(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6868034
(24)【登録日】2021年4月13日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】アイウェアケース
(51)【国際特許分類】
A45C 11/04 20060101AFI20210426BHJP
【FI】
A45C11/04 A
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-543820(P2018-543820)
(86)(22)【出願日】2017年9月15日
(86)【国際出願番号】JP2017033593
(87)【国際公開番号】WO2018066346
(87)【国際公開日】20180412
【審査請求日】2018年12月5日
(31)【優先権主張番号】特願2016-195574(P2016-195574)
(32)【優先日】2016年10月3日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】菅 竜貴
(72)【発明者】
【氏名】日野 正喜
(72)【発明者】
【氏名】村松 昭宏
【審査官】
粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−263335(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0292205(US,A1)
【文献】
特開2004−201923(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0251660(US,A1)
【文献】
特開2011−085929(JP,A)
【文献】
実開平04−051225(JP,U)
【文献】
特開2003−180433(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3079448(JP,U)
【文献】
登録実用新案第065330(JP,Z2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 11/00−11/06
A45C 13/02
A45C 15/00
G02C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイウェアが収容されるアイウェア収容部と、該アイウェア収容部とは区画して設けられ前記アイウェアのアクセサリが収容されるアクセサリ収容部と、を有するケース本体と、
前記ケース本体を閉止することで、前記ケース本体との間に前記アイウェア及び前記アクセサリが収容される空間を形成し、前記アクセサリ収容部内における前記アクセサリの移動を規制する規制部を有する蓋部と、
を備え、
前記アイウェア収容部と前記アクセサリ収容部とは、前記ケース本体に設けられた壁部によって区画されており、
前記壁部の一部分には、前記蓋部側が開放されていると共に指先が通過可能な寸法に設定された切欠部が形成されており、
前記蓋部が前記ケース本体を閉止している状態で、前記規制部と前記切欠部とが、該切欠部の開放方向に対向して配置され、
前記規制部における前記切欠部側の端の幅寸法が、前記切欠部の開放端の幅寸法よりも小さな寸法に設定されているアイウェアケース。
【請求項2】
前記アイウェア収容部に収容されるアイウェアは、使用者に装着されると共に折りたたみ可能なフレームと、該フレームに保持された一対のレンズと、使用者の鼻に係止される一対のパッド部と、を備え、
前記蓋部が前記ケース本体を閉止している状態で、前記規制部が前記アイウェアの前記一対のレンズの間に配置されると共に前記一対のパッド部の間に配置される請求項1記載のアイウェアケース。
【請求項3】
前記蓋部が前記ケース本体を閉止した状態において、前記規制部は、前記アクセサリ収容部、または前記アクセサリ収容部に収容された前記アクセサリに当接する請求項1又は請求項2に記載のアイウェアケース。
【請求項4】
前記アクセサリ収容部は、前記アクセサリを出し入れする開口部を有し、前記蓋部が前記ケース本体を閉止した状態において、前記規制部が前記アクセサリ収容部の前記開口部の少なくとも一部を閉塞するように位置する請求項1又は請求項2に記載のアイウェアケース。
【請求項5】
