【実施例】
【0038】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する、ただし、本発明はこれら実施例に限定されない。各成分の詳細を以下に記載する。
【0039】
<ポリプロピレン系樹脂(A)>
「P−1」:ブロックポリプロピレン(プライムポリマー社製、「プライムポリプロ(登録商標)J830HV」、MFR(230℃、2.16kg)=30g/10分)
【0040】
<他の樹脂>
「P−2」:エチレン・1−ブテン共重合体(三井化学社製、「タフマー(商標登録)A0550」、MFR=0.9g/10分、密度=861kg/m
3)
【0041】
<無機充填材>
「タルク」:タルク(浅田製粉社製、商品名「JM209」、平均粒径=3.9μm)
【0042】
<アルミフレーク(B)>
「アルミ1」:アルミマスターバッチ(東洋アルミ社製、平均粒径=20μm、アルミ濃度=70%)
「アルミ2」:アルミマスターバッチ(東洋アルミ社製、平均粒径=60μm、アルミ濃度=70%)
「アルミ3」:アルミマスターバッチ(東洋アルミ社製、平均粒径=10μm、アルミ濃度=70%)
「アルミ4」:アルミマスターバッチ(東洋アルミ社製、平均粒径=70μm、アルミ濃度=70%)
【0043】
<カーボンブラック(C)>
CABOT社製、商品名「BLACK PERLS 4840」、平均一次粒子径=18nm
【0044】
<顔料(D)>
HOLLIDAY PIGMENTS社製、商品名「Ultramarine Blue NO.57」
【0045】
<樹脂組成物(A−1)〜(A−3)の調製>
P−1、P−2及びタルクを表1記載の割合で配合し、樹脂組成物(A−1)〜(A−3)を得た。
【0046】
【表1】
【0047】
樹脂組成物(A−1)〜(A−3)の樹脂成分の最高結晶融解温度は162℃、最高結晶化温度は115℃、ガラス転移温度は0℃以下であった。これらの温度を参考に、射出成形機のシリンダー温度を190℃(162℃+28℃)、金型設定温度を45℃(115℃−70℃)に決定した。なお、結晶融解温度及び結晶化温度はDSCを用いて以下の方法により測定し、ガラス転移温度は固体粘弾性測定装置を用いて以下の方法により測定した。
【0048】
(結晶融解温度及び結晶化温度)
結晶融解温度及び結晶化温度は、パーキンエルマー社製DSC8500装置を用いて測定した。吸熱曲線、発熱曲線における最大ピーク位置の温度に関しては、厚み約300μmのプレスシートから切り出した試料約5mgを底が平らなアルミパンに詰め、窒素雰囲気下(窒素:20ml/min)で、230℃で5分間保持し、その後230℃から10℃/minで30℃まで降温する際の発熱曲線の最も大きいピークを結晶化温度とした。さらに30℃で1分間保持し、その後30℃から230℃まで10℃/minで昇温する際の吸熱曲線の最も大きいピークの温度を結晶融解温度とした。
【0049】
(ガラス転移温度)
ペレットをプレス成形して成形品を作製し、固体粘弾性測定装置を用いて以下の条件で温度分散測定を行い、貯蔵弾性率(E')と損失弾性率(E'')の比tanδが最大となる最も高温のピーク温度をガラス転移温度とした。
測定装置:RSA−II(TA製)
測定モード:引張モード(Autotension,Autostrain制御)
測定温度:−80〜150℃(測定可能な温度まで)
昇温速度:3℃/min
試料サイズ:幅5mm×厚さ0.4mm
初期Gap(L0):21.5mm
雰囲気:N
2【0050】
<参考例1、実施例1〜12、比較例1〜10>
各成分を表2に示す割合で各々配合し(表のアルミフレークの添加量はマスターバッチ中のアルミフレークの量である)、更にその配合物100質量部に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名「IRGANOX1010FP」)0.10質量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名「IRGA FOS168」)0.05質量部、ステアリン酸カルシウム(日東化成工業社製、商品名「カルシウム・ステアレート」)0.05質量部を配合し、ヘンシェルミキサーにて予備混合した。次いで、二軸押出機を用いて樹脂温度210℃で溶融混練を行い、溶融ストランドを水槽で冷却し、ストランドカッターにてポリプロピレン系樹脂ペレットを得た。
【0051】
