(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記口内擬似食塊に結合されたテザーを更に有し、前記テザーは、コアおよび前記コアを包囲したスキンを有し、前記スキンは、前記コアの互いに反対側の側部を包囲した拡大側部分を有する、請求項1記載の口腔器具。
前記スキンは、前記コアの互いに反対側のフェース上の前記拡大側部分相互間に延びる中間部分を有し、前記中間部分は、第1の厚さを定め、該第1の厚さは、前記拡大側部分の第2の厚さよりも小さい、請求項3記載の口腔器具。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】モールドコンポーネントのうちの一方の斜視図である。
【
図1B】モールドコンポーネントのうちの他方の斜視図である。
【
図2】
図1Aおよび1Bのモールドコンポーネントが互いに閉じられた形態の斜視図である。
【
図3】口腔器具の各部分を形成している1対のインサートコンポーネントの分解図である。
【
図4】
図1のモールド半部のうちの一方の中に設けられている
図3のインサートコンポーネントの斜視図である。
【
図7】インサートコンポーネントがモールドコンポーネントのうちの一方の中に設けられている状態で閉じ状態(A)および開き状態(B,C)にあるモールドの変形実施形態の斜視図である。
【
図8】インサートコンポーネントがモールドコンポーネントのうちの一方の中に設けられている状態で閉じ状態(A)および開き状態(B,C)にあるモールドの変形実施形態の斜視図である。
【
図10】代替的なモールド構造の斜視図(A,B)である。
【
図16】
図15の実施形態に組み込まれているハンドルの斜視図である。
【
図17】ハンドルの一実施形態のためのモールドの組の斜視図(A,B)である。
【
図19】モールドのコアの一実施形態の斜視図である。
【
図20】ハンドル上にオーバーモールドされた弁の部分拡大斜視図である。
【
図21】ロストコアワックスインサートの斜視図である。
【
図22】ハンドルに結合されているダックビル弁のコアを示す図である。
【
図24】単一の気体通路が形成されている口腔器具の変形実施形態の斜視図である。
【
図25】1対の気体通路が形成されている口腔器具の変形実施形態の斜視図である。
【
図26A】流体充填擬似食塊がユーザの口の内側で操作されている状態の口腔器具の一実施形態の側方断面図である。
【
図26B】
図26Aに示されており、口の後部の近くに位置決めされておりかつ気体パルスを送り込んでいる口腔器具の側方断面図である。
【
図27】液体で満たされた擬似食塊と気体通路とを備えている口腔器具の一実施形態の斜視図である。
【
図29】
図27における線29に沿った擬似食塊と気体通路との拡大図である。
【
図30】
図27における線29に沿った流体リザーバの拡大図である。
【
図31】
図27に示されている口腔器具の代替的な部分断面図である。
【
図32A】口腔器具の側面図であり、流体リザーバがユーザによって操作されている状態である。
【
図32B】
図32Aに示されている口腔器具の側面図であり、流体が流体リザーバへと移されつつありかつ気体がユーザの口の後方において気体出口を通過している状態である。
【
図33】口腔器具の変形実施形態の部分斜視図である。
【
図35】
図34に示されている口腔器具の線35−35に沿って取った断面図である。
【
図36】口腔器具の変形実施形態の部分斜視図である。
【
図37】
図36に示されている口腔器具の線37−37に沿って取った断面図である。
【
図38】口腔器具の変形実施形態の部分斜視図である。
【
図39】口腔器具の変形実施形態の部分斜視図である。
【
図41】
図40に示されている口腔器具の線41−41に沿って取った断面図である。
【
図44】口腔器具の一実施形態の図(A〜E)である。
【
図45A】
図44に示されている口腔器具の斜視図であり、ユーザに利用されている状態を示す図である。
【
図45B】ユーザに利用される前の
図45Aに示されている口腔器具の斜視図である。
【
図46】口腔器具の一実施形態の図(A〜F)である。
【
図47】口腔器具の一実施形態の図(A〜F)である。
【
図48】口腔器具の一実施形態の図(A〜D)である。
【
図49】口腔器具の一実施形態の図(A〜D)である。
【
図50】口腔器具のための遮蔽体の一実施形態の図(A〜E)である。
【
図51】口腔器具のための遮蔽体の一実施形態の図(A〜E)である。
【
図52】口腔器具の一実施形態の図(A〜E)である。
【
図53】口腔器具の一実施形態の図(A〜E)である。
【
図54】口腔器具の側方断面図であり、自己膨張性擬似食塊が膨らんだ状態(A)、そして萎んだ状態(B)を示す図である。
【
図55】動作中の気体パルス型口腔器具及び非気体パルス型口腔器具の断面図(A,B)である。
【
図56】口腔器具の一実施形態の図(A〜D)である。
【
図57】口腔器具のためのハンドルの一実施形態の図(A〜D)である。
【
図58】擬似食塊およびテザーの一実施形態の図(A〜E)である。
【
図59】口腔器具のための遮蔽体の図(A〜E)である。
【
図82】口腔器具のためのハンドルの様々な図(A〜E)である。
【
図84】口腔器具のためのハンドルの様々な図(A〜E)である。
【
図85】口腔器具のための擬似食塊の様々な図(A〜G)である。
【
図86】口腔器具のための弁構造の様々な図(A〜F)である。
【
図88】口腔器具のための擬似食塊の様々な図(A〜E)である。
【
図90】
図89に示されている口腔器具の断面図であり、ユーザの口の中に配置された状態である。
【
図91】
図89に示されている口腔器具の断面図であり、ユーザの口の中に配置されて作動中の状態である。
【
図95】ユーザの口の中に配置されている口腔器具の斜視図である。
【
図96】ユーザの口の中に配置されている口腔器具の斜視図である。
【
図98】擬似食塊を膨らませ、しぼませるステップを示す図(A〜D)である。
【
図101】口腔器具の変形実施形態の斜視図である。
【
図102】
図101に示されているハンドルおよび口内部分の解放形態の部分斜視図である。
【
図104】
図101に示されている口腔器具の実施形態に含まれているキャッチ機構体を示す前面図である。
【
図106】口腔器具の変形実施形態の斜視図である。
【
図107】口腔器具の変形実施形態の斜視図である。
【
図108】口腔器具の変形実施形態の斜視図である。
【
図109】
図108に示されている口腔器具のユーザに適用された状態の斜視図である。
【
図111】
図110に示されている口腔器具の111−111線に沿って取った断面図である。
【
図114】ユーザに適用された状態の口腔器具の断面図である。
【
図115】擬似食塊の変形実施形態の斜視図である。
【
図117】
図116に示されている擬似食塊の線117−117に沿って取った断面図である。
【
図118】口腔器具の変形実施形態の部分斜視図である。
【
図120】
図118に示されている擬似食塊の、ユーザの口の中に挿入された状態の部分拡大図である。
【
図121】口腔器具の組み立て段階を示す図である。
【
図122】口腔器具の組み立て段階を示す図である。
【
図123】口腔器具の組み立て段階を示す図である。
【
図124】別の口腔器具の組み立て段階を示す図である。
【
図125】別の口腔器具の組み立て段階を示す図である。
【
図126】別の口腔器具の組み立て段階を示す図である。
【
図127】別の口腔器具の組み立て段階を示す図(A〜C)である。
【
図137】口腔器具の変形実施形態を示す図である。
【
図138】口腔器具の変形実施形態を示す図である。
【
図139】口腔器具の変形実施形態を示す図である。
【
図140】口腔器具の変形実施形態を示す図である。
【
図141】口腔器具の変形実施形態を示す図である。
【
図142】口腔器具の変形実施形態を示す図である。
【
図143】口腔器具の変形実施形態を示す図である。
【
図144】口腔器具の変形実施形態を示す図である。
【
図145】口腔器具の変形実施形態を示す図である。
【
図146】口腔器具の変形実施形態を示す図である。
【
図147】口腔器具の変形実施形態を示す図である。
【
図148A】口腔器具が収納された閉じ状態のキャリングケースの一実施形態の斜視図である。
【
図148B】口腔器具が収納された開き状態のキャリングケースの一実施形態の斜視図である。
【
図153】口腔器具が収納されていない状態の
図148Bに示されている開き状態のキャリングケースの回転後における斜視図である。
【
図154A】口腔器具が収納された閉じ状態のキャリングケースの別の実施形態の斜視図である。
【
図154B】口腔器具が収納された開き状態のキャリングケースの別の実施形態の斜視図である。
【
図155】口腔器具が収納されていない状態の
図154Bに示されている開き状態のキャリングケースの回転後における斜視図である。
【
図157】擬似食塊の一実施形態の部分断面図である。
【
図158】擬似食塊の一実施形態の部分断面図である。
【
図159A】元の状態にある食塊の潤滑パッチ部分の一部分の拡大部分図である。
【
図159B】部分的に減少した状態にある食塊の潤滑パッチ部分の一部分の拡大部分図である。
【
図159C】全て無くなった状態にある食塊の潤滑パッチ部分の一部分の拡大部分図である。
【
図160】
図148Aの160‐160線に沿って取ったキャリングケースおよび口腔器具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
「側方の」、「側方に」およびこれらの用語の変形語は、幅方向すなわちユーザの頬と頬との間の側部から側部への方向を指している。「長手方向の」、「長手方向に」およびこれらの用語の変形語は、コンポーネントの長手方向を指している。「上側」または「上」という用語は、直立して座っているときのユーザの口の口蓋に向かう垂直な方向または向きを指しており、一方、「下側」または「下方」という用語は、地面に向かう垂直な方向または向きを指している。「半径方向」という用語は、単一の中心点から外方に延びる方向を意味するが、単一の中心点から外方に延びる特徴部には限定されず、このことは、例えば1つまたは複数の特徴が線分から外方に延びる場合のあることを意味している。「流体」という用語は、気体か液体かこれらを組み合わせたもののいずれかを指しており、内部に粒子または固体が分散(懸濁)された液体を含む。理解されるべきこととして本明細書において「第1」および「第2」と言った場合、例えば流体の体積および量を含む被修飾語のいずれもが、ただ2つの規定された測定値間ではなく多くの互いに異なる測定値間でばらつきがあっても良く、流体の体積および量は、1つの連続体に沿って無限に調節可能であり、「第1」および「第2」という用語は、単にこのような一連の測定値に沿った2つの異なる測定値を指していることは理解されるべきである。
【0025】
ここで、
図23、
図25、
図27、
図42、
図46、
図47、
図60〜
図70および
図149〜
図152を参照すると、口腔器具2は、口外のユーザインターフェース4を備えているものとして示されている。口外のユーザインターフェースは、リブ、ローレット、またはその他の構造、のような種々の把持可能な構造を有する輪郭のハンドル6によって構成されている。種々の実施形態では、口外の部分は医療等級材料またはその他の材料によって作られている。例えば、口外の部分は、サンゴバン・タイゴン樹脂チューブ(Saint-Gobain Tygon Plastic Tubing,登録商標)、PolyFlav+EVAフレーバプラスチックおよび/または生理食塩水、3Dシステムズラピッドプロトタイプ樹脂(3D Systems Rapid Prototype Resin)および/または注型ウレタン(Cast Urethane)によって作ることができる。
【0026】
口外のインターフェース4の一部も形成している遮蔽体14が、一実施形態では、擬似食塊12とテザー10とによって形成されている口内部分8に結合されている。一実施形態では、遮蔽体14は、口外のインターフェースの一部として一体に形成されかつハンドルの長手方向軸線を横切って伸びている薄いフランジとして形成されている。
図50、
図51、
図59、
図64、
図75、
図149、
図150および
