(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流体送達管腔のいくつかまたはすべては、治療用化合物を、前記薬物送達ポートに進入させ、前記薬物送達穴を通って出ることを可能にするように構成することができる、請求項1または2に記載の装置。
前記流体送達管腔のいくつかまたはすべては、流体を、前記ドレイン穴から、対応する管腔を通って、対応するドレインポートから出るように除去するように構成することができる、請求項1から3の何れか一項に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
前述のように、超音波エネルギを治療用化合物と併せて使用して、標的組織に送達される治療用化合物および医師が指定した流体の効果を増大する方法および装置を開発した。患者の体内の治療の箇所における治療用化合物の効果を高めるために使用することができる超音波カテーテルのいくつかの典型的な実施形態を本明細書に開示する。そのようなカテーテルを使用するための典型的な方法も開示する。例えば、さらに詳しく後述されるように、本明細書に開示する超音波カテーテルを使用して、脳または身体の他の部分内の凝血塊に治療用化合物を送達し、凝血塊の少なくとも一部を溶解および/または除去することによって、脳または他の身体組織への損傷を軽減できる。追加の例として、本明細書に開示する超音波カテーテルを使用して、抗癌剤および癌治療薬、アルキル化剤、代謝拮抗物質および腫瘍に対する抗腫瘍抗生物質などの治療用化合物、ならびに/または脳もしくは身体の他の部分内の疾患を治療するために使用される他の薬物を送達することができる。本明細書に記載の実施形態は、主に頭蓋内での使用に関連して記述するが、本明細書に開示する実施形態が、脳室内での使用または他の用途における身体の他の部分内での使用にも適することが理解されるはずである。したがって、「頭蓋内での使用」という用語は、脳室内での使用も含むことができる。
【0017】
本明細書に使用する「治療用化合物」という用語は、薬物、薬剤、溶解化合物、遺伝物質、または生理学的機能を達成することができる任意の他の物質を、広く、制限なく、通常の意味に加えて指す。さらに、これらの物質を含む混合物も、この「治療用化合物」の定義に包含される。治療用化合物の例として、血栓溶解化合物、抗血栓化合物、および血栓の形成の防止または軽減を意図する化合物など、血管の閉塞および/または血液の凝固の治療に使用される他の化合物、神経保護薬、抗アポトーシス薬、ならびに神経毒除去薬が挙げられる。例示的な治療用化合物として、これらに限られるわけではないが、ヘパリン、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、tPA、rtPA、BB−10153(英国OxfordのBritish Biotechが製造)、プラスミン、IIbIIa阻害剤、デスモテプラーゼ、カフェイノール、デフェロキサミン、および第VIIa因子が挙げられる。治療用化合物の他の例として、抗癌剤および癌治療薬、アルキル化剤、代謝拮抗物質および抗腫瘍抗生物質、ならびに例えば、癌(例えば、脳腫瘍、肺癌、皮膚癌など)、パーキンソン症候群、アルツハイマー病および他のそのような疾患または病気などの任意の疾患または病気の治療に使用される任意の他の薬物が挙げられる。他の例として、癌および/または腫瘍に関する薬物、例えば、脳または身体の他の部分内の腫瘍および神経膠腫の治療に使用される音響力学の薬物を含む。前述の方法および装置を使用して腫瘍および神経膠腫を治療できる。
【0018】
本明細書に使用する「超音波エネルギ」、「超音波」および「ウルトラソニック」という用語は、縦方向の圧力または圧縮波によって伝えられる力学的エネルギを、広く、制限なく、通常の意味に加えて指す。超音波エネルギを、個々の用途のパラメータに応じて、連続波またはパルス波として発することができる。さらに、超音波エネルギを、正弦波、三角波、方形波または他の波形などの、さまざまな形状を有する波形で発することができる。超音波エネルギは、音波を含む。特定の実施形態においては、本明細書に言及される超音波エネルギの周波数は、約20kHz〜約20MHzである。例えば、一実施形態においては、超音波エネルギの周波数は、約500kHz〜約20MHzである。別の実施形態においては、超音波エネルギの周波数は、約1MHz〜約3MHzである。さらに別の実施形態においては、超音波エネルギの周波数は、約2MHzである。本明細書に記載の特定の実施形態においては、超音波エネルギの平均音響出力が、約0.01ワット〜300ワットである。一実施形態においては、平均音響出力が、約15ワットである。
【0019】
本明細書に使用する「超音波放射素子」または「超音波もしくはウルトラソニック素子」という用語は、超音波エネルギを生成できる任意の装置を、広く、制限なく、通常の意味に加えて指す。超音波放射素子の例には、電気エネルギを超音波エネルギに変換する超音波トランスデューサが挙げられる。電気エネルギから超音波エネルギを生成できる典型的な超音波トランスデューサは、圧電セラミック振動子である。圧電セラミックは、一般に、電流が物質に加えられたときに形状を変化する、石英などの結晶性物質を含む。この形状の変化が、周期性の駆動信号によって振動性にされることで、超音波が生じる。他の実施形態においては、超音波エネルギを、超音波放射素子から離れて位置する超音波トランスデューサによって生成でき、超音波エネルギを、例えば、超音波放射素子に接続されたワイヤを介して伝送できる。そのような実施形態においては、「横波」を、ワイヤに沿って生じさせることができる。本明細書に使用されるとき、媒体の各点における乱れの方向が波動ベクトルに対して垂直であるワイヤに沿って伝播した波である。例えば、超音波放射素子に接続されたワイヤを組み込む実施形態などのいくつかの実施形態は、横波を生成することができる。例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,866,670号、同第6,660,013号および同第6,652,547号を参照されたい。ワイヤを使用しない他の実施形態も、カテーテルの本体に沿った横波を生じさせることができる。
【0020】
特定の用途においては、超音波エネルギそのものが、患者に治療効果をもたらす。そのような治療効果の例として、血栓の分解、細胞内または細胞間の組織における一時的または恒久的な生理学的変化の促進、治療用化合物を届けるための微小バルーンまたは微小バブルの破裂、および標的細胞の浸透性の増大が挙げられる。標的細胞の浸透性の増大によって、それらの標的細胞における治療用化合物の効果を高めることができる。そのような方法についてのさらなる情報は、米国特許第5,261,291号および同第5,431,663号に見ることができる。
【0021】
図1A〜
図1Cおよび
図1Fは、標的組織に送達される治療用化合物の効果を増大するために使用できる超音波カテーテル10の一構成を概略的に図示する。
図1Bは、カテーテル10の遠位部12の拡大詳細図を示しており、
図1Cは、カテーテル10の近位部14の拡大詳細図を図示する。図示の構成において、超音波カテーテル10は、概して、近位領域14および遠位領域12を有する、複数の構成部分からなる細長くて可撓な管状体16を含む。管状体16は、遠位領域12に位置する可撓なエネルギ送入部18を含む。遠位領域12には、カテーテル10
を通って延びる中央管腔22(
図1F)へと流体を流入させることができ、あるいは中央管腔22から流体を流出させることができる複数の穴20が位置している。ドレイン穴20は円形として示すが、穴の形状は、さまざまであってよい。例えば、ドレイン穴は、長円形、多角形または不規則であってよい。
図1Gおよび
図1Hは、流体の送入および流体の排出のための別々の管腔を含むカテーテルの変形版の実施形態を図示する。
【0022】
カテーテル10は、ドレイン穴20と近位ポート24との間に液体を自由に流すことができる中空管腔22を画定する。例えば、血液を、超音波カテーテルの外側の領域からドレイン穴20を通って管腔22内に流すことができる。次に、血液を、超音波カテーテルの近位領域14に向かって管腔22を近位側に流すことができ、近位領域14においてドレインキットによって集めることができる。特定の実施形態においては、任意の数の治療用化合物を、近位端14を通って超音波カテーテル内に導入することができる。化合物(液体の担体に溶解または懸濁させることができる)を、管腔22を通って超音波カテーテルの遠位端12へと流すことができる。そして最終的に、ドレイン穴20を通ってカテーテルから出し、治療の箇所へと進入させることができる。
【0023】
特定の実施形態においては、ドレイン穴20から近位端14へと向かう血液の流れを促進するために、カテーテルの管腔22に負圧を加えることができる。他の実施形態においては、外部の圧力は加えられず、治療の箇所に存在する条件が、血液を、管腔22を通って近位側へと流すために充分である。いくつかの実施形態においては、治療用化合物または他の液体を、管腔22を通ってドレイン穴20へと遠位方向に通過させるために、カテーテル10の管腔22へと正の圧力を加えることができる。他の実施形態においては、外部の圧力は加えられず、液体が自主的に遠位側へと流れ、ドレインポート20から出ることができる。
【0024】
管状体16およびカテーテル10の他の構成要素を、当業者にとって公知のさまざまな技法に従って製造できる。適切な材料および寸法を、治療の箇所の自然な身体構造上の寸法および所望のアクセス箇所にもとづいて容易に選択することができる。さらに、カテーテル10の表面を、銀または銀主体の化合物などの抗菌性の材料で覆うことができる。特定の実施形態においては、カテーテルが、最長7日間、最長15日間、最長29日間または最長30日間、脳または他の器官および組織に用いられるように生体適合性があるものであってよい。一構成においては、カテーテルを、親水性の材料で覆うことができる。
【0025】
いくつかの実施形態においては、管状体16の全長は、約23〜29センチメートルであってよい。特定の構成においては、管腔22の最小内径は、約2ミリメートルであり、カテーテル本体の最大外径は、約6mmである。
【0026】