以上の各ペレットを用いて、実施例1〜12及び比較例1〜10においては、以下の各評価用の試験片を成形し評価を行った。参考例1においては、以下の各評価用の試験片を成形し、その試験片の表面にメタリック合成樹脂エナメル塗料(日本ペイント・オートモーティブコーティングス社製、商品名「NH−700M(YK)」)を塗布してから評価を行った。評価方法の詳細は以下の通りである。各評価結果を表2に示す。
【0052】
(1)明度(L)
以下の条件で50mm×90mm×2mm厚みの角板を射出成形し、これを明度測定用の試験片として用いた。
東芝機械社製 :EC−40NII
シリンダー温度:190℃
スクリュ回転数:110rpm
計量時間 :7.5sec
保圧 :40MPa
背圧 :5MPa
射出速度 :40mm/s
型締圧力 :40t
金型設定温度 :45℃
冷却時間 :10sec
【0053】
明度の測定装置としてはX―rite社製の多角度分光測色器MA−98を使用し、得られたCIE表色系の明度指標であるL値を用いた。そして45°方向から入射光を照射して、ハイライト方向の明度(L15°)、すなわち正反射位置0°から入射光方向側に15°ずれた角度(ハイライト方向)における反射光の明度を測定し、かつシェード方向の明度(L110°)、すなわち正反射位置0°から入射光方向側に110°ずれた角度(シェード方向)における反射光の明度を測定し、両者の比(L15°/L110°)を算出した。
【0054】
(2)フリップフロップ性メタリック感
フリップフロップ性メタリック感評価用の試験片としては、上記の明度測定用の試験片と同じ50mm×90mm×2mm厚みの角板を用いた。この試験片の面に対して垂直で見た明度と水平で見た明度を目視により確認し、以下の基準でフリップフロップ性メタリック感を評価した。
◎:試験片の面に対して垂直で見た明度と水平で見た明度差が非常に大きい。
〇:試験片の面に対して垂直で見た明度と水平で見た明度差が大きい。
【0055】
(3)重厚な高級感
重厚な高級感評価用の試験片としては、上記の明度測定用の試験片と同じ50mm×90mm×2mm厚みの角板を用いた。この試験片の表面を目視により確認し、以下の基準で輝度感を評価した。
◎:試験片の面に対して水平に見ると、深い黒に見える。
○:試験片の面に対して水平に見ると、やや深い黒に見える。
△:試験片の面に対して水平に見ると、少し黒っぽく見える。
【0056】
(4)耐光性
耐光性評価用の試験片としては、上記の明度測定用の試験片と同じ50mm×90mm×2mm厚みの角板を用いた。評価機器としてはキセノンウェザーメーターを使用し、ブラックパネル温度83℃、照射エネルギー60W/m
2の条件で、100〜500時間暴露試験を実施して、試料表面の変化を目視により確認し、以下の基準で耐光性を評価した。
◎:表面に変色・ひび割れが全く無い。
○:表面に変色・ひび割れがほとんど無い。
△:表面に変色・ひび割れが認められる。
×:表面の変色・ひび割れが激しい。
【0057】
【表2】
【0058】
<評価>
表2に示す結果から明らかなように、カーボンブラックを適量添加した実施例1〜12の成形体は、無添加の比較例1〜10の成形体と比較して、フリップフロップ性メタリック感と重厚な高級感に優れるとともに、耐光性に優れていた。
【0059】
シェード方向の明度の低下は、アルミフレークの平均粒径・添加量、カーボンブラック以外の顔料の有無、樹脂の種類、無機充填材の添加量にかかわらず、カーボンブラックの適量添加によって生じる現象であり、このこととハイライト方向の明度をシェード方向の明度で割った値が大きいことがフリップフロップ性メタリック感と重厚な高級感を向上させたと推察される。
【0060】
<実施例13〜14、比較例11〜12>
各成分の割合を表3に示す割合に変更したこと以外は、実施例1〜12と同様にしてペレットを作製した。そして、そのペレットを用いて、上述した明度(L)評価用の試験片と以下の輝度感評価用の試験片を成形し評価を行った。輝度感の評価方法の詳細は以下の通りである。各評価結果を表3に示す。
【0061】
(5)輝度感
輝度感の試験片としては、上記の明度測定用の試験片と厚さのみ異なる50mm×90mm×1mm厚みの角板を用いた。この試験片の表面を目視により確認し、以下の基準で輝度感を評価した。
◎:研磨した金属表面のようなツヤ感が非常に高い。
〇:研磨した金属表面のようなツヤ感が高い。
【0062】
【表3】
【0063】
<評価>
輝度感の定量化はできなかったが、輝度感の一因子と考える成形体の反射率に関し、実施例13の反射率(610nm)は38.36%、比較例11の反射率(610nm)は35.94%であった。