特許第6868075号(P6868075)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6868075
(24)【登録日】2021年4月13日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】保険商品提示装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/08 20120101AFI20210426BHJP
【FI】
   G06Q40/08
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-190469(P2019-190469)
(22)【出願日】2019年10月17日
(65)【公開番号】特開2021-67978(P2021-67978A)
(43)【公開日】2021年4月30日
【審査請求日】2019年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】399106192
【氏名又は名称】三井住友海上火災保険株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】松村 隆司
(72)【発明者】
【氏名】中村 繁保
【審査官】 小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−091439(JP,A)
【文献】 特開2019−164648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保険証券番号に対応付けて契約者に関する情報および更改前の保険証券番号を格納する格納部と、
特定の前記保険証券番号に対応付けて格納された前記情報と、前記特定の保険証券番号に対応付けられた前記更改前の保険証券番号に対応付けて格納された前記情報とを前記格納部から読み出す読出部と、
前記読出部が読み出した、特定の前記保険証券番号に対応付けて格納された前記情報と、前記特定の保険証券番号に対応付けられた前記更改前の保険証券番号に対応付けて格納された前記情報と、を比較することにより前記契約者のライフイベントを推定し、前記特定の保険証券番号に対応付けられた前記情報、前記更改前の保険証券番号に対応付けられた前記情報および前記推定したライフイベントを前記契約者に関する情報として統合する推定部と、
契約者に関する情報と契約している保険商品との関係を学習した機械学習モデルを用いて、前記推定部により統合された情報に対して保険商品を提示する提示部と
を備える保険商品提示装置。
【請求項2】
前記提示部はさらに、保険商品と募集に関する情報との関係を学習した機械学習モデルを用いて、募集に関する情報を提示する請求項1に記載の保険商品提示装置。
【請求項3】
コンピュータに、
保険証券番号に対応付けて契約者に関する情報および更改前の保険証券番号を格納部に格納する格納機能と、
特定の前記保険証券番号に対応付けて格納された前記情報と、前記特定の保険証券番号に対応付けられた前記更改前の保険証券番号に対応付けて格納された前記情報とを前記格納部から読み出す読出機能と、
前記読出機能により読み出された、特定の前記保険証券番号に対応付けて格納された前記情報と、前記特定の保険証券番号に対応付けられた前記更改前の保険証券番号に対応付けて格納された前記情報と、を比較することにより前記契約者のライフイベントを推定し、前記特定の保険証券番号に対応付けられた前記情報、前記更改前の保険証券番号に対応付けられた前記情報および前記推定したライフイベントを前記契約者に関する情報として統合する推定機能と、
契約者に関する情報と契約している保険商品との関係を学習した機械学習モデルを用いて、前記読出機能により前記推定機能により統合された情報に対して保険商品を提示する提示機能と
を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保険商品提示装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
顧客への質問に対する回答を受信して、当該回答に基づいて顧客に提案すべき商品やサービスを決定するコンピュータシステムがある(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特許第6326538号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記コンピュータシステムにあっては顧客に対して質問への回答を要求しており、顧客フレンドリーとはいえない。特に、商品やサービスが保険に関するものである場合に、保険の既契約者からは契約時にすでに情報を取得しているので、この情報を活用することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、保険証券番号に対応付けて契約者に関する情報および更改前の保険証券番号を格納する格納部と、特定の保険証券番号に対応付けて格納された情報と、特定の保険証券番号に対応付けられた更改前の保険証券番号に対応付けて格納された情報とを格納部から読み出す読出部と、契約者に関する情報と契約している保険商品との関係を学習した機械学習モデルを用いて、読出部が読み出した情報に対して保険商品を提示する提示部とを備える保険商品提示装置が提供される。