特定の一実施形態においては、管状体16の材料特性は、標準的な脳室外ドレナージ(EVD)カテーテルのそれと同様である。例えば、管状体を、抗菌の特徴を備えることができる放射線不透過性のポリウレタンまたはシリコーンで形成することができる。そのような実施形態においては、カテーテル10そのものが、エネルギ送入部18を治療の箇所(例えば、脳室のうちの1つ)へと頭蓋内の開口、器官または他の組織を通って押し込むための充分な柔軟性、フープ強度、耐ねじれ性、剛性および構造的支持を有さない可能性がある。したがって、カテーテル10を、管状体10内の内側に配置することができる探り針26(
図1D)と組み合わせて使用することができる。脳組織に使用する一実施形態においては、装置が、ニューロナビゲーションステムの探り針を容易に収容することによって、ニューロナビゲーションシステムに適合するように構成される。探り針26は、患者の脳組織を通って目標の箇所に前進させることができるよう、カテーテル10にさらなる耐ねじれ性、剛性および構造的支持をもたらすことができる。特定の実施形態においては、探り針26を、標準的な画像案内式のEVD配置システムと組み合わせて使用されるように構成することができる。後述されるとおり、配置後、管状体16による排液を可能にするために、探り針26を取り除くことができる。変更した構成においては、探り針の有無にかかわらずに、耐ねじれ性および押し込み性の向上をもたらすために、管状体16を組みひも、メッシュまたは他の構造によって補強することができる。他の実施形態においては、装置を、身体の他の部分で使用するために他のナビゲーションシステムに適合するように構成することができる。
【0027】
一実施形態においては、管状体のエネルギ送入部18が、管状体の近位領域14を構成する材料よりも薄い材料を含むことができる。別の典型的な実施形態においては、管状体のエネルギ送入部18が、管状体の近位領域14を構成する材料よりも高い音響透過性を有する材料を含む。特定の実施形態においては、エネルギ送入部18が、近位領域14と同じ材料または同じ厚さの材料を含む。
【0028】
図1Cは、超音波カテーテル10の近位部14の拡大詳細図を示す。近位部14は、コネクタ28を含む。示す実施形態においては、コネクタ28は、平行に整列した一連の環状リング30を備える。コネクタ28により、カテーテル10をドレインキットに接合させることができる。例えば、一構成においては、コネクタ28は、コネクタ28へとスライドする取り付け金具を含むことができ、そしてコネクタ28の周囲に固定されるバックルもしくはジョイントを含むことができる標準的なEVDドレインキットに接続するように構成される。コネクタ28の具体的な全長および構成は、個々の用途のニーズに応じ、種々のドレインキットとの接続を容易にするように、さまざまであってよい。さらに、環状リング30の数も、特定の実施形態においてさまざまであってよい。
【0029】
図1A〜
図1Dおよび
図1Fに図示した構成において、カテーテル10を、超音波エネルギを目標の箇所へと送達するために、探り針26を取り除いた後の管腔22へと挿入することができる内側コア32(
図1E)と組み合わせて使用することができる。コア32は、内側コア32の近位領域の一端に取り付けられた近位ハブ34を含むことができる。1つ以上の超音波放射部材36が、コアの遠位領域内に配置され、ワイヤ38によって近位ハブ34に接続される。いくつかの実施形態においては、内側コア32を、管腔22へと挿入でき、かつ/またはカテーテル10の側面に沿って挿入することができる。さらに別の構成においては、コア32を、超音波放射部材を含む遠位端をカテーテル10の遠位領域に位置する穴のうちの1つから外へと突き出させるように、管腔22へと挿入することができる。
【0030】
他の実施形態においては、カテーテル10は、排液用および薬物の送達用に別々の管腔を含むことができる。
図1Gおよび
図1Hは、複数の管腔を持つカテーテルの2つの実施形態の断面図を示す。
図1Gを参照すると、流体送出用の管腔23が、カテーテル10の壁において、外面と内側の管腔22(流体の排出に使用することができる)との間に位置している。他の実施形態においては、複数の流体送出用の管腔23を、カテーテル10内部に配置することができる。実質的に円形の断面として示すが、いくつかある任意の形状を、流体送出用の管腔23を通って最適な流体の流れをもたらすために利用できる。
図1Hを参照すると、別個の流体送出用の管腔23が、内側の管腔22を長手方向に延びている別個の管に位置している。特定の実施形態においては、複数の流体送出用の管腔23を内側の管腔22内に配置することができる。流体送出用の管腔23のサイズを、治療の箇所から流体を排出する内側の管腔23の機能を妨げないように充分に小さくすることができる。
【0031】
これらの別個の管腔は、おおむねカテーテルの遠位端に位置するドレインおよび薬剤送出穴を、カテーテルの近位端に位置する薬物送入ポートおよびドレインポートに接続する。一実施形態においては、装置が、薬物送入用およびドレイン用の穴およびポートが互いに別々であるよう、薬物送入用およびドレイン用に別々の管腔を含むことができる。いくつかの実施形態においては、装置が、複数の薬物タイプおよび/または複数の薬物集合の送達のための複数の管腔を含むことができる。複数の薬物用の管腔を、種々の全長のカテーテルに沿って薬物を標的に送達するためにも使用できる。いくつかの実施形態においては、治療の領域(最も遠位側および最も近位側の超音波トランスデューサの間の距離として定義される)が、約1〜4cmであってよい。他の実施形態においては、治療の領域が、最長10cmまで広がることができる。薬物ポートおよびドレインポートは、ルアー式の継手を含むことができる。超音波トランスデューサを、ドレインおよび薬剤送出穴の付近、またらそれらの間に配置することができる。
【0032】
図2A〜
図2Dは、別の実施形態による超音波カテーテルの概略図である。カテーテル10は、
図1A〜
図1Cおよび
図1F〜
図1Hに示すものと同様の構成要素を含む。しかしながら、この実施形態においては、管の壁に埋め込まれたワイヤ38を含む。後述されるとおり、ワイヤは、カテーテル10の遠位領域12に位置する超音波放射素子を活性化させ、制御することができる。さらに、カテーテル10は、治療の領域、カテーテルまたは周囲の領域の温度を監視するための熱電対を含むことができる。いくつかの実施形態においては、各々の超音波放射素子が、超音波放射素子の温度を監視する温度センサに組み合わせられている。他の実施形態においては、超音波放射素子そのものが温度センサでもあり、温度のフィードバックをもたらすことができる。特定の実施形態においては、治療の箇所またはカテーテルの管腔内の液体の圧力を監視するための1つ以上の圧力センサがさらに配置される。
【0033】
示す実施形態においては、ワイヤ38が束ねられ、管状体16の壁に埋め込まれる。他の実施形態においては、ワイヤが束ねられず、例えば、各々が互いから離れて位置することができる。さらに、特定の実施形態においては、ワイヤを管状体16の壁に埋め込まず、むしろ管腔22の内部に位置させることができる。ワイヤ38は、保護用および/または絶縁用の被覆を含むことができる。
【0034】
ワイヤを、好都合には、カテーテルに加えられる張力に耐えることができるように構成することができる。例えば、ワイヤが、少なくとも3ポンドの張力に耐えることが可能であってよい。他の実施形態においては、ワイヤが、少なくとも3.6ポンド、少なくとも4ポンド、または少なくとも4.5ポンドの張力に耐えることが可能であってよい。
【0035】
ワイヤを、管状体16の剛性を可能な限り高めないように構成することもできる。管状体16の可撓性が、頭蓋腔などの体腔内へのカテーテル10の導入を容易にする。したがって、カテーテルの剛性への貢献が最小限にすぎないワイヤを選択することが好都合であり得る。選択されるワイヤのゲージは、30〜48であってよい。他の実施形態においては、ワイヤのゲージは、33〜45、36〜42または38〜40であってよい。カテーテルにおけるワイヤの本数は、個々の装置内の素子および熱電対の数によって決定される。
【0036】
特定の実施形態においては、ドレイン穴20が、
図2Bに見て取ることができるとおり、穴の外側に半径を備えている。各々のドレイン穴により大きい外半径を適用することで、ドレイン穴20へと進入してカテーテルの管腔を通過する血液の流れを改善し、挿入および取り出しの際の脳組織または他の組織の損傷を少なくすることができる。ドレイン穴20を一定間隔の横列に配置されたものとして描写したが、このパターンはかなりさまざまであってよい。穴が配置される領域の全長は、2〜4cmであってよい。特定の実施形態においては、全長は、2.5〜3.5cmであってよく、あるいは約3cmであってよい。
【0037】
示す実施形態においては、カテーテル10の近位領域14に位置した環状リング30を、ワイヤ38に接続することができる。特定の実施形態においては、ワイヤを各々の環状リング30にはんだ付けすることができる。次に、電気接点を、個々のワイヤとの電気接続をもたらすために、環状リング30の外径に露出させることができる。この設計のおかげで、各々のワイヤ、したがって、各々の熱電対または素子を、個別に取り扱うことができる。代替的な実施形態においては、2本以上のワイヤを環状リングにはんだ付けし、単一の電気接続を生成することができる。他の実施形態においては、ワイヤが、カテーテル10内の他の地点に位置する電気接点に接触することができる。あるいは、ワイヤが、管状体16の壁を通過して外部の装置に直接に接続することができる。
【0038】
図3は、脳に途中まで挿入された超音波カテーテルの概略図である。カテーテル10の遠位部を、穴40を通して挿入しつつ、頭蓋骨の外面に対して配置することができる。穴40が、頭蓋骨42および硬膜44を通過する脳組織46内へのアクセス経路を作り出す。ひとたび脳組織46に位置すると、大出血に起因する過剰な血液を、カテーテルの遠位領域に位置するドレイン穴20内に受け入れることができる。脳内への進入の角度に起因し、カテーテル10の管状体16は、特に曲がりの周囲において、好都合には耐ねじれ性を有する。耐ねじれ性は、カテーテル10の遠位領域12において好都合である。カテーテル10が脳組織46から引き出されて真っ直ぐになり始めるとき、カテーテルの過度の剛性が、遠位端の脳組織46への移動を生じさせる可能性がある。ドレイン穴20の存在が、カテーテル10の遠位領域12における可撓性に貢献する。
【0039】
