特許第6868060号(P6868060)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6868060皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法、皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物、およびその抽出物を含む医薬組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6868060
(24)【登録日】2021年4月13日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法、皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物、およびその抽出物を含む医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/287 20060101AFI20210426BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20210426BHJP
   C12P 17/06 20060101ALI20210426BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20210426BHJP
   A61P 37/08 20060101ALN20210426BHJP
   A61P 17/06 20060101ALN20210426BHJP
   A61K 9/06 20060101ALN20210426BHJP
   A61K 9/08 20060101ALN20210426BHJP
【FI】
   A61K36/287
   A61K31/352
   C12P17/06
   A61P17/00
   !A61P37/08
   !A61P17/06
   !A61K9/06
   !A61K9/08
【請求項の数】21
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-114564(P2019-114564)
(22)【出願日】2019年6月20日
(65)【公開番号】特開2021-1127(P2021-1127A)
(43)【公開日】2021年1月7日
【審査請求日】2019年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】潘 一紅
(72)【発明者】
【氏名】姚 心然
(72)【発明者】
【氏名】呂 居勳
(72)【発明者】
【氏名】▲温▼ 淑芳
(72)【発明者】
【氏名】許 博堯
(72)【発明者】
【氏名】李 明翰
(72)【発明者】
【氏名】莊 凱安
(72)【発明者】
【氏名】張 志萱
【審査官】 深草 亜子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−132894(JP,A)
【文献】 特開2015−063493(JP,A)
【文献】 国際公開第2019/070056(WO,A1)
【文献】 特開2015−212236(JP,A)
【文献】 特開2007−197345(JP,A)
【文献】 特開平05−085934(JP,A)
【文献】 特開平11−246455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00−36/9068
A61K 31/00−31/80
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚疾患の治療効果を有するキク(Chrysanthemum morifolium)抽出物の作製方法であって、
(a)抽出溶媒を用いてキクに抽出工程を行って抽出液を得るステップと、
(b)少なくとも1つの糖質加水分解酵素(glycoside hydrolases)を前記抽出液に加え、酵素反応を起こしてルテオリンおよびアピゲニンの含有量が高まった沈殿物を生成するステップと、
を含み、
前記少なくとも1つの糖質加水分解酵素が、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼおよびグルクロニダーゼからなる群より選ばれた少なくとも1つであって、
前記沈殿物が前記皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物である、
皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【請求項2】
前記抽出溶媒が水またはアルコールを含む、請求項1に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【請求項3】
前記抽出工程の温度が70〜100℃である、請求項1または2に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【請求項4】
前記抽出工程に要する時間が1〜3時間である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの糖質加水分解酵素がグルコシダーゼであり、前記グルコシダーゼがβ-グルコシダーゼである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの糖質加水分解酵素がグルコシダーゼおよびグルクロニダーゼであり、かつ前記グルコシダーゼがβ-グルコシダーゼであり、前記グルクロニダーゼがβ-グルクロニダーゼである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの糖質加水分解酵素と前記キクとの重量比が1:200〜10000である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【請求項8】
前記酵素反応の温度が25〜45℃である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【請求項9】
前記酵素反応に要する時間が5〜30時間である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【請求項10】
前記抽出液が水である、請求項1〜4、7〜9のいずれか1項に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【請求項11】
前記抽出工程の温度が70〜100℃である、請求項10に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの糖質加水分解酵素がβ-グルコシダーゼである、請求項10または11に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【請求項13】
前記β-グルコシダーゼと前記キクとの重量比が1:200〜10000である、請求
項12に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの糖質加水分解酵素がβ-グルコシダーゼおよびβ-グルクロニダーゼである、請求項10または11に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【請求項15】
前記β−グルコシダーゼおよび前記β−グルクロニダーゼと前記キクとの重量比が1:200〜10000である、請求項14に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【請求項16】