【0005】
本発明の第2の態様においては、コンピュータに、保険証券番号に対応付けて契約者に関する情報および更改前の保険証券番号を格納部に格納する格納機能と、特定の保険証券番号に対応付けて格納された情報と、特定の保険証券番号に対応付けられた更改前の保険証券番号に対応付けて格納された情報とを格納部から読み出す読出機能と、契約者に関する情報と契約している保険商品との関係を学習した機械学習モデルを用いて、読出機能により読み出した情報に対して保険商品を提示する提示機能とを実現させるプログラムが提供される。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る保険商品提示装置10の機能ブロックを示す。
図2】契約者情報DB130に格納されている契約者情報の例を示す。
図3】保険商品提示装置10の動作フローの一例を示す。
図4】契約者情報を統合するステップS10の動作フローの一例を示す。
図5】統合情報格納部100に格納された契約者情報等の例を示す。
図6】保険商品の契約者を分析した決定木の一例である。
図7】保険商品を提示するステップS30の動作フローの一例を示す。
図8】第2の実施形態に係る保険商品提示装置12の機能ブロックを示す。
図9】募集情報DB136に格納された募集に関する情報である募集情報の例を示す。
図10】保険商品提示装置12の動作フローの一例を示す。
図11】保険商品について募集情報を説明変数として分析した決定木の一例である。
図12】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は第1の実施形態に係る保険商品提示装置10の機能ブロックを示す。保険商品提示装置10は例えば保険会社で管理されているコンピュータである。保険商品提示装置10は代理店の募集人が使用する端末20とインターネットなどの通信網により通信する。募集人は保険の募集をする、代理店の営業担当者等である。
【0010】
保険商品提示装置10は、契約者に関する契約者情報を格納している契約者情報DB130と、契約者からの苦情に関する苦情情報を格納している苦情情報DB132と、契約者が関与した事故に関する事故情報を格納している事故情報DB134を有する。これら契約者情報、苦情情報および事故情報は、保険会社の社員により直接、または、代理店の募集人の端末20からそれぞれのデータベースに格納される。
【0011】
保険商品提示装置10はさらに、統合情報格納部100、読出部110、推定部112および提示部114を備える。提示部114には機械学習モデル120が含まれる。
【0012】
図2は、契約者情報DB130に格納されている契約者情報の例を示す。図2の契約者情報には、自動車保険の契約者に関する情報が例示されている。
【0013】
契約者情報DB130には、契約者情報が保険証券番号ごとに、すなわち、保険証券番号に対応付けて格納されている。さらに、当該保険の契約がそれ以前の保険の契約期間満了に伴う等の更改である場合には、更改前の保険証券番号が現在の保険証券番号に対応付けて格納されている。なお、図2の例において当該保険の契約が更改によるものではない場合には、更改前の保険証券番号のフィールドに無効な値「*」が格納される。
【0014】
契約者情報には、契約期間、契約者氏名、契約者年齢、契約者性別、契約者住所、車種、車名および免許証の色が含まれる。これらの情報は契約時に必須の情報である。なお、車名には国産車であるか、外国車であるかを示す情報が含まれる。図2の例では、車名のフィードにおいて、車名の後に国産車であれば「(国)」、外国車であれば「(外)」の表記が付されている。
【0015】
契約者情報には、自動車保険、火災保険、生命保険等を区別する保険種別、および、保険商品を特定する保険商品IDも含まれる。図2に示す例において、保険種別および保険商品IDは保険証券番号に含まれている。当該保険証券番号の最初のアルファベット1文字が保険種別を表す。例えば、自動車保険は「J」、火災保険は「K」、生命保険は「S」などである。さらに、当該保険証券番号の2番目から4番目までのアルファベット3文字が保険商品IDを表す。よって、図2の例において「JBCD0001」と「JBCD0002」は自動車保険であって同一の保険商品であり、「JBCX0195」は自動車保険であるがそれらとは異なる保険商品であることを示す。
【0016】
契約者情報にはさらに、契約時は必須でない任意の情報も含まれる。図2に示す、自動車保険における任意の情報の例は、配偶者の有無や持家と賃貸の別である。自動車保険における任意の情報には、自動車の車体の色、子供と同居の有無、子供の年齢、親と同居の有無、親の年齢等が含まれていてもよい。任意の情報は募集人が契約者から聞き出したものであってもよいし、契約に付随する契約者へのアンケートなどで取得してもよい。なお、保険種別が火災保険である場合には、広さ、地域、角部屋か否か、駅からの距離、階数などの資産価値の情報が含まれていてもよい。
