(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
A.第1実施形態:
A−1.装置構成:
(燃料電池スタック100の構成)
図1は、本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、
図2は、
図1(および後述する
図6,
図7)のII−IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、
図3は、
図1(および後述する
図6,
図7)のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。
図4以降についても同様である。また、本明細書では、Z軸に直交する方向を面方向という。面方向は、特許請求の範囲における第2の方向に相当する。
【0022】
燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では7つの)燃料電池発電単位(以下、「発電単位」という)102と、一対のエンドプレート104,106とを備える。7つの発電単位102は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向)に並べて配置されている。一対のエンドプレート104,106は、7つの発電単位102から構成される集合体を上下から挟むように配置されている。なお、上記配列方向(上下方向)は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。
【0023】
燃料電池スタック100を構成する各層(発電単位102、エンドプレート104,106)のZ軸回りの周縁部には、上下方向に貫通する複数の(本実施形態では8つの)孔が形成されており、各層に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、一方のエンドプレート104から他方のエンドプレート106にわたって上下方向に延びる連通孔108を構成している。以下の説明では、連通孔108を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、連通孔108と呼ぶ場合がある。
【0024】
各連通孔108には上下方向に延びるボルト22が挿通されており、ボルト22とボルト22の両側に嵌められたナット24とによって、燃料電池スタック100は締結されている。なお、
図2および
図3に示すように、ボルト22の一方の側(上側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の上端を構成するエンドプレート104の上側表面との間、および、ボルト22の他方の側(下側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の下端を構成するエンドプレート106の下側表面との間には、絶縁シート26が介在している。ただし、後述のガス通路部材27が設けられた箇所では、ナット24とエンドプレート106の表面との間に、ガス通路部材27とガス通路部材27の上側および下側のそれぞれに配置された絶縁シート26とが介在している。絶縁シート26は、例えばマイカシートや、セラミック繊維シート、セラミック圧粉シート、ガラスシート、ガラスセラミック複合剤等により構成される。
【0025】
各ボルト22の軸部の外径は各連通孔108の内径より小さい。そのため、各ボルト22の軸部の外周面と各連通孔108の内周面との間には、空間が確保されている。
図1および
図2に示すように、燃料電池スタック100のZ軸回りの外周における1つの辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22A)と、そのボルト22Aが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から酸化剤ガスOGが導入され、その酸化剤ガスOGを各発電単位102に供給するガス流路である酸化剤ガス導入マニホールド161として機能し、該辺の反対側の辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22B)と、そのボルト22Bが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の空気室166から排出されたガスである酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する酸化剤ガス排出マニホールド162として機能する。なお、本実施形態では、酸化剤ガスOGとして、空気が使用される。また、本実施形態では、酸化剤ガス導入マニホールド161への酸化剤ガスOGの導入のために、ブロワ(図示せず)が用いられる。また、酸化剤ガスOGが酸化剤ガス導入マニホールド161に導入される前に、熱交換(例えば、燃料電池スタック100から排出された酸化剤オフガスOOGと燃料オフガスFOGとを燃焼させたときに発生する熱との熱交換)を利用して、酸化剤ガスOGの予加熱が行われるとしてもよい。なお、空気室166は、特許請求の範囲における第1のガス室に相当する。
【0026】
図1および
図3に示すように、燃料電池スタック100のZ軸回りの外周における1つの辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22D)と、そのボルト22Dが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFGが導入され、その燃料ガスFGを各発電単位102に供給する燃料ガス導入マニホールド171として機能し、該辺の反対側の辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22E)と、そのボルト22Eが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の燃料室176から排出されたガスである燃料オフガスFOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する燃料ガス排出マニホールド172として機能する。なお、本実施形態では、燃料ガスFGとして、例えば都市ガスを改質した水素リッチなガスが使用される。なお、燃料室176は、特許請求の範囲における第2のガス室に相当する。
【0027】
燃料電池スタック100には、4つのガス通路部材27が設けられている。各ガス通路部材27は、中空筒状の本体部28と、本体部28の側面から分岐した中空筒状の分岐部29とを有している。分岐部29の孔は本体部28の孔と連通している。各ガス通路部材27の分岐部29には、ガス配管(図示せず)が接続される。また、
図2に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161を形成するボルト22Aの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス導入マニホールド161に連通しており、酸化剤ガス排出マニホールド162を形成するボルト22Bの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス排出マニホールド162に連通している。また、
図3に示すように、燃料ガス導入マニホールド171を形成するボルト22Dの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス導入マニホールド171に連通しており、燃料ガス排出マニホールド172を形成するボルト22Eの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス排出マニホールド172に連通している。
【0028】
(エンドプレート104,106の構成)