一実施形態においては、カテーテルから始まる感染の可能性を軽減するために、装置を脳の進入の地点から遠ざかるように頭皮の下方で引っ張ることを伴うトンネリング技法を使用して、装置を配置することができる。一実施形態においては、カテーテルが、治療の際に損傷を引き起こすことなく脳の物質とともに移動する柔らかくてしなやかなシリコーン材料(および/または、同様の材料)で(少なくとも部分的に)製作される。
【0040】
超音波カテーテルの寸法は、種々の実施形態に応じてさまざまであってよい。例えば、壁係数が、管の外径の肉厚に対する比として定められる。発明者らは、4という壁係数が、カテーテルのねじれの防止に有用であることを発見した。特に、4という壁係数が、直径10mmの曲がり(カテーテルの中心線において測定される)の周囲におけるカテーテルのねじれを防止することができる。耐ねじれ性が最も好都合である管状体16の領域は、装置の遠位端から5〜12cmである。
【0041】
種々の方法を、カテーテル10に耐ねじれ性を付与するために使用することができる。例えば、管状体16を、曲がりの周囲におけるカテーテルのねじれを防止するために、コイルで補強することができる。他の実施形態においては、管状体が、カテーテルが曲がりを通って配置されるときのねじれを防止するのに充分であるように(材料に鑑みて)選択された肉厚を有する。
【0042】
図4Aおよび
図4Bは、超音波放射素子36の一構成を図示する。
図4Bは、
図4Aの線
4B−4Bに沿った断面の拡大詳細図である。示すように、一構成においては、超音波放射素子36を、超音波カテーテル10の遠位領域12に配置することができる。他の実施形態においては、熱電対、圧力センサまたは他の素子も、遠位領域12内に配置することができる。遠位領域12を、前述のようなドレイン穴20を有して設計されたシリコーンまたは他の適切な材料で構成することができる。超音波放射素子36を、シリコーンまたは他の材料に囲んで遠位領域12の壁に埋め込むことができる。カテーテルは、
図2A〜
図2Dに関してさらに詳しく前述したように、超音波放射素子36に加えて、可撓な管状体の壁に埋め込まれたワイヤを含むことができる。超音波放射素子36は、さらに詳しく後述される接続ワイヤを含むことができる。種々の実施形態において、少なくて1つ、多くて10個の超音波放射素子36を、装置の遠位領域12に埋め込むことができる。素子36は、治療の領域において等間隔に位置することができる。他の実施形態においては、素子36を、それらの間の間隔が一様でないようにグループ化することができる。超音波放射素子の間隔および位置は、これらに限られるわけではないが、流れ特性における所望の制御および薬物を送達する管腔の数などの複数のファクタにもとづいて決めることができる。典型的な実施形態においては、カテーテル10が、2つの超音波放射素子36を含む。この2素子の構成において、素子を約1cmの軸方向における間隔および約180度の周方向における間隔にて配置することができる。別の実施形態においては、カテーテル10が、3つの超音波放射素子36を含む。この3素子の構成において、素子36を約1cmの軸方向における間隔および約120度の周方向における間隔にて配置することができる。当業者にとって明らかであるとおり、超音波放射素子の種々の他の組み合わせが可能である。
【0043】
図5Aおよび
図5Bは、超音波カテーテル10の遠位領域の別の構成を図示する。
図5Bは、
図5Aの線
5B−5Bに沿った断面の拡大詳細図である。示す構成においては、2つの素子が、周方向において約180度の間隔で配置され、カテーテル10の遠位端から同じ距離に位置している。カテーテルは、遠位領域12に2つの超音波放射素子36だけを含むことができ、あるいは4つ、6つ、8つ、またはさらに多くの超音波放射素子36を、各組を示す構成に配置して含むことができる。2組以上を含む実施形態においては、各組を軸方向に整列させることができる。あるいは、各組を、素子の別の組に対してわずかに回転させてもよい。特定の実施形態においては、放射素子36の各組が、軸方向における約1cmの間隔にて配置される。以下により詳しく記述するように、複数の超音波放射素子を周方向に間隔をあけて配置することによって、好都合には、フローパターンにわたる制御度、およびこれらのフローパターンの均一性を高めることができる。
【0044】
さらに
図5Bを参照すると、エポキシハウジング48が、シリコーン50の外側層によって囲まれて示されている。示す実施形態においては、超音波放射素子36がエポキシハウジング48に入れられている。エポキシは、シリコーン50の外径と面一であってよい。エポキシハウジング48の軸方向の全長は、遠位領域12の全長よりも短くてもよい。複数組の超音波放射素子36を含む実施形態においては、素子の各組を、別々のエポキシハウジング48に閉じ込めることができる。一実施形態においては、エポキシハウジング48の軸方向の全長は、0.75〜0.2インチであってよい。他の実施形態においては、エポキシハウジング48の軸方向の全長は、0.1〜0.15インチ、0.11〜0.12インチまたは約0.115インチであってよい。
【0045】
図6Aおよび
図6Bは、超音波放射素子36を収容することができるエポキシハウジング48の2つの実施形態を示す。描写するハウジングは、エポキシから作られているが、任意の適切な材料を使用することができる。例えば、ハウジングを、ゴム、ポリウレタンまたは適切な柔軟性および剛性を持つ任意のポリマから製作することができる。エポキシを用いる実施形態においては、ハウジングを、ポリイミドのスリーブをエポキシで満たし、次いで硬化させることによって形成することができる。
【0046】
いくつかの実施形態においては、エポキシハウジング48を、化学接着剤の助けによってシリコーン層に埋め込むことができる。他の実施形態においては、ハウジング48が、シリコーンにおけるハウジングの安定性を向上させるための構造的設計をさらに含むことができる。例えば、
図6Aに示すハウジング48は、対をなすシリコーン層の構造に取り付けられたときにシリコーン層におけるハウジング48の安定性を向上させることができる切り欠き52を含む。そのような構造的設計を、化学接着剤と併せて使用でき、あるいは化学接着剤に関係なく使用することができる。
図6Bは、エポキシハウジング48の別の実施形態を示す。この実施形態においては、高くされた尾根54が、上面を、エポキシハウジング48を囲むシリコーン層と同一面に位置させることができるように設計されている。尾根54の存在は、対をなすシリコーン層の構造に配置されたときに、超音波カテーテルに対するハウジングの位置、したがって、超音波放射素子の位置を維持するうえで役立つことができる。
【0047】
図7A〜
図7Cは、前述の構成および実施形態と組み合わせて使用することができる変形版のコネクタ28を持つ超音波カテーテルを示す。カテーテル10が、可撓な管状体を含む。コネクタ28の遠位側に、管状体16の管腔に連絡した近位ポート24が位置している。示す実施形態においては、近位ポート24が、管状体16の管腔と同軸である。使用時、治療の箇所からの血液が、カテーテル10の遠位領域12に位置するドレイン穴20を通って管腔に進入することができる。次に、血液は、管腔を通って流れ、近位ポート24を通ってドレインキットへと出ることができる。いくつかの実施形態においては、治療の箇所の血液または他の液体について、管腔に沿って近位側へと進んで近位ポート24から出る移動を促進するために、カテーテル10の管腔に負圧が加えられる。他の実施形態においては、外部の圧力は加えられず、血液または他の液体が、外部の圧力によって補助されることなく、治療の箇所から近位ポート24へと流れることができる。特定の事例においては、治療の箇所が比較的高い圧力を有する。そのような場合には、治療の箇所の自然の圧力が、治療の箇所から管腔に沿って近位側へと進んで近位ポート24から出る血液または他の液体の流れを生じさせることができる。
【0048】
血液または他の液体を、所定の時間で排出でき、または治療の全体を通して連続的に排出することができる。さらに、頭蓋内の大出血を伴う治療では、流体を連続的に排出することによって、最適な超音波の増強のために、血栓を圧力のもとで超音波トランスデューサに向かって移動させることができる。他の病気の治療では、連続的な排出によって、治療の箇所から潜在的に毒性のまたは他の不要な流体を取り除くことができる。さらに、そのような排出を使用して、治療の箇所における圧力を減少することもできる。そのような圧力の減少は、脳などの極めて傷つきやすい領域において特に重要であり得る。さらに、治療薬は、反対方向にも進むことができる。そのような薬剤は、近位ポート24に進入し、管腔を遠位側へと通過し、ドレイン穴20を通ってカテーテル10から出ることができる。いくつかの実施形態においては、管腔を遠位方向へと通過してドレイン穴20から出る治療薬または他の液体の移動を促進するために、正の圧力が加えられる。他の実施形態においては、外部の圧力は加えられず、液体が管腔を通って自主的に流れることができる。治療薬を、所定の時間間隔においてボーラスの形態で送達でき、または治療の全体を通して連続的に送達することができる。近位ポート24を通過する出口経路を作るために、コネクタ28が、管状体16に対して斜めに向けられている。いくつかの実施形態においては、コネクタが、10〜90度の角度に位置する。他の実施形態においては、コネクタ28が、10〜60度、12〜45度、20〜30度、または約22.5度の角度に位置する。
【0049】
他の実施形態に関して前述したように、コネクタ28を、超音波放射素子への電気接続をもたらすように構成することができる。しかしながら、示す実施形態においては、コネクタ28が、管状体16に対して斜めに位置することができる。特定の実施形態においては、ワイヤを、コネクタ28の内側部分の接点にはんだ付けすることができる。次に、電気接点を、個々のワイヤへの電気接続をもたらすためにコネクタ28の外面に露出させることができる。この設計のおかげで、各々のワイヤ、したがって、各々の熱電対または素子を、個別に取り扱うことができる。代替的な実施形態においては、2本以上のワイヤをただ1つの接点へとはんだ付けし、単一の電気接続を生成することができる。他の実施形態においては、ワイヤが、カテーテル10内の他の地点に位置する電気接点に接触することができる。あるいは、ワイヤが、管状体16の壁を通過して外部の装置へと直接に接続することができる。
【0050】
