(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
画像を表示する透光性の画像表示部と、前記画像表示部に対して背面側、または前面側から光を照射する光源と、前記画像表示部の前面に配置され、開口を有する遮光性のカバーと、を有し、車両における搭乗者の前方に配置された反射部に対して画像を投影する投影装置を備え、
前記投影装置を前面側から見た場合に、前記開口の形状は、前記画像表示部における画像表示領域の形状と相似した形状であり、かつ前記開口は、前記画像表示領域の外縁から離間して前記画像表示領域を囲んでおり、
更に、前記投影装置を制御し、前記画像表示領域を予め定められた複数の領域の何れかに設定する制御部を備え、
前記開口の形状は、前記複数の領域を包括する包括領域の形状と相似している
ことを特徴とする車両用表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る車両用表示装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から
図10を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、車両用表示装置に関する。
図1は、実施形態に係る車両用表示装置の概略構成を示す斜視図、
図2は、実施形態に係る表示装置および光源の斜視図、
図3は、実施形態に係る車両用表示装置のブロック図、
図4は、実施形態に係る表示装置の正面図、
図5は、実施形態に係る複数の領域の一例を示す正面図、
図6は、実施形態において搭乗者に視認される画像を示す図、
図7は、比較例に係る表示装置の正面図、
図8は、比較例において搭乗者に視認される画像を示す図、
図9は、開口の形状の決め方を説明する図、
図10は、包括領域の決め方を説明する図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用表示装置1は、投影装置30を有する。投影装置30は、表示装置10、光源20、およびミラー2を有する。表示装置10は、
図2に示すように、筐体11、画像表示部12、およびカバー13を有する。筐体11およびカバー13は、遮光性の部材であり、例えば、金属によって形成されている。筐体11は、断面形状が矩形の筒状の部材である。
【0012】
画像表示部12は、画像を生成して表示する。画像表示部12は、例えば、TFT−LCD(Thin Film Transistor−Liquid Crystal Display)等の液晶表示装置である。画像表示部12は、透光性を有しており、光源20からの光によって画像を投射する。平面視における画像表示部12の形状は、例えば、矩形である。画像表示部12は、表示可能領域12aを有する。表示可能領域12aは、画像表示部12において画像を表示することが可能な領域である。表示可能領域12aの形状は、例えば、矩形である。表示可能領域12aは、例えば、画像表示部12の略全面である。画像表示部12は、表示可能領域12aの任意の領域に任意の画像を表示することができる。
【0013】
図2に示すように、画像表示部12は、筐体11における一方の開口部11aに配置される。以下の説明では、筐体11の軸方向において画像表示部12が配置された側を「前面側」と称し、前面側と反対側を「背面側」と称する。カバー13は、画像表示部12を前面側から覆い、開口部11aを閉塞する。
【0014】
光源20は、画像表示部12に対して背面側から光を照射する。本実施形態の光源20は、表示装置10の筐体11に対して背面側に接続されている。光源20は、筐体21と、筐体21の内部に配置された複数の発光体とを有する。発光体は、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子である。複数の発光体は、例えば、画像縦方向および画像横方向に沿って配列されている。複数の発光体は、画像表示部12に対して背面側から光を照射する。発光体から照射された光により、画像表示部12に表示された画像が前面側に向けて投射される。なお、光源20は、画像表示部12に対して前面側から光を照射するように構成されてもよい。この場合、光源20は、例えば、画像表示部12に対して前面側から光を照射できるように、筐体11の内部に配置される。光源20は、画像表示部12に対して前面側および背面側の両側から光を照射してもよい。