前記ケース本体は略長方形状であり、前記アクセサリ収容部は前記ケース本体の長手方向の中央部に設けられ、前記アイウェア収容部が該アイウェア収容部の開放方向から見てU字状に形成された請求項1又は請求項2に記載のアイウェアケース。
【請求項6】
前記アイウェアはユーザの頭部に装着されるテンプルを有し、
前記ケース本体は略長方形状であり、前記アクセサリ収容部は前記ケース本体の長手方向の中央部に設けられ、
前記アイウェアが前記アイウェア収容部に収容された状態において、前記テンプルは前記ケース本体の長手方向において前記アクセサリ収容部の両側に配置される請求項1又は請求項2に記載のアイウェアケース。
【請求項7】
前記アクセサリ収容部は、前記ケース本体の下面及び側面の両面に接続して設けられ、る請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のアイウェアケース。
【請求項8】
前記規制部は、前記蓋部の上面及び側面の両面に接続して設けられる請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のアイウェアケース。
【請求項9】
前記蓋部はヒンジ部を介して前記ケース本体に回転可能に取り付けられ、前記アクセサリ収容部は前記ケース本体において前記ヒンジ部とは反対側に設けられ、前記規制部は前記蓋部において前記ヒンジ部とは反対側に設けられる請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のアイウェアケース。
【請求項10】
前記アクセサリ収容部は、前記アイウェアに設けられたバッテリーを充電するための充電用アクセサリが収容される請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のアイウェアケース。
【請求項11】
前記充電用アクセサリは、前記アイウェアに接続される充電用のケーブル、または前記バッテリーを充電する充電器である請求項10に記載のアイウェアケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイウェアケースに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2011−516927号公報には、レンズの一部の領域の焦点距離を他の領域の焦点距離に対して変更することが可能とされたアイウェア(電子眼鏡)が開示されている。また、このアイウェアは、レンズの一部の領域の焦点距離を変更する駆動回路へ給電するためのバッテリーを備えている。
【0003】
また、登録実用新案第3040657号公報及び特開2003−180433号公報には、アイウェアを収容するためのアイウェアケースが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特開2011−516927号公報に記載されたアイウェアのようにバッテリー等のアクセサリを有するアイウェアでは、当該アイウェア及びアイウェアのアクセサリをアイウェアケースに収容できると共に、収容されたアクセサリの移動を規制できることが望ましい。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、アイウェア及びアクセサリを収容することができると共に収容されたアクセサリの移動を規制することができるアイウェアケースを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様のアイウェアケースは、アイウェアが収容されるアイウェア収容部と、該アイウェア収容部とは区画して設けられ前記アイウェアのアクセサリが収容されるアクセサリ収容部と、を有するケース本体と、前記ケース本体を閉止することで、前記ケース本体との間に前記アイウェア及び前記アクセサリが収容される空間を形成し、前記アクセサリ収容部内における前記アクセサリの移動を規制する規制部を有する蓋部と、を備えている。
【0007】
第1の態様のアイウェアケースによれば、アイウェアがケース本体のアイウェア収容部に収容されると共に、アイウェアのアクセサリがケース本体のアクセサリ収容部に収容される。そして、蓋部がケース本体を閉止することで、アイウェア及びアクセサリが、アイウェアケース内に収容される。これにより、アイウェア及びアクセサリをアイウェアケース内に収容した状態で、アイウェア及びアクセサリを持ち運ぶことが可能となる。ここで、第1の態様の発明では、アクセサリ収容部内におけるアクセサリの移動を蓋部に設けられた規制部によって規制することができる。このように、第1の態様の発明では、アイウェア及びアクセサリを収容することができると共に収容されたアクセサリの移動を規制することができる。