図152を参照すると、遮蔽体14は、ユーザの顔に適合するように擬似食塊に対向しているわずかに凹状の輪郭16を有している。外側、つまり遮蔽体の側縁部18は、外方に向かってラッパ状に広がっていて、水平軸線に対して凹状輪郭20を形成しておりかつ垂直軸線を中心に形成された湾曲した輪郭16を横切る方向に延びている。遮蔽体は、鉱物入りまたはガラス入りの変形例を含む例えばポリプロピレン、エチレン、および/またはナイロンのような硬質プラスチック材料によって作られても良く、しかも例えば芳香剤を使用して香り付けされても良い。また、遮蔽体は、ポリカーボネートならびにフタル酸塩および鉛を含まない塩化ビニル(PVC)によって構成されても良い。一実施形態では、一層の可撓性が望まれる場合には、ショアAデュロメータ硬度が70〜90のシリコーン材料を使用することができる。一実施形態では、ハンドルは、ポリエチレンまたはポリプロピレンによって作られ、一方、遮蔽体はPolyFlav+EVAによって作られる。種々の実施形態において、遮蔽体には1つまたは2つ以上の開口部201またはスロット52,203が形成されており、これらの開口部は、テザーを受け入れかつ/あるいは気体であるか液体であるかどうかに関係なく、流体通路70,56,62,66,42のための貫通穴を提供しており、かつ支持構造体22が遮蔽体の内側へ挿入されたときにハンドルの一部分を受け入れかつ包囲するスロットまたは溝203も提供する。
【0027】
図48および
図49に示されている一実施形態では、ハンドルは、ハンドルをほぼ横断して延びている遮蔽体支持構造体22を備えている。支持構造体は、一実施形態では、複数の交互に並んだリブ24と凹部26とを備えているフランジとして形成されている。
図50、
図51、
図59および
図75に示されている遮蔽体14は、内側支持構造体22の周りに嵌りかつこれを包囲して、ユーザが自分の外唇および顔とインターフェースする材料を変更することができるようにするシュラウドまたはカバーを備えている。さらに、遮蔽体14の外側のカバー部分は交換することができかつ/あるいはハンドル6は消毒のために取り外すことができる。遮蔽体を軟質ポリマーユーザインターフェース4が支持構造体22にオーバーモールド成形されまたはこれと同時成形された分離できない組立体として形成することができ、支持構造体は、上述の材料のうちの1つまたは2つ以上によって構成されている。このツーショットコンポーネントから成る外側ケースまたはインターフェース材料は、EVA、軟質PVC、および/またはシリコーンで構成されるのが良い。外側オーバーモールド成形材料に関するデュロメータ値は、30ショアAから80ショアAまでの範囲にあるのが良い。種々の芳香剤が外側ユーザインターフェース層を作っているポリマーまたはシリコーン材料中に混ぜ込まれるのが良い。遮蔽体は、材料含浸によってまたは浸漬もしくは被覆による機械的な結合によって風味付けまたは香り付け可能である。遮蔽体の一部分が風味付けまたは香り付けされていても良く、または風味付け剤または芳香剤を含んでいなくても良い。一実施形態では、支持構造体22を包囲している外側のユーザインターフェース層は、支持構造体にオーバーモールド成形された一体形射出モールドコンポーネントとして形成されている。
【0028】
他の実施形態では、
図149、
図150および
図160に示されているように遮蔽体14は、テザー10の外側ケーシングまたはスキン部分902および更に擬似食塊12と同時成形されるとともにハンドルの端部分906およびテザーのコア部分900(これらは、同時成形されている)上にオーバーモールド成形される。以下に更に説明するように、ハンドル6およびコア900は、硬質で剛性の材料で作られるのが良く、ケーシングまたはスキン902は、コアおよびハンドルの材料よりも軟質でありかつ可撓性の材料で作られる。アンカー部分921がテザーのコアから延びるとともにケーシングおよび遮蔽体を固着するのを助けるのが良い。
【0029】
遮蔽体14は、擬似食塊またはその他の口内部分がユーザの口腔内に深く入り過ぎるのを阻止する。口内部分は、深く入りすぎると、咽頭反射を引き起こすかまたは窒息の危険性をもたらす。さらに、遮蔽体は、口内部分に付着した唾液またはその他の沈積物が口外の部分、例えばハンドルまたはユーザの手を汚すのを防止するバリアとして機能する。ハンドルと同じく、遮蔽体に、おしゃぶりのような乳幼児または小さな子供が使用する装置のイメージを思い起こさせるのを避ける風合いを設けることが好ましい。遮蔽体はまた、擬似食塊がユーザの口の中にどの程度の深さまで挿入されたかについて知らせる測定装置を提供することもできる。
【0030】
図147、
図149および
図151を参照すると、遮蔽体は、通気穴620を有するのが良い。
図149および
図151の実施形態では、遮蔽体は、テザーの各側に1つずつ位置決めされた1対の穴620を有し、これら1対の穴620は、以下に更に説明するようにキャリングケースに設けられた開口部920と整列するのが良い。通気穴620,920の整列により、口腔器具がキャリングケース940内の貯蔵位置にあるときに最大空気循環量が保証される。通気穴はまた、口腔器具が患者の呼吸空気経路内で脱落状態になった場合の窒息を阻止する。
【0031】
図95および96を参照すると、位置決めハンドル28は、堅牢であるが変形可能な材料の薄くて幅の狭い帯材(ストリップ)によって作ることができる。テザー40の一端すなわちハンドルの口内の部分は、擬似食塊32と同じ近似形状かつ小さめの寸法を有していて擬似食塊に対する内側の支持を提供している。ハンドルは、口内組織に傷を生じさせないように滑らかで軽量にすることができる。
図106,107,110,111を参照すると、ハンドルには軽量化のための穴316が設けられている。ハンドルの遠位端に引き綱用の穴318が設けられている。一実施形態では、口腔器具の全重量は40グラムより軽いかまたは等しい。軽量化のための穴316および引き綱用の穴318は、口腔器具の質量中心がハンドルの近位端の近くに配置されるような大きさおよび配置とされていて、器具の質量中心および重心からの距離を最小化して、器具が手を離して使用されているときのハンドルの振り子作用を最小化している。
図113に示されているように、ハンドルの部分320は、テザーの中心内に向かって突出していてテザーのコアに対する補強を提供している。ハンドルは、細長い本体として形成されているけれども、ノブまたはループとして形成されても良い。
【0032】
ハンドルは、見やすいように明るい色で作ることができる。一実施形態では、ハンドルのテザー部分40は、ユーザの上の歯と下の歯との間を通って口から前方へ出て行き、擬似食塊が位置決めされた後に顎が閉じられたときに変形して上の歯と下の歯とが咬合関係となることができ、歯同士が咬合した状態での使用が可能とされている。ハンドル28は、テザー部分40が変形せしめられたときに下方に向かって延びる中間部分34と、ユーザが把持できるように外方に向けて延びている把持可能な部分36とを備えている。別の実施形態では、ハンドルは、擬似食塊の側面から出て、上の歯の接触面と下の歯の接触面とが接しない時点で犬歯の後方から上の歯と下の歯との間を通ってある角度で口から出て行く。
【0033】
図96に示されている別の一実施形態では、1対の位置決め用ハンドル30が、擬似食塊の端部の右側と左側とから出てある角度で口から出て行き、このとき、一方のハンドル30は擬似食塊の右側に取り付けられていて右側を安定化させ、他方のハンドル30は左側に取り付けられていて左側を安定化させる。一実施形態では、2つの位置決め用ハンドル30が、下方に向かって延び、次いで外方に向かって延び、次いで上方へ向かって延び、フック部分38で終わっており、ハンドルは、ユーザの耳にかけられて固定され、器具のユーザまたはオペレータの両手を自由にしながら擬似食塊を更に安定化させている。
【0034】
一実施形態では、ハンドル28,30および擬似食塊32、ならびにテザーおよび遮蔽体は、これらが分離しないように恒久的に相互に固着され、この場合、組立体は、一人のユーザによる、1回だけの使用、1回の活動、または数回の活動に特に適している。
【0035】
変形例として、
図62〜
図67、
図77Cおよび
図79Cに示されているように、ハンドル6は、例えばクリップ、スナップ嵌め、またはキャッチ機構体43による係合によって、テザー42を備えた擬似食塊12に解放可能に結合されている。その結果、ハンドル6は、分離させ、清掃し、別の擬似食塊12と共に再使用することができる。
図101〜
図105を参照すると、ハンドルには、口内部分8が遮蔽体14と一緒にハンドル6から取り外されるかまたは解放されるようにするキャッチ機構体43が組み込まれている。
図102には、キャッチ機構体43が露呈されている解放すなわち分離状態にある取り外し可能なハンドルが示されている。
図102〜
図105に示されているように、ハンドルは、ブリッジ部材53に結合されている側方に隔置されている1対の捕捉部材47に結合されているボタン45として示されているアクチュエータを備えている。捕捉部材47は、楔形状をなしている角度が付けられた表面を有している。アクチュエータは、アクチュエータを係合位置へ戻すバネとして機能する1対のレッグ49によって捕捉部材に結合されている。遮蔽体14には、遮蔽体から長手方向に延びている1対のフックまたは取り付け部材51が形成されている。1つの組み立てられた形態では、ハンドルの2つの捕捉部材47に取り付け部材51が係合して、遮蔽体と口内副組立体とがハンドルに解放可能に結合されている。
図104および105に図示されているように、遮蔽体14と口内部分8との解放は、キャッチ機構体43の中央に配置されているボタン45を押し込み、それによって2つの捕捉部材47をボタン45の動きと同じ方向に動かして遮蔽体に取り付けられている取り付け部材51から離れさせることによってなされる。これによって、遮蔽体と口内部分とをハンドルとの係合状態から長手方向に動かすことができる。挿入は、遮蔽体と口内部分とが解放されて解放可能なスナップ嵌め状態となるまで、長手方向反対の方向へ動かして、取り付け部材51が捕捉部材47を押し付けるようにするかまたはボタンによる補助を受けて行われる。
【0036】
一実施形態では、ハンドル6には、擬似食塊に振動を与える振動部材が形成されている。例えば、限定的ではないが、2〜70Hzの周波数範囲の振動が付与される。振動は、ユーザまたは介護者がハンドル上のボタンを作動させることによって手動で開始される。変形例として、振動は、ユーザによって擬似食塊にかけられる動きまたは圧力によってトリガされても良い。
【0037】
別の実施形態では、ハンドルはまた、例えば、「嚥下の用意をし、しっかりと飲み込め」などの指示情報を提供する人間の声のような言葉による合図を発するよう構成されてしても良い。この言葉による合図は、ハンドル6上のボタンを操作することによってユーザまたは介護者によって手動で開始される。変形例として、合図をユーザによって擬似食塊にかけられる動きまたは圧力によってトリガさせることができる。
【0038】
種々の実施形態では、ハンドルは、ショアAデュロメータ硬度が高い(80ショアA)シリコーンを含む、遮蔽体と同じ材料によって作られる。別の実施形態では、ハンドルは、40ショアA〜80ショアAの範囲のデュロメータ硬度を有するシリコーン、可撓性PVC、またはEVA、のような比較的柔軟な材料をオーバーモールド成形されている硬い主要なコアを有している。
【0039】
図44、
図45Aおよび
図45Bを参照すると、口腔器具の別の実施形態が示されている。口腔器具は、口内導管を画定している、1対の左右に隔置されている口内部分112を備えており、口内部分112の各々は、少なくとも1つの流体パルスを分配するようになされている少なくとも1つの出口ポート120を備えている。口外部分114が、口内部分の各々と一体に形成されている。口外部分は、口内導管と流体連通している口外導管を画定している。補助的な支持装置としてヨーク(Y字形管、yoke)が挙げられる。一実施形態では、ヨークは、1対のアーム部分134と入口部分136とを備えているY字形のフレーム132として形成されており、1対のアーム部分と入口部分との各々には溝またはチャネルが形成されており、溝またはチャネルの中に口外部分が配置されかつ固定されている。アーム部分は入口部分から後方に向かって湾曲している。一実施形態では、アーム部分は約20〜60°の角度(α)で伸長しており、一実施形態では、約30〜45°の角度(α)で伸長しており、一実施形態では、38.5°の角度(α)で伸長している。フレームは口外部分114を整形しかつ保持する。さらに、1対のアーム部分134の各々は、アタッチメント部材140を備えている翼部を備えている。例示としてかつ限定的ではなく、弾性のバンドとして形成されている少なくとも1つの固定部材142がアタッチメント部材140に固定されている。このバンドは、1対の耳用ループとして、またはユーザの頭部の周囲を囲みかつヨークを定位置に配置しかつ保持する単一のヘッドバンドとして形成することができる。
【0040】
一実施形態では、翼部は凹状に湾曲した部分144を備えており、湾曲部分144は、ユーザの唇または口の隅部とインターフェースし、ヨークのアーム部分134の端部が、ユーザの口の中へと延びかつチューブの口内部分112をユーザの口の中に位置決めする。本質的に、端部とアタッチメント部材140とは、固定部材18によって加えられる力がヨークをユーザの唇/口に押し付ける状態で、ヨークをユーザ特に唇/口に対して配置するために、それらの間に凹部を有している。翼部の幅(W)は、ユーザの唇/口との接触領域における端部と翼部との接合部において広がっていて、組織の接触圧力を減じる。