【0015】
図3に示すように、車両用表示装置1は、制御部60を有する。制御部60は、画像表示部12および光源20を制御する。制御部60は、画像表示部12における画像表示領域12bを設定する。画像表示領域12bは、
図4に示すように、表示可能領域12aの一部の領域である。本実施形態の画像表示領域12bは、第一の辺12c、第二の辺12d、第三の辺12e、および第四の辺12fによって囲まれる。第一の辺12cおよび第二の辺12dは、画像横方向に沿った辺である。第三の辺12eおよび第四の辺12fは、画像縦方向に沿った辺である。
【0016】
本実施形態の車両用表示装置1は、画像表示領域12bの候補として、予め定められた複数の領域を記憶している。
図5には、複数の領域の一例が示されている。
図5には、第一領域121、第二領域122、および第三領域123が示されている。第一領域121、第二領域122、および第三領域123は、車両上下方向における異なる視点位置に対応している。
【0017】
第一領域121は、視点位置が第一の高さ位置である場合に搭乗者200から見た画像の形状が所望の形状となるように定められている。第一領域121の形状は、例えば、第一領域121の全域から表示光を照射させた場合に、その表示光による画像の形状が第一の高さ位置から見て矩形となるように定められる。第二領域122は、視点位置が第二の高さ位置である場合に搭乗者200から見た画像の形状が所望の形状となるように定められている。同様に、第三領域123は、視点位置が第三の高さ位置である場合に搭乗者200から見た画像の形状が所望の形状となるように定められている。
【0018】
各領域121,122,123の形状は、例えば、ウインドシールドWSの表面形状に基づいて設計される。本実施形態のウインドシールドWSの形状は、湾曲形状である。各領域の形状は、ウインドシールドWSにおける画像が反射される部分の表面形状に基づき、当該表面形状によって発生する画像の歪みを補正するように定められる。言い換えると、各領域121,122,123の形状は、搭乗者200によって視認される画像の形状が所望の形状となるように、所望の形状に対して歪んだ形状となっている。
【0019】
第二の高さ位置は、例えば、想定される最も高い視点位置と、最も低い視点位置との中間位置であってもよい。第一の高さ位置は、想定される最も高い視点位置および最も低い視点位置の一方であってもよい。第三の高さ位置は、想定される最も高い視点位置および最も低い視点位置の他方であってもよい。
【0020】
制御部60は、複数の領域121,122,123の何れかを画像表示領域12bとして設定する。本実施形態に係る車両用表示装置1は、
図3に示すように、視点位置検出部5を有する。視点位置検出部5は、搭乗者200の視点位置を検出する。検出対象の搭乗者200は、典型的には運転者である。視点位置検出部5は、例えば、搭乗者200の顔を前方から撮像するカメラを有する。視点位置検出部5は、搭乗者200の顔を撮像した画像データに基づいて、搭乗者200の視点位置や視線方向を検出する。視点位置検出部5は、検出された視点位置の情報を制御部60に送る。
【0021】
制御部60は、取得した視点位置に基づいて、複数の領域121,122,123の何れかを画像表示領域12bとして設定する。例えば、検出された視点位置が第一の高さ位置、第二の高さ位置、および第三の高さ位置のうち第一の高さ位置に最も近い場合、第一領域121が画像表示領域12bとして設定される。制御部60は、設定した画像表示領域12bに画像を表示させるように画像表示部12を制御する。この場合、制御部60は、画像表示領域12bの外側に位置する画素が光源20の光を通過させないように画像表示部12を制御する。
【0022】
図2および
図4に示すように、本実施形態のカバー13は、開口14を有する。開口14は、カバー13における画像表示部12と対向する位置に設けられている。開口14の形状は、画像表示領域12bの形状と相似した形状である。より詳しく説明すると、