前記β−グルコシダーゼと前記β−グルクロニダーゼとの重量比が1〜2:1〜2である、請求項14に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【請求項17】
前記ステップ(b)において、前記酵素反応の後、冷却工程をさらに行って沈殿物の生成を促進する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【請求項18】
前記冷却工程の温度が約2〜15℃であり、前記冷却工程に要する時間が2〜24時間である、請求項17に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【請求項19】
前記ステップ(b)の後に、前記沈殿物に洗浄工程を行うステップをさらに含む請求項1〜18のいずれか1項に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【請求項20】
前記洗浄工程が、
(i)前記沈殿物をアルコール溶媒で再溶解して混合溶液を作製するステップであって、前記混合溶液が溶液部分および不溶物を含む、ステップと、
(ii)前記溶液部分に濃縮および乾燥プロセスを行って洗浄した沈殿物を得るステップと、
を含む、請求項19に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【請求項21】
前記アルコール溶媒がメタノールまたはエタノールを含む、請求項20に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術分野は植物抽出物の作製方法に関し、より詳細には、皮膚疾患の治療効果を有するキク(Chrysanthemum morifolium)抽出物の作製方法、皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物、およびこの抽出物を含む皮膚疾患の治療に用いる医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚疾患は全世界で最もよく見られる疾患であり、人口の約3分の1が、一生の間に病理上の皮膚疾患を患う。保健医療支出において、皮膚関連の医療コストは25%にも達する。
【0003】
皮膚疾患は4つの主要なカテゴリー、つまり皮膚炎(例えばアレルギー性および接触性)、癌(例えばメラノーマ)、免疫疾患(例えば乾癬)、ならびに感染性皮膚疾患(例えば細菌、真菌、およびウィルス感染)に分けることができる。
【0004】
ステロイド外用薬は、様々な皮膚の状態、特にアトピー性皮膚炎および乾癬に広く用いられている。深刻な皮膚炎患者にはより高い用量でステロイドが用いられる。ステロイドに分類される多くの化合物、例えばベタメタゾンまたはプレドニゾロンは、炎症性疾患の治療に非常に効果的である。しかし、これら化合物の長期間にわたる使用は、患者の皮膚萎縮を引き起こす可能性もある。ステロイド治療中に皮膚萎縮が生じた患者は通常、ステロイドレスポンダー(steroid responder)と見なされる。すでに皮膚疾患の症状のある患者(例えば乾癬患者)に対する皮膚萎縮の影響が懸念されている。しかし、正常な皮膚であっても、ステロイドを長期間使用するケースでは、皮膚損傷などの副作用が生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、ステロイドに代わり得る安全な皮膚用薬、特に植物性の薬の開発が、重要課題となっている。
【0006】
本開示は、皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法であって、(a)抽出溶媒を用いてキクに抽出工程を行って抽出液を得るステップと、(b)少なくとも1つの糖質加水分解酵素(glycoside hydrolases)を抽出液に加え酵素反応を起こして沈殿物を生成するステップとを含み、該沈殿物が皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物である方法を提供する。
【0007】
本開示はまた、上述の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法を用いて得られる、皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物も提供する。
【0008】
本開示はまた、次の2つの指標成分(indicator ingredients)、つまりルテオリンおよびアピゲニンを少なくとも含む皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物であって、該キク抽出物中、ルテオリンとアピゲニンとの含有量比が約1:1〜30である、キク抽出物も提供する。
【0009】
本開示は、皮膚疾患の治療に用いる医薬組成物であって、任意の上述した皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物と、薬学的に許容されるビヒクル、担体または塩と、を含む医薬組成物をさらに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の通りである。
[1]皮膚疾患の治療効果を有するキク(Chrysanthemum morifolium)抽出物の作製方法であって、
(a)抽出溶媒を用いてキクに抽出工程を行って抽出液を得るステップと、
(b)少なくとも1つの糖質加水分解酵素を前記抽出液に加え、酵素反応を起こして沈殿物を生成するステップと、
を含み、
前記少なくとも1つの糖質加水分解酵素が、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼおよびグルクロニダーゼからなる群より選ばれた少なくとも1つであって、
前記沈殿物が前記皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物である、
皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【0011】
[2]前記抽出溶媒が水またはアルコールを含む、[1]に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【0012】
[3]前記抽出工程の温度が70〜100℃である、[1]または[2]に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【0013】
[4]前記抽出工程に要する時間が1〜3時間である、[1]〜[3]のいずれかに記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【0014】
[5]前記少なくとも1つの糖質加水分解酵素がグルコシダーゼであり、前記グルコシダーゼがβ-グルコシダーゼである、[1]〜[4]のいずれかに記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【0015】
[6]前記少なくとも1つの糖質加水分解酵素がグルコシダーゼおよびグルクロニダーゼであり、かつ前記グルコシダーゼがβ-グルコシダーゼであり、前記グルクロニダーゼがβ-グルクロニダーゼである、[1]〜[4]のいずれかに記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【0016】
[7]前記少なくとも1つの糖質加水分解酵素と前記キクとの重量比が1:200〜10000である、[1]〜[6]のいずれかに記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【0017】