【0041】
図15、
図16、
図18、
図24、
図25、
図27、
図28を参照すると、流体通路56が、ハンドル6を貫通して延びていてハンドルの遠位端の入口ポート60と連通している。変形例として、導管56として形成されている通路がハンドルから延びる。圧縮機またはポンプ(手動またはモーター駆動)のような流体供給装置が入口ポート60または導管に結合されていて気体が供給される。導管56は、外部環境に対して開口していても良いし、または酸素のような気体の供給源に接続されていても良く、この場合には、他の薬剤が気体通路内に導入されかつユーザに送り込まれても良い。代替的に、液体が入口ポートに供給されても良い。
【0042】
ハンドル6の目的は、器具の口内部分を患者の口の中へ挿入したり患者の口から取り出したりする際に使用すること、ならびに患者の口の内側での擬似食塊12の操作を助ける手段を提供することである。目的を良好に果たすために、ハンドルは人体工学的に好都合であろう。さらに、意図されている治療計画では、口内部分は長期間に亘って患者の口の中に残されるので、ハンドル6は、外部から支持する必要がない程十分に軽くなければならず、一方で、口内部分8は不快感を与えることなく、患者の口の中にある。
【0043】
美的観点からは、ハンドル6は、特に、細かい運動機能に障害のある人のために使用の安易性を保ちつつ、意図されているユーザまたは患者に対して否定的な見方を思い起こさせるべきではない。一例として、この症状がなければ通常の社会生活を送ることができる痴呆の早期発症患者にとっては、赤ん坊または重度の身体障害者のために意図されているものに類似した器具を使用しなければならないことは、全く失望させ得ることである。
【0045】
口腔器具はまた、テザー10および擬似食塊12を含む種々の口内構成要素をも備えている。種々の実施形態において、口内コンポーネントは医療等級材料によって作られている。例えば、口内コンポーネントは、ダウコーニング・シラスティックM室温加硫(RTV)シリコーン、ダウコーニング・シラスティックMDX4・RTVシリコーン、サンゴバン・タイゴン樹脂チューブ、0.04インチ(1.016mm))の透明なマウスガード用熱成形EVAシート、PolyFlav+EVAフレーバプラスチック、PVC(脱鉛および脱フタル酸塩)、EVA、および/または生理食塩水によって作ることができる。一実施形態では、テザーは、例えば
図156に示された完全架橋軟質シリコーン製外側ケーシングまたはスキン902とこれよりも硬質のシリコーン製コア900の複合材で作られている。この構成は、その堅いコア、側方に細長い幾何学的形状およびこれに対応して定められた慣性モーメントと一緒になって、擬似食塊がテザーの曲げによって横断方向908に沿って上下するが、その移動が側方の方向910に関して制限され、それによりユーザが口腔内での擬似食塊の側方配置を制御することができるようにする。外側ケーシングまたはスキン902は、擬似食塊を形作るプレフォームの管状部分から出ているのが良く、この管状特徴部は、次の成形プロセスで圧縮されてリボン状の形になり、その後、遮蔽体とハンドルコンポーネントがこの上に成形される。コア900は、オーバーモールド成形プロセス中に形成されるハンドルおよび遮蔽体の延長部であるのが良い。
図113、
図149および
図150を参照すると、テザー10と遮蔽体との間のオーバーモールド境界部111が示されており、境界部は、汚染物質が収容されるかも知れないこれら2つの構成要素間の間隙または隙間の存在を最少にしている。このタイプの滑らかな移行は、例えば、接着、溶着、および熱カシメを含む機械的な接合によって択一的に達成させることができる。
【0046】
図149および
図156を参照すると、ケーシングまたはスキン902は、一実施形態では円筒形に形作られた拡大側部分912を備え、この拡大側部分912は、コアの互いに反対側の側縁部914を包囲している。ケーシングまたはスキンは、コアの互いに反対側のフェース上の拡大側部分912相互間に延びる中間部分916を更に有する。中間部分は、コア900と組み合わせた状態で、第1の厚さH1を定め、この第1の厚さH1は、コア900と組み合わせた状態の拡大側部分の第2の厚さH2よりも小さい。拡大側部分912は、裂け遅延(裂け抑制)特徴を提供する。したがって、裂けが不用意にテザーに生じた場合、噛みつきによってであれその他の仕方によってであれいずれにせよ、その伝搬は、拡大側部分によって速度が落とされる。特に、中間部分と拡大側部分との移行部のところでは、応力の大きさおよび方向は、幾何学的形状の変化に起因して変化し、応力の大部分は、補強特徴とも呼ばれている拡大部分によって吸収され、後には、長手方向応力の小さな中間部分が残され、それによりテザーを側方に横切って広がる裂けの速度が落とされる。加うるに、拡大側部分912は、張力が加えられると、中間部分916を圧縮し、それにより裂けが側方に伝搬する能力を更に低下させる。
【0047】
テザーは、材料含浸によってまたは浸漬もしくは被覆による機械的結合によって、風味付けまたは香り付けしても良い。テザーの一部に風味付けまたは香り付けしても良く、またはテザーにこのような物質が含まれていなくても良い。
【0048】
図107および
図109に示されている一実施形態では、テザーは、それらの間に空間または開口部314を画定している1対の離隔された側部分312を備えている。開口部314は、使用者の舌の少なくとも一部分がその内部に収容されるのを可能にしかつ舌がユーザの口の硬口蓋に触れて嚥下を更に補助することを可能にする。側部分312は、流体導管として形成されても良い。
図109の実施形態に示されているように、右側のテザー部分は、ユーザの唇の右隅からユーザの口の中に入り、一方、左側のテザー部分は、ユーザの唇の左隅からユーザの口の中に入り、身体感度が最も高い矢状正中線上またはその近くで、上唇と下唇との間にテザーの材料が1つも配置されない。したがって、ユーザは、使用中に互いに接触する唇から自然な感覚フィードバックを受ける。同様に、矢状正中線の前方およびその近くで、上顎と上顎歯との間に物が配置されず、かつ舌尖部/舌葉と口蓋との間(すなわち、上顎切歯の後方の顎堤)に物が存在しない。したがって、ユーザは、使用中に天然の舌/顎堤の相対関係を維持することができ、ユーザが口腔から自然な身体感覚フィードバックを受け取ると言う関連する利点を有する。更に、ユーザは、会話中、飲食中、のような口内機能において自分の舌および唇をより容易に使うことができる。テザーが左か右の単一の非対称な側部分によって作られて、側部分のうちの一方を完全に排除することができることが理解できるはずである。このことは、特に、片側の口腔癌のための口腔の側方切除、または脳卒中に続く片側口腔麻痺、またはその他の神経症状を有する片側口腔障害を有する患者にとって特に好適である。
【0049】
テザーは、単一材料または材料の複合体によって作られて、限定的ではないが、EN13450およびEN1400を含む適用可能な引張り試験および耐久性試験を満足するようになされている。引張りおよび耐久性試験要件には、テザーと擬似食塊と遮蔽体/ハンドルとの間の結合が含まれる。単一材料による設計は、シリコーン(ショアAデュロメータ硬度A40以上)、フタル酸塩、および脱鉛可撓性PVCまたはEVA(ショアAデュロメータ硬度A4以上)を含むことができる。複合体材料による設計は、ポリマーまたはシリコーンからなるバインダマトリックスを備えた補強部材を含むことができる。種々の補強部材としては、デュポン社から入手可能なケブラー(KEVLAR、登録商標)材料および/またはバインダよりも硬度値が高いより強靱なポリマーおよびシリコーンのような織布が挙げられる。バインダ材料は、必須ではないが、遮蔽体のオーバーモールド成形された層または可鍛性の擬似食塊のケーシングと同じにすることができる。
【0050】
図23〜
図33に示されているように、テザー10は、口外のユーザインターフェース4と擬似食塊12との間に延びていて、これらの構成要素間の構造的一体性が保持されている。テザーはまた、何らかの外部の動的入力例えばハンドルの操作を、オペレータから擬似食塊へ伝える構造とされている。一実施形態では、テザーは薄くて平らな材料片として形成され、材料片は、ユーザの口または顎の閉塞と実質的に干渉せず、別の点では、嚥下動作、咀嚼動作、および噛み砕き動作を妨げない。
図53、
図62、
図63、
図65〜
図67に示されている実施形態では、テザーは、その端部を貫通して延びている穴50を備えている。テザーは、一実施形態では、カバーとして形成されている遮蔽体内のスロット52,203を通してハンドルの端部に形成されたスロット54内へ挿入されている。穴50は、捕捉部材に係合して、
図87に示されているように、テザーがハンドルに固着されている。
【0051】
図15、
図16、
図18、
図24、
図25、
図26Aおよび
図26B、
図27、
図28を参照すると、テザー62は、ハンドルの導管56と連通している気体通路として形成されている。
図25、
図60、
図61に示されているように、連続しているチューブは、ハンドルを貫通して延びている気体通路56とテザー62との両方の機能を果たすことができる。
図18に示されているように、一方向流体吸気弁64が、ハンドルの導管56とテザーの導管62との間に設けられていて、テザーの導管への流体の一方向の流体の流れを可能にしている。テザー10には、ハンドルから口内の擬似食塊まで延びている1つのまたは2つの導管が形成されている。導管62は、それ自体がテザーとして機能するチューブとして形成されても良く、一体の器具内に組み入れられても良く、別個に成形されたテザーを貫通しても良く、また、テザー内に形成されていても良い。気体のような流体が、擬似食塊の内側に形成されている流体通路66内を通過せしめられ、次いで、出口を形成している出口ポート68を通って流出し、気体パルスのような流体がユーザの口の色々な場所へ導かれる。擬似食塊内に形成されている通路または導管66は、
図60および
図61に示されているテザーの導管62およびハンドルの導管56をも作っている連続しているチューブの端部の部分として単に形成されている。
【0052】
図28、
図30、
図31、
図64、
図74に示されているように、テザー10はまた、口内擬似食塊の内容積部72とリザーバ74との間を延びている1つまたは2つ以上の流体通路70をも備えているか含んでいる。流体通路70は、気体導管66に隣接して位置決めされるかまたは気体導管66の両側で隔置されて位置決めされているが、気体導管からは隔離されている。一実施形態では、リザーバ74は、遮蔽体14の擬似食塊12と反対側において、ハンドル6内、例えば
図64に示されているようにハンドルに形成されている開口部403内に位置決めされて、リザーバ74は口外にある。一実施形態では、リザーバの側部は、トリガおよび操作のためにユーザに対して露呈されている。リザーバ74と導管70とは、
図64に示されているように、別個にハンドル内に形成されておりかつ遮蔽体を介してハンドル内に設置されている。流体通路は、同じ穴とすることもできる入口83および出口85を介して擬似食塊の内部容積と連通している。変形例として、入口から内容積部へと連通させかつ出口からリザーバへ連通させるために、別個の導管が設けられていても良い。リザーバ74はまた、ハンドルとは別個の構成要素として設けられても良い。
【0053】
テザー10は、口腔内での擬似食塊12の位置の容易な操作を可能にするために十分に可撓性であるが、噛み砕き、噛み、引張りなどに耐えるように十分強くて、擬似食塊がテザーおよび最終的にはハンドルまたはその他のユーザインターフェースから分離するのを防止することができる。
【0054】
図44および
図45の実施形態を参照すると、テザー10は、ヨーク136に結合されておりかつそこから長手方向に延びている。
【0056】
図23〜25、
図31、
図33〜
図43、
図60〜
図67、
図149〜
図152を参照すると、口内の擬似食塊12は、多数の異なる変形態様で形成することができる。種々の実施形態では、口内擬似食塊には、中実のコア80、流体(気体または液体)が充填されたコア82または球状部、一定かもしくは可変の容積、またはこれらの組み合わせ、が形成されている。種々の実施形態では、気体は、空気、酸素、窒素、またはその他の適切な毒性のない気体とすることができる。流体は、水または食塩水とすることができかつ付加的な感触を付与するために固体粒子を含んでいても良い。コアは、ポリマー製のパウチ内に入れられた、ポリマー、発泡材、流体、発泡ゲル、ゲル、またはこれらの組み合わせによって形成することができ、これは、強いがしなやかな特性を呈する。
【0057】