一対のエンドプレート104,106は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。一方のエンドプレート104は、最も上に位置する発電単位102の上側に配置され、他方のエンドプレート106は、最も下に位置する発電単位102の下側に配置されている。一対のエンドプレート104,106によって複数の発電単位102が押圧された状態で挟持されている。上側のエンドプレート104は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能し、下側のエンドプレート106は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。
【0029】
(発電単位102の構成)
図4は、
図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、
図5は、
図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。また、
図6は、
図4のVI−VIの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図であり、
図7は、
図4のVII−VIIの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図である。
【0030】
図4および
図5に示すように、発電単位102は、単セル110と、第1のセパレータ120と、第2のセパレータ180と、空気極側フレーム部材130と、空気極側集電体134と、燃料極側フレーム部材140と、燃料極側集電体144と、一対のインターコネクタ150とを備えている。第1のセパレータ120、第2のセパレータ180、空気極側フレーム部材130、燃料極側フレーム部材140におけるZ軸回りの周縁部には、上述したボルト22が挿通される連通孔108に対応する孔が形成されている。なお、上述したように、燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では7つの)発電単位102を備えているため、燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では7つの)単セル110を備えていると言える。
【0031】
インターコネクタ150は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばフェライト系ステンレスにより形成されている。インターコネクタ150は、発電単位102間の電気的導通を確保すると共に、発電単位102間での反応ガスの混合を防止する。なお、本実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、1つのインターコネクタ150は、隣接する2つの発電単位102に共有されている。すなわち、ある発電単位102における上側のインターコネクタ150は、その発電単位102の上側に隣接する他の発電単位102における下側のインターコネクタ150と同一部材である。また、燃料電池スタック100は一対のエンドプレート104,106を備えているため、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えておらず、最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていない(
図2および
図3参照)。
【0032】
単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んで上下方向(発電単位102が並ぶ配列方向)に互いに対向する空気極(カソード)114および燃料極(アノード)116とを備える。なお、本実施形態の単セル110は、平板型の単セルであり、また、燃料極116で電解質層112および空気極114を支持する燃料極支持形の単セルである。なお、単セル110は、特許請求の範囲における電気化学反応単セルに相当する。また、空気極114は、特許請求の範囲における第1の電極に相当し、燃料極116は、特許請求の範囲における第2の電極に相当する。
【0033】
電解質層112は、Z軸方向視で略矩形の平板形状部材であり、緻密な層である。電解質層112は、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)、SDC(サマリウムドープセリア)、GDC(ガドリニウムドープセリア)、ペロブスカイト型酸化物等の固体酸化物により形成されている。このように、本実施形態の単セル110は、電解質として固体酸化物を用いる固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。空気極114は、Z軸方向視で電解質層112より小さい略矩形の平板形状部材であり、多孔質な層である。空気極114は、例えば、ペロブスカイト型酸化物(例えばLSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物)、LSM(ランタンストロンチウムマンガン酸化物)、LNF(ランタンニッケル鉄))により形成されている。本実施形態では、Z軸方向視での空気極114の面積は、比較的大きく、より具体的には130cm
2以上である。燃料極116は、Z軸方向視で電解質層112と略同一の大きさの略矩形の平板形状部材であり、多孔質な層である。燃料極116は、例えば、Niと酸化物イオン伝導性セラミックス粒子(例えば、YSZ)とからなるサーメットにより形成されている。
【0034】
第1のセパレータ120は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の第1の貫通孔121が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、ステンレス等の金属材料により形成されている。第1のセパレータ120は、第1のセパレータ120における第1の貫通孔121を取り囲む部分である第1の貫通孔周囲部122(
図8参照)を有する。第1の貫通孔周囲部122の表面の内の下方向側の表面は、単セル110を構成する電解質層112における空気極114に対向する側(上側)の表面の周縁部に対向している。第1のセパレータ120は、第1の貫通孔周囲部122に配置されたロウ材(例えばAgロウ)を含む第1の接合部124により、単セル110(電解質層112)と接合されている。第1のセパレータ120により、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とが区画され、単セル110の周縁部における空気室166から燃料室176へのガスのリークが抑制される。
【0035】
第1の接合部124に対して空気室166側には、ガラスを含む第1のガラスシール部125が配置されている。第1のガラスシール部125は、第1のセパレータ120の第1の貫通孔周囲部122の表面と、単セル110(本実施形態では単セル110を構成する電解質層112)の表面との両方に接触するように形成されている。第1のガラスシール部125により、空気室166と燃料室176との間のガスリーク(クロスリーク)が効果的に抑制される。
【0036】
第2のセパレータ180は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の第2の貫通孔181が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、ステンレス等の金属材料により形成されている。第2のセパレータ180により、燃料室176と、隣接する他の単セル110の空気極114に面する空気室166とが区画され、インターコネクタ150の周縁部における空気室166から燃料室176へのガスのリークが抑制される。
【0037】
第2のセパレータ180は、第2の貫通孔周囲部182における下方向側の表面において、インターコネクタ150の周縁部における上方向側の表面と、溶接により接合されている。これにより、空気室166と燃料室176との間のガスリーク(クロスリーク)が効果的に抑制される。
【0038】
図4〜
