【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が採用した技術手段は、扉体の上端部がクリアランスを存して上ケース内に受け入れられた状態で開閉移動する引戸装置において、
扉体の上端面には、扉体の室外側面部を越えて延びる第1延出部と扉体の室内側面部を越えて延びる第2延出部を備えた上面と、扉体の室外側面部に離間対向する室外側垂下辺と、扉体の室内側面部に離間対向する室内側垂下辺と、からなる火炎流動抵抗部材が設けてあり、
上ケースの一部は、当該上ケースの室内側見付面と室内側下面を形成する点検カバーから構成されており、
前記第2延出部は、前記室内側垂下辺が前記点検カバーの部分に対してクリアランスを存して対向するように、前記点検カバーに向かって室内側に延び、
前記扉体の上方で発生した火炎は、前記第2延出部の上面によって扉体から離間される、
引戸装置、である。
典型的には、扉体の上端面に設けた戸車が上ケース内のレールを走行することで開口部を開閉する引戸装置であり、また、上ケース内で発火する場合には、扉体の上方の戸車やモータ部分が発火元となる可能性が高い。
【0006】
本発明では、扉体と点検カバーとの間のスペースを利用して、火炎流動抵抗部材の室内側垂下辺を、扉体から離間させて、点検カバーに近づける。室内側垂下辺と点検カバーとの間のクリアランスは、扉体の開閉時を妨げない範囲で小さく設定することができる。
後述する実施形態では、前記点検カバーは、前記室内側見付面と前記室内側下面とで形成される角部の内側で開口幅方向に延びる横材を備えており、
前記室内側垂下辺は、前記横材に対してクリアランスを存して対向している。
また、点検カバーの垂直面(室内側見付面)の内側に横材のような部材がない場合には、室内側垂下辺が、点検カバーの垂直面(室内側見付面)の内面にクリアランスを存して対向するようにしてもよい。
また、後述する実施形態では、第1延出部は第2延出部に比べて延出寸法が短いが、扉体の室外側にスペースが存在するような納まりの場合には、第1延出部を第2延出部と同様に長くしてもよい。
【0007】
1つの態様では、前記第2延出部には、上方に延びる立ち上がり辺が形成されている。
後述する実施形態では、前記立ち上がり辺は、第2延出部の先端に形成されており、室内側垂下辺と同一垂直面上に延びている。
なお、この立ち上がり辺が形成される部位は、第2延出部の先端に限定されず、中途部位でもよく、また、斜めに立ち上がるものでもよい。
【0008】
1つの態様では、前記室内側下面には、前記室内側垂下辺の下端の直下に位置して熱膨張耐火部材が設けてある。
火災時の熱によって熱膨張耐火部材が発泡することで、室内側垂下辺の下端と室内側下面間のクリアランスを閉塞し、当該クリアランスを通る火炎の回りを防止する。
また、熱膨張耐火部材は平面上に設けられるので、扉体の開閉時や経年劣化によって離脱することが可及的に防止される。
【0009】
1つの態様では、前記室外側垂下辺の下方に室外側下面が位置しており、
前記室外側下面には、前記室外側垂下辺の下端の直下に位置して熱膨張耐火部材が設けてある。
火災時の熱によって熱膨張耐火部材が発泡することで、室外側垂下辺の下端と室外側下面間のクリアランスを閉塞し、当該クリアランスを通る火炎の回りを防止する。
また、熱膨張耐火部材は平面上に設けられるので、扉体の開閉時や経年劣化によって離脱することが可及的に防止される。
【0010】
1つの態様では、前記第1延出部の上方にレールを支承する支持辺が位置しており、前記第1延出部には、熱膨張耐火部材が設けてある。
火災時の熱によって熱膨張耐火部材が発泡することで、第1延出部と支持辺(レール)との間のクリアランスを閉塞し、当該クリアランスを通る火炎の回りを防止する。
第1延出部が第2延出部に比べて短い場合であっても、室外側の火炎の通り路を有効に遮断する。
また、熱膨張耐火部材は平面上に設けられるので、扉体の開閉時や経年劣化によって離脱することが可及的に防止される。
【0011】
1つの態様では、前記火炎流動抵抗部材の上面の戸尻側端部は、前記扉体の戸尻側端面よりも突出しており、
前記戸尻側端部には立ち上がり辺が形成されていると共に、当該立ち上がり辺の下端に沿って熱膨張耐火部材が設けてある。
1つの態様では、前記上ケースの室内側下面、室外側下面には、それぞれ、室内側立ち上り辺、室外側立ち上り辺が形成され、前記室内側立ち上り辺と前記室外側立ち上がり辺間の横長開口に扉体の上端部がクリアランスを存して受け入れられており、
前記火炎流動抵抗部材の前記室内側垂下辺、前記室内側垂下辺の高さ寸法は、前記横長開口を形成する前記室内側立ち上り辺、室外側立ち上り辺の高さ寸法の2倍以上である。
扉体の上方で発生した火炎の扉体と室内側下面間のクリアランスまでの到達距離を長くするためには、前記火炎流動抵抗部材の前記室内側垂下辺、前記室内側垂下辺の高さ寸法は、大きいことが望ましく、3倍以上、4倍以上であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、仮に上ケース内の樹脂部品等に着火した場合にも、上ケース下面のクリアランスから火炎が外部へ露出することを制限でき、もって、防火性能を確保することができる。
【0013】
扉体の上方で発生した火炎は、扉体の室内側においては、火炎流動抵抗部材の第2延出部の上面によって扉体から離間され、さらに、室内側垂下辺によって、扉体から離間した状態が維持され、前記第2延出部の上面に沿って室内側に向かう火炎は、前記室内側垂下辺に沿って下方に案内され、前記室内側垂下辺と扉体の室内側面部との間の空間を通ることになり、扉体の上方で発生した火炎の扉体と室内側下面間のクリアランスまでの到達距離が長く設定されている。
【0014】
火炎流動抵抗部材の第2延出部にさらに上方に延びる立ち上がり辺が形成することで、前記第2延出部の上面に沿って室内側に向かう火炎は、前記立ち上がり辺に沿って上方に案内され、前記室内側垂下辺に沿って下方に案内され、前記室内側垂下辺と扉体の室内側面部との間の空間を通ることになり、到達距離がさらに長くなる。
【0015】
火炎流動抵抗部材の第1延出部の上方にレールを支承する支持辺が位置しており、前記第1延出部には、熱膨張耐火部材が設けたものでは、火災時の熱によって熱膨張耐火部材が発泡することで、第1延出部と支持辺(レール)との間のクリアランスを閉塞し、当該クリアランスを通る火炎の回りを防止する。
【0016】
火炎流動抵抗部材の室外側垂下辺の下端の直下に位置して、室外側下面上に熱膨張耐火部材を設けたもの、また、火炎流動抵抗部材の室内側垂下辺の下端の直下に位置して、室内側下面上に熱膨張耐火部材を設けたものでは、火災時の熱によって熱膨張耐火部材が発泡することで、室外側垂下辺の下端と室外側下面間のクリアランス、室内側垂下辺の下端と室内側下面間のクリアランス、をそれぞれ閉塞し、当該クリアランスを通る火炎の回りを防止する。