一実施形態では、擬似食塊は、中実な内側のコア80と外側被覆84とを備えている。外側被覆は、口腔粘膜に接触する状態になったときに冷たい感覚を生じさせるメントールのような化学物質を含むかまたは含浸されても良い。外側被覆はまた、誤嚥性肺炎を回避する助けとなる改良された衛生状態を提供する経口消毒剤を含んでいても良い。外側被覆はまた、経口薬を含むかまたは含浸されていても良い。一実施形態では、中実のコア80は、フレーバポリマーまたは非フレーバポリマーによって作ることができかつPVC(脱鉛および脱フタル酸塩)、EVA、またはPolyFlav+EVAによって作られた保護外皮84によって覆われている。一実施形態では、擬似食塊は、長さが約2.0±0.5cmであり、遠位端の幅が約2.0±0.5cmであり、近位端の幅が約1.5±0.5cmであり、高さが約1.0±0.5cmである。
【0058】
図97を参照すると、一実施形態では、擬似食塊12には、感覚刺激領域92と食塊領域90とが形成されており、食塊領域90は、シミュレータの頂部および底部の長さに沿って約0.5cmの幅で延びている。この領域は、舌が口蓋の輪郭に向かって動くときにユーザの舌によって圧力がかけられると、水のような食塊を内側のコアから口腔内に放出させる。擬似食塊の残りの部分は、感覚刺激領域92を形成しており、感覚刺激領域92はシミュレータの横部分と遠位部分とを有しており、これらの部分は、酸味および苦味の刺激のための種々の味覚受容体と接触する。感覚刺激領域92は、水不溶性材料の基層かまたは外側被覆によって覆われており、外側被覆は、水のような食塊を含んでいる内側のコアを外側被覆に含まれている味覚物質から分離する手段を提供している。一実施形態では、感覚刺激領域は外側被覆を備えており、一方、食塊領域は内側のコアのみによって形成されている。外側被覆は、刺激物質を収容している担持体または外皮を備えている。担持体は、舌および口蓋の唾液によって覆われている粘膜が触れると、刺激物質を口腔内および口腔咽頭内へ放出する。もちろん、外側被覆は、ユーザの口腔内へ浸み出さないように形成され、このことは、口内分泌物の気管吸引に弱い嚥下障害者によって使用される場合に重要である。
【0059】
種々の味覚刺激が器具において使用するのに適している。外側被覆または内側のコアは、唾液腺を刺激することによってまたは脳幹または皮質性嚥下網状組織に作用する味覚の感覚末端を刺激することによってまたは嚥下誘発において引き起こされる他の感覚神経を刺激することによって、嚥下を刺激誘導しまたは容易にしまたは引き起こすためのものとして知られている多数の化学物質を、被覆されるかまたは含浸されていても良い。種々の味覚物質としては、限定的ではないが、NaCl、しょ糖、キニーネもしくはその他の苦味物質、またはレモンジュースのような酸味物質が挙げられる。味覚物質は、シリコーン材料に混ぜ込んでも良く、または被覆/浸漬によって付加しても良い。風味物質は、芳香剤、味覚剤、またはこれらの組み合わせとすることができる。
【0060】
一実施形態では、内側のコア80は、吸収性の変形可能な材料例えば発泡材によって作られている。内側のコアは水のような嚥下されるべき食塊を含んでおり、食塊は、ユーザが嚥下動作中に起こる舌の上面を口蓋に向かって動かす動作によって内側のコアに圧力をかけたときに、口腔内および口腔咽頭内に放出される。例えば、一実施形態では、舌と口蓋との接近によってかけられる圧力によって、流体例えば1〜3mLの液体が内側のコアから放出される。内側のコアは、間接的に流体を組み込んでも良く、または、使用時に、例えば内側のコアが流体を吸収するようにするかまたは流体によって満たされるようにコアを流体内に浸漬することによって充填されても良い。
【0061】
幾つかの実施形態では、内側のコア82は、閉鎖容積または恒湿器(hydrostat)として形成されていて、その中に含まれている流体が使用中に流出して嚥下できないかまたは吸引できないことがないようになされている。流体が液体である場合には、粘度を含む液体の特性は、限定的ではないが、希薄液体、濃厚液体、蜂蜜濃厚液体、ピューレ、細かく刻んだ混合物などを含む種々の食塊タイプを擬態するように変化させることができる。液体またはゲルのような柔軟なコアは、耐久性はあるが可撓性の外皮またはパウチに入れることができる。流体が充填されている擬似食塊82は、ユーザが本当の食物の咀嚼小片の場合とよく似た方法で擬似食塊形状を操作することができるようにし、かつ嚥下を誘起する補助となりかつ嚥下を擬態するように操作することができる器質感覚を付与する。厚みが最小の可撓性のテザー10は、擬似食塊の最大の操作性能を更に付与する。この実施形態では、擬似食塊82およびこれと連通しているリザーバ74は閉塞された容積を形成しており、流体は擬似食塊の内容積部への入口と出口との間を前後に移動せしめられる。パウチは、デュロメータ硬度値がショアA30〜80である、シリコーン、EVA、フタル酸塩を含まない可撓性のPVCによって作ることができる。コアは、生理食塩水、保存可能な食用油、ワッカー(Wacker)社から入手可能なシルプラン(SILPURAN,登録商標)およびエラストジル(ELASTOSIL ,登録商標)シリーズのゲル、および/またはプロピレングリコールによって作ることができる。パウチとコアとの両方がシリコーンによって作られる場合には、これらの材料の両方を一緒に加硫することができる。擬似食塊は、テザーについて略述されたものと同じ強度要件および耐久性要件に適合しているべきであり、加硫されたシリコーン以外の何らかの材料によって作られている場合には、付加的な耐破裂要件に適合しているべきである。
【0063】
図33〜
図41および
図47を参照すると、擬似食塊80は風味剤が含浸されたポリマーの固体小片として形成されている。変形例として、上述したように、風味付けされたコアが多孔質であって可撓性でありかつ強靱なポリマー製のジャケット84内に封入されても良い。擬似食塊は、ドーナツ状、棒付きキャンディー(例えば、円形、長円形、三角形、楕円形など)、これらの組み合わせ、またはその他の適切な形状を含むかなり多数の形状をなすことができる。
図152に示されているように、擬似食塊82は、テザーに連結されている近位端部923よりも遠位端部918のところのほうに大きな厚さを有する。擬似食塊が被膜またはジャケット84によって覆われているときには、外側被覆は、ひとたび口腔内に配置されると初期の風味剤破裂物として機能し、風味剤が含浸せしめられたコア80は、性質上、強さが初期の破裂物よりも小さい比較的長期に亘って持続する刺激を付与する。
図36〜
図38、
図65、
図67および
図77〜
図79に示されているように、擬似食塊の最も外側の表面96には、咀嚼したときに唾液の生成を刺激する感触をもたらす表面を提供するために、複数の出っ張り、畝状突起、凹み、ローレット目など、またはこれらの組み合わせが設けられても良い。
図81および
図82に示されているように、擬似食塊80は、中実であるが、その中を貫通して延びておりかつ出口68と連通している気体通路66または1対の通路を備えている。
【0064】
図106および
図107ならびに
図110〜
図117を参照すると、一実施形態では、可撓性のシリコーン製のパウチ84は、加硫されたシリコーンゲル製のコア80を収容しており、シリコーンゲル製のコア80は、特別な形態に硬化せしめられていてパウチ内では液体のように自由に流れない。これは、パウチに裂け目ができた場合の材料の損失を回避するという利点を提供する。さらに、ゲル状のコアは、擬似食塊の構造的一体性を維持する。これと同時に、コアの硬化せしめられた形状により、パウチが実質的に伸びることなく撓むことができる。パウチは、軟質PVCのような可撓性であるが非伸縮性の材料または引張り強度が比較的低い伸縮性のゴムによって作ることができる。擬似食塊は、その下面および上面のうちの一方または両方に凹み87を備えている。凹みは、球状またはその他の形状とすることができる。凹みは、対称形ではなく、上側がユーザの口蓋に噛み合いかつ適合する形状および外形とされており、一方、下側は舌に適合する形状および外形とされている。他の実施形態では、これらの面は、擬似食塊の展延性を最大にするために別の異なる形状としても良い。
【0065】
種々の実施形態では、パウチ84またはジャケット、例えばシリコーンは、風味付けされているコアからパウチの外面への風味の伝達を可能にするために、浸透性にすることができる。変形例として、コアは、風味付けされた溶液に浸漬して、パウチまたはジャケットの浸透性によって風味が移動しかつパウチまたはコアの中に留まるようにすることができ、このことはまた、風味剤からの風味を保持する。使用中に、風味はパウチまたはジャケットの外面上にゆっくりと放出される。
【0066】
図15、
図18、
図43、
図54、
図83〜
図85、
図98〜
図100に示されている一実施形態では、擬似食塊は気体で満たされたブラダ(嚢、bladder)98を備えており、ブラダの内容積部は、ユーザによる適切な操作に応答してある容積の気体を放出して、咽頭の後方にある感覚領域に感覚の刺激を与える。一実施形態では、気体は空気である。
図99A〜
図99Gを参照すると、口腔器具は、擬似食塊98と口外ユーザインターフェース204とを備えており、ユーザインターフェース204は、ユーザが把持することができる短いハンドルとして形成されている。湾曲した遮蔽体214がハンドルに結合されている。一実施形態では、シリコーンチューブとして作られている1対の空気取り込み導管208が遮蔽体から長手方向に延びている。一方向吸気弁調節機構体210と導管216とが、空気取り込み導管208と擬似食塊98との間を連通させている。一方向圧力逃がし弁228が擬似食塊と連通していて、十分な内部圧力が擬似食塊の内容積部内に実現されたときに流体を放出させる。擬似食塊の内容積部は、この実施形態では隔置されている入口と出口とを備えており、弁機構と導管とはポンプとして機能している。
【0067】
変形例として、
図42、
図43および
図70に示されているように、擬似食塊98は、二方向弁222が形成されている同じポート220を介して充填されたり排気されたりする。内容積部230は、弁222を介する吸引作用によって拡張される。所定の圧力に達すると、次いで、弁222が擬似食塊から空気を放出する。この実施形態では、ポート220は、内容積部に対する入口と出口との両方を画定しており、前記の内容積部は、その中に収容されている流体の第1の量および第2の量に応答して、少なくとも第1の容積から第2の容積へと変化することができる。さらに、シミュレータは、弁222と組み合わせられて前記の内容積部を充填するためのポンプとして機能する。
【0068】
擬似食塊98は、自己膨張を補助するために、網状の発泡材またはスポンジ部材を満たされていても良い。スポンジ部材に、活性化されるか放出される風味剤が含浸せしめられていても良く、または擬似食塊の外側ケースに風味剤が被覆されるか含浸せしめられていても良い。擬似食塊のブラダ98の壁は、剛性程度を変えかつ作動時のブラダの形状変化を制御するために可変の厚みとすることができる。さらに、ブラダは、独特の領域特性を付与するために、種々の層および/または領域を種々の材料で成形することができる。例えば限定的ではないが、ブラダは、軟らかいデュロメータ硬度のラバーによって作りかつ遮蔽体およびハンドルと同時成形するかまたはこれらの部材をオーバーモールド成形することができる。
【0069】
図100A〜
図100Fに示されている実施形態では、擬似食塊に一方向排出弁が設けられている。この実施形態では、ハンドル258にはユーザまたは介護者が把持するための親指用穴260が形成されており、ハンドル258は擬似食塊と反対側で遮蔽体262に結合されている。ハンドルは、内部気体取り入れ通路264と一方向吸気弁266とを備えている。ニップル268またはその他のコネクタがハンドルから延びている。ニップルには導管270またはチューブが結合されており、導管にはスクィーズ球状部が結合されている。スクィーズ球状部からの流量および圧力はレギュレータ276によって制御される。導管を閉鎖するために、クランプ274が導管に結合されている。酸素供給源のような他の流体供給装置をニップルに結合しても良いことは理解できるはずである。
【0070】
図15、
図18、
図69、
図83〜
図85を参照すると、擬似食塊98は、擬似食塊の内容積部への入口を画定している流体通路56,62を介して、周囲環境のような外部の空気源によって自己膨張する。流体、例えば空気が1対のダックビル弁88を通って放出され、ダックビル弁88は、擬似食塊の内容積部への出口を画定する出口ポート68と連通している。この実施形態では、内容積部への入口と出口とは隔置されておりかつ別個のものであり、内容積部は、その中に収容される流体の第1の量と第2の量とに応じて第1の容積から第2の容積へと変わる。
図82〜
図85に示されているように、口内部分は、ハンドルの端部に形成されている支持構造体の周りに嵌合する遮蔽体カバーによって別個に形成されており、組み立てられたときに流体通路が一列に並ぶようになされている。
【0071】