図6に示すように、空気極側フレーム部材130は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の空気室用孔131が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、マイカ等の絶縁体により形成されている。空気極側フレーム部材130は、第1のセパレータ120の表面の内の空気室166に面している側(上側)の表面の周縁部と、第2のセパレータ180の表面の内の空気室166に面している側(下側)の表面の周縁部とに接触している。空気極側フレーム部材130に形成された空気室用孔131によって、空気極114に面する空気室166が構成される。また、空気極側フレーム部材130によって、発電単位102に含まれる一対の第2のセパレータ180間が電気的に絶縁される。その結果、一対のインターコネクタ150間が電気的に絶縁される。また、空気極側フレーム部材130には、酸化剤ガス導入マニホールド161と空気室166とを連通する酸化剤ガス供給連通流路132と、空気室166と酸化剤ガス排出マニホールド162とを連通する酸化剤ガス排出連通流路133とが形成されている。なお、空気室用孔131は、特許請求の範囲におけるガス室用孔に相当し、空気極側フレーム部材130は、特許請求の範囲におけるフレーム部材に相当する。
【0039】
図4、
図5および
図7に示すように、燃料極側フレーム部材140は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の燃料室用孔141が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。燃料極側フレーム部材140は、第1のセパレータ120の表面の内の燃料室176に面している側(下側)の表面の周縁部と、第2のセパレータ180の表面の内の燃料室176に面している側(上側)の表面の周縁部とに接触している。燃料極側フレーム部材140に形成された燃料室用孔141によって、燃料極116に面する燃料室176が構成される。また、燃料極側フレーム部材140には、燃料ガス導入マニホールド171と燃料室176とを連通する燃料ガス供給連通流路142と、燃料室176と燃料ガス排出マニホールド172とを連通する燃料ガス排出連通流路143とが形成されている。
【0040】
図4および
図5に示すように、空気極側集電体134は、空気室166内に配置されている。空気極側集電体134は、複数の略四角柱状の集電体要素135から構成されており、例えば、フェライト系ステンレスにより形成されている。空気極側集電体134は、空気極114における電解質層112に対向する側とは反対側の表面と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面とに接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における空気極側集電体134は、上側のエンドプレート104に接触している。空気極側集電体134は、このような構成であるため、空気極114とインターコネクタ150(またはエンドプレート104)とを電気的に接続する。なお、空気極側集電体134は、導電性のコートによって覆われていてもよく、空気極114と空気極側集電体134との間には、両者を接合する導電性の接合層が介在していてもよい。また、空気極側集電体134は、インターコネクタ150と一体の部材として構成されていてもよい。
【0041】
図4および
図5に示すように、燃料極側集電体144は、燃料室176内に配置されている。燃料極側集電体144は、インターコネクタ対向部146と、電極対向部145と、電極対向部145とインターコネクタ対向部146とをつなぐ連接部147とを備えており、例えば、ニッケルやニッケル合金、ステンレス等により形成されている。電極対向部145は、燃料極116における電解質層112に対向する側とは反対側の表面に接触しており、インターコネクタ対向部146は、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面に接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102におけるインターコネクタ対向部146は、下側のエンドプレート106に接触している。燃料極側集電体144は、このような構成であるため、燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)とを電気的に接続する。なお、電極対向部145とインターコネクタ対向部146との間には、例えばマイカにより形成されたスペーサ149が配置されている。そのため、燃料極側集電体144が温度サイクルや反応ガス圧力変動による発電単位102の変形に追随し、燃料極側集電体144を介した燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)との電気的接続が良好に維持される。
【0042】
A−2.燃料電池スタック100の動作:
図2および
図4に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して酸化剤ガスOGが供給されると、酸化剤ガスOGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して酸化剤ガス導入マニホールド161に供給され、酸化剤ガス導入マニホールド161から各発電単位102の酸化剤ガス供給連通流路132を介して、空気室166に供給される。また、
図3および
図5に示すように、燃料ガス導入マニホールド171の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料ガスFGが供給されると、燃料ガスFGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して燃料ガス導入マニホールド171に供給され、燃料ガス導入マニホールド171から各発電単位102の燃料ガス供給連通流路142を介して、燃料室176に供給される。
【0043】
各発電単位102の空気室166に酸化剤ガスOGが供給され、燃料室176に燃料ガスFGが供給されると、単セル110において酸化剤ガスOGに含まれる酸素と燃料ガスFGに含まれる水素との電気化学反応による発電が行われる。この発電反応は発熱反応である。各発電単位102において、単セル110の空気極114は空気極側集電体134を介して一方のインターコネクタ150に電気的に接続され、燃料極116は燃料極側集電体144を介して他方のインターコネクタ150に電気的に接続されている。また、燃料電池スタック100に含まれる複数の発電単位102は、電気的に直列に接続されている。そのため、燃料電池スタック100の出力端子として機能するエンドプレート104,106から、各発電単位102において生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃から1000℃)で発電が行われることから、起動後、発電により発生する熱で高温が維持できる状態になるまで、燃料電池スタック100が加熱器(図示せず)により加熱されてもよい。
【0044】
各発電単位102の空気室166から排出された酸化剤オフガスOOGは、
図2および
図4に示すように、酸化剤ガス排出連通流路133を介して酸化剤ガス排出マニホールド162に排出され、さらに酸化剤ガス排出マニホールド162の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。また、各発電単位102の燃料室176から排出された燃料オフガスFOGは、
図3および
図5に示すように、燃料ガス排出連通流路143を介して燃料ガス排出マニホールド172に排出され、さらに燃料ガス排出マニホールド172の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示しない)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。
【0045】
なお、本実施形態の燃料電池スタック100を構成する各発電単位102では、空気室166における酸化剤ガスOGの主たる流れ方向(
図2に示すように、X軸正方向側からX軸負方向側に向かう方向)と燃料室176における燃料ガスFGの主たる流れ方向(
図3に示すように、Y軸正方向側からY軸負方向側に向かう方向)とが交差している。すなわち、本実施形態の発電単位102(燃料電池スタック100)は、クロスフロータイプのSOFCである。