【0017】
図示は省略するが、苦情情報DB132には、保険証券番号に対応付けて、当該保険証券番号の契約者が保険について代理店または保険会社に申し立てた苦情の内容が苦情情報として格納されている。苦情を申し立てたことがない場合には当該フィールドにその旨を示す情報、例えば、無効な値「*」が格納される。苦情情報は、苦情の内容をカテゴリー分けしたカテゴリーを示す情報や、苦情の度合いのランクを示す情報を含んでいてもよい。
【0018】
同様に、事故情報DB134には、保険証券番号に対応付けて、当該保険証券番号の契約者が関与した事故の内容が事故情報として格納されている。特に、当該契約が自動車保険であれば自動車に関する事故の情報が格納され、当該契約が火災保険であれば火災に関する事故の情報が格納される。事故がない場合には当該フィールドにその旨を示す情報、例えば、無効な値「*」が格納される。事項情報は、事故の内容をカテゴリー分けしたカテゴリーを示す情報や、事故の度合いのランクを示す情報を含んでいてもよい。
【0019】
さらに、保険商品提示装置10は、契約者から保険会社のコンタクトセンターへの電話のログを保険証券番号に対応付けてコンタクトセンター入電情報として格納していてもよい。保険商品提示装置10はさらに、保険証券番号に対応付けられた情報が格納された外部DBと接続されていてもよい。
【0020】
図3は、保険商品提示装置10の動作フローの一例を示す。保険商品提示装置10は、契約者情報DB130等の契約者情報を統合し(S10)、統合した契約者情報等を用いて保険商品ごとに決定木で分析して機械学習モデルとし(S20)、当該機械学習モデルを用いて端末20に向けて保険商品を提示する(S30)。
【0021】
図4は、契約者情報等を統合するステップS10の動作フローの一例を示す。当該動作フローは、保険商品提示装置10への直接の指示により、または、四半期ごと等、定期的に開始される。
【0022】
読出部110は、契約者情報DB130から保険証券番号および当該保険証券番号に対応付けて格納されている契約者情報を読み出す(S101)。読出部110はさらに、同一の保険証券番号に対応付けて苦情情報DB132に格納されている苦情情報、および、事故情報DB134に格納されている事故情報を読み出す(同ステップ)。
【0023】
読出部110は、ステップS101で読み出した保険証券番号に対応付けて更改前の保険証券番号が格納されているか否かを判断する(S103)。更改前の保険証券番号が格納されている場合(S103:Yes)、読出部110は、この更改前の保険証券番号に対応付けられた契約者情報を契約者情報DBから読み出す(S105)。さらに、読出部110は、この更改前の保険証券番号に対応付けられた苦情情報および事故情報を苦情情報DB132および事故情報DB134から読み出す(同ステップ)。
【0024】
図2に示す例において、保険証券番号「JBCD0571」に対応付けて更改前の保険証券番号「JBCD0002」が格納されている。よって、読出部110は、ステップS103で保険証券番号「JBCD0571」の契約者情報、苦情情報および事故情報を読み出すとともに、S105で更改前の保険証券番号「JBCD0002」の契約者情報、苦情情報および事故情報も読み出す。保険証券番号に対応付けられたコンタクトセンター入電情報や外部DBが接続されている場合の外部データも読み出す。なお、契約者情報、苦情情報、事故情報およびその他契約者に関する情報をまとめて契約者情報等と呼ぶことがある。
【0025】
次に、推定部112は、当該保険証券番号の契約者情報等と、更改前の保険証券番号の契約者情報等を比較して、年齢、契約期間以外に変更があるかどうか判断する(S107)。ここで、年齢と契約期間を除外するのは、更改前と後では年齢と契約期間が異なることは当然だからである。なお、ここでの年齢は契約者年齢の他に、任意の情報としての子供や親の年齢も含まれる。
【0026】
当該保険証券番号の契約者情報等と、更改前の保険証券番号の契約者情報等との間に変更があった場合(S107:Yes)、推定部112は当該契約者のライフイベントを推定する(S109)。推定されたライフイベントは当該保険証券番号に関する新たな情報となる。
【0027】
図2に示す例において、保険証券番号「JBCD0571」の契約者住所と、当該保険番号に対応付けられた更改前の保険証券番号「JBCD0002」の契約者住所との間に変更がある。したがって、推定部112は当該契約者に「引越」というライフイベントがあったことを推定する。
【0028】
ライフイベントは、変更があった情報の種類とライフイベントとを予め対応付けたルックアップテーブルを用いて推定する。対応付けの例は上記の通り、「契約者住所が変更」なら「引越」である。他にも、「子供の数が増えた」なら「出産」、「車名が変更」なら「自動車の買い替え」などである。これに代えてまたはこれに加えて、変更があった情報の種類とライフイベントとの関係を機械学習した学習モデルを用いてライフイベントを推定してもよい。
【0029】