図4に示すように、本実施形態の画像表示領域12bは、画像横方向に沿って第四の辺12fへ近づくに従って画像縦方向の上側へ向かうように湾曲している。開口14の形状は、画像表示領域12bの湾曲形状と対応した湾曲形状である。開口14は、画像横方向に沿って第四の辺14fへ近づくに従って画像縦方向の上側へ向かうように湾曲している。
【0023】
また、開口14は、画像表示領域12bの外縁から離間して画像表示領域12bを囲む。画像表示領域12bの外縁は、第一の辺12c、第二の辺12d、第三の辺12e、および第四の辺12fである。開口14は、第一の辺14c、第二の辺14d、第三の辺14e、および第四の辺14fを有する。第一の辺14c、第二の辺14d、第三の辺14e、および第四の辺14fは、それぞれ第一の辺12c、第二の辺12d、第三の辺12e、および第四の辺12fと対応する。
【0024】
図4に示すように、投影装置30を前面側から見た場合に、開口14の第一の辺14cの形状は、画像表示領域12bの第一の辺12cの形状と相似している。また、第一の辺14cは、第一の辺12cに対して画像縦方向において離間している。
【0025】
同様に、第二の辺14d、第三の辺14e、および第四の辺14fの形状は、それぞれ第二の辺12d、第三の辺12e、および第四の辺12fの形状と相似している。また、第二の辺14dは、第二の辺12dに対して画像縦方向において離間している。第三の辺14eおよび第四の辺14fは、第三の辺12eおよび第四の辺12fに対して画像横方向において離間している。
【0026】
本実施形態に係る車両用表示装置1は、このように開口14の形状が画像表示領域12bの形状と相似した形状であることから、以下に説明するように、搭乗者200に対して煩わしさや違和感を与えにくい。
図6には、本実施形態の車両用表示装置1によって搭乗者200に視認させることができる画像40が示されている。
図7には、比較例に係る表示装置100が示されている。
図8には、比較例の表示装置100に対応する画像50が示されている。
図7に示すように、比較例の表示装置100では、開口14の形状が矩形である。
【0027】
図6に示すように、本実施形態の車両用表示装置1によって投影された表示光は、搭乗者200によって画像40として視認される。画像表示領域12bの全域が表示光を投射した場合、画像40の形状は、矩形または実質的に矩形の形状である。画像40の周囲には、漏れ光41が存在する。漏れ光41は、画像表示領域12bの範囲外から漏れた光である。画像表示部12では、画像を表示させていない部分であっても、光源20の光がわずかに前面側に漏れる。この漏れた光により、画像40の周囲に漏れ光41がうっすらと見える。夜間等の背景が暗いときには、漏れ光41が目立ちやすい。
【0028】
漏れ光41の外縁の形状は、開口14の形状に応じて決まる。ここで、本実施形態では、開口14の形状が画像表示領域12bの形状と相似である。従って、
図6に示すように、画像40の外縁の形状と、漏れ光41の外縁の形状とが相似となる。よって、搭乗者200が漏れ光41に対して煩わしさを感じたり違和感を覚えたりすることが抑制される。
【0029】
一方、比較例に係る表示装置100では、
図7に示すように開口14の形状が画像表示領域12bの形状と非相似である。すなわち、画像表示領域12bの形状が湾曲した形状であるのに対して、開口14の形状が矩形である。その結果、
図8に示すように、搭乗者200が視認する画像50の形状に対して漏れ光51の形状が歪んだ形状となる。漏れ光51の形状が歪んでいることや、漏れ光51の幅が不均等であることにより、搭乗者200が漏れ光51に対して煩わしさを感じたり違和感を覚えたりする。
【0030】
上記のように、本実施形態の車両用表示装置1は、漏れ光41に起因する煩わしさを抑制することができる。また、本実施形態の車両用表示装置1では、開口14が画像表示領域12bの外縁から離間しているため、画像の視認性を向上させることができる。例えば、組み付け公差により、画像縦方向や画像横方向に沿って開口14に対して画像表示部12の位置ずれが発生することがある。本実施形態の車両用表示装置1は、このような位置ずれが発生したとしても、カバー13が画像表示領域12bを覆い隠してしまうことが抑制される。また、搭乗者200の視点位置が車両上下方向や車幅方向に沿って変化したとしても、カバー13が画像表示領域12bを覆い隠してしまうことが抑制される。よって、本実施形態の車両用表示装置1は、画像の視認性を向上させることができる。