図92を参照すると、口腔器具の一実施形態は、「バイト」センサ152または舌圧センサを備えている擬似食塊148を備えており、前記のセンサは、いずれもがそれにかかる入力圧に対する出力を提供するピエゾ素子としてまたは抵抗/容量センサとして形成されている。擬似食塊の両側に沿って電極150が設けられており、これらの電極は、ユーザの頬および/または舌の側部に接触することができる。これらの電極はセンサ152に作動可能に接続されている。擬似食塊にはまた、ここでは別の形態で記載されているが、種々の感触、風味、香り、形状、展性などが形成されていても良い。器具にもまた、遮蔽体14およびハンドル6が形成されている。
【0072】
図27〜
図32Bに示されている実施形態では、流体リザーバ74が、口外部分内に例えば遮蔽体と反対側のハンドル内の膨張可能なリザーバとして設けられている。リザーバ74は、擬似食塊82の軟らかさを調整するための機構を提供している。例えば、ユーザは、可撓性のユーザインターフェースを備えているリザーバを操作することができる。流体通路70が食塊の内容積部とリザーバとの間を連通させている。流体は、気体かまたは液体かまたはこれらの組み合わせによって形成することができる。内容積部は、第1の容積から第2の容積へと変わることができ、第1の容積および第2の容積は、各々、擬似食塊への入口および出口を通る第1の流体量および第2の流体量を有するが、この実施形態では入口と出口とは1つであり同じである。
【0073】
図44および
図45の実施形態を参照すると、擬似食塊80,82は、テザー10に結合されておりかつ口内気体導管112相互間に配置されている。
【0074】
擬似食塊の種々の実施形態を口腔器具の種々の実施形態内に組み込むことができることは理解できるはずである。例えば限定的ではないが、
図92に示されている擬似食塊を含むここに記載されている種々の擬似食塊は、
図44および
図45に示されている口腔器具内に組み込むことができる。
【0075】
図94を参照すると、1対の排出導管192が、擬似食塊98から側方に延びておりかつ流体を口の両側部へ導く。導管192の遠位端には弁88もまた配置されている。擬似食塊98は、テザーに結合されている。
【0076】
図118〜
図128Bを参照すると、擬似食塊500には補強部材502が設けられている。補強部材502は、擬似食塊を補強して、柔軟性および可撓性を維持しつつ、粒子の放出または他の損傷を受けるのを防止する助けとされる。一実施形態では、擬似食塊は、エラストマーおよび熱可塑性プラスチックによって作られた構成要素を備えている。
【0077】
一実施形態では、器具の縁部は、目一杯の力による局部的に集中された噛み付きを受けるかも知れないので保護されている。
図118〜
図120、および
図157に示されているように、補強部材は、擬似食塊の外周に沿って延びているリング502として形成することができる。補強部材は、例えばゲル506で満たされたジャケット504を含んでいる擬似食塊のより軟らかい部分に対して同時成形されかつ/あるいは機械的に取り付けることができる。
図157に示されているように、球状部分82または空気充填パウチは、球状部の互いに反対側のフェース924相互間に設けられた状態でこれらフェースを連結している周辺側壁922を有する。肩926が側壁922とフェース924との接合部のところに形成されるのが良く、これらフェース924は、それにより、側壁に対して引っ込められている。周辺側壁922は、周辺側壁に沿ってぐるりと延びる環状補強リブ928を有する。リブ928は、内部に形成されても良く(
図15に示されているように)、外部に形成されても良く、リブ928は、一実施形態では、フェースよりも厚い側壁によって構成されるのが良い。補強リブ928は、空気充填球状部の捏ね機能を損なうことなく、裂け遅延または抑制特徴として機能し、球状部の強度が高められる。
【0078】
補強部材は、軟質の部分または他のより硬質の材料と同じ分類の材料によって作られても良い。例えば、種々のエラストマーおよび/または熱可塑性プラスチックを補強部材および軟質部分のために使用することができる。補強部材はまた、種々の硬質プラスチックまたは金属によって作ることもできる。擬似食塊の縁部には、補強部材を歯508で挟む使用能力を妨げるための急勾配の傾斜を有している滑らかな丸味を帯びた側部または幅の広い側部が設けられている。補強部材はまた、ユーザによって擬似食塊にかけられる引き裂き力に耐えることもできる。
図121〜
図123に示されているように、インサイドアウト式の食塊ジャケット504はリング502上にオーバーモールド成形され、ひっくり返されてリングを覆うようにされ、次いで、ジャケットをシールするために第2のカバー512がテザーと食塊ジャケットの端部とを覆うように成形される。
【0079】
図124〜
図126を参照すると、リングは、テザーの一部を形成している1対のレッグ514を備えている。リング内にはコア516を挿入することができ、リングおよび/またはコアを覆うように食塊ジャケット504が成形されている。
図127A〜
図127Cを参照すると、レッグ514の端部には、幅広の挿入部分のような連結構造が形成されており、これは、例えば、機械的な取り付けまたはスナップ嵌めによって、口外のハンドル内の対応する受け口520内に収納される。次いで、カバー522がレッグとハンドルとのうちの1つまたは2つ以上に対してオーバーモールド成形されて、テザーとハンドルとを更に画定している。
【0080】
図128を参照すると、補強部材は、例えば熱可塑性プラスチック材料によって作られたシートとして形成されており、食塊の中央に沿って延びている隔膜524として配置されている。
図129を参照すると、補強部材は、熱可塑性プラスチック製のメッシュ526として形成されかつ食塊および/またはテザージャケットにオーバーモールド成形されている。
【0081】
図130〜
図133および
図136を参照すると種々の実施形態が示されており、これらの実施形態では、補強部材が好ましくは同じ材料によって擬似食塊と一体に形成されている。これらの実施形態では、幾何学的構造、形状、および/または相対的厚みは、補強部材を画定するのを助ける。例えば、
図130に示されているように、擬似食塊の周囲528はより厚く形成されていて、この厚くなされた部分は補強部を形成している。別の実施形態ではジャケット全体が厚くなされている。
【0082】
変形例として、
図131A〜
図131Cを参照すると、擬似食塊の対向している内面の一方または両方に、種々の半径の環状のリング530,532が形成されている。一実施形態では、一方の面上のリング530は、他方の面上のリング532に対してずらされるかまたは互い違いに配列されていて、これらのリングが結合メッシュまたは巣のように作用し、圧縮されたときに擬似食塊を補強する。縁部分は、別個の部材によってあるいは一体として依然として補強されている。
【0083】
図132A〜
図132Cを参照すると、内面の一方または両方が旋条リブ534,536を備えており、これらの旋条リブは、食塊の中心から縁部分まで径方向外方に向かって延びている。縁部分は、別個の部材によってあるいは一体として依然として補強されている。2つの面上の旋条リブは、食塊のジャケットが挟まれて締まるのを避けるために反対方向に向けられている。
【0084】
図133Aおよび
図133Bを参照すると、内面の一方または両方には、ハニカム状のパターンの凹部538とリブ540とが形成されており、同じく一実施形態では、対向する面上のパターンは互いにずらされている。この着想では、食塊ジャケットは、咀嚼に対してより良く耐えるように厚く作られている。
【0085】
図136A〜
図136Cを参照すると、擬似食塊のジャケットの外面にはタイル542が設けられており、これらのタイルは、ジャケットと同じ材料であっても良いしまたは異なる材料であっても良い。パターン化されたタイルは、擬似食塊が撓むのを許容するが、タイルは食塊が穿刺されるのを防止する。これらのタイルは、三角形、矩形、多角形、円、楕円、長円、偏円形、およびその他の適切な形状を含む種々の幾何学的形状を有していても良い。タイルの形状およびタイル542間の空間または隙間544は、これらが食塊の可撓性を制限しないことを確実にしている。
【0086】
図134および
図135を参照すると、食塊は、コネクタ546によって結合されているエアーポケット548を備えているカプセル化された発泡材によって作られている。食塊が部分的に圧縮されると、圧縮領域に存在している、気体、液体、粘弾性体、または固体、とすることができる気泡内のフィラー(充填物、filler)は、コネクタを介して圧縮を受けていない気泡へと移動する。
【0087】
図137を参照すると、口腔器具の一実施形態は、口外部分を備えておらず、ユーザの歯の咬合面間に嵌まる形状とされているマウスピースまたはマウスガード550を備えている。1つまたは2つ以上のテザー554が、マウスガードから延びておりかつ擬似食塊552に結合されている。
【0088】
ユーザに、器具を廃棄するか交換すべきであると言う指示を与える、使用限度構造または寿命構造を備えた口腔器具を提供することが望ましいことは理解できるはずである。このような構造は、衛生学的観点と材料疲労の観点との両方の観点から、器具の安全な使用を促進する。ユーザまたは患者の感覚に基づいたシステム、またはユーザの時間超過による満足度の減少に基づくシステム、またはこれらの何らかの組み合わせを含む種々のタイプの構造を採用することができる。満足度の減少の特徴および方法としては、快適な状態からどちらでもない状態への移行または快適な状態から不快な状態への移行が挙げられる。
【0089】
快適状態から快適でも不快でもない状態への移行システムにおいて、器具は、時間と共に減少して何らかの快適でも不快でもない状態へ移行する追加の明白な特徴をユーザに提供するであろう。ここに開示されているように、Polyflav(登録商標)を成形して擬似食塊とすることができる。同様に、香りおよび味を付けるために、風味剤の被膜を追加しても良い。親水性の被膜を使用することもできる。親水性被膜は、シリコーンおよびTPEの潤滑性を改良して、ユーザの口の内側での擬似食塊の感触を高めることができる。被膜を所定位置に設けた状態では、長期間に亘る口腔器具の使用の後に、ユーザが自分の舌が剥離されたと感じる傾向が低下するかも知れない。さらに、親水性の被膜は、着色剤および風味剤を加えられても良い。コロナ処理およびプラズマ処理を使用して、擬似食塊の表面の潤滑性を一時的に高めることが可能である。コロナ処理に曝されたシリコーン製のサンプルでは、それらの疎水性の面特性が一時的に除去される。疎水性の面特性が変わったときの領域は、製品に対してある種の追加の利点を付与することができる何かをシリコーン面に接着するのに十分なものである。類似の表面処理方法はプラズマ処理である。
【0090】
快適から不快までのカテゴリの下では、初期の明白な特徴は、時間が経つと減少して不快な何物かへと移行するであろう。例えば、感触の変化または触覚的特徴が被膜によって達成される。ある種の不快な感触が被覆されていない器具の表面上に置かれ、次に、これは、快適な表面仕上げを有する一時的な被膜によって被覆され、快適な表面仕上げは、器具が使用されて最終的に不快な粗い感触を露呈させるようにすり減ってしまう。一実施形態では、負荷がかけられたまたはかけられていない親水性の被膜を使用することができる。メンソールまたはミントオイルを使用する知覚加熱または冷却もまた適切であるかも知れない。別の実施形態では、擬似食塊は、器具が使用されるにつれて滑らかな形状からゴツゴツした形状へと移行して別の触覚的特徴を提供する。
図157および
図158〜
図159Cを参照すると、流体が充填された球状部82は、互いに反対側のフェース924を有し、これら互いに反対側のフェースは、一実施形態では引っ込められていてかつ外方に凹状の形状を有する。第1および第2の潤滑パッチ930が例えばオーバーモールド成形によって引っ込められた互いに反対側のフェース924上に設けられ、そして凹部を充填し、その結果、これら潤滑パッチは、肩926に当接して側壁922と面一をなすようになっているのが良い。一実施形態では、潤滑パッチ930は、シリコーンマトリックス934中に分散された水溶性熱可塑性粒子932で作られている。潤滑パッチは、液体の適用に応答して、潤滑パッチの各々がシリコーンマトリックス934中に分散された水溶性熱可塑性粒子を含む第1の状態(
図159A)から、水溶性熱可塑性粒子932がシリコーンマトリックス934から減少させられた第2の状態(
図159C)に変形可能である。潤滑パッチの外面936は、粒子932の減少により生じるボイドに起因して第1の状態における滑らかな表面から第2の状態における粗い表面に移行可能である。例えば、擬似食塊12,82がユーザの口腔(例えば、
図93を参照されたい)内にまたは口の中に置かれると、潤滑パッチ930は、唾液938に接触し、それにより水溶性粒子がパッチからブルームし(