カテーテル10を、遠位領域12が所望の治療の箇所に達するまで前進させることができる。例えば、カテーテル10を、標的組織に近接する治療の箇所の近位に達するまで、頭蓋腔を通って前進させることができる。次に、治療薬を、前述の経路によって治療の箇所へと送達することができる。例えば、凝血塊を溶解させるために、血栓溶解剤を治療の箇所へと送達することができる。他の事例では、アルキル化剤、代謝拮抗物質、ならびに抗腫瘍薬および/または抗生剤を、腫瘍に浸透させるために治療の箇所に送達することができる。他の事例では、治療の箇所における病変組織を治療するために、他のタイプの治療用化合物を使用し、その治療の箇所に送達することができる。特定の実施形態においては、前述のように、その後、超音波エネルギを治療の箇所に加えることができる。超音波エネルギが、単独または治療用化合物との組み合わせにおいて使用でき、標的領域への浸透を好都合に促進することができる。超音波エネルギを、連続的、周期的、散発的、または他のやり方で加えることができる。
【0051】
近位ポートを備える超音波カテーテルの変形版の実施形態を、
図8Aおよび
図8Bに示す。示す実施形態においては、近位ポート24が可撓な管状体16に位置し、管状体16の管腔に連絡している。この構成において、近位ポート24は、近位ポート24が管状体16と同軸である
図7A〜
図7Cに描写した構成と対照的に、管状体16の軸に対して垂直である。近位ポート24を管状体16の壁に配置することで、コネクタを管状体16に対して斜めに位置させる必要がなくなる。
【0052】
前述のように、治療薬を、近位ポート24を通り、管腔を通って遠位側へと流すことができ、遠位領域12のドレイン穴20を通ってカテーテル10から出すことができる。さらに、血液または他の液体が、反対方向に流れることができ、ドレイン穴20を通ってカテーテル内に進入し、管腔を通って近位側へと流れ、近位ポート24を通ってドレインキットまたは他の廃棄手段へとカテーテル10から出ることができる。さらに、プロセスの全体を通して、所望に応じて、超音波エネルギを周期的、連続的、散発的、または他のやり方で加えることができる。特定の実施形態においては、近位ポート24から管腔を通ってドレイン穴20を出る液体の移動、または反対の方向への液体の移動を促進するために、負または正の外部の圧力を加えることができる。他の実施形態においては、液体を、外部の圧力の助けを借りずに管腔を通って流すことができる。
【0053】
図9A〜
図9Fは、超音波カテーテルのワイヤの配置の別の構成を図示する。この構成を、前述の実施形態および構成において使用することができる。この構成においては、らせん溝の押し出し材56が、管状体16に構造的な支持をもたらしている。特定の実施形態においては、溝の押し出し材56を、成型または任意の他の方法で形成された類似の構造によって置き換えることができる。らせん溝の設計が、中実な構造と比べて改善された耐ねじれ性をもたらすことができる。らせん溝の押し出し材56を、種々のさまざまな材料で形成することができる。例えば、一構成においては、強度対重量比の比ゆえに、金属リボンまたは繊維性材料(合成および天然の両方)を使用することができる。特定の実施形態においては、ステンレス鋼またはタングステン合金を、らせん溝の押し出し材56を形成するために使用することができる。特定の実施形態においては、例えば、金、白金、パラジウム、ロジウムなど、より展性のある金属および合金を使用することができる。少量のタングステンを含む白金合金が、その放射線不透過性のゆえに好ましいかもしれない。スリーブ58が、らせん溝の押し出し材56を覆って滑るように配置される。スリーブ58の材料を、ポリ酢酸ビニルまたは任意の生体適合性のプラスチックもしくは金属合金など、ほぼあらゆる生体適合性材料で形成することができる。遠位押し出し材60が、超音波素子に加えて、ドレイン穴20も収容することができる。遠位押し出し材60を、らせん溝の押し出し材56に関して前述した材料などの材料で形成することができる。ワイヤ38が、遠位押し出し材60へと取り付けられ、熱電対または超音波放射素子へと接続される。遠位端62が、遠位押し出し材60の端部に取り付けられる。
【0054】
図9Cは、
図9Bの線
9C−9Cに沿って得た管状体16の断面図を示す。外径64は、約0.2インチであってよい。他の実施形態においては、外径64が、約0.213インチであってよい。内径66は、約0.1インチであってよい。他の実施形態においては、内径が、約0.106インチであってよい。明らかであるとおり、内径および外径の寸法は、例えば、頭蓋骨を通過するアクセス経路の直径、治療の箇所、送達される治療薬の量、および排出すべき血液の予想量にもとづき、意図される用途に応じて選択される。
【0055】
示す実施形態においては、遠位押し出し材60が、超音波放射素子を取り付けることができる窓68を含むことができる。他の実施形態においては、各々が対応する窓68を持つ複数の超音波放射素子を使用することができる。前述のとおり、超音波放射素子36の数、向きおよび関係は、幅広くさまざまであってよい。
【0056】
図9Eは、
図9Dの線
9E−9Eに沿って得た遠位押し出し材60の断面図を示す。示す実施形態においては、ドレイン穴20が、遠位押し出し材60の外面の縦長のすき間である。
図9Eに見て取ることができるとおり、遠位押し出し材60は、約90度の周方向における間隔で配置された4つのドレイン穴20を含む。他の実施形態においては、2つまたは3つの縦長のドレイン穴を使用することができる。典型的な実施形態においては、5つ以上の縦長のドレイン穴を使用することができる。
【0057】
図10A〜
図10Dは、超音波カテーテルの別の実施形態を示す。
図9A〜
図9Fと同様に、らせん溝の押し出し材56が、可撓な管状体16に構造的な支持をもたらしている。スリーブ58は、らせん押し出し材56全体に被さるような寸法とされる。示す実施形態においては、遠位押し出し材60が除かれている。代わりに、らせん押し出し材56が遠位端にドレイン穴20を含む。さらに、スリーブ58は、らせん溝の押し出し材56のドレイン穴20に整列するように設計された穴70も含む。いくつかの実施形態においては、らせん押し出し材56とスリーブ58とを接合させた後で、両方の層を通ってドレイン穴20を穿孔することができる。ワイヤ38が、超音波放射素子36へと接続される。示す実施形態においては、超音波放射素子36およびワイヤ38が、らせん押し出し材56とスリーブ58との間に位置するように配置される。前述のように、ワイヤを種々の他の構成にて配置することができる。特定の実施形態においては、ワイヤを、らせん溝の中に位置するように配置することができる。
【0058】
図10Cは、
図10Bの線
10C−10Cに沿って得た超音波カテーテルの近位領域の断面図を示す。可撓な管状体16の外径64は、約0.2インチであってよい。特定の実施形態においては、外径64が、約0.197インチであってよい。可撓な管状体16の内径66は、約0.01インチであってよい。特定の実施形態においては、内径66が、約0.098インチであってよい。前述のように、内径および外径の寸法は、意図される用途にもとづいてさまざまであってよい。
【0059】
図10Dに見て取ることができるとおり、特定の実施形態においては、らせん溝が、カテーテルの遠位領域12において真っ直ぐになってよい。この構成においては、真っ直ぐな領域により、ドレイン穴20を列の配置にて穿孔することが可能になる。さらに、超音波放射素子36およびワイヤ38を、溝の真っ直ぐな部内に位置するように配置することができる。
【0060】
図11A〜
図11Iは、同軸な超音波コアが別途の外ドレインへと導入される一実施形態による超音波カテーテルアセンブリを示す。
【0061】
図11A〜
図11Cは、ドレイン96の一実施形態を図示する。ドレイン96の遠位部98が、ドレイン穴100を含む。好ましい実施形態においては、ドレイン穴100が、遠位部98に沿って約3cmにわたって広がることができる。他の実施形態においては、ドレイン穴100が、所望に応じてより短い距離またはより長い距離にわたって広がることができる。ドレイン96は、細長い管状体102を備えており、距離マーカ104を含むことができる。距離マーカ104は、例えば、ドレインを囲む着色帯であってよい。他の実施形態においては、距離マーカ104が、切り欠き、溝、放射線不透過性の材料、または各領域の視覚化を可能にする任意の他の材料もしくは構造であってよい。距離マーカ104は、例えば、2cm毎、5cm毎、または他の距離毎など、規則的な間隔で位置することができる。他の実施形態においては、徐々に長くなる間隔、徐々に短くなる間隔、不規則、または任意の他の様相で位置することができる。いくつかの実施形態においては、各々のマーカ間の距離が、ドレインの外面に記載される。距離マーカ104の存在は、治療の箇所におけるドレインの注意深い配置を好都合に促進することができる。変形版の実施形態においては、縫合糸ウイングを、カテーテルの全長に沿って約6インチだけ配置することができる。医師がドレインの前進の距離を視覚的に観察できるようにすることで、制御および配置の精度を向上させることができる。
【0062】
ドレイン96は、ドレイン穴100からドレインの近位部108へと向かう液体の自由な流れを可能にする中央の管腔106を含む。さらに詳しく後述されるとおり、特定の実施形態においては、任意の数の治療用化合物を、管腔106を通ってドレイン穴100から出し、治療の箇所へと進入させることができる。管腔の直径は、約2.2mmであり、その外径は約4.4mmであってよい。他の実施形態においては、これらの直径が、所望に応じてさらに長くても、短くてもよい。当業者にとって明らかであるとおり、ドレイン96の内径および外径は、所望の治療の箇所、管腔を通過する流体の流量、ドレインを構成するために使用される材料、およびドレインを通されるように意図された超音波コアまたは任意の他の素子のサイズにもとづいて選択される。一構成においては、ドレインが、10mmHgの圧力で、毎時約20mlの流量にて動作することができる。
【0063】
図11Dおよび
図11Eは、超音波コア110の一実施形態を示す。超音波コア110が、細長いシャフト112およびハブ114を備える。超音波素子36が、細長いシャフト112と同軸に配置される。特定の実施形態においては、超音波コアが、1〜4個の超音波素子36を含む。他の実施形態においては、5つ以上の超音波素子36を含むことができる。細長いシャフト112は、ドレイン96に取り出し可能に受け入れられるように寸法付けられる。したがって、特定の実施形態においては、細長いシャフトの外径が、約0.8mmであり、細長いシャフトの全長は、約31cmである。