【0031】
ここで、開口14の形状を決定する方法の一例について説明する。
図9は、開口14の形状の決定方法を説明する図である。本実施形態では、
図9に示す包括領域124に基づいて開口14の形状が決定される。包括領域124は、第一領域121、第二領域122、および第三領域123を包括する領域である。開口14の形状は、包括領域124の形状と相似な形状である。包括領域124は、第一の辺124c、第二の辺124d、第三の辺124e、および第四の辺124fを有する。四つの辺124c,124d,124e,124fは、画像表示領域12bの四つの辺12c,12d,12e,12fと対応する辺である。
【0032】
図10を参照して、包括領域124の第一の辺124cの決め方について説明する。第一の辺124cは、第一領域121の第一の辺121c、第二領域122の第一の辺122c、および第三領域123の第一の辺123cに基づいて決められる。第一領域121の第一の辺121cは、二つの端点121g,121hおよび中点121kを有する。第二領域122の第一の辺122cは、二つの端点122g,122hおよび中点122kを有する。第三領域123の第一の辺123cは、二つの端点123g,123hおよび中点123kを有する。
【0033】
本実施形態では、上記の三つの端点121g,122g,123gから、包括領域124の第一の辺124cを決定するための第一の点が選択される。第一の点として、三つの端点121g,122g,123gのうち、画像縦方向の最も上側、言い換えると画像表示部12の最も外側に位置する端点122gが選択される。同様に、第一の辺124cを決定するための第二の点として、三つの端点121h,122h,123hのうち、画像縦方向の最も上側、言い換えると画像表示部12の最も外側に位置する端点121hが選択される。第一の辺124cを決定するための第三の点として、三つの中点121k,122k,123kのうち、画像縦方向の最も上側、言い換えると画像表示部12の最も外側に位置する中点121kが選択される。
【0034】
第一の辺124cは、選択された第一の点122g、第二の点121h、および第三の点121kにより決定される。本実施形態では、三つの点122g,121h,121kを通る円弧が第一の辺124cとして設定される。設定された第一の辺124cは、三本の第一の辺121c,122c,123cの最外点を結んだ線と実質的に等しい。同様の方法により、包括領域124を囲む他の三つの辺124d,124e,124fが決定される。つまり、本実施形態の包括領域124は、四つの円弧によって囲まれた領域である。このようにして決定された包括領域124は、第一領域121、第二領域122、および第三領域123を実質的に内包している。また、包括領域124の四つの辺124c,124d,124e,124fは、第一領域121、第二領域122、および第三領域123の最外点を結んだ線となっている。
【0035】
開口14の形状は、包括領域124の形状と相似な形状である。開口14の形状は、例えば、包括領域124を画像縦方向および画像横方向に向けて均等に拡大した形状とされる。開口14は、例えば、包括領域124の第一の辺124cと開口14の第一の辺14cとの間隔G1が均一または実質的に均一となるように定められる。包括領域124の第二の辺124dと開口14の第二の辺14dとの間隔G2が均一または実質的に均一とされてもよい。包括領域124の第三の辺124eと開口14の第三の辺14eとの間隔G3が均一または実質的に均一とされてもよい。包括領域124の第四の辺124fと開口14の第四の辺14fとの間隔G4が均一または実質的に均一とされてもよい。四つの間隔G1,G2,G3,G4が同じ値とされてもよい。
【0036】
開口14の形状が包括領域124の外縁の形状と相似であることにより、第一領域121、第二領域122、および第三領域123の何れの領域が画像表示領域12bとして設定された場合にも、漏れ光41の幅が一定の幅以上となる。よって、画像表示領域12bが切り替えられた場合に、漏れ光41の形状の変化に搭乗者200が気づきにくい。その結果、搭乗者200が漏れ光41に対して煩わしさを感じたり違和感を覚えたりすることが抑制される。