【0046】
A−3.第1のセパレータ120および第2のセパレータ180の詳細構成:
図8は、第1のセパレータ120および第2のセパレータ180の詳細構成を示す説明図である。
図8には、
図4のPx部の構成が拡大して示されている。ここで、
図4に示された発電単位102の断面は、Z軸方向視における単セル110の中心点POを通り、かつ、Z軸方向に平行な断面である。なお、本実施形態の発電単位102では、Z軸方向視における単セル110の中心点POを通り、かつ、Z軸方向に平行な任意の断面において、以下に示す第1のセパレータ120および第2のセパレータ180の構成が採用されている。
【0047】
A−3−1.第1のセパレータ120の詳細構成:
第1のセパレータ120について説明する。
図8に示すように、第1のセパレータ120は、第1の内側部126と、第1の外側部127と、第1の連結部128とを備える。第1の内側部126は、第1の貫通孔周囲部122を含んでいる。第1の外側部127は、第1の内側部126より外周側に位置している。第1の連結部128は、第1の内側部126の端部と第1の外側部127の端部とを連結するよう配置されている。
【0048】
第1の内側部126と第1の外側部127とのZ軸方向における位置は、互いに略同一である。ここで、第1の内側部126と第1の外側部127とのZ軸方向における位置が、互いに略同一とは、Z軸方向において、第1の内側部126の位置が、第1の外側部127の位置の±5mmの範囲内であることを意味する。なお、第1の内側部126のZ軸方向における位置とは、第1の内側部126の表面の内の空気室166に面している側(上側)の表面において、第1の内側部126における最も上に位置する部分の位置を意味する。第1の外側部127のZ軸方向における位置とは、第1の外側部127の表面の内の空気室166に面している側(上側)の表面において、第1の外側部127における最も上に位置する部分の位置を意味する。
【0049】
図8において、第1の内側部126の第1の長さL
1は、第1の外側部127の第2の長さL
2より短い。ここで、第1の長さL
1は、第1の内側部126と第1の連結部128との境界点P
2と、Z軸方向視での第1の内側部126における単セル110(電解質層112)の外縁と重なる点P
1との、X軸方向における長さである。第2の長さL
2は、第1の外側部127と第1の連結部128との境界点P
4と、Z軸方向視での第1の外側部127における空気極側フレーム部材130の内縁と重なる点P
3との、X軸方向における長さである。すなわち、第1の長さL
1が第2の長さL
2より短いとは、換言すれば、Z軸方向視において第1の連結部128は、単セル110(電解質層112)の外縁と空気極側フレーム部材130の内縁との間において、単セル110(電解質層112)の外縁よりも、空気極側フレーム部材130の内縁から遠い位置にあることを意味する。なお、第1の内側部126の第1の長さL
1は、第1の外側部127の第2の長さL
2に比べて、好ましくは、1mm〜5mm短い。
【0050】
第1のセパレータ120の配列方向における厚さ(板厚)t
1は、0.01(mm)以上であればよく、耐酸化性の低下を抑制する観点から、好ましくは0.03(mm)以上、より好ましくは0.05(mm)以上であって、0.2(mm)以下であることが好ましい。第1のセパレータ120の厚さt
1を0.03(mm)以上とすることにより、第1のセパレータ120の耐酸化性の低下を抑制することができ、第1のセパレータ120の厚さt
1を0.2(mm)以下とすることにより、第1の連結部128のバネ性を一定程度以上確保することができる。このため、熱サイクルやヒートショック等によって単セル110を面方向に変形させる荷重がかかった場合に、第1のセパレータ120の第1の連結部128の存在により、第1のガラスシール部125や単セル110に発生する応力が緩和される。これにより、第1のガラスシール部125や単セル110の変形や割れを抑制することができる。
【0051】
第1の連結部深さH
1は、0.1(mm)以上、0.6(mm)以下であることがさらに好ましい。第1の連結部深さH
1を0.1(mm)以上とすることにより、第1の連結部128による第1のガラスシール部125や単セル110の変形や割れを抑制する効果を確保することができる。また、第1の連結部深さH
1が0.6(mm)より高くなると、第1の連結部128によってガスの流れが阻害され、発電性能が低下するおそれがあるため好ましくないが、第1の連結部深さH
1を0.6(mm)以下とすることにより、第1の連結部128によってガスの流れが阻害されて発電性能が低下することを抑制することができる。
【0052】
また、第1の連結部深さH
1は第1のセパレータ120の厚さt
1より大きいことが好ましい。第1の連結部深さH
1を第1のセパレータ120の厚さt
1より大きくすることにより、第1の連結部128による第1のガラスシール部125や単セル110の変形や割れを抑制する効果を確保することができる。
【0053】
本実施形態では、第1の連結部128は、Y軸方向視において、第1の内側部126および第1の外側部127の位置から燃料室176側(下側)に突出するように湾曲した形状を有している。すなわち、第1の連結部128における燃料室176側(下側)は凸部となり、第1の連結部128における空気室166側(上側)は凹部となる。このように、第1の連結部128は、上下方向における位置が第1の内側部126および第1の外側部127とは異なる部分を含む。なお、第1の連結部128は、上下方向視で、第1の貫通孔121を取り囲むように形成されている(
図6参照)。また、第1のセパレータ120における第1の連結部128は、例えば、プレス加工により形成される。第1のセパレータ120の第1の連結部128は、上述した構成であるため、面方向に容易に伸び縮みするバネのように機能する。そのため、本実施形態の第1のセパレータ120は、第1の連結部128を備えない構成と比較して、第1の連結部128の位置で面方向に変形しやすい。
【0054】
上述したように、第1の貫通孔周囲部122における下方向側の表面は、ロウ材を含む第1の接合部124を介して、単セル110(電解質層112)の周縁部における上方向側の表面に接合されている。すなわち、第1の内側部126の第1の貫通孔周囲部122は、Z軸方向での第1の内側部126の下方向側、つまり、第1の連結部128が突出している方向と同方向の側において、第1の接合部124を介して電解質層112と接合されている。
【0055】
A−3−2.第2のセパレータ180の詳細構成:
次に、第2のセパレータ180について説明する。
図8に示すように、第2のセパレータ180は、第2の内側部186と、第2の外側部187と、第2の連結部188とを備える。第2の内側部186は、第2の貫通孔周囲部182を含んでいる。第2の外側部187は、第2の内側部186より外周側に位置している。第2の連結部188は、第2の内側部186の端部と第2の外側部187の端部とを連結するよう配置されている。
【0056】
第2の内側部186と第2の外側部187との上下方向における位置は、互いに略同一である。ここで、第2の内側部186と第2の外側部187とのZ軸方向における位置が、互いに略同一とは、Z軸方向において、第2の内側部186の位置が、第2の外側部187の位置の±5mmの範囲内であることを意味する。なお、第2の内側部186のZ軸方向における位置とは、第2の内側部186の表面の内の燃料室176に面している側(上側)の表面において、第2の内側部186における最も上に位置する部分の位置を意味する。第2の外側部187のZ軸方向における位置とは、第2の外側部187の表面の内の燃料室176に面している側(上側)の表面において、第2の外側部187における最も上に位置する部分の位置を意味する。
【0057】
第2のセパレータ180の配列方向における厚さ(板厚)t
2は、第1のセパレータ120の配列方向における厚さ(板厚)t
1と同様、0.01(mm)以上であればよく、耐酸化性の低下を抑制する観点から、好ましくは0.03(mm)以上、より好ましくは0.05(mm)以上であって、0.2(mm)以下であることが好ましい。第2のセパレータ180の厚さt
