接する半径方向下位部分と、エンドミルの前端に隣接する軸方向下位部分と、半径方向下位部分と軸方向下位部分とを接続するコーナー下位部分。下位部分に部分切削面を形成すること(すなわち複数の形成工程)は、単一工程形成よりも高価であるが、そのような構造から得られる利益は既知の欠点を上回ることが見出されたと考えられている。例えば、ちょうど3つの部分切削面−下位部分は、連続すくい値の有益な制御生産を可能にする。
【0013】
上記の各特徴は、単独でおよび組み合わせてなおさらに、特にインコネルなどの機械加工が難しい材料を機械加工する場合に、より良好な加工物の仕上げおよび/または工具の寿命に寄与し得ると考えられる。
【0014】
図面の簡単な説明
本出願の主題をより深く理解するために、および本出願の主題が実際にどのように実行され得るかを示すために、次に添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】本出願の主題によるエンドミルの側面図である。
図1B図1Aのエンドミルの正面端面図である。
図2A】従来技術エンドミルの切削部分の一部の側面図である。
図2B図2AのIIBで示されるコーナーの拡大輪郭図である。
図2C図2AのIICで示される部分の拡大図である。
図3A図2Aに対応する眺めで示される図1Aおよび1Bのエンドミルの切削部分の一部の側面図である。
図3B図3AのIIIBで示されるコーナーの拡大輪郭図である。
図3C図3AのIIICで示される部分の拡大図である。
図4A図3Aのエンドミルのわずかに回転された図である。
図4B図4AのIVBで示されたコーナーの拡大図である。
図4C】回転軸に対して45°の角度(角度「V」として示される)である、矢印IVAで示される眺めで取られた図4Aのエンドミルのコーナーのさらに別の拡大図である。
図5A】窪み部分すくい面を例示する拡大図である。
図5B】窪み部分すくい面を例示する拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な記載
図1Aおよび1Bは、超硬合金から作製され、特にインコネルなどの機械加工が難しい材料を機械加工するように構成されたコーナーラジアスエンドミル10を示す。
【0017】
エンドミル10は、その中心を通って長手方向に伸び、エンドミルの中心点Cと一致し得る回転軸12を中心に回転するように構成されている。この例では、エンドミルの回転方向Dは、図1Bに示す正面端面図において反時計回りである。回転軸12は、反対方向である前後方向D、Dを定めることができる(これらの方向は回転軸12と平行であるがそれと同軸である必要はない)。
【0018】
エンドミル10は、反対側にある前端14および後端16と、前端14および後端16の間に延びる周囲面18とを含むことができる。
【0019】
エンドミル10は、切削部分20と、切削部分20の後方に位置するシャンク部分22とを含むことができる。
【0020】
切削部分20は、前端14で測定可能な切削部分直径Dと、有効切削長さLとを含むことができる。有効切削長さLは、前端16から、刃の逃げ面がもはや有効ではない軸方向位置まで延び、それはこの例では、参照符号「23」で示された軸方向位置で見ることができる。前端14から有効長さLの真中の軸方向位置Lまで延びるLで示された有効切削長さの前半部も例示されている。
【0021】
切削部分20は、一体形成された刃24(例えば、第1、第2、第3、第4、第5、第6および第7刃24A、24B、24C、24D、24E、24F、24G)を含む。
【0022】
隣接する刃の各対の間には、割出し角S(例えば、第1、第2、第3、第4、第5、第6および第7の割出し角S、S、S、S、S、S、S)が定められる。示された例では、全ての割出し角は、前端14において異なる値を有する。それにもかかわらず、割出し角は、有効長さの真中の軸方向位置Lへ近づくにつれて等しくなるように収束し(7つの刃を有するエンドミルの場合、360°/7=51.4°)、この例ではそのあとそれから逸れる。
【0023】
切削部分20は、隣接する刃24の各対の間に円周方向に位置する、螺旋溝26(例えば、第1、第2、第3、第4、第5、第6および第7の溝26A、26B、26C、26D、26E、26F、26G)、すなわち、前端14に隣接して少なくとも螺旋状に延びる溝を含む。
【0024】
各溝26は、回転軸12に対して形成された螺旋角Hを有することができる。
【0025】
ここで図3Aを同じく参照すると、少なくとも前端14に隣接して、エンドミル10は、テーパ角μによって概略的に示されるテーパコアを含むことができることが注目される。
【0026】
各刃24は、以下の全体的に指定される部分を含むことができる:逃げ面28、すくい面30、逃げ面28とすくい面30との交差部に形成された切れ刃32、およびコーナー34。以下のことに留意されたい、すなわち、図3Aで特定された逃げ面28は、他の要素の数値表示で示された刃とは異なる刃24の逃げ面であり、これは単に、図3Aの最も上の刃の逃げ面が、示される輪郭図では見えないからである。
【0027】
図3Aに示す輪郭図において、回転軸12の周りをエンドミル10が回転する間、コーナー34は、仮想円Iの一部36を画定する円弧状の輪郭を示す。
【0028】
同様に図3Cを参照すると、円Iは、円の中心点C;軸方向および半径方向の接線L、L;軸方向および半径方向の接線L、Lおよび切れ刃32の交差部に位置する軸方向および半径方向の接線点PAP、PRP;軸方向および半径方向の接線L、Lの間に等角度間隔で配置された二等分線Lを有することが注目される。
【0029】