【0037】
また、開口14の形状が包括領域124の外縁の形状と相似であることから、開口14の形状は、第一領域121の形状、第二領域122の形状、および第三領域123の形状の何れとも相似であるといえる。例えば、
図9に示すように、開口14の第一の辺14cおよび第二の辺14dは、同じ方向に向けて湾曲している。第一の辺14cおよび第二の辺14dの湾曲形状は、三つの領域121,122,123の対応する辺の湾曲形状と相似し、または実質的に相似し、または類似している。従って、三つの領域121,122,123の何れが画像表示領域12bとして設定された場合にも、搭乗者200が漏れ光41に対して煩わしさを感じにくい。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の車両用表示装置1は、画像表示部12と、光源20と、カバー13と、を含む投影装置30を有する。画像表示部12は、透光性であり、画像を表示する。光源20は、画像表示部12に対して背面側、または前面側から光を照射する。カバー13は、遮光性であり、かつ開口14を有し、画像表示部12の前面に配置される。投影装置30は、ウインドシールドWSに対して画像を投影する。ウインドシールドWSは、車両における搭乗者200の前方に配置された反射部の一例である。
【0039】
投影装置30を前面側から見た場合に、開口14の形状は、画像表示部12における画像表示領域12bの形状と相似した形状である。更に、投影装置30を前面側から見た場合に、開口14は、画像表示領域12bの外縁から離間して画像表示領域12bを囲んでいる。本実施形態の車両用表示装置1によれば、画像表示領域12bの形状と開口の形状とが相似であることから、画像表示領域12bの周囲の漏れ光41に対して煩わしさを感じさせにくくすることができる。
【0040】
本実施形態の画像表示領域12bの形状は、搭乗者200によって視認される画像の形状を所望の形状とするように所望の形状に対して湾曲した形状である。開口14の辺14c,14d,14e,14fは、画像表示領域12bにおける対応する辺12c,12d,12e,12fと同様に湾曲している。従って、搭乗者200によって視認される画像の形状が所望の形状となり、かつ画像の外縁形状と漏れ光の外縁形状とが相似な形状となる。その結果、本実施形態の車両用表示装置1は、漏れ光に対する煩わしさを搭乗者200に感じさせにくくすることができる。
【0041】
本実施形態の車両用表示装置1は、更に、投影装置30を制御し、画像表示領域12bを予め定められた複数の領域121,122,123の何れかに設定する制御部60を有する。開口14の形状は、複数の領域121,122,123を包括する包括領域124の形状と相似している。開口14の形状が包括領域124の形状と相似していることで、漏れ光に対する煩わしさを搭乗者200に感じさせにくくすることができる。
【0042】
本実施形態の制御部60は、画像表示領域12bを複数の領域121,122,123のうち搭乗者200の視点位置に応じた領域に設定する。視点位置に応じて画像表示領域12bを切り替えることで、搭乗者200によって視認される画像の形状を最適な形状とすることができる。
【0043】
[実施形態の第1変形例]
実施形態の第1変形例について説明する。
図11は、実施形態の第1変形例に係る車両用表示装置のブロック図、
図12は、実施形態の第1変形例に係る複数の領域を示す図、
図13は、実施形態の第1変形例に係る包括領域を示す図である。実施形態の第1変形例において、上記実施形態と異なる点は、例えば、画像の傾きを調整するために複数の領域が定められている点である。
【0044】
図11に示すように、実施形態の第1変形例に係る車両用表示装置1は、スイッチ6を有する。スイッチ6は、搭乗者200による操作入力がなされるスイッチである。スイッチ6に対する操作入力を示す信号は、制御部60に送られる。スイッチ6は、物理的なスイッチ機構であっても、タッチパネル等に表示されるタッチ式のスイッチであってもよい。スイッチ6は、車両用表示装置1によって表示される画像の傾きを調節するためのスイッチである。車両用表示装置1は、スイッチ6に対する操作入力に応じて、画像を時計回りに回転させ、あるいは反時計回りに回転させる。