図159B)、それにより噛み砕かれた食品のぬるぬるした感触が生じる。水溶性熱可塑性粒子932が完全になくなると、これら水溶性熱可塑性粒子は、粗い表面を有する(
図159C)空のシリコーンマトリックスを後に残す。粗い表面936の見かけ(視覚的および/または触覚的)は、口腔器具を交換すべきときであるという指標をユーザ、患者および/または介護者にもたらす。
【0091】
別の実施形態では、味および/または香りが快適な香りから不快な香りへと移行する。器具は、初期の不快な味または香りを有しており、この味または香りは快適な味および/または香りを有している被膜によって覆われるが、この快適な味および/または香りは器具が使用されると摩耗して無くなる。更に別の実施形態では、擬似食塊の形状が変化して寿命に達したことをユーザに知らせる。例えば、擬似食塊には、器具が使用されるにつれて擬似食塊が膨らむか萎むかを可能にする1つまたは2つ以上の弁および外部リザーバが形成されていても良い。
【0092】
別の実施形態では、使用限度は、患者において注目すべき改良機能である。種々のタイプの特徴を備えている一群の口腔器具を使用することができる。患者の症状が改善するにつれて、患者は後続の等級の口腔器具へと移行する。
【0093】
器具には、器具を交換すべき時が来たときに変化するか消失する色による指示器のような純正の指示器が設けられても良い。
【0094】
器具が使用できなくなったときを患者が判断することに頼っている使用制限特徴部の実現は、標識患者群の認識能力の予想される範囲に起因して、困難であるかもしれない。この状況では、介護者は、器具がどのような感じであるかまたはどのような味であるかをやり取りするためには患者に頼らなければならない。介護者にとっては、もっと明白な指示器の方が便利である。色の変化のような特別な指示器は有利である。目視で容易に検知できる別のより明白な状態変化、例えば、サイズの変化または触覚の変化はうまく機能しそうである。例えば、平たく空気が満杯ではない食塊は、目視による寿命指示を提供する。
【0095】
図138Aおよび138Bを参照すると、口腔器具は、擬似食塊、テザー、遮蔽体、およびハンドルを備えている。擬似食塊のスキン560およびフィラー562は、テザーと共に、親水性材料によって作ることができ、親水性材料は、液体を吸収しかつ使用中に患者の口の中へゆっくりと放出されるべき液体を保持するばかりでなく、ジャケットおよびフィラー内の液体により、それらの材料特性および/または表面特性を変化させるであろう。液体は、香りの刺激および/または味の刺激を付与する風味剤とすることができる。使用することができる親水性材料の例としては、限定的ではないが、ヒドロゲルおよびシリコーンヒドロゲルがある。擬似食塊とテザーとはまた、それらの湿潤性を改造するためにコロナ表面処理またはプラズマ表面処理を施されても良い。この湿潤性の変更はまた、患者の口の中での擬似食塊およびテザーの感触をも変えるであろう。親水性被膜によって覆われている口腔器具の口内部分には、被膜をより良い状態に保持すると共に親水性被膜が消失したときにユーザの経験とは相違する感覚を付与する感触表面を設けても良い。
【0096】
擬似食塊とテザーとはまた、それらの表面上に液体を保持させて表面特性を変化させるために、親水性材料によって被覆しても良い。この表面特性の変化によって、患者の口の内側での食塊およびテザーの感触が変わるであろう。
【0097】
図139を参照すると、口内の擬似食塊は、空気で満たされた球状部564を有し、そして口内擬似食塊は、空気通路568を経て口外のリザーバ566に連結される。口外部分は、一実施形態ではダックビル弁として形成されている一方向弁570を備えており、一方向弁570は外界環境と連通している。擬似食塊が咀嚼されると、球状部564は、収縮しかつ空気を空気通路568を介してリザーバ566内へ圧送して口外部分の形状を引き伸ばすかまたは変化させる。咀嚼圧力が解放されると、口外リザーバ566が弛緩して再び空気が口内球状部564に充填されるであろう。しかしながら、少量の空気が一方向弁570を通って逃げ出すので、空気の全てが口内球状部へ戻されるわけではない。時間が経つと、口内球状部は咀嚼されるにつれて益々少なくなり、それによって、寿命についての指示を提供し、かつ球状部が咀嚼されつつあるときに破裂する食物の塊を擬態する。
【0098】
別の実施形態では、空気は、典型的な使用セッション(20分〜1時間)を考慮に入れた期間内では、制御された方法で擬似食塊から漏れ出る。リザーバは、各使用の前に再充填されなければならない。漏れの速度を制御するために弁を使用することができる。この弁は、ピンホールとして形成しても良い。使用は、空気が漏れ出る速度に影響を及ぼし得る。ユーザが擬似食塊を圧縮すると、内部圧力が増大して空気がより速く漏れ出るようになる。空気は、多数の異なる方法で食塊へ送り込むことができ、多数の異なる方法としては、(所定用量吸入キャニスタに似た)計量弁を備えている気体の加圧キャニスタを使用する方法がある。このキャニスタは、一回使用の供給源を備えていても良いしまたは多数の供給源を備えていても良い。ユーザが食塊を充填できるようにするかまたは器具を「満たす」ことができるようにした機構を器具内に組み入れることができる。機構は、一方向に進み、または使用回数を追跡しかつ最大の使用回数に達すると器具をロックして更なる使用を阻止するカウンタ機構を備えている。
【0099】
図140を参照すると、変形実施形態では、長い日数(例えば7日間)に亘る連続使用の後に器具を再使用可能にさせる方法では漏れが生じる。器具には、気体が「あらかじめ充填された」食塊574が設けられている。食塊には、唾液でゆっくり溶けるプラグ576が形成されている。使用されているときには化学作用が連続して起こる。プラグは、いったん溶けると、器具から空気を放出させ、その後においては、器具は、使用可能ではない。プラグは、テザー上または唾液に対して曝されるその他どこにでも設けることができる。一実施形態では、擬似食塊の中央にコンパートメント578が設けられており、コンパートメントにはハイドロゲル結晶が充填されている。コンパートメントは、その一方の側部が外界環境に対して開口しており、開口部内に有機ポリマー製のプラグが配置されている。有機ポリマーは液体内で溶ける。使用時には、プラグ576は、完全に消失するまで唾液内にゆっくり溶け出す。プラグが溶けた後に、コンパートメント578内のハイドロゲル結晶が唾液と接触しかつ綿棒状の器具がもはや使用することができなくなる時点まで膨張する。空気が漏れ出て中へ戻らないことを確保するために、一方向弁が備えられていても良い。
【0100】
変形実施形態では、器具は予め充填された気体のキャニスタを備えている。ユーザが器具を収容したとき、器具は充填されまたは活性化されなければならない。活性化によって、キャニスタからの圧縮された気体が放出せしめられかつ食塊内に進入せしめられる。この時点の後、キャニスタおよび食塊は、開放系のままである。このシステム内のどこかでの制御された空気の漏れによって、食塊が平らになりかつ使用出来なくなる時点まで空気圧がゆっくり低下せしめられる。
【0101】
別の実施形態では、気体が充填された食塊は、時が経つと硬化して触覚指示手段を提供する。2つのキャニスタが設定された容積の気体を送り込むが、第2のキャニスタは遙かに大きな容積の気体を送り込む。所定回数の膨張の後に、食塊は膨張し過ぎて使用するには大きくなり過ぎる。
【0102】
別の実施形態では、食塊には捏ねられると硬化するシリコーンが詰め込まれる。代替例では、食塊は、1つ又は複数の仕切りを有し、異なるコンパートメントが各々、2部分構成型未硬化シリコーンのうちの一方の部分で満たされている。食塊が口腔内で操作されると、2部分構成型シリコーンが混ざって硬化する。
【0103】
図141〜
図143を参照すると、口腔器具は、交換可能な擬似食塊、テザー、および遮蔽体を備えている。器具は、食塊ジャケット590、前側遮蔽体592、金属パイプ熱伝導体594、バッテリ596、後側の遮蔽体598、および液体フィラー600を備えている。ハンドル602は、外側シェル604、ラッチ機構体606、ヒートシンク608、熱電素子610、および電気接点612を備えている。ハンドルが使い捨て部分に結合されると、ラッチ機構体によって、ハンドルと交換可能な部分との間の結合が維持される。さらに、噛み合い中に、電気接点は交換可能な部分内のバッテリとの接触状態を形成し、このようにして、熱電素子への回路が閉じられる。電気接点の設計によって、交換可能な部分に対するハンドルの向きに応じて、前記の接続によって、熱電素子がヒートシンクと反対側の面上により熱いかまたはより冷たいバイアスを有するようにされる。噛み合った状態では、ヒートシンクに取り付けられた面と反対側の熱電素子上の1つの表面が交換可能な部分の金属パイプ熱伝導体と接触する。このことにより、次いで、擬似食塊の内部の液体が温められるか冷やされる。ある期間にわたる伝導によって、交換可能な部分内の液体は均一な温度を有するであろう。液体フィラーはまた、口の温度で蒸発したり熱電素子の温度で液化したりし、またその逆の関係が成り立つ材料で構成できる。前者は、熱電素子が冷却モードにある状態に適用される。後者は、熱電素子が加温モードにある状態に適用される。これらの状態は、加温効果および冷却効果のための2つの別個の交換可能な部分を備えることによって、交換可能な部分のキャビティ内に必要な液体を共存させることによって達成することができる。前者の場合、1つの配向状態しか可能にしないポカヨケ(poka yoke)特徴が要望される。金属パイプ熱伝導体内の液体フィラーと擬似食塊内の部分との連結は、チャネルによって容易になる。2つのコネクタは、形状の面で互いに同一でありかつバッテリに関して逆の向きに取り付けられているので、ハンドルの向きによって熱電素子の温度が決定される。
【0104】
図147を参照すると、器具が患者の呼吸気道内でつかえたときに窒息を防止するために、通気穴620が遮蔽体内に組み込まれている。
【0105】
図146を参照すると、一変形例では、口腔器具628は、H
2Oおよび酢酸ナトリウムが充填された擬似食塊を備えておりかつアルミニウムのディスクが形成されている。アルミニウムのディスク632をクリックすると、連鎖反応が引き起こされて、流体634が結晶化されかつ30分間に亘って熱が放出される。このパックは、次いで、例えばポット636内で約5分間煮沸することによって再充填される。熱パックにエネルギが回復され、パックは更なるサイクルのために再使用される準備ができた状態となる。
【0106】
ハンドルおよび遮蔽体を作るために使用される材料としては、デュロメータ硬度が約60〜80ショアAのシリコーン材料が挙げられ、例えばブルースター(Bluestar)社製のUSPクラスVI認定シルビオン(Silbione、登録商標)LSR4370が一例である。TPEオプションについてのデュロメータ硬度は、シリコーンのデュロメータ硬度とほぼ同じである。食塊フィラーは、気体であっても良く、液体であっても良く、粘弾性材料であっても良くまたは固体であっても良い。想定される液体は、生理食塩水またはTPEオイルである。想定される粘弾性材料は、ゲル、ゼラチン、ヒドロゲル、およびシリコーンゲルである。シリコーンゲルの一例は、ワッカー(Wacker)社製のシルプラン(Silpuran、登録商標)2130A/Bである。
【0108】
図148Aおよび
図148B、
図153〜
図155ならびに
図160を参照すると、キャリングケース940,970を含む口腔器具組立体950,960の種々の実施形態が示されている。キャリングケース940,970は各々、ヒンジ946,976によってその一方の側部に沿ってヒンジ式に互いに連結された第1および第2のクラムシェル部材942,944,972,974を有し、ヒンジ946,976は、2つの部材に一体に形成されるのが良い。第1のクラムシェル部材と第2のクラムシェル部材は、開き位置(
図148B、
図154B)と閉じ位置(
図148A、
図154A)との間で互いに対して回動する。第1および前記第2のクラムシェル部材は、閉じ位置にあるときに内部キャビティ948,978を画定する。
【0109】
クラムシェル部材は、位置決め部材としても機能する種々の内部支持部材を含む。例えば、
図153および
図160の実施形態では、第1のクラムシェル部材972は、内部キャビティ中に延びてテザー10に係合する第1の支持体980または突起、ハンドル6の底面に係合する第2の支持体982または踊り場部、および遮蔽体14の縁部に係合する第3の支持体984または踊り場部を有する。加うるに、口腔器具をキャリングケース970内に長手方向に位置決めするために、壁986が遮蔽体14の前部に係合し、第2の壁988がハンドル6の端部に係合している。
【0110】
第2のクラムシェル部材974は、遮蔽体14の反対側の縁部およびハンドル6の上面に係合する互いに反対側の表面を有する。取扱説明書990が第2のクラムシェルの内面に沿って設けられるのが良く、取扱説明書は、支持面となる。取扱説明書は、タブまたはリテーナ992で固定されるのが良い。