[8]前記酵素反応の温度が25〜45℃である、[1]〜[7]のいずれかに記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【0018】
[9]前記酵素反応に要する時間が5〜30時間である、[1]〜[8]のいずれかに記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【0019】
[10]前記抽出液が水である、[1]〜[4]、[7]〜[9]のいずれかに記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【0020】
[11]前記抽出工程の温度が70〜100℃である、[10]に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【0021】
[12]前記少なくとも1つの糖質加水分解酵素がβ-グルコシダーゼである、[10]または[11]に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【0022】
[13]前記β-グルコシダーゼと前記キクとの重量比が1:200〜10000である、[12]に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【0023】
[14]前記少なくとも1つの糖質加水分解酵素がβ-グルコシダーゼおよびβ-グルクロニダーゼである、[10]または[11]に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【0024】
[15]前記β−グルコシダーゼおよび前記β−グルクロニダーゼと前記キクとの重量比が1:200〜10000である、[14]に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【0025】
[16]前記β−グルコシダーゼと前記β−グルクロニダーゼとの重量比が1〜2:1〜2である、[14]に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【0026】
[17]前記ステップ(b)において、前記酵素反応の後、冷却工程をさらに行って沈殿物の生成を促進する、[1]〜[16]のいずれかに記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【0027】
[18]前記冷却工程の温度が約2〜15℃であり、前記冷却工程に要する時間が2〜24時間である、[17]に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【0028】
[19]前記ステップ(b)の後に、前記沈殿物に洗浄工程を行うステップをさらに含む[1]〜[18]のいずれかに記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【0029】
[20]前記洗浄工程が、
(i)前記沈殿物をアルコール溶媒で再溶解して混合溶液を作製するステップであって、前記混合溶液が溶液部分および不溶物を含む、ステップと、
(ii)前記溶液部分に濃縮および乾燥プロセスを行って洗浄した沈殿物を得るステップと、
を含む、[19]に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【0030】
[21]前記アルコール溶媒がメタノールまたはエタノールを含む、[20]に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法。
【0031】
[22]下記2つの指標成分:
ルテオリン、および
アピゲニン
を少なくとも含む皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物であって、
前記ルテオリンおよび前記アピゲニンの含有量の和が約15〜85wt%である、皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物。
【0032】
[23][22]に記載の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物と、薬学的に許容されるビヒクル、担体または塩と、を含む皮膚疾患の治療に用いる医薬組成物。
【0033】
[24]前記医薬組成物が局所剤形(topical dosage form)であり、前記局所剤形は軟膏、クリーム、液剤またはゲルを含む、[23]に記載の皮膚疾患の治療に用いる医薬組成物。
【0034】
[25]前記皮膚疾患がアレルギー性皮膚炎もしくは接触性皮膚炎、または乾癬を含む、[23]または[24]に記載の皮膚疾患の治療に用いる医薬組成物。
【発明の効果】
【0035】
ステロイドに代わり得る安全な植物性の皮膚疾患用治療薬を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1A図1Aは、未処置群(処理を施していない)、対照群(50mgイミキモド(IMQ)クリーム)、イミキモド(IMQ)+ビヒクル群(50mgイミキモドクリーム+軟膏のビヒクル)および実験群(50mgイミキモドクリーム+PTBX軟膏)のマウスの背中の皮膚の紅斑スコアを示している。平均±標準偏差。###:p<0.001(未処置群と比較)、φφ:p<0.01(対照群と比較)。T検定。
図1B図1Bは、未処置群(処理を施していない)、対照群(50mgイミキモド(IMQ)クリーム)、イミキモド(IMQ)+ビヒクル群(50mgイミキモドクリーム+軟膏のビヒクル)および実験群(50mgイミキモドクリーム+PTBX軟膏)のマウスの背中の皮膚の落屑スコアを示している。平均±標準偏差。###:p<0.001(未処置群と比較)。φφφ:p<0.001(対照群と比較)。*:p<0.05(イミキモド(IMQ)+ビヒクル群と比較)。T検定。
図1C図1Cは、未処置群(処理を施していない)、対照群(50mgイミキモド(IMQ)クリーム)、イミキモド(IMQ)+ビヒクル群(50mgイミキモドクリーム+軟膏のビヒクル)および実験群(50mgイミキモドクリーム+PTBX軟膏)のマウスの背中の皮膚の累積スコア(cumulative score)を示している。平均±標準偏差。###:p<0.001(未処置群と比較)。φφφ:p<0.001(対照群と比較)。*:p<0.05(イミキモド(IMQ)+ビヒクル群と比較)。T検定。
図1D図1Dは、未処置群(処理を施していない)、対照群(50mgイミキモド(IMQ)クリーム)、イミキモド(IMQ)+ビヒクル群(50mgイミキモドクリーム+軟膏のビヒクル)および実験群(50mgイミキモドクリーム+PTBX軟膏)のマウスの背中の皮膚の写真およびH&E染色の結果を示している。
図1E図1Eは、未処置群(処理を施していない)、対照群(50mgイミキモド(IMQ)クリーム)、イミキモド(IMQ)+ビヒクル群(50mgイミキモドクリーム+軟膏のビヒクル)および実験群(50mgイミキモドクリーム+PTBX軟膏)のマウスの背中の皮膚の厚みを示している。平均±標準偏差。###:p<0.001(未処置群と比較)。*:p<0.05(イミキモド(IMQ)+ビヒクル群と比較)。T検定。
図1F図1Fは、未処置群(処理を施していない)、対照群(50mgイミキモド(IMQ)クリーム)、イミキモド(IMQ)+ビヒクル群(50mgイミキモドクリーム+軟膏のビヒクル)および実験群(50mgイミキモドクリーム+PTBX軟膏)のマウスの背中の皮膚のケラチン(K14)遺伝子発現量を示している。平均±標準偏差。###:p<0.001(未処置群と比較)。*:p<0.05(イミキモド(IMQ)+ビヒクル群と比較)。T検定。