【0008】
第2の態様のアイウェアケースは、第1の態様のアイウェアケースにおいて、前記蓋部が前記ケース本体を閉止した状態において、前記規制部は、前記アクセサリ収容部、または前記アクセサリ収容部に収容された前記アクセサリに当接する。
【0009】
第2の態様のアイウェアケースによれば、蓋部がケース本体を閉止した状態において、規制部がアクセサリ収容部に当接することで、アクセサリ収容部内におけるアクセサリの移動を規制することができる。または、蓋部がケース本体を閉止した状態において、規制部がアクセサリに当接することで、アクセサリ収容部内におけるアクセサリの移動を規制することができる。
【0010】
第3の態様のアイウェアケースは、第1の態様のアイウェアケースにおいて、前記アクセサリ収容部は、前記アクセサリを出し入れする開口部を有し、前記蓋部が前記ケース本体を閉止した状態において、前記規制部が前記アクセサリ収容部の前記開口部の少なくとも一部を閉塞するように位置する。
【0011】
第3の態様のアイウェアケースによれば、蓋部がケース本体を閉止した状態において、規制部がアクセサリ収容部の開口部の少なくとも一部を閉塞するように位置することで、アクセサリのアクセサリ収容部からの抜け出しを抑制することができる。
【0012】
第4の態様のアイウェアケースは、第1の態様のアイウェアケースにおいて、 前記ケース本体は略長方形状であり、前記アクセサリ収容部は前記ケース本体の長手方向の中央部に設けられ、前記アイウェア収容部が該アイウェア収容部の開放方向から見てU字状に形成されている。
【0013】
第4の態様のアイウェアケースによれば、アクセサリ収容部が上記位置に設けられていると共に、アイウェア収容部が上記形状に形成されている。これにより、アイウェアをアイウェア収容部内に収容した状態において、当該アイウェアの一部をアイウェア収容部におけるアクセサリ収容部の両側(ケース本体の長手方向の両側)に配置させることができる。その結果、アイウェアのアイウェア収容部内における移動を規制することができる。
【0014】
第5の態様のアイウェアケースは、第1の態様のアイウェアケースにおいて、前記アイウェアはユーザの頭部に装着されるテンプルを有し、前記ケース本体は略長方形状であり、前記アクセサリ収容部は前記ケース本体の長手方向の中央部に設けられ、前記アイウェアが前記アイウェア収容部に収容された状態において、前記テンプルは前記ケース本体の長手方向において前記アクセサリ収容部の両側に配置される。
【0015】
第5の態様のアイウェアケースによれば、アイウェアをアイウェア収容部内に収容した状態において、当該アイウェアのテンプルをアイウェア収容部におけるアクセサリ収容部の両側(ケース本体の長手方向の両側)に配置させることができる。その結果、アイウェアのアイウェア収容部内における移動を規制することができる。
【0016】
第6の態様のアイウェアケースは、第1の態様〜第5の態様のいずれかの態様のアイウェアケースにおいて、前記アクセサリ収容部は、前記ケース本体の下面及び側面の両面に接続して設けられる。
【0017】
第6の態様のアイウェアケースによれば、アクセサリ収容部が、ケース本体の下面及び側面の両面に接続して設けられることにより、ケース本体においてアクセサリ収容部が設けられた部分の剛性を向上させることができる。
【0018】
第7の態様のアイウェアケースは、第1の態様〜第6の態様のいずれかの態様のアイウェアケースにおいて、前記規制部は、前記蓋部の上面及び側面の両面に接続して設けられる。
【0019】
第7の態様のアイウェアケースによれば、規制部が、蓋部の上面及び側面の両面に接続して設けられることにより、蓋部において規制部が設けられた部分の剛性を向上させることができる。
【0020】
第8の態様のアイウェアケースは、第1の態様〜第7の態様のいずれかの態様のアイウェアケースにおいて、前記蓋部はヒンジ部を介して前記ケース本体に回転可能に取り付けられ、前記アクセサリ収容部は前記ケース本体において前記ヒンジ部とは反対側に設けられ、前記規制部は前記蓋部において前記ヒンジ部とは反対側に設けられる。
【0021】