【0064】
ハブ114が、先細りのカラー116を介して細長いシャフト112に取り付けられている。近位流体ポート118が、ハブに連通している。治療薬などの流体を、近位流体ポート118を通って治療の領域へとコアを下って注入することができる。このやり方で流体を導入することで、前述のようにドレインを通って流体を導入する場合と比べ、治療薬のより小さなボーラスを使用することができる。あるいは、流体を、ドレイン96の管腔106へと取り付けられるTuohy−Borstアダプタを使用することによって、ドレイン96の管腔106へと注入することができる。ドレイン96の管腔106を通じての流体の注入は、必要となる注入圧力がより低くてよいかもしれないが、治療薬のより大きなボーラスが必要になる可能性がある。いずれの構成においても、治療薬は、最終的にはドレイン96の遠位領域98に位置するドレイン穴100から流出する。
【0065】
図11F〜
図11Iは、超音波コア110がドレイン96の管腔106に挿入されたカテーテルアセンブリ120を図示する。特定の実施形態においては、ドレイン96を治療の箇所へと前進させ、続いて、ドレインに超音波コア110を挿入することができる。例えば、ドレインを頭皮の下方へと通し、頭蓋内の穴を通って脳へと通すことができる。次に、超音波コア110を、ドレイン96へと挿入し、細長いシャフト112がドレイン96の遠位領域98に達するまで前進させることができる。
【0066】
挿入時に、超音波素子36をドレイン穴100の付近に位置させ、治療の箇所への超音波エネルギの印加を可能にすることができる。
図11Hおよび
図11Iに見て取ることができるとおり、超音波コア110の細長いシャフト112の遠位端は、1つ以上の超音波素子36を含むことができる。ドレイン96の遠位領域98へと進められるとき、超音波放射素子36が、ドレイン穴100を含む領域に位置すると考えられる。より詳しくは前述したとおり、治療の箇所への超音波エネルギの印加が、凝血塊の溶解または腫瘍もしくは他の標的組織への治療用化合物の浸透を助けることができる。
【0067】
ここで
図12Aおよび
図12Bを参照すると、代替的な実施形態においては、2つの別々の管腔、すなわち流体の排出用の管腔および流体の送入用の管腔を含むことができる。特定の実施形態において、連続的な流体の流れを可能にすることができる。例えば、薬物挿入ポートに正の圧力を加えると同時にドレインポートに真空を加えることで、有毒な血液成分の連続的な除去をもたらすことができる。あるいは、薬物に作用のための滞留時間を持たせることができるよう、流入および流出を、別個に間欠的に達成することができる。特定の実施形態においては、カテーテルの設計が、ドレイン穴を薬物挿入穴および入り口ポートから、間に超音波トランスデューサを位置させつつ空間的に隔てることができる。超音波放射が、流入から流出へと直接に進むことを、径方向において防止することができる。
【0068】
図12A〜
図12Cは、超音波素子およびコアワイヤの一実施形態を図示する。超音波コアワイヤ114が、固定穴116およびパッド118を備える。最終的な超音波コアまたは超音波カテーテルに組み込まれるとき、超音波コアワイヤ114を、シリコーンに埋め込むことができる。2つの固定穴116は、シリコーンが開口を通って流れ出ることで、素子をシリコーンへと保持する機械的な固定をもたらすことができる。固定穴は、必ずしも円形である必要はなく、機械的な固定を生み出すべくシリコーンの流れを通ることができる任意の形状であってよい。さらに、特定の実施形態においては、固定穴116は1つであってよい。他の実施形態においては、所望に応じて、2つ、3つ、または4つ以上の固定穴116を存在させることができる。超音波トランスデューサ120が、パッド118の両面に取り付けられる。次に、RFワイヤ122が、超波トランスデューサ120に連絡するように取り付けられる。ポリイミド殻124を、
図12Cに示すように、パッド118と超音波トランスデューサ120とRFワイヤ122とからなるアセンブリの周囲に形成することができる。ポリイミド殻は、超音波素子の正しい向きを助け、製造におけるエポキシの使用を最小限にするために、長円形であってよい。
【0069】
図13は、流体で満たされた部屋に浮遊した超音波素子を図示する。流体で満たされた部屋126は、周囲がポリイミド殻124によって境界付けられ、端部が栓128によって定められている。超音波コアワイヤ114およびRFワイヤ122が、一方の栓128を貫通し、流体で満たされた部屋126に進入する。流体を漏らさないシールが、部屋の流体の保持を保証するために、貫通の地点に設けられている。流体で満たされた部屋126の中に、超音波コアワイヤ114に取り付けられ、RFワイヤ122に連絡した超音波トランスデューサ120が位置している。この設計は、他の構成と比べていくつかの利点をもたらすことができる。例えば、超音波素子をエポキシに埋め込むと、埋め込み材料からの超音波素子の剥離を引き起こしかねないエポキシによる水の吸収につながる可能性がある。素子の剥離によって、超音波素子から周囲の組織へと超音波エネルギを伝える能力が低下する。超音波素子を流体で満たされた部屋に浮遊させることで、この問題を好都合に回避することができる。超音波素子によって発せられる超音波エネルギは、流体を容易に伝わり、剥離のリスクがない。さらに、超音波素子を流体で満たされた部屋に浮遊させることで、超音波コアに必要な構成要素の数を好都合に減らすことに加えて、おそらくは組み立て時間も短縮することができる。
【0070】
図14は、カテーテル10とともに使用することができるフィードバック制御システム72の一実施形態を概略的に図示する。フィードバック制御システム72は、各々の温度センサ76において温度を監視できるようにし、それに応じてエネルギ源78の出力を調節できるようにする。いくつかの実施形態においては、各々の超音波放射素子36に、超音波放射素子36の温度を監視し、フィードバック制御システム72によって各々の超音波放射素子36へともたらされる出力を制御できるようにする温度センサ76が組み合わされる。いくつかの実施形態においては、超音波放射素子36そのものが温度センサ76でもあり、フィードバック制御システム72へと温度のフィードバックをもたらすことができる。さらに、フィードバック制御システム72は、各々の圧力センサ80における圧力を監視できるようにし、それに応じてエネルギ源78の出力を調節できるようにする。医師は、所望に応じて、この閉または開ループシステムを覆すことができる。
【0071】
典型的な実施形態においては、フィードバック制御システム72が、エネルギ源78と、電源回路82と、超音波放射素子36およびポンプ86に接続された出力計算装置84とを含む。温度測定装置88が、管状体16に位置する温度センサ76に接続されている。圧力測定装置90が、圧力センサ80に接続されている。処理ユニット94が、出力計算装置84、電源回路82ならびにユーザインターフェースおよび表示装置92に接続されている。
【0072】
典型的な動作方法においては、各々の温度センサ76における温度が、温度測定装置88によって割り出される。処理ユニット94が、割り出された各々の温度を温度測定装置88から受信する。次に、割り出された温度を、ユーザインターフェースおよび表示装置92にてユーザへと表示することができる。
【0073】
典型的な実施形態においては、処理ユニット94が、温度制御信号を生成するための論理回路を含む。温度制御信号は、測定された温度と所望の温度との間の差に比例する。所望の温度を、ユーザによって(ユーザインターフェースおよび表示装置92において設定されるとおりに)決定でき、または処理ユニット94において前もって設定することができる。
【0074】
そのような実施形態において、温度制御信号が、電源回路82によって受信される。電源回路82は、エネルギ源78から超音波放射素子36へと供給される電気エネルギの出力レベル、電圧、位相および/または電流を調節するように構成される。例えば、温度制御信号が特定のレベルを上回る場合、その温度制御信号に応答して、超音波放射素子36の特定のグループに供給される電力が減らされる。同様に、温度制御信号が特定のレベルを下回る場合、その温度制御信号に応答して、超音波放射素子36の特定のグループに供給される電力が増やされる。各々の電力調節の後で、処理ユニット94は温度センサ76を監視し、新たな温度制御信号を生成し、これが電源回路82によって受信される。
【0075】
典型的な動作方法においては、各々の圧力センサ80における圧力が、圧力測定装置90によって割り出される。処理ユニット94が、割り出された各々の圧力を圧力測定装置90から受信する。次に、割り出された圧力を、ユーザインターフェースおよび表示装置92にてユーザへと表示することができる。
【0076】
典型的な実施形態においては、処理ユニット94が、圧力制御信号を生成するための論理回路を含む。圧力制御信号は、測定された圧力と所望の圧力との間の差に比例する。所望の圧力を、ユーザによって(ユーザインターフェースおよび表示装置92において設定されるとおりに)決定でき、または処理ユニット94において前もって設定することができる。
【0077】
前述のように、脳の物質または管腔を囲む他の組織などの固体の物質を管腔へと吸い込んでしまうリスクを減らすために、管腔に小さな負圧をもたらすことが一般的に望まれる。さらに、脳などの極めて傷つきやすい領域では頭蓋内圧を下げることが多くの場合に望ましいため、送入圧力とカテーテルの周囲の頭蓋内圧との圧力差によって引き起こされる剪断および歪みを受ける傷つきやすい組織のあらゆる損傷を防止するために、この圧力差を小さくして流体を送入することが多くの場合に望まれる。したがって、処理ユニット94を、圧力を監視し、頭蓋内圧が所定の限界を超えて高くなる場合に、治療の箇所への流体の送入を変更もしくは中断し、かつ/または流体の排出を増加させるように構成することができる。
【0078】
他の実施形態においては、圧力制御信号が、電源回路82によって受信される。電源回路82が、エネルギ源78からポンプ86へと供給される電気エネルギの出力レベル、電圧、位相および/または電流を調節するように構成される。例えば、圧力制御信号が特定のレベルを上回る場合、その圧力制御信号に応答して、特定のポンプ86に供給される電力が減らされる。同様に、圧力制御信号が特定のレベルを下回る場合、その圧力制御信号に応答して、特定のポンプ86に供給される電力が増やされる。各々の電力調節の後で、処理ユニット94は圧力センサ80を監視し、新たな圧力制御信号を生成し、これが電源回路82によって受信される。