ステップS109の次、または、ステップS103およびS107のいずれかの判断がNoの場合に、推定部112は読み出した情報および推定したライフイベントを統合して統合情報格納部100に格納する(S111)。これにより契約者単位での情報が得られたことになる。
【0030】
図5は、統合情報格納部100に格納された契約者情報等の例を示す。統合情報格納部100には契約者氏名に対応付けて、当該契約者氏名における最新の保険証券番号および当該最新の保険証券番号の契約者情報等が格納される。
【0031】
さらに、最新の保険証券番号に対応づいては格納されていなかったが、更改前の保険証券番号に対応づいて格納されていた契約者情報等も格納されている。図5に示す例において、契約者氏名「三井太郎」の最新の保険証券番号「JBCD0570」に対応付づけられた持家/賃貸の別の情報は格納されていなかった。しかしながら、保険証券番号「JBCD0570」の更改前の保険証券番号「JBCD0001」に対応付けて「賃貸」が格納されていた。さらに、これらの保険証券番号間で契約者住所の変更はない。したがって、統合情報格納部100には契約者氏名「三井太郎」に対応付けて「賃貸」を格納している。
【0032】
さらに、統合情報格納部100には推定部112で推定されたライフイベントも格納される。図5に示す例において、上記ステップS109で例示した、契約者氏名「住友花子」に「引越」のライフイベントがあったと推定したことに対応して、ライフイベントのフィールドに「引越」が格納されている。
【0033】
以上により、情報を統合するステップS10が終了する。統合情報格納部100に格納された契約者は、それぞれの保険証券番号に対応した保険商品の既契約者であるともに、他の保険商品についての契約の候補者でもある。次に、提示部114は保険商品の契約者を決定木で分析する(S20)。
【0034】
図6は、保険商品の契約者を分析した決定木の一例である。決定木による分析は機械学習により行われる。分析により構築された決定木が、契約者情報等と保険商品との関係を学習した機械学習モデル120となる。
【0035】
決定木の目的変数は、保険商品ごとの契約者である。図6の例においては、保険商品「自動車保険JBCD」に加入している契約者200名が目的変数となっている。
【0036】
説明変数としては、統合情報格納部100に格納されている契約者情報等が用いられる。図6の例においては、「35歳」を閾値とした「年齢」、「外国車か国産車かの別」、「引越の有無」等が説明変数として用いられている。これらのうち、例えば「年齢」は契約者情報DB130に直接的に格納されており、統合情報格納部100にそのまま引き継がれた情報である。一方、「引越の有無」は契約者情報DB130に直接格納されていた「住所」の情報から、推定部112がライフイベントとして推定して統合情報格納部100に格納された、いわば、合成変数である。
【0037】
以上により、決定木で分析するステップS20が終了する。次に、提示部114はこの決定木を用いて保険商品を提示する(S30)。
【0038】
図7は、保険商品を提示するステップS30の動作フローの一例を示す。当該ステップS30の動作フローは端末20を介した募集人の指示により開始する。
【0039】
提示部114は、統合情報格納部100から契約者ごとに統合された契約者情報等を読み出す(S131)。提示部114は、特定の保険商品についての決定木に当該契約者情報等を当て嵌める(S133)。この場合の特定の保険商品からは、当該契約者がすでに契約している保険商品は除かれる。すでに契約している保険商品について契約の可能性を判断する必要がないからである。
【0040】
すなわち、保険商品Aに契約している契約者Xの契約者情報等を、保険商品Bの決定木に当て嵌める。これにより、契約者Xが保険商品Bにも契約する可能性を見積ることができる。
【0041】
例えば、図5および図6の例で説明すると、契約者「東京次郎」について、保険商品「JBCD」の決定木を当て嵌めると、「年齢が35歳以上」、「国産車」、「引越無」という情報から、保険商品「JBCD」のわずか4%の既契約者としか契約者情報等のプロファイルが一致していないことが分かる。よって、契約者「東京次郎」が保険商品「JBCD」に契約する可能性は低いと見積もられる。
【0042】
提示部114は、当該契約者について、自身が契約している保険商品を除くすべての保険商品の決定木に対して当て嵌めを行う(S135)。提示部114は、その結果、プロファイルが一致した契約者が多い保険商品を、提案する保険商品として端末20に出力する(S137)。この場合に、当て嵌めを行った複数の保険商品のうち、プロファイルが一致した既契約者の%が高い上位の所定個数の保険商品を提案してもよいし、プロファイルが一致した既契約者の%が一定値以上、例えば50%以上、の保険商品を提案してもよい。
【0043】
上記ステップS131からS137を、統合情報格納部100に格納されている契約者についてすべて実行する(S139)。これによりステップS30の動作フローが終了する。
【0044】