第8の態様のアイウェアケースによれば、アクセサリ収容部及び規制部を上記位置に設けることにより、蓋部をケース本体に対して回動させた際に、アクセサリ収容部と規制部とを離間させることができる。これにより、アクセイサリをアクセサリ収容部に容易に収容させることができる。
【0022】
第9の態様のアイウェアケースは、第1の態様のアイウェアケースにおいて、前記アイウェア収容部は、フレーム及び該フレームに保持された一対のレンズを有する眼鏡が収容される眼鏡収容部とされており、前記蓋部が前記ケース本体を閉止した状態において、前記規制部が一対の前記レンズの間に位置する。
【0023】
第9の態様のアイウェアケースによれば、眼鏡がケース本体の眼鏡収容部に収容される。そして、蓋部がケース本体を閉止することで、蓋部に設けられた規制部が眼鏡の一対のレンズの間に位置する。これにより、ケース本体の眼鏡収容部内における眼鏡の変位が、蓋部に設けられた規制部によって規制される。このように、第9の態様の発明では、蓋部に設けられた規制部によって眼鏡及びアクセサリの移動を規制することができる。
【0024】
第10の態様のアイウェアケースは、第1の態様〜第9の態様のいずれかの態様のアイウェアケースにおいて、前記アクセサリ収容部は、前記アイウェアに設けられたバッテリーを充電するための充電用アクセサリが収容される。
【0025】
第10の態様のアイウェアケースによれば、充電用アクセサリがケース本体のアクセサリ収容部に収容される。そして、アクセサリ収容部内における充電用アクセサリの移動を規制部によって規制することができる。これにより、第10の態様の発明では、充電用アクセサリとアイウェアとの干渉を抑制した状態で、アイウェア及び充電用アクセサリを持ち運ぶことができる。
【0026】
第11の態様のアイウェアケースは、第10の態様のアイウェアケースにおいて、前記充電用アクセサリは、前記アイウェアに接続される充電用のケーブル、または前記バッテリーを充電する充電器である。
【0027】
第11の態様のアイウェアケースによれば、充電用ケーブルや充電器とアイウェアとの干渉を抑制した状態で、アイウェア及び充電用ケーブルや充電器を持ち運ぶことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係るアイウェアケースは、アイウェア及びアクセサリを収容することができると共に収容されたアクセサリの移動を規制することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本実施形態の眼鏡ケースを示す斜視図である。
【
図4】蓋部が開放された状態の眼鏡ケースを示す平面図である。
【
図5】蓋部が開放された状態の眼鏡ケースを示す正面図である。
【
図6】電子眼鏡が眼鏡収容部に収容されていると共に充電器が充電器収容部に収容された状態の眼鏡ケースを示す
図1に対応する斜視図である。
【
図7】
図6に示された7−7線に対応する線に沿って切断した蓋部が閉じられた状態の眼鏡ケース等の断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1〜
図5を用いて本発明の実施形態に係るアイウェアケースとしての眼鏡ケースについて説明する。なお、
図1、
図4及び
図5示される矢印UPは眼鏡ケースが机等に置かれた状態における上側を示している。また、
図2及び
図3において示される矢印FRは眼鏡ケースに収容されるアイウェアとしての電子眼鏡を装着した使用者から見た前側を示しており、矢印UPは上側を示しており、矢印RH及びLHは右側及び左側を示している。
なお、以下実施形態においては、アイウェアの一例として眼鏡を例示したが、これに限らない。本発明は、ユーザの頭部、耳あるいは眼付近に装着されるアイウェアを収容するケースであればよい。アイウェアには、例えば、レンズのようにユーザの視力向上のための補助機構を有するいわゆる眼鏡(電子眼鏡を含む)や、ユーザの視界あるいは眼に対して情報提示を行う機構を有する種々のデバイス(例えば、眼鏡型ウェアラブル端末、ヘッドマウントディスプレイ等)が含まれる。
【0031】
図1に示されるように、本実施形態の眼鏡ケース74は、
図2及び
図3に示された電子眼鏡10及び充電器72を収容するために用いられる。以下、先ず電子眼鏡10及び充電器72について説明し、次いで眼鏡ケース74について説明する。
【0032】
(電子眼鏡10及び充電器72の説明)
図2及び