図1G図1Gは、未処置群(処理を施していない)、対照群(50mgイミキモド(IMQ)クリーム)、イミキモド(IMQ)+ビヒクル群(50mgイミキモドクリーム+軟膏のビヒクル)および実験群(50mgイミキモドクリーム+PTBX軟膏)のマウスの背中の皮膚のフィラグリン(FLG)遺伝子発現量を示している。平均±標準偏差。#:p<0.05(未処置群と比較)。**:p<0.01(イミキモド(IMQ)+ビヒクル群と比較)。T検定。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下の詳細な記載においては、説明の目的で、開示される実施形態が十分に理解されるよう、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、これら具体的な説明が無くとも1つまたはそれ以上の実施形態が実施可能であることは、明らかであろう。また、図を簡潔とするため、周知の構造および装置は概略的に示される。
【0038】
添付の図面を参照しながら、以下の実施形態において詳細な説明を行う。添付の図面ならびに以下の詳細な説明および実施例の開示より、本発明をより十分に理解することができる。
【0039】
(1)キク抽出物の作成方法
本開示は、皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法を提供する。本明細書に記載される皮膚疾患に特定の限定はなく、例として皮膚炎(例えばアレルギー性または接触性)、免疫疾患(例えば乾癬)、感染性皮膚疾患(例えば細菌、真菌、ウィルス感染)であり得る。
【0040】
上記方法は、限定はされないが、次のステップを含み得る。
【0041】
先ず、抽出溶媒を用いてキクに抽出工程を行って抽出液を得る。前記抽出液は、抽出工程から直接得た抽出液であってもよいし、あるいは水または緩衝液を用い上述の抽出工程から直接得られた抽出液をさらに乾燥させることにより形成された粉末を再溶解してなる溶液であってもよく、特に限定はない。緩衝液の例には、限定はされないが、酢酸緩衝液が含まれ得る。
【0042】
本発明のキク抽出物の作成に用いられるキクは、キク属のキク(Chrysanthemum morifolium)である。キク属の中でも後述するシマカンギク(Chrysanthemum indicum L、金門油菊)、シロバナムシヨケギク(Chrysanthemum cinerariifolium)およびオッタチカンギク(Chrysanthemum indicum、台湾小油菊)等のキクでは、所望のキク抽出物は得られない。
【0043】
また、上述した抽出溶媒の例には水およびアルコールが含まれ得るが、これらに限定はされない。一実施形態では、抽出溶媒は水であってよい。
【0044】
抽出工程の温度は約70〜100℃であるが、これに限定されない。一実施形態では、抽出工程の温度は約80〜95℃である。また、抽出工程に要する時間は約1〜3時間であり得るが、これに限定はされない。一実施形態では、抽出工程に要する時間は約1〜2時間であり得る。
【0045】
次いで、少なくとも1つの糖質加水分解酵素を抽出液に加え、酵素反応を起こして沈殿物を生成する。得られた沈殿物が、皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物である。
【0046】
上記糖質加水分解酵素と上記キクとの重量比は約1:200〜10000、例えば1:3000〜8000、1:1500〜4000、1:750〜2000、1:300〜800であってよいが、これらに限定されることはない。一実施形態では、上記糖質加水分解酵素と上記キクとの重量比は約1:3000〜8000であってよい。別の実施形態では、上記糖質加水分解酵素と上記キクとの重量比は約1:1500〜4000であってよい。また別の実施形態では、上記糖質加水分解酵素と上記キクとの重量比は約1:750〜2000であってよい。さらに別の実施形態では、上記糖質加水分解酵素と上記キクとの重量比は約1:300〜800であってよい。
【0047】
また、上記酵素反応に要する温度は約25〜45℃、例えば25℃、30℃、35℃、36℃、37℃、37.5℃、38℃、39℃、40℃であってよいが、これらに限定はされない。一実施形態では、上記酵素反応の温度は約37℃であり得る。加えて、上記酵素反応に要する時間は約5〜30時間、例えば5〜25時間、10〜24時間であってよいが、これらに限定はされない。一実施形態では、上記酵素反応に要する時間は約16〜24時間であり得る。
【0048】
上記糖質加水分解酵素は、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルクロニダーゼ、およびこれら任意の組み合わせが含まれる。上記グルコシダーゼにはα-グルコシダーゼ、β-グルコシダーゼ、またはこれらの組み合わせが含まれ得る。上記ガラクトシダーゼにはα-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、またはこれらの組み合わせが含まれ得る。さらに、上記グルクロニダーゼにはα-グルクロニダーゼ、β-グルクロニダーゼ、またはこれらの組み合わせが含まれ得る。
【0049】
一実施形態では、上記少なくとも1つの糖質加水分解酵素はグルコシダーゼであり得、この実施形態において、上記グルコシダーゼはβ−グルコシダーゼである。また、この実施形態において、上記β−グルコシダーゼと上記キクとの重量比は約1:200〜10000、例えば1:3000〜8000、1:1500〜4000、1:750〜2000、1:300〜800であってよいが、これらに限定はされない。一実施形態では、上記β−グルコシダーゼと上記キクとの重量比は約1:3000〜8000であってよい。別の実施形態では、上記β−グルコシダーゼと上記キクとの重量比は約1:1500〜4000であってよい。また別の実施形態では、上記β−グルコシダーゼと上記キクとの重量比は約1:1500であってよい。さらに別の実施形態では、上記β−グルコシダーゼと上記キクとの重量比は約1:750〜2000であり得る。さらにまた別の実施形態では、上記β−グルコシダーゼと上記キクとの重量比は約1:300〜800であり得る。
【0050】
一実施形態では、上記少なくとも1つの糖質加水分解酵素はグルコシダーゼおよびグルクロニダーゼであり得る。この実施形態において、グルコシダーゼとグルクロニダーゼとの重量比は約1〜2:1〜2、例えば1:1、1.5:1、2:1、1:1.5、1:2などであってよいが、これらに限定はされない。また、この実施形態において、グルコシダーゼおよびグルクロニダーゼと上記キクとの重量比は約1:200〜10000、例えば1:3000〜8000、1:1500〜4000、1:750〜2000、1:300〜800であってよいが、これらに限定はされない。一実施形態では、グルコシダーゼおよびグルクロニダーゼと上記キクとの重量比は約1:1500〜4000であり得る。
【0051】
さらに、上述した本開示の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法では、一実施形態において、水を用いてキクに抽出工程を行って、キクの水抽出物を得る。
【0052】
また、この実施形態において、上記抽出工程の温度は約70〜100℃であってよく、かつ上記抽出工程に要する時間は約1〜3時間であり得る。
【0053】