【0079】
典型的な実施形態においては、処理ユニット94が、安全制御の論理回路を選択的に含んでもよい。安全制御の論理回路は、温度センサ76における温度および/または圧力センサ80における圧力が安全閾値を超えるときにこれを検出する。この場合に、処理ユニット94を、電源回路82によるその特定の超音波放射素子36のグループおよび/またはその特定のポンプ86へのエネルギ源78からのエネルギの供給を停止させる温度制御信号および/または圧力制御信号をもたらすように構成することができる。
【0080】
結果として、超音波放射素子36の各グループを、特定の実施形態においては同一に調節することができる。例えば、変形版の実施形態においては、超音波放射素子36の各グループへと供給される電力、電圧、位相および/または電流が、最高の温度を示す温度センサ76に応答して調節される。最高の温度を示す温度センサ76によって検出された温度に応答して電圧、位相および/または電流の調整を行うことで、治療の箇所の過熱を減らすことができる。
【0081】
さらに、処理ユニット94を、出力計算装置84から出力信号を受信するように構成することができる。出力信号を、超音波放射素子36の各グループおよび/またはポンプ86によって受け取られる出力を割り出すために使用することができる。次に、割り出された出力を、ユーザインターフェースおよび表示装置92にてユーザへと表示することができる。
【0082】
前述のように、フィードバック制御システム72を、エネルギ送入部18に隣接する組織を所望の温度未満に保つように構成することができる。例えば、特定の用途においては、治療の箇所の組織の温度上昇が、摂氏で約6度以下でなければならない。前述のように、超音波放射素子36を、超音波放射素子36の各グループが独立した出力を生じるように電気的に接続することができる。特定の実施形態においては、電源回路からの出力が、選択された時間にわたって超音波放射素子36の各グループについて選択されたエネルギを維持する。
【0083】
処理ユニット94は、ソフトウェアを有するコンピュータなど、デジタルまたはアナログコントローラを備えることができる。処理ユニット94がコンピュータである実施形態においては、コンピュータが、システムバスによって接続された中央演算処理装置(「CPU」)を含むことができる。そのような実施形態においては、ユーザインターフェースおよび表示装置92が、マウス、キーボード、ディスク駆動装置、表示モニタ、不揮発メモリシステム、および/または他のコンピュータ構成要素を含むことができる。典型的な実施形態においては、プログラムメモリおよび/またはデータメモリもバスに接続される。
【0084】
別の実施形態においては、前述の一連の出力の調節の代わりに、もたらされる所定の量の超音波エネルギがあらかじめ定められた推移となるように、超音波放射素子36の各グループへともたらされる電力の推移を、処理ユニット94に組み込むことができる。そのような実施形態においては、超音波放射素子36の各グループへともたらされる電力が、あらかじめ設定された推移に従って供給される。
【0085】
典型的な実施形態においては、超音波放射素子が、パルスモードで動作させられる。例えば、一実施形態においては、超音波放射素子へと供給される時間平均の電力が、約0.1ワット〜約2ワットである。別の実施形態においては、超音波放射素子へと供給される時間平均の電力が、約0.5ワット〜約1.5ワットである。さらに別の実施形態においては、超音波放射素子へと供給される時間平均の電力が、約0.6ワットまたは約1.2ワットである。典型的な実施形態においては、デューティサイクルが、約1%〜約50%である。別の実施形態においては、デューティサイクルが、約5%〜約25%である。さらに別の実施形態においては、デューティサイクルが、約7.5%または約15%である。典型的な実施形態においては、パルス平均電力が、約0.1ワット〜約20ワットである。別の実施形態においては、パルス平均電力が、約5ワット〜約20ワットである。さらに別の実施形態においては、パルス平均電力が、約8ワットまたは約16ワットである。各パルスにおける振幅は、一定でもあっても、変化してもよい。
【0086】
典型的な実施形態においては、パルス反復速度が、約5Hz〜約150Hzである。別の実施形態においては、パルス反復速度が、約10Hz〜約50Hzである。さらに別の実施形態においては、パルス反復速度が、約30Hzである。典型的な実施形態においては、パルス幅が、約1ミリ秒〜約50ミリ秒である。別の実施形態においては、パルス幅が、約1ミリ秒〜約25ミリ秒である。さらに別の実施形態においては、パルス幅が、約2.5ミリ秒または約5ミリ秒である。
【0087】
例えば、特定の一実施形態においては、超音波放射素子が、約0.6ワットの平均電力、約7.5%のデューティサイクル、約30Hzのパルス反復速度、約8ワットのパルス平均電力、および約2.5ミリ秒のパルス幅で動作させられる。
【0088】
典型的な実施形態においては、本明細書に記載の電気パラメータにて使用される超音波放射素子が、約50%よりも高い音響効率を有する。別の実施形態においては、本明細書に記載の電気パラメータにて使用される超音波放射素子が、約75%よりも高い音響効率を有する。本明細書に記載のとおり、超音波放射素子は、円柱形(中実または中空)、平坦、棒、三角形などといったさまざまな形状にて形成することができる。典型的な実施形態においては、超音波放射素子の全長は、約0.1cm〜約0.5cmであり、超音波放射素子の厚さまたは直径が、約0.02cm〜約0.2cmである。
【0089】
ここで
図15を参照すると、治療の手順の一実施形態において、超音波およびドレインカテーテルを挿入するために、患者を手術室に運び、全身麻酔を施すことができる。患者を、Medtronic EM Stealthナビゲーションシステムを用いたカテーテルの定位的な配置のためのCTパラメータにもとづき、電磁気(EM)ステルスを使用して記録することができる。しかしながら、前述のように、変形版の実施形態においては、他のナビゲーション技術およびツールを使用することができる。そのようなナビゲーションシステムを使用し、穿頭孔のための入り口点およびカテーテル先端のための出血内の標的位置を、選択することができる。穿頭孔または穿孔の位置を、標的組織と患者の頭蓋骨の穴との間の経路長を短くするように選択できることを、認識すべきである。さらに、場合によっては、脳の特定の部分を避ける角度から標的組織に近付くことが望ましいかもしれない。
【0090】
図示した実施形態においては、Stealth案内システム(または、他の案内システムもしくは技法)を、超音波カテーテル10の配置に対応すべく、穿頭孔を通って出血内の所望の位置へと12フレンチのピールアウェイイントロデューサを配置するため使用することができる。変更の構成においては、別のサイズおよび/または種類のイントロデューサを使用することができ、かつ/またはイントロデューサを使用せずに超音波カテーテルを挿入することができる。
【0091】
図15に示すように、カテーテル10は、ピールアウェイイントロデューサおよびニューロナビゲーションまたは他のナビゲーション技法によって確認された位置を有することができる。したがって、一実施形態においては、2つのカテーテルを皮膚の別の刺創を通って出し、患者に固定することができる。手術の終了時に、カテーテルの配置が容認できることを確認するために、ポータブルCTスキャンを行うことができる。一実施形態においては、超音波カテーテル10の遠位端が、おおむね出血の長手方向の中央(カテーテルの軸に沿って測定される)に長く配置される。前述のように、他の実施形態においては、超音波コアをカテーテルの管腔を通って設置することができる(例えば、
図1A〜
図1Fを参照)。他の実施形態においては、超音波カテーテルを、カテーテルと平行に配置することができる。
【0092】
超音波エネルギを、標的組織および/または標的組織の周囲への適切な薬物の分布を可能にするための充分な継続期間にわたってもたらすことができる。これは、超音波エネルギを間欠的または連続的に送達することによって達成できる。例えば、超音波エネルギを、薬物を標的組織に適切に分配すべく所定の期間にわたって送達し、その後、薬物が標的組織へと作用できるようにオフすることができる。あるいは、超音波エネルギを、薬物を標的組織に送達した後に、そのような組織への薬物の浸透を連続的に高めるように、薬物を標的組織へと連続的に再分配するために、実質的に連続的に送達することができる。さらに、加熱を減らすために超音波エネルギを間欠的にもたらすことができる。また、その全体が参照により本明細書に明確に組み入れられる、2008年1月8日に出願された米国特許出願第11/971,172号に記載されているように、超音波エネルギの送入を制御する電力パラメータを、超音波治療の効果を高めるために、無作為にし、または複雑な非線形アルゴリズムに従って変化させることができる。
【0093】
薬物の送達を、例えば、代謝性薬物の副産物を監視することによって制御することができる。例えば、溶解性化合物を用いた凝血塊の治療では、凝血塊から排出される流出物中のDダイマーなどの溶解生成物を監視することができる。流出物中のDダイマーの高い濃度および/または濃度の上昇が、凝血塊の溶解が適切に進行中であることを知らせることができ、したがって、薬物の送達を維持、低減または停止させることが可能である。流出物中のDダイマーの低い濃度または濃度の低下が、凝血塊の溶解が不適切もしくは遅くなっていることを知らせ、または凝血塊がほぼ溶解したことを知らせることができ、したがって、凝血塊がほとんど溶解されていない場合には薬物の送達を増やすことができ、溶解がほぼ完了した場合には薬物の送達を減少または停止させることができる。あるいは、より多くの薬物を送達すべきか否か、かつ治療が完了したか否かを判断するために、薬物の濃度を監視することができる。凝血塊の治療を伴ういくつかの実施形態においては、凝血塊の溶解が進むにつれ、溶解剤が溶解した凝血塊から解放され、結果として流出物中の溶解剤の濃度が上昇する。したがって、溶解剤の濃度の上昇を、溶解の完了に関連付けることができる。流出物中の溶解剤および/またはDダイマーの濃度を割り出す1つの方法は、凝血塊から排出される流出物の色を測定することである。流出物が赤いほど、流出物中の溶解剤および/またはDダイマーの濃度が高い。