2を0.03(mm)以上とすることにより、第2のセパレータ180の耐酸化性の低下を抑制することができ、第2のセパレータ180の厚さt
2を0.2(mm)以下とすることにより、第2の連結部188のバネ性を一定程度以上確保することができる。このため、熱サイクルやヒートショック等によってインターコネクタ150を面方向に変形させる荷重がかかった場合に、第2のセパレータ180の第2の連結部188の存在により、インターコネクタ150への応力が緩和され、ひいては、当該応力が単セル110へかかることを抑制することができる。これにより、単セル110の変形や割れを抑制することができる。
【0058】
第2の連結部深さH
2は、第1のセパレータ120の第1の連結部深さH
1と同様、0.1(mm)以上、0.6(mm)以下であることがさらに好ましい。第2の連結部深さH
2を0.1(mm)以上とすることにより、第2の連結部188による単セル110の変形や割れを抑制する効果を確保することができる。また、第2の連結部深さH
2が0.6(mm)より高くなると、第2の連結部188によってガスの流れが阻害され、発電性能が低下するおそれがあるため好ましくないが、第2の連結部深さH
2を0.6(mm)以下とすることにより、第2の連結部188によってガスの流れが阻害されて発電性能が低下することを抑制することができる。
【0059】
また、第2の連結部深さH
2は第2のセパレータ180の厚さt
2より大きいことが好ましい。第2の連結部深さH
2を第2のセパレータ180の厚さt
2より大きくすることにより、第2の連結部188による単セル110の変形や割れを抑制する効果を確保することができる。
【0060】
本実施形態では、第2の連結部188は、第1の連結部128から離間するように配置されている。また、第2の連結部188は、第2の内側部186および第2の外側部187の位置から空気室166側(下側)に突出するように湾曲した形状を有している。すなわち、第2の連結部188における空気室166側(下側)は凸部となり、第2の連結部188における燃料室176側(上側)は凹部となる。このように、第2の連結部188は、上下方向における位置が第2の内側部186および第2の外側部187とは異なる部分を含む。第2の連結部188は、上述の構成であるため、第1の連結部128と同じ側(下側)に突出していることとなる。なお、第2の連結部188は、上下方向視で、第2の貫通孔181を取り囲むように形成されている(
図7参照)。また、第2のセパレータ180における第2の連結部188は、例えば、プレス加工により形成される。第2のセパレータ180の第2の連結部188は、上述した構成であるため、面方向に容易に伸び縮みするバネのように機能する。そのため、本実施形態の第2のセパレータ180は、第2の連結部188を備えない構成と比較して、第2の連結部188の位置で面方向に変形しやすい。
【0061】
上述したように、第2の貫通孔周囲部182における下方向側の表面は、溶接により、インターコネクタ150の周縁部における上方向側の表面に接合されている。すなわち、第2の内側部186の第2の貫通孔周囲部182は、Z軸方向での第2の内側部186の下方向側、つまり、第2の連結部188が突出している方向と同方向の側において、インターコネクタ150と接合されている。
【0062】
A−3−3.第1のセパレータ120と第2のセパレータ180との位置関係:
図8を用いて、第1のセパレータ120と第2のセパレータ180との位置関係について説明する。本実施形態において、Z軸方向視において、第1の最突出部P
5は、第2の最突出部Q
5と略同一の位置に位置している。すなわち、第1の最突出部P
5と、第2の最突出部Q
5とは、いずれも仮想直線VL上に位置している。
【0063】
ここで、Z軸方向視において、第1の最突出部P
5が第2の最突出部Q
5と略同一の位置に位置しているとは、Z軸方向視での第1の最突出部P
5と第2の最突出部Q
5との間の距離が、0mm〜15mmの範囲内であることを意味する。また、第1の最突出部P
5は、第1の連結部128の内、Z軸方向において最も下方向側に突出している部分である。第2の最突出部Q
5は、第2の連結部188の内、Z軸方向において最も下方向側に突出している部分である。仮想直線VLは、第1の最突出部P
5と第2の最突出部Q
5とを通る直線である。
【0064】
なお、上述したように、第1のセパレータ120の第1の連結部128は、Z軸方向視において、単セル110(電解質層112)の外縁と空気極側フレーム部材130の内縁との間において、単セル110(電解質層112)の外縁よりも、空気極側フレーム部材130の内縁に近い位置にある。このため、第2のセパレータ180の第2の連結部188についても、第1の連結部128と同様に、Z軸方向視において、単セル110(電解質層112)の外縁と空気極側フレーム部材130(燃料極側フレーム部材140)の内縁との間において、単セル110(電解質層112)の外縁よりも、空気極側フレーム部材130(燃料極側フレーム部材140)の内縁に近い位置にある。
【0065】
本実施形態において、内側部間距離D
1と、外側部間距離D
2と、連結部間距離D
3とは、互いに略同一である。ここで、内側部間距離D
1と、外側部間距離D
2と、連結部間距離D
3とが、互いに略同一とは、内側部間距離D
1および外側部間距離D
2が、それぞれ、連結部間距離D
3を基準として、±5mmの範囲内であることを意味する。
【0066】
上記において、内側部間距離D
1は、Z軸方向における第1の内側部126と第2の内側部186との間の距離である。より詳しくは、内側部間距離D
1は、第1の内側部126の表面の内の燃料室176に面している側(下側)の表面において、第1の内側部126における最も下に位置する部分から、第2の内側部186の表面の内の燃料室176に面している側(上側)の表面において、第2の内側部186における最も上に位置する部分までの距離である。外側部間距離D
2は、Z軸方向における第1の外側部127と第2の外側部187との間の距離である。より詳しくは、外側部間距離D
2は、第1の外側部127の表面の内の燃料室176に面している側(下側)の表面において、第1の外側部127における最も下に位置する部分から、第2の外側部187の表面の内の燃料室176に面している側(上側)の表面において、第2の外側部187における最も上に位置する部分までの距離である。連結部間距離D
3は、Z軸方向における第1の連結部128と第2の連結部188との間の距離である。より詳しくは、連結部間距離D
3は、第1の連結部128の表面の内の燃料室176に面している側(下側)の表面における第1の最突出部P
5から、第2の連結部188の表面の内の燃料室176に面している側(上側)の表面において、第2の最突出部Q
5と重なる部分までの距離である。
【0067】
第1の連結部幅L
3は、第2の連結部幅L
4と略同一である。ここで、第1の連結部幅L
3が第2の連結部幅L
4と略同一であるとは、第1の連結部幅L
3と第2の連結部幅L
4との差が、0mm〜10mmの範囲内であることを意味する。なお、第1の連結部幅L
3は、X軸方向における境界点P
2と境界点P
4との間の距離である。第2の連結部幅L
4は、X軸方向における境界点Q
2と境界点Q
4との間の距離である。なお、第1の連結部幅L
3は、第1のセパレータ120の第1の内側部126における第1の長さL
1と、第1の外側部127における第2の長さL
2と、第1の連結部幅L
3とを足した合計長さの1/2以下であり、好ましくは、1/3以下である。第1の長さL
1と、第2の長さL
2と、第1の連結部幅L
3とを足した合計長さは、Z軸方向視での第1の内側部126における単セル110(電解質層112)の外縁と重なる点から、Z軸方向視での第1の外側部127における空気極側フレーム部材130の内縁と重なる点までの長さと同等である。また、第2の連結部幅L
4についても、Z軸方向視での第2の内側部186におけるインターコネクタ150の外縁と重なる点から、Z軸方向視での第2の外側部187における燃料極側フレーム部材140の内縁と重なる点までの長さの1/2以下であり、好ましくは、1/3以下である。