さらに、水を抽出溶媒として用いる上記実施形態のうち、特定の一実施形態では、少なくとも1つの糖質加水分解酵素を抽出液に加え酵素反応を起こして沈殿物を生成するステップにおいて、用いられる少なくとも1つの糖質加水分解酵素はグルコシダーゼである。このグルコシダーゼはβ−グルコシダーゼであってよい。さらに、上記酵素反応の温度は25〜45℃、例えば25℃、30℃、35℃、36℃、37℃、37.5℃、38℃、39℃、40℃であってよいが、これらに限定はされない。特定の一実施形態では、上記酵素反応の温度は約37℃であり得る。加えて、上記酵素反応に要する時間は約5〜30時間、例えば5〜25時間、16〜24時間であってよいが、これらに限定はされない。特定の一実施形態では、上記酵素反応に要する時間は約16〜24時間であり得る。用いられる少なくとも1つの糖質加水分解酵素がβ−グルコシダーゼであるとき、β−グルコシダーゼとキクとの重量比は1:200〜10000であることが好ましく、約1:300〜10000、例えば1:3000〜8000、1:1500〜4000、1:750〜2000、1:400〜800とすることができるが、これらに限定されることはない。
【0054】
加えて、水を抽出溶媒として用いる上記実施形態のうち、別の特定の実施形態では、少なくとも1つの糖質加水分解酵素を抽出液に加え酵素反応を起こして沈殿物を生成するステップにおいて、用いられる少なくとも1つの糖質加水分解酵素はグルコシダーゼおよびグルクロニダーゼである。このグルコシダーゼはβ-グルコシダーゼであってよく、また、このグルクロニダーゼはβ−グルクロニダーゼであってよい。さらに、上記酵素反応の温度は35〜40℃、例えば35℃、36℃、37℃、37.5℃、38℃、39℃、40℃であってよいが、これらに限定はされない。特定の一実施形態では、上記酵素反応の温度は約37℃であり得る。加えて、上記酵素反応に要する時間は約5〜30時間、例えば5〜25時間、16〜24時間であってよいが、これらに限定はされない。特定の一実施形態では、上記酵素反応に要する時間は約16〜24時間であり得る。用いられる少なくとも1つの糖質加水分解酵素がβ−グルコシダーゼおよびβ−グルクロニダーゼであるとき、β−グルコシダーゼおよびβ−グルクロニダーゼとキクとの重量比は、1:200〜10000であることが好ましく、約1:500〜5000、例えば1:1500〜4000であってよいが、これに限定はされない。さらに、β−グルコシダーゼとβ−グルクロニダーゼとの重量比は約1〜2:1〜2、例えば1:1、1.5:1、2:1、1:1.5、1:2などであり得る。
【0055】
上述した本開示の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法に関し、別の実施形態では、少なくとも1つの糖質加水分解酵素を抽出液に加え酵素反応を起こして沈殿物を生成するステップにおいて、酵素反応後に、冷却工程をさらに行って沈殿物の生成を促進することができる。冷却工程の温度は約2〜15℃、例えば4℃とすることができるが、これに限定はされない。冷却工程に要する時間は約2〜24時間、例えば24時間であり得る。
【0056】
別の実施形態では、上述した本開示の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法は、少なくとも1つの糖質加水分解酵素を抽出液に加え酵素反応を起こして沈殿物を生成するステップの後に、沈殿物に洗浄工程を行うステップをさらに含んでいてよい。
【0057】
上記洗浄工程は次のステップを含み得るが、これらに限定はされない。
【0058】
先ず、上記沈殿物をアルコール溶媒で再溶解して混合溶液を作製する。この混合溶液には溶解部分と不溶物とが含まれる。一実施形態では、上記アルコール溶媒の例には、限定はされないが、メタノールおよびエタノールが含まれ得る。一実施形態では、上記アルコール溶媒はメタノールであり得る。
【0059】
その後、溶解部分を濃縮、乾燥し、洗浄された沈殿物を得る。この沈殿物は皮膚疾患の治療効果を有する。
【0060】
任意の上述した本開示の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法を用いることにより、キク抽出物に酵素処理を施してバイオコンバージョン(bio−conversion)が生じると、キク抽出物の活性成分の含量が高まると共に、溶媒に対するキク抽出物の成分の溶解度が変化し、沈殿精製の目的を達成できるようになる。
【0061】
さらに、任意の上述した本開示の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法を用いることにより、キク抽出物の2つの指標成分、つまりルテオリンおよびアピゲニンの総含有量が大幅に高まると共に、1ステップの酵素処理のみによって高純度のキク抽出物が得られ、1ステップ精製の効果が達せられる。任意の上述した本開示の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法により得られたキク抽出物中、ルテオリンおよびアピゲニンの含有量の和は約15〜85wt%、例えば約15〜80wt%、約20〜85wt%、約25〜80wt%、約30〜85wt%、約35〜75wt%、約40〜70wt%、約40〜65wt%、約45wt%、約50wt%、約55wt%、約60wt%、約65wt%、約70wt%、約75wt%、約80wt%、約85wt%であってよいが、これらに限定はされない。
【0062】
ルテオリンとアピゲニンの含有量比は約1:1〜30であってよいが、これに限定はされない。一実施形態では、ルテオリンとアピゲニンの含有量比は約1:1〜30、例えば1:1〜25とすることができるが、これらに限定はされない。
【0063】
(2)キク抽出物
したがって、本開示が、任意の上述した本開示の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法により得られる、皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物をも提供できることが理解され得る。
【0064】
上述した本開示の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法により得られるキク抽出物は、2つの指標成分、つまりルテオリンおよびアピゲニンを少なくとも含む。上記キク抽出物中、ルテオリンおよびアピゲニンの含有量の和は約15〜85wt%であり、例えば約15〜80wt%、約20〜85wt%、約25〜80wt%、約30〜85wt%、約35〜75wt%、約40〜70wt%、約40〜65wt%、約45wt%、約50wt%、約55wt%、約60wt%、約65wt%、約70wt%、約75wt%、約80wt%、約85wt%であってよいが、これらに限定はされない。
【0065】
上述した本開示の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物の作製方法により得られるキク抽出物中、ルテオリンとアピゲニンとの含有量比は約1:1〜30であってよいが、これに限定はされない。1実施形態では、ルテオリンとアピゲニンとの含有量比は約1:1〜30、例えば1:1〜25であってよいが、これに限定はされない。
【0066】
さらに、本開示は、別の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物であって、限定はされないが2つの指標成分、つまりルテオリンおよびアピゲニンを少なくとも含み得ると共に、ルテオリンとアピゲニンとの含有量比が約1:1〜30であり得るがこれに限定されない、キク抽出物も提供し得る。
【0067】
一実施形態では、ルテオリンとアピゲニンとの含有量比は約1:1〜30、例えば1:1〜25であってよいが、これに限定はされない。
【0068】
(3)医薬組成物
加えて、本開示は、皮膚疾患を治療するのに用いる医薬組成物をさらに提供する。本開示の皮膚疾患を治療するのに用いる医薬組成物は、任意の上述した本開示の皮膚疾患の治療効果を有するキク抽出物と、薬学的に許容されるビヒクル、担体または塩と、を含み得る。