【0045】
図12に示すように、画像表示領域12bの候補として、第四領域125、第五領域126、および第六領域127が定められている。第五領域126は、上記実施形態の第二領域122と同じ領域であってもよい。第四領域125および第六領域127は、第五領域126を回転させた領域である。例えば、第四領域125は、第五領域126を
図12における反時計回りに所定の角度回転させた領域である。第六領域127は、第五領域126を
図12における時計回りに所定の角度回転させた領域である。第四領域125、第五領域126、および第六領域127の中心位置は実質的に共通である。また、本実施形態では、第四領域125、第五領域126、および第六領域127の形状は実質的に同じである。従って、第四領域125、第五領域126、および第六領域127は、実質的に形状が同じでかつ画像表示部12の横方向に対する傾斜角度が互いに異なる領域である。
【0046】
制御部60は、スイッチ6に対する操作入力に応じて、第四領域125、第五領域126、および第六領域127の何れかの領域を画像表示領域12bとして設定する。画像表示領域12bが三つの領域125,126,127の一つの領域から他の領域に切り替わると、搭乗者200によって視認される画像が時計回りあるいは反時計回りに回転する。言い換えると画像表示領域12bが三つの領域125,126,127の一つの領域から他の領域に切り替わることで、車幅方向に対する画像の傾きが変化する。
【0047】
実施形態の第1変形例に係る包括領域128は、
図13に示すように、第四領域125、第五領域126、および第六領域127を包括する領域である。包括領域128の定め方は、上記実施形態における包括領域124の定め方と実質的に同じである。すなわち、包括領域128における外側の境界線は、三つの領域125,126,127の最外点を結ぶように定められる。開口14の形状は、包括領域128の形状と相似である。開口14は、包括領域128の外縁から離間して包括領域128を囲んでいる。開口14と包括領域128の外縁との間隔G6は、例えば、一定とされる。
【0048】
実施形態の第1変形例に係る車両用表示装置1は、画像の傾きを調整する機能を実現しつつ、漏れ光に対する煩わしさを搭乗者200に感じさせにくくすることができる。
【0049】
なお、例示した第四領域125、第五領域126、および第六領域127によれば、画像の傾きを時計方向および反時計方向に1段階調節することができるが、調節の段階数はこれには限定されない。例えば、画像の傾きを時計方向および反時計方向にそれぞれ2段階以上調節できるように、五つ以上の領域が定められてもよい。
【0050】
なお、第四領域125、第五領域126、および第六領域127の形状は同じでなくてもよい。例えば、第四領域125、第五領域126、および第六領域127の形状は互いに異なっていてもよい。
【0051】
車両用表示装置1は、視点位置に応じた画像表示領域12bの設定、および画像の傾きを調整するための画像表示領域12bの設定の両方が実現できるように構成されてもよい。例えば、上記実施形態の第一領域121、第二領域122、第三領域123のそれぞれに対して、画像の傾きを調節する領域が設けられてもよい。例えば、第一領域121に対して、第一領域121と形状が同じで第一領域121と傾斜角度が異なる複数の領域が用意されてもよい。同様に、第二領域122および第三領域123に対しても、形状が同じでかつ傾斜角度が異なる複数の領域が用意されてもよい。この場合、包括領域は、全ての領域を包括するように定められることが好ましい。
【0052】
[実施形態の第2変形例]
実施形態の第2変形例について説明する。車両用表示装置1は、ミラー2の角度を変化させる機構を有していてもよい。ミラー2の角度を変化させる機構としては、例えば、モータが挙げられる。車両用表示装置1は、搭乗者200の操作によってミラー2の角度を変えても、視点位置検出部5の検出結果に応じてミラー2の角度を変えてもよい。