【0068】
第1の連結部深さH
1は、第2の連結部深さH
2と略同一である。ここで、第1の連結部深さH
1が第2の連結部深さH
2と略同一であるとは、第1の連結部深さH
1と第2の連結部深さH
2との差が、0mm〜10mmの範囲内であることを意味する。なお、第1の連結部深さH
1は、第1の連結部128のZ軸方向における深さである。より詳細には、第1の連結部深さH
1は、第1の連結部128の空気室166に面している側(上側)の表面において、第1の連結部128における最も上に位置する部分から最も下に位置する部分までの距離(深さ)である。第2の連結部深さH
2は、第2の連結部188のZ軸方向における深さである。より詳細には、第2の連結部深さH
2は、第2の連結部188の燃料室176に面している側(上側)側の表面において、第2の連結部188における最も上に位置する部分から最も下に位置する部分までの距離(深さ)である。
【0069】
なお、第1のセパレータ120と第2のセパレータ180との間、すなわち、第1の内側部126と第2の内側部186との間、第1の外側部127と第2の外側部187との間、および、第1の連結部128と第2の連結部188との間は、空気室166または燃料室176の一部であるとともに、空気極114または燃料極116へ酸化剤ガスOGまたは燃料ガスFGを供給するガス流路として機能する。
【0070】
A−3−4.第1のセパレータ120および第2のセパレータ180の各部分の特定:
第1のセパレータ120における第1の内側部126と、第1の外側部127と、第1の連結部128とは、次のように特定することができる。まず、Z軸方向視で単セル110の中心POを通り、かつ、Z軸方向に平行な少なくとも1つの第1のセパレータ120の断面において、第1のセパレータ120におけるZ軸方向の下方向側の表面上の点であって、Z軸方向における単セル110からの距離が最も大きい点(
図8において、第1の最突出部P
5)を特定する。この第1の最突出部P
5における接線と、第1の最突出部P
5を通り、かつ、Z軸に平行な仮想直線とのなす角θを特定する。次に、第1の最突出部P
5から面方向における単セル110側へ所定間隔でZ軸に平行な仮想直線を引く。第1のセパレータ120と仮想直線との交点(点P
n)における接線と、当該点P
nにおける仮想直線とのなす角θ
n(ただし、0°≦θ
n≦90°)を特定する。当該なす角θ
nを順に特定し、当該なす角θ
nがθ
n−1<θ
nになった点P
n(例えば、θ
n−1=18°、θ
n=20°)を、第1の連結部128と第1の内側部126との境界点BP
nとする。一方、同様に、第1の最突出部P
5から面方向における燃料極側フレーム部材140側へ所定間隔でZ軸に平行な仮想直線を引く。第1のセパレータ120と仮想直線との交点(点P
m)における接線と、当該点P
mにおける仮想直線とのなす角θ
m(ただし、0°≦θ
m≦90°)を特定する。当該なす角θ
mを順に特定し、なす角θ
mがθ
m−1<θ
mになった点P
mを、第1の連結部128と第1の外側部127との境界点BP
mとする。第1のセパレータ120において、境界点BP
mと境界点BP
nとの間に位置する部分を第1の連結部128と特定することができる。また、第1のセパレータ120において、境界点BP
nから単セル110側の部分を第1の内側部126と特定し、境界点BP
mから燃料極側フレーム部材140側の部分を第1の外側部127と特定することができる。後述の第2のセパレータ180における第2の内側部186と、第2の外側部187と、第2の連結部188とについても、上記第1のセパレータ120における各部分を特定する方法と同様にして特定することができる。
【0071】
A−4.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の燃料電池スタック100を構成する各発電単位102は、単セル110と、インターコネクタ150と、第1のセパレータ120と、第2のセパレータ180とを備える。単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んでZ軸方向に互いに対向する空気極114および燃料極116とを含む。インターコネクタ150は、単セル110のZ軸方向に配置されている。
【0072】
第1のセパレータ120には、Z軸方向に貫通する第1の貫通孔121が形成されている。第1のセパレータ120における第1の貫通孔121を取り囲む部分である第1の貫通孔周囲部122は、単セル110の周縁部と接合されている。第1のセパレータ120により、空気極114に面する空気室166と、燃料極116に面する燃料室176とが区画される。第1のセパレータ120は、第1の内側部126と、第1の外側部127と、第1の連結部128とを有している。第1の内側部126は、第1の貫通孔周囲部122を含んでいる。第1の外側部127は、第1の内側部126より外周側に位置している。第1の連結部128は、第1の内側部126と第1の外側部127とを連結すると共に第1の内側部126と第1の外側部127との両方に対して、上下方向の下方向側に突出している。
【0073】
第2のセパレータ180には、Z軸方向に貫通する第2の貫通孔181が形成されている。第2のセパレータ180における第2の貫通孔181を取り囲む部分である第2の貫通孔周囲部182は、インターコネクタ150の周縁部と接合されている。第2のセパレータ180により、燃料室176と、隣接する他の単セル110の空気極114に面する空気室166とが区画される。第2のセパレータ180は、第2の内側部186と、第2の外側部187と、第2の連結部188とを有している。第2の内側部186は、第2の貫通孔周囲部182を含んでいる。第2の外側部187は、第2の内側部186より外周側に位置している。第2の連結部188は、第2の内側部186と第2の外側部187とを連結する共に、第2の内側部186と第2の外側部187との両方に対して、上下方向の下方向側に突出している。第2の連結部188は、さらに、第1の連結部128から離間している。
【0074】
このように、本実施形態の発電単位102は、Z軸方向において、第1のセパレータ120の第1の連結部128が第1の内側部126と第1の外側部127との両方に対して、Z軸方向の下方向側に突出しているため、第1のセパレータ120の第1の連結部128がZ軸方向に直交する面方向に容易に伸び縮みするバネのように機能し、第1のセパレータ120が第1の連結部128の位置で面方向に変形することを可能にする。このため、熱サイクルやヒートショック等によって単セル110を面方向に変形させる荷重がかかった場合に、第1のセパレータ120が応力を緩和する機能(応力緩和機能)を発揮することができる。すなわち、単セル110に接合している第1のセパレータ120は主として第1の連結部128がZ軸方向に撓むことにより第1の連結部128の位置で面方向に変形し、単セル110にかかる応力を緩和することができる。これにより、単セル110の変形や割れを抑制することができる。
【0075】
本実施形態の発電単位102は、Z軸方向において、第2のセパレータ180の第2の連結部188が第2の内側部186と第2の外側部187との両方に対して、Z軸方向の下方向側に突出しているため、第1のセパレータ120と同様に、第2のセパレータ180が第2の連結部188の位置で面方向に変形することを可能とする。このため、熱サイクルやヒートショック等によってインターコネクタ150を面方向に変形させる荷重がかかった場合に、第2のセパレータ180が応力緩和機能を発揮することができる。このように、インターコネクタ150への応力が緩和されることにより、インターコネクタ150と単セル110との間に介在する空気極側集電体134を介して、当該応力が単セル110へかかることを抑制することができる。これにより、単セル110の変形や割れを抑制することができる。
【0076】