【0069】
薬学的に許容されるビヒクルは、活性成分の希釈剤、分散剤または担体として機能し得る。薬学的に許容されるビヒクルには、水、液体または固体皮膚軟化剤、シリコーン油、乳化剤、溶媒、保湿剤、増粘剤、粉末、噴射剤および類似のスキンケア製品によく用いられる材料が含まれ得る。
【0070】
ビヒクルは、上記した組成物の重量の80%〜99.9wt%、好ましくは90〜99wt%を占めてよく、かつ他の補助剤(adjuncts)が存在しない場合に、組成物の残りの部分を形成することができる。
【0071】
また、肌に有益なその他の特定の成分、例えば日焼け止め、美白剤およびタンニング剤(skin tanning agent)が、上記組成物中に含まれてもよい。ビヒクルには、例えば抗酸化剤、香料、 乳白剤、防腐剤、着色料および緩衝剤のような補助剤がさらに含まれていてもよい。
【0072】
加えて、一実施形態では、上述した組成物はいずれも、限定はされないが、クリーム、軟膏、ゲル、液剤、スプレー、ローション、化粧水(skin tonics)、シャンプーまたはムースなどが含まれる皮膚塗布形式(skin spreading form)に製造することができる。スキンスプレーは一般に、エアロゾル化コポリマー、例えばポリビニルピロリドン、酢酸ビニル、および類似のものから構成され、かつセットローション(setting lotion)としても機能し得る。組成物において、スキンゲルの作製方法はスプレーと類似するが、ゲル状かつアルコールフリーの形態で、皮膚をコートすることができる。スキンムースは、加圧下でエアロゾル化缶(aerosolized can)から放出される泡沫である。スキンクリームは、疎水性もしくは親水性クリーム、軟膏、ゲル、軟化剤、スプレー、ローション、スキントニック、シャンプーまたはムースであってよく、当該分野において既知のタイプのスキンクリームに用いるのに適したさらなる成分が追加されても好ましく、かかるさらなる成分には、ワセリン、ワックス、ラノリン、シリコーン、リポソーム、野菜、ミネラルオイル、可塑剤、香料、防腐剤、浸透増強剤(penetration enhancing agent)、pH調整剤またはスキンクリームに適したその他の成分が含まれ得る。これら成分は、肌に潤いを与え、活性成分を安定させ、組成物と皮膚との接触を増やすことができ、ひいては局所の濃度を高めると共に、組成物の放出をコントロールすることができる。
【0073】
上述の薬学的に許容される担体には、限定はされないが、溶媒、分散媒、コーティング、抗菌および抗真菌剤、または等張化および吸収遅延剤(isotonic and absorption delaying agent)などが含まれてよく、これらは薬学的投与に適したものである。医薬組成物は、従来の方法を用い、それぞれ異なる投与経路に適した剤形に製剤化することができる。
【0074】
さらに、上述の薬学的に許容される塩には、限定はされないが、無機カチオン、例えばナトリウム塩、カリウム塩またはアミン塩のようなアルカリ金属塩、例えばマグネシウム塩またはカルシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、例えば亜鉛塩、アルミニウム塩またはジルコニウム塩のような2価または4価のカチオンを含む塩、を含む塩が含まれ得る。また、薬学的に許容される塩は、有機塩、例えばジシクロヘキシルアミン塩、メチル−D−グルカミン、およびアルギニン、リジン、ヒスチジン、またはグルタミンのようなアミノ酸塩であってもよい。
【0075】
本開示の医薬組成物は、経口で、吸入スプレー用いて非経口で、または埋め込み型リザーバー(implanted reservoir)を介して、投与することができる。非経口の方法には、患部への塗布、皮下(subcutaneous)、皮内(intracutaneous)、静脈内(intravenous)、筋肉内(intramuscular)、関節内(intra−articular)、動脈内(intra−arterial)、滑膜内(intrasynovial)、胸骨内(intrasternal)、髄腔内(intrathecal)、および病巣内(intralesional)注射ならびに注入(infusion)技術が含まれ得る。
【0076】
経口用組成物(oral composition)には、限定はされないが、錠剤、カプセル、乳剤(emulsions)、ならびに水性懸濁液、分散液および溶液が含まれ得る。
【0077】
局所塗布用組成物の形式には、軟膏、クリーム、液剤、ゲルなどが含まれ得るが、これらに限定はされない。
【0078】
本開示の皮膚疾患を治療するのに用いる医薬組成物は、局所剤形または全身剤形とすることができるが、これらに限定はされない。一実施形態では、本開示の皮膚疾患を治療するのに用いる医薬組成物は局所剤形であってよく、かつこの局所剤型の例には、限定はされないが、軟膏、クリーム、液剤、およびゲルが含まれ得る。
【0079】
任意の上述した本開示の皮膚疾患を治療するのに用いる医薬組成物は、各種皮膚疾患を治療するのに用いることができ、特に限定はない。また、上述の本開示の皮膚疾患を治療するのに用いる医薬組成物はすべて、各種皮膚疾患に対する優れた治療効果を有しており、皮膚炎症を治療および/または軽減する効果に特に優れている。
【0080】
一実施形態では、任意の上述した本開示の皮膚疾患を治療するのに用いる医薬組成物は、アレルギー性皮膚炎または接触性皮膚炎を治療するのに用いることができる。別の実施形態では、任意の上述した本開示の皮膚疾患を治療するのに用いる医薬組成物は、自己免疫性皮膚疾患、例えば乾癬を治療するのに用いることができる。
【実施例】
【0081】
実施例1
粗抽出物PTB1の作製
【0082】
キク(Chrysanthemum morifolium)およびその15倍の重量の水とを混合して混合物を作製した。その混合物を加熱して沸騰させ(約90〜100℃)、加熱抽出を1時間行ってから、その中の固体残留物を除去して抽出液を得た。その抽出液に真空濃縮および乾燥工程を行い、粗抽出物PTB1を得た。得られた粗抽出物PTB1の重量と元の薬草材料の重量との比は約1:1.5〜4であった。
【0083】
実施例2
酵素処理抽出物PTBXの作製
【0084】
キクおよびその15倍の重量の水とを混合して混合物を作製した。その混合物を加熱して沸騰させ(約90〜100℃)、加熱抽出を1時間行ってから、その中の固体残留物を除去して抽出液を得た。
【0085】
その抽出液を室温まで冷却した後、酵素であるβ−グルコシダーゼをその中に加えた。加えた酵素の重量と元の薬草材料の重量との比は1:1500であった。次いで、その酵素含有抽出液を37℃のインキュベーターに入れ、16〜24時間反応させた。反応が完了した後、その酵素反応抽出液を4℃の冷蔵庫に24時間入れ、沈殿物の生成を促進させた。
【0086】
その溶液を固液分離して沈殿物を取り出し、その沈殿物をメタノールで再溶解して混合溶液を作製した。その混合溶液は溶液部分と不溶物とを含んでいた。次いで、溶液部分を取り出し、真空濃縮および乾燥工程を行って、酵素処理抽出物PTBXを得た。
【0087】
実施例3
1.PTBX軟膏の作製
【0088】
PTBX乾燥粉末(1g)、ならびに95%エタノール(1.4g)、ポリエチレングリコール400(10g)、ポリエチレングリコール4000(4.5g)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(ethoxylated hydrogenated castor oil)(0.15g)および高純度脱イオン水(2.95ml)の混合物を60℃に加熱し、均一に混ざるまで攪拌して、外用軟膏剤形を作製した。このうち、95%エタノール、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール4000、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油および高純度脱イオン水はビヒクルの成分である。