【0053】
制御部60は、ミラー2の角度に応じて画像表示領域12bを変化させてもよい。例えば、上記実施形態においては、制御部60は、ミラー2の角度に応じて第一領域121、第二領域122、および第三領域123の何れかを画像表示領域12bとして設定する。
【0054】
[実施形態の第3変形例]
開口14の形状の決め方は、実施形態等で例示した方法には限定されない。例えば、開口14の形状は、包括領域124,128と相似の形状に代えて、中間ラインと相似の形状とされてもよい。上記実施形態のように三つの領域121,122,123がある場合、三つの領域121,122,123を囲むラインに基づいて中間ラインが決められる。一例として、中間ラインは、三つの領域121,122,123を囲むラインのうち最も外側に位置するラインと最も内側に位置するラインとの中間点を結んだラインとされる。
【0055】
開口14の形状は、視点位置が車両上下方向における中間位置にある場合の画像表示領域12bの形状と相似な形状とされてもよい。例えば、上記実施形態において、第二の高さ位置は、視点位置が想定する最も高い視点位置と最も低い視点位置との中間位置であるとする。この場合、開口14の形状は、第二領域122の形状と相似な形状とされてもよい。
【0056】
開口14の形状は、視点位置が車両上下方向における標準的な位置である場合の画像表示領域12bの形状と相似な形状とされてもよい。例えば、上記実施形態において、車両上下方向における標準的な高さ位置が第二の高さ位置であるとする。この場合、開口14の形状は、第二領域122の形状と相似な形状とされてもよい。
【0057】
画像表示領域12bを変化させる機能を有していない車両用表示装置1では、一種類の画像表示領域12bに基づいて開口14の形状が定められてもよい。すなわち、画像表示領域12bの形状が一つだけである場合、開口14の形状は、その画像表示領域12bの形状と相似な形状とされてもよい。
【0058】
[実施形態の第4変形例]
実施形態の第4変形例について説明する。上記実施形態において、複数の領域121,122,123は、視点位置に対応したものでなくてもよい。例えば、車両用表示装置1は、搭乗者200が画像表示領域12bの形状を複数の領域121,122,123から任意に選択できるように構成されてもよい。この場合、搭乗者200の操作入力により、画像表示領域12bが複数の領域121,122,123のうち任意の領域に切り替えられる。搭乗者200は、搭乗者200にとって画像の見え方が最適となる領域を複数の領域121,122,123から選択する。
【0059】
このように搭乗者200が画像表示領域12bを選択できるようにすることで、画像の視認性を向上させることができる。なお、複数の領域121,122,123は、画像の歪みを補正する度合いが互いに異なるように定められてもよい。例えば、第一領域121は、歪みを補正する度合いが最も高く、第三領域123は、歪みを補正する度合いが最も低くてもよい。
【0060】
[実施形態の第5変形例]
搭乗者200によって視認される画像40(
図6参照)の形状は、矩形には限定されない。言い換えると、搭乗者200によって視認される画像表示領域の形状は、矩形以外の形状であってもよい。例えば、画像40の形状は、複数の矩形を組み合わせた形状や、矩形以外の多角形等であってもよい。
【0061】
[実施形態の第6変形例]
実施形態の第6変形例について説明する。包括領域の決め方は、実施形態において例示した方法には限定されない。包括領域の形状は、漏れ光41に対する搭乗者の煩わしさを軽減したり煩わしさを解消したりできるように適宜定められる。
【0062】
なお、複数の領域の個数は、例示した三つには限定されない。例えば、上記実施形態や実施形態の第1変形例において、複数の領域の個数が二つであっても、四つ以上であってもよい。
【0063】
画像が投影される対象の反射部は、ウインドシールドWSには限定されない。反射部は、搭乗者の前方に配置されたコンバイナ等であってもよい。反射部は、搭乗者の前方に配置されたメータ装置に設けられたハーフミラー等であってもよい。
【0064】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。