【0111】
支持体982,984,986は、擬似食塊82がキャビティ978内に浮かされるようにし、その結果、擬似食塊および特に潤滑パッチは、キャリングケースの内面のどの部分にも接触しないようにするが、かかる接触が起こると、それによりその内面上に水分がついた場合における使用終了特徴の時期尚早な劣化をもたらす場合がある。加うるに、擬似食塊の浮き状態または隔離は、その衛生状態を保証するとともに維持する一方で、擬似食塊を使用後に乾燥させることができる。通気穴994が設けられていて、これら通気穴は、キャビティ978とキャリングケースの外部または周囲環境と連通させており、その結果、水分が取り込まれず、むしろ蒸発することができるようになっている。一実施形態では、通気穴978は、第1および第2のクラムシェル972,974の各々に設けられた互いに合致する開口部によって形成されている。スナップ特徴部996または解除自在なラッチ特徴部がクラムシェルに設けられており、キャリングケースを閉じ位置において解除自在にラッチ留めすることができるようになっている。大きなタブ998が第1および第2のカバーにオフセット状態で設けられており、これら大きなタブにより、ユーザは、タブをつかんでラッチ特徴部996を外すことができ、しかる後にキャリングケースを開くことができる。フック部分1000を備えた吊りタブがキャリングケースの一端部のところに設けられており、その結果、小売業者がロッドを用いて口腔器具を容易に展示することができるようになっている。線状弱体部1002、例えばミシン目がつりタブの長さに沿って作られており、その結果、最終使用者によって吊りタブを容易に取り外すことができるようになっている。
【0112】
図148A、
図148Bおよび
図160の実施形態では、ハンドル6、テザー10および行内擬似食塊12,82の全体が、閉じ位置にあるときに第1のクラムシェル部材972と第2のクラムシェル部材974との間に配置される。第1のクラムシェル部材972は、口腔器具が開き位置にあるときの第1のクラムシェル部材上に配置されると、ハンドルの下に位置する第2の内部キャビティ1004を画定する。ユーザは、1本または2本以上の指を内部キャビティ1004中に差し込んでハンドルを容易に掴みまたは把持して口腔器具をキャリングケースから容易に取り出すことができる。
【0113】
図154Aおよび
図154Bに示された別の実施形態では、ハンドル6は、閉じ位置にあるときに第1および第2のクラムシェルカバー942,944から外方に外部に延びている。カバー942,944は、開口部946を形成し、口腔器具を位置決めするための位置決め特徴部として働く互いに合致する環状フランジ948を備えている。第1のクラムシェル942は、内部キャビティ中に延びてテザーを引っ込み頂縁部分に沿って支持する1対の直立フランジ952,954を有する。クラムシェルの底部は、遮蔽体14の底縁部および前側フェースに係合してこれを支持する1つまたは2つ以上のタブ958またはフランジを有する。これらフランジは、遮蔽体の前部の停止部となる突出部分を備えた支持底面を有する。対向したクラムシェル部材944は、フランジ962を有し、このフランジ962は、これまた、テザーに係合してこれをフランジ952,954,962相互間に捕捉する引っ込み頂縁部を有し、クラムシェル部材944は、遮蔽体に係合してこれをキャリングケース内に位置決めする複数のタブまたはフランジ958を更に有している。このように、擬似食塊がこの場合もまた、キャリングケース940の内面と接触しない状態で内部キャビティ948内に浮かされるのが良い。クラムシェルは、組み合わせ状態で、遮蔽体の通気穴620と整列する通気穴920を形成し、それにより、キャビティ948からキャリングケースの外部までの空気通路を構成することができ、その結果、空気が循環することができるとともに擬似食塊を使用後に蒸発によって乾燥させることができるようになっている。第1および第2のクラムシェル部材は、閉じ位置(
図154A)において2つのクラムシェル部材の解除可能な係合を可能にするようクラムシェル部材のうちの一方に設けられていて他方に設けられたタブ1010に係合するラッチ部材1008を更に有する。
【0115】
図92に示されている実施形態の作用を説明すると、口腔器具特に擬似食塊148は、例えばストローク(一行程、stroke)によってユーザの口の中の冒された/機能不全の側に位置決めされる。ユーザは、(硬い下顎によって)冒されていない側の筋肉を使って食塊を噛み、センサ152にかかる噛む力による入力によって外部電極150に送られる電荷または電流がもたらされ、これによって、口内に軽い電気的刺激がもたらされる。電流または電荷のレベルは、制御装置によって所定のレベルに調整される。この刺激は、神経系にリアルタイムのフィードバックを提供し、それによって、嚥下に関する神経経路の活性化および電位調節が容易化される。
【0116】
口腔器具はまた、他のフィードバック系を備えても良くまたは他のフィードバック系に作動可能に結合されても良く、他のフィードバック系としては、ユーザによって加えられる噛む力または舌の力を示す種々の視覚的かつ/あるいは口頭のフィードバック系、例えば、光、スケール化された数値表示、色のグラデーション、音による出力、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらには限定されない。
【0117】
口腔器具はまた、例えば、器具が舌の上面に位置決めされたときのユーザによる舌の力または代替的には口の側部に沿って位置決めされたときの頬の力を、再び種々の生物学的フィードバック系によって示すために使用することができる。種々の生物学的フィードバック系としては、かけられた力の相対的な大きさに対応した電気的刺激、光、および音が挙げられる。舌の何らかの操作力(側方の力、吸い込む力、押す力、引く力)は、モニタリングのための候補とすることができる。出力結果はまた、過程を追跡するために、手動またはコンピュータによって記録しても良い。
【0118】
図95および
図96を参照すると、一実施形態では、擬似食塊32は、舌後部302の上面300上に、すなわち、大臼歯に関して中央の舌面領域または後方の口蓋に対する舌面領域上に位置決めされ、擬似食塊の平らな面が舌の上に載置される。次いで、口が閉じられ、擬似食塊32は舌の上面と口蓋との両方に接触する。舌および口蓋の粘膜が外側被覆に接触して、何らかの味覚物質および温熱物質の緩やかな放出を開始させる。擬似食塊の振動が開始され、かつ/あるいはユーザは、嚥下の準備をしかつ続いて嚥下するために、(ユーザ、介護者、または器具によって)口頭で合図される。舌は、擬似食塊の前面および外側面の近くを上昇することによって擬似食塊をその中に含みこむ。擬似食塊は、その形状、大きさ、および位置のおかげで、舌の上表面、舌の左および右の外側縁、および口蓋に接触する。種々の実施形態では、擬似食塊は、口腔/口腔咽頭の両側または口腔の片側のみを刺激する。咽頭嚥下が引き起こされると、舌が口蓋を前方から後方へ押圧し、これによって、幾つかの実施形態では、内側のコアから流体のような食塊が放出される。次いで、ユーザは食塊を嚥下する。上顎義歯を嵌めているユーザは、使用前に義歯を取り外して、口蓋上の感覚受容野の刺激による干渉を回避すべきである。
【0119】
擬似食塊32,80,82,98の物理的仕様によって口内脳神経求心が刺激される。例えば、擬似食塊は、舌の上表面300に配置されたときに、舌の表面ならびに硬口蓋および軟口蓋を覆っている種々の感覚受容体を刺激する。舌の前2/3は、三叉神経(V)からの体性感覚神経支配と顔面神経(VII)からの風味感覚とを受け取り、舌咽は、特にIX神経とV神経との間の吻合を有している横舌側縁部に沿って舌の前2/3内へと延びている。このようにして、擬似食塊はV、VIIおよびIXの求心神経線維を刺激するが、これらの求心神経線維は、限定的ではないが、通常の食物の搬送、咀嚼、味わい、嚥下、発声、唾液分泌を含む多数の口内感覚運動挙動にとって重要である。
【0120】
擬似食塊32,80,82は、舌の上表面300上に配置されかつ安定した位置に維持されるけれども、ユーザまたは介護者はまた、ハンドルを手動で操作することによって、擬似食塊を口腔内で動かすこともできる。例えば、限定的ではないが、擬似食塊は、舌の表面上で回転させることができ、または口前庭、硬口蓋および軟口蓋、舌下領域、舌表面、ならびに前口峡の柱に接触する状態となるように移動させることができ、前口峡は咽頭の嚥下を誘発する役目を果たすと考えられている。多くの異なる方法の1つとしてはまた、舌の表面に沿って擬似食塊を擦ることも挙げられ、これは、味覚受容体と体性感覚受容体との両方を興奮させることができる。ユーザはまた、擬似食塊を、あたかも擬似食塊が嚥下される用意がされている咀嚼された食物片であるかのように操作することもでき、この場合に、テザーは器具の実際の嚥下を阻止する。シミュレータはまた、ユーザが吸い込み動作を行っている際に棒付きキャンディーのように扱うこともできる。擬似食塊に風味付けすることは、擬似食塊が本当の咀嚼された食物片であるとユーザが想像しまたは思い起こすのを助けることができ、この場合、香り付けされた遮蔽体もまた、鼻の下に位置決めされたその位置のおかげで同様の機能を果たす。
【0121】
図54Aおよび
図54Bに示されているように使用にあたり、
図99および
図100に示されている擬似食塊が、口の中で歯および顎に対して位置決めされている。口腔器具は、咽頭嚥下段階の開始を標的としている。咽頭は、食道と喉頭との両方に連通している。器具はまた、パターン化された咽頭嚥下のトリガまたは開始を補助することができる運動機能(咀嚼、舌の動きなど)に向けてユーザを喚起する。器具はまた、癌によって切除されて口内予備段階が無い人たちのような予備段階機能障害を有する人たちが使用することもできる。ユーザの歯と唇との間に延びる器具の部分は、口の完全な閉じおよび歯の噛み合わせを補助するために出来る限り薄くされる。これと同時に、遮蔽体214を動かしかつ配置して、擬似食塊98を口の中の適正な位置に位置決めすることができる。
【0122】
器具が位置決めされた後に、ユーザは、ポンプとして機能する空気取り込み導管208を咀嚼しまたは吸い込み、弁機構210を介してかつ入口から内容積部内へ空気を押し込むことによって擬似食塊98を膨張させ、その際、擬似食塊98は、吐き気を催すのを防止するために舌の前方に位置決めされる。擬似食塊はまた、絞り出しチューブまたは電動式ポンプのような外部の発生源によって膨張させることもできる。変形実施形態では、ユーザは、空気入口を吸い込んで擬似食塊を膨張させても良い。一実施形態ではまた、空気吸い込み通路は、擬似食塊から隔置されるのではなく、擬似食塊の一部として一体に形成されても良い。
【0123】
ユーザは、次いで、自分の舌で擬似食塊98を絞り、咀嚼、吸い込み、および絞りによって予備段階での運動神経を喚起する。これに加えて、何らかの風味付け被膜または表面の感触は、ユーザを更に刺激する。嚥下中に舌によって擬似食塊にかけられる圧力に応答して、空気は、排気弁228または出口を介して擬似食塊から押し出されてユーザの口の中へ入り、これは、例えば舌咽神経および/または上喉頭神経を標的としている。ユーザが擬似食塊を絞ると、皮膚のようなブラダ(bladder)の特性により擬似食塊98は舌の後部へと膨張して通常の嚥下に関連付けられる舌のストリッピングウェーブが促進される。ブラダが膨張すると、排気弁228は加圧された気体を放出しかつ気体を気体パルスとして喉の奥に向けて導く。気体パルスは、咽頭嚥下の誘起に含まれる舌咽神経および上喉頭神経受容野の部位に身体刺激を引き起こす。気体パルスは、嚥下する用意ができているユーザの口の後方に食物片が存在するという感覚を付与することができかつ嚥下順序内での自発的ではない部分を開始させる神経を誘発することができる。この時点で平らで空のブラダ98は、舌の圧力が解放されると、その元の形状および位置へと後退し、通常の嚥下に必要とされる神経接続の回復を容易にするための後続の膨張サイクルおよび収縮サイクルの準備ができた状態となる。次いで、この動作が繰り返される。動作中は、口の中には、流体、ゲル、または食物は何も放出されずまたは配置されない。その代わりに、器具は食塊を擬態してパターン化された応答を誘起する。
【0124】
図100A〜
図100Fを参照すると、スクィーズ球状部272が操作されて、空気が、導管270,264および一方向弁266を介して擬似食塊98内に押し込まれる。次いで、舌を操作することによってまたは圧力解放弁228に打ち勝つのに十分な大きさの圧力をスクィーズ球状部によってかけることで、空気は擬似食塊98から放出され、弁を開放しかつ擬似食塊から空気パルスを放出する。
【0125】
図42、
図43、
図54Aおよび