以上、本実施形態によれば、統合した情報を用いて決定木を分析するので、より多くの説明変数の候補から適切な説明変数を選んで機械学習することができる。さらに、統合した情報を用いて決定木に当て嵌めを行うので、契約可能性がより高い保険商品を提示することができる。
【0045】
図8は第2の実施形態に係る保険商品提示装置12の機能ブロックを示す。保険商品提示装置12において保険商品提示装置10と同じ構成には同じ参照番号を付して説明を省略する。
【0046】
保険商品提示装置12は、保険商品提示装置10の構成に加えて、募集情報DB136と、提示部116における機械学習モデル122とをさらに備える。保険商品提示装置12の提示部116は、保険商品と募集に関する情報との関係を学習した機械学習モデル122を用いて、募集に関する情報を端末20に提示する。
【0047】
図9は、募集情報DB136に格納された募集に関する情報である募集情報の例を示す。募集情報DB136には募集人IDに対応付けて、募集人氏名、募集人年齢、募集人性別、所属代理店ID、スキルレベル、当該募集人が成約させた保険証券番号、成約に寄与した募集活動が格納されている。これらの情報は、保険会社の社員により直接、または、代理店の募集人の端末20から募集情報DB136に格納される。
【0048】
図10は、保険商品提示装置12の動作フローの一例を示す。保険商品提示装置12の動作フローは、保険商品提示装置10の動作フローに加えて、提示部116が、募集情報を読み出すステップと(S22)、当該募集情報を用いて決定木で分析するステップと(S24)、募集情報の決定木を用いて募集を提案するステップ(S40)とを備える。
【0049】
図11は、保険商品について募集情報を説明変数として分析した決定木の一例である。決定木による分析は、上記ステップS22およびS24において機械学習により行われる。分析により構築された決定木が、募集情報と保険商品との関係を学習した機械学習モデル122となる。
【0050】
決定木の目的変数は保険商品ごとの延べの契約件数である。図11の例においては、保険商品「自動車保険JBCD」に契約している契約件数500件が目的変数となっている。ここで延べの件数は、募集情報DB136に格納されている、募集人が成約させた保険証券番号で算出される。よって、図6とは異なり、同一の契約者であっても更改等により当該保険商品に延べで複数回契約している場合にはそれぞれを別個の件数として数えてよい。
【0051】
説明変数としては、募集情報DB136に格納されている募集情報が用いられる。説明変数として、さらに、募集情報DB136の募集情報と統合情報格納部100の契約者情報等とに基づいた合成変数が用いられてもよい。この場合に、合成変数は同一の保険証券番号に対応付けられている契約者情報等と募集情報とから生成される。当該合成変数はその生成手順が予め提示部116に格納されていてよい。
【0052】
図11の例において、「募集活動」の「対面かインターネットか電話か」という説明変数は募集情報DB136に格納されている「成約に寄与した募集活動」である。一方、「募集人が契約者より年上か年下か」という説明変数は、同一の保険証券番号における募集情報DB136の「募集人年齢」と統合情報格納部100の「契約者年齢」との比較により生成された合成変数である。他の合成変数として、統合情報格納部100の「契約者住所と募集情報DB136の「代理店の住所」(図11では不図示)から生成される、「住所の近さ」が用いられてもよい。
【0053】
上記ステップS40において、提示部116は募集情報と保険商品との関係を学習した機械学習モデル122である上記決定木を用いて募集の提案を行う。この場合に、提示部116はステップS30で提示された保険商品について募集情報との関係を分析した決定木を用いる。例えば、ステップS30で契約者Yに対して保険商品Cを提示した場合には、保険商品Cの決定木を用いて契約者Yに対する募集の提案を行う。
【0054】
この場合、当該決定木での分析による既契約件数の%が高い上位の所定個数の募集情報を提案してもよいし、既契約件数の%が一定値以上、例えば50%以上、の募集情報を提案してもよい。図11の例において、既契約件数の%が最も高い募集情報を提案するのであれば、「募集人年齢」が「契約者年齢」より「年上」の募集人に、募集活動として「対面」かつ「車検時に案内」することを提案する。
【0055】
以上、本実施形態によれば、第1の実施形態における効果に加えて、募集情報で分析した決定木を用いて募集を提案するので、契約の可能性をより高めることができる。加えて、保険会社が有している情報をより活用することができる。
【0056】
なお、いずれの実施形態においても、上記ステップS30において契約者ごとに全ての保険商品の決定木に当て嵌めることに代えて、それぞれの決定木で高い既契約者%となるプロファイルに当て嵌まる契約者を検索して、その決定木に対応する保険商品を当該契約者に対して提示してもよい。
【0057】
さらに、いずれの実施形態においても、決定木で分析した契約者の保険種別と、当該決定木に当て嵌めを行う契約者の保険種別とが同一であってもよいし、異なっていてもよい。上記の例では、いずれも自動車保険であって、保険種別が同一である。同種の保険商品間では、ステップS30で抽出された保険商品のうち、現在の保険商品より補償が厚いものを選択して提示してもよい。これにより、補償がより厚い保険商品への更改を提案することができる。