本実施形態の発電単位102では、さらに、Z軸方向において、第1のセパレータ120の第1の連結部128と、第2のセパレータ180の第2の連結部188とが、互いに同じ方向(具体的には、下方向)に突出している。このため、第1のセパレータ120および第2のセパレータ180が共に応力緩和機能を発揮する際、すなわち、第1の連結部128および第2の連結部188の両方が下方向に撓む際であっても、空気室166および燃料室176のいずれのガス室においても、第1の連結部128および第2の連結部188の両方によりガス流路が狭窄されることを抑制することができる。これにより、空気室166および燃料室176における安定的かつ良好な酸化剤ガスOGおよび燃料ガスFGの流入が阻害されることを抑制し、ひいては、空気室166および燃料室176が面している単セル110面における反応効率の低下を抑制することができる。また、ガス流路の狭窄が抑制されることにより、発電単位102の圧力損失が増大することを抑制し、この結果、発電単位102の性能低下を抑制することができる。発電単位102における圧力損失の増大が抑制された場合、例えば、酸化剤ガスOGおよび燃料ガスFGを空気室166および燃料室176に導入するために用いられるブロワ等の補機に要する電力の増大を抑制することができる。従って、本実施形態の発電単位102では、単セル110の変形や割れを抑制しつつ、単セル110面における反応効率の低下を抑制し、かつ、発電単位102の圧力損失が増大することを抑制し、ひいては、発電単位102の性能を向上させることができる。
【0077】
本実施形態の発電単位102では、Z軸方向視において、第1の連結部128が、第2の連結部188と重なっている。このような構成とすることにより、第1の連結部128および第2の連結部188がZ軸方向に撓んだ場合であっても、第1のセパレータ120の第1の連結部128と第2のセパレータ180との離間距離および第2のセパレータ180の第2の連結部188と第2のセパレータ180との離間距離を確保し易い構造を実現できる。このため、ガス流路の確保が容易となり、ひいては、単セル110面における反応効率の低下を効果的に抑制することができる。また、ガス流路の確保が容易となることにより、発電単位102の圧力損失が増大することを効果的に抑制することができる。更には、第1の連結部128および第2の連結部188のZ軸方向への突出深さを深くすることが可能となり、ひいては、応力緩和機能を効果的に発揮させることができうる。従って、本実施形態の発電単位102では、単セル110の変形や割れを効果的に抑制しつつ、単セル110面における反応効率の低下を効果的に抑制し、かつ、発電単位102の圧力損失が増大することを効果的に抑制し、ひいては、発電単位102の性能を効果的に向上させることができる。
【0078】
本実施形態の発電単位102では、第1の内側部126と第2の内側部186との間のZ軸方向における内側部間距離D
1と、第1の外側部127と第2の外側部187との間のZ軸方向における外側部間距離D
2と、第1の連結部128の第1の最突出部P
5と第2の連結部188の第2の最突出部Q
5との間のZ軸方向における連結部間距離D
3とは、互いに略同一である。このような構成とすることにより、空気室166および燃料室176の両方において、酸化剤ガスOGまたは燃料ガスFGの流れ方向における各断面である、第1の内側部126と第2の内側部186との間に形成されるガス流路断面と、第1の外側部127と第2の外側部187との間に形成されるガス流路断面と、第1の連結部128と第2の連結部188との間に形成されるガス流路断面とにおける各断面積が互いに略同一となる構成を実現できる。このため、空気室166および燃料室176におけるガス流れの安定性を向上させることができ、単セル110面における反応効率の低下を更に効果的に抑制することができる。従って、本実施形態の発電単位102では、単セル110面における反応効率の低下を更に効果的に抑制し、ひいては、発電単位102の性能を更に効果的に向上させることができる。
【0079】
本実施形態の発電単位102では、第1の内側部126と第1の外側部127とのZ軸方向における位置は互いに略同一であり、かつ、第2の内側部186と第2の外側部187とのZ軸方向における位置は互いに略同一である。このような構成とすることにより、酸化剤ガスOGおよび燃料ガスFGのガス流れの方向が、面方向と略平行となる構成を実現できる。このため、空気室166および燃料室176におけるガス流れの安定性を更に向上させることができ、単セル110面における反応効率の低下を更に効果的に抑制することができる。従って、本実施形態の発電単位102では、単セル110面における反応効率の低下を更に効果的に抑制し、ひいては、発電単位102の性能を更に効果的に向上させることができる。
【0080】
本実施形態の発電単位102では、Z軸方向に貫通する空気室用孔131であって、空気室166を構成する空気室用孔131が形成された空気極側フレーム部材130を備える。また、Z軸方向視での単セル110の中心点POを通り、かつ、Z軸方向に平行な少なくとも1つの断面において、第1の内側部126における、第1の内側部126と第1の連結部128との境界点P
2と単セル110の外縁との間の面方向における第1の長さL
1は、第1の外側部127における、第1の外側部127と第1の連結部128との境界点P
4と空気極側フレーム部材130の内縁との間の面方向における第2の長さL
2より短い。熱サイクルやヒートショック等により、第1のセパレータ120に応力がかかる際、その応力は第1のセパレータ120の第1の連結部128に集中する傾向がある。そして、単セル110の外縁から第1の連結部128までの第1の長さL
1が短いほど、単セル110は第1の連結部128にかかる応力の影響を受けやすく、単セル110の変形や割れを生じやすい。本発電単位102では、上述のとおりの構成とすることにより、第1の連結部128は、第1のセパレータ120において単セル110からより離れた外周側に位置する構成を実現できる。これにより、第1の連結部128にかかる応力が、単セル110にかかりにくい構成を実現できる。従って、本実施形態の発電単位102では、単セル110の変形や割れを更に効果的に抑制し、ひいては、発電単位102の性能を更に効果的に向上させることができる。
【0081】
本実施形態の発電単位102では、第1の貫通孔周囲部122におけるZ軸方向の下方向側の表面は、ロウ材を含む第1の接合部124を介して、単セル110の周縁部におけるZ軸方向の上方向側の表面に接合されている。上述したように、第1のセパレータ120に応力がかかり、第1のセパレータ120が第1の連結部128の位置で面方向に変形する際、第1の連結部128には下方向の応力がかかる。このように、本実施形態の発電単位102では、第1の連結部128にかかる応力の方向(下方向)と第1のセパレータ120の単セル110からの剥離方向(上方向)とが略反対方向となる構成を採用している。このため、Z軸方向において下方側に突出している第1の連結部128にZ軸方向において下方側への応力がかかった際に、第1のセパレータ120が単セル110から剥離しにくい。従って、本実施形態の発電単位102では、発電単位102の性能を向上させることができると共に、第1のセパレータ120の単セル110からの剥離を抑制することができる。
【0082】
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0083】
上記実施形態において、Z軸方向視における、第1のセパレータ120の第1の連結部128と第2のセパレータ180の第2の連結部188との位置関係は、
図9(A)に示す位置関係であってもよい。具体的には、Z軸方向視において、第2の連結部188の第2の連結部幅L
4の範囲内に、第1の連結部128の第1の最突出部P
5が位置する位置関係とすることができる。
【0084】
上記実施形態において、Z軸方向視における、第1の連結部128と第2の連結部188との位置関係は、
図9(B)に示す位置関係であってもよい。具体的には、Z軸方向視において、第1の連結部128の第1の連結部幅L
3に対して、第2の連結部188の第2の連結部幅L
4の一部が重なっている位置関係とすることができる。換言すれば、第1の連結部128の少なくとも一部分が第2の連結部188の少なくとも一部分に重なっている位置関係である。なお、