図54Bを参照すると、ユーザは、吸い込み作用によって、二方向弁222を介して擬似食塊を自動的に膨張させる。弁222は、流体すなわちこの場合には空気の所定圧力を維持する。嚥下作用がなされると、舌による圧力が排出弁の所定圧力に打ち勝って擬似食塊98から空気が放出せしめられる。
【0126】
図32Aおよび
図32Bを参照すると、使用中、ユーザは、流体をリザーバ74から入口に通して擬似食塊の内容積部72に押しやることによって、リザーバ74を作動させることができる。擬似食塊はまた、ポンプとして作用するユーザによる吸い込み作用によって、リザーバ74から充填されても良い。遮蔽体14は香り付けされていても良い。ユーザが擬似食塊98を絞ると、皮膚のようなブラダ特性により、擬似食塊は舌の後方へと膨張して通常の嚥下に関連付けられる舌のストリッピングウェーブを促進する。擬似食塊が圧潰されるにつれて、流体は、内容積部72から出口を通ってリザーバ74へと戻る。これと同時に、気体が、内容積部から分離されている気体出口68を介して喉の奥へ向けて導かれ、その際に、気体パルスは、パターン応答および咽頭嚥下のための最終トリガである舌咽神経および/または上喉頭神経の部位に触覚を起こさせる。擬似食塊82は、その内容積部が減少した状態で、舌の圧力が解放されると平らになりかつその元の位置へと後退して、通常の嚥下に必要とされる神経接続の回復を容易にするために後続の充填サイクルおよび排出サイクルの準備ができた状態となる。動作中、口の中には、流体、ゲル、または食物は1つも放出されたりまたは配置されたりせず、むしろ、これらは擬似食塊とリザーバとの間を前後に動く。その代わりに、器具は、食塊を模倣してパターン化された応答を引き起こす。
【0127】
図27〜
図32を参照すると、嚥下中に、流体は、擬似食塊82からリザーバ74へと流れ、それによって、擬似食塊の内容積部が実質的に空にされかつそれ以上食物が存在しないことがユーザに合図される。この作用は、舌の同じストリッピング動作のおかげで口の各部に向けて自動的に導かれる気体パルスと組み合わせることができる。流体が擬似食塊からリザーバへ逃げ出す機能によって、ユーザが不意に擬似食塊に過剰な圧力をかけた場合に擬似食塊が破裂するのを防止する安全機能が提供される。
【0128】
図26A、
図26Bおよび
図114を参照すると、ユーザの舌によって流体充填擬似食塊82が操作されて、あたかも擬似食塊が嚥下されようとしているように位置決めされている。ユーザの鼻の下の遮蔽体14から香りが放出されても良く、香りは、更に唾液の発生を促進しかつ/あるいは嚥下を誘起することができる。舌は、擬似食塊を口の後方に向けて動かすストリッピングウェーブ動作形態で動き、この状態で、次いで、一方向排出弁88によって、気体がユーザの口および喉の指示された領域へ放出される。変形例として、気体は、例えばポート68を介して気体パルスを送り込むことによって、外部の気体供給源から弁によって抑制されない導管を介して送り込まれても良い。
図94に示されているように、導管192は、擬似食塊から側方に延びておりかつ気体パルスをユーザの口の側部へ送り込む。
【0129】
変形可能な擬似食塊82は、容積が可変であるか
図114に示されているように恒湿器として形成されているかに関係なく、局部的な知覚環境内での変化に適合する舌の鋭敏な動きの機会を提供し、これは、次いで、舌の向き/位置および対応する口内知覚入力の変化を容易にする。ユーザは、舌の上表面上に変形可能な擬似食塊を維持することによって、強い口内感覚運動変換に加わることができ、それによって、嚥下される食物/流体の食塊の種々の特性を擬態することができる。器具はまた、例えば、老人たちが飲食能力を維持するのを補助することによって、例えば彼らの強くかつ健康な機能を維持するための予防処置として使用することもできる。
【0130】
図44および
図45の実施形態を参照すると、口腔器具は、ユーザの口の中へ空気パルスを送り込むと共に擬似食塊を口の中に配置するための導管112を備えている。導管および器具の機能は、両方とも2011年3月3日に出願された米国特許出願第13/044,048号明細書および同第13/040,058号明細書に開示されかつ記載されており、これら米国特許出願を参照により引用し、これらの開示内容全体を本明細書の一部とする。擬似食塊は、ここに開示されている実施形態のうちのいずれかとして形成することができる。この実施形態では、空気パルスは擬似食塊から離隔された位置において口および喉の領域へ導かれる。
【0131】
図90および
図91を参照すると、代替的な動作モードでは、擬似食塊82は、口の冒されている側例えば嚥下障害を煩っている脳卒中罹病者の大臼歯400同士の間に位置決めされている。擬似食塊82は、口の冒されていない側の筋肉を使用して歯400同士の間で圧縮され、シミュレータを側方に膨張させる。膨張せしめられた部分は、一方の側で頬の側部に力をかけ、他方の側で舌302の側部に力をかけ、それによって、咀嚼作用に関連付けられる触覚刺激を付与し、これは、口内の咀嚼および嚥下機能における関連付けられる行動の改良によって、神経の活性化および電位的な神経変調が容易になる。
【0132】
図148A、
図148B、
図154A、
図154Bおよび
図159A〜
図159Cを参照すると、口腔器具2は、キャリングケース894,950に入れた状態で販売されるのが良い。ユーザ、介護者または患者は、ラッチ996,1008を解除し、キャリングケースを開き、そして口腔器具2を取り出すことができる。次に、上述したように、擬似食塊82を口腔中に挿入することによって口腔器具2を操作するのが良い。使用後、通気穴920,620,994がキャリングケース内の口腔器具の乾燥を可能にしている状態で口腔器具2をキャリングケース940,970中に再挿入するのが良く、キャリングケースを閉じたり解除可能にラッチ留めしたりすることができる。このプロセスを例えば処方された医療プロトコル毎に適宜繰り返すのが良い。
【0133】
所定の使用回数後または口腔器具内での所定の期間後、口腔器具2および特に擬似食塊82は、口腔器具がその寿命の終わりに達しており、交換されるべきである旨の指標をユーザに提供するのが良い。例えば、上述したように、水溶性粒子932は、使用中、潤滑パッチ924からブルームし(
図159B)、水溶性熱可塑性粒子932がいったん完全になくなると(
図159C)、シリコーンマトリックス934は、粗い表面934または触覚的指標をもたらす。粗い表面936の見かけ(視覚的および/または触覚的)は、口腔器具を交換すべきときであるという指標をユーザ、患者および/または介護者にもたらす。
【0135】
図1〜
図17は、ここに記載されている口腔器具の種々の実施形態を製造するために使用される種々のモールドを示している。
図1Aおよび
図1Bを参照すると、1対のモールド半部600,602が示されている。第1のモールド半部600は、モールドスタンドオフ604と、シールオフリップ608がその外周に形成されている擬似食塊用キャビティ606と、テザー用キャビティ610と、遮蔽体用キャビティ612と、口外のコネクタのためのキャビティ614とを備えている。2つのモールド半部をつなぎ合わせかつ結合するために種々のボルト穴616と位置合わせピン618とが設けられている。
【0136】
動作の際、口内部分と口外部分とを形成するためにかつ/あるいは口内部分と口外部分とを連結させるために、オーバーモールド成形動作を採用することができる。例えば、
図3〜
図5に示されているように、ハンドルアダプタ620と風味付けされたコア622とが、モールド半部600と602との間のインサートとして配設される。次いで、RTVシリコーンのような材料が、これらの構成要素を封じ込めるためにオーバーモールド成形される。
図5に示されているように、インサートロケータ624がコア622とアダプタ620とをモールド内に位置決めする。モールド半部600,602は、擬似食塊の形状および外形を画定しかつ例えば
図6に示されている風味付けされた内側のコアに穴を付与する。ハンドルアダプタ620または口外のコネクタが、例えば止めねじ、スナップ嵌め、または締り嵌めによって、ハンドル6に結合される。モールド半部のうちの一方に成形ゲートおよびベントが設けられており、周辺隆起部はモールド分割線のところに確実なシールオフを提供している。
【0137】
変形例として、
図7A〜
図7Cに示されているように、ハンドルアダプタ630を備えているモールド構造が示されているが、このモールド構造では、擬似食塊は、中実で均一な構成要素として形成されている。
図8A〜
図8Cを参照すると、ハンドルインサート632がモールド半部同士の間に位置決めされており、遮蔽体と擬似食塊とはハンドルインサート632の支持構造体の周りにオーバーモールド成形されている。次いで、
図9に示されているように、ハンドル6と遮蔽体14とは、例えばハンドルをインサート上で滑らせることによって、インサート632に結合される。
【0138】
分離可能なモールド半部を提供するために、
図10を参照すると、傾斜角が7°のキャビティ用のシールオフ301が設けられており、これは、締め付けボルトがモールド分割線に対してほぼ直角に向けられるのを可能にしている。取り外し可能な小片303は、主要モールドコンポーネント305からの分解を許容するガイドを備えている。さらに、
図11および
図12に示されているダブテール形のロックインターフェース640は、擬似食塊を成形するために使用される第1のモールド半部642と遮蔽体を成形するために使用される第2のモールド半部644のシステムとの間のインターロック機構となっている。変形例として、
図13および
図14に示されているように、第1の対をなすモールド半部と第2の対をなすモールド半部は、ボルト646が第1の組みをなす締め付けボルト648に対して直角に延びる状態で互いに結合されるのが良い。
【0139】
図15、
図16および
図18に示されているように、自己膨張性の擬似食塊が組み込まれている実施形態に関して、ハンドル6は注型ウレタンによって作られ、ハンドルの内側に1対の流体通路56が形成されている。各導管は、ハンドルの遠位端に隣接して形成されている入口ポート60を備えている。
図17Aおよび17Bに示されているように、モールドキャビティと連通したゲート664およびベント668を備える1対の中間モールド半部660,662が使用されている。1対の金属ロッド672と遮蔽体構造の中心のための切欠きのための端部品674とを備えているコア670が、モールド半部同士の間に配置されており、金属ロッド672のための経路663が設けられておりかつインサート674のためのポケット667が設けられている。ハンドルが成形された後に、
図20では、ダックビル弁として示されている1対の一方向ゲート弁664が、ハンドルを覆うようにクランプされているモールドによってインサート成形される。弁は、
図22に示されているように、モールド半部をハンドルの周りで閉じる前にハンドルの開口部内に挿入されるコア680(1つが図示されている)を使用することによって形成される。弁64が成形された後に、例えばカミソリを使用して、各弁の端部にスリットが切り込まれる。次いで、コア680がスリットを介して引き抜かれる。最終のステップは、内側形状ならびにダックビル弁として形成されている一方向排気弁を形成するため、
図21に示されているロストコアワックスインサート682を使用して擬似食塊を成形するステップである。ワックスコア682は別個に成形される。
【0140】
幾つかの実施形態では、ハンドル、テザー、遮蔽体、擬似食塊を含む口腔器具は、オーバーモールド成形されたシリコーンサブコンポーネントを含む分離できない組立体として構成され、それにより、幾分かの成形後組立体をなくすことによってコストを最小限に抑えた状態で所望の材料強度および耐久性をもたらすことができる。変形例として、開示したように、擬似食塊、テザー、遮蔽体のうちの1つまたは2つ以上(全てを含む)は、分離可能であり、取り外し可能であり、かつ例えば風味が失われた1つまたは2つ以上のコンポーネントを交換することによって交換可能であるのが良い。
【0141】
幾つかの実施形態では、口腔器具は、側方および垂直方向の両方向で対称であり、これは、ユーザの口の中での器具の配置の曖昧さをなくすのを助けるが、器具は、追加の機能に取り組むためにかかる対称性なしで構成できることは理解されるべきである。擬似食塊、テザー、遮蔽体の構成要素のうちの1つ以上(全てを含む)に風味付けしても良いことは理解されるべきである。
【0142】
好ましい実施形態を参照して本発明を説明したが、当業者であれば理解されるように、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および細部の変更を実施できる。したがって、上記詳細説明は、本発明を限定的なものではなく例示的なものとみなされることが意図されており、そして本発明の範囲を規定することを意図されているのは、添付の特許請求の範囲の記載であり、かかる特許請求の範囲の記載は、その全ての均等範囲を含む。