図3に示されるように、本実施形態の電子眼鏡10は、使用者のスイッチ操作により左右のレンズ12、14の一部の焦点距離(度数)を変更することが可能とされている。具体的には、電子眼鏡10は、使用者に装着されるフレーム16と、フレーム16に保持された左右一対のレンズ12、14と、レンズ12、14に設けられた液晶18を駆動させる液晶駆動部20と、を備えている。
【0033】
図2に示されるように、フレーム16は、右側のレンズ14及び左側のレンズ12がそれぞれ保持されると共に正面視で(電子眼鏡10の使用者の前方側から見て)環状に形成された右側リム22及び左側リム24と、右側リム22と左側リム24とを左右方向につなぐブリッジ26と、を備えている。また、右側リム22及び左側リム24においてブリッジ26と隣接する部分には、使用者の鼻に係止されるパッド部28が形成されている。また、フレーム16は、右側リム22の右側の端部に傾動可能に取付けられたテンプルとしての右側テンプル30と、左側リム24の左側の端部に傾動可能に取付けられたテンプルとしての左側テンプル32と、を備えている。
図2に示されるように、右側テンプル30は、使用者側が開放された溝部36を有する右側テンプル本体34と、右側テンプル本体34に取付けられることで当該右側テンプル本体34に形成された溝部36を閉止するテンプル蓋部38と、を含んで構成されている。
【0034】
液晶駆動部20は、レンズ12に設けられた液晶18(
図3参照)の配列を変更するためのものであり、この液晶駆動部20は、制御モジュール40と、当該制御モジュール40に接続された可撓ケーブル42、アクセサリとしてのバッテリー44及びスイッチ46と、を備えている。制御モジュール40は、右側テンプル本体34の溝部36内に配置されており、また制御モジュール40は、右側テンプル本体34にテンプル蓋部38が取付けられることで、使用者側へ露出しないようになっている。また、スイッチ46は、右側テンプル本体34における使用者とは反対側(溝部36が形成された側とは反対側)に固定されている。なお、本実施形態のスイッチ46は、使用者が触れることでスイッチ操作することが可能とされた静電容量タッチスイッチである。また、バッテリー44は、右側テンプル30の後端部に着脱可能に取付けられるようになっている。可撓ケーブル42は、右側テンプル30内に配置された制御モジュール40から右側リム22の上方側の部位、ブリッジ26及び左側リム24の上方側の部位にかけて配索されている。そして、左右のレンズ12、14が右側リム22及び左側リム24にそれぞれ固定される(はめ込まれる)ことで、レンズ12に設けられた液晶18と可撓ケーブル42とが図示しないを通じて接続されている。
【0035】
次に、レンズ12、14について説明する。なお、右側のレンズ14と左側のレンズ12とは左右対称に形成されているため、以下の説明においては左側のレンズ12について説明し、右側のレンズ14については左側のレンズ12の各部と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0036】
図3に示されるように、レンズ12は、その厚み方向に重ね合わされて接合された前面レンズ54及び回折部付レンズ56を有するレンズ本体68を備えている。このレンズ本体68の一部を構成する前面レンズ54及び回折部付レンズ56は、前方側へ凸状となるように緩やかに湾曲している。また、前面レンズ54と回折部付レンズ56において後述する回折部60が設けられた部分を除く部分とは、図示しない接着層を介して接合されている。なお、この接着層内には、前述の電極が配置されている。
【0037】
回折部付レンズ56の一部には、フレネルレンズ部としての回折部60が設けられており、この回折部60は、前面レンズ54側(前面側)が鋸刃状の断面とされた所謂フレネルレンズの構成とされている。また、回折部付レンズ56の回折部60と前面レンズ54との間には、通電されることで屈折率が変化する屈折率変化層としての液晶18が介装されている。そして、電子眼鏡10の使用者によってスイッチ46の操作がなされることにより、液晶18に電圧が印加されると、液晶18の配列が変化して、当該液晶18の屈折率が変化する。これにより、左右のレンズ12、14において回折部60が設けられた部分の度数を当該回折部60の回りの部分の度数に比べて高くする(回折部60が設けられた部分の焦点距離を当該回折部60の回りの部分の焦点距離に比べて短くする)ことが可能となっている。
【0038】