逃げ面28は、異なる部分、すなわち、前端14の軸方向逃げ面28A(図1B)と、周囲面18の半径方向逃げ面28B(図3A)と、軸方向および半径方向の逃げ面28A、28Bを接続するコーナー逃げ面28C(図3C)とを含む。
【0030】
図3Bはすくい面30を示し、すくい面30は異なる部分、すなわち、切れ刃32に隣接して延びる切削部分すくい面30Aと、窪み部分すくい面30Bと、切削部分すくい面および窪み部分すくい面30A、30Bの交差部に形成されたすくい隆起部30Cとを含む。
【0031】
切れ刃32は、異なる部分、すなわち、軸方向接線Lまで延びる前端14の軸方向部分切れ刃32Aと、軸方向接線Lから半径方向接線Lまで延びるコーナー部分切れ刃32Bと、半径方向接線Lから後方に延びる半径方向部分切れ刃32Cとを含む。
【0032】
図4Aおよび4Bに示すように、軸方向すくい角Φが、回転軸12とギャッシュ面線33との間に定められる。示される例の軸方向すくい角Φは正の角度である。
【0033】
同様に、図4Cに示すように、コーナーすくい角εが、コーナー部分切れ刃32Bと回転軸12との間に定められる。
【0034】
図5Aおよび5Bを参照すると、例の切削部分すくい面30A、窪み部分すくい面30Bおよびすくい隆起部30Cが示されている。特に、各すくい隆起部30Cは、隆起形状、すなわち、示される図では、切削部分すくい面および窪み部分すくい面30A、30Bに下降する頂点を有する。この形状は、すくい隆起部30Cが、図5Aに示すように回転軸12から半径方向部分切れ刃32Cまで延びる半径方向線42より下に位置するか(したがって、正の半径方向すくい角、すなわちβ>0°を例示する)、または図5Bに例示されるように半径方向線42より上に位置するか(負の半径方向すくい角、すなわち、β<0°を示す)にかかわらず生じる。
【0035】
各切削部分すくい面30Aは、窪み部分すくい面30Bに関連する仮想内部切削角λより大きな値を有する実際の内部切削角γを有する。より正確には、一例として図5Bを参照すると、すくい隆起部30Cから窪み部分すくい面30Bを延ばす仮想すくい延長線38は、半径方向逃げ面28Bを延ばす仮想逃げ延長線40と交差する。
【0036】
切削部分すくい面30Aは、(図5Aおよび5Bの側面図で見ることができる直線から理解されるように)平面形状を有することができる。
【0037】
各刃の窪み部分すくい面30Bは同じ形状を有することができ、それは図5Aおよび5Bに示すような凹形状とすることができる。特にその形状は、関連する切削部分すくい面30Aから窪んでいるので、加工物(図示せず)から機械加工された切屑が、特にすくい隆起部30Cに直接隣接する点で、接触することなく窪み部分すくい面30Bを好ましくは通過することができ、それによりエンドミルへの熱伝達を低減する。
【0038】
図3Bに戻ると、部分切削面の幅W(例えば、W、W、W)が、すくい隆起部30Cの最近接点と切れ刃32との間で測定することができる。半径方向部分切削面の幅Wは半径方向接線Lに沿って測定可能であり、二等分線部分切削面の幅Wは二等分線LB2に沿って測定可能であり、軸方向部分切削面の幅Wは軸方向接線Lに沿って測定可能である。
【0039】
切削部分すくい面30Aは、3つの異なる下位部分を含むことができる。すなわち、半径方向下位部分30A1、軸方向下位部分30A2、およびコーナー下位部分30A3。第1および第2の湾曲線44A、44Bは、下位部分の限界を示すために視認され得る。
【0040】
図3Cを参照すると、回転軸12に対して垂直に延びる垂直平面Sを、コーナー逃げ面28Cの最後点45に定めることができる。垂直平面Sは、回転軸12に沿った軸方向位置を定める。次に、図3Bに示す輪郭図が見えるまで、回転軸12の周りでエンドミル10を回転させることができる。示されているように、軸方向の位置が示されているので、コーナー逃げ面28Cが見えなくても、垂直平面S図3Bにおいても導き出すことができる。図3Bの垂直平面Sの正確な軸方向位置は、説明目的のためだけに概略的に加えられていることは理解されよう。
【0041】
図3Bは、すくい隆起部30Cが、二等分線Lから、コーナー逃げ面28Cの後方の少なくとも垂直平面Sで示される軸方向位置まで、連続的に湾曲していることを示す。実際にすくい隆起部30Cは図3Bに示す全体図において連続的に湾曲している。ここで「連続的に湾曲している」とは、すくい隆起部30Cが不連続部を含まないことを意味する。
【0042】
対照的に、従来技術のエンドミル10’が図2A〜2Cに示されており、ここで基本的に対応する要素には同じ参照符号の後にアポストロフィ(’)が付されている。コーナー34’は、3つの別個の下位部分30の代わりに、2つの下位部分、すなわち半径方向下位部分30A1’と、1つの湾曲線44C’で半径方向下位部分30A1’と接合するように示される1つのコーナー軸方向下位部分30A4’とを有することが注目される。1つのコーナー軸方向下位部分30A4’に沿って延びるコーナー軸方向すくい隆起部30C1’は、不連続部46’によって示されるように、接続された半径方向すくい隆起部30C2’まで連続的に湾曲しない。特に、コーナー逃げ面28C’(図2C)の最後点45’の軸方向位置を定める垂直平面S’は、不連続部46’の後方に位置付けられる。
【0043】
コーナーおよび半径方向部分切れ刃32B、32C間で測定された外側逃げ角θ(図3C)は、従来技術工具10’の比較的より小さい外側逃げ角θ’(図2C)よりも有利に180°に近づけることができることも理解されよう。
【0044】
上記の記載は例示的な実施形態および詳細を含み、例示されていない実施形態および詳細を本出願の特許請求範囲から排除するものではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B