【0094】
いくつかの実施形態においては、脳の細胞および組織の損傷の機能的回復および/または軽減に役立つ神経保護薬または剤も、前述の方法および装置を用いて脳および凝血塊に送達することができる。これらの神経保護薬または剤を、血栓溶解薬の送達の前、血栓溶解薬の送達と同時、または血栓溶解薬の送達の後に送達することができる。前述の方法および装置を用いたこれらの薬物の送達は、血液脳関門を通っての薬物の送達が超音波処理によって増進され、もしくは超音波が細胞への薬物の浸透を増進し、または薬物が音響力学的である場合に、特に有用である。
【0095】
超音波カテーテルの別の実施形態が、
図16A〜
図16Eに示される。
図2A〜
図2Dに関して前述した実施形態と同様に、カテーテルが、管状体16の壁に埋め込まれたワイヤ38を含む。ワイヤ38は、カテーテル10の遠位領域12内に位置する超音波放射素子36に接続され、これらの超音波放射素子36を制御することができる。ワイヤは、管状体16の近位端から延びている。特定の実施形態においては、ワイヤが、外部の装置との電気接続を容易にするために、近位端から6インチよりも長く延びている。ドレイン穴20が、カテーテル10の遠位領域12において、超音波放射素子36の近くに配置されている。他の実施形態においては、熱電対、圧力センサまたは他の素子を、遠位領域12にさらに配置することができる。遠位領域12を、前述のようにドレイン穴20を備えて設計されたシリコーンまたは他の適切な材料で構成することができる。超音波放射素子36を、シリコーンまたは他の材料に囲んで遠位領域12の壁に埋め込むことができる。種々の実施形態においては、少なくて1つ、多くて10個の超音波放射素子36を、装置の遠位領域12に埋め込むことができる。素子36を、治療の領域に等間隔に位置させることができる。他の実施形態においては、素子36を、それらの間の間隔が一様でないようにグループ化することができる。
図16B〜
図16Dに図示した典型的な実施形態においては、カテーテル10が、4つの超音波放射素子36を含む。この4素子の構成においては、素子を組として間隔を空けて配置でき、組は、同様の長手方向の位置に、しかしながら周方向において180度隔てて位置することができる。各組が、周方向に90度およびカテーテル10の全長に沿って長手方向の距離の両方によって互いからずらされる。当業者にとって明らかであるとおり、超音波放射素子について、種々の他の組み合わせが可能である。
【0096】
いくつかの実施形態においては、超音波放射素子を使用して、超音波放射素子の周囲の流体内に定常電流を生成できる。超音波放射素子がカテーテル上にまたはその内部に配置される実施形態においては、これにより、カテーテルを囲む流体を流れる電流を生成できる。カテーテルを囲む流体を流れる電流を生成することによって、流体内に導入された治療用化合物の流れを、病変組織などの標的領域に向かって好都合に導くことができる。これにより、好都合には、治療用化合物を作用させるべきそれらの領域のみをより直接に標的にすることによって、治療用化合物の効果を高めることができる。したがって、治療用化合物の用量を減少することによって、副作用を軽減できる。
【0097】
この開示の範囲を特定の動作理論に制限することなく、「音響流」として公知の流体内のこの定常電流を、超音波放射素子によって放出される音波によって作り出された音響振動を吸収することによって駆動できる。一連の動作にもとづいて、カテーテルの周囲の所望の方向に流体を流すことができる。
【0098】
図17A〜
図17Dは、身体の目標の箇所1701内に配置された超音波カテーテル1700内の超音波放射素子の活性化の見込まれるシークエンシングおよび同期化を図示する。この身体の目標の箇所は、これらに限られるわけではないが、腔(例えば、頭蓋腔、血管または外科的切開などの自ら作り出される腔)、または他の組織(例えば、腫瘍、脳組織など)内の箇所を含む。下記する方法および装置は、
図1A〜
図16Eを参照する前述の実施形態と組み合わせて使用することができる。特に、超音波放射素子のシークエンシングおよび同期化を、前述の実施形態に使用して治療用化合物の流れを導くことができる。典型的な実施形態においては、シークエンシングおよび同期化は、超音波カテーテルの実施形態(例えば、前述の実施形態)において、超音波放射素子を選択的に活性化させることができるように構成された論理回路を追加的に含むことができる(
図14に示すような)処理ユニット94によって実行できる。図示した実施形態においては、超音波カテーテル1700が、超音波放射素子1702、1704、1706、1708、1710および1712、ならびに通路1714、1718、1722および1726を含む。通路1714、1718、1722および1726が、それぞれ、管腔1716、1720、1724および1728に連通し、各々の管腔が、カテーテルの近位端における個々のポートに連通する。超音波放射素子1702、1704、1706、1708、1710および1712は、別個の超音波放射ユニットでもよいし、単一の超音波放射ユニットの個々の部分でもよい。通路1714、1718、1722および1726のいくつかまたはすべては、治療用化合物を、装置の近位端におけるポートに進入させ、かつこれらの穴を通してそこから出すように構成することができる。そのような治療用化合物を使用して、血管閉塞、凝血塊、癌および任意の他のタイプの病気または疾患などの、身体のあらゆる部分の病気または疾患を治療できる。あるいは、通路1714、1718、1722および1726のいくつかまたはすべては、流体を注入位置から除去し、対応する管腔を通して、カテーテルの近位端におけるポートから出すように構成することができる。そのようなものとして、いくつかの通路1714、1718、1722および1726を、標的位置に治療用化合物を送達するのに使用し、一方で、他の通路を、標的位置から流体を除去するのに使用することができる。他の実施形態においては、より少ないまたはより多い数の放射素子および/またはドレイン穴を使用することができる(例えば、
図1A〜
図16Eに関して前述した実施形態を参照)。さらに、他の実施形態においては、放射素子1702、1704、1706、1708、1710および1712を、超音波カテーテル1700の中心付近にまたは中心に配置することができる。いくつかの実施形態においては、通路は、共通の管腔に接続してもよいし、単一の管腔に接続してもよい。
【0099】
一実施形態においては、超音波放射素子1702、1704、1706、1708、1710および1712は、個々の素子の活性化によって生成される圧力波のパターンが標的領域を通過する流れを作り出すように、順々に活性化される。例えば、
図17Bに示すような一実施形態においては、第一の組の超音波放射素子1702および1704を、第一の時点に第一の間隔において活性化し、第一の圧力波1730bを生成する。この圧力波は、流体を矢印1732bおよび1734bに示す方向に流す。素子1702および1704の左側の流体は、矢印1732bの方向に移動し、その一方で、素子1702の右側の流体は、矢印1734bの方向に移動する。その後、
図17Cに示すように、第二の組の超音波放射素子1706および1708を、第二の時点に第二の間隔において活性化し、第二の圧力波1730cを生成する。この圧力波は、流体を矢印1732cおよび1734cの方向に流す。最後に、
図17Dに示すように、第三の組の超音波放射素子1710および1712を、第三の時点に第三の間隔において活性化し、第三の圧力波1730dを生成する。この圧力波は、流体を矢印1732dおよび1734dの方向に流す。素子を充分な間隔で活性化する限り、治療用化合物を含む流体は、それに続く素子の組の遠位側に流れることができる。したがって、それに続く素子の組を活性化することによって、治療用化合物を含む流体は、それに次ぐ組の素子のさらに遠位側に流れる。
【0100】
間隔および時点間の遅延の長さは、所望の流量および流体の特性にもとづいて設定できることが当業者に明らかになるはずである。したがって、いくつかの実施形態においては、間隔は、それに続く超音波放射素子の組との活性化同士が重ならないように設定される。他の実施形態においては、間隔は、少なくとも一時点において2つの組が同時に活性化されるように、それに続く超音波放射素子の組との活性化同士が一部で重なるように設定される。このシーケンスにおいて超音波放射素子を活性化することによって、圧力波が、流体を第一の組の超音波放射素子1702および1704の位置から超音波カテーテル1700の遠位端に流す。この流路は、治療用化合物を含む流体が所望の流路に反して移動(すなわち、逆流)する可能性を減少できるかもしれない。それによって、より充分な量の治療用化合物を標的領域に送達し、治療のために標的とされない領域に入る治療用化合物の量を減少する。超音波カテーテル1700の周囲の超音波放射素子の数を増大することによって、逆流に対するより好都合な予防手段を恐らく与えることができることが当業者に認識されるはずである。
【0101】
別の実施形態においては、超音波放射素子1702、1704、1706、1708、1710および1712の活性化を異ならせて、超音波カテーテルの周囲のフローパターンを変化させることができる。例えば、超音波放射素子を、以下の順序、すなわち、1702、1706、1710、1712、1708および1704の順で順々に活性化することによって、超音波カテーテル1700の上面に沿う流体が近位端から遠位端への方向に流れ、その一方で、超音波カテーテル1700の底面に沿う流体が遠位端から近位端への方向に流れる流路を作り出すことができる。そのようなフローパターンは、例えば、上面通路1714および1722が治療用化合物を標的領域に送達するように構成され、底面通路1718および1726が標的領域から毒性産物などの流体を除去するように構成されるときに、好都合であり得る。上面通路1714および1722にわたる流体の流れによって、治療用化合物を、上面通路1714および1722を通過させて、そこから出すことができる。超音波カテーテル1700の周囲の流れ特性を変えることができる他の活性化シーケンスも企図される。そのようなものとして、上面通路1714および1722において使用される正の圧力の量を、好都合には、標的領域になおも完全に送達しつつ、減少し、底面通路1718および1726において使用される負の圧力の量も、好都合には、同じ量の流体をなおも除去しつつ、減少できる。これにより、正の圧力または負の圧力によって引き起こされる超音波カテーテル1700の近位の組織が受ける損傷の可能性を軽減できる。