【0089】
2.純ビヒクル(simple vehicle)の作製
【0090】
95%エタノール(1.4g)、ポリエチレングリコール400(10g)、ポリエチレングリコール4000(4.5g)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(ethoxylated hydrogenated castor oil)(0.15g)および高純度脱イオン水(2.95ml)の混合物を60℃に加熱し、均一に混ざるまで攪拌した。
【0091】
実施例4
酵素処理前後におけるキク抽出物の化学成分の変化
【0092】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、酵素処理前後における抽出物中の指標成分の含有量の変化を確認した。
【0093】
この実験では、2つのフラボノイド成分、ルテオリンおよびアピゲニンをキク抽出物の指標成分として選んだと共に、これら2つの指標成分にそれぞれ対応する1つの糖誘導体、ルテオリン7−O−グルコシドおよびアピゲニン−7−O−グルコシドの含有量の変化も同時に観察し、高速液体クロマトグラフィーで各成分の含有量分析を行った。
【0094】
酵素処理前後におけるキク抽出物の高速液体クロマトグラフィーの結果を表1に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
表1より、キク抽出物のルテオリンおよびアピゲニンの総含有量が、酵素処理前の0.063%(w/w、乾燥量基準)から、酵素処理後の60.848%(w/w、乾燥量基準)まで高まったことがわかる。言い換えると、本開示で用いる酵素処理は、ルテオリンおよびアピゲニンの総含有量を大幅に高めることができると共に、1ステップ精製の効果を達成することができる。
【0097】
実施例5
酵素処理前後のキク抽出物の生物活性の変化
【0098】
1.酵素処理抽出物PTBXのin vitro角化細胞増殖抑制活性の評価
【0099】
5×103のHaCaT角化細胞を96ウェルプレートに接種し、37℃、5%CO2のインキュベーターに入れて培養した。16時間培養した後、この時点(T0)での細胞数を細胞増殖の基準点として用い、異なる工程から得たキク抽出物であるPTB1またはPTBXを細胞に加えて共培養した。48時間(T48)共培養した後、プレート中の上清を除去し、50μLのMTT溶液(0.5mg/mL)を細胞に加えた。その後、プレートを37℃、5%CO2インキュベーターに入れて1.5時間培養してから、150μLのDMSOをプレートに加え、プレートを5分振とうした。次いで、連続波長マイクロプレートアナライザー(continuous wavelength microplate analyzer)で570nmの吸光度を測定し、かつ下式により細胞増殖活性を計算した。
【0100】
細胞増殖活性=ODT0/ODT48×100
【0101】
実験結果を表2に示す。
【0102】
2.リポ多糖(LPS)で誘発された炎症に対する酵素処理抽出物PTBXのin vitro抑制の評価
【0103】
5×105細胞/mLのRAW264.7細胞を、96ウェルプレートに接種し、37℃、5%CO2でオーバーナイト培養した。プレート中の上清を除去し、リポ多糖(50ng/mL)および異なる濃度のPTB1またはPTBXを細胞に加えた。
【0104】
24時間反応させた後、プレート中の上清を採取し、Griess reagent(Promega, Cat. No. G2930)で上清中のNOの含有量を調べた。
【0105】
また、50μLのMTT(0.5mg/mL)含有培地をプレート中の細胞部分に加えた。その後、プレートを37℃、5%CO2インキュベーターに入れ、15〜20時間培養し、次いで150μLのDMSOをプレートに加えて5〜10分振とうした。最後に、連続波長マイクロプレートアナライザーでOD570を読み取り、下式により細胞生存率を計算した。
【0106】
細胞生存率(%)=(実験群のOD値/対照群のOD値)×100
【0107】
実験結果を表2に示す。
【0108】
3.DNFBで誘発したアレルギーに対する酵素処理抽出物PTBXのin vitro抑制活性の評価
【0109】
2×104正常ヒト表皮角化細胞(NHEKs)を96ウェルプレートに接種してから、TNF−α組換え体(100ng/mL、PeproTech Cat.No.300−01A)をプレートに加え、細胞と共培養した。6時間共培養した後、DNFB(1μM、Sigma Cat.No.D1529)および異なる濃度のPTB1またはPTBXをプレートに加え、48時間培養を続けた。その後、プレート中の上清を収集し、Human IL−1β DuoSet ELISA(Invitrogen;Cat.No.BMS224)を、メーカーの推奨する手順に従って用い、上清中のIL−1β含有量を分析し、細胞のIL−1β発現量を確認した。
【0110】
実験結果を表2に示す。
【0111】
4.IL−31に引き起こされた掻痒に対する酵素処理抽出物PTBXのin vitro抑制活性の評価
【0112】
2×104正常ヒト表皮角化細胞(NHEKs)を96ウェルプレートに接種してから、TLR1/2刺激剤、Pam3Cys−Ser−(Lys)4(1μg/mL; Abcam;Cat.No.ab14208)をプレートに加えて細胞と共培養した。6時間共培養した後、IL−31の組換え体(100ng/ml; PeproTech;Cat.No.200−31)および異なる濃度のPTB1またはPTBXをプレートに加え、48時間培養を続けた。その後、プレート中の上清を収集し、Human CCL2/MCP−1 DuoSet ELISA(R&D;Cat.No.DY279)を、メーカーの推奨する手順に従って用い、上清中のMCP−1含有量を分析し、細胞のMCP−1発現量を確認した。
【0113】
実験結果を表2に示す。
【0114】
【表2】
【0115】
表2より、酵素処理抽出物PTBXによる角化細胞増殖、炎症および接触性アレルギーの抑制、ならびに痒み緩和の効果が著しく向上していることがわかる。
【0116】
実施例6
マウスの類乾癬の皮膚炎に対する酵素処理抽出物PTBXの軽減効果の評価
【0117】
Balb/cマウス(6〜8週齢)の背中の毛を剃毛し、それらマウスを未処置群、対照群、イミキモド(IMQ)+ビヒクル群、および実験群の4つの群に分けた。未処置群ではマウスに処理を施していない。対照群では、50mgのイミキモド(IMQ)クリーム(Aldara;3M Pharmaceuticals)をマウスの背中に塗布した。1日に1回、6日間連続でイミキモドクリームを投与して、類乾癬の症状をマウスの皮膚に誘発した。イミキモド(IMQ)+ビヒクル群では、50mgのイミキモドクリーム(Aldara;3M Pharmaceuticals)をマウスの背中に塗布してから、軟膏のビヒクルを局所に塗布した。1日に1回、6日間連続でイミキモドクリームおよび軟膏のビヒクルを投与した。実験群では、50mgイミキモドクリーム(Aldara;3M Pharmaceuticals)をマウスの背中に塗布してから、PTBX軟膏を局所に塗布した(50mg)。1日に1回、6日間連続でイミキモドクリームおよびPTBX軟膏を投与した。
【0118】