【0058】
保険種別が異なる例として、自動車保険の契約者で決定木を構築し、当該決定木に火災保険や生命保険の契約者の契約者情報を当て嵌めることにより、火災保険や生命保険の契約者に自動車保険を提示してもよい。これにより、効率的に保険商品を重ね売りすることができる。
【0059】
また、第2の実施形態において、個別の保険商品に対して募集情報の決定木を構築することに代えて、保険種別ごとに決定木を構築してもよい。これにより保険種別ごとに適切な募集を提案することができる。
【0060】
いずれの実施形態においても、機械学習モデル120、122として決定木を説明したが、他の教師あり学習を用いた機械学習モデルが用いられてもよい。他の機械学習モデルとしてサポートベクターマシン、ニューラルネットワーク、ディープラーニングなどが挙げられる。
【0061】
いずれの実施形態においても、契約者として個人の例を説明したが、契約者が法人の場合に適用してもよい。契約者が法人の場合には、契約者情報として契約者の取引先や関連会社の情報を含んでいてもよい。取引先および関連会社の情報は、例えば、株式会社帝国データバンクなどの企業調査会社から提供されるものを用いてもよい。これら取引先情報および関連会社の情報は決定木の説明変数として用いられてもよいし、保険の契約の候補者として保険商品が提示される対象にされてもよい。
【0062】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0063】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0064】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0065】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0066】
図12は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0067】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インタフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD−ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0068】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示される。
【0069】
通信インタフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD−ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD‐ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0070】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0071】
プログラムが、DVD−ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0072】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD‐ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0073】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD‐ROMドライブ2226(DVD‐ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0074】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0075】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0076】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることができることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0077】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0078】
10、12 保険商品提示装置、20 端末、100 統合情報格納部、110 読出部、112 推定部、114、116 提示部、120、122 機械学習モデル、130 契約者情報DB、132 苦情情報DB、134 事故情報DB、136 募集情報DB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
図12