図9(B)では、第2の連結部188の内の第2の外側部187側において、第2の連結部幅L
4の一部が第1の連結部幅L
3に重なっている構成を示したが、これに限らず、第2の連結部188の内の第2の内側部186側において、第2の連結部幅L
4の一部が第1の連結部幅L
3に重なっている構成としてもよい。
【0085】
上記実施形態において、Z軸方向視における、第1の連結部128と第2の連結部188との位置関係は、
図10(A)に示す位置関係であってもよい。具体的には、Z軸方向において、第1の連結部幅L
3に対して、第2の連結部幅L
4が重なっていない位置関係とすることができる。換言すれば、第1の連結部128の少なくとも一部分が第2の連結部188の少なくとも一部分に重なっていない位置関係である。なお、
図10(A)では、第2の連結部188は、第1の連結部128に対して、第1の内側部126側に位置する構成を示したが、これに限らず、第2の連結部188が第1の外側部127側に位置する構成としてもよい。
【0086】
上記実施形態において、
図10(B)に示すように、第1の連結部128および第2の連結部188が、いずれも上下方向において上側に突出している構成であってもよい。具体的には、第1の連結部128が、第1の内側部126および第1の外側部127の位置から空気室166側(上側)に突出するように湾曲した形状を有していてもよい。すなわち、第1の連結部128における空気室166側(上側)は凸部となり、第1の連結部128における燃料室176側(下側)は凹部となる構成である。また、第2の連結部188についても第1の連結部128と同様に、第2の連結部188が、第2の内側部186および第2の外側部187の位置から燃料室176側(上側)に突出するように湾曲した形状を有していてもよい。すなわち、第2の連結部188における燃料室176側(上側)は凸部となり、第2の連結部188における空気室166側(下側)は凹部となる構成である。
【0087】
上記実施形態において、第1のセパレータ120は、第1の貫通孔周囲部122の表面の内の上方向側の表面において、単セル110を構成する燃料極116における電解質層112に対向する側(下側)の表面の周縁部に対向している構成としてもよい。この場合においても、第1のセパレータ120は、第1の貫通孔周囲部122に配置されたロウ材を含む第1の接合部124により、単セル110(燃料極116)と接合されうる。また、第2のセパレータ180は、第2の貫通孔周囲部182の表面の内の上方向側の表面において、インターコネクタ150における空気極114に対向する側(下側)の表面の周縁部に対向している構成としてもよい。この場合においても、第2のセパレータ180は、第2の貫通孔周囲部182において、例えば溶接により、インターコネクタ150と接合されうる。
【0088】
上記実施形態において、第1のセパレータ120および第2のセパレータ180は、Z軸方向視における単セル110の中心点POを通り、かつ、Z軸方向に平行な一部の断面において、上述の構成となっていてもよい。例えば、Z軸方向視において、第1の貫通孔121を取り囲むように形成される第1の連結部128は、第1の貫通孔121を取り囲む周の内の一部において形成されていなくてもよい。
【0089】
上記実施形態において、第1の連結部128および第2の連結部188は、Y軸方向視において、湾曲した形状に限らず、矩形状等、応力緩和機能を発揮可能な形状を採用してもよい。
【0090】
上記実施形態において、第1の連結部128の表面の内の燃料室176に面している側(下側)の表面から第2の連結部188の表面の内の燃料室176に面している側(上側)の表面までの、Z軸方向における距離はいずれの部分においても同一であってもよく、また、一部分において異なっていてもよい。
【0091】
上記実施形態において、第1の連結部128の第1の連結部幅L
3は、第2の連結部188の第2の連結部幅L
4と異なっていてもよい。
【0092】
上記実施形態において、内側部間距離D
1と、外側部間距離D
2と、連結部間距離D
3とを、燃料室176における距離としたが、空気室166における距離としてもよい。この場合、上記において、第1の内側部126を第2の内側部186と、第1の外側部127を第2の外側部187と、第1の連結部128を第2の連結部188と、空気室166を燃料室176と読み替えることとする。
【0093】
上記実施形態において、第1のセパレータ120と第2のセパレータ180との間の距離である、内側部間距離D
1と、外側部間距離D
2と、連結部間距離D
3との内の少なくとも1つの距離は他の距離と異なっていてもよい。
【0094】
上記実施形態において、Z軸方向における、第1の内側部126の位置と第1の外側部127の位置とは異なっていてもよい。また、Z軸方向における、第2の内側部186の位置と第2の外側部187の位置とは異なっていてもよい。
【0095】
上記実施形態において、第1の内側部126における第1の長さL
1は、第1の外側部127における第2の長さL
2と同等であってもよく、また、短くてもよい。
【0096】
上記実施形態において、第1のセパレータ120により、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とが区画され、かつ、第2のセパレータ180により、空気室166と、隣接する他の単セル110の燃料極116に面する燃料室176とが区画されることとしてもよい。この場合、上述において、第1の電極を燃料極116と読み替え、第2の電極を空気極114と読み替え、第1のガス室を燃料室176と読み替え、第2のガス室を空気室166と読み替えるものとする。
【0097】
上記実施形態では、空気室166における酸化剤ガスOGの主たる流れ方向と燃料室176における燃料ガスFGの主たる流れ方向とが交差するクロスフロータイプを例に挙げて説明しているが、本発明は、他のタイプ(上記2つの流れ方向が略同一方向であるコフロータイプや上記2つの流れ方向が略反対方向であるカウンターフロータイプ等)にも適用可能である。
【0098】
上記実施形態において、燃料電池スタック100に含まれる発電単位102の個数は、あくまで一例であり、発電単位102の個数は燃料電池スタック100に要求される出力電圧等に応じて適宜決められる。また、上記実施形態において、空気極114と電解質層112との間に中間層が配置されていてもよい。また、上記実施形態における各部材を構成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により構成されていてもよい。
【0099】
上記実施形態では、燃料ガスに含まれる水素と酸化剤ガスに含まれる酸素との電気化学反応を利用して発電を行うSOFCを対象としているが、本発明は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形電解セル(SOEC)の構成単位である電解セル単位や、複数の電解セル単位を備える電解セルスタックにも同様に適用可能である。なお、電解セルスタックの構成は、例えば特開2016−81813号に記載されているように公知であるためここでは詳述しないが、概略的には上述した実施形態における燃料電池スタック100と同様の構成である。すなわち、上述した実施形態における燃料電池スタック100を電解セルスタックと読み替え、発電単位102を電解セル単位と読み替え、単セル110を電解単セルと読み替えればよい。ただし、電解セルスタックの運転の際には、空気極114がプラス(陽極)で燃料極116がマイナス(陰極)となるように両電極間に電圧が印加されると共に、連通孔108を介して原料ガスとしての水蒸気が供給される。これにより、各電解セル単位において水の電気分解反応が起こり、燃料室176で水素ガスが発生し、連通孔108を介して電解セルスタックの外部に水素が取り出される。このような構成の電解セル単位および電解セルスタックにおいても、上記実施形態と同様の構成を採用すると、単セル110の変形や割れを抑制し、かつ、単セル110面における反応効率の低下を抑制し、かつ、電解セル単位の圧力損失が増大することを抑制し、ひいては、電解セル単位の性能を向上させることができる。