その後、マウスの背中の皮膚の炎症の程度を採点した。皮膚炎症の程度の採点項目には紅斑(erythema)および落屑(scaling)が含まれる。紅斑および落屑の重症度に基づいてマウスの背中の皮膚に0点(無症状)から4点(重症)までのスコアをつけ、紅斑および落屑のスコアを合計して、累積スコア(cumulative scores)を算出した。各群のマウスの背中の皮膚の紅斑スコア、落屑スコアおよび累積スコアを図1A、1Bおよび1Cにそれぞれ示す。
【0119】
マウスを屠殺する前に、マウスの背中の皮膚の乾癬病巣を写真に撮影すると共に記録した。屠殺後、マウスの背中の皮膚を切り取り、その表皮の厚みを測定すると共に、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色を行った。各群のマウスの背中の皮膚の写真およびH&E染色の結果、ならびに各群のマウスの皮膚の厚さをそれぞれ図1Dおよび図1Eに示す。
【0120】
加えて、マウスの背中の皮膚の組織の一部に対し、ケラチン(K14)およびフィラグリン(FLG)の遺伝子発現量の検出を行った。その結果を図1Fおよび図1Gに示す。
【0121】
図1A図1Eに示するように、対照群では、イミキモド50mgの投与によりマウスの背中に紅斑、落屑が生じ、マウスの背中の皮膚の厚みが増加しているが、実験群では、PTBX軟膏50mgの塗布により、皮膚の紅斑および落屑が軽減されると共に、皮膚の厚みを減少させることができている。
【0122】
遺伝子発現量については、図1Fおよび図1Gに示すように、未処置群に比べて、対照群のK14発現は有意に増加した(###:p<0.001)が、PTBX軟膏50mgの塗布によりK14発現を抑制する効果が生じた(*:p<0.05)。また、イミキモドはFLG発現を減少させた(#:p<0.05)が、PTBX軟膏50mgの塗布により、FLG発現を維持する保護活性が生じた(**:p<0.01)。実験結果は平均±標準偏差で示している。
【0123】
実施例7
酵素処理プロセスの研究(investigation):酵素と抽出物との比率
【0124】
粗抽出物PTB1の乾燥粉末約1gを酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)50mlで再溶解してから、0.1、0.5、1、2または5mgのβ−グルコシダーゼをそれぞれ加えた。次いで、その酵素含有溶液を37℃のインキュベーター中に入れて16〜24時間反応を進行させた。反応が完了した後、その溶液を4℃の冷蔵庫に24時間入れ、沈殿物の生成を促進させた。
【0125】
その溶液を固液分離して沈殿物を取り出し、その沈殿物をメタノールで再溶解して混合溶液を作製した。次いで、その混合溶液に高速液体クロマトグラフィーを行った。その結果を表3に示す。
【0126】
【表3】
【0127】
表3に示す結果から、0.1mgの酵素では沈殿物を生成し得ないが、その他の量の酵素はいずれも沈殿物を生成する効果があることがわかる。
【0128】
実施例8
【0129】
酵素処理プロセスの研究:酵素の種類
【0130】
粗抽出物PTB1の乾燥粉末約1gを酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)50mlで再溶解してから、1mgのβ−グルコシダーゼ、α−ガラクトシダーゼまたはβ−グルクロニダーゼをそれぞれ加えた。加えた酵素の重量と元の薬草材料の重量との比は約1:1500〜4000であった(粗抽出物PTB1の重量と元の薬草材料の重量との比は約1:1.5〜4)。次いで、その酵素含有溶液を37℃のインキュベーターに入れて16〜24時間反応を進行させた。反応が完了した後、その溶液を4℃の冷蔵庫に24時間入れ、沈殿物の生成を促進させた。
【0131】
その溶液を遠心分離機にかけて沈殿物を分離し、その沈殿物をメタノールで再溶解して混合溶液を作製した。次いで、その混合溶液に高速液体クロマトグラフィーを行って、酵素処理前後の指標成分含有量の相違を比較した。結果を表4に示す。
【0132】
【表4】
【0133】
表4の結果から、β-グルコシダーゼおよびβ-グルクロニダーゼはいずれも生物変換によりキク抽出物中のルテオリンおよびアピゲニンの含有量を増加させ得るということがわかる。
【0134】
実施例9
酵素処理プロセスの研究:酵素の組み合わせ
【0135】
粗抽出物PTB1の乾燥粉末約1gを酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)50mlで再溶解してから、β−グルコシダーゼ1mgおよびα−ガラクトシダーゼ1mg、またはβ−グルコシダーゼ1mgおよびβ−グルクロニダーゼ1mgを同時に加えた。加えた酵素の重量と元の薬草材料の重量との比は約1:750〜2000であった(粗抽出物PTB1の重量と元の薬草材料の重量との比は約1:1.5〜4)。次いで、その酵素含有溶液を37℃のインキュベーターに入れて16〜24時間反応を進行させた。反応が完了した後、その溶液を4℃の冷蔵庫に24時間入れ、沈殿物の生成を促進させた。
【0136】
その溶液を遠心分離機にかけて沈殿物を分離し、その沈殿物をメタノールで再溶解して混合溶液を作製した。次いで、その混合溶液に高速液体クロマトグラフィーを行って、酵素処理前後の指標成分含有量の相違を比較した。結果を表5に示す。
【0137】
【表5】
【0138】
表5の結果から、β−グルコシダーゼおよびβ−グルクロニダーゼが同時に存在するとき、ルテオリン7−O−グルコシドおよびアピゲニン−7−O−グルコシドのそれぞれルテオリンおよびアピゲニンへの変換が増加し得ることがわかる。
【0139】
実施例10
酵素処理プロセスの研究:キク属の異なる植物
【0140】
シマカンギク(Chrysanthemum indicum L、金門油菊)、シロバナムシヨケギク(Chrysanthemum cinerariifolium)またはオッタチカンギク(Chrysanthemum indicum、台湾小油菊)とその15倍の水とを混合して混合物を作製した。その混合物を加熱して沸騰させ(約90〜100℃)、加熱抽出を1時間行ってから、その中の固体残留物を除去して抽出液を得た。
【0141】
その抽出液を室温まで冷却した後、酵素であるβ-グルコシダーゼをその中に加えた。加えた酵素の重量と元の薬草材料の重量との比は約1:1500であった。次いで、その酵素含有抽出液を37℃のインキュベーターに入れ、16〜24時間反応させた。反応が完了した後、その酵素反応抽出液を4℃の冷蔵庫に24時間入れ、沈殿物の生成を促進させた。
【0142】
その後、その溶液を遠心分離機にかけ、上清および沈殿物に高速液体クロマトグラフィーを行って、キク属のその他の植物でも酵素処理により沈殿精製の効果が達成され得るか否かを評価した。沈殿物について、in vitro角化細胞増殖抑制活性の分析を行った。その結果を表6に示す。
【0143】
【表6】
【0144】
表6の結果から、シマカンギク(Chrysanthemum indicum L)、シロバナムシヨケギク(Chrysanthemum cinerariifolium)およびオッタチカンギク(Chrysanthemum indicum)のようなキク属の別の植物はいずれも、酵素処理により沈殿および精製され得ず、それらの角化細胞増殖抑制活性は酵素処理により向上し得ないということがわかる。
【0145】
開示された実施形態に各種修飾および変更を加え得ることは、当業者には明らかであろう。明細書および実施例は単に例示として見なさるよう意図されており、本開示の真の範囲は以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって示される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G