図2に示されるように、充電用アクセサリとしての充電器72は、バッテリー44を充電するためのものであり、この充電器72は、略直方体状に形成されている。充電器72の長手方向一方側の端部は、バッテリー44が接続されるバッテリー接続部72Aとされており、充電器72の長手方向他方側の端部は、パソコン等に設けられたUSBコネクタに接続されるコネクタ部72Bとされている。なお、USBとは、Universal Serial Busの略称であり、周辺機器をコンピュータに接続するためのシリアルバス規格の1つである。そして、バッテリーがバッテリー接続部72Aに接続された状態で、充電器72のコネクタ部72BをUSBコネクタに接続することで、バッテリー44を充電することが可能となっている。
【0039】
(眼鏡ケース74の説明)
図1に示されるように、眼鏡ケース74は、電子眼鏡10(
図3等参照)が収容されるアイウェア収容部としての眼鏡収容部76と、充電器72(
図2参照)が収容されるアクセサリ収容部としての充電器収容部78と、を有するケース本体80を備えている。また、眼鏡ケース74は、ヒンジ部84を介してケース本体80に傾動(回動)可能に接続されていると共にケース本体80との間に電子眼鏡10及び充電器72が収容される空間を形成する蓋部82を備えている。なお、本実施形態のヒンジ部84の構成は、所謂インテグラルヒンジの構成とされているが、他の構成のヒンジ部を適用してもよい。
【0040】
ケース本体80は、上方側が開放されていると共に下方側が閉止された有底箱状に形成されている。具体的には、
図1及び
図4に示されるように、ケース本体80は、上方側から見て略矩形状に形成された底壁部80Aと、底壁部80Aの長手方向一方側の端部から上方側へ向けて延びる第1側壁部80Bと、底壁部80Aの長手方向他方側の端部から上方側へ向けて延びると共に第1側壁部80Bと対向して配置された第2側壁部80Cと、を備えている。また、ケース本体80は、底壁部80Aの短手方向一方側の端部から上方側へ向けて延びる第3側壁部80Dと、底壁部80Aの短手方向他方側の端部から上方側へ向けて延びると共に第3側壁部80Dと対向して配置された第4側壁部80Eと、を備えている。そして、底壁部80Aと第1側壁部80B、第2側壁部80C、第3側壁部80D及び第4側壁部80Eとの境界部は、緩やかに湾曲していると共に、第1側壁部80Bと第3側壁部80D及び第4側壁部80Eとの境界部、並びに、第2側壁部80Cと第3側壁部80D及び第4側壁部80Eとの境界部も緩やかに湾曲している。以上説明した
底壁部80A、第1側壁部80B、第2側壁部80C、第3側壁部80D及び第4側壁部80Eによって、ケース本体80の底面及び側面が形成されている。
【0041】
第4側壁部80Eの中央部は、第3側壁部80D側に向けて凸状に形成された凸状部80Fとされている。また、凸状部80Fの一方側の端及び他方側の端からは、その下端部が底壁部80Aに接続された第1中壁部80G及び第2中壁部80Hがそれぞれ延在されている。さらに、第1中壁部80Gにおける第4側壁部80Eとは反対側の端部と第2中壁部80Hにおける第4側壁部80Eとは反対側の端部とは、その下端部が底壁部80Aに接続された第3中壁部80Iを介して接続されている。また、第3中壁部80Iの長手方向の中央の上端部には、切欠部80Jが形成されている。
【0042】
以上説明したケース本体80において、底壁部80A、第1側壁部80B、第2側壁部80C、第3側壁部80D、第4側壁部80E、第1中壁部80G、第2中壁部80H及び第3中壁部80Iに囲まれた領域が、電子眼鏡10(
図3等参照)が収容される眼鏡収容部76とされている。この眼鏡収容部76は、上方側から見て(ケース本体80の開放方向から見て)浅底の略U字状(浅底のコ字状)に形成されている。
【0043】
また、ケース本体80において、底壁部80A、第4側壁部80Eの凸状部80Fが形成された部位、第1中壁部80G、第2中壁部80H及び第3中壁部80Iに囲まれた領域が、その上端部に形成された開口部78Aから充電器72(
図2参照)が収容される充電器収容部78とされている。換言すると、この充電器収容部78は、ヒンジ部84が設けられた側とは反対側においてケース本体80の底面及び側面に接続されている。なお、底壁部80Aにおいて充電器収容部78を形成している部分S1は、眼鏡収容部76を形成している部分S2に対して底上げされている(眼鏡ケース74が置かれる面と離間している)。
【0044】