【0102】
さらに別の実施形態においては、超音波放射素子1702、1704、1706、1708、1710および1712の活性化を、通路1714、1718、1722および1726を通過する治療用化合物の送達と同期できる。一実施形態においては、別々の管腔1716、1720、1724および1728に結合するポンプがない。むしろ、超音波放射素子の活性化を、治療用化合物が管腔を通過して、その後、対応する通路から出ることができるフローパターンを生成するように使用できる。別の実施形態においては、ポンプが別々の管腔に結合し、これを使用して治療用化合物を通路から外に出す。超音波放射素子の活性化を、種々の通路を通って送達される治療用化合物を種々の標的位置に送達するように、ポンプの作動と同期できる。限定されない一実施形態においては、ポンプが、第一の治療用化合物を通路1714から外に出し、その後、超音波放射素子1702を活性化できる。順々に、素子1706、続いて素子1710を活性化して、第一の治療用化合物を素子1710の遠位側の位置に送達できる。この実施形態においては、ポンプが、第二の治療用化合物を通路1722から外に出すこともできる。この実施形態においては、第二の治療用化合物を、第一の治療用化合物の送達位置に近位側の位置に送達するように、素子1706のみを活性化する。当業者に明らかであるはずのように、超音波カテーテルの全長に沿ってより多い数の放射素子を使用することによって、治療用化合物の最終位置のより優れた制御をもたらすことができる。
【0103】
さまざまな装置および技術を、超音波エネルギの伝送を制御するために、本明細書に記載のような超音波放射素子とともに使用することができる。そのような装置および技術を使用して、例えば、特定の方向における超音波エネルギの効率を減少することができる。さらに、そのような装置および技術を使用して、超音波の出力を所望の方向に合わせることができる。
【0104】
図18A〜
図18Cは、前述の実施形態とともに使用する場合に、腔1830に向かう方向に伝送される超音波エネルギの一部を減少し、一方で、腔1830から離れる方向に伝送される超音波エネルギの一部を増大できる、腔1830を有する超音波アセンブリ1810の実施形態を図示する。この実施形態は、所望の領域においてこれらの部分から生成される超音波エネルギを送達する効率を増大できる。この実施形態は、さらに、流体をカテーテルの管腔内を流すように、カテーテル内に含まれる流体にかかる超音波エネルギの流動効果を減少できる。本明細書に記載のような腔1830を、本明細書に記載のような任意の超音波カテーテルおよびアセンブリに使用できることが理解されるはずである。
【0105】
超音波アセンブリ1810は、管腔1813および外面1814を有する細長い本体1812を含むことができる。複数のスペーサ1816を、細長い本体1812の外面1814にわたって配置し、部材1818を、スペーサ1816の少なくとも一部にわたって配置することができる。超音波アセンブリ1810は、さらに、第一の端部1826と第二の端部1828との間に、外側部1822および内側部1824を持つ超音波トランスデューサ1820を含むことができる。いくつかの実施形態においては、超音波トランスデューサ1820は、部材1818にわたって配置され、部材1818を囲むことができる。いくつかの実施形態においては、超音波トランスデューサ1820は、部材1818を部分的にのみ囲んでもよい。部材1818に用いる適切な材料は、これらに限られるわけではないが、ポリイミド、ポリエステルおよびナイロンを含む。適切な超音波トランスデューサ1820は、これらに限定されないが、PZT−4D、PZT−4、PZT−8および種々の圧電セラミックを含む。
【0106】
超音波トランスデューサ1820の内側部1824と、スペーサ1816と、部材1818とが、各々、超音波トランスデューサ1820の内側部1824と細長い本体1812の外面1814との間の部屋1830の一部を画定する。部屋1830は、好ましくは、約0.25μm〜約10μm、より好ましくは、約0.50μm〜約5μm、最も好ましくは、約1μm〜約1.5μmの高さを有することができる。部屋1830は、好ましくは、約12μm〜約2500μm、より好ましくは、約25μm〜約250μm、最も好ましくは、約25μm〜約125μmの幅を有することができる。当然ながら、他の高さおよび幅の部屋1830も使用することができる。部材1818は、超音波トランスデューサ1820の第一の端部1826および/または第二の端部1828を超えて延びることができる。さらに、スペーサ1816は、超音波トランスデューサ1820の端部を超えて位置することができる。結果として、部屋1830は、超音波トランスデューサ1820の長手方向の全長に沿って延びることによって、部屋1830に隣接する超音波トランスデューサ1820の部分を増大できる。
【0107】
部屋1830は、低音響インピーダンス媒体を含むことができる。部屋内の低音響インピーダンス材料は、部屋1830を通って伝送される超音波エネルギの一部を減少できる。適切な低音響インピーダンス媒体は、これらに限られるわけではないが、ヘリウム、アルゴン、空気および窒素などの流体ならびに/またはシリコーンおよびゴムなどの固体が挙げられる。部屋1830は、真空であってよい。真空部屋1830における適切な圧力は、これに限定されないが、負圧〜−760mmHgを含む。通常、低音響インピーダンス媒体の音響インピーダンスは、約1.7メガレイル未満、好ましくは、約0メガレイル〜約0.7メガレイル、より好ましくは、約0メガレイル〜約0.4メガレイルである。当然ながら、これらの範囲外の音響インピーダンスを有する音響インピーダンス媒体も使用することができる。部屋1830を作り出す他の方法が、その内部に部屋1830が形成されたモノリシックカテーテルの製造を含むように企図されることが理解されるはずである。そのような腔に加えて、カテーテルおよび超音波アセンブリも含む追加の実施形態が、参照により本明細書に明確に組み入れられる、2004年1月13日に公開された米国特許出願第6,676,626号に見ることができる。
【0108】
部屋1830を通過する超音波エネルギの伝送を減少するために、低音響インピーダンス媒体を満たすことができる部屋1830を示すが、部屋1830を具体的な材料で満たさなくてもよいことが理解されるはずである。さらに、その各端部にスペーサ1816を有するものとして部屋1830を記述したが、スペーサ1816を各端部に結合しなくてもよい。例えば、細長い身体1812が部材1818に直接に結合するように、細長い本体1812と部材1818との間に部屋1830を形成することができる。
【0109】
超音波エネルギの伝送は、超音波カテーテルの個々の構成要素の間の微小なすき間を含む他の種類のすき間に導き入れて作用させることができる。例えば、いくつかの実施形態においては、超音波カテーテルの構成要素の1つ以上の材料層を剥離することによって、1つ以上のすき間を作り出すことができる。いくつかの実施形態においては、これらの層の剥離後、すき間を任意の材料で満たさない。他の実施形態においては、剥離後にすき間を追加の材料で満たすことができる。そのような剥離によって、部屋1830に関して前述したものよりも高さが低い1つ以上のすき間を得ることができる。
【0110】
すき間は、部屋1830と同様に機能し、そのようなすき間を有する超音波カテーテルの一部を通る超音波の伝送を非効率的にすることができる。いくつかの実施形態においては、すき間を、超音波放射素子と超音波カテーテルの中央部との間において、超音波カテーテルの一部に形成することができる。したがって、超音波カテーテルの内部に向かい伝送される超音波エネルギの量を減らし、超音波カテーテルの内部から離れる方に伝送される超音波エネルギの量を増やすことができる。当然ながら、超音波エネルギの特性を変えて、このエネルギの方向性を高めるために、他の構成の1つ以上のすき間も選択できる。これは特に、より正確に標的に合わせられる超音波カテーテルおよび/またはより効率的な装置を生成するのに有用となり得る。
【0111】
前述の詳細な説明に本発明の装置および方法のいくつかの典型的な実施形態を説明したが、前の説明が単なる例示であり、開示した発明を限定するものではないことが理解されるはずである。開示した具体的な寸法および構成が前述のものとは異なってもよく、記述した方法を、体内の任意の生物学的導管内で使用できることが認識されるであろう。
【0112】
実施形態の列挙
1.標的位置に送達される薬物の効果を増大する方法であって、
1つ以上の超音波放射素子、および1つ以上の治療用化合物を、それ自体を通過させ、かつそこから出すように構成される1つ以上のドレイン穴を有する超音波カテーテルを提供するステップと、
治療用化合物を標的位置においてドレイン穴から出すステップと、
1つ以上の超音波放射素子を活性化するステップと、を含み、
1つ以上の超音波放射素子の活性化が、治療用化合物の効果を増大するように構成される、方法。
2.超音波放射素子が、標的領域における浸透性を増大するように構成される、実施形態1の方法。
3.1つ以上の超音波放射素子を活性化するステップが、流体を所望の方向に流すように構成された1つ以上の超音波放射素子を順々に活性化することを追加的に含む、実施形態1の方法。
4.流体が標的領域に向かって流れる、実施形態3の方法。
5.流体が標的領域から離れる方に流れる、実施形態3の方法。
6.超音波カテーテルが1つ以上のドレイン穴に連通する1つ以上のポンプをさらに備えており、1つ以上の超音波放射素子を活性化するステップが、1つ以上の超音波放射素子の活性化を1つ以上のポンプと同期させることを追加的に含む、実施形態4の方法。
7.1つ以上の超音波放射素子の活性化の同期が、薬物を種々の標的領域に輸送するように構成される、実施形態6の方法。
8.1つ以上の超音波放射素子の活性化の同期が、1つ以上の治療用化合物を、1つ以上のドレイン穴を通過させ、かつそこから出すように少なくとも部分的に構成される、実施形態6の方法。
9.1つ以上の超音波放射素子の活性化の同期が、1つ以上の治療用化合物を、1つ以上のドレイン穴を通過させ、かつそこから出すように少なくとも部分的に構成される、実施形態3の方法。