図5に示されるように、蓋部82は、一方側が開放されていると共に他方側が閉止された有天箱状に形成されている。具体的には、蓋部82は、略矩形板状に形成された頂壁部82Aと、頂壁部82Aの長手方向一方側の端部から頂壁部82Aの厚み方向一方側へ向けて延びる第1側壁部82Bと、頂壁部82Aの長手方向他方側の端部から頂壁部82Aの厚み方向一方側へ向けて延びると共に第1側壁部82Bと対向して配置された第2側壁部82Cと、を備えている。また、蓋部82は、頂壁部82Aの短手方向一方側の端部から頂壁部82Aの厚み方向一方側へ向けて延びる第3側壁部82Dと、頂壁部82Aの短手方向他方側の端部から頂壁部82Aの厚み方向一方側へ向けて延びると共に第3側壁部82Dと対向して配置された第4側壁部82Eと、を備えている。そして、ケース本体80と同様に、頂壁部82Aと第1側壁部82B、第2側壁部82C、第3側壁部82D及び第4側壁部82Eとの境界部は、緩やかに湾曲していると共に、第1側壁部82Bと第3側壁部82D及び第4側壁部82Eとの境界部、並びに、第2側壁部82Cと第3側壁部82D及び第4側壁部82Eとの境界部も緩やかに湾曲している。以上説明した頂壁部82A、第1側壁部82B、第2側壁部82C、第3側壁部82D及び第4側壁部82Eによって、蓋部82の上面及び側面が形成されている。
【0045】
また、第4側壁部82Eの中央部には、ケース本体80の第4側壁部80Eに形成された凸状部80F(
図4参照)と対応する凸状部82Fが形成されている。凸状部82Fにおける頂壁部82Aの長手方向の中央部からは、その一部が頂壁部82Aに接続された矩形ブロック状の規制部としての変位規制部82Gが立設されている。換言すると、この変位規制部82Gは、ヒンジ部84が設けられた側とは反対側において蓋部82の上面及び側面に接続されている。
図4及び
図5に示されるように、この変位規制部82Gにおける頂壁部82Aとは反対側の端部Tは、第4側壁部82Eにおける頂壁部82Aとは反対側の端よりも頂壁部82Aとは反対側へ突出している。これにより、変位規制部82Gにおける頂壁部82Aとは反対側の端部Tが、充電器収容部78の開口部78Aの縁部に当接して、当該開口部78Aの長手方向の中央部を閉止(閉塞)することが可能となっている。
【0046】
以上説明した蓋部82の第3側壁部82Dとケース本体80の第3側壁部80Dとは、図示しないヒンジを介して接続されている。これにより、蓋部82をケース本体80に対して傾動させることが可能となっている。
【0047】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0048】
図1に示されるように、本実施形態の眼鏡ケース74によれば、蓋部82をケース本体80に対して開放方向A1(矢印A1方向)へ傾動させることで、
図6に示されるように、電子眼鏡10及び充電器72をケース本体80の眼鏡収容部76及び充電器収容部78へそれぞれ収容させることが可能となっている。ここで、本実施形態では、電子眼鏡10のフレーム16が折り畳まれた状態において、パッド部28が充電器収容部78側へ配置されると共に右側テンプル30及び左側テンプル32が右側リム22及び左側リム24よりも底壁部80A側へ配置された状態で電子眼鏡10が眼鏡収容部76内へ収容されるように、当該眼鏡収容部76内の内周面の形状が設定されている。換言すると、眼鏡収容部76内の内周面が、電子眼鏡10を所定の姿勢で当該眼鏡収容部76内へ収容させるためのガイド面として機能している。また、本実施形態では、右側テンプル30及び左側テンプル32の端部が、眼鏡収容部76内における充電器収容部78の両側へそれぞれ配置される。これにより、電子眼鏡10の眼鏡収容部76内における移動を規制することができる。
【0049】
また、蓋部82をケース本体80に対して閉止方向A2(矢印A2方向)へ傾動させることで、
図7に示されるように、ケース本体80の眼鏡収容部76及び充電器収容部78に収容された電子眼鏡10及び充電器72をケース本体80と蓋部82との間に形成された密閉空間内に収容することができる。また、
図7に示されるように、電子眼鏡10のフレーム16の一部及び左右レンズ12,14の一部を、充電器収容部78の上部に位置させることもできる。すなわち、蓋部82がケース本体80を閉止している状態において、電子眼鏡10のフレーム16の一部及び左右レンズ12,14の一部が、充電器収容部78と蓋部82の間に位置している。このため、蓋部82がケース本体80を閉止している状態では、ケース本体80に収容された電子眼鏡10の充電器収容部78内における高さ方向へのガタつきが抑制される。また、充電器収容部78は、ケース本体80の底面と電子眼鏡10のフレーム16及び左右レンズ12,14の一部との間に形成されたスペースに配置されることで、当該スペース内が有効利用されている。
【0050】
ここで、本実施形態では、変位規制部82Gにおける頂壁部82Aとは反対側の端部Tが、充電器収容部78の開口部78Aの長手方向の中央部を閉止している。これにより、ケース本体80の充電器収容部78に収容された充電器72の蓋部82の頂壁部82A側への移動が規制される。これにより、充電器72が充電器収容部78内から抜け出すことが抑制される。その結果、電子眼鏡10及び充電器72を眼鏡ケース74内に収容した状態で、電子眼鏡10及び充電器72を持ち運ぶ際に、電子眼鏡10と充電器72とが干渉することを防止又は抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態では、蓋部82がケース本体80を閉止している状態において、蓋部82に設けられた変位規制部82Gが充電器72に当接する又は近接して配置されるように、変位規制部82Gの頂壁部82Aに対する寸法が設定されている。これにより、充電器収容部78内における充電器72のガタつきを抑制することができる。なお、変位規制部82Gにおける頂壁部82Aとは反対側の端部Tを充電器72に当接させることで、充電器72が充電器収容部78内においてがたつくことがより一層抑制される。また、充電器収容部78には、電子眼鏡10の予備のバッテリー44(
図2参照)や充電用アクセサリとしての充電ケーブル、カメラ、プロジェクタ、メモリー等の他のアクセサリを収容してもよい。
【0052】
さらに、本実施形態では、蓋部82がケース本体80を閉止している状態において、蓋部82に設けられた変位規制部82Gが電子眼鏡10の左右のレンズ12、14の間に配置されると共に一対のパッド部28の間に配置される。これにより、眼鏡収容部76内における電子眼鏡10のガタつきを抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、充電器収容部78が、ケース本体80の底面及び側面に接続されていると共に、変位規制部82Gが、蓋部82の上面及び側面に接続されている。これにより、ケース本体80及び蓋部82において充電器収容部78及び変位規制部82Gが設けられた部分の剛性を向上させることができる。
【0054】
さらに、本実施形態では、充電器収容部78及び変位規制部82Gが、ヒンジ部84が設けられた側とは反対側に設けられている。これにより、蓋部82をケース本体80に対して傾動させた際に、充電器収容部78と変位規制部82Gと離間させることができる。すなわち、充電器収容部78と変位規制部82Gとのクリアランスを確保することができる。これにより、充電器72を充電器収容部78に容易に収容させることができる。
【0055】
なお、本実施形態では、電子眼鏡10及び充電器72を収容するための眼鏡ケース74に本発明を適用した例について説明したが、他のアイウェア及びアクセサリを収容するアイウェアケースに本発明を適用することもできる。
つまり、眼鏡収容部76はアイウェア収容部であり、上述した種々のアイウェアを収容することが可能である。また、充電器収容部78はアイウェアのアクセサリ収容部であり、充電器以外のアイウェアのアクセサリとしては、アイウェアに対して有線又は無線で接続される小型デバイスが挙げられる。例えば、アイウェアに接続されて充電に用いられる充電ケーブル、アイウェアに対して情報表示を行うためのプロジェクタやディスプレイ、アイウェアと無線通信を行う通信デバイス、アイウェアと音声信号や映像信号の送受信を行うマイク、スピーカ、またはカメラなどが挙げられる。
【0056】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
10 電子眼鏡(アイウェア)
12 レンズ
14 レンズ
16 フレーム
30 右側テンプル(テンプル)
32 左側テンプル(テンプル)
44 バッテリー
72 充電器(アクセサリ、充電用アクセサリ)
74 眼鏡ケース(アイウェアケース)
76 眼鏡収容部(アイウェア収容部)
78 充電器収容部(アクセサリ収容部)
78A 開口部
80 ケース本体
82 蓋部
82G 変位規制部(規制部)
84